食と放射能に関する説明会 郡山市安積総合学習センター 平成28年2月9日
放射線の生体影響と
食品に含まれる放射性物質
1.放射能と放射線
2.日常受ける自然放射線
3.放射線の人体影響
4.食品に含まれる放射性物質
筑波大学
アイソトープ環境動態研究センター
古川 純
同じ元素(陽子数が同じ)で中性子
数の違うものを同位体という。今日
知られている同位体は3,000種以上、
核には安定なものと不安定なものが
ある。
分子
電子
中性子
陽子
図1
原子核
原子では原子核の周りを電子が回っている。原子核は陽子と中性
子から構成される。原子では陽子と電子の数は等しく、元素の種
類は陽子の数によって決められている。
分子、原子、原子核
原子核
原子
不安定な原子核
→
安定な原子核
に変化(原子核の変化)
(陽子に対して中性子 この時放射線を放出 の数が多すぎたり少な すぎる原子核)放射線:不安定な原子核が安定な元素になろうとして放出
する粒子や電磁波(光子)
放射能:放射線を出す能力をいい、これを持つのが放射性
物質
放射能が出ている? → 放射線が出ている
放射能漏れ? 放射能汚染? → 放射性物質漏れ
放射性物質汚染
放射線、放射能、放射性物質
α線 Heの原子核:飛ぶ距離が短く周囲の細胞のみが被ばく
β線 電子:皮膚に付いた時や体内に入った時1mm以内が被ばく γ線、X線 電磁波:体内、体外に関係なく被ばく
中性子線 中性子:核分裂で生成し、より遠くまで届き被ばく
放射性物質の半減期
核種 半減期 生物学的半減期 131I 8.0 日 約 10 ~ 80 日 137Cs 30 年 約 100 ~ 200 日 100 50 0 25 12.5 6.25 8日 16日 24日 1ヶ月 2ヶ月 30年 時間 放射性物質の原子の個数 Cs-137 I-131α線を止める β線を止める γ(X)線を止める 中性子線を止める α線(α粒子) β線(電子) γ線,X線 (電磁波) 中性子線 (中性子) 紙1枚 1mm厚 アルミニウム 1.5cm厚 鉛 水やコン クリート α線は光速の1/10で移動 β線は光速の1/2で移動 γ線は光速で移動 原子力図面集2005年、原子力防災基礎用語集より
放射線の透過作用と遮蔽
131I 137Cs電磁波のスペクトル
長 波 中 波 短 波 超 短 波 マ イ ク ロ 波 ミ リ 波 赤 外 線 紫 外 線 線 X 線 γ 可 視 光 103 105 107 108 1010 1012 1014 1015 1016 1018 ・ AMラジオ FMラジオ TV MRI 赤外線コタツ がん治療 X線CT X線写真 カラー写真 日焼け 周波数 [Hz] 電子レンジ放射線とは、高いエネルギーを持つ、粒子・電磁波
放射能の単位
放射線の単位
吸収線量:物質が吸収する放射線のエネルギー量(J/kg): Gy グレイ 1Gy = 1J/kg 等価線量:人体の臓器ごとの被ばく量を示す:Svシーベルト 吸収線量×放射線加重係数 吸収線量が同じでも受ける放射線の種類によって 影響が異なるための補正を行った値 放射線加重係数: β線, γ線, X 線=1, 中性子線=5~20, α線=20 実効線量:等価線量を組織ごとに出し組織加重係数をかけて全身への 影響に換算した被ばく量:Svシーベルト単位
不安定原子核が単位時間当たりに変化(壊変)する回数:壊変率 Bqベクレル(壊変数/秒):1秒に何個の核が変化するか この壊変率で放射能が表わされる雨がどのくらい 降っているのか? (雨の量)
ベクレル(
Bq)
(イメージ)
雨にどのくらい濡れて しまったか? (濡れてしまった量)グレイ(
Gy)
濡れたことで人の体に どのくらいのダメージ があるのか? 風邪?肺炎?放
射
線
を
出
す
シーベルト(
Sv)
放
射
線
を
受
け
る
放射性物質の量 吸収した放射線の量 放射線による人体 への影響コラム:単位のとらえ方
1.放射能と放射線
2.日常受ける自然放射線
3.放射線の人体影響
自然から浴びる放射線
222 86 Rn 220 86 Rn 空気 14 6 C 40 19 K 食物 238 92 U 232 90 Th 40 19 K 地面 外部被ばく 呼吸で 内部被ばく 摂取による 内部被ばく 外部被ばく 24 11 Na 14 6 C 7 4 Be 3 1 H 宇宙 ふりそそぐ 水素の原子核 大気圏にある 物質の原子核コラム:内部被ばくと外部被ばく
放射性物質が体内から出る
まで被ばくし続ける
放射線源から離れれば、
それ以上被ばくしない
影響同じ!
• 内部被ばくでも外部被ばくでも • 放射線が違っても 内部被ばく、外部被ばくそれぞれ1 Sv浴びた場合の影響の度合いは?日本国内で自然放射線の岐阜県の 年間1.19 ミリシーベルトと、神 奈川県の年間0.81ミリシーベル トでは、年間約0.4 ミリシーベル ト(1.5倍)もの違いがある。
高
低
コラム:日本各地の自然放射線量は?
