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表 除染モデル実証事業で発生した除去物の例 分類 代表的な品目 土類表土, 側溝泥 ( 多少の草や苔が混じるものも含む ) 不燃物 可燃物 石類切削材アスファルトシート類その他草木類除染作業で発生した可燃物 石, 砂利ブラスト材アスファルト混合物ブルーシート等フィルタ ( マスク,

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- 448 - 2.4.3 仮置場の整備・維持管理 仮置場の整備・維持管理は,2.3.4「仮置場の整備・維持管理計画」に従って行った。各除染実 施対象地区における整備・維持管理の結果,及び整備・維持管理を通じて浮き彫りにされた課題 とベストプラスティクスについても以下にまとめる。 ① 結果 (a) 仮置場/現場保管場の設置場所・形式・レイアウト 本事業の仮置場/現場保管場の設置場所及び利用可能面積は表 2.4.3-1 のとおりである。 表 2.4.3-1 除染モデル実証事業の仮置場/現場保管場 除染実施対象地区 仮置場/現場保管場位置 利用可能面積 南相馬市 金房小学校周辺 小高西部運動場敷地内 約 1.4 ha 浪江町 津島地区 津島中学校敷地内 約 0.4 ha 権現堂地区 ふれあいセンター敷地内 約 1 ha 飯舘村 草野地区 いいたてホーム・いちばん館等 クリアセンター(廃棄物処理場)敷地内 約 0.5 ha 川俣町 坂下地区 山木屋地区国有林野内 約 0.7 ha 富岡町 夜の森公園 夜の森公園敷地内 約 0.3 ha 富岡第二中学校 富岡第二中学校敷地内 約 0.2 ha 葛尾村 葛尾村役場周辺 村民グラウンド内 約 0.4 ha 田村市 地見城地区 除染実施対象地区隣接民有地 約 0.1 ha 大熊町 大熊町役場周辺 総合スポーツセンター敷地内 約 1.1ha 夫沢地区 楢葉町 南工業団地 除染実施対象地区近隣町有地 約 0.06ha 上繁岡地区 除染実施対象地区近隣民有地 約 0.3ha 広野町 中央台・苗代替地区 広野海浜公園近傍町有地 約 0.5ha 川内村 貝の坂地区 除染実施対象地区近隣村有地 約 0.3ha 仮置場等の形式選定及びレイアウトといった検討に供するため,除染作業により発生する除去 物の分類,及び分類された除去物毎の発生量を推定した。表 2.4.3-2 に,本事業における除染作 業に伴い発生した除去物の分類の例を示す。除去物は,大きく,不燃物と可燃物に分類され,各々 には,不燃物として土類・石類・切削材・アスファルト・シート類・その他(フィルタ,ゴム手 等)が含まれ,可燃物として草木類・除染作業で発生した可燃物としてのタイベックスーツ・ウ ェス等が含まれる。

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- 449 - 表 2.4.3-2 除染モデル実証事業で発生した除去物の例 分類 代表的な品目 不燃物 土類 表土,側溝泥(多少の草や苔が混じるものも含む) 石類 石,砂利 切削材 ブラスト材 アスファルト アスファルト混合物 シート類 ブルーシート等 その他 フィルタ(マスク,水処理),ゴム手,プラ系靴カバー 可燃物 草木類 草類(芝,苔,雑草等) 木材,枝葉(竹,剪定した枝,葉等) 除染作業で発生した可燃物 タイベックスーツ,ウェス等 除染作業の実施前に,除染実施対象地区の面積と分布する土壌の面積等に基づいて,各除染実 施対象地区での不燃除去物及び可燃除去物の発生量を見積もった。その結果を表 2.4.3-3 に示す。 なお,表中「袋」とはフレキシブルコンテナの袋数を示している。 表 2.4.3-3 除去物発生量の見積り 除染実施対象地区 不燃物(袋) 可燃物(袋) 南相馬市 約 800 約 6,000 浪江町津島地区 約 2,350 約 450 浪江町権現堂地区 約 2,900 約 1,000 飯舘村 約 15,500 約 2,800 川俣町 約 4,540 約 1,500 富岡町夜の森公園 約 910 約 900 富岡町富岡第二中学校 約 510 約 70 葛尾村 約 560 約 1350 田村市 約 760 約 2,500 大熊町役場周辺 約 750 約 190 大熊町夫沢地区 約 6,500 約 2,800 楢葉町南工業団地 約 600 約 500 楢葉町上繁岡地区 約 1,000 約 500 広野町 約 3,200 約 700 川内村 約 3,800 約 1,400 この除去物の発生量の見積り結果に加え,地元自治体からの要望や,地形の状況,土地利用状 態等に基づき,仮置場/現場保管場の形式を選択した。その結果を表 2.4.3-4 にまとめる。本格 除染の仮置場が整備でき次第,移動・撤去する予定である地区は,現場保管とすることとした。 また,多くの地区は,地上保管型の仮置場/現場保管場を選択した。一方で,南相馬市の場合は, 現場保管場設置場所である運動場としての機能を維持したいとの自治体からの意向を考慮して,

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- 450 - 地下保管型を選択した。また,広野町の場合は,定置中の除去物の強風による飛散防止,地下か ら掘削した土壌の有効利用,仮置き容積の確保等の観点から,半地下保管を選択した。これら地 下保管型や半地下保管型において,除去物の設置下部深度が地下水位より下部となる場合,施工 時の止水対策が必要となるとともに,設置後に保管場への地下水浸入防止策や地下水位低下対策 が必要となる。したがって,井戸掘削や試掘等により,地下水位の深度を確認したうえで地下保 管の実現性を確認するとともに,保管場の深度を決定した。 表 2.4.3-4 仮置場/現場保管場の形式 地区 形式 地形・土地利用状態 備考 南相馬市 地下保管型 (現場保管) ・ 平野部 ・ 市有地 ・ 平坦地(グラウンド) ・ 自治体からの要望である運動場としての機能を維持す るために,地下保管を選択 ・ 南相馬市の仮置場が整備でき次第,移動・撤去する予定 であることから,現場保管とした 浪江町 (津島地区) 地上保管型 (仮置き) ・ 山地部 ・ 市有地 ・ 平坦地(グラウンド) 浪江町 (権現堂地区) 地上保管型 (仮置き) ・ 平野部 ・ 市有地 ・ 平坦地(グラウンド) 飯舘村 地上保管型 (現場保管) ・ 山地部 ・ 市有地 ・ 階段状の地形 ・ 急斜面を利用して設置 ・ 本格除染の仮置場が整備でき次第,移動・撤去する予定 であることから,現場保管とした 川俣町 地上保管型 (仮置き) ・ 山地部 ・ 国有地(国有林) ・ 傾斜地 ・ 除去物を保管する場所の傾斜を極力緩やかになるよう に切土,盛土による造成を実施 富岡町 (夜の森公園) 地上保管型 (現場保管) ・ 平野部 ・ 町有地 ・ 平坦地 ・ 本格除染の仮置場が整備でき次第,移動・撤去する予定 であることから,現場保管とした 富岡町 (富岡第二中学校) 地上保管型 (現場保管) ・ 平野部 ・ 町有地 ・ 平坦地(グラウンド) ・ 本格除染の仮置場が整備でき次第,移動・撤去する予定 であることから,現場保管とした 葛尾村 地上保管型 (現場保管) ・ 山地部 ・ 村有地 ・ 平坦地(グラウンド) ・ 本格除染の仮置場が整備でき次第,移動・撤去する予定 であることから,現場保管とした 田村市 地上保管型 (現場保管) ・ 山地部 ・ 民有地 ・ 平坦地 ・ 本格除染の仮置場が整備でき次第,移動・撤去する予定 であることから,現場保管とした 大熊町 地上保管型 (仮置き) ・ 平野部 ・ 町有地 ・ 平坦地(グラウンド) 楢葉町 (南工業団地) 地上保管型 (仮置き) ・ 平野部 ・ 町有地 ・ 急峻な谷地 ・ 谷の形状に合わせて設置 ・ 造成のため樹木を伐採する必要あり(一緒に仮置き) 楢葉町 (上繁岡地区) 地上保管型 (仮置き) ・ 平野部 ・ 民有地 ・ 平坦地(耕作地) ・ 軟弱地盤(田)であるため沈下が懸念され地下保管を提 案したものの,地権者の要望に基づき地上保管を選択 ・ 沈下を防止するために高積みを回避 広野町 半地下保管 型 (仮置き) ・ 平野部 ・ 民有地 ・ 凹凸地 ・ 凹部を利用して設置 ・ 定置中除去物の強風による飛散防止,掘削した土壌の有 効利用,仮置き容積確保の観点から半地下保管を選択 川内村 地上保管型 (仮置き) ・ 山地部 ・ 村有地 ・ 谷地(採草地) ・ 谷地形の形状に合わせて階段状に設置 ・ 地下に暗渠があることから地上保管を選択

