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CONTENTS History Psychology and Human Studies Field Studies 学 部 長 からのメッセージ TAKAGI Yutaka Western Languages and

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(1)

新潟大学人文学部

2015 Campus Guide

2014年7月30日発行 発行/新潟大学人文学部 編集/人文学部広報・情報委員会 〒950−2181 新潟県新潟市西区五十嵐二の町8050番地 TEL 025−262−6281 (新潟大学人文学部学務係)

Psychology and Human Studies

Field Studies

History

Japanese and Asian Languages and Linguistic Cultures Western Languages and Cultures

(2)

CONTENTS

学部長からのメッセージ

入試

新潟大学 人文学部長

高木 裕

TAKAGI Yutaka  人文学部では、人文科学の専門分野を大きく6つに分けて、主専攻プログラムを たてています。この6プログラムに、人文科学の諸学問が結集しています。人文科学 の知識・理解は、グローバル化した社会においては「人間力」の基盤となるもので、社 会の現場で必要とされる発想力、ヴィジョン、柔軟な思考力は、人文科学という学問 分野で培われた「教養」からこそ、生み出されてくるものです。  人文学部では、この「教養」をベースに、実践的に、チームワーク力とコミュニケー ション力を育成し、表現力を豊かにするために、少人数の「表現プロジェクト演習」を 開設しています。学生は、新聞、演劇、映像、写真、民俗芸能など、さまざまな課題に 取り組み、成果を発信しています。  わたしたちは、基本的・実践的な「人間力」を培うとともに、グローバル社会の課題 に積極的に向き合い、変化のスピードに対応できる人材の養成に取り組んでいます。 近年の人文学部の就職率の高さは、この人材養成の取り組みによるものだと考えて います。  人文学部を志望する皆さん、わたしたちの学部で学び、ぜひ「あなた自身」のテーマ を見つけてください。人文科学のさまざまな分野の70名近いスタッフが皆さんを応援 します。 そのほか、人文学部には、下記の特別入試があります。 なお、入試情報の詳細は、平成27年度入学者選抜要項および学生募集要項を参照してください。 ●帰国子女特別入試 ●中国引揚者等子女特別入試 ●社会人特別入試 ●帰国子女特別入試(10月入学) ●私費外国人留学生特別入試 いずれも若干人 ●3年次編入学入試 (定員6人) ■ 学生募集要項(出願書類添付)請求方法 募集要項(出願書類添付)を請求する場合は、新潟大学Webページの資料請求ページ (http://www.niigata-u.ac.jp/gateways/admissions/10_admissions_040.html)にアクセスして請求してください。

02 学部長からのメッセージ

入試

奨学金、学費・経済支援制度

03 人文学部の教育

05

心理・人間学

09

社会・地域文化学

13

歴史文化学

17

日本・アジア言語文化学

21

西洋言語文化学

25

メディア・表現文化学

30 留学生の声

31 就職データ

32 卒業生の声

33 キャンパス マップ

心のしくみを実証的に解き明かす心理学と、人間の精神が生み出してきた思想的文献を読み解く 人間学の分野を学びます。 研究室にこもるだけが勉強じゃない。教室を出て野で考えるフィールドワークの学問です。 社会学・文化人類学・民俗学・考古学・人文地理学・芸能論などを学びます。 日本語学と日本文学、あるいは中国語・朝鮮語と中国・朝鮮の言語文化を研究する分野です。それぞれの 言語に即したカリキュラムが用意されているので、希望する言語文化について深く学ぶことができます。 英語、ドイツ語、フランス語、ロシア語の基礎的な運用能力をもちいた 西洋言語文化の学習・研究を行います。 情報社会やマスコミュニケーション、映像文化、身体表現、サブカルチャーなどの さまざまなメディア・表現文化について学びます。 日本、アジア、西洋の歴史的出来事の中から専門的なテーマを選んで探求します。 古文書や遺跡、遺物など、原史料まで掘り下げて歴史の実態を学びます。

29 国際交流・大学間交流

奨学金、学費・経済支援制度

 新潟大学では、さまざまな経済支援制度を用意しています。入学料や授業料の全額または半額の免除・徴収猶 予の制度、日本学生支援機構や地方公共団体などが行っている奨学金制度などがあります。  新潟大学独自の支援制度として、年間学業成績優秀者を対象にした、返還不要の奨学金を支給する制度もあ ります。一時的な学資の支払いが困難な学生に対して修学支援金を貸与する制度、さらに人文・法・経済3学部の 奨学金制度もあります。人文学部では約4割の学生が各種奨学金制度を利用しています。詳細は、新潟大学Web ページ(http://www.niigata-u.ac.jp)か学務部学生支援課(Tel.025-262-7337)にお問い合わせください。

一般入試

推薦入試

前期日程

後期日程

定員 145

定員 50

定員 30

定員 225

Psychology and Human Studies

Field Studies

History

Japanese and Asian Languages and Linguistic Cultures

Western Languages and Cultures

Representation and Media Culture

(3)

教育理念と求める学生像

学習の進め方

カリキュラムの特色

 新潟大学人文学部は、人間とその文化を対象として、多角的・総合的な視野から教育と研究を行うことを理念としていま す。人間、社会、文化の多様性を学修できる環境を整えており、次の4点に集約される基本的能力、態度、姿勢を有する人材 の養成を行います。

人 文 学 部 の 教 育

 こうした教育理念を実現するために、人文学部では、しっかりとした基礎学力と旺盛な学習意欲をもつ人、豊かな感性と強い関心 をもって学習に取り組む人、そして人間・社会・文化に関わる諸問題に関心のある人を求めています。  人文学部のカリキュラムでは、専門的な内容を深く学ぶことができるように、そして、これからの社会で活躍するために必要な 技能を身につけることができるように、さまざまな内容が用意されており、大きく【教養教育に関する授業科目】と、【専門教育に 関する授業科目】に分かれています。なかでも、教員や学生同士で対話を積み重ねて学びを深める、少人数制の演習を重視し ています。人文総合演習から基礎演習、発展演習、表現プロジェクト演習まで4年間途切れることなく演習で学んでいくことが、 人文学部の魅力です。  4年間の学習の最後には、卒業論文を書くことになります。様々な講義・実習・演習の成果を一つにまとめて発表することは、 大学での学びを自らにしっかりと定着させるとともに、人生を自ら切り拓く際の貴重な自信を得ることにつながるでしょう。  人文学部では、教養教育と専門教育の連携の上に構築さ れた学士課程教育の中で、確かな専門知識と幅広い教養を 涵養し、人文的実践知を育むことを目指しています。  6つの主専攻プログラムでは、それぞれ学習の到達目標を 設定し、どのような専門知識を修得できるか、どのようなプログ ラム固有の能力を獲得できるかを具体的に示すとともに、学 生の目標設定に応じて、きめ細かく履修指導します。  教養教育と専門教育が融合したカリキュラムにより、広 い視野と深い教養を培うことを目指すとともに、4年一貫の 少人数の演習をとおして、自己表現する能力、傾聴する能 力、課題を主体的に探究する能力など、基本的な「人間力」 の育成にも力を注いでいます。  2∼4年次の間に選択できる表現プロジェクト演習では、協 同で創造的な活動を行い、地域社会にむけて発信する授業を 行っています。映画の製作と上映、新聞社との提携による紙 面制作と一般世帯への配布、国際的なアーティストの指導に より行われるオブジェの作成と展示など、様々な内容で展開し ています。表現プロジェクト演習を中心とした試みは、国内外の 教育関係者から高い評価を受けています。  またキャリア科目では、様々な業界の方から講義を受けた り、就職活動や卒業後の人生設計について学んだりするこ とができます。  選択科目として各種外国語の中級・上級科目が用意され ており、4年間一貫して語学能力を伸ばしていくことができ ることも、人文学部カリキュラムの強みとなっています。 中学校、高等学校(社会、地理歴史、公民、国語、英語、ドイツ語、フランス語、ロシア語、中国語、情報) の教諭一種免許が取得できます。所定の教職関係科目、教科専門科目の単位が必要です。