外部被ばく線量には地域差が あり、日本では西日本が高い。 (花崗岩の露出した所多い) 外国には自然放射線量が 10 mSv/年になるところも ある 線量は高度依存 12,000 mで5μSv/時 (ニューヨークへの往復飛行で 約0.2 mSv)
日本人の放射線被ばく
・自然放射線 2.1 mSv
・医療放射線 2~3 mSv
・その他起源 事故など
自然放射線量については国内外 の論文から、原子力安全協会が 出した報告書に基づいて、魚の 内臓等に含まれる天然のポロニ ウムによる内部被ばく線量を上 方修正。原発事故による影響は 考慮されていない。食品などに含まれる
自然放射能
遮蔽箱中でイメージングプレー トの上に試料を置き、1ヶ月間 露出することによって得られた 像。野菜や人体にはカリウムの 放射性同位体40Kが含まれる。 半減期が約13億年で、元素誕生 以来存在する。これから放出さ れるエネルギーの高いベータ線 の放出分布像。 上から順に 豚肉 バナナ(縦切) バナナ(横切) ショウガ食物中の
40
Kの放射能(Bq/kg)
40Kの天然存在比:0.01% 人体の中の自然放射能 40K :67Bq/kg 体重60kgの人で4100Bq 14C :41Bq/kg 体重60kgの人で2600BqT :実効半減期 Tb、Tpを考慮した半減期。 生体に影響を与える半減 期とも言える
生体に影響を与える半減期
1/T = 1/Tb + 1/Tp
Tb:生物学的半減期 代謝・排泄により体内量 が1/2になるまでの時間 Tp :物理学的半減期 放射性崩壊によって放射性 核種の原子数が1/2になる までの時間 相対量 時間 1 物理学的半減期 生物学的半減期 実効半減期 1/2 30y 150d 100d Cs-137例)
原発事故とは関係なく日常の生活で摂取される
放射性物質の量
天然放射性核種
40
K: 50 Bq/日
(人体は常時これによる内部被ばくを受ける)
238
U: 5 Bq/年,
232Th: 1 Bq/年,
230Th: 1 Bq/年,
226
Ra: 10 Bq/年,
210Pb: 80 Bq/年,
210Po: 220 Bq/年
人工放射性核種
90
Sr: 25 Bq/年,
137Cs: 23 Bq/年,
239
Pu+
240Pu: 0.07 Bq/年
放射性CsとKによる内部被ばく影響
放射線の種類やエネルギーおよび生物学的半減期に違いは
あるが、体内に存在する場合、放射能(Bq)が同じであれば、
ほぼ同程度の人体影響を与えると推定される
1.放射能と放射線
2.日常受ける自然放射線
3.放射線の人体影響
放射線による人体への影響
身体的影響 遺伝的影響 急性障害 胎児発生の 障害 晩発障害 脱毛・不妊 など 精神遅滞 白内障 ガン・白血病 遺伝的障害(先天異常) 確定(非確率)的 影響 (しきい値がある) 確率的影響 (しきい値がな いと仮定) ※しきい値・・・ある線量以下ならば安全であるという限界線量人体影響の分類
確定的影響 確率的影響 線量 頻 度 (%) 100 50 0 しきい値 = 影響のある下限値 線量 発 生 確 率 (%) 10 5 0 • 比較的大線量(おおざっぱに100 mGy以上) • 数時間~数週間で症状。数年後経ってからも • 白血球減少、不妊、脱毛、紅斑、白内障、 胎児奇形 など • 高線量はもちろんのこと、100~200 mGy以下の線量でも発生を否定できな い。 • 発がん、遺伝的影響 ⇒ これまで、1回あるいは短期被ばく場合、 100 mGy未満のしきい値の報告なし。 ⇒これまでに原爆被ばく者を含め、 ヒトでは遺伝的影響は観察されて いない。 累積線量で100 mSv以下の放射線の影 響に関して問題にすべきは発がん影響 であると考えられている。放射線を浴びて間もなく現れる影響の症状と浴びた線量との
関係(
ガンマ線またはX線を一時に全身に浴びたとき
)
急性障害 ・吐き気や脱毛、貧血、火傷 ・機能を担う細胞数の減少による ・しきい値以下では全く起こらない 放射線の量(mSv) 症 状 250以下 医学的検査で症状が認められない 250 白血球が一時的に減少するしきい値 500 白血球が一時的に減少し、やがて回復 1,000 吐き気、嘔吐、全身倦怠、リンパ球著しく減少 1,500 50%の人が放射線宿酔(二日酔に似た症状) 2,000 5%の人が死亡 4,000 30日以内に50%の人が死亡 6,000 2週間以内に90%の人が死亡 7,000 100%の人が死亡確定的影響
放射線に対する組織の感受性の分類
組織を構成する細胞の分裂様式により、感受性の異なる3つの
グループに分類できる。一般的に分裂能力(分裂速度、分裂可能
