華南 における 日本的経 営の移 転
杉
山
富士雄
Transfer
of Japanese
Management
in South
China
Fujio SUGIYAMA
Abstract
In South China, one can see the phenomenon at work with direct investments by many Japanese companies accompanying , a technological transfer to local workers and managers. What kind of managements and technological transfers are the Japanese companies developing in this area now? How do the Japanese company's managers recruit their staffs? How do they educate and train a lot of workers in the time of their factory biginning to operate? Is the Japanese-type of management valid there? For the purpose of investigating these ploblems',I had the interview with managing-directors
and other managing-staffs of five Japanese companies in South China.
は じめ に 1993年 か ら94年 に か け て進 行 した 円 高 は 、1ド ル80円 前 後 の為 替 レー トを 記 録 し、.日本国 内で 生 産 され た 製 品 の対 外 輸 出 に致 命 的 な打 撃 を 与 え た。 そ の た め 、 日系 企 業 に よ る生 産 拠 点 の 海 外 移 転 が急 激 に 促 進 され た。 そ の流 れ に対 し∼ 当時 急 成 長 中 のASEAN諸 国 で は 、 イ ソ フ ラ の不 備 や 中間 管 理 職 の不 足 等 が 目立 ち は じめ 、 か わ っ て豊 富 な 労 働 力 を抱 え る 中 国 が 海 外 生 産 拠 点 と して注 目 され 、 進 出先 に選 択 す る企 業 が 急 増 した。 例 え ば 、 プ リ ソ ト基 板 上 に ピ ソ セ ッ トで 部 品 を取 り付 け た り、 ワイ ヤ ー ハ ー ネ ス の 組 立 を し た りと い った 単 純 作 業 に お い て は 、 日本 で使 用 さ れ る高 価 な機 械 の 代 替 と して 、 低 賃 金 労 働 力 を利 用 した 生産 が 可 能 で あ る た め 、 日系 企 業 の 海 外 立 地 と して最 適 で あ る。 この よ うに 、 中 国 へ 向 か う 日系 企 業 の 進 出動 機 は 、 今 の と こ ろ安 い 労 働 力 を活 用 した生 産 基 地 の 形成 や 、 関 連 企 業 か らの 要 請 に応 じた 進 出 が主 体 と な っ て い るが 、 将 来 的 に は 各 社 と も巨 大 な需 要成 長 が 見込 め る中 国 市 場 の 開 拓 を 目標 と して い る。 こ う した 状 況 を ふ ま え て 、 筆 者 は 中 国 の 華 南 地 方 の 深 堋 、東 莞 、 及 び 上 海 の 日系企 業 現 地 工 場 を 訪 問 した ◎ 調 査 対 象 企 業5社 は、 い ず れ も労 働 集 約 的 な電 子 機 器 産 業 、 あ る い は そ こへ 部 品 を 供 給 す る工 場 で 、100%独 資 企 業 か 、 合 弁 企 業 で あ って も 日本 側 が経 営 主 導 権 を握 って い る企 業 で あ る。 調 査 の 目的 は 、 日系 企 業 が抱 え る経 営 上 の 課 題 と問 題 点 を 明 らか に す る こ とで あ り、 と りわ け 、 中 国 と い う投 資 環 境 を ど の よ う に捉 え て い る か、 そ れ ら を い か に 活 用 して経 営 戦 略 を展 開 して い る か、 直 面 す る経 営 上 り 課 題 と問題 点 の実 際 的 な対 処 方 法 、 お よび 経 営 の現 地 化 や 権 限 委 譲 の可
能 性 に 着 目 した 。 ど の 日系 企 業 に も共 通 す る特 徴 は 、 日本 か ら の機 械 設 備 の 持 ち込 み と、 そ の扱 い に 慣 れ た 日本 人 ス タ ッフ を現 地 へ 派 遣 して 技 術 移 転 が行 わ れ る こ とで 、 日本 で 確 立 され た 製 造 技 術 とそ れ に 関 連 した ノ ウハ ウを 中 国 に持 ち 込 み 、 国 際市 場 で 通 用 す る レベ ル の 製 品 作 りを 目標 に して い る こ と で あ る。 問 題 点 は 、 進 出 先 で の サ ポ ー テ ィ ソ グ ・イ ソ ダ ス ト リー と して 、 ロ ー カ ル企 業 が 品 質 や 納 期 を 遵 守 しな い た め 現 地 部 品 調 達 の役 割 を 果 た さず 、 重 要 な 部 品 を 日本 か ら輸 入 しなけ れ ば な ら な い こ とで あ る。 さ らに珠 江 デ ル タ地 帯 へ 進 出 す る 外 資 系 企 業 の 急 増 が 、 広 東 省 の 電 力 供 給 を 上 回 る需 要 を生 み 、 電 圧 変 動 や 停 電 と い?た 被 害 を もた らす よ うに な った た め 、 各 社 と も 自前 で 1台1000万 円弱 の 自家 発 電 機 の 設 置 が必 要 に な るな ど 、 予 定 外 の 出 費 が計 上 され る事 態 が 多 い こ とで あ る。 そ れ 以外 に 、 社 会 主 義 か ら市 場 経 済 へ の 過 渡 期 に あ って 、 法 律 や 制 度 な どの 面 で の 旧 来 の シ ス テ ム が企 業 の 市 場 経 済 行 動 を阻 害 す る とい っ た 事 態 が 目立 っ て い る。 1.電 子 機 器 部 品 製 造 メ ー カ ーA社 深 洲 工 場(1999年9月23日 現 地 調 査) 1.1.深 堋 進 出 の動 機 及 び 会 社 概 要 A社 深 珊 工 場 は 、1996年6月 深 堋 経 済 特 区 内 の 南 山 区 華 僑 城 に 設 立 さ れ た 独 資 企 業 で 、1996年 7月 の 操 業 以 降 、 主 に コネ ク タや スイ ッチ を生 産 して い る。 立地 場 所 は 、 中 国民 俗 文 化 村 や リ ゾー ト施 設 も多 く、 ほ と ん ど香 港 の 繁 華 街 と変 わ りな い 賑 や か さ で あ る。1997年 か ら は 、毎 年 約50% の 売 上 成 長 率 の 伸 び を 実 現 して き た 。 現 在 の従 業 員 数:は350名 で 、 日本 人 ス タ ッ フは 総 経 理 と工 場 担 当 お よび エ ソ ジ ニ ア 担 当 の 合 計3名 で あ る。 製 品 は 、 工 場 が 香 港 に近 く物 流 の 便 も良 い こ と か ら100%輸 出 され て い る。 輸 出 先 企 業 は 、 欧 米 と シ ソ ガ ポ ー ル の ヒ ュ ー レ ッ ト ・パ ッ カ ー ド (HP)社 、 日系 のSONY、 松 下 、 ク ラ リオ ソ、 セ ガ 等 で あ る。 A社 深 堋 工 場 の 設 立 経 緯:は次 の通 りで あ る。 本社 は 東 京 都 品 川 区 に あ り、機 器 事 業 部 、 コネ ク タ事 業 部 、CSC事 業 部 の3事 業 部 制 で 、 香 港 に は 生 産 ・販 売 子 会社 を持 って い る。 そ の香 港 現 地 法 人 は 、 委 託 加 工 工 場 と して 、広 東 省 内 に東 莞 工 場(従 業 員2500名)を 持 って お り、 今 回 の 深 洲 工 場 は 、 そ の 香 港 現 地 法 人100%の 出資 工 場 と して設 立 さ れ た。 そ の 背 景 と して 、 セ ッ ト ・メー カ ー 側 のHP社 が 、1996年 に上 海 へ進 出 して い くプ ロ セ ス で 、 そ の 部 品 メ ー カー で あ るA社 も要 請 に 応 じて独 資 で 進 出 した と い うの が理 由で あ る。 この よ うに 、1990年 代 に 入 る と、 香 港 に お け る土 地 や 労 働 力 不 足 を 理 由 に 、華 南 へ 生 産 基 地 を 移 転 させ る 日系 企 業 が増 え て き た。 一 方 香 港 は 、法 人 税 の 安 さや 行 政 手 続 きの柔 軟 さ、 お よ び空 港 ・港 湾 ・通 信 とい っ た イ ソ フ ラ整 備 の充 実 な ど に よ り、 華 南 進 出 の 際 の ビ ジネ ス ・セ ソ タ ー と して従 来 通 りの 機 能 を果 た して い る。 深 堋 市 は 、東 京 都 と ほ ぼ 同 じ く らい の面 積 で 、 香 港 の 約2倍 で あ る。1979年 に は2万 人 にす ぎ な か った 同市 の 人 口 は 、IDカ ー ド保 持 者 だ け で 現 在 約400万 人 を数 え る。 こ う した人 口増 加 の理 由 は 、 広 東 省 内 の 農 村 や 他 省 か らの 出稼 ぎ若 年 労 働 者 が 流 入 して き た こ と に よ る。 ち なみ に 同市 で は 、 経 済 特 区 を隔 離 す るた め 、 管 理 線 と呼 ば れ る高 さ5メ ー トル 、 総 延 長130キ ロの鉄 条 網 で 隔 て た 、 第 二 の 国境 とで もい うよ うな境 界 壁 を設 け て お り、特 区 外 か らの 無 許 可 な 労働 移 動 は も と よ り、 一 般 の 中 国 人 で さ え 入 場 を制 限 され て い る。 具 体 的 に は 、 日本 の 本 社 と 深 い 取 引 関 係 に あ っ たHP社 の工 場 を 買収 し、 そ こで コ ネ ク タ と ワ イ ヤ ー ハ ー ネ ス を 生産 して い た 同 社 の従 業 員 も引 き継 い だ の で 、 早 期 立 ち 上 げ が可 能 に な り、 設
