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単孔式現場透水試験法の解析公式の誘導

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Academic year: 2021

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(1)

Hvorslve 型単孔式現場透水試験法の解析公式の誘導 Hvorslev 型単孔式現場透水試験法の理論式は定常式を用いて非定常式に展開するものであり,その 報文 1)にも定常式の誘導は記載されていない。この試験法の背景となる理論は,すべてが定常式から 始まると考えて差し支えないことから,ここでは非定常式の誘導に先立って,最も使用頻度の高いパ ッカー法の定常式の誘導を解説する。 (1) 水平/鉛直方向での透水異方性を考慮した導入 (2) 三次元ラプラスの式の球面座標系への変換 (3) 無限小ポイントでの sink/source に対する解の誘導 (4) 試験孔内無限 sink/source 配列による孔内水位低下量の解の誘導 (5) 孔内代表水位低下量の設定 (6) 解析式誘導のための近似化 (7) その他の考察 ① 孔内平均水位低下量 sav ② 関数 sinh-1(x)の近似 (8) 多段階水圧上昇試験 (1) 水平/鉛直方向での透水異方性を考慮した基礎方程式 三次元直交座標系で標記透水性を考慮した基礎方程式は以下となる。 0 2 2 2 2 2 2          z s K y s K x s Kx y z (1) さらに,透水異方性を次のように定義する KhKx=Ky,KvKz (2) この関係を考慮し,基礎方程式の両辺を Khで除す。 0 2 2 2 2 2 2 2          z k k s y s x s v h (3) ここで,異方性度√(Kh/Kv),を定義し,これを用いて z 方向成分を z'z とすることで等方性場と見 なせ,以下の三次元ラプラスの式となる。 0 '2 2 2 2 2 2          z s y s x s (4) (2) 極座標系への変換 直交三次元座標は以下の置き換えが適用できる(資料 1-02 シリーズ参照)。   cos sin 

x ysinsin z'cos (5)

ここで,2 =x2+y2+z'2 (注意:この資料でρ は流体密度ではなく座標原点から当該点までの距離としている。) よって,三次元直交座標軸上の基礎方程式は次式に書きかえられる。 0 sin 1 cot 1 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2                          s s s r s s (6) ここで,軸対称放射状流れのみ考慮することから,/=0,/=0 とできる。よって,以下の基礎方 程式となる。

(2)

or 2 0             s (7-2) (3) 無限小ポイントでの sink/source に対する解の誘導 基礎方程式の一般解は以下となる。 B A s   (8) ここで,A,B は境界条件によって決まる定数 境界条件:→∞ s→0,よって,B=0 (9) 境界条件: dr ds K q h 2 4   ,よって,         2 2 4   K A q h (10) これより, h K q A 4 (11) (注:異方性(x, y, z)場について,水平方向スケールを基準とした等方性とした座標場(x, y, z')に変換し たため,透水係数は Khとなる。) 以上により,所定の境界条件下における無限小ポイントでの sink/source に対する解は次式となる。  Kh q s 4  (12) (4) 試験孔内無限 sink/source 配列による孔内水位低下量の解の誘導 上述の理論解は,無限小ポイントの湧水流量 q に対する水位低下量 s の関係式である。これに対し て,現場透水試験孔はストレーナー区間長を有する。ここでは,この区間上に無限小ポイント sink/source が一列に無限数配列され,それぞれポイントで等分布流量 q が与えられているとモデル化 し,以下の関係とする。 q=Q/L (13) ここで,Q は試験孔ストレーナー全体で認められる流量である。このとき,試験孔内の任意の点(x, y, z') における水位低下量 s は,配置された流量ポイント(x, y, )による(x, y ,z')点での水位低下量を重ね合わ せたものである。ここで,流量ポイントは z'軸に沿って配置されていると考える,すなわち(0, 0, )。

   14 i Kh i q s   (14) ただし,ここでは,着目した任意点(x, y, z')と流量ポイント(0, 0, )間の距離を表す。 また,着目した任意点は試験区間周面位置とすると以下のようには以下のように定義できる。