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- 451 - 地上保管場,地下保管場,半地下保管場のそれぞれについて,仮置場/現場保管場のレイアウ トの例を図 2.4.3-1 に示す。 (1)地上保管型,平面図 (2)地上保管型,断面図 図 2.4.3-1 仮置場/現場保管場のレイアウトの例

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(3)地下保管型,平面図

(4)地下保管型,断面図

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(5)半地下保管型,平面図

(6)半地下保管型,断面図

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- 454 - (b) 仮置場/現場保管場の整備状況 2.3.4「仮置場の整備・維持管理計画」に基づき建設した仮置場/現場保管場施工の流れの例 を図 2.4.3-2 に示す。図 2.4.3-2 では,地上保管場,地下保管場,半地下保管場のそれぞれの流 れについて示している。仮置場/現場保管場では,立木の伐採や整地,掘削等を実施した後,堰 堤を構築することによって除去物を保管するヤードを設定した。次に遮水シートや浸出水の集排 水管(図 2.4.3-3),保護土を敷設した。その後,除去物を定置し,上部の遮水シートの敷設や覆 土を実施した。また,集水桝(図 2.4.3-4)やガス抜き管(図 2.4.3-5)等の設備を設置すると ともに,一部の仮置場では上部の遮水シートの外に遮光性の保護マット(図 2.4.3-6)や,防火 用砂(図 2.4.3-7)を設置した。 完成後の仮置場/現場保管場の例を図 2.4.3-8 に示す。

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図 2.4.3-3 集排水管

図 2.4.3-4 集水桝

図 2.4.3-5 ガス抜き管

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- 458 - 図 2.4.3-7 防火用砂 可燃物 不燃物 防火砂 (1) 地上保管型の例 (2) 地下保管型の例 図2.4.3-8 完成後の仮置場/現場保管場の例

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- 459 - (3) 半地下保管型の例 図2.4.3-8 完成後の仮置場の例(続き) 各仮置場/現場保管場における除去物発生量の見積りと実績および定置面積を表 2.4.3-5 にま とめる。なお,見積りは表 2.4.3-3 を転記したものである。 表 2.4.3-5 除去物発生量の見積りと実績および定置面積 除染実施対象地区 除去物発生量(袋) 定置面積 (m2 見積り 実績 不燃物 可燃物 不燃物 可燃物 南相馬市 約 800 約 6,000 2,541 1,575 約 2,200 浪江町津島地区 約 2,350 約 450 1253 473 約 1,000 浪江町権現堂地区 約 2,900 約 1,000 1670 569 約 1,400 飯舘村 約 15,500 約 2,800 2,732 2,143 約 1,900 川俣町 約 4,540 約 1,500 1,652 1,258 約 1,400 富岡町夜の森公園 約 910 約 900 2,105 951 約 1,300 富岡町富岡第二中学校 約 510 約 70 1306 0 約 500 葛尾村 約 560 約 1,350 1,058 606 約 1,100 田村市 約 760 約 2,500 184 387 約 700 大熊町役場周辺 約 750 約 190 1,340 533 約 4,200 大熊町夫沢地区 約 6,500 約 2,800 10,588 2,646 楢葉町南工業団地 約 600 約 500 611 1,607 約 700 楢葉町上繁岡地区 約 1,000 約 500 1,499 284 約 2,000 広野町 約 3,200 約 700 4,912 1,111 約 2,400 川内村 約 3,800 約 1,400 3,280 1,091 約 2,300 表 2.4.3-5 に示されるように,地区によっては,発生した除去物の発生量(実績)と事前に見 積もった発生量との間に大きな差が生じているケースが認められる。たとえば,浪江町津島地区 や田村市の場合では,除染前の発生量の見積りに対し,実績の発生量が低減されている。逆に,

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- 460 - 南相馬市や富岡町等の場合では,除染前の発生量に見積りに対し,実績の発生量が増大している。 いずれのケースも,見積りと実績の差は不燃物に起因している。その主な原因は,適用する除染 手法の変更等の要因により,土壌の剥ぎ取り厚さが当初計画時の厚さから変更されたためである。 なお,飯舘村の場合は,事業開始後,除染実施地域の見直しが行われ,田畑を多く有する地域を 本事業での除染対象から削除したため,不燃物の発生量は見積りに比べて大きく減少した。 以上のことから,仮置場/現場保管場予定地の全体を一度に造成したり,掘削したりするので はなく,複数のヤードを設定し,除去物の発生状況に応じて段階的に建設する方が着実であると 考えられる。 仮置場/現場保管場ごとに定置高さなどの違いはあるものの,除去物発生量と定置面積とは概 略的には相関があることが分かる(図 2.4.3-9)。また,定置面積は,除染実施地域の面積の 0.5% ~2%程度(平均 1.3%)であった。 0 1,000 2,000 3,000 4,000 5,000 0 2,000 4,000 6,000 8,000 10,000 12,000 14,000 16,000 定置面積( m 2) 除去物発生量(袋) 図 2.4.3-9 除去物発生量と定置面積の関係 仮置場/現場保管場の整備にあたり,特別な工夫を要した岩盤が露出する急峻地の場合と,特 有の手続きが必要であった国有林野を使用する場合における留意点を以下にまとめる。 岩盤が露出する急峻地の場合 岩盤が露出する急峻地に仮置場/現場保管場を建設する場合は,遮水性能と耐久性の向上を図 るために,地形条件や地質条件に適した遮水工法を採用した(図 2.4.3-10)。具体的には,側面 (斜面部)については,斜面部に排水材を設置したうえでモルタル吹付けを行い,岩盤からの湧 水を排水処理できるようにし,その上に急峻な地形でも敷設可能なアスファルト系の遮水シート を設置した。底面には,アスファルト系遮水シートと有機材料と無機材料を組み合わせた自己修 復マットを設置した。アスファルト系遮水シートは,ベントナイト混合土やアスファルトコンク リートと比較し,短期間に施工でき,かつ安価なものである。 仮置場の設置状況を図 2.4.3-11 に示す。

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- 461 - 斜面遮水工 フレキシブルコンテナバッグ 底部遮水工 ガス抜き管 上部遮水工 遮光性保護シート アスファルト含浸シート 保護マット 浸透水集水排水施設 地下水集排水施設 図 2.4.3-10 岩盤が露出する急峻地における仮置場の構造 掘削造成 地下水集排水管敷設 地下水集排水管敷設 モルタル吹付け 斜面遮水シート敷設 自己修復マット敷設 保護土敷設 除去物定置 図 2.4.3-11 急峻地における仮置場の設置状況 (楢葉町南工業団地近隣町有地) 国有林野を使用する場合 国有林を仮置場/現場保管場として使用するためには特有の手続きが必要である。具体的には, 国有林野を仮置場/現場保管場として使用するための使用承認申請が必要であり,それに添付す る設置計画書には,以下に示す書類や図面が必要となる。 ・位置図,区域図,無料利用承認区域図 ・測量野帳 ・面積計算図(簿)兼実測図 ・事業計画図または利用計画図 ・事業計画書 ・工事設計書,工事仕様書,工事工程表 ・土量計算表 ・施設の設計図(平面図・横断面図・土工標準図)及び設計資料 ・集水区域図 ・排水施設計画流量計画表

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- 462 - ・流出土砂貯留施設計算表 ・施設要件及び管理要件に係る事項が記載された計画書 ・その他(現況写真,主産物調査書) これらの書類や図面を作成するためには,樹種や立木の本数/直径測定等の主産物調査,測量, 必要に応じた地盤調査を実施することとなる。この主産物調査は,国有林野の管理経営に関する 法律に基づき指定された業者によって実施されなければならない。 仮置場を設置した際の森林伐採や造成の状況を図 2.4.3-12 に示す。 伐採状況 伐採材集積状況 転石集積状況 造成状況 外周側溝掘削 暗渠排水管設置状況 図 2.4.3-12 国有林における仮置場設置時の森林伐採及び造成の状況 (川俣町山木屋地区国有林内) (c) 仮置場等における除去物の分類・定置 a) 除去物の分類・管理 除去物の定置位置の検討や,定置に係る作業員の被ばく管理の観点から,仮置場/現場保管場 に搬入された除去物の充てんされたフレキシブルコンテナを定置する前に,表面線量率や重量, 放射能濃度の測定を実施した。測定は,以下の方法で実施した。 ・ 工程の関係上除去物の発生場所や種類毎といったように一定の割合で測定対象とする除去物 の充てんされたフレキシブルコンテナを抜き取る場合と,全てのフレキシブルコンテナを測 定対象とする場合があった。 ・ 除去物の表面線量率と重量を測定する際に,図2.4.3-13及び図2.4.3-14に示すように汚染さ れていない土壌を充てんしたフレキシブルコンテナを用いて遮へい性能を有する測定場所を 構築する場合と,遮へいせずに簡易に測定する場合があった。 ・ 一部の地域において,表面線量率測定を行ったフレキシブルコンテナのうち,抜き取りで除 去物の放射能濃度を測定し,放射能濃度(Bq/kg)と表面線量率(μSv/h)との相関関係(検 量線)を確認した(図2.4.3-15)。