立 後1ヶ 月 で 工 場 を 操 業 す る こ と が で きた 。 さ らに 深 洲 工 場 は 、 事 実 上 本 社 の コ皋 ク タ事 業 部 の 直 轄 工 場 の よ うに な って い て 、 機 械 化 しに くい工 程 で あ るケ ー ブ ル ・ハ ー ネ ス の製 造 を主 に 人 海 戦 術 で 行 な って い る。 また 、 機 能 検 査 に は検 査 機 を 利 用 す る も の の 、 視 力 の優 れ た ワー カ ー に よ る 目視 で の 外 観 検 査 も実 施 され て い る。 ター ミナ ル の 取 付 工 程 で は 、 部 品 を手 で挿 入 す る半 自動 タ イ プ の 機 械 を 多 く配 置 す るが 、 品 質 の バ ラ ツ キ を 嫌 う 日系 ユ ー ザ ー か らの 要 請 で全 自動 の機 械 も 数 台 設 置 して い る 。 半 自動 タ イ プ な ら ば1台50∼60万 円 の と こ ろ 、 全 自 動 タ イ プ は1台 600∼700万 円 と設 備 コス トが掛 か る た め、 そ の 回 収 に 同部 門 の み3交 替 シ フ トで 稼 働 させ て い る。 建 物 は借 り受 け た た め 、立 ち上 げ 時 の コス トは不 要 で あ った が 、 毎 月 の 固 定 的 な家 賃 コス トは必 要 で あ る。 加 え て 、 操 業 後3年 間 は 無 税 と い う外 資 系 企 業 へ の特 典 は設 立 時 す で に消 滅 して い た が 、 経 済 特 区 で あ るた め15%の 優 遇 税 率 は 適 用 され て い る。 こ う して 、 初 年 度 は 経 常 赤 字 で あ った もの の 、2年 目で 黒 字 経 営 と な り、3年 目に は 過 去 の 累 積 損 失 を一 掃 で きた。 逆 に1994年 か ら98年 に か け て の特 区 内 のGDP成 長 率 の推 移 で み る と 、30 %、23%、16%、16%、14%と 年 々低 下 傾 向 を た ど っ て い る。 そ の理 由 は 、消 費者 物 価 に連 動 し た 賃 金 の 高 騰 が あ げ られ る。 特 に こ こ経 済 特 区 内 で は、 全 国 平 均 よ り生 産 コス トに か か る人 件 費 の割 合 が 高 くな っ て い る。 1.2技 術 移 転 の 方 法 ・状 況 最 初 、HP社 か ら コネ ク タ と ワ イ ヤ ー ハ ー ネ ス の 生 産 に お け る50名 の 直 接 労 働 関 与 者 と 、20名 の。間 接 労 働 関 与 者 を引 き継 ぎ、 お よそ 半 年 後 か ら100名 、200名 と従 業 員 を増 員 して い っ た。 生 産 を開 始 す る に あ た って 、 日本 か ら組 立 機 械 と治 工 具 を 現 地 工 場 に 持 ち込 む と同 時 に、 生 産 と品 質 管 理 担 当 の 日本 人 ス タ ッ フ2名 を 派 遣 し、現 地 の 従 業 員 の 指 導 に あ た らせ た。A社 の 場 合 、HP 社 の仕 事 を 引 き継 ぐ形 で技 術 移 転 が 行 わ れ た た め 、 そ の 指 導 は1週 間 で 完 了 した。 そ して 日本 の 工 場 や マ レー シア 工 場 で生 産 す る と コ ス ト的 に 高 くな る製 品 を深 堋 に持 ち込 む こ と を前 提 に 、 日 本 の 本 社 営 業 部 が 商 談 し発 注 す る形 で 生 産 が 開 始 され た 。 顧 客 側 は、 日本 と比 べ て 、 中 国 で 作 られ る製 品 は 品 質 的 に劣 る と い う先 入観 を持 って い る た め 、 工 場 監 査 の 際 に は 相 当 厳 しい品 質 管 理 を 要 求 す る。 そ の た めA社 は 、 現 地 の従 業 員 に対 して 品 質 管 理 意 識 を 徹 底 し、 コ ス トは か か るが 部 品 の 全 数 検 査 を も導 入 した結 果 、1998年3月 に はISO 9002を 取 得 す る に至 った 。 こ の背 景 に は 、HP社 を 買 収 した 当 初 、 不 良 が 出て も謝 罪 して 交 換 す れ ば そ れ で済 む と い った 、 ア メ リカ企 業 に お け る品 質 や 生 産 管 理 に対 す る考 え方 の もと 、 日系 企 業 が期 待 す る レベ ル に まで 、違 い に 戸 惑 うロー カ ル ・ス タ ッフを 指 導 し正 して い く苦 労 が あ った 。 ケ ー ブル ・ハ ー ネ ス の 生 産 は 、 コス ト的 に 負 担 の 大 き い 自動 機 械 を導 入 せ ず と も、 人 海 戦 術 で 充 分 対 応 で き る こ と か ら、 安 い 人 件 費 で雇 え る 中 国 人 ワ ー カ ー へ の期 待 が 大 きい 。 そ れ で も品 質 を維 持 す るた め に 、 や む を得 ず 自動 機 械 に頼 ら ざ る を得 な い工 程 の み2∼3シ フ トで 対 応 す る が 、 そ れ 以 外 の 工 程 で は、 余剰 人 員 削 減 の た め完 全 週 休2日 制 の1シ フ ト勤 務 を 原 則 と して い る 。 ま た ロー カ ル ・ス タ ッフ の絶 対 数 が 少 な い の で 、 機 械 の メ ソ テ ナ ソ ス作 業 の み な らず 、 複 数 の 部 門 の 責 任 者 を 兼 任 させ る な ど して 乗 り切 っ て い る。 製 品 価 格 に しめ る生 産 コス トの 内 訳 は 、 人 件 費10%、 部 品 ・材 料 調 達 コス ト60%、 お よ び 減 価 償 却 等30%と な って い る。 そ の うち 、 コ ス ト比 率 の 高 い 部 材 調 達 に関 して は 、 現 地 の 日系 お よ び 台 湾 系 企 業 か ら、 例 え ば プ レス され た 部 品 や 電 線 を購 入 す る な ど 、 顧 客 か らの 多 岐 に わ た る 品 質 上 の 要 請 に応 え るた め 、 コス ト高 と引 き替 え に 品 質 的 に 安 定 した もの を輸 入 せ ざ るを 得 な い状 況
で あ る。 現 地 の 中 国 系 ロー カ ル 企 業 か ら部 品 を調 達 で きれ ば 、 コス トダ ウ ソ が可 能 に な り価 格 競 争 は 強 化 さ れ 、 受 注 の 増 加 か ら今 以 上 の収 益 を見 込 め る こ とが 予 想 され る も の の 、 品 質 面 と供 給 の 安 定 性 に対 す る不 安 か ら、 そ の 要 求 は満 た され て い な い の が 現 状 で あ る。 1.3人 材 の募 集 ・育 成 及 び 給 与 シ ステ ム ワ ー カ ー の 募 集 につ い て は 、 人 材 派 遣 会 社:を利 用 して い る。20∼30人 の募 集 枠 に 約200人 の 応 募 が あ り、 そ の 多 くは 広 東 省 出 身 者 で あ る と い う。 履 歴 書 を 提 出 させ 、 面 接 と テ ス トお よ び 肝 炎 な ど の 病 気 を チ ェ ックす る た め に 必 須 で あ る健 康 診 断 を行 った 後 、1週 間 程 度 で必 要 人 数 を 確 保 で き る。 ス タ ッ フの 募 集 につ い て は 、 新 聞 広 告 を利 用 し、 英 語 が使 え る こ とを 基 本 条 件 と した書 類 選 考 と面 接 で 採 用 を 決 定 す る。 通 常2∼3名 の募 集 枠 に40∼50名 の 応 募 が あ り、 そ の 多 くは 中 国 東 北 地 方 出 身 の 出稼 ぎ者 で あ る とい う。 深 洲 市 は 、 中 国 で も っ と も発 展 して い る経 済 特 区 で あ り、 全 国 か ら優 秀 な技 術 者 や ス タ ッフを 引 き つ け る魅 力 が あ るた め 人 材 確 保 に 困 らな い。 現 在 在 籍 す る 30名 の ス タ ッ フの うち、HP社 か ら引 き継 い だ7∼8名 を 除 い た全 員 が 中 途 採 用 で あ る。 そ して 彼 らは 、 大 学 や 大 学 院 卒 の学 歴 を 持 ち 、仕 事 上 で の理 解 力 ・判 断 力 も備 わ っ て い る こ と か ら、 入 社 時 よ り幹 部 候 補 と して の 待 遇 を 受 け る。 社 員 に つ い て は 、 導 入 教 育 の あ と、 現 場 でOJTに よ り訓 練 さ れ る。HP社 か ら仕 事 を引 き継 い だ 時 点 で は 、 タ イ ム ・カ ー ドも制 服 も無 い い わ ゆ る野 放 し状 態 で あ った が、 品 質 管 理 や 生 産 管 理 に つ い て 定 期 的 な社 内教 育 を 導 入 す る こ と に よ り改 善 して い っ た。 そ して 、 ジ ョブ ・ロ ー テ ー シ ョソ を 実 施 す る と と もに 、 は ん だ付 け の 作 業 者 等 の 技 能 取 得 者 へ は 職 能 給 を支 給 し、 彼 らの イ ソセ ソ テ ィ ブ を促 す よ う努 め た 。 ワー カ ー の 給 与 に つ い て は 、 初 任 給 が基 本 給 と して 月500元 、 そ れ に皆 勤 手 当100元 と職 能 給 の 支 給 に加 え、 中 国 政 府 に よ り定 め られ た 年 金 や 医 療 費 とい っ た福 利 厚 生 費分 を 合 計 した 約1000元 、 つ ま り基 本 給 の約2倍 が1ヶ 月 あ た りの 会社 負 担 分 と な っ て い る。 彼 らの う ち150名 は 寮 に 住 み 込 み 、110名 が賃 貸 の ア パ ー トに 入 って4∼5名 で 共 同 生 活 を して い る。 大 学 卒 の エ ソ ジ ニ アや 事 務 ス タ ッ フの給 与 につ い て は 、 初 任 給 が基 本 給 と して 月2000∼3000元 、 ワ ー カ ー の場 合 と 同 じ く会 社 負 担 額 は そ の 約2倍 とな って い る。 さ らに 部 長 ク ラ スの 給 与 に つ い て は 、 役 職 手 当 や 設 備 メ ソテ ナ ソ ス手 当 な ど も含 ま れ るた め 、6000∼8000元(日 本 円 で9∼12万 円)の 高 額 支 給 に な っ て い る。 