教員免許

学芸員

社会調査士

社会調査に関する基礎的な知識・技能、相応の応用力と倫理観を修得した者に認定される資格です。 社会学・社会調査関係の所定の科目の単位が必要です。 博物館や美術館の専門職員になるために必要な資格です。博物館概論・博物館実習などの所定の科 目の単位が必要です。

取得可能な資格

第1 セメスター セメスター第2 セメスター第3 セメスター第4 セメスター第5 セメスター第6 セメスター第7 セメスター第8

教養教育

専門教育

外国語(必修)

基礎演習

発展演習

発展講義・実習

基礎講義・実習

人文総合演習

入門講義

外国語(選択)

キャリア科目(選択)

表現プロジェクト演習

その他、自然系科目、社会科学系科目、領域融合・超域科目 などの各種選択科目

一年次末に 主専攻プログラムが 決まります。

卒業論文

 英語やそれ以外の外国語を集中的 に学びます。また、「人文総合演習」で は、少人数編成の授業で、大学での学 習に必要なスキルを身につけます。さら に、人文学部の専門的な分野への入 門となる講義を受講します(「入門講 義」)。1年次末に主専攻プログラムが 決まります。6つの主専攻プログラムが ありますが、それぞれの詳細は次頁以 下をよく読んで下さい。  「発展講義・実習」で、専門的で高 度な内容の授業を聴講します。そし て、「発展演習」では、少人数の授業 で、専門文献の解読、討論や発表活 動などを通して、自分自身の研究テー マを深めていきます。  「基礎演習」では、それぞれの主専 攻プログラムについて基礎的なスキ ルを身につけるため、少人数の授業 で学習していきます。「基礎講義・実 習」では、専門の基礎となる内容を、 講義を聴いて理解し、実習や実験を 通して体得していきます。

1年次

(第1、第2セメスター)

2年次

(第3、第4セメスター)

3,4年次

(第5∼8セメスター) 人間、社会、文化に関わる諸問題に多角的・分析的にアプローチを試み、主体的に取り組むことができる。 社会のなりたちとその歴史を深く理解し、人類が生み出した文化に敬意を持ち、その価値を後世に正確に伝えることができる。 身近な課題の探究を通して、地域社会に貢献する。 異文化に対する理解を深め、調和ある国際社会の形成に貢献する。 □ □ □ □

カリキュラムのポイント

専門教育と教養教育が有機的に連携した、学士課程 一貫の教育を目指す 4年一貫した少人数演習により、「主体的取組能力」「日 本語表現能力」「課題探求能力」などの向上を目指す 「表現プロジェクト演習」により、協同力、創造力、表現力 の向上を図る キャリア意識形成教育を拡充する 多彩なメニューを備えた外国語教育を進める 「学びの空間」を大学にとどめずに、地域社会へと広げる ■ ■ ■ ■ ■ ■

1

2

3

4

(4)

心理・人間学プログラム

心 理・人 間 学

主専攻プログラム

ひとは何を思い、

生きるのか?人間という謎にいどむ

 私たちにとって、人間という存在ほど不思議なものはありません。ひとの心はどのように働き、何を生み出すのでしょうか。こ のプログラムでは、実験や調査によって心のしくみを実証的に解明するとともに、人の心が作り出してきた思想的文献を読み解く ことで、人間の謎にせまります。

心理・人間学プログラムで学べること

人間とは何か? 人間の認知のメカニズムを探る 学習と記憶のしくみを知る 性格や個性を測る 集団の中の心の動き ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ 子どもの心の発達を知る 欲求の心理を探る ひとはなぜ誤るのか? 哲学的に思考し、議論する ■ ■ ■ ■ 生命と環境の倫理学へ 人間の言語の仕組みを解明する 言語と行動の関係を知る 古典語(ラテン語など)を学ぶ ■ ■ ■ ■ 人類の思想的遺産を読む 宗教を思想的に理解する 科学的な方法論とは何か? 哲学や思想の歴史を学ぶ  心理・人間学プログラムは、人間とその心の解明をめざ して、心理学と人間学の分野を学ぶプログラムです。  人間の行動やその心の働きをあつかう心理学分野では、 実験や調査などの実証的方法によってこれらの問題にアプ ローチします。心理学実験や調査に関わる基本的技能を身 につけるとともに、知覚・認知、記憶・学習、動機づけ、性格、 対人関係や集団の心理、心理学の応用など、幅広い領 域にわたる心理学の知識の習得を目指します。  人間学分野には、哲学・西洋哲学史、倫理学、宗教 思想史、科学思想史、言語学の学問領域があります。人 間の心(精神)は、日常的な言語活動から哲学的な思考 や科学的な探究にいたるまで、そして道徳的な善悪の判断 から宗教的な信仰にいたるまで、じつに多様な精神的所産 を生み出してきました。人間学分野では、主として外国語で 書かれた原典文献の読解をつうじて、これら哲学、宗教、 科学、言語などの人間の知的な営みの原理を解き明かし、 人間性について理解を深めていきます。  このプログラムは、人間が直面するさまざまな課題に対し て、人間についての深い理解に裏づけられた科学的分析 と思考ができるような人材の育成をめざします。  心理学は文字どおり、「心の理(ことわり)の学」です。こう最初に 教えてくれたのは大学時代の恩師です。言うまでもなく、心の主体は わたしたちの「脳」ですが、からだから切り離されて、脳だけがポツンと あるわけではありません。わたしたちは、五感を通して絶えず外界の 情報を取り込み、身振り手振りから話し言葉まで運動を通して感情 などを相手に伝えます。つまり、脳から心が生まれるためには、外の 世界との絶え間ない対話が必要なのです。こうした知覚と運動はど のような関係になっているのでしょうか?  右の「ミュラーリヤー錯視(の変形)」を見てください。左右の軸はまったく同じ長さなのですが、円が外接する右側のほうが、内接する左 側よりも長く見えます。この錯視は非常に強力で、そう見えないようにすることはできません。では、こうした錯覚を引き起こす対象に対して 働きかけようとすると、どういうことが起こるでしょうか?実験協力者には「左あるいは右の軸に手を伸ばして、つかんでください」とお願いする ことで、軸をつかむ際の手の開き幅が錯視の影響を受けるかどうかが検討できます。長く見えるものには、当然、手を大きく開くでしょうか?  実は、手の開き幅は錯視の影響を受けず、軸の実際の長さに対応します。つまり錯視は、知覚には強い効果を持ちますが、手の開き 幅にはほとんど影響を及ぼしません。眼はだまされても、運動はだまされないのです。このことから、「見たものが何であるかわかる」という過 程と「見たものに働きかける」という過程が別だということがわかります。にわかには信じられないかもしれませんが、「見る」というのはただ 一種類のできごとではないのです。これがわかったのは、ごく最近のことです。  心のことわりを調べるのに、必ずしも最新の機器を必要とはしません。大切なのは、アイディアと工夫、そして論理的な明晰さです。 100年以上も前に発見された錯視図形への運動反応を糸口に、これまで隠れていたより基本的な心のことわりが見えてくる。こうした 古さと新しさが同居した営みそのものが、心理学の最大の魅力のひとつかもしれません。  ラジオやインターネットなどを用いて、まったく知らない言語の音声 に耳を傾けてみてください。「意味」が分からないでしょう。この時に 私たちは、言語とは、物理的には単なる音声の連なりに過ぎないこ とを自覚するのです。話し手の発した音声が聞き手の耳に入り意思 が伝わる(時には聞き手の心を揺さぶる)こと、それ自体が不思議で あり、客観的に捉えにくい現象なのです。  言語学が何をする学問なのか、一口に説明することは容易では ありません。言語学の究極の目標は、人間言語全般の解明、すなわち世界の諸言語の仕組みを明らかにすることだと言えます。世界に は、6,000から8,000もの異なる言語が話されています。この中に含まれる話し手の数が少ない言語や、あるいは小さな方言なども、研 究対象として、英語や中国語などの大言語と等しい価値を持っています。それぞれが独自の「仕組み」を有するからです。  私はこれまで、東シベリアで話されているサハ語の研究を続けてきました。サハ語の話者数は、約45万人と新潟市の人口の半分程 度にすぎません。しかしこの言語もやはり独自の緻密な構造を備えており、さらには祖先の言語の状態を知るための手掛りを内包してい ます。最近になって私は、トゥバ語という同じくシベリアで話される言語(話者数は約30万人)の研究も始めました。こうした「小さな」言語 の仕組みを調べていると、今までは見えなかった日本語や朝鮮語などの「大きな」言語の構造が見えやすくなることがあります。ここに、 異なる言語を比較対照することの意義があります。シベリアから東アジアまでを含めた諸言語について、その共通点と相違点を明らか にしたい。これが近年の私の目標です。  日本語と英語しか知らないのに人間言語全体について語ることは、カブトムシとクワガタだけを例に昆虫全般を語るようなものです。 世界の言語の多様性に触れ、あるいは意外な共通点を見出しつつ、「人間言語とは何か」という問いに立ち向かいましょう。