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- 463 - 測定 除去物 遮へい壁 敷鉄板 クレーン吊 図 2.4.3-13 除去物測定場の概念図 図 2.4.3-14 除去物の表面線量率測定状況 y = 2915.8x + 1777.8 R² = 0.4678 y = 1714.6x + 10107 R² = 0.0889 y = 11388x - 3122.6 R² = 0.7742 0 8,000 16,000 24,000 32,000 40,000 48,000 56,000 64,000 72,000 80,000 88,000 0.0 2.0 4.0 6.0 8.0 10.0 12.0 14.0 16.0 18.0 Cs - 134 + Cs -137 放射 能 濃度 ( B q/ kg ) 表面線量率 (μSv/h) 不燃物・土壌 可燃物・草 可燃物・枝葉 JNES調査評価式 線形 (不燃物・土壌) 線形 (可燃物・草) 線形 (可燃物・枝葉) y=11000x - 3100 y=2916x + 1800 y=1700x + 10000 図 2.4.3-15 除去物の表面線量率と放射能濃度との相関

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- 464 - 仮置場/現場保管場における,除去物の充てんされたフレキシブルコンテナについて,放射能 濃度と表面線量率との間に以下のような関係が認められた。 ・ 可燃物(枝葉)の表面線量率と放射能濃度との相関性は高く,その定量性は独立行政法人原 子力安全基盤機構の行った災害廃棄物放射能濃度測定結果(図中,「JNES調査」という)にお ける低放射能濃度域(0.90μSv/h以下)の評価式に近い。 ・ 不燃物(土壌)及び可燃物(草)の場合の相関性は低い。この理由としては,フレキシブル コンテナ内の除去物の放射能濃度の不均質性が大きく,表面線量率の測定個所や放射能濃度 測定の試料採取位置によって得られるデータのバラツキが大きくなった可能性が高い。可燃 物(草)の場合は,特にその傾向が強いと考えられる。 表面線量率や重量等の測定結果に加え,除去物の発生場所や内容物の諸元,保管先等を確実に トレースできるように,個々のフレキシブルコンテナに図 2.4.3-16 に例示するような IC タグや 内容物記載タグを取り付けた。 ICタグによる個別管理 場所 A-1 B23-C 日時 11/10/01 12 種別 泥土 線量 500Bq/kg … … I/タグの例 メタルタグの例 ペーパータグの例 図 2.4.3-16 除去物の情報管理用タグの例 b) 除去物の定置 除去物は不燃物と可燃物とを異なるヤードで管理する場合と,仮置場面積の制約等の理由によ り同じヤードに管理する場合とがある。下草・落葉といった可燃物を保管する場合は,容積減少 や圧縮に伴う施設の沈下変形が予想され,その対策を講じる必要がある。表 2.4.3-6 に沈下対策 をまとめる。

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- 465 - 表 2.4.3-6 可燃物の沈下対策 形式 対策 不燃物と異なるヤー ドでの管理 地上保管 事前にチッパー等による減容化を図る。 上部の除去物からの荷重を極力低くするために積み上げ段数を可能な限り 少なくする。 不燃物と同じヤード での管理 地上保管 不燃物と可燃物を交互に重ねるといったサンドイッチ構造とし,不燃物の 荷重による圧縮を図りながら,残留沈下量を極力小さくする(図 2.4.3-17)。 また,盛土全体の変形を抑制するために,骨格となる部分は不燃物のみで 積み上げる。 不燃物を積み上げた上部に,可燃物を定置する。 地下保管 積み上げ段数を可能な限り少なくする。また,予め沈下を想定して,数% 程度の勾配を有する盛土地表面の仕上がりとする(図 2.4.3-18)。 覆土30cm シート( セルフォース) 遮光性シート 可燃物 不燃物 図 2.4.3-17 サンドイッチ構造による沈下防止策     ガス抜き管 遮水シート 除去物(フレキシブルコンテナ) 集水排水管 暗渠排水管 i=0.8%程度(片勾配) i=3.0% i=3.0% 遮水シート 図 2.4.3-18 地下保管における傾斜を有する盛土地表面 (d) 仮置場等の維持管理状況 a) 除去物保管開始時の状況 除去物の定置及び覆土等の設置後の保管開始時に,仮置場/現場保管場における放射線の遮へ いや放射性物質の閉じこめが健全に保たれているかを確認するためのモニタリングを実施した。 その結果を表 2.4.3-7 にまとめる。あわせて防火対策に係るモニタリングも実施した。 これらの結果から,いずれの仮置場/現場保管場でも保管開始時の空間線量率は,保管開始前 と比較して低減していることが確認できた。また,浸出水及び地下水中の放射能濃度は,検出限

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- 466 - 界値もしくは排水基準値を下回った。一部の地区において,最大 25Bq/kg 程度の放射性セシウム が検出された。これは,採水された地下水に濁りが認められたことから,井戸掘削時に汚染され た表土が混入したことによるものと考えられる。 防火対策に係るモニタリングの結果,火災発生が疑われるような高温,及び高濃度の一酸化炭 素,二酸化炭素の発生がなく,安全性には問題ないことを確認している。 表 2.4.3-7 保管開始時のモニタリング結果 除染実施対象地区 空間線量率(1m) (μSv/h) 放射能濃度 (Bq/kg) 保管開始前 保管後 浸出水 地下水 南相馬市 1.74 0.35 水なし 最大 11.6 浪江町津島地区 7.79 1.73 19 19 浪江町権現堂地区 1.67* 0.63 水なし 24.7 飯舘村 4.03 1.33 ND - 川俣町 3.02 1.02 水なし 最大 8.9 富岡町夜の森公園 5.44* 1.44 水なし ND 富岡町富岡第二中学校 2.25* 0.97 水なし ND 葛尾村 2.80* 2.60 ND ND 田村市 0.74 0.58 ND ND 大熊町 36.7 5.6** ND ND 楢葉町南工業団地 0.85 0.59 22 ND 楢葉町上繁岡地区 2.38 1.97 ND ND 広野町 0.92 0.13** ND ND 川内村 5.06 0.68** ND ND *保管場所造成後測定、**保護マット上で測定、ND: 検出下限値未満 b) 継続的な監視結果 除染モデル実証事業においては,継続的な監視を行うにあたり巡視点検要領を策定した。これ は,仮置場/現場保管場における点検監視箇所や,測定及びサンプリング項目や頻度,異常時の 措置方法を定めている。 この巡視点検要領にしたがい,仮置場/現場保管場を継続的に監視した結果,空間線量率及び 地下水の放射能濃度については,保管開始時から 5 月末までの期間において仮置場/現場保管場 における放射線の遮へい機能の低下が疑われるような現象は認められていない。 一方,凍結土壌の融解やフレキシブルコンテナの隙間に残っていた雪の融解によって多量の浸 出水が発生している。これは,本事業が冬期に実施されたことから,阿武隈高地に位置する地区 においては除染時に表土が凍結するとともに,定置中に降雪があったためである。また,可燃物 内の温度が 55℃程度まで上昇した仮置場/現場保管場があった(図 2.4.3-19)。その後低下した が,ガス抜き管の増設等の対策を検討する事態となった。 除染モデル実証事業においては,以上のことを踏まえ,浸出水の漏えい防止を図るための水位 管理方法を定めたマニュアルを策定するとともに,大雨,地震,火災等の緊急時における点検及 び対応並びに報告を迅速かつ的確に行うための緊急時対応マニュアルを策定した。