ち なみ に能 力 給 の 支 給 基 準 は 、 チ ー ム ・リー ダー が 、 部 下 の 仕 事 に お け る ミス や 熱 心 さ、 お よび 態 度 な どを プ ラ ス ・マ イ ナ スで 評 価 した も の を加 味 して決 定 され る。A社 で は 、 提 案 制 度 を採 用 し、 良 い案 に は そ れ に見 合 っ た手 当 を 支 給 す るな ど、 各 々 の 業 績 に沿 っ た評 価 シ ス テ ム を確 立 して い る。 しか し、 平 等 意 識 の強 い 国 柄 ゆ え、 個 人 間 で 余 り極 端 な 給 与 格 差 を つ け な い よ う気 を 付 け て い る。 以 上 の よ'うな 労 働 コス トに つ い て 、 深 洲 市 で は 比 較 的 高 額 に な って い る もの の 、 同 じ広 東 省 内 の 他 市 よ り人 材 の 定 着 率 は 良 い と い わ れ て い る。 そ れ に 引 き替 え 、A社 香 港 現 地 法 人 の東 莞 工 場 (委 託 加 工)で は 、 毎 月10%の 辞 職 率 で 、1年 間 に 全 員 が 入 れ 替 わ る くらい の激 しい ジ ョブ ・ホ ッ ピ ソ グ状:態で あ る と い う。 1.4今 後 の 技 術 移 転 上 の 課 題 第 一 に、 今 後 技 術 移 転 を進 め る うえ で の 課 題 は 、 日系 企 業 ユ ー ザ ー か ら要 求 され る厳 しい 品 質 レベ ル に ど う対 応 して い くか が あ げ られ る。 品 質 管 理 部 門 の ロー カル ・ス タ ッ フが 日常 的 に 品 質
デ ー タを 見 な が ら チ ェ ッ ク して い る も の の 、 規 定 以 上 の 働 き を しな い ワー カー を抱 え 、 日系 ユ ー ザ ー の要 求 す る 水 準 を達 成 す る こ とは 困 難 で あ る。 そ こ でA社 で は 、ISOの 経 験 者 や 日系 企 業 か らの 中途 採 用 者 を投 入 して き た が 、 品 質 管 理 の ポ ジ シ ョ ソで は 優 秀 な ロー カ ル ・エ ソ ジ ニ ア を 見 つ け る こ とは 未 だ難 しい と い う。 第 二 に 、 中 国 側 の ガ ラ ス張 りで な い規 制 や 諸 制 度 を い か に乗 り越 えて い くか が あ げ られ る。 経 済 運 営 上 の規 制 が 多 い う え制 度 は未 整 備 で あ り、 事 前 の オ ー プ ソ な議 論 も無 しに 法 律 や 税 制 に関 す るル ー ル が 突 然 変 更 され る。 例 え ば 、 親 会 社 へ の ロイ ヤ ル テ ィー の送 金 に あ た って は 外 資 規 制 で 関 門 を設 け られ る、 移 転 価 格 税 制 に基 づ き税 務 当 局 に よ る調 査 が 強 化 され 、 工 場 へ の 査 察 に お よぶ 場 合 、 突 然 業 務 関 連 ル ー ル の 変 更 を知 ら され 対 応 に 苦 労 す る 、輸 出増 値 税 を実 施 す るや 外 資 系 企 業 の 苦 情 を 考 慮 し延 期 す る とい っ た具 合 で あ る。 さ らに 、 市 場 経 済 化 が 進 む と は い え 、 社 会 主 義 的 官 僚 社 会 に み られ る賄 賂 の 問題 も あ る。 香 港 に 近 接 す る深 洲 で は 、 日系 部 品 メ ー カ ー が行 う書 類 上 の 手 続 き と して 、 実 際 は取 引 相 手 の 日系 企 業 に 直 接 部 品 を 運 び入 れ て い る も の の 、 形 式 的 に は香 港 へ 輸 出 しそ こか ら再 輸 入 した こ と に して い る こ と が 多 い 。 加 えて 、深 堺 市 当 局 は 、 密 輸 入 が横 行 して い る こ とか ら、 そ れ らを 抑 え る べ く企 業 ラ ソ キ ソ グ制 を導 入 し よ う と して い る。 そ れ は 、Aラ ソ クな らば優 良企 業 と い う認 定 で 問 題 は な い が 、輸 出 入 書 類 上 わず か で も ミス あ っ た場 合Bラ ソ ク以 下 と認 定 され 、 そ れ に 応 じ た ペ ナ ∼レテ ィー が課 せ られ る制 度 で あ る。 い くら注 意 を 払 っ て も些 細 な過 失 は起 こ り得 る こ と か ら、 そ れ らに 左 右 され ず 輸 出 入 業 務 を ス ム ー ズ に進 め るた め 、 税 関 に コネ と な る裏 金 を 積 む 必 要 が 生 じ、 コス トア ップ を 余 儀 な く され て い る。 さ ら に ロー カ ル企 業相 手 とは 、 取 引 企 業 で 交 わ さ れ た 契 約 を遵 守 す る と い った ル ー ル が確 立 して い ない た め 、 債 権 回収 に 支 障 を き た し、 時 に は 部 品供 給 先 で あ る相 手 企 業 の資 材 購 買 係 に裏 金 を 積 む とい った 必 要 性 も生 じる。 そ の た め 、 相 手 企 業 が 支 払 うべ き代 金 を指 定 口座 に 振 り込 ま な け れ ば 、 部 品 の 出 荷 を見 送 るな ど工 夫 を こ ら して い る。 2音 響 機 器 製 造 メ ー カ ーB社 東 莞 工 場(1999年9月21日 現 地 調 査) 2.1東 莞 進 出 の 動 機 及 び 会 社 概 要 B社 東 莞 工 場 は 、1995年12月 に 深 堀 市 の 北 隣…に あ た る東 莞 市 長 安 鎮 上 沙 管 理 区 に 設 立 さ れ 、 1996年5月 よ り操 業 を 開 始 し、 一 般 ・業 務 用 オ ー デ ィオ を生 産 す る音 響 機 器 製 造 メー カ ー で あ る。 日本 に は、 少 量 生 産 型 機 種 を一 部 外 注 に 頼 る 生 産 機 能 と して 維 持 す るの み で、 そ れ 以 外 は す べ て 中 国 に移 管 して い る。1999年9月 か ら生 産 ライ ソめ 追 加 に よ っ て 、 現 在 従 業 員 数 は380名 、 そ の うち の95%は 女 性 と な って い る。 東 莞 工 場 は 、B社 香 港 現 地 法 人 が85%、 中 国政 府 の発 展 会 社 で あ る東 発 グル ー プ が15%の 比 率 で 出 資 す る合 弁 企 業 で あ る。 東 発 グル ー プ は 、配 当 を受 け 取 るの み で経 営 には 関 与 しな い。 香 港 現 地 法 人 は 、 日系 企 業 を 中心 と した 輸 入 パ ー ツの 会 計 処 理 や 、 製 品 を コ ソテ ナ で 運 ぶ時 、 日本 と 連 絡 を と る事 務 所 の 機 能 を 果 た して お り、 東 莞 工 場 で働 く 日本 人 ス タ ッフ4名 、 台 湾 人 ス タ ッ フ 1名 を 含 ん だ11名 の ス タ ッ フが 在 籍 して い る。 中 国 に進 出 した 理 由 は 、低 賃 金 ワー カ ー を 活 用 した 手 作 業 工 程 の メ リ ッ トと、 そ の低 コス トに よ り実 現 され る低 価 格 製 品 の生 産 が 狙 い で あ っ た。 部 品 の現 地 調 達 比 率 は約15%程 度 で あ り、 そ の 内 容 は 、 板 金 や モ ー ル ドの部 品 を 台 湾 系 の 中 国工 場 か ら、 プ リソ ト基 板(PCB)を 日系 の 中
国 工 場 か らそ れ ぞ れ 調 達 し、ICチ ップ ・マ ウ ソ トに つ い て は 自社 工 場 で 内製 して い る と い っ た 具 合 で あ る。 ま た 、 生 産 され る製 品 の 半 分 以 上 はOEM(*1)生 産 で あ り、 例 え ば カ シ オ の ラ ジ カ セ の場 合 、 カ シ オ側 か ら部 品 の供 給 を受 け て 組 み 立 て カ シ オ に納 品 す る。 そ の 際 、 部 品 の受 入 検 査 は厳 密 に 行 い 、 納 入 企 業 か ら提 出 され た仕 様 書 と 、 工 場 で チ ェ ッ ク した部 品 の 機 能 が 違 え ば 返 品 す る な ど細 部 に まで 気 を配 って い る。 品 質 管 理 に つ い て は 、 日本 か ら持 ち込 ん だ 検 査 機 械 と、 若 い 女 性 工 員 に よ る人 海 戦 術 的 な 目視 で の外 観 検 査 や 音 響 検 査 で 対 応 して い く。 さ ら に 最 終 検 査 と して 、製 品 出 荷 前 に も う一 度 チ ェ ッ クを行 って い る。 多 い 時 に は1日 に10機 種 を 作 る とい っ た 多 品 種 少 量 生 産 の た め 、 治 工 具 お よび 作 業 マ ニ ュ アル の 段 取 り替 え を行 って い る。 こ うい っ た手 作 業 主 体 の生 産 ラ イ ソ に お い て は 、 従 業 員 が1つ か2つ の 決 ま った 工 程 を こな す だ け で あ るた め 、 そ の都 度 作 業 マ ニ ュアル で 部 品 の装 着 工 程 を指 示 す れ ば事 足 りる。 そ れ に対 し、 中 国 人 の女 性 ワー カ ー は柔 軟 に 対 応 で き る うえ 、 若 い女 子 工 員 は技 術 習 得 に 貪 欲 で 吸 収 も早 く、 しか も作 業 中 に私 語 を 交 わ す こ とな く指 示 書 の通 り黙 々 と働 く とい う。 メイ ソで あ る組 立 ラ イ ソ は1シ フ トに 残 業 労働 で 対 応 す るが 、 自動 挿 入 機 を使 ったICチ ップ ・マ ウ ソ トの 実 装 工 程 の み2交 替 シ フ トで 稼 働 させ て い る。 中 国 で は 残 業 に 協 力 的 で あ り、残 業 が な い と ワー カ ー は給 与 が少 な い こ とを 理 由 に 転 職 す る こ と も あ る と い う。 現 時 点 に お け る技 術 移 転 の成 果 と して は 、1998年9月 にISO9002を 取 得 して い る。 