P s y c h o l o g y a n d H u m a n S t u d i e s

心理学

倫理学

言語学

科学思想史

哲学

宗教思想史

教員からのメッセージ

言語 −身近にひそむ未知

江 畑 冬 生

准教授

EBATA Fuyuki

知覚と運動のことわり

工 藤 信 雄

准教授

KUDOH Nobuo

(5)

学生の声

最近テレビでメンタリズムというものが流行りました。その影響のためか「心理学= 人の心が読める」というイメージがあるかと思います。しかし、私たちが学ぶ心理学は それとは少し異なり、人の行動や認知、心の働きを実験によって明らかにしてゆくと いう学問です。まるで理系みたいと感じると思いますが、私たちの学ぶ心理学はまさ に科学です。授業では実際に自分で実験を行い、それによって得られたデータを統 計処理してまとめるので、理科系的な知識を必要とします。また、論文は英語で書かれているものが多く、語学力や精読力も大切となる ので、思っていたよりも大変です。ですが、心理学の学生は少人数でみんな仲が良く、助け合いながら楽しく研究をしています。ちなみに、 今私が興味・関心を持っているのは「記憶」です。楽しい、悲しいなどの感情状態や気分によって記憶に差がみられるのかといった「感 情と記憶」の問題や、記憶パフォーマンスの違いは動機づけや性格特性によってどの程度説明できるのかといった問題を研究したいと 考えています。実験心理学に興味を持った方、人の行動を科学的に解明したい方、ぜひ新潟大学で一緒に勉強しましょう!

心理を科学で解明する

小 池 珠 恵

心理学 3 年 人間学分野では哲学や科学思想史、言語学など人間の思想を様々な視点から幅 広く学ぶことができます。その中でも私は、人間の思想に触れながら世界中の儀礼 や神話について学ぶことのできる宗教学(宗教思想史)を専攻しています。「宗教」 と聞くと皆さんはどのようなイメージを持つでしょうか?あまり馴染みの無いものだと感 じる方も多いと思いますが、クリスマスやお墓参り、食事など身近なものに宗教は関 係し、宗教学の研究対象は多岐にわたります。私は演習の授業でルーマニアの宗教学者ミルチャ・エリアーデの本に出会い、世界各 地にある宗教現象に面白みを感じました。例えば、都市の構造、加入儀礼、伝承など様々なところに宗教現象が見られます。卒業論文 でもエリアーデについて研究を進めるつもりです。宗教学のゼミではイスラム史上、最大の思想家の一人とされるガザーリーの著作を読 み進めています。ガザーリー本人の思想はもちろんですが、文献を通してイスラム教の歴史の歩みや、文化、風習などを知ることができま す。政治や戦争など、普段何気なく見ていた世界情勢のニュースでも、各宗教の考え方を知ることで、その背景が分かり、まったく変わっ たものに見えてきます。

宗教学を学ぶ

鈴 木 晶 裕

宗教学 4 年 哲学と聞くと、抽象的で難しい学問というイメージをもたれがちです。しかし実際に取 り組むとそんなことはなく、「善と悪」「生と死」「幸福」「愛」「美」など、私たちが生きて いくなかで、当たり前のことのように思って意識していないテーマについて、あらため て深く見つめなおす学問であることが分かります。しかも、哲学は長い歴史をもって おり、これまでの多くの哲学者の研究が残されています。その先人たちの文献を読 み解くことで、自分とは異なる視点の考えを学ぶことができます。くわえて、講義や演習において先生や他の学生と意見を交わすことで、 より多くの視点からの思考方法を体得することができ、それが自分自身の思考をより深く多面的なものに変えてくれます。日常生活のな かでなにかに悩んだとき、自分の過去の経験や知識だけに頼ったり、一時の感情に流されたりするのではなく、哲学を学ぶことで得た多 面的な思考を試みることによって、今まで気づかなかった新たな選択肢を見出すことができるかもしれません。みなさんも私たちと一緒 に、人間学で哲学を学んでみませんか?

哲学を学ぶ

波 多 野 支 希

哲学 4 年

鈴木 光太郎

(スズキ コウタロウ) 実験心理学 SUZUKI Kotaro 人間や動物の感覚や知覚、認知や行動を研究しています。とくに現在の関 心は、動物と比較して、ヒトにはどのような心の性質や行動傾向があるのか、 ヒトの心の性質は長い進化の時間のなかでどのように形作られてきたのかに あります。学部では、心理学実験のほか、認知と行動、動機づけの心理学、 比較心理学といった授業科目を担当しています。ヒトの心の研究は、やれば やるほどおもしろいよ! 教授

白井 述

(シライ ノブ) 知覚・発達心理学 SHIRAI Nobu 主に運動視(動いているものを視覚的に認識する能力)の発達について研 究しています。これまでの研究から、生後数ヶ月の赤ちゃんも大人と良く似た 運動視特性を持つことを明らかにしました。現在は、運動視と移動行動(ハイ ハイやつかまり歩き)の発達の関係に興味を持っています。また運動視の進 化的側面にも関心があり、学外の研究機関と協力してニホンザル等を対象 とした研究も行っています。 准教授

宮崎 謙一

(ミヤザキ ケンイチ) 聴覚・認知心理学 MIYAZAKI Kenichi 聴覚を通してまわりの世界やそこで起こっているできごとがどのようにとらえら れるのかという問題を研究しています。その中でも、音楽の知覚と認知が主 な研究テーマで、特に絶対音感を持つ人の音のとらえ方に関心を持ってい ます。これまでの研究で、一般に考えられている見方とは違って、絶対音感は 音楽と無関係な能力であり、むしろ音楽をやる上では困った問題を引き起こ すものであることが明らかになりました。常識をくつがえす発見に満ちている 分野が心理学だと言えます。 教授

福島 治

(フクシマ オサム) 社会心理学 FUKUSHIMA Osamu 講義では、自尊心や魅力、恋愛や集団心理などが話題の中心です。身近な 事柄なので、自らの経験と関連させて聴く学生さんも多いようです。人格心理 学も教えています。こちらでは、性格についての様々な理論を話しています。 専門家の考える性格は、一筋縄ではとらえきれませんが、そこから考え方の多 様性を学んでほしいと思っています。研究テーマは自己知識や対人葛藤で す。皆さんの入学を心待ちにしています。 准教授