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- 467 - 5 月 3、4 日にかけて降った 豪雨による浸水 2 月 21 日 遮へい土のう設置完了 1 月 24 日 除去物の定置開始 1 月 28 日 遠隔監視システムの作動開始 4 月 11 日 上部遮水シートの端に 角材を設置 2 月 14 日 遮へい土のう設置開始 2 月 17 日 除去物の定置完了 2 月 18 日 遮水シート設置開始 2 月 24 日 遮水シート設置完了 図 2.4.3-19 可燃物内の温度測定結果 その他,以下に示すような不具合等が発見された。 (i) 仮置場/現場保管場の形状に係る不具合 厳寒地域においては,気温の変化に伴い,遮へい用フレキシブルコンテナ内の土壌が凍結した り,融解したりすることによって,フレキシブルコンテナが変形したために,仮置場/現場保管 場の施設の一部にズレや一部崩れが発生した(図 2.4.3-20)。 さらに,可燃物の腐食や凍結土壌の融解によって沈下が発生した仮置場/現場保管場があった (図 2.4.3-21)。 図 2.4.3-20 側面の遮へい用フレキシブルコンテナの崩れ状況

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- 468 - 図 2.4.3-21 沈下による水溜り (ii) 上部遮水シートの不具合 沈下が発生した仮置場/現場保管場の一部では,沈下が不均質であり,ガス抜き管と遮水シー トの溶着部に不具合が発生した(図 2.4.3-22)。その箇所から強雨時に雨水が浸入した。また, 上部遮水シートの一部に溶着不良があったため,ここから雨水が浸入した仮置場/現場保管場も あった。 遮水シートは,フレキシブルコンテナの上の起伏のある状態で溶着することや,寒冷期に溶着 することで不具合が生じやすかったとも考えられる。 図 2.4.3-22 ガス抜き管周辺の不良個所(赤丸部) (iii) その他の不具合 遮水シートに常時高い水圧が掛かっていると考えられる仮置場/現場保管場が認められた。こ のことを避けるために,直接負荷部分として活用している法面の地下水位を低下させるための排 水溝を掘削するとともに,上部遮へい用覆土中に降水の溜まりを生じさせないために,排水管を 敷設した。 堰堤内に貯水した浸出水を排水するための浸出水ポンプピット(ポリエチレン製)が変形する とともに,変形した浸出水ポンプピットが押し込まれて集排水管との接続部が閉塞し,排水がで きなくなる不具合が発生した(図 2.4.3-23)。これは,浸出水ポンプピットが法面近傍に位置し ており除去物の荷重による水平方向の応力が生じたこと,フレキシブルコンテナと浸出水ポンプ ピットが直に接しており力を受けやすい状態であったことが原因と考えられた。 また,保護マットの一部が野鳥によって損傷を受けている(図 2.4.3-24)。

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- 469 - 図 2.4.3-23 浸出水ポンプピットの変形 図 2.4.3-24 野鳥による保護マットの損傷個所(赤丸部) これまで特段の不具合は認められていないものの,猪や野生化した牛が一部の仮置場/現場保 管場の敷地内に侵入した形跡が認められた。 ② 本事業を通じて浮き彫りにされた課題とベストプラスティクス 2.4.3①(c)b)で述べた可燃物の容積減少や圧縮,凍結土壌の融解に伴う沈下に対する防止策を 講じる必要がある。その一つとして,フレキシブルコンテナ間の間隙を間詰砂などで埋めるとい った方法が考えられる。 また,仮置場/現場保管場内部に配管等を敷設する場合は,除去物の荷重による応力を考慮し た設計や対策を行うことが重要である。具体的には,配管周りのフレキシブルコンテナを安定に 定置するとともに,フレキシブルコンテナと配管の隙間に砂等を充填させること,必要に応じて 配管を二重構造とすることが挙げられる。 積雪量が多く,表土が凍結するような地域においては厳寒期以外の期間に仮置場を建設するこ とによって,2.4.3①(d)b)で述べたような除去土壌等からの多量の浸出水や,不具合の多くを避 けることができると考える。 2.3.4「仮置場の整備・維持管理計画」で述べた,仮置場/現場保管場ごとの遮へい方法や,除 去物の定置方法といった仕様の違いについて,2.4.3①(d)b)で整理した仮置場/現場保管場の継 続的な監視によって明らかとなった不具合内容等と照し合せることにより,それぞれの仕様の長 所・短所をまとめた。遮へい方法の違いに関するものを表 2.4.3-8 に,その他の仕様の違いによ るものを表 2.4.3-9 に示す。今後,仮置場/現場保管場を設計する際には,その場の条件や優先

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- 470 - 的に考慮する事項を整理するとともに,表 2.4.3-8 及び表 2.4.3-9 で示した長所短所を考慮した うえで,仕様の最適化を図る必要がある。 表 2.4.3-8 仮置場/現場保管場の遮へい方法の特徴 長所 短所 側面 遮 水 シ ー トの内側 盛土 ・ 遮へい機能として適切な量を 設置可能 ・ 体積変化への追従が容易 ・ シートの紫外線ならびに鳥獣害の被害が予 見される(⇒遮光性の保護マットを被覆す ることで被害を防止可能) ・ 設置工事が大がかりになる ・ 取り出し時には盛土の汚染確認が必要であ り,汚染があれば中間貯蔵量が増大となる ・ 万一の補修時には,工事が難となる ・ 斜面の安定性確保のため,一定の勾配が必 要となり,仮置場面積が大きくなる フレキシブ ルコンテナ ・ 設置及び取り出し時の対応が 容易 ・ 設置工事が容易 ・ 盛土に比べ斜面勾配を急にで き,仮置場面積の合理化が可能 ・ 遮水シートの不具合を発見し やすく,補修が容易 ・ シートの紫外線ならびに鳥獣害の被害が予 見される(⇒遮光性の保護マットを被覆す ることで被害を防止可能) ・ 遮へい機能としては過剰な量が設置される 場合もあり得る ・ 遮へい用のフレコンが除去物と接触するた め,遮へい用フレコン内の土壌も撤去が求 められる可能性がある 遮 水 シ ー トの外側 盛土 - - フレキシブ ルコンテナ ・ 遮水シートを紫外線ならびに 鳥獣害から防ぐことが可能 ・ 厳寒地においては,フレコン内の土壌が凍 結融解を生じることにより変形し,ズレが 生じやすい 天盤 遮 水 シ ー トの内側 盛土 ・ 遮へい機能として適切な量を 設置可能 ・ 体積変化への追従が容易 ・ シートの紫外線ならびに鳥獣害の被害が予 見される(⇒遮光性の保護マットを被覆す ることで被害を防止可能) ・ 設置工事が大がかりになる。 ・ 取り出し時には盛土の汚染確認が必要であ り,汚染があれば中間貯蔵量が増大となる フレキシブ ルコンテナ ・ 設置及び取り出し時の対応が 容易。 ・ 斜面の設置が容易 ・ 遮水シートの不具合を発見し やすく,補修が容易 ・ シートの紫外線ならびに鳥獣害の被害が予 見される(⇒遮光性の保護マットを被覆す ることで被害を防止可能) ・ 遮へい機能としては過剰な量が設置される 場合もあり得る ・ 遮へい用のフレコンが除去物と接触するた め,遮へい用フレコン内の土壌も撤去が求 められる可能性がある 遮 水 シ ー トの外側 盛土 ・ 遮へい機能として適切な量を 設置可能 ・ 設置工事が容易 ・ 除去物の体積減少による沈下が起こった際 に遮水シートに荷重がかかる ・ 万一の補修時には,工事が難となる フレキシブ ルコンテナ ・ 紫外線ならびに鳥獣害から防 ぐことが可能 ・ 除去物の体積減少による沈下が起こった際 に遮水シートに荷重がかかる 距離による遮へい ・ 設置費用の合理化が可能 ・ 二次廃棄物の発生量が少ない ・ 取り出しが容易 ・ 仮置場の面積の確保が必要 ・ 近傍では線量が高くなり,住民感情として 受け入れられない場合あり