2 2

2 2 2 ' '    xyz  rwz (15) 以上の考察から,着目した任意点(x, y, z')での水位低下量 s は次式となる。 a) 試験区間周辺に難透水層がない場合

      2 2 2 2 2 2 2 2 ' 4 4 4 L L w h L L h L L h r z d L k Q d k q k qd s               (16) b) 試験区間周辺に難透水層がある場合 難透水層の影響を鏡像法によって考慮すると,以下となる。

(3)

 

          L L w h L L h L L h L L h z r d L k Q d L k Q d k q k qd s                     2 2 ' 4 2 4 2 4 4 (17) 積分範囲が異なることに注意する。 rw ρ z x y η L rw ρ z x y η 2L 鏡 像 揚 水 点 実 揚 水 点 難 透 水 層 帯 水 層 図-1 試験区間近傍に難透水層のない場合 図-2 試験区間近傍に難透水層のある場合 ここで,積分項のみ以下に誘導する。

           2 2 2 ' 1 ' w w w r z r d z r d     (18) w r z   ' よって,drwd (19)

            2 2 2 1 1 ' 1       d r d r r z r d w w w w (20) 公式集から次式が誘導されている。

 

   1 2 sinh 1     

d (21) よって,次式が誘導できる。

 

1 2 2 1 2 1 1 2 2 2 4 sinh 1 4 ' 4                    

L k Q d L k Q z r d L k Q s h h w h (22) a) 試験区間周辺に難透水層がない場合 1=-L/2, 1=(z'+L/2)/rw=(z'+L/2)/(D/2) (23) 2=L/2, 2=(z'-L/2)/rw=(z'-L/2)/(D/2) (24)

 

                            2 2 ' sinh 2 2 ' sinh 4 sinh 4 1 1 1 1 2 D L z D L z L k Q L k Q s h h        (25)

(4)

1=-L, 1=(z'+L)/rw=(z'+L)/(D/2) (26) 2=L, 2=(z'-L)/rw=(z'-L)/(D/2) (27)

 

                            2 ' sinh 2 ' sinh 4 sinh 4 1 1 1 1 2 D L z D L z L k Q L k Q s h h        (28) 上式から,試験孔流入出総流量 Q に対して,試験区間周辺の難透水層の有無を考慮した孔内鉛直座 標点 z’における水位低下量 s が与えられた。 (5) 孔内代表水位低下量の設定 前項(4)で得られた理論解は試験孔の一つの点での水位低下量 s であるため,ストレーナー区間での 分布を鑑み,孔内の代表的な水位低下量を設定しなければならない。 孔内代表水位低下量の算定にはいくつかの考え方があるが,Hvorslev1)が採用しているのは z'=0 地点 での水位低下量 s を孔内代表水位低下量とするものである。 a) 試験区間周辺に難透水層がない場合 この場合,z'=z=0 高さは,試験区間 L の中央部分である。                                                         1 ln 2 sinh 2 2 2 sinh 2 2 sinh 4 2 1 1 1 D L D L L k Q D L L k Q D L D L L k Q s h h h         (29) b) 試験区間周辺に難透水層がある場合 この場合,z'=z=0 高さは,試験区間 L の近傍難透水層のある側の端部である。                                                         1 2 2 ln 2 2 sinh 2 2 sinh 2 sinh 4 2 1 1 1 D L D L L k Q D L L k Q D L D L L k Q s h h h         (30) (6) 解析式誘導のための近似化 前項(5)で基本的な理論解の誘導は完了しているが。Hvorslve はさらなる簡略化を進めている。関数 の特性を以下のように分析している。 関数 sinh-1 (x)を級数展開すると次式となる。

 

 

              6 2 2 1 6 1 6 4 2 5 3 1 4 1 4 2 3 1 2 1 2 1 2 ln sinh x x x x x for x1 (31) Hvorslev1)によれば,Samsioe2)が,x4 のとき,上式の x べき乗項の入った分数は無視され,次式と なることを誘導したとある。