そ して 中 国 で の 国 内 販 売 が 最 大30%ま で 可 能 な ラ イ セ ソ ス を取 得 して い る もの の 、 製 品 の100%を 欧 米 や 日本 向 け に輸 出 して い る。 (*1)OEM生 産(OriginalEquipmentManufacture):相 手 先 の グ ラ ソ ドで 販 売 す る 商 品 の 受 注 ・生 産 方 法 2.2技 術 移 転 の 方 法 ・状 況 工 場 の立 ち 上 げ に 際 して は 、 日本 か ら約10名 、 台 湾 工 場 か ら1名 の ス タ ッフ を派 遣 し ロー カル 従 業 員 の指 導 に あ た らせ た 。 そ の 後 も新 機 種 導 入 の た び 、東 莞 工 場 で 作 られ る作 業 マ ニ ュ ア ル や 治 工 具 類 を除 き、 検 査 機 等 設 備 類 は 日本 で 設 計 ・製 造 した もの を 持 ち込 ん で い る た め 、 そ の扱 い に慣 れ た 日本人 ス タ ッフ を派 遣 して い る。 ワー カ ー は 四 川 省 や 湖 南 省 な ど広 東 省 以 外 の 出 稼 ぎ者 が 多 く、 そ の た め パ ス ポー トの取 得 が 困 難 で あ り、 日本 で の研 修 を実 施 す る こ と が で き な い。 ま た 、 中 国 に は 「戸 籍 制 度 」 に よ る制 約 が あ るた め 、 多 くて3年 しか働 け ない 出稼 ぎの 女 子 工 員 を 比 較 的 単 純 な作 業 に 従 事 させ ざ る を得 ない 。 そ の た め女 子 工 員 に課 せ られ る の は 、 設 備 の 一 般 的 点 検 と給 油 の み で 、 複 雑 な機 械 の メ ソ テ ナ ソス は 専 門 の エ ソ ジ ニ ア が行 い 、 さ らに 難 問 が 発 生 す れ ば 日本 人 技 術 ス タ ッフ が 出 動 す る。 製 造 の 流 れ に つ い て は 、 当 初 、 日本 で設 計 し手 作 りで 試 作 した もの を 中 国 工場 で 生 産 す る、 あ るい は台 湾 工 場 で設 計 した もの を 、 金 型 やPCBを 手 直 し後 中 国工 場 で生 産 す ると い う もの で あ っ た 。 しか し最 近 で は 、R&D部 門 設 立 後 、 簡 単 な もの か ら現 地 で の 設 計 に も着 手 し始 め て お り、 ロー カ ル4名 を含 め た7名 のR&Dス タ ッフ に よ っ て 、 設 計 の変 更 程 度 の仕 事 か ら徐 々 に 幅 を広 げ て い る段 階 で あ る。 さ ら に、 製 造 部 門 で 採 用 した10名 の大 学 新 卒 者 の うち優 秀 な者4名 を、R &D担 当 の エ ソ ジ ニ ア と して 訓 練 中 で あ る。 大 学 へ 面 接 に 行 く と、R&D部 門 に は100倍 近 い 応 募 が あ る こ と か ら もわ か る よ うに 、CADの 操 作 を は じめ コ ソ ピ ュー タ ー教 育 を 受 け て きた 研 究 開 発 志 望 の 彼 ら に よ っ て 、 日本 人 ス タ ッ フの 労 力 が節 約 され る環 境 が 整 い つ つ あ る。 具 体 的 に、 現 在 は モ ー ル ド部 品 や 鉄 板 シ ャー シー の外 装 設 計 を 、 ロ ー カ ル ・ス タ ッフ が修 得 す る こ とを 目標
と して い る。 さ らに 、 電 気 ・ア ナ ロ グ ・デ ジ タル 関 係 の 設 計 を 、 従 来 の技 術 を基 礎 に ア レソ ジ し て い る と こ ろで あ る。 ま た 将 来 的 に は 、CADを 導 入 したPCB設 計 の現 地 化 を検 討 中 との こ と で あ る。 こ う して設 計 の ロー カ ル 化 が 達 成 され る と 、 次 に ど うい う部 品 が 現 地 調 達 可 能 で あ る か と い っ た 清 報 を リサ ー チ 出 来 る ス タ ッフ が必 要 に な って くる。 また 彼 らに よ り、 現 時 点 で 調 達 して い る 日系 や 台 湾 系 の モ ノか ら、 よ り安 く品質 的 に 問題 の な い部 品 に置 き換 え られ るか検 討 され る。 往 来 通 りの多 機種 少量 生 産 を効 率 よ く実 現 して い くた め に は 、 製 品1機 種 あ た り部 品 の 在 庫 を 少 な く抑 え、 そ の分 高 い 品 質 と正 確 な納 期 を約 束 す る部 品 メ ー カー か ら調 達 しな けれ ば な ら な い 。 こ う した 要 求 に対 して 、 中 国 の純 粋 な ロー カ ル 企 業 に よ っ て生 産 さ れ る超 安 価 な部 品 は 、 今 の と こ ろ納 期 ・品 質 等 の点 か ら危 険 す ぎて 使 え な い と い う。 しか し、 製 造 コス トの 内訳 は 、部 品 調 達 コ ス トが80%、 労 務 費10%、 そ の 他 管 理 費 や 金 型 の コス ト等 が10%と な って い る こと か ら、 コス ト ダ ウ ソ には 部 品 調 達 の 現 地 化 が 必 須 で あ る と い え る。 2.3人 材 の 募 集 ・育 成 及 び 給 与 シ ス テ ム ワー カー の 募 集 に つ い て は 、 工 場 の 玄 関 前 に ボ ー ドを 掲 示 す るだ け で 、2∼3名 の枠 に40∼50 名 が応 募 して くる状 況 で あ る。 よ って 新 規 採 用 の た め の 広 告 コス トは ゼ ロに 等 しい 。 ワー カ ー の 出 身 地 に つ い て は、1つ の 省 か ら全 体 の 中 で30%以 上 に 偏 らな い 工 夫 を して い る。 なぜ な ら 、 同 郷 者 は集 団 で 退 職 す る か らで あ る。 現 在15の 省 か らの 出 稼 ぎ労 働 者 が 、 工 場 に 隣 接 す る寮 に 住 み 込 ん で い る。 技 術 ス タ ッ フ に つ い て は 、 工 場 立 ち上 げ時 の み 経 験 者 を採 用 した が 、 そ れ 以 降 は新 卒 ス タ ッ フで 補 充 して い る。 従 業 員 の 平 均 勤 続 年 数 が2年 で あ り、 幹 部 は3年 以 上 勤 務 す る者 も い る とい った 状 況 で あ る。 概 して 労 働 移 動 が頻 繁 で あ る た め 、 ワー カ ー につ い て は ジ ョブ ・ロー テ ー シ ョソを 実 施 せ ず 、 単 機 能 主 義 で か つ 個 々 の作 業 者 の熟 練 度 を 上 げ る方 針 で 対 応 して い る。 こ う して 、設 備 を し っ か り と組 み 上 げ 、 個 々の 責 任 範 囲 を 明確 に しな が ら技 術 指 導 を 行 えば 、 そ れ な りの 品 質 と作 業 効 率 を 実 現 で き る と考 えて い る。 さ らに 、誰 か が 辞 め て もす ぐ対 応 で き る よ う、 マ ニ ュア ル 化 で 作 業 に 支 障 を きた さな い よ うに して い る。 そ して 、3∼4年 程 度 の 製 造 経 験 を積 め ば 、 ワー カ ー を 昇 進 させ る方 針 を採 用 して 、 現 場 の労 働 意 欲 を 刺 激 す る よ う工 夫 して い る。 社 内 教 育 に つ い て は 、 採 用 した そ の 日か ら現 場 に出 してOJTを 行 う。 そ れ ぞ れ の 仕 事 に慣 れ る ま で 、 配 属 部 門 の 係 長 が1日 の み付 き添 い で 教 え、 以 後 様 子 を見 な が ら徐 々 に仕 事 を 増 や して い く。1つ のU字 型 組 立 ライ ソ上 に ベ ル トコ ソベ アで オ ー デ ィオ部 品 が 流 され 、20数 名 の 女 子 従 業 員 が 作 業 を行 う。 彼 女 らは 、 ラ イ ソ両 側 に 並 ん で 座 り、 目の 前 に プ リソ ト基 板 が 流 され て くる と、 治 工 具 を 利 用 して 部 品 を基 板 に 装 着 して い く。 さ らに 、 検 査 係 が ラ イ ソ内 で通 電 実 測 を 行 い 、 不 良 品 が な い か全 数 検 査 を 実 施 して い た 。 労 働 契 約 に つ い て は 、 期 間1年 、 基 本 給350元 、福 利 厚 生 費 等 を 含 め て500∼600元(日 本 円 で 7500∼9000円)の 賃 金 水 準 と な っ て い る。 こ の 水 準 が 維 持 され る理 由 は 、 特 区 の す ぐ外 側 に あ た る東 莞 市 近 辺 に は 、特 区 に 入 れ な い 出稼 ぎ労 働 者 が過 剰 気 味 で あ る た め 、 賃 金 相 場 が安 くな って い るの で あ る。 以 上 に つ い て は 、程 近 智 も 「中 国 農村 部 で の平 均 年 収 は1000元 以 下 にす ぎな い が」 、 厂深 別 市 で は7000米 ドル に も達 して い る。」 こ う した 賃 金 格 差 が 、 「農 村 部 ・内陸 部 に お け る余 剰 労 働 力 の 沿 岸 部 ・都 市 部 へ の 移 動 を もた ら した の で あ る。 」 つ ま り 「労 働 力 の移 動 が 工 場 労 働 者 の賃 金 を 抑 制 す る。 」 と して 低 賃 金 が 維 持 され る理 由 を述 べ て い る。(注1)こ う して 地 方 か らの