工藤 信雄

(クドウ ノブオ) 応用心理学 KUDOH Nobuo ヒトはどのようにして外界をとらえ、身体の動きを通して外界に働きかけている のか。認知と運動を支える仕組みを探るのが現在の研究テーマです。授業で は、航空管制や各種プラント、交通場面で起こる事故やヒューマンエラーの 分析を通して、人間の知覚・認知特性や、作業および生活空間の最適な設 計を考えています。心理学は、生物学やコンピュータ科学はもちろんのこと、 経済活動などとも関わりが深いため、実に奥が深い! 准教授

栗原 隆

(クリハラ タカシ) 人間学・倫理学 KURIHARA Takashi ヘーゲルを中心とするドイツ観念論の思潮を掘り起こしながら、「疑う」ことに 思索の原動力を求めるとともに、〈自分とは何か〉を知ろうとする知的な営み にこそ、〈主体〉の成り立ちがあることを研究しています。他方で、生命倫理や 環境倫理の問題に即しながら、私たちは自分の身体に自由に手を加えてい いのか、エゴイズムはなぜいけないのか、私たちの自由に限界はないのかな ど、身近な倫理的な問題を解き明かそうとしています。 教授

城戸 淳

(キド アツシ) 哲学・西洋近世哲学史 KIDO Atsushi カントの批判哲学を焦点に、近世の西洋哲学史を研究しています。哲学には 「私とは何か」や「世界はなぜ存在するのか」など、いくつかの宿命的な問い があります。哲学史を学ぶ醍醐味は、さまざまな哲学者の思考の癖やキャラ クターを体得しつつ、それらの問いを何世紀もの長い思想史の流れのなかで 考えることにあります。ヨーロッパ近世の哲学のテクストを読み解きながら、そ んな哲学史のフィールドを探索する日々を送っています。 准教授

宮 裕助

(ミヤザキ ユウスケ) 哲学・現代思想 MIYAZAKI Yusuke 専門はヨーロッパの現代哲学です。関連して美学、倫理学、言語や政治の 理論等も幅広く研究しています。現代は多様な世界観が混沌としてせめぎ 合い、将来を見通すことが本当に難しくなっています。迷宮のように入り組ん だ現代思想の水先案内人としての役目を果たすことで、学生の皆さんには、 思想や哲学の面白さに触れ、次の時代を生き抜くための知をつかみとっても らえればと願っています。 准教授

江畑 冬生

(エバタ フユキ) 言語学・言語類型論 EBATA Fuyuki 研究対象は言語です。言語は物ではないので、実際に手にとって調べるわけ にはいきません。人間の言語活動を観察する必要があります。人間が意思を 相手に伝える際、言語が手段になります。物理的には音声が用いられます。 音声が対話者の耳に入り意味として理解されたときにはじめて、伝達が成立 します。発した瞬間に消えてしまう音声と、客観的に捉える事が難しい意味。 ある種つかみどころのない音声と意味を、なんとか科学的に解明しようするの が言語学です。言語は我々にとって身近すぎる存在ですが、ふだん意識され ないその構造には驚くべき緻密さが見られるのです。 准教授

井山 弘幸

(イヤマ ヒロユキ) 科学史・科学基礎論 IYAMA Hiroyuki 研究と称するには些か抵抗を覚えるけれど、在籍した約30年間を振り返ると 結構いろいろなことに首をつっこんでいる。助手時代は「18-19世紀の英国 の自然哲学史」、その後は「文学の中の科学」という新領域、特に「ユートピ ア思想と科学」「宮澤賢治と科学」「サイエンス・イメージ論」の文献を読み 漁った。もとより「科学的合理性」の主題とは関わってきたが、途中から「偶然 論」へと問題転移した。近年は「お笑い」の理論・事例研究で忙しい。 教授

青柳 かおる

(アオヤギ カオル) 宗教学・イスラーム思想史 AOYAGI Kaoru ガザーリー(1111年没)を中心に、アラビア語の文献を読みながら、古典時 代のイスラーム思想史、とくにスーフィズム(神秘主義)を研究しています。ガ ザーリーの「婚姻作法の書」を翻訳し、婚姻、女性、セクシュアリティーについ てスーフィズムの視点から研究してきました。最近は、現代のイスラーム法学 者の文献も分析し、古典時代から現代までのイスラームの女性問題および 生命倫理問題の変遷を明らかにしたいと考えています。 准教授

教員紹介

(6)

社会・地域文化学プログラム

社 会・地 域 文 化 学

主専攻プログラム

多様な世界をフィールドワークする

 社会・地域文化学プログラムの特色であるフィールドワーク=現地調査とは、直接現地に足を運び、自らの目と耳を使い、五 感を働かせて調査し、考えることです。フィールドワークは、人々が築いてきた世界を実感し、人間社会の多様性を理解するた めの極めて有効な方法なのです。