 

x ln

 

2x sinh1  for x4 (32) これは,次式で考えると,ルート内の(+1)項が有意であるか否かを考えていることになる。

(5)

 

 

x x x x x x 2 ln ln 1 ln sinh 2 2 1                  (33) この特性を試験孔代表水位低下量式に適用すると以下となる。 a) 試験区間周辺に難透水層がない場合        D L L k Q s h

2 ln 2 よって,        D L sL Q Kh   2 ln 2 for L/D4 (34) b) 試験区間周辺に難透水層がある場合        D L L k Q s h   4 ln 2 よって,        D L sL Q Kh   4 ln 2 for 2L/D4 (L/D2) (35) ここで示した簡略化が何故必要であったのかまでは Hvorslev1)は明確に記載していないが,当時の計 算技術を鑑みると,平方根(√)の扱いは数表などから内挿補間する必要があるなどの手間があり,当 該試験のような現場での対応には些か煩わしかったのではないかと推察する。 (7)その他の考察 ①孔内平均水位低下量 sav 項(5)で,孔内代表水位低下量は,z’=0 座標点での水位低下量で代表させているが,ここでは試験 孔スクリーン上の水位低下量を平均化した savを考えてみる。 ' 2 2 ' sinh 2 2 ' sinh 4 ' 2 2 ' sinh 2 2 ' sinh 4 1 2 2 1 1 2 2 2 1 1 dz D L z D L z L k Q dz D L z D L z L k Q L s L L h L L h av

                                                                (36) ここで, 2 2 ' D L z    dz'=(D/2)d より

 

 

LD D L L L D d D dz D L z           2 0 2 1 2 0 1 2 2 1 1 sinh 2 ' sinh 2 ' 2 2 ' sinh                 

(37) また, 2 2 ' D L z    dz'=(D/2)d より

 

 

0 2 2 1 0 2 1 2 2 1 1 sinh 2 ' sinh 2 ' 2 2 ' sinh D L D L L L D d D dz D L z                             

(38) さらに,02L Dより

(6)

 

 

 

 

 

 

 

                                                             1 1 sinh 1 sinh 1 1 1 sinh 2 1 sinh 1 1 1 sinh 2 1 sinh 1 sinh 2 2 0 0 1 0 2 0 0 1 0 2 0 0 1 0 2 0 0 1 0 2 0 0 1 0 0 2 1 0 2 1 0 0                        D D D D (39)                2 ln 4 2 1 D L D L D L D    (40)                2 ln 4 2 1 4 2 D L D L D L L K QD s h av     より 平均水位低下量の場合:                2 ln 4 2 1 4 D L D L D L L D Q Ls Kh av     (41)        D L L K Q s h   2 ln 2 より z’=0 代表水位低下量の場合:        D L Q Ls Kh   2 ln 2 4 (42) ここで,=1 とし,以下の試算を行った。 L/D (41)式 (42)式 (41)式/(42)式 4 3.795 4.159 1.095 10 5.477 5.991 1.094 実際に観測している水位がどちらであるか?の課題はあるが,孔内の代表水位の取り方で 10%程度 の違いがあり,(42)式は(41)式よりも大きな透水係数を計算する傾向を有する。 ② 関数 sinh-1 (x)の近似 表記の関数は以下の定義であり,これを近似した形で解析式が誘導されている。

 

      ln 1 sinh 1 x x x2 (43) sinh-1(x) ln(2x) x4 Samsioe2): x=4 のとき真値との差 1%未満 (44) sinh-1(x) ln(2x) x10 Hantush3):x=10 のとき真値との差 0.1%未満 (45) sinh-1(x) x x0.1 Hantush3):x=0.1 のとき真値との差 0.1%未満 (46) (なお,試験孔口径の 1/10 を設置する(x<0.1)ことはまずない) -2 -1 0 1 2 3 4 5 6 0.01 0.1 1 10 100 x fu n c ti o n (x ) ①sinh-1 ②x ③ln(2x) ②適用範囲 Hantush(1964) ③適用範囲 Samsioe(1931) 現行計算式 ③適用範囲 Hantush(1964) 0.8 0.85 0.9 0.95 1 1.05 1.1 1.15 1.2 0.01 0.1 1 10 100 x ra ti o o f fu n c ti o n -va lu e s ②/① ③/① ②適用範囲 Hantush(1964) ③適用範囲 Samsioe(1931) 現行計算式 ③適用範囲 Hantush(1964) 図-1 関数 sinh-1 (x)の近似 L/D>4 での近似を多用