出 稼 ぎ を 目的 とす る ワー カ ー は 、 で き る だ け 残 業 時 間 を多 く し、 家 族 へ の 仕 送 りを1元 で も多 く 稼 こ う とす る。 そ の た め 、 仕 事 が 多 く残 業 が あ る月 は1%程 度 の 転 職 率 で あ るが 、残 業 の少 な い 月 は、 賃 金 の 少 な さを 理 由 に簡 単 に転 職 す るた め4%ま で 転 職 率 が 上 昇 す る とい う。 2.4今 後 の 技 術 移 転 上 の 課 題 第 一 に 、 技 術 移 転 上 の 阻 害 要 因 と して コ ミュ ニ ケ ー シ ョ ソの 問 題 が あげ られ る。 日本 人 ス タ ッ フが 中 国 人 に 教 え る場 合 、 日常 会 話 程 度 な ら通 訳 を揃 え られ るの で 支 障 は な い もの の 、 技 術 用 語 の 通 訳 に は 困 難 を伴 うこ と が 多 く、 ま た 、肝 心 な点 で 伝 わ らな い こ とが 多 い とい う。 特 に 、 オ ー デ ィオ は 英 語 を使 う技 術 が 多 い の で 、 専 門 用 語 の的 確 な伝 達 は 重 要 で あ る。 しか し、 高 卒 レベ ル の ス タ ッ フに は全 く英 語 が通 用 しな い の が 現 実 で あ る と い う。 第 二 に 、 労 務 管 理 の 問 題 と して 、 技 術 部 門 ス タ ッ フの 定 着 率 の 悪 さが あ げ られ る。 例 え ば 、 昨 年 採 用 した 技 術 ス タ ッフ は 、CADの 操 作 に 慣 れ 一 人 前 に仕 事 が で き る よ うに な った 矢 先 、他 の よ り給 与 の 高 い会 社 へ 転 職 した とい う。 こ うい っ た例 は 、 一 般 的 に華 南 に お い て顕 著 で あ る こ と か ら、 従 業 員 に対 す る過 剰 な教 育 費 の投 資 は 危 険 で あ る と い え る。 よ って ス タ ッ フの 給 与 は 、 転 職 率 の高 さを 考 慮 した うえ 、経 験 の 有 無 や 他 社 と の相 場 を比 較 し決 定 して い るが 、 転 職 防 止 の イ ソ セ ソ テ ィ ブ と して 作 用 す るに は 至 っ て い な い。 中 国 人 に 、 ひ と つ の 会 社 で技 術 を磨 いて い くと い う観 念 が 形 成 され な い 点 が 、 技 術 移 転 の 最 大 の ネ ッ ク に な って い る。 こ う した阻 害 要 因 を 克 服 す る た め 、 ソ フ ト面 で は品 質 管 理 の 意 識 を社 員 全 員 で 共有 で き る よ う、 5S(整 理 ・整 頓 ・清 掃 ・清 潔 ・躾)を 徹 底 して 行 って い る 。 例 え ば 、 点 検 事 項 を 工 場 内 の黒 板 に 張 り出 す 等 、 絶 え ず 工 夫 や検 討 を怠 らな い よ う心 が け て い る。 そ の他 実 際 的 な処 遇 と して 、 組 立 ラ イ ソ の ワ ー カ ー に 品 質 改 善 の 目標 を 与 え 、 そ れ を 達 成 し た 者 に は 、 月 に15元(日 本 円 で 225円)の 奨 励 給 を 出 し、 さ ら に1年 以 上 の長 期 勤 続 者 に は 、 月50元(750円)の 手 当 や 、 社 員 旅 行 とい った特 典 制 度 を設 け働 きぶ りを 評価 して い る。 以 上 の よ うに、 待 ち の姿 勢 が 多 い 中 国 人 ワー カー に は 、 す べ て に お い て この よ うな ト ップ ・ダ ウ ソ に よ る指 示 が必 要 で あ る。 第三 に、 技 術 移 転 に伴 うハ ー ド面 で の 阻 害 要 因 と して、 東 莞 工 場 で 必 要 な 材料 を輸 入 す る場 合 、 税 関 で の検 査 に お い て 材 料 の実 質 と名 称 が 異 な る と い う理 由 で 滞 る こ と が多 く、 また 、 そ の税 関 や トラ ッ ク輸 送 中 に 盗 品 が頻 発 す る こ と も問 題 と な って い る。 そ うい った 事 情 か ら、 工 場 内 め 窓 に は 金 網 が 張 ら れ 、 従 業 員 や外 部 の 侵 入 者 が 製 品 を盗 み 出す こ と を防 止 して い る。 そ の 他 外 部 企 業 か ら の調 達 部 品 に 関 して 、 中 国 に進 出 す る 日系 企 業 や 台 湾 系 企 業 か らの 場 合 は 、 東 莞 工 場 の 品 質 管 理 部 門 ス タ ッ フが 品 質 を チ ェ ッ クす るの で 問 題 は 少 な い が 、 香 港 経 由 の場 合 は 、 板 金 ・モ ー ル ド ・抵 抗 ・カ ー トソ ・緩 衝 材 ・ね じ等 に お いて 仕 様 書 と そ の 機 能 に違 い が あ る こ と も多 く、 到 着 後 返 品 す る と い った 手 問 を余 儀 な く され る こと もあ る と い う。 3.モ ー タ ー 部 品 製 造 メ ー カ ーC社 深 堀 工 場(1999年9月23日 現 地 調 査) 3.1深 翊1進出 の動 機 及 び 会 社 概 要 C社 深 洲 工 場 は 、1994年 よ り、 同 社 の 日本 本 社100%の 出 資 で設 立 され 操 業 を 開 始 して い る、 モ ー タ ー部 品 製 造 メー カ ー で あ る。 製 品 で あ る モ ー ター ・パ ー ッ は 、 通 称 「ラバ マ ソ」 と呼 ば れ る磁 気 を帯 び な い部 品 で あ り、 そ の99%は ユ ー ザ ー で あ る マ イ ク ロモ ー タ ー ・メー カー 組 立 工 場 で着 磁 され る。 中 国 に進 出 した動 機 は 、顧 客 側 メー カー か ら部 品 を現 地 調 達 したい との 要請 が あ っ
た こ と と、 低 費 用 生 産 を 目的 と して で あ った 。 移 管 した工 程 は 、 千 葉 の 柏 工 場 で 作 っ て い た もの で 、 装 置 産 業(*2)に 近 い た め 機 械 類 を 多 く持 ち込 み 、 月 に 平 均180ト ソ生 産 して い る。 ま た 操 業 に あ た って 、 機 械 類 に頼 る面 の 多 い こ とか ら、 激 しい 電 圧 変 動 の影 響 を 受 け ぬ よ う、 工 場 内 に 自 家 発 電 機 を据 え 付 け対 処 して い る。 そ れ らに従 事 す る労 働 者 は80名 程 で、 男女 比 率 は 半 々で あ る。 工 場 設 立 に伴 う背 景 と して 、 敷 地 は深 洲 市 宝 安 区沙 井 鎮 新 二 村 第2工 業 区 と い う経 済 特 区 外 に 立 地 し、 深 堀 の 市街 地 よ りむ しろ隣 の 東 莞 市 の 長 安 に 近 い。 現 在 で は 、 工 場 の す ぐ近 くを 高 速 道 路 が走 る な ど 、投 資環 境 も整 備 され て きて い る。 こ こへ 進 出 先 を 決 め たの は、 同敷 地 に 隣接 す る、 1988年 か ら操 業 のC社 香 港 現 地 法 人 委 託 加 工 工 場 の 存 在 が あ る。1988年 当 時 、 中 国側 の 説 明 で は、 工 場 の建 設 に は何 も問 題 な い とい う説 明 で あ った が 、 実 際 現 地 に訪 れ て み る と、 辺 り一 面 ア ヒル の 養 殖 場 で 水 牛 ば か りが 目立 つ 農 村 地 帯 で あ った 。 ま た 、 沙 井 鎮 に は ホ テ ル が1軒 しか な く、 そ の 水 道 水 に は 赤 虫 や ボ ウ フ ラ な ど混 じって お り、 そ の うえ シ ャ ワー も 出 ず 、 た ま に湯 が 出 て もバ ス タ ブ には数 セ ソ チの泥 が溜 ま る とい う有 様 で あ っ た。 当 時 の 日本 人 出 向 者 の 中 に は 、重 病 に な っ て 帰 国す る者 もい た とい う。 そ れ 以 来 か らの経 験 が 功 を 奏 し、1994年 にC社 の 独 資 企 業 と して深 洲 工 場 を設 立 す る際 に は 比 較 的 順 調 で あ っ た とい う。 こ う して操 業 開 始 後3年 間 は黒 字 が 出 な い だ ろ うと の 予 測 に反 して 、 意 外 に も半 年 で 黒 字 を 出 す こ と に成 功 した と い う。 モ ー ター ・パ ー ツの製 造 工 程 は お よそ 次 の通 りで あ る。 まず 、 隣 接 す るC社 香 港 現 地 法 人 と郷 鎮 企 業 と の 委 託 加 工 工 場 で 委 託 生 産 され た 「しょ うけ つ 」 フ ェ ラ イ トと い う、 高 周 波 材 料 に使 用 され る こと の 多 い、 鉄 の 酸 化 物 で 強 い 磁 性 を有 す る素 材 と薬 品 を 、 混 合 機 械 で 混 ぜ 合 わ せ 大 き な ブ ロ ッ クに して 、 それ を 粉 砕 機 で粒 子 状 にす る。 一 晩 熟 成 させ た後 シー トに し、 さ らに熟 成 させ な が ら シー トを 重 ね 合 わ せ ユ ー ザ ー の 寸 法 に 合 わ せ て い く。 最 後 に も う一 晩 熟 成 させ て 、4日 目 に 製 品 の 形 と して 寸 法 作 りを行 う。 C社 は以 上 の 深 堋 工 場 と香 港 法 人 の 委 託 加 工 工 場 の 他 に 、 台 湾 工 場 を運 営 し、 日系 の顧 客 相 手 に 製 品 を生 産 ・供 給 して い た も の の 、 人 件 費 の高 騰 か ら台 湾 で の生 産 に メ リ ッ トが 少 な くな って きた た め 、 中 国 に お け る上 記2工 場 に 加 え、 三 菱 マ テ リア ル と の共 同 出 資 で 、磁 石 だ け を生 産 す る天 津 工 場 も設 立 した とい う。 (*2)装 置 産業:石 油 化学 ・鉄 鋼 な ど 巨大 な 自動 化 設 備 をそ な え た 産 業 3.2技 術 移 転 の 方 法 ・状 況 移 転 の 前 提:と して 、C社 の 製 品 と な るモ ー ター ・パ ー ツの 「ラ バ マ ソ」 は、 伸 縮 性 を有 して い る た め 、 工 場 内 で の 温 度 ・湿 度 の調 整 が 必 要 で あ った 。 そ の た め 、移 転 先 で あ る沙 井 鎮 の 環 境 に 適 合 す る設 備 を 、 隣 接 す る委託 加 工 工 場 の 経 験 を も と に 、 日本 で 発 注 し整 え る こ とが で き た。 移 転 に 要 した 人 材 は 、 工 場 の 立 ち上 げ 直 前 に、 ロー カ ル の 大 卒 者 を2名 採 用 し、 当 地 に派 遣 さ れ て きた 日本 人 ス タ ッフ3名 が 、 委 託 加 工 の 旧工 場 内 に て 品 質 管 理 に 関 す る 日本 人 の 考 え方 を 教 え る とい う方 法 で 出 発 した。 現 在 そ の2名 の ロー カ ル ・ス タ ッフ は 、 そ れ ぞ れ 課 長 と工 場 長 に 昇 格 して い る。 こ う して 用 意 周 到 に進 め られ た 移 転 作 業 で 問 題 が あ っ た とい え ば 、 工 場 の 建 設 工 事 が 予 定 通 り進 ま ず 、 日本 で発 注 した機 械 類 を 、 当初 香 港 で 保 管 して い た こ と ぐ らい で あ る。 原 材 料 は 、 主 に 日本 か ら100%輸 入 して い るが 、 コ ス ト切 り下 げ の た め 韓 国 製 の 原 料 調 達 の 可 能 性 を検 討 して い る。 日本 の 原 材 料 を使 え ば 顧 客 か ら ク レー ムの な い安 定 した 品 質 の 製 品 を製 造 で き る もの の コ ス ト的 に高 くな り、逆 に 低 コ ス トが 見込 め る純 粋 な 中 国 の ロー カ ル 企 業 に よ る原