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- 471 - 表 2.4.3-9 仮置場/現場保管場の各仕様(遮へい方法を除く)の特徴 長所 短所 可燃物と不 燃物の定置 方法 可燃物と不燃物 を別ヤードに保 管 ・ 中間貯蔵施設への搬出時の分別が 容易 ・ 可 燃物 の火 災対 策た めの 仮置 場の面 積・高さ制限があるため,仮置場面積 が必要。 可燃物と不燃物 を同一ヤードに 保管 ・ 可燃物と不燃物の配置の工夫によ り,可燃物フレコンの沈降による シート表面の凹凸を最小限とする ことができる ・ 火災のリスクが低下する ・ 可燃物と不燃物の沈降割合が異なるた め,遮水シート溶着部への負荷による 破れが生じる可能性がある。 直接負荷部 分としての 法面の活用 あり ・ 狭隘な敷地でも対応しやすい ・ 遮へいが不要 ・ 背面の地下水位が高い場合,遮水シー トに水圧が掛かりやすい(⇒法面の遮 水施工,場合により地下水対策が必要) なし ・ 法面からの地下水の流入がない ・ 山間部では,切土面積が多く必要 ・ 遮へい部が多く必要 浸出水の貯 水方法 集水枡 ・ 仮置場からの流出量,セシウムの 流出のモニタリングが容易 ・ 中間貯蔵へ移動するまで管理が必要 ・ セシウム濃度が排水基準を超えた場合 の処理装置が必要 ・ 集水枡の容量の設定が難しい 堰堤 ・ 大容量の浸出水の貯水が可能 ・ 設置面積が多くなる ・ 中間貯蔵へ移動するまで管理が必要 ・ セシウム濃度が排水基準を超えた場合 の処理装置が必要 保護土の有 無 保護土の敷設あ り ・ 万一のセシウムの漏えい時に,セ シウムの吸着層としての機能が期 待できる ・ 底部遮水シートの保護が可能 ・ 仮置場の容量の増加 ・ 保護土はセシウム汚染の可能性がある ため,除去土壌等となる 保護土の敷設な し ・ 仮置場の容量の低減 ・ 汚染の無い土の確保が必要ない ・ 保護土の汚染による除去土壌の増 加を生じない ・ 万一のセシウムの漏えいのための対策 が別途必要 ・ 枝葉等の突起物により遮水シートを破 損する可能性が想定される ・ ヤード内に重機が入れない 不燃物の沈 下事前防止 策 あり ・ 沈下がないため上面への雨水の滞 留等がない ・ 不燃物の事前処理施設または場所が必 要。除染物がすぐに仮置場に搬入でき ないため,除染作業に支障の恐れ有 なし ・ 仮置場の設置工事が容易 ・ 事前の処理が必要ない ・ 沈下により上面に雨水等が滞留。滞留 水が仮置場内への流入の恐れ有 可燃物の沈 下事前防止 策 あり ・ 沈下がないため上面への雨水の滞 留等がない ・ 可燃物の事前処理施設または場所が必 要。除染物がすぐに仮置場に搬入でき ないため,除染作業に支障の恐れ有 なし ・ 仮置場の設置工事が容易 ・ 事前の処理が必要ない ・ 沈下により上面に雨水等が滞留。滞留 水が仮置場内への流入の恐れ有

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- 472 - 仮置場等の維持管理の観点では,空間線量率や浸出水量の変動,地下水位,温度等を,図 2.4.3-25 に示すような携帯電話回線等の無線回線を用いた自動モニタリングシステムによって 遠隔監視することは,以下の点でメリットがあると考えられる。 ・ 放射線の遮へいや放射性物質の閉じ込めの安全性が維持できていることを常時監視できる とともに,その結果をタイムリーに公表することができる。 ・ 不具合や異常が生じた場合に,迅速に対応することができる。 ・ 警戒区域などの高線量地域への立入り回数を削減することができる。 ・ 山間部などの測定のために要する労力と時間を削減することができる。 地下水面 除去物 線量計等 • 空間放射線量率 の監視 井戸 • 地下水質及び放射能 濃度の監視 集水枡 ・地下水質及び放射能 濃度の監視 水位測定 基地局 Internet 水位測定発信機 携帯電話 受送信基地 受 信 側 シ ス テ � 図 2.4.3-25 自動モニタリングシステムの概念図

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- 473 - 2.4.4 スクリーニング(汚染検査) ①結果 a) スクリーニングの実績 各スクリーニングポイントにおけるスクリーニングの実績(3 月 31 日現在)は,表 2.4.4-1 の 通りである。 表 2.4.4-1 スクリーニングの実績(3 月 31 日現在) 拠点 北側 西側 南側 作業員等(人) 13,396 6,304 (15,232) 34,223 (25,295) 車両(台) 2,313 2,671 14,425 このうち南側の実績が他の箇所よりかなり大きくなっているが,これは本来,西側から入る作 業員が作業事務所の設置場所の関係から,南側から出入りしたためであり,それらを分けた場合 が,括弧内の人数となる。また,北側では馬事公苑内の駐車場を使用することによりコールドと ホットの車両を使い分けたことがスクリーニングを行う車両台数の抑制につながったが,一方南 側では,十分な駐車場を確保できなかったためコールドとホットを往来した車両が多くなったも のと思われる。なお,これらの実績には,作業視察等による出入りも含まれる。 スクリーニングの結果,作業員等や搬出物品においてスクリーニングレベル(13k cpm)を超え た事例はなかった。特に汚染の比較的高い大熊町などでは,防護服を二重にして作業を実施し, 除染作業場所を離れる際には,上側をその場で廃棄する等により汚染拡大防止を図った結果と思 われる。作業員のスクリーニングの一例を図 2.4.4-1 及び図 2.4.4-2 に示す 図 2.4.4-1 身体スクリーニングの状況(1) 図 2.4.4-2 身体スクリーニングの状況(2) 車両については,北側で 3 件,南側 5 件のスクリーニングレベル超えがあり,西側は無かった。 これらについては,除染作業側による除染でスクリーニングレベル以下となったものや除染不可 のものは廃棄を行ったが,このうち南側についてはタイヤに汚染が固着しているため,除染して もスクリーニングレベル以下にすることができなかったことから,ホット側専用車両として運用 した。車両のスクリーニングの一例を図 2.4.4-3 及び図 2.4.4-4 に示す。

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- 474 - このようにスクリーニングレベル超えの件数が少ない結果となったのは,除染作業現場におけ るスクリーニングの徹底,並びにスクリーニングレベル超えが確認された場合の除染を徹底した ためと思われる。 図 2.4.4-3 車両スクリーニングの状況(1) 図 2.4.4-4 車両スクリーニングの状況(2) なお,北側では主要道路からスクリーニングポイントまでの進入路が長いため,入り口や交差 点に誘導員を常時配備した。スクリーニングの測定作業が日々,多くなる場合は必要に応じて測 定員の増員を図った。また,南側では,本来西側から入る作業員の数が多くなったため,西側か ら測定員を補充して対応した。 b) 放射線管理 各スクリーニングポイントにおける放射線管理のうち,空間線量率,表面密度,空気中放射性 物質濃度については,定点測定箇所を設定して日々測定を行い,結果として大きな変化は見られ なかったことから,除染作業による汚染の持ち込みは発生しなかったと考えられる。これらの測 定結果についての概要を表 2.4.4-2~2.4.4-4 に示す。また,スクリーニングポイント周辺の環境 測定も合わせて行っており,北側と西側について空間線量率,表面密度の概要をそれぞれ表 2.4.4-5 及び表 2.4.4-6 に示す。 なお,南側については表 2.4.4-4 にスクリーニングポイント周辺の環境測定結果を含んでおり, 脚注にも示しているが,12 月 23 日より国道から駐車場への侵入道路について測定点を追加して いることから,それが分かるように区別した。 北側と南側のテントハウスの外壁素材が鋼製であることもあり,テントハウス外と内では線量 率等が半分以下となっている。また,空気中放射性物質濃度は,採取直後に天然核種の影響で検 出限界値を超えていたが,翌日の測定により天然核種の影響を排除したことから,検出限界値以 下(10-6 Bq/cm3のオーダー)であった。

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- 475 - 表 2.4.4-2 スクリーニングエリアにおける測定結果(北側) 項 目 11/28~3/22 (テントハウス外) 12/22~3/17 (テントハウス内) 空間線量率(μSv/h) 1.0~1.6 0.4~0.65 表面密度(cpm) 470~760 160~240 空気中放射性物質濃度(Bq/cm3) 検出限界値以下 同左 表 2.4.4-3 スクリーニングエリアにおける測定結果(西側) 項 目 11/28~3/23 空間線量率(μSv/h) 0.12~0.21 表面密度(cpm) 70~120 空気中放射性物質濃度(Bq/cm3) 検出限界値以下 表 2.4.4-4 スクリーニングエリア及びスクリーニングポイント周辺 における測定結果(南側) 項 目 12/2~3/26 (テントハウス外) 1/9~3/12 (テントハウス内) 空間線量率(μSv/h) 0.99~1.35 0.35~0.54 表面密度(cpm) 750~1,700 ※1 1,300~2,700※2 170~390 空気中放射性物質濃度(Bq/cm3) 検出限界値以下 同左 ※1:観測対象として追加分(12 月 23 日より道路側の測定点を追加)を含まない測定値 ※2:観測対象として追加した分の測定値 表 2.4.4-5 スクリーニングポイント周辺の測定結果(北側) 項 目 作業中(1/4,2/16~2/24) 作業後(2/25~3/22) 空間線量率(μSv/h) 0.5~2.42 0.34~2.3 表面密度(cpm) 230~6,000 150~5,700 表 2.4.4-6 スクリーニングポイント周辺の測定結果(西側) 項 目 作業開始前(11/24,25) 作業中・後(12/12~3/23) 空間線量率(μSv/h) 0.22~0.76 0.25~0.33 表面密度(cpm) 210~1,800 ※1 3,200~3,300※2 280~500 ※1 ※1:作業車両,作業者が使用するエリアを対象とした測定ポイント ※2:作業車両,作業者は直接干渉しないが,参考のため側溝などの測定値

