福祉心理学
第8回
神戸医療福祉大学 藤田益伸
ストレスという便利な言葉
• ストレスとはどんな場合にも持ち出すこ とができ、自分の態度行動をそのせいに することができてしまう便利な言葉 • ストレスでつい食べ過ぎてしまう • ストレスで子どもを怒鳴ってしまう • ストレスで買い物に走ってしまう • 食べたいから食べている? • 子どもを思い通りにしたいだけ? • 買物が好きだから買い物をしている?トートロジー(同義反復)
• 同じことを違った言い方で表現する どうして子ども を怒鳴る? ストレスが あるから どうしてストレス があるといえる? 怒鳴って いるから 説明になって いない ↓ 堂々巡り ↓ 問題の原因を 個人の責任に していまう• 随伴性:行動と結果との関係性を • 図示したものを随伴性ダイヤグラムという 4 A.先行事象 B.行動 C.後続事象
ABC分析
で行動を捉える
• 行動の直前・直後に何が変化したかに着目!強化
(reinforcement)
1. ある行動をした 2. 自分にとって良い結果があった 3. それ以後、その行動をするようになった 怒鳴る 言うことを聞く 行動の増加 B.行動 C.後続事象 言うことを 聞かない A.先行事象用語の定義・使い方に注意
3.虐待の捉え方
• 対象者と支援者等との基本的な関係性から 考える。 加害者 施設 管理者 保育所 幼稚園 児童 相談所 医療 関係者 学校 職員 近隣 住民 家族 虐待被害 児童虐待を引き起こす要因(p16)
1. 保護者
2. 子ども
3. 養育環境
4. その他
参照:京都府 https://www.pref.kyoto.jp/kateis hien/gyakutai_01genin.html1.保護者側のリスク要因
1. 妊娠・出産 • 若年の妊娠、望まない妊娠 • 早産、子供の長期入院 • マタニティブルーズ、産後うつ等 2. 育児 • 育児不安・ストレス • 特異な育児観・強迫観念に基づく子育て 3. 性格 • 攻撃的・衝動的な性格 • 精神疾患等の病気2.子ども側のリスク要因
1. 乳児・未熟児・先天性疾患 2. 障害児 3. 性別・外見 • 「女の子が欲しかったのに」「外見がかわ いくない」「嫌いな夫・妻に似ている」 4. 性格 • よく泣いてなだめにくい • かんしゃくをおこしやすい • 自分の要求にこだわる • いちいち反抗する3.養育環境のリスク要因
1. 経済的困窮 • 失業、転職を繰り返す • 低賃金 2. 社会的孤立 • ひとり親家庭 • 転居を繰り返す • 内縁者や同居人がいる • 離婚・再婚を繰り返す • 夫婦の不和、DVなども要因になる4.その他のリスク要因
• 保護者が胎児や自分の健康に無頓着 • 妊娠届が遅い • 母子健康手帳を受けていない • 妊婦健康診査を受診しない • 飛び込み出産 • 医療・福祉等の関係機関と関わりがない • 支援を拒否する虐待が子どもに与える影響(p19)
• 身体への影響 • 打撲、裂傷、火傷 • 栄養障害 • 発育遅滞 • 知的発達面への影響 • 落ち着いて勉強できない • 学力低下 • 知的発達の阻害心理・行動面への影響(p20)
1. 対人関係の障害 • 強い不信感 • 距離感がわからない 2. 低い自己評価 • 否定的な評価を受け続けることによる • 歪んだ自己像(私が悪いんだ…) 3. 衝動性 • 攻撃的、衝動的な行動で他者を傷つける 4. 多動 • 常にビクビク、そわそわ心理・行動面への影響(p20)
5. 心的外傷後ストレス障害(PTSD)
• Post Traumatic Stress Disorder
6. 偽成熟性 • 一見、大人びた行動をとる • 常に顔色を伺うような無理をした状態 7. 精神的症状 • 記憶障害、離人感 • 解離性同一性障害
反応性愛着障害 RAD(p21)