材 料 供 給 に つ い て は 、 サ ソ プ ル で取 り寄 せ る と問 題 な い が 、 量 産 させ る と ロ ッ トの バ ラ ツキ が 多 く利 用 で きな い な どの 問 題 が生 じ る。 そ の 原 材 料 と は 、 製 鉄 所 で鉄 を溶 か し水 を か け て 剥 離 した モ ノで 、 鉱 石 か ら酸 化 鉄 を取 って 作 る。 以 前 は産 業 廃 棄 物 と して 処 理 され て い た に も か か わ らず 、 現 在 は不 足 ぎみ で あ るそ れ らは 、現 在 神 戸 製 鋼 や 川 崎 製 鉄 所 か ら供 給 され て い る。 日本 の 工 場 で は 、土 地 の 狭 さか ら上 手 く配 置 で き な か っ た生 産 ラ イ ソが 、 広 大 な敷 地 の も と 中 国 で は 可 能 と な り、 さ らに現 地 に適 合 す る新 しい 最 新 鋭 の設 備 も持 ち込 ん で い る。 こ れ らは 、 先 に も述 べ た が 、 操 業 開 始 後 半 年 で黒 字 を出 す こ と が で き た要 因 で あ る。 また 、 工 場 の設 計 は 、 生 産 ライ ソ等 の設 備 を 念 頭 に 日本 で 行 って いた の で 、 設 置 業 者 や 機 械 メー カ ー に依 頼 せ ず に済 ん だ 。 そ れ ら導 入 した 機 械 の メ ソテ ナ ソ ス は、 補 修 場 所 が故 障 の度 に異 な る こ と を考 慮 し、 そ の 都 度 日 本 人 ス タ ッフが 教 え て き た が 、 現 在 にお いて あ る程 度 まで な ら ロー カ ル化 で きて い る とい う。 そ の 度 合 い は 、 年 内 に 日本 人 製 造 部 長 を 日本 に 戻 せ る ぐら い で あ る。 勤 務 体 制 に つ い て は 、 基 本 的 に1交 替 シ フ トで あ るが 、 残 業 で2シ フ トに近 い形 も取 れ る。 ま た 現 地 で モ ノ作 りを 円 滑 に進 め るた めの 必 要 性 か ら、 日本 語 の読 み 書 きが で き る 中 国 人 を 通 訳 と して 採 用 した 。 実 務 も仕 事 も持 た な い通 訳 の 専 門 職 と して採 用 した ス タ ッフ の場 合 は 、 他 の 従 業 員 か ら、 労 働 対 価 以 上 の高 い給 与 を貰 う存 在 と見 られ 敬 遠 され が ち で あ る が 、東 北 地 方 出 身 の 深 堋 在 住 者 で あ る5名 の ス タ ッフは 、 実 務 兼 通 訳 と い う人 材 で あ るた め他 の 従 業 員 か ら も受 け入 れ られ 、 現 在 で も同 工 場 で 働 い て い て 全 員 が課 長 以 上 の 職 に就 い て い る。 さ らに今 で は 、 日本 人 赴 任 者 も中 国 語 を マ ス タ ー し、 こ う した相 互 の コ ミ ュニ ケ ー シ ョソ理 解 が 、 良 い製 品作 りに役 立 っ て い る。 加 え て 立 ち上 げ 当 初 、 日本 式 の 管 理 の も と、 日本 と 同等 の 材 料 を使 い 最 新 の機 械 で 生 産 した に も か か わ らず 、 ユ ー ザ ー か ら 日本 式 管 理 の も と生 産 され た 中 国 製 品 とい う認 定 しか得 られ ず 、 出 荷 を 見 合 わせ た こ とが あ った 。 そ の間 、雇 用 した労 働 者 の仕 事 量 を減 ら し、 そ の分 日本 語 の勉 強 を さ せ た 結 果 、 全 従 業 員 の 日本 語 レベ ル を 引 き上 げ る こ とに な り、 日本 式 管 理 の一 層 の 理 解 お よ び 高 品 質 な モ ノ作 りに繋 が って い る と い う。 3.3人 材 の 募 集 ・育 成 及 び 給 与 シ ス テ ム ワー カ ー の募 集 につ い て は 、 ロ コ ミで さえ 門 前 に 定 員 の10∼20倍 程 人 数 が 集 ま る。 なか に は 、 国 有 企 業 に 在籍 し なが ら、 最 低 保 障 で あ る食 ・住 手 当 の100元 を貰 い つ つ 、 休 暇 を取 っ て 短 期 間 働 く者 も い る と い う。 ワー カ ー の給 与 は 、基 本 給300元(日 本 円 で 約4500円)で 、 同工 場 の 従 業 員 が 日本 語 で 日常 会 話 が 出 来 る こ と を 目標 に し、 そ れ に 関 す る資 格 を取 れ ば 、 等級 に よ り20∼50 元 の資 格 給 を 出 す な ど 向 上 心 を刺 激 して い る。 彼 らの 多 くは 農 村 出 身 者 で あ り、 工 場 の あ る沙 井 鎮 地 区 で 生 ま れ 育 っ た者 は 少 な い こと か ら寮 を2棟 建 設 した 。 ワー カ ー は そ こで 集 団 生 活 を送 っ て い る。 そ して 、 幹 部 社 員 に は、 冷 暖 房 完 備 の1人1部 屋 が 準 備 され て い る。 次 に 、 労 働 契 約 の 形 態 と して 、 当初 は 日本 的 な終 身 雇 用 制 度 を採 用 して い た。 そ れ は、C社 に お け る製 造 上 の 特 性 か ら、 他 の組 立 工場 と異 な り、 例 え ば 目視 に み られ る よ うな 人 間 の 勘 に頼 る 外 観 検 査 等 が 多 い た め 、 人 材 を定 着 させ て 熟 練 度 を 上 げ る こ と を重 視 して い た か らで あ る。 と こ ろ が 、 人 材 の定 着 率 が 良 す ぎ た結 果 、 年1回 の定 期 昇 給 や 、 雇 用 年 数 に比 例 した 退 職 金 の支 払 と い っ た 労 務 コス トが 高 騰 す る と い う新 た な 問 題 が 生 ま れ て い る。 そ れ と は 対 照 的 に 、 隣 接 す る委 託 加 工 工 場 で は 、 労 働 契 約 を1年 更 新 と して い る た め 、 解 雇 時 の 退 職 金 の 支 払 は1年 分 の み とい う 低 コス トに抑 え られ て い る。C社 に お け る従 業 員 の 平 均 年 齢 は24才 弱 と は い え、 日本 的 な給 与 お
よ び人 事 シ ス テ ム を再 考 す る時 期 に来 て い る と い う。 続 い て 人 材 の 育 成 に つ い て は 、仕 事 の心 構 え や 安 全 に 関 す る ル ー ル とい っ た導 入 教 育 を2日 間 に わ た っ て行 った 後 、 現 場 でOJTに よ る実 務 教 育 を行 う。 ワ ー カ ー は概 して 器 用 で 物 覚 え が よ い の で 、1週 間 もす れ ば現 場 で 通 用 す る技 能 を身 に 付 け る こ と が で き る とい う。 大 卒 の 幹 部 候 補 職 に つ い て は 、 上 級 学 校 を 出 た ホ ワ イ トカ ラー の扱 い で あ るた め 高 給 待 遇 で あ る が 、 実 務 技 能 に 不 馴 れ な者 が 多 い た め 現 場 研 修 を必 要 とす る。 そ の 際 、職 人 気 質 の経 験 者 は 、 ラ イ バ ル に 職 を 奪 わ れ 生 き残 りが 困 難 に な る と思 うの か 、 彼 らの 持 つ 技 能 や 技 術 を新 人 に 教 え よ う と しな い 。 「早 く仕 事 を習 っ て昇 進 した い」 とい う上 昇 志 向 を 持 つ新 人 は ジ レソマ に陥 り、試 用 期 間 中 に 退 職 す る こ とが 多 い と い う。 そ の よ う な事 情 か ら、 現 在 で は 幹 部 ス タ ッフ と して の採 用 を 中止 し、 内部 昇 進 で の 対 応 に移 行 しつ つ あ る。 これ らは 、 ワー カ ー の労 働 意 欲 を促 進 す る と い う点 で 人 事 シ ス テ ム 的 に 優 れ て い る と思 われ る。 さ らに 労 務 管 理 に つ い て は 、 人件 費 の上 昇 が顕 著 で あ る た め 、 余 剰 人 員 を削 減 し在 籍 者 の 労 働 力 を最 大 限 活 用 す るた め 、1部 の 班長 ク ラ ス も含 め ジ ョブ ・ロー テ ー シ ョソ を実 施 して い る。 ま た 、 社 会 主 義 的 雇 用 シ ス テ ム で あ る と こ ろの 労 働 対 価 と して 、 内 容 を 問 わ ず 一 律 の 賃 金 が支 払 わ れ る とい う価 値 観 か ら くる怠 惰 を払 拭 す るた め 、 生 産 数 量 や 不 良 率 お よび 勤 務 態 度 を 、 毎 月 個 人 的 な 業 績 と して評 価 す るな ど、常 に信 賞 必 罰 で 望 む こと が大 事 で あ る。 例 えば 、 仮 に あ る ワー カー が 仕 事 を休 み 、 そ の穴 埋 め と して1人 が2入 分 の 仕 事 を す れ ば 、休 ん だ ワー カー か ら減 給 した 分 を 労 働 負 荷 の 大 き か った 者 へ 回 した り、 目標 達 成 率 や 歩 留 ま り率 に応 じて 減 給 す る 等 で あ る 。 さ ら にC社 で は 、 以 上 の よ うな従 業 員 の処 遇 に 関 して 、 公 明 正 大 さを期 す るた め 、 労 働 状 況 を デ ー タ化 し、 コ ソ ピ ュ ー ター に よ って デ ー タ管 理 して い る。 