社会・地域文化学プログラムで学べること

地域づくりの社会学 公共圏の構築 現代社会における市民運動 権力の社会学理論 災害復興の地域社会学 ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ 家族の社会学 ジェンダーの社会学 儀礼の解釈に関する人類学的理論 マスメディアの人類学的研究 環境の民俗学 ■ ■ ■ ■ ■ 北アジア遊牧民の考古と文化 絵図を考える・絵図から考える 歴史地理学の潮流 民俗芸能と年中行事 日本の古典芸能 ■ ■ ■ ■ ■ 新潟県の民俗文化 水利慣行と村落 縄文時代の狩猟採集社会の考古学 考古学からみた日本古代国家形成過程 古墳時代の豪族居館  社会・地域文化学プログラムは、社会学、文化人類学、民 俗学、考古学、人文地理学、芸能論の6つの学問分野から 成り立ち、幅広い視野から社会や文化を学べるところに特 徴があります。  社会学は人と人との関係性に注目して、社会の現象を分 析します。たとえば家族や地域の問題を調べ、よりよい関係 の可能性を探究します。文化人類学は自分たちの見方を普 遍的な尺度として異文化を見るのではなく、その社会固有の 見方を知ることを目指しています。民俗学は世代を超えて伝 承されてきた慣習や言い伝えなどから、わたしたちの生活文 化の変遷や意味を考えます。考古学は人類出現以降を対 象に、土器などの遺物、構築物の跡である遺構や遺跡から 人々の営みを研究します。人文地理学は地形、人口、産業、 交通といった視点から、地域の歴史や現在社会の問題を研 究します。芸能論では雅楽、能楽、歌舞伎などの古典芸能 と、現在行われている民俗芸能を、文献史料の解読と現地 調査を通じて研究します。  研究の対象や資料はさまざまですが、いずれの分野も フィールドワーク(現地調査)を重要な研究方法と位置づけ ている点で共通しています。本プログラムでは、フィールドワー クを重視した多彩なカリキュラムによって、多様な地域で展 開してきた人々の営みを理解する力を養います。 エチゴさん「サドウ先生、進学する専攻を選ぶのに迷っているので、相談に のってください。先生の専門の社会学って何をするのですか?」 サドウ先生「近年、貧困や高齢者介護、差別、災害、過疎化などで多くの人 びとが困難な生活を強いられています。こうした人びとの声は表立って発言す ることができないことが多いのです。表立って声に出せない声を聞いて社会 に問題提起することは、社会学の大事な仕事です。」 エチゴさん「社会学は、どのような方法を用いるのですか?」 サドウ先生「調査の仕方は、直接インタビューしたり、質問紙を用いて調査し統計分析したり、行事に参加して観察したり、日常生活を共 にしたり等、いろいろあります。こうしたあらゆる方法を用いて調べます。」 エチゴさん「社会学の特徴は何ですか?」 サドウ先生「社会学の特徴のひとつは、この多様な方法を用いることを挙げることができます。多様な方法で調べることはさまざまな視点 からものごとを見ることになります。いろいろな角度から見ると、それまで常識と思われていたことがらも、そうではない異なる側面が見えて きます。一面的ではない理解をすることが大切です。」 エチゴさん「社会学を勉強すると何かいいことがありますか?」 サドウ先生「たくさんありますが、ひとつだけ言います。現代の社会はグローバル化や個人化がすすんでいるため、自分と価値観や生き方 が異なる人びとを理解することがとても重要になっています。その点、社会学は目の前にいない人びとに共感し理解する能力を涵養して くれます。現代社会を生きる上で大切な、他者を理解する能力を養うことができるというメリットがあります。」 エチゴさん「先生は何を研究しているのですか?」 サドウ先生「日本とタイの地域研究をしています。主に、住民がどのような地域づくりをしているのか、ということを調査研究しています。地 域では政治も経済も宗教も福祉もあらゆる活動がありますので、あらゆる対象を調べる必要があります。タイは日本とたいへん異なります ので、そうした異質な社会を研究することは日本や西洋の社会を理解する上でとても役に立ちます。もっとも、タイを勉強したおかげでタ イ化しましたけれど。(笑)」  私の専攻は民俗学です。民俗学は、日本各地の生活文化を調査して、日本の歴 史を明らかにする学問といってもよいでしょう。私の出身が新潟県佐渡島ということ もあり、海のあることがいかに人々の暮らしを豊かなものにしてきたのか、海からの視 点で人々の暮らしをとらえてみたいと考え、おもに海沿いの地域で調査をしています。  たとえばこの図は、1883(明治16)年に東京上野公園で開催された第1回水産 博覧会に佐渡島から出品されたスルメイカ漁の様子を描いたものです。現在のイカ 漁は、魚群探知機やGPSなどのハイテク機器を駆使してイカの群れのいる漁場へ 向かい、漁場ではコンピュータ制御されたイカ釣りロボット(自動イカ釣具)でイカを釣り上げています。こうした漁法は1960年代以降のこと で、それ以前は図のような釣具やそれを改良した釣具を用いてイカを釣り上げていました。  図のイカ釣具は、江戸時代の終わりに佐渡で考案されたといわれるもので、明治時代後半には日本の沿岸はもちろん、韓国沿岸にま で伝えられていました。スルメイカは、初夏から晩秋にかけて日本海を大回遊するといわれ、資源量も大きく、内臓を取り去り乾燥すれば製 品としてのスルメになるので、沿岸地域の漁民にとっては重要な換金商品でもありました。  資源が豊富で経済的価値も高いとなれば漁具の発達をみるのも当然で、イカ漁が人々の暮らしを支える生業の一つとして生活文化と も深く関わっていました。  ものの伝わりや広がりを伝播といいますが、道具や技術の伝わりや広がりは、言葉などの伝わりとは異なり、急速で、伝わればすぐ活用 されるので、私は言葉などの伝播とは区別して技術移動と名付けています。これからも、日本列島における技術移動のありようを人々の伝 えている生活文化から探ってみようと思っています。皆さんも一緒に、人々の伝えているさまざまな生活文化を探ってみませんか。大きな発 見がありますよ。

F i e l d S t u d i e s

社会学

考古学

文化人類学

人文地理学

民俗学

芸能論

教員からのメッセージ

技術の広がりを求めて −漁業民俗の世界−

池 田 哲 夫

教授

IKEDA Tetsuo

社会学 Q&A

佐 藤 康 行

教授

SATO Yasuyuki

(7)

学生の声

この世界にはさまざまな文化や社会が存在しています。文化人類学は、それらを 内と外の両方から見つめ、理解し比較することで人間について研究する学問 です。社会地域文化学コースは現地に直接行って調査を行う「フィールドワー ク」を重視するという特徴があります。私の所属する文化人類学専攻では、3年 生から4年生にかけて研究テーマとその調査地を自分の興味関心に合わせて 決めることが出来るので、より主体的に取り組むことができます。また、研究室の雰囲気もよく、日々楽しく勉強しています。近年グ ローバル化が進み、異文化を意識する機会が増えてきました。異文化について学び、その多様性や共通点を理解することで、私 たちが普段「あたりまえ」だと思っていたものがまた違ってみえるかもしれません。興味がある方はもちろん、よくわからないという方 も一度、文化人類学を学んでみてはいかがでしょうか。

視点をやしなう

金 聡 美

文化人類学 3 年 皆さんは、能や狂言、歌舞伎などを見たことがありますか?「伝統芸能」や「民俗 芸能」と呼ばれるもの、それが芸能論の研究対象です。「芸能論」なんて言うと 堅苦しく感じるかもしれませんが、「芸能」とは意外と私たちの身近にもあるもの なのです。例えばお正月に、赤い顔の面を被って舞ったり曲芸をしたりする「獅 子舞」というものがありますが、あれも立派な研究対象です。獅子舞は「伎楽 系」と「風流系」に分かれています。赤い面をかぶるのは「伎楽系」と呼ばれる獅子舞で、古代に大陸から伝わったものであるとさ れています。ではなぜ、どのようにして獅子舞が伝わってきたのか? このような芸能の発生、形成、仕組みなどを、時に史料を読 み、時にフィールドで直接体験しながら考えていくのが芸能論です。新潟県は、佐渡の能や柏崎の綾子舞など、貴重な民俗芸能 の宝庫でもあります。芸能の豊富なこの地で、私たちと一緒に「芸能」の歴史を探ってみませんか。

芸能の歴史を探る

小 山 田 藍

芸能論3年 皆さんは民俗学をご存知でしょうか。民俗学とは世代を超えて人々の暮らしの中 で受け継がれてきた生活文化全般を扱う学問です。こう言うと何だか私たちと はなじみの薄い学問のように思われるかもしれません。しかし、民俗学の研究領 域は方言・郷土料理・昔話・お祭りのような、私たちの生活と密接に関わって いる身近な文化について研究する学問です。また民俗学研究室では実習調 査として夏と冬の2回、泊まり込みでの聞き取り調査によるフィールドワークを実施しています。具体的には環境・社会・衣食住・ 生業・年中行事・信仰・口承文芸・芸能といった部門に分かれて、調査地で暮らしている方々にお話を聞きに行きます。そして聞 き取り調査を通して、その地域の生活文化の特徴や地域性を自分の手で明らかにすることが出来る、これこそが民俗学の一番 の魅力だと言えます。もちろん見知らぬ土地での調査は戸惑うことも多いですが、困ったことがあれば先輩や先生方が丁寧にア ドバイスしてくださいますので、安心してください。一緒に民俗学の世界に足を踏み出してみませんか。

フィールドワークする民俗学

西 塚 大 地

民俗学 4 年

佐藤 康行

(サトウ ヤスユキ) 国際社会学・地域社会学 SATO Yasuyuki 少子化と高齢化がすすんでいることにくわえ、非婚化と晩婚化もすすんでい ます。そして「ペットは家族」という意識をもっている人が多くみられるように、 血縁家族が家族であるという意識が大きく変化しています。また、人口が都 市へと移動しているため、地方の人口減少が著しく地方経済が衰退してい ます。人口減少と高齢社会に対応した家族や地域社会、福祉社会の在り 方について日本とタイをフィールドに調査研究しています。 教授

渡邊 登

(ワタナベ ノボル) 政治社会学 WATANABE Noboru 専門は社会運動論です。研究室にこもって書籍と格闘するよりも、実際に地 域社会で人々がどのような課題に直面し、それを解決しようとしているのか を、現場の人々にインタビューをしながら、明らかにするとともに、そのような営 為が全体社会にどのような影響を及ぼし、または逆に制御されているのかを 考えています。ここ数年は日本社会との比較の視点から、韓国に関心を強 め、現場に足を運び、せっせとインタビューを行っています。 教授