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- 476 - また,スクリーニングポイント運営員の被ばく管理として,運営員は個人線量計を装着すると ともに,スクリーニングの業務を行う際には,必要な防護装備(タイベック,帽子,手袋,マス ク,靴カバー)を装着した。線量実績は,各スクリーニングポイントにおいて表 2.4.4-7 の通り であり,管理値を超える外部被ばくはなかった。なお,内部被ばくについては,前述のように空 気中放射性物質濃度が検出限界値以下であった。 表 2.4.4-7 スクリーニングポイント運営員の線量実績(3 月 31 日現在) 拠点 北側 西側 南側 集積最大(mSv) 0.520 0.215 0.536 個人最大(日)(mSv) 0.014 0.021 0.018 除染作業箇所における放射線管理の確認のため,必要に応じて除染作業箇所での空間線量率等 を測定し,各 JV が実施した測定結果との比較を行ったが,両者の測定結果はほぼ同等であった。 なお,除染作業箇所によっては NaI シンチレーションサーベイメータの測定範囲(30 μSv/h)を 超える箇所もあるため,その場合は,電離箱式サーベイメータを用いて測定を行った。 c) 廃棄物管理 日々発生する防護服などの廃棄物について,表 2.4.4-8 に示すような種類(可燃,難燃,不燃) 別及び作業場所(市町村)別に区別し,袋に詰めて屋外のコンテナで保管管理(施錠管理)を行 ったが,北側では廃棄物の一時保管ができないため,翌日に除染現場へ戻したことから,保管用 のコンテナは設置しなかった。南側においては,廃棄物量が想定より多くなり保管用コンテナが 多数となったため,途中から北側と同様に除染現場へ戻す運用を行った。 なお,市町村別の区別は,発生場所に廃棄物を戻す必要があるためで,スクリーニングポイン トの運営で生じた廃棄物については,各除染作業場所の除去物として扱った。また,廃棄物の集 積により空間線量が上昇するため,保管用のコンテナ表面に注意喚起用の線量率表示を行った。 表 2.4.4-8 主な廃棄物の区分 可燃 難燃 不燃 タイベック,綿手,サージカ ルマスク,防塵マスク,帽子, 靴カバー,紙ウエス ゴム手,ゴム長靴,防塵メガ ネ,難燃シート,アノラック, 雨合羽 全面マスク,半面マスク,マ スクのフィルター 各スクリーニングポイントで発生した廃棄物の内訳は表 2.4.4-9 の通りである。このうち,南 側のみ不燃物が発生しているが,これは比較的汚染の高い大熊町の除染作業において全面マスク を使用したためである。また,西側の発生量は全体的に少ないが,これは除染作業で発生した廃 棄物を現場で廃棄しスクリーニングポイントに持ち込まなかったためである。南側では,比較的 汚染の高い場所では防護服を二重に使用したため廃棄物の発生量が多くなっている。 なお,各スクリーニングポイントで使用している廃棄物を入れる袋の容量が異なるため,総容 量に換算(収納袋容量×袋数)したものを各欄の下段に示す。

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- 477 - 表 2.4.4-9 廃棄物発生量(3 月 31 日現在) 拠点 北側 西側 南側 種類 可燃 難燃 不燃 可燃 難燃 不燃 可燃 難燃 不燃 袋 (数) 742 140 0 74 17 0 2,802 (2,690) ※ 440 (396) ※ 169 (143) ※ 容量 (m3) 66.4 6.3 0 6.6 1.6 0 98.1 15.4 6.0 ※ 南側上段の( )は,本来西側から入る予定であった富岡町分を除いた量 ②歩掛に関する分析 各スクリーニングポイントの運営体制は,原子力機構と業務委託先とによりスクリーニングポ イント毎に 16 名程度とした。また,基本的に除染業務は休日がないことから,例えば 6 日勤務, 2 日休日などの勤務シフトを組むと共に,一日の業務量も午前と午後(スクリーニングは作業終 了後の夕方がピーク)で異なることから,時間差勤務などで対応した。 図 2.4.4-5~2.4.4-7 に各スクリーニングポイントの日別利用人数の推移を示す。これによると, 除染の進捗に合わせてピークが発生しており,各拠点とも一様でないことが分かる。各スクリー ニングポイントに配置したスクリーニング要員については,16 名を基本としつつも各拠点の繁閑 に対して柔軟に人的交流を行って対応した。 歩掛については,各拠点のスペースや屋外交通誘導の必要性など,地点特性によって変化する ため一概には言えないが,スクリーニングポイント内部のサーベイに係る要員数の目安(実績) は,以下のとおりであった。 <作業員1人に対しサーベイ要員2人で対応する場合> 1分/人(サーベイ時間50秒,入れ替え時間10秒) <作業員1人に対しサーベイ要員1人で対応する場合> 2分30秒~3分/人(サーベイ時間2分20秒~2分50秒,入れ替え時間10秒) ここで,サーベイ要員1人で対応する場合が,2人で対応する場合の2倍となっていない理由 は,作業員の体の前面をサーベイ完了した後に,背中面を実施するにあたって回転してもらう等, 2人で行うよりも効率が落ちているためである。

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図 2.4.4-5 北側スクリーニングポイント利用人数推移(南相馬市馬事公苑)

図 2.4.4-6 西側スクリーニングポイント利用人数推移(田村市古道体育館)

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- 479 - ③汎用性に関する分析 スクリーニングポイントの設置にあたっての汎用性の分析については,サーベイを行うための 計測機器(GM 計数管型サーベイメータ)と,スクリーニング建屋の汎用性の分析が考えられる。 GM 計数管型サーベイメータは,生産台数が限られているため納品に時間がかかることに注意が必 要であった。サーベイ要員を多く確保した場合は,その人数分の GM 計数管型サーベイメータが必 要なため,GM 計数管型サーベイメータを多数手配するには,納品まで時間がかかることに注意が 必要であった。また,スクリーニング建屋については,大型のテント型の建屋を建設する場合は, 部材の手配や各種申請書類の手配などで時間を要した。計画的避難区域においては,現場に仮設 ハウスによるスクリーニングポイントを設置した事例があるが,現場組立型の仮設ハウスであれ ば,一般的なレンタル資材であるため汎用性も高く,利用人数に応じたハウスの組立・接続を行 う事により柔軟なスクリーニング拠点の確保が可能であった。 ④コストに関する分析 スクリーニングポイントの主なコストは,スクリーニング建屋の手配費とサーベイ要員の人件 費である。スクリーニング建屋の手配については,現場付近の既設の建屋(公民館や体育館等) の有無の調査を行い,利用の可否について所有者や関係者と相談し,可能であれば既設の建屋を 利用することがコストの面からも望ましい。スクリーニング建屋の規模についても,除染作業の ピーク時期の想定利用人数が一度に入場する際を設計条件にせず,作業時間帯を作業部隊ごとに ずらす(30 分程度)対応を行う設計条件にすることにより,建屋の規模を小さくすることが可能 であり,サーベイ要員の人数も縮小することができると考えられる。 ⑤本事業を通じて浮き彫りにされた課題とベストプラクティス (1) スクリーニング棟(テントハウス)の設置 当初は北側の南相馬市馬事公苑及び南側の楢葉町総合グラウンドのスクリーニング棟の運用開 始をそれぞれ 11 月 28 日及び 12 月 2 日に想定したが,テントハウス設置において設置場所の地盤 の掘削や高所作業などに時間を要したため,実際にテントハウスを用いてスクリーニングを開始 したのは,北側で平成 23 年 12 月 22 日,南側が平成 24 年 1 月 9 日であった。特に,南側は結果 として警戒区域内にスクリーニング拠点を設置することとなったこともあり,作業員の確保や設 置工事等に時間を要した。このため,設置が遅延した期間,屋外やスーパーハウス等を代替し, スクリーニング作業等を行った。 古道体育館については,当初の計画に従い,11 月 28 日より運用を開始し,除染作業等への支 障はなかった。 今後の本格除染等にあたり,スクリーニング棟等の構築物を設置する場合,設置のための要員 の確保,機材準備等に関し,福島県内の状況を熟知した業者により建設することが望ましい。 (2) スクリーニング拠点の運営 スクリーニング拠点の業務運営そのものについては,大きな支障はなかった。また,スクリー ニング拠点を設置したことにより,スクリーニングレベルを超える車両の警戒区域からの持出し を防止することができた。 今後の本格除染にあたっては,線量レベルによっては,作業現場の近くにスクリーニング拠点 を設けることも有効である。