中 国 で は 、 同郷 や 身 内 意 識 が強 い た め 、 そ れ が原 因 と な って 、 上 司 の 部 下 に対 す る黙 認 や 、 部 下 に よ る上 司 へ の反 抗 とい っ た経 営 上 好 ま し くな い職 場 環 境 を形 成 して しま う こと もあ る の で 、 こ う した客 観 性 に裏 付 け られ た数 字 に よ る 管 理 が合 理 的 で あ る。 3.4今 後 の技 術 移 転 上 の課 題 第 一 に、 社 会 主 義 的 中央 集権 国 家 の 代 名 詞 と もい え る賄 賂 の 問 題 が あ げ られ る。 例 え ば 、 税 関 の 役 人 が 賄 賂 を取 るた め意 識 的 に通 関 業 務 を ス トップ させ 荷 物 の 到 着 に支 障 を来 す と い った 具 合 で あ る。 こ の よ うな こ と か ら も中 国 で 経 営 を 円 滑 に行 うた め には 、 中 央 ・省 ・市 ・村 ごと の ル ー ル に従 い 臨 機 応 変 に 対 応 し、 そ の トップ に あ た る人 物 と顔 な じみ に な って お く こ とが 大 切 で あ る と い う。 ち な み にC社 の天 津 工 場 で5年 経 っ て も黒 字 に な らな い の は 、 北 京 に近 い ゆ え年 々 変 更 され る法 律 を遵 守 す る必 要 に せ ま られ 、 生 産 活 動 以 外 の 賄 賂 や接 待経 費 が 多 く掛 か るた め で あ る の に対 し、 華 南 に あ る深 洲 工 場 で は 、 法 律 に よ る規 制 は 多 い もの の 、 中 央 政 府 か ら離 れ た立 地 に あ る た め 比 較 的 自由 に 経 営 で き る余地 が あ る とい う。 しか し、来 年 か らは 保 険 関 係 の コス トが 更 に 計 上 され る た め 、 経 営 的 に は厳 し くな りそ うで あ る 。 第 二 に 、 知 的 所 有 権 が法 の下 保 護 され な い こ と か ら くる企 業 機 密漏 出 の 危 険 が あ げ られ る。 中 国 の ロー カル 企 業 に技 術 を盗 まれ 、 類 似 製 品 を作 られ る危 険 を 回 避 す るた め 、現 地 従 業 員 に 対 し、 ジ ョブ ・ロー テ ー シ ョン を2∼3工 程 に 留 め るな ど分 断 した形 で の技 術 移 転 を実 施 す るの み で 、 一 か ら十 ま で す べ て が 分 か る よ うな技 術 教 育 を施 す こ とは で きな い とい う 。 第 三 に、 マ ネ ジ メ ソ トの 問 題 が あ げ られ る。3.2の 技 術 移 転 の方 法 ・状 況 の 項 目で も述 べ た よ うに、 ハ ー ド面 で の 物 理 的 な業 務 の運 営 に 関 して は 、 日本 で マ ニ ュ アル お よ び機 械 類 を作 り、
そ れ らを 持 ち込 ん だ の で 順 調 で あ った 。 しか し、 一 方 の マ ネ ジ メ ソ トに 関 して は 、 国 営 企 業 的 な 価 値 観 か ら抜 け きれ な い ロ ー カル 従 業 員 か ら職 場 環 境 や歩 留 ま り率 の 向上 と い った 労 働 に 対 す る イ ソ セ ソテ ィ ブ を 引 き出 す の に苦 労 して い る と い う。 概 して 中 国 人 は 、 自分 に定 め ら れ た 責 任 範 囲 内 の仕 事 は 滞 りな く行 う もの の 、他 人 と の 共 同作 業 に お い て は 積 極 的 に 関 わ っ て い こ う と しな い 個 人 主 義 の 志 向 が 強 い 。 よ って 個 人 あ る い は 仕 事 の タ イ プ 別 に 、 そ れ ぞ れ 責 任 と 権 限 を 明 確 に し、 信 賞 必 罰 の原 則 の も と実 力 主 義 の 人 事 シ ス テ ム を 導 入 す る こ と が労 働 意 欲 の 向 上 に有 効 で あ る と思 わ れ る。 この こ とは 、 前 掲 の程 近 智 に よ っ て も 「中 国 人 は 個 人 べ 一 スで 仕 事 や 責 任 な ど を 任 さ れ た と き に は しっか りパ ワ ー を 発 揮 す るが 、組 織 を組 ん だ 場 合 は予 想 通 りに は うま く動 か な い 」 と して 指 摘 さ れ て い る。(注2) 4通 信 機 器 製 造 メ ー カーD社 東 莞 工 場(1999年9月21日 現 地 調 査) 4.1東 莞 進 出 の動 機 及 び 会 社 概 要 D社 東 莞 工 場 は 、1994年10,月 よ り、 同 社 香 港 現 地 法 人 に よ る100%独 資 企 業 と して 、 東 莞 市 寮 歩 鎮 竹 山 管 理 区 で 操 業 す る 、 自動 車 用 ア ソテ ナ製 造 メー カ ー あ る。 資 本 比 率 を100%独 資 の形 態 に した の は 、 生 産 管理 に係 わ る 目本側 の提 案 を徹 底 さ せ 、短 期 間 に製 品 の 質 を 向上 させ るた め で あ る。1996年8月 か らは 、 別 会 社 と して 中継 コー ド ・手 動式 ア ソ テ ナ ・ア ソ テ ナ用 ポ ー ル の 生 産 部 門 を 分 離 独 立 させ た 。 現 在 そ の2つ の会 社 の 総 従 業 員 数 は1218名 を数 え 、 そ の う ち の1072名 が 女 性 で あ る。 大 多数 を 占め る彼 女 た ち は 、例 え ば油 で 汚 れ る仕 事 で さえ嫌 わ ず よ く働 く うえ 、 班 長 や 組 長 と して の役 割 も こ な して い る。1998年2月 に は 、ISO9002を 取 得 して い る。 東 莞 進 出 の 動 機 は 、 ア ソ テ ナ の製 造 に不 可 欠 な手 作 業 に よ る工 程 を 、低 コ ス トに 抑 え るた め で あ っ た 。 具 体 的 に は 、 輸 入 した 鉄 板 を丸 め て 溶 接 し、 規 定 の 寸 法 に直 線 加 工 後 短 く切 断 した もの を 、 カ ッ トさ れ た コー ドの 両 端 に繋 ぐ作 業 で あ る。 そ の 間 、 部 品 の 受 け 入 れ 検 査 や 、 ア ソテ ナの 電 気 接 続 部 の 調 整 な ど、 自動 化 が難 し く人 手 に頼 ら ざ る を得 な い 。 高 い賃 金 コス トを 要 す る 日本 で の 経 営 か ら、 安 い 賃 金 コス トで 済 む 中 国 で の 低 費用 生 産 に シ フ トした こ とで 、製 品 に お け る付 加 価 値 の 比 率 を価 格 の25%以 上 に で き た。 製 品 の 部 品 調 達 と販 路 に つ い て は 、 他 省 よ り法 的 ・地 理 的 有 利 な広 東 省 とい う地 の 利 を活 か し て 、30%を 現 地 調 達 、残 りの70%を 日本 と 台 湾 お よび 香 港 か ら輸 入 して い る。 そ の うち重 要 な機 能 部 品 に 関 して は 、 各地 か ら東 莞 工 場 へ持 ち 込 ま れ る前 に 、 日本 の 本 社 で仕 様 書 通 りか サ ソ プル を 検 査 して い る。 こ う して 生 産 され た 製 品 は 、 一 部 を 香 港 経 由 で 欧 米 に輸 出 す る ほ か 、 ほ とん ど は 日本 の ユ ー ザ ー に供 給 され る。 進 出 以 前 の計 画 で は 、 国 内 販 売 を30%程 見 積 も って い た も のの 、 現 状 で は100%輸 出 す る に 至 っ て い る。 し か し今 後 は 、 中 国 国 内 の 日系 企 業 を は じめ 欧 米 系 企 業 へ も販 路 を 拡 大 した い 意 向 で あ る。 4.2技 術 移 転 の方 法 ・状 況 まず 設 備 の 移 転 に つ い て は 、 日本 の 富 岡 工 場 と同 じ レベ ル の 最 新 型 を導 入 した た め 、 メ ソテ ナ ソ ス の面 で 、 日本 人 ス タ ッフか ら ロー カ ル ・ス タ ッ フ に よ る管 理 下 へ 移 行 させ る こ とが 難 しい。 労 務 コス トの 節 約 に つ い て 考 えれ ば 、 こ の よ うな ロー カ ル ・ス タ ッ フの手 に 余 る最 新 式 を導 入 す る よ り、理 解 の 範 疇 に あ る中 古 の 設 備 に す るの が賢 明 で あ るが 、 首 都 北 京 に お け る法 律 関 係 の 申 請 、 お よ び 現 地 政 府 機 関 に 対 す る投 資 関 連 の 許 認 可 手 続 きが 煩 雑 で あ る た め 、 こ れ らの 生 産 準 備
に掛 か る コス トと製 品 販 売 か ら上 が る利 益 と を比 較 した うえ で 、今 回 は 最 新 設 備 の導 入 に踏 み 切 っ た。 そ れ に伴 い 、 同 じ く 日本 か ら持 ち込 まれ た 、 日本 語 に よ る操 作 方 法 等 記 載 され た マ ニ ュ ア ル は 、 現 地 にて 通 訳 に よ り中 国 語 に訳 され 、 さ らに 現 地 の事 情 か ら変 更 され 設 備 等 も中 国 語 で 説 明 書 が作 られ 、 そ れ ら を基 本 に 作 業 は進 め られ て い く。 こ の よ うに設 備 の 操 作 方 法 な ら び に作 業 工 程 を マ ニ ュ ア ル化 す る こ と は 、 現 地 の 従 業 員 の労 働 生 産 性 お よ び作 業 の 能 率 化 を 図 る うえ で 大 切 で あ る。 技 術 移 転 の 中 味 は 、製 品 のR&Dを 除 い た 管 理 技 術 面 に おい て 、 現 在13名 に な っ て い る 日本 人 ス タ ッ フの指 導 に よ り、5年 目に して 治 工 具 類 の 内 製化 の 足 が か りが で きた と こ ろで あ る。 だ が レベ ル 的 に は、 ロー カ ル ・エ ソ ジニ ア に よ っ て 日本 か ら送 付 され た 図 面 に 基 づ き、 加 工 や 金 型 の補 修 が 行 わ れ る程 度 で あ る。 