松井 克浩

(マツイ カツヒロ) 社会学理論・災害社会学 MATSUI Katsuhiro 個人の自由を支えるような人と人とのつながりは、どうすれば可能になるの か。それを理論研究と地域研究の両面から考えています。理論の方は、M・ ヴェーバーをもとに、権力や秩序、コミュニケーションを成り立たせるメカニズ ムについて研究しています。地域研究では、中越地震・中越沖地震の被災 者・被災コミュニティを調査して、被災地の再生や災害に強い地域社会の あり方、災害ボランティアの役割などについて考えています。 教授

杉原 名穂子

(スギハラ ナホコ) ジェンダー論 SUGIHARA Nahoko 家族社会学、教育社会学、ジェンダー論を専門としています。女性と男性で どのような違いがあるのか、進学先や就職先の決定、子どもの教育に家族 が及ぼす影響について研究しています。家族のあり方や子どもの進路選択 は地域によっても違いますが、新潟県と首都圏との違いに主に焦点をあてて 調査を行っています。近年、格差社会ということが話題になっていますが、子 どもや親が抱く希望や意欲のあり方についても注目しています。 准教授

中村 潔

(ナカムラ キヨシ) 文化人類学 NAKAMURA Kiyoshi インドネシア、バリ州東部の山村でフィールドワークをし、以来、この村の共同 体儀礼を中心とした仕組みについて調べてきました。また、最近はバリ人が 発行する地方紙について調べていました。これからしばらくは、この村の共同 体儀礼と慣習的組織の変容について現地調査を続けるつもりですが、それ と関連して、儀礼の意味の生成や、説明と理解の問題、説明と権力の関係 というようなことを理論的に位置づけたいと考えています。 教授

池田 哲夫

(イケダ テツオ) 民俗学・博物館学 IKEDA Tetsuo 佐渡生まれの佐渡育ちで、週末は自宅のある佐渡で家庭農園に精出してい ます。そのささやかな農園の経験を通して、人びとは自然にどのように向かい あい、働きかけて生計をたててきたのか、専門の民俗学の視点から考えてい ます。生きるために、人びとは様々な工夫をし、祈りをささげ、行動してきまし た。そうした足取りを、人びとの現在行っていることを材料に、過去へとさかの ぼって人間生活を明らかにしたいと思っています。 教授

飯島 康夫

(イイジマ ヤスオ) 民俗学・博物館学 IIJIMA Yasuo 高校3年生のとき柳田國男の『一つ目小僧その他』を読んで、妖怪を真面目 に研究する学問があることを知り、民俗学を学ぶようになりました。現在は、地 域の中で少ない資源を分配するために人々がどのような社会的な決まり(ナ ラワシ・シキタリ)を作り、実際に運用してきたのかということを灌漑水利慣行 を中心に考えています。また、地域の祭りを支える社会組織や、新潟県での 養蚕技術の展開過程にも関心を持って調査しています。 准教授

橋本 博文

(ハシモト ヒロフミ) 考古学 HASHIMOTO Hirofumi 日本の古代国家形成過程を明らかにすべく、古墳時代の研究を行っていま す。最近まで、古墳時代の研究は時代名称となっている「古墳」の研究が中 心でした。しかし、古墳に葬られた有力者の生前の活動拠点である「豪族居 館」が、わたしの郷里の群馬県で1981年に初めて発見されたのを契機に、 その種の居館研究に取り組んでいます。弥生時代の人とされる卑弥呼の居 館が古墳時代のものではないかという疑いをもって研究を続けています。 教授

堀 健彦

(ホリ タケヒコ) 人文地理学 HORI Takehiko 人文地理学の中でも、歴史的な側面を重視しながら地理事象を考察する歴 史地理学が専門です。最近は、明治期に作製された地籍図という資料を 使って、歴史的な景観を精緻に復原する作業を佐渡島で行っています。ま た、近世会津藩が作成した『新編会津風土記』に記されている地理情報に ついてもGISを活用して分析を進めています。細かな作業の積み重ねです が、それらが組み上がって全体像が徐々に見えてくるのが醍醐味です。 准教授

中本 真人

(ナカモト マサト) 芸能論 NAKAMOTO Masato 日本の古代から中世にかけての芸能を研究しています。平安時代の貴族た ちは、和歌や書だけでなく、音楽や舞などの芸能にも通じていることが求めら れていました。貴族たちの芸能は、具体的にどのようなものだったのでしょう か。また彼らは、誰から、どのような方法で芸能を学んだのでしょうか。絵画や 彫刻、文学などとは異なり、過去の芸能は一切形に残りません。その形に残 らない芸能について、過去の文献と現代の芸能実演の両方を調査すること により、具体的に明らかにしたいと試みています。 准教授

白石 典之

(シライシ ノリユキ) 考古学 SHIRAISHI Noriyuki 今から800年ほど前、ユーラシア大陸の東西にまたがる巨大国家となったモ ンゴル帝国と、その建国者チンギス・ハンについて考古学から研究していま す。なぜ強大な国が誕生したのか、チンギス・ハンとはどういう人物か、いまだ 謎に包まれています。それは文字資料(史料)にウソや誇張が多いからです。 そこで私は、彼の宮殿跡や武器工房跡を発掘し、出土した遺構や遺物など 物質資料(モノ)から、その謎に実証的に迫っています。 教授

阿部 昭典

(アベ アキノリ) 考古学 ABE Akinori 日本列島において狩猟採集漁撈を生業としていた縄文時代を研究していま す。縄文時代は、約12,000年間に及ぶことが明らかになってきましたが、そ の文化は等質ではなく、幾つかの大きな画期が存在します。このような先史 社会の特質とその文化的・社会的変化について、考古資料の詳細な分析 とともに、実験考古学、自然科学分析の援用、そのほかの理論考古学的解 釈法から迫ろうとしています。 助教

教員紹介

(8)

歴史文化学プログラム

歴 史 文 化 学

主専攻プログラム

過去を探り、

未来を拓く

歴史上のできごとは、一回限りで決して繰り返さない。だからこそ何度も何度も振り返られる。振り返るたび毎に、過去は違っ た姿を見せる。それは歴史を振り返るという行為が、われわれの現在とその未来に関わっているからなのだ。