(7)

代表的な井戸仕様について Hvorslev1)の一覧表を紹介しておく。

(8)

(8) 多段階水圧上昇試験 砂質系地盤での定常試験では一つの孔内外水位差あるいは一つの揚水/注水流量に対する試験とす ることが多いが,岩盤などでは注水有効水圧を多段階に上昇さらには降下させるルジオン試験的な手 法がとられる場合がある。この場合も,各段階で測定流量が定常とみなせる時点での有効注水圧力と の間に定常式が成立することで,透水係数を評価することができる。 ここで,岩盤を対象とするとき,透水性が低いことから試験孔削孔作業や試験装置設置作業によっ て撹乱された水圧状態が,試験開始時までに自然状態に回復していない場合がある。これに対して以 下の対応によって自然状態に回復していない状況下での試験が実施できる。 まず,前提条件として,当該試験期間中に自然水位の回復は試験で与える水圧に比べて十分小さい ため,試験中の地盤内水圧は一定であると考えられるとする。このときの,地盤内の水圧と自然状態 の水圧差をΔp とすると,測定値である試験開始前の水圧 Piが得られるので,自然状態の水圧 Poは以 下で表すことができる。 p Pi Po  (47) 試験の段階 k の測定水圧を Pkとする。このときの注水圧力 Pk’は以下である。 p P P P P Pk' koki (48) このときの注水流量を Qkとする。 水の単位重量をγwとし,水圧を水頭換算した sk’で表しておく。 w i k w o k w k k p P P P P P s           ' ' (49) さて,ここで sk’と Qk には以下の関係が見られる。 ' k k KFs Q  (50) ここで,F は試験孔で決まる形状関数であり,例えば,先述のパッカー式では以下となる。                  1 ln 2 2 D L D L L F    (51) さて,ここでsk’には本来の自然状態水圧 Piと水圧差Δp の項があるため,試験中にはこれを定義する ことができない。そこで,次段階(k+1)での測定結果を考えてみる。 ' 1 1    k k KFs Q (52) 段階 k と比較すると以下となる。

                          w k k w i k w i k k k k k P P KF p P P p P P KF s s KF Q Q    1 1 1 1 ' ' (53) このように,段階間の異なる流量差に着目すると,自然状態水圧 Poや現状水圧との差Δp を把握で きていなくとも,測定した水圧 Pkおよび Pk+1を用いた関係式が得られる。 【参考文献】

1) Hvorslev,M.J.: Time lag and soil permeability in ground-water observations, Waterways Experiment Station Corps of Engineers, U.S.Army, 50p., 1951.

2) Samsioe, A.F. : Einfluss von Rohrbrunnen auf die Bewegung de Grundwassers(Influence of wells on the movement of ground water), Zeitschrift fur angewandte Mathematik und Mechanik, Vol.11, pp.124-135, April, 1931. <関数 sinh-1の近似>

(9)

1964. <関数 sinh-1の近似>

4) Abramowitz, M. and I.A. Stegun: Handbook of mathematical functions, pp.65-226, 1970.:公式集 5) Carslaw, H.S. and Jaeger, J.C.: Conduction of heat in solids, Oxford University Press, pp.230-232, 1959.

<三次元浸透公式の理論解>

6) Harr, M.E.: Groundwater and seepage, McGraw-Hill, pp.259-262, 1962. :本理論解基本誘導 7) Grandshteyn, I.S. and Ryzhik, I.M.: Table of integrals, series, and products, the fifth edition, Academic

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参照

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