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- 480 - 2.4.5 作業員の労働安全管理 ①結果 (1) 作業安全と衛生 今回の除染モデル実証事業では,労働安全衛生法,労働安全衛生規則,建設業労働災害防止規 定等をはじめとする関係法令を遵守するとともに,作業員の健康管理にも留意しながら除染作業 を進めることとした。 除染作業の実施にあたっては,モデル地点毎に「除染作業実施計画書」を作成し,この中で除 染の作業手順,安全対策,安全管理体制等について作業着手前までに確立し,作業員の安全確保 を図ることとした。 1) 除染作業現地の管理体制 (a)原子力機構の現地管理体制 原子力機構は,各モデル地点における除染作業の作業監理,安全管理を確実に行うため,現地 に監督職員を置いた。 監督職員は,現場で実施する「新規入所者教育」「安全朝礼」「TBM-KY」等に適宜参加するとと もに,安全管理チェックリスト等を用いて各モデル地点の安全管理の取り組み状況を確認した。 原子力機構の現地管理体制(平成 23 年 11 月の事業着手時)を図 2.4.5-1 に示す。 グ ル ー プ A B C 主 任 監 督 員 1名 1名 1名 監 督 職 員 3名 3名 3名 自治体対応及 び 監 督 職 員 3名 3名 3名 対 象 市 町 村 飯館村,南相馬市,川 俣村,浪江町 葛尾村,田村市,富岡 町 大熊町,川内村,楢葉 町,広野町 図 2.4.5-1 原子力機構の現地管理体制(平成 23 年 11 月事業着手時) (b) モデル地点毎の現場安全管理体制 各 JV は,モデル地点毎に現場代理人・主任技術者・災害防止責任者・放射線管理責任者を選任 するとともに,除染作業の施工に必要な職員を現地に配置し,施工監理,安全管理を実施した。 現場安全管理体制の例を図 2.4.5-2 に示す。 福島事務所長 副所長 統括監督員,総括監督員補佐(安全担当)

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- 481 - 【協力会社】 図 2.4.5-2 現場安全管理体制 (c) 緊急時連絡体制 モデル地点毎に事故発生・発見時の緊急連絡,その他異常発生時の連絡手順を定め,作業着手 前に関係各所へ周知徹底した。人身事故等の緊急事態発生時の連絡体制を図 2.4.5-3 に示す。 図 2.4.5-3 緊急事態発生時の連絡体制 現場代理人 発見者 委託先現場事務所 JAEA 監督職員 JAEA 主任監督員 対象エリア市町村 労働基準監督署 消防署 警察署 その他関係機関 委託先本社等 主任技術者 自治体担当者 災害防止責任者 放射線管理責任者 グラウンド・道路担当 大型建物担当 宅地担当 森林担当 災害発生

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- 482 - d) モデル地点毎の安全活動 モデル地点で具体的に取り組んだ安全活動の代表例を以下に示す。 i) 安全施工サイクル(日次,月次の活動) i. 安全朝礼 毎日 8:00 に委託先職員,作業員が全員参加し,準備体操,作業内容・安全重点項目を伝 達。 ii. TBM-KY 作業開始前のTBM(ツールボックスミーティング)及び朝礼後のKY(危険予知)活動 において,施工班毎に作業内容・作業手順等を打ち合わせ,作業における危険なポイントを 指摘し,それに対する措置を検討。TBM-KY 実施状況を図 2.4.5-4 に示す。 図 2.4.5-4 TBM-KY 実施状況 iii. 作業間連絡調整会議 毎日 13:00 より,委託先職員及び協力会社責任者・職長を交えて,当日の作業内容・進 捗状況・安全等の反省を行うとともに,翌日の作業を早く,正確に,安全に作業するための ポイントを協議するため作業間調整会議を実施。 iv. 安全協議会 週 1 回,委託先職員及び協力会社責任者・職長を交えて,翌週の作業内容・工程について の打合せと安全管理・作業間調整等の問題点を協議。 v. 安全パトロール 委託先の安全管理者,各協力会社安全管理者によるパトロールを毎月 1 回実施。また,委 託先職員によるパトロールを毎日実施。 ii) 安全衛生教育 i. 送り出し教育 協力会社は,作業所に入場する作業員に対し送り出し教育を実施し,現場の工事概要,作 業内容,その他必要な連絡事項を伝達。 ii. 新規入場者教育 委託先は新規入場者に対して,「工事の概要」「作業場所のルール,安全の心得」「具体的

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- 483 - な安全作業指示」「現場の立入禁止区域」等の項目について教育を実施。 iii. 安全勉強会 安全に対して特別な指示を受けた場合や,特殊作業・危険作業に従事する場合は,必要に 応じて安全勉強会を実施して,安全知識や手順を周知徹底。 iv. 安全衛生点検 委託先現場事務所では,「使用機械・工具,玉掛ワイヤー等の日々の始業前点検記録」「重 機,機械,設備の月次点検,年次点検記録」「過積載防止の点検記録」「クレーンの打合せ記 録」等の点検を実施し,不具合箇所は是正措置を行い,これらの結果を記録・保管。 iii) モデル地点現地の安全対策 i. モデル事業看板及び交通誘導員の配置 今回の除染モデル実証事業では,一般車両及び歩行者の通行がある現場もあり,第三者災 害を防止する観点から,モデル事業看板を設置するとともに除染作業現場から一般道への出 入口付近等に交通誘導員を配置した。川俣町におけるモデル事業看板の設置例を図 2.4.5-5 に示す。 図 2.4.5-5 モデル事業看板の設置例 ii. 作業職長,重機誘導員等の識別 除染作業では防護服を着用した場合,作業職長や重機誘導員等の識別ができないことから, ヘルメットバンドやヘルメットカバー,安全ベスト等で役割を明確にした。 浪江町松木山地区における安全ベストを用いた取組事例を表 2.4.5-1 に,大熊町夫沢にお けるヘルメットカバー,安全ベストを用いた取組事例を図 2.4.5-6 に示す。 表2.4.5-1 安全ベストを用いた取組事例 役 割 安全ベスト色 現 場 担 当 者 紺 職 長 黄 合図者・玉掛者 赤

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- 484 - 図 2.4.5-6 ヘルメットカバー,安全ベストを用いた取組事例(誘導員) iii. 有資格者の配置 除染作業における有資格者を表 2.4.5-2 に示す。 表 2.4.5-2 除染作業における有資格者 工 種 使 用 機 械 配置した有資格者 森 林 チェーンソー 伐採木の業務に係る特別教育 家 屋 大型建物 高所作業車(作業床高 10m未満) 高所作業車運転特別教育 高所作業車(作業床高 10m以上) 高所作業車運転技能講習 グランド 農 地 バックホウ(機体重量 3t以上) 車両系建設機械技能講習 切削機 車両系建設機械技能講習 不整地運搬車(機体重量 1t以上) 車両系建設機械技能講習 仮置き場 移動式クレーン(吊上荷重 5t以上) 移動式クレーン運転免許 クレーン付きトラック(吊上荷重 1t 以上 5t 未満) 小型移動式クレーン技能講習 玉掛け(吊上荷重 1t以上) 玉掛け技能講習 ブルドーザ(機体重量 3t以上) 車両系建設機械技能講習 iv. 作業中止基準 除染作業の実施に当たっては,悪天候等による災害を防止するため,作業を中止する基準 を設け,基準に該当する場合は,作業を一時中断することとした。作業中止基準を表 2.4.5-3 に示す。 また,作業の再開にあたっては,作業箇所周辺や作業に使用する機械工具等の点検を行い, 作業を再開することとした。なお,クレーンを使用する現場においては,風の向きや強さが 分かりやすいように吹き流しを設置して作業中止基準の目安とした。吹き流しの設置例を図 2.4.5-7 に示す。