歴史文化学プログラムで学べること

正倉院文書・木簡からみる古代国家・王権 戦国期の地域と権力構造 日本近世の地域と交流 日本中世・近世古文書の様式と機能 20 世紀日本社会の歴史を多角的に考える ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ 古代・中世の英雄叙事詩 古代エジプト人とフェニキア人の歴史 西洋美術史 ヨーロッパ中世∼近代文化史、社会史 現代アメリカの民主主義思想 ■ ■ ■ ■ ■ 日本近世・近代古文書整理実習 前近代中国の国家と社会 1910∼40 年代における「中国」社会の変化 朝鮮家族史研究 中国史原書文献講読  歴史文化学プログラムは、歴史を専門的に学ぶプログラ ムです。ひとくちに歴史といっても、世界中のさまざまな地域の 人々が、何千年にもわたって繰り広げてきたわけですから、そ の対象はじつにバラエティに富んでいます。そして、そうした歴 史を明らかにするための資料・史料も、古文書や碑文、木 簡、絵画、写真や地図、統計、あるいは体験者のインタビュー などなど、じつにさまざまな形をとってわたしたちの前に蓄積さ れています。ですから、歴史の研究をしようとするならば、それぞ れのテーマに合った資料・史料の性質を理解し、それらを使 いこなすスキルを身につけることが、まず必要になってきます。  大学で学ぶ歴史は、高校までの日本史や世界史の授業 のように、膨大な事項を暗記していく作業とは異なります。どこ かひとつ、自分の興味のある時代・地域・分野を研究テーマ として選び、そのテーマに合った資料・史料や文献を自分で 探し、読み込む力を身につけ、自分で研究論文を仕上げてい く。このことによって歴史を深く洞察する力を身につける。それ が大学で学ぶ歴史学のスタイルなのです。  だからひょっとすると、あなたの研究がこれまでの通説を変 えるかもしれない。そんなスリルにも満ちています。新潟大学 人文学部の歴史文化学プログラムは、多彩なスタッフを揃 え、また他プログラムとの連携も密接で、どんなテーマの歴史 を学びたい学生にもきっと満足してもらえるでしょう。  みなさんは歴史の史料と聞くとどのようなモノを想像するでしょう か。実は、われわれの身の回りに存在する、ありとあらゆるもの̶写 真、手紙、新聞、そして個人の日記や記憶までもが、歴史史料になり うるのです。たとえばモンゴルや中国の歴史を専門としている私が、 研究をすすめるさいにお世話になるモンゴル国立中央文書館には、 貴族の系図や旗、地図、寺院文書、黄金の印章、仏具、写真、そし て16世紀頃から20世紀までの行政文書など、実に多様な「史料」 が保管されています。博物館のようなモンゴル国立中央文書館は、モンゴルの歴史史料の宝庫といえるでしょう。  文書館では今でも毎日、開館と同時に館内の30余りの椅子はすぐに埋まってしまいます。ここへは研究者や大学院生、郷土史家など のほかに、不動産業者、文書を写すアルバイトのお年寄り、占い師など一般庶民もやって来ます。その目的は様々ですが、歴史史料を手 にする彼らの姿勢は真剣そのものです。このように文書館が広く利用されるようになったのは、周辺諸国の政治に翻弄された民族の歴史 と関係しています。モンゴルの近現代史は波瀾万丈の道のりをたどり、20世紀初頭までは中国の版図に含まれ、その後社会主義を選択 してソ連の強い影響力に置かれていました。1980年代末、ソ連でペレストロイカが始まると、モンゴルは社会主義を放棄することになりま す。そのころから国内の文書館は全面的に史料を公開し、手続きさえ踏めば誰でも史料を見ることが可能になりました。そして次々と歴史 の空白を埋めるような史料が発掘され、過去に不当に弾圧された人々の名誉回復にもつながったのです。こうして多くの人々が文書館を 訪れ、自分の目で史料を見て、歴史を再確認するようになりました。  さて、このように一般庶民にも親しまれている文書館ですが、空前の開発ブームのなかで、町の中心から遠く離れた郊外に移転予定で す。モンゴルの歴史文書は、ふたたび人々から遠ざかってしまいそうですが、今後、彼らはどのように史料と歴史を追い求めるのでしょうか。  私の専門は西洋政治思想史です。人間が自分の個性を最大限に活かしな がらも、自分とは全く異なる存在である「他者」と交わりながら生きていくためには どのようなライフスタイルが理想的かということを、人々の結合のしかたを軸に、 西洋の思想史から学ぶ研究分野です。研究のやり方としては、まず歴史上の哲 学者の中からある人物を選び、その人がどのような問題について取り組もうとし ていたのかを、その人の著作を丹念に読みながら探っていきます。そして、できる だけ公平・客観的な視点からその人の業績を再評価し、現代に生きる私たちに も関連する課題を考察しようと試みます。研究の対象となる思想家が巨大であればあるほど、これまでの研究も膨大で、それを辿るだけ でも本当に骨が折れます。しかし、今までの評価とは異なった部分を見つけたときに知的興奮を覚えて、学ぶことに歓びを感じます。  思想史を学んでいて面白いと思うことがもう一つあります。それは有名な思想家ばかりでなく、その周辺についても目を凝らして見てい くと、思いがけない発見をすることです。これまで注目されなかった無名の人々が、いわゆる歴史的偉人の背後にあって、その人の精神 的バックボーンを形成するのに貢献していたということ。これもまた歴史の再発見というものでしょうか、学問することがとても意味のある ことに思え、自分の存在の確かさを保証してもらったような感じがするのです。  歴史というものは人材の宝庫です。これまで生きてきた人々の知性、感情、精神の足跡を辿ることによって、現在の私の生に直結す るものが必ず存在していると確信するようになりました。どの時代、どの地域でもよいですから、少しでも気になる人物、事象、あるいはモ ノがあるのなら、しつこく追跡してみてください。歴史的題材を通じた内面世界の旅によって、きっと実り豊かな祝福の連鎖があなたを包 み込むことになるでしょう。 (写真は、アメリカ、シアトルにあるワシントン大学の図書館における展示。ナチス・ドイツによる焚書をイメージして、自由に読書できること の大切さを表現している。)

H i s t o r y

日本史

アジア史

西洋史

教員からのメッセージ

歴史から学ぶとは

高 橋 康 浩

准教授

TAKAHASHI Yasuhiro

モンゴルの近現代史と文書館

広 川 佐 保

准教授

HIROKAWA Saho

(9)

学生の声

皆さんは今までに歴史を実感したことがありますか。私はあります。それはルーヴル美 術館で「モナ・リザ」を見た時でした。単なる知識として頭の片隅にしかいなかった彼 女が、数百年の時を超えて私の目の前に存在し、微笑みかけている姿を見て、一気 に心を奪われてしまいました。美術作品には人々を魅了する力があるだけではなく、 当時の時代背景や人々のメンタリティが色濃く映し出されていることから、歴史を読 み解く重要な史料であると言えます。私が所属する西洋中世史ゼミでは、そうした絵画や彫刻といった史料や様々な文献を通して見え てくる中世ヨーロッパの歴史像について、皆で議論を交し合いながら考察しています。皆さんがここで学び得た知識は、ふと足を踏み入 れた美術館でも大いに役立ち、以前とは異なる視点で、過去に生きた人々に思いを馳せながら芸術を楽しめることでしょう。ほら、美術作 品を通して中世ヨーロッパの景色が浮かんでくるなんて、想像しただけでもワクワクしてきませんか。

美術作品を通して

佐 藤 翔

西洋史4年 私は人文学部歴史文化学コースに所属し、アジア近現代史を専攻しています。な かでもアジア・太平洋戦争時に存在した「満洲国」という国に興味があり、中国東 北部の歴史を中心に学んでいます。日本の傀儡として建国された満洲国は、終戦 時に崩壊し今は残っていませんが、日本と中国の歴史に大きな影響を与えました。 満洲国の歴史を学ぶことは、日中戦争のみならず、現在の日中関係を考えることに も繋がるのです。歴史学は過去のみならず、現在や未来の問題を考えるうえで非常に大切な学問といえるでしょう。新潟大学には、アジ アだけでなく、西洋や日本の歴史を研究する先生も多くいるため、学生はこれらの地域の歴史を幅広く学ぶことができます。私の周りに も、文化史や美術史、そして映画の歴史を学ぶ友人もおり、日々新しい発見をしています。また、新潟大学は学生数1万人を超え、国公 立大学の中でも規模の大きな大学です。私自身は、アメリカンフットボール部で主将を務めるなど、高校生の時には思いもしなかった経 験をすることが出来ました。歴史学も同様で、日々新しい気づきがあります。みなさんも新潟大学で歴史学を学び、歴史の奥深さや面白 さを体感してください。

アジアの歴史を研究する

熊 林 優

アジア史 4 年 私が所属している日本近現代史ゼミでは、日本近現代の政治や思想、社会など 様々なジャンルの論文や史料について、先行研究を踏まえつつ検討を行っていま す。ゼミでは自分と異なる観点からの意見が出されることもしばしばで、それがいい刺 激となっています。私個人としては戦後史に関心があり、高度経済成長期の新潟 における都市開発政策と新潟地震の関係性について研究しています。当時の新 潟では天然ガス採取による地盤沈下が起こるなど、都市の発展の陰で生活への影響も少なからず生じていました。その最中に発生し た新潟地震は、新潟の都市開発においてどのような性格を持つのかに迫っていきたいです。高校までは幅広い時代の事象を知るとい う作業が主ですが、大学では特定の時期ないし地域の事象について深く研究できます。関心の持ち方次第では、実に多様なアプロー チで歴史を学ぶことができ、それが大学で歴史を学ぶ上での魅力だと考えます。