• 人と目を合わせず抱きつく、養育者に近 づいたり逃げたり逆らったりするなど、 通常では見られない不安定で複雑な行動 態様を示す愛着障害の一種 • 2つの型 1. 抑制型:人との関わりを避ける 2. 脱抑制型:誰に対しても無差別に愛着 行動を示す乳幼児揺さぶられ症候群 SBS(p21)
• 新生児、乳児を過度に揺さぶられた時に 起こる重症の頭部損傷 • 赤ちゃんは頭が重く頚の筋肉が弱いので、 揺さぶられた時に頭を自分の力で支えるこ とができない • 頭蓋骨の内側に脳が何度も打ち付けられる • 硬膜下血腫、脳内出血 • 運動障害、言語障害、知的障害ほか虐待する保護者のタイプ(p35)
• 育児は常に予想外のことが起こり、思う 通りにはいかないもの • 完璧主義タイプの保護者 • 育児はこうしなければならない • 育児はこうあるべきだ • 計画通りいかず、達成感が得られにくい • 育児に対する理想と現実の落差が激しい虐待の世代間連鎖
(p35)
• 保護者が自ら幼い頃に虐待を受けた場合、 大人になって自分の子どもに虐待をする • 学習理論 • 保護者の虐待的養育行動をモデルとして学習 • 同じような養育態度を子どもに取る • 役割逆転 • 親子の役割が逆転し、親から満たされなかった 愛情欲求を我が子に求めるが、それが満たされ ない裏切られ感から、焦燥・怒りを感じる • 例:子どもの泣き声が不快感、負の感情を呼び 起こす被虐待児が親になるということ
• 被害的認知 • 被虐待児は、「自分は悪い子」という低い 自己評価と、「他者は自分を責め、自分を 傷つける存在」という他者イメージを持つ • 親の自尊心 • 自尊心が低下したまま親になる • 育児不安 • 統制不能感が高い母親は育児不安も高い • 社会的孤立 引用:佐名隆徳.被虐待児の特徴と療育について H27講演資料 https://www.slideshare.net/takanoriSame/h27-58137136代理ミュンヒハウゼン症候群
MSBP(p37)
• ミュンヒハウゼン症候群 • 周囲の関心を引くために、自分自身の病気や けがをねつ造すること • 代理ミュンヒハウゼン症候群の場合、 傷つける対象が自分ではなく、代わりに自 分の子どもを病人やけが人に仕立て上げる • 「病気の子どもを看病して、偉いですね」と 称賛をうけるため毒親(p37)
• Susan Forwardによる俗語 • 親の子どもに対するネガティブな行動パ ターンが執拗に継続し、それが子どもの 人生を支配するようになってしまう 1. 過干渉、統制型 2. 無視型 3. 暴力型 4. 病気型 • 搾取子・愛玩子共依存
Co-dependency(p37)
• 他人に対するコントロールの欲求で、他人に頼 られていないと不安になる人と、人に頼ること で、その人をコントロールしようとする人との 間に成立するような依存・被依存の関係 参照:身近にある「共依存」を 知って 健全な人間関係に戻ろう https://city.living.jp/common/k arada/1054291共依存
Co-dependency(p37)
• 自分と特定の相手がその関係性に過剰に依存 しており、その人間関係に囚われている関係 への嗜癖状態(アディクション) • 自分自身に焦点があたっていない状態 • 自分の価値を、周囲の基準だけを頼りに判断す る • 自分がどうしたいかではなく、周囲の期待に応 えることだけに必死 • 他の人の問題を解決することにいつも一生懸命被共依存者とイネイブラー
• イネイブラー Enabler
• 依存症者を手助けすることでかえって依存 症の回復を遅らせてしまう周囲の人間
参照:身近にある「共依存」を 知って 健全な人間関係に戻ろう https://city.living.jp/common /karada/1054291 娘は、母に嫌わ れたくないため に、母の虐待に 我慢を続ける 参照:共依存の意味とは?診断,夫婦,親子関係,恋愛関係への対処法 https://www.direct-commu.com/chie/relation/co-dependency01/