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- 485 - 表 2.4.5-3 作業中止基準 項 目 基 準 値 大 雨 1 時間当たりの降雨量 10mm/hr 1 回の降雨量 50mm 強 風 平均風速(10 分間) 10m/sec 瞬間最大風速 30m/sec 大 雪 1 日の降雪量 25cm 地 震 震度 4 以上 落 雷 稲妻から落雷まで 30 秒以内 そ の 他 濃霧で視界が著しく悪い場合 作業に係る構造物等から災害を受ける可能性がある場合 外気温が-10℃より低い場合 作業場付近で火災が発生した場合 図 2.4.5-7 吹き流しの設置例 v. 火気・危険物などの管理 作業場所,事務所,休憩所,喫煙指定場所に消火器を設置するとともに,喫煙指定場所以 外での禁煙を徹底した。また,作業に用いる燃料,暖房用の灯油等を保管する場所には,危 険物の各指定容量以上を置かないように責任者(危険物の有資格者)が適切に管理した。 vi. 主要建設機械・資機材の管理 委託先は,持込む建設機械の使用届,定期自主検査表,持込時点検表の提出を確認すると ともに,取扱責任者が,作業開始前に使用前点検を点検項目に従い実施し,その結果を記録 した。 また,資機材については,現地保管場所を定め,ロープ,看板等で明示した。

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- 486 - 2) 除染作業における安全対策 a) 代表的な除染作業における安全対策 i. 除染作業全般 作業員は保護帽,保護メガネ,防塵マスク,保護手袋,安全靴,防護服(タイベックスー ツ)等の安全装備品を使用するとともに,除染作業エリア付近における事故防止のため,関 係者以外の立入禁止の表示板等を設置した。また,除染が完了した箇所については,再汚染 防止のためにロープで区画して除染完了の表示を行った。 ii. 高所作業 転落防止のため,親綱,ロリップ,安全帯等を使用するとともに,高所作業車を使用する 作業では,始業前点検の実施や有資格者による操作を徹底した。 iii. 重機作業 誘導員を配置し,重機の作業範囲を明確にし,作業員の接触を防止するとともに,始業前 点検の実施や有資格者による操作を徹底した。 3) 健康管理 今回の除染モデル実証事業では,作業員の健康管理のため以下の項目を実施した。 ・ 新規入場者教育時に,氏名・住所・連絡先・経験年数・健康状態(血圧や持病の有無)・保 有資格等を確認するとともに,雇い入れ時健康診断の実施状況も確認。 ・ 朝礼時のラジオ体操実施及び作業員の健康状況(血圧の測定等)確認(図 2.4.5-8 参照)。 ・ 定期的に作業休工日を設定。 ・ 作業現場周辺に休憩所を設け(大熊町夫沢,楢葉町上繁岡を除く),計画的に休憩ができる ようにした(図 2.4.5-9 参照)。 図 2.4.5-8 朝礼時のラジオ体操 図 2.4.5-9 休憩所内部の状況 (2) 被ばく管理 作業員の被ばく線量測定・管理の方法 1) 線量限度の設定 作業員の被ばく線量については,将来の本格的な除染事業への対応を想定し,モデル実証事業 で設定した目安線量である 15mSv/年を超えないようにした。被ばく履歴がある作業員について は,モデル実証事業の従事前の被ばく線量とモデル実証事業における従事期間中の累積被ばく線

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- 487 - 量を合算した上で,電離則の線量限度を上限として管理した。 2) 内部被ばく線量測定 全ての作業員を対象として,除染作業従事期間の開始時及び終了時に WBC(ホールボディカウ ンタ)による内部被ばく検査を実施した。 3) 外部被ばく線量測定 作業期間中,全ての作業員にポケット線量計と積算型の線量計(ガラス線量計又は OSL 線量計) 着用させることによって,除染エリア,仮置場,除染エリアから仮置場までの運搬経路における 外部被ばく量の管理を実施した。 ポケット線量計は作業日毎の管理用とし,作業日の作業開始時に配布・着用,作業終了時に回 収した。積算型の線量計は評価用とし,除染作業従事期間の開始時に配布・着用,作業従事期間 終了時に回収した。ポケット線量計及び積算型の線量計の使用方法及び特徴は,放射線管理の有 資格者が作業員に対し教育を行い,これらの測定器を適切に使用した。 作業期間はモニタリング及び除染作業を合わせて最大 2 ヶ月程度であるため,積算型線量計に よる作業員の外部被ばく実効線量は,当該作業員の除染作業従事期間終了後に算定した。除染作 業期間中の累積被ばく線量は,ポケット線量計による外部被ばく線量で管理した。ポケット線量 計及び積算型線量計による外部被ばく線量測定を確実に実施するため,各除染作業エリアの休憩 所等において以下の事項を行った。除染作業における一例を以下に示す。 a) 除染作業における外部被ばく測定(管理)方法の例 i) 作業従事開始日 i. 各作業員が作業従事する作業開始時に積算型の線量計を貸与した。 ii) 一日の作業開始時 i. ポケット線量計の受渡し場所において,各作業員は,個人線量計貸出管理記録簿に会 社名,氏名,作業内容,作業エリア,線量計 No,貸出時間等を記入した。 ii. 各作業員はポケット線量計を受け取り,各作業員はポケット線量計の電源を入れて 作動確認を行い,確実に測定できる状態であること(指示値が 0 であることなど)を 確認したのち,ポケット線量計を着装した。 iii. 作業員が 2 人 1 組となり,お互いのポケット線量計及び積算型の線量計の着装を指 差し確認した。 iv. 各作業員は装着場所で所定の放射線防護装備を着用した。 iii) 作業終了時 i. 各作業員は各除染作業エリアのスクリーニング場所で,放射線管理員が行う GM 管式 サーベイメータによる身体表面の汚染検査を受け,頭部,手,足及び衣服に汚染のな いことを確認した。なお,汚染があった場合は,脱装エリアで放射線防護装備を脱装 し,再度スクリーニングを受けた。 ii. 身体表面に汚染があった場合は,除染エリアで濡れキムタオル,ウェットティッシ ュ等を用いて除染することとした。 iii. 各作業員はポケット線量計受渡し場所で,ポケット線量計に示された作業当日の累 積被ばく線量と記入時の時刻を個人線量計貸出管理記録の各自の欄に記入しポケッ ト線量計を返却した。

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- 488 - iv) 作業従事終了日 i. 各作業員の作業従事終了日の作業終了時に積算型の線量計を返却した。 v)個人線量計の管理 i. ポケット線量計及び積算型の線量計には,ナンバリングを行い台帳で確実に管理した。 4)測定結果の記録・管理 内部被ばく線量及び外部被ばく線量の測定結果は,作業員ごとに被ばく線量台帳に記録した。 被ばく線量台帳はて電子データ化して保存・管理し,各作業員に対して結果を通知した。 WBC の測定結果は記録レベル(1mSv)未満であり,有意な内部被ばくは確認されなかった。ま た,外部被ばくの測定結果は,表 2.4.5-4 のとおりであった。 表 2.4.5-4 外部被ばくの結果 除染実施地域 年間積算線量 (mSv)*1 作業期間 (日) 作業員数 (人) 平均線量 (mSv) 個人最大線 量(mSv) 広野町 3 116 367 0.16*2 0.77*2 田村市 4 52 237 0.02 0.12 楢葉町 (南工業団地) 4 118 331 0.11 0.83 南相馬市 5 78 336 0.12 0.36 葛尾村 8 61 343 0.05 0.25 楢葉町 (上繁岡地区) 11 90 206 0.12 1.3 川俣町 15 89 307 0.21 0.99 飯舘村 19 80 617 0.33 1.24 川内村 20 110 249 0.39 1.8 浪江町 (権現堂地区) 26 54 302 0.41 1.15 富岡町 (富岡第二中学校) 32 78 627 0.33 1.56 富岡町 (夜の森公園) 43 浪江町(津島地区) 48 40 188 0.52 1.41 大熊町 (町役場周辺) 65 130 223 1.56 8.52 大熊町(夫沢地区) 344 108 304 2.43 11.6 *1 除染実施区域の事前モニタリングによって測定した空間線量率から個別に試算した値。 *2 ガラス線量計により評価した積算線量で,他の地区のようなポケット線量計による作業時間 内の線量のみを積算したものとは評価方法が異なる。

図 2.4.3-1  仮置場/現場保管場のレイアウトの例(続き)
図 2.4.3-1  仮置場/現場保管場のレイアウトの例(続き)
図 2.4.3-2  仮置場/現場保管場施工の流れの例
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