多様なアプローチで歴史を学ぶ

平 松 和 樹

日本史 4 年

中林 隆之

(ナカバヤシ タカユキ) 日本古代史 NAKABAYASHI Takayuki 古代国家の形成から確立にいたる政治の動きや、古代の文化や思想、さら には越後・佐渡地域を含む列島内各地の地域社会の特質や個性につい て、唐・新羅・渤海など日本周辺諸国との関係をつねに意識しながら論じま す。ゼミでは、六国史や風土記などの歴史書・地誌、律令・格式などの法制 書のみならず、正倉院文書や木簡・墨書土器といった様々な資料を読み込 むなかで、古代社会の実相に迫ります。 教授

矢田 俊文

(ヤタ トシフミ) 日本中世史 YATA Toshifumi 日本中世史を研究しています。中世史のなかでも戦国期、15世紀末∼16 世紀が専門です。この時期の権力構造、物資流通、資料論を研究していま す。研究の対象地域はおもに越後(新潟県)で、人物では上杉謙信・景勝で す。また、1498年におこった明応地震の被害を中心とした東海地方の災害 史の研究も行っています。2004年10月に起こった中越地震以後は、1828 年三条地震など、近世に起こった地震による被害の研究もはじめています。 教授

原 直史

(ハラ ナオフミ) 日本近世史 HARA Naofumi 江戸時代の都市や商品流通を主な研究対象にしており、地域社会の構造 と変容に大きな関心を持っています。「近世」という時代は日本列島におい て、ウェスタン・インパクト以前の伝統的な社会が最も成熟した時代であり、 その時代を探ることは、わたしたちの現在と未来を考えるうえでとても重要な 意味を持つと考えています。授業ではしたがって、こうした近世社会を多様な 角度から検討しようと心がけています。 教授

中村 元

(ナカムラ モト) 日本近現代史 NAKAMURA Moto 日本近現代史の中でも特に都市史を専門としています。これまでは主として 20世紀前半期の大都市周辺の都市における空間的・政治的・社会的変 化の相互関係に注目し、近代日本における都市形成と「デモクラシー」の関 係を研究してきました。今後は時間的には20世紀後半期、空間的には都市 周辺の農村にも視野を広げつつ、人々の社会におけるリアルな在り方に即 して日本近現代史の全体像を見通す方法について、皆さんと考えていきた いと思っています。 准教授

關尾 史郎

(セキオ シロウ) 中国前近代史・史料学 SEKIO Shiro 人文学部では中国前近代史を担当していますが、専門は中国古代史で す。最近では、中国各地で発掘・発見された原史料を手がかりとして、古 代の地域社会の実像を探るべく、日々奮闘しています。日本は、まだ倭 国と呼ばれていた時代から長期にわたり、中国からその文化や制度を 受け入れて来ました。「鎖国」が行なわれていた江戸時代も例外ではあり ません。それでは、日本にも大きな影響を与えた文化や制度は、どのよう な社会から、またどのような社会のために生み出されたのだろうか、と いうのが、私の関心のありどころです。 教授

広川 佐保

(ヒロカワ サホ) 中国近現代史 HIROKAWA Saho 20世紀初頭の中国東北やモンゴル地域の歴史、そして日本とアジア関係 史について研究しています。中国やモンゴル、台湾の史料館で史料を探索 し、歴史の舞台を自らの足で歩くことに努めています。そうすることで史料と現 在の人々の暮らしがつながり、今日的な問題を考えるきっかけにもなります。 大学では近現代のアジア史関係の書籍や資料を通読していますが、教室を 飛び出してフィールドを歩くことをすすめています。アジア近現代史には、まだ 研究されていない分野が多く残されています。皆さんのオリジナルな研究や 発見を期待しています。 准教授

山内 民博

(ヤマウチ タミヒロ) 韓国・朝鮮史 YAMAUCHI Tamihiro 韓国の田舎をまわりながら、朝鮮王朝時代の社会について研究しています。 授業では、古代の新羅・高句麗・百済から現代の韓国・北朝鮮まで、家族や 村落、国際関係など様々な面から朝鮮社会の歴史的性格を追求していきま す。古くから中国・日本と密接な交流関係をもちつつ、独自の世界を形成して きた朝鮮半島の歴史を学ぶことは、新たな視点から東アジアや日本につい て考える契機にもなることでしょう。 准教授

高橋 秀樹

(タカハシ ヒデキ) 西洋古代史・西洋古典学 TAKAHASHI Hideki 西洋の古代や中世を研究しています。今年の授業で取り上げているのは、 古代エジプトの歴史・文化・神話、古代ギリシアの歴史・文化・神話、中世の 英雄伝説(アーサー王、ローラン、エル・シッド他)、ケルト文化などです。古い 時代の歴史や文化は、まだまだ謎が多く、新しい発見や研究方法によってそ れまでの研究が大きく変わることがある、エキサイティングな分野です。このお もしろさを多くの学生諸君に伝えたいと願っています。 教授

蓮田 隆志

(ハスダ タカシ) (学系附置環東アジア研究センター担当)近世ベトナム史HASUDA Takashi 近世のベトナム史・東南アジア史が専門です。ここでの「近世」とは近現代 の人間が「伝統的」「昔からあるもの」だとイメージする諸要素が出揃う時代 のことです。世界的潮流への反応が地域の個性として定着する過程として ベトナムの政権構造や国家意識を扱い、背景としてのアジア海上交流史や 広域アジアでの比較国家論にも取り組んでいます。また、毎年現地に出向 いて古文献を収集しているので、史料論や文書論といった基礎的分野の開 拓も手がけています。 准教授

細田 あや子

(ホソダ アヤコ) 西洋中世史・西洋美術史 HOSODA Ayako ヨーロッパ中世の文化史に関心を持ち、とくに美術作品とキリスト教文化との 関係を探っています。生と死、天国と地獄、天使と悪魔、聖杯の謎など、怪し げなものにひかれ、それらがどのように表現されているのか考察中です。授業 では、ロマネスクの素朴な聖母マリアさまの彫刻から、ゴシック期の大聖堂建 築、ルネサンスの巨匠たちやフェルメールやレンブラント、さらに近現代の芸術 家まで視野をひろげつつ、学生とともに美術史のおもしろさを学んでいます。 教授

高橋 康浩

(タカハシ ヤスヒロ) 西欧政治思想史 TAKAHASHI Yasuhiro 専門は西欧政治思想史、アメリカ思想史。キリスト教神学思想史にも関心 があり、アメリカにおける宗教と政治の関係、現代民主主義の政治理論を中 心にして研究をしています。演習においては、アメリカ史を舞台に上記のテー マや、戦争と平和といった政治外交史上のテーマ、人種問題などのアメリカ 国内のテーマについても考察の対象にしていきたいと考えています。 准教授

教員紹介

参照

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2011

1、本論文の目的と構成

早稲田大学 日本語教 育研究... 早稲田大学

高等教育機関の日本語教育に関しては、まず、その代表となる「ドイツ語圏大学日本語 教育研究会( Japanisch an Hochschulen :以下 JaH ) 」 2 を紹介する。

本論文の構成は、第 1 章から第 3 章で本論文の背景と問題の所在について考察し、第 4

1、研究の目的 本研究の目的は、開発教育の主体形成の理論的構造を明らかにし、今日の日本における

 近年、日本考古学において、縄文時代の編物研究が 進展している [ 工藤ほか 2017 、松永 2013 など ]

日本の生活習慣・伝統文化に触れ,日本語の理解を深める