次 に労 務 管 理 に つ い て は 、1994年 の 操 業 以 来 勤 続 して い る ロー カ ル ・ス タ ッ フ28名 に よ っ て 、 日常 的 な業 務 が 行 わ れ て い る・ しか し・ 経 営 内 容 は 、 ボ トム ・ア ップ型 が 理 想 的 で あ る もの の 、 現 状 で は ト ップ ・ダ ウ ソ型 で あ る こ とが 多 い 。 また 、顧 客 か らの 品質 に 対 す る 、 安 定 と維 持 の厳 しい 要 請 に 関 して は 、7名 の 日本 人 品質 保 証 ス タ ッフ を 現 地 工 場 に派 遣 し、5Sを ロー カ ル 従 業 員 に徹 底 させ る な ど、 工 程 管 理 に 最 新 の 注 意 を払 う こ とで 応 えて い る。 具 体 的 に は 、5Sの 目標 ・ 計 画 に対 して 、 各 自 ど の程 度 進 行 して い るか を個 人 別 に 張 り出 し競 争 意 識 や 品質 の 向 上 に 関 す る イ ンセ ソ テ ィ ブを 高 め る とい っ た方 法 を採 用 して い る。 そ して ライ ソ内 お よ び ライ ソの 最 後 で の 検 査 も徹 底 さ せ 、 不 良 品 を 出 さ な い工 夫 に 余 念 が な い。 工 場 内 に は 、 電圧 の 変 動 を 避 け る た め 、 自家 発 電 機 が設 置 され て い る。 電 力 供 給 が 不 安 定 な 珠 江 デ ル タ地 帯 に お い て 、 自家 発 電 機 を備 え るの が通 例 で あ る。 4.3人 材 の 募 集 ・育 成 お よ び 給 与 シ ス テ ム ー ワー カ ー の 募 集 に つ い て は 、 管 理 区 内 の服 務 公 司 を 通 じて 集 め る。 湖 南 省 や 四 川 省 お よ び江 西 省 を は じめ 、 彼 らの 出 身 地 が一 カ所 に偏 らな い よ う分 散 して募 集 し、 職 場 に配 置 す る よ うに心 掛 け て い る。 そ れ は 、 同 郷 人 が集 団 で ス トラ イ キ や 退 社 行 為 を 引 き起 こす リス ク を回 避 す るた め で あ る。 採 用 に あ た っ て は 、 常 識 テ ス トと肝 炎 な ど感 染 性 の病 気 を チ ェ ッ クす るた め健 康 診 断 を行 い 、3ヶ 月 の 試 用 期 間 を 設 け、 仕 事 へ の 適 応 力 の 有 無 を 確 認 後 本採 用 と な る。 ワー カ ー は 出 稼 ぎ 者 が 多 い た め 、 寮 の食 事 代 と部 屋 代 は 会 社 が 負 担 して い る。 そ うい った 地 方 出 身 者 は、 金 銭 的 に 目処 が立 つ3年 程 で帰 郷 す る者 が 多 く、 会 社 へ の 帰 属 意識 は低 い。 雇 用 契 約 に つ いて は 、 当 初3年 ご とで あ っ た もの の 、 最 近 で は1年 ご と の更 新 に な っ て い る。 そ して 、 契 約 期 間 中 に業 務 上 問 題 を起 こ さ な か った 者 で 、 か つ希 望 者 に つ い て は 、 契 約 を 自動 延 長 して い る。 また 、 転 職 率 は 月3%程 度 と低 く、 他 の ア ジ ア の 国 に比 べ 人 材 定 着 率 の 良 さ を 表 し て い る。 ス タ ッフの 募 集 に つ い て は 、大 学 新 卒 者 を 学 校 側 へ 求 人 す る場 合 と、 東 莞 の 人 材 市 場 に お い て 即 戦 力 と な る人 材 を 、 そ の技 術 ・技 能 に応 じて 集 め る場 合 の両 方 を 手 段 と して い る。 労 務 コス トに つ い て は 、 ワ ー カー の基 本 給 が 月400元(日 本 円 で 約6000円)で あ り、 福 利 厚 生 費 を 含 め れ ば 約800元 と な って い る。 彼 ら の う ち、 食 堂 で 働 く従 業 員 の 年 齢 が比 較 的 高 い もの の 、 全 従 業 員 の 平 均 年 齢 は23才 で あ る。 人 材 の 育 成 に つ い て は 、初 日 に現 場 の管 理 者 が 就 業 規 則 を説 明 し、 次 に 班 長 が作 業 現 場 に お け る要 領 書 を 説 明 した 後 、 そ れ らの 手 順 をOJTに よ り教 育 して い る。 これ ら最 も低 い技 能 レベ ル の ワー カー に お け る1ヶ 月分 の 給 与 で さえ 、 所 得 格 差 の激 しい 中国 で は 、 故 郷 に暮 らす 彼 らの 両 親 の年 収 に 相 当 す るた め、 現 金 収 入 へ の執 着 心 は相 当 強 い。 ち なみ に こ う して 出 稼 ぎで 得 た収 入
を 持 っ て 農 村 へ 帰 郷 す れ ば 、2階 建 て の 自宅 を新 築 で き る ほ どで あ る とい う。 業 績 給 や成 果 給 の 類 は 、D社 で は グル ー プ 作 業 が 多 い た め個 別 の 業 績 判 断 が難 し く、 給 付 す る に は至 っ て い な い。 製 品 の 種 類 は 、 合 計 で200機 種 以 上 と 多 岐 に わ た っ て お り、 そ れ ゆ え 出 荷 後 返 品 され て きた 不 良 品 か ら原 因 を つ か む の は難 しい の が 現 状 で あ る。 そ の た め 、 製 品 を 加 工 す る段 階 の ラ イ ソ上 で 「ポ カ よけ 」 検 査 を導 入 し、 歩 留 ま り率 を 高 め る工 程 作 りを心 が け て い る。 4.4今 後 の 技 術 移 転 上 の 課 題 第 一 に、 生 産 コス トの 問 題 が あ げ られ る。 顧 客側 か ら要 求 され る販 売 価 格 の引 き下 げ に対 して 、 日本 の 本社 に お け るア ソ テ ナ事 業 部 直 轄 工 場 の 役 割 を 担 う東 莞 工 場 で は 、 常 に本 社 で 決 定 され た 数 量 ・価 格 ・納 期 に従 い 、 日本 式 の品 質 管 理 とマ ネ ジ メ ソ トを現 地 の 労 働 者 に徹 底 させ る こ とで 、 日本 と 同 品 質 の 製 品 を供 給 しな け れ ば な らな い 。 品 質 レベル を維 持 しつ つ 、 顧 客 の要 求 に応 え る た め に は 、 充 実 した設 備 環 境 を活 かす た め に も、 労 務 管 理 が重 要 に な って くる。 ロー カ ル ・ワー カ ー に み られ る、 部 門間 調 整 の 不 出 来 と異 常 事 態 へ の 対 応 能 力 の 欠 如 を 改 善 し、 労 働 コス トの 掛 か る 日本 人 ス タ ッ フに頼 ら な い 、 ロー カ ル 作 業 員 に よ る徹 底 した 工 程 内検 査 で 不 良率 を抑 え る こ とが 大 切 で あ る。 こ う して 、 顧 客 の 要:求す る高 い 品 質 レベル に 一 層 対 応 して い くた め に は 、 人 手 に よ る工 程 内 検 査 以 上 に 自動 化 ・機 械 化 が 望 ま しい。 しか し、 全 自動 の 、 例 え ば切 断 機 を導 入 し た 場 合 、 故 障 に際 して 、 修 理 に必 要 な部 品 を 、 そ の 都 度 日本 か ら取 り寄 せ な けれ ば な ら な い こ と か ら、 現 在 は 中 国 国 内 で 利 用 で き、 メ ソテ ナ ソ ス が可 能 な手 動 式 の 設 備 と、 作 業 者 の 手 と 目に 頼 る人 力 作 業 を 組 み 合 わせ る こ と で 対 処 して い るが 、 これ で は 品 質 管 理 に 限 界 が あ り苦 しい状 況 が 続 い て い る。 第 二 に 、 円 滑 な 生 産 活 動 を妨 げ る、 法 律 お よび 役 人 や 従 業 員 に み られ る思 考 様 式 の 問 題 が あ げ られ る。 中 国 で は 、 物 事 を 進 め る際 に基 準 とな るべ き 法 律 は 建 前 で しか な く、 実 際 は 担 当 者 の 裁 量 幅 が非 常 に 大 き い。 さ ら に一 般 的 風 潮 と して 、 官 庁 の み な らず 企 業 内 で さ え、 あ る行 為 に対 す る見 返 りと して リベー トを 要 求 す る習 慣 が あ る。 例 え ば 、 人 事 担 当 者 が縁 故 採 用 者 か ら リベ ー ト を 取 る、 エ ソ ジニ アが 治 工 具 類 を 購 入 後 事 実 と異 な る 不 透 明 な請 求 書 を提 出 す る、 あ るい は ワー カ ー が 指 定 医 以 外 で 診 断 を 受 け過 大 な 医 療 費 を請 求 す る とい っ た 具 合 で あ る。 こ う した 生 産 活 動 以 外 の 余 計 な 出 費 を削 減 す る た め 、 日系 企 業 は 、 努 め て ル ー ル に 基 づ い た経 営 を遂 行 す べ き で あ る 。 また 法 律 面 で の 不 確 実 性 の 一 例 と して 、 税 関 で は 、 輸 出 製 品 に 掛 か る 関税 は 重 さ で 決 定 さ れ る た め 、 実 際 の製 品 価 値 と釣 り合 わ な い 場 合 、 そ の都 度 交 渉 を余 儀 な く され 、 こ う した 時 間 的 ロス と 無 駄 な 出費 が 更 に生 産 コ ス トを 上 昇 させ る要 因 に な って い る。 5電 子 機 器 製 造 メ ー カ ーE社 上 海 工 場(1999年7月20日 現 地 調 査) 5.1上 海 進 出 の 動 機 及 び 会 社 概 要 E社 上 海 工 場 は 、1994年7月 よ り、 黄 浦 江 の東 側 に位 置 す る浦 東 新 区 の 金 橋 出 口輸 出加 工 区 で 操 業 して い る 日中 合 弁 の 電 子 機 器 メー カー で あ る。 浦 東 新 区 と は 、1990年4月 に中 国 国務 院 よ り 国 家 プ ロ ジ ェ ク トに 位 置 付 け られ 、輸 出 志 向型 外 資 系 企 業 や ハ イ テ ク企 業 誘 致 の た め 、急 ピ ッチ で 金 融 ・商 業 ・物 流 ・生 産 な ど の 全 て の 面 に お け る イ ソ フ ラ の整 備 が 進 む 開 発 地 区 で あ る。 そ の 広 さは 、 約520平 方 キ ロ メ ー トル と、 シ ソガ ポー ル に 匹 敵 す る敷 地 面 積 を誇 る。