回数)の大きい細胞、未分化の細胞を含む組織が感受性が高い。
1)細胞再生系(分裂系)
幹細胞が存在し、常に盛んな細胞分裂を行っている組織:
造血細胞、腸管上皮、皮膚、毛のう、水晶体、精巣
2)潜在的再生系(条件的再生系)
普段は分裂しないが、損傷を受けると分裂を開始する組織:
肝臓、腎臓、膵臓、甲状腺
3)非再生系(非分裂系)
一度出来上がったら分裂しない組織:
神経、筋肉
・
「確率的影響」のうち
「遺伝的影響」
は
、
これまで人間(広島、
長崎の原爆被ばく者や核実験被ばく者、チェルノブイリなどの
原発被ばく者を含む)で
見られたことがない
。
・「確率的影響」のうち
「発がん」の確率
は、1 Sv(1,000 mSv)
の瞬間全身被ばくで5%程度上昇すると見積もられている。
ただし、100 mSv以下では発ガンの増加を検出できない。
・
「発がん」
が起こる確率は、
低い量の被ばくであっても放射線の
量に応じて増加する可能性があると仮定
して、必要のない放射線
をできるだけ浴びないようにする、という考え方が重要とされ、
用心のためしきい値がないとして取り扱っている。したがって、
今回の原発事故で可能性のある人体への影響として「発がん」が
中心となる。
確率的影響
放射線によるDNAの切断
S-A T-S G-S A-S C-S S-C S-T S-G P P P P P P 10A ・ 20A ・間接作用:
直接作用:
・DNA鎖の切断
・DNA塩基変異の導入
e e p+ O H H OH・ 放射線 放射線 p+ 水分子に電子が当たり活性酸素 ができ、DNAが損傷 X線、γ線、β線の主な作用 物質に当たって飛び出した電子 が直接DNAに当たって損傷 α線、中性子線の主な作用二本鎖切断は重篤な損傷であり、生物影響はその頻度に依存する
切断DNAの修復
傷 自然発生 放射線由来 (/細胞/日) (/細胞/Gy) 塩基損傷 20,000 300 1本鎖切断 50,000 1,000 2本鎖切断 10 30 (『基礎から学ぶ緊急被曝ガイド』 より引用改変)放射線による細胞への影響
放射線
正常細胞
DNA損傷
修 復
修復に失敗
突然異変
細胞のがん化
細胞死/アポトーシス
正常細胞
修復に成功
(わずか)
(ほとんど全て)
(極めてわずか)
細胞が死を免れても放射線に よるDNA損傷が突然変異とし て発現することがある。ただ し、放射線による特有の突然 変異があるわけではなく、自 然でも起こりうる変異の確率 が上がる。 体細胞突然変異: 発ガンの原因 生殖細胞突然変異: 子孫への遺伝的影響コラム:放射線量の違いによる影響をイメージ
ある臓器 1 mSv 2 mSv 100 mSv 回復 回復 機能喪失 形態異常 細胞には回復能力がある。低線量で長期に浴びたほうが、一度に浴びた場合(広島・長 崎)に比べて、その確率的影響は1/2~1/10くらいに頻度が低くなる。 生物学的には、細胞の修復機能が証明されており、 少しずつ被ばくする場合の影響は小さいと考えられる。 ただし、放射線防護の基本的な考え方では、修復を考慮しない。コラム:放射線によるリスクを感覚的に知る
1000-2000 mSv 1.50~2.49 1.30~1.49 1.10~1.29 1.01~1.09 検出不可能 放射線(生涯被ばく線量) 100 mSv未満相対リスク
高
低
(国立がんセンターHPより引用改変) ※相対リスク:目的のグループが何もしていないグループに対し、 どのくらいがんに罹患するリスクが高いかを示したもの。 100-200 mSv 野菜不足 受動喫煙 (非喫煙女性) 200-500 mSv 肥満 (BMI≧30) やせ (BMI<19) 高塩分食品 運動不足 500-1000 mSv 飲酒 (毎日2合) 喫煙 飲酒 (毎日3合)影響 しきい線量/確率 問題となる被ばく時期 確定的影響 胚死亡(流産) 100 mSv 受精~9日 確定的影響 奇形 100 mSv 受精後2~8週 確定的影響 精神発達遅延 120 mSv 受精後8~25週 確定的影響 発育遅延 100 mSv 受精後8~25週 確率的影響 小児ガン 確率0.05/Svの 2~3倍 すべての時期
胎児への影響
1 Sv(1,000 mSv)被ばくした場合、放射線が原因で将来ガンになる確率 は、成人では100人に5人であるが、胎児のときに被ばくすると10~15 人が小児ガンになる確率。 100 mSvでは実際には増加は見られない。 医学界の意見:100 mSv以下の被ばくは中絶の理由にすべきでない被ばく線量と被ばく期間のがん死亡率への影響
細胞内に抗酸化(活性酸素消去)物質や抗酸化酵素があり、少量の放射線を 時間をかけて被ばくする場合は軽減効果が働く上に、DNA修復機構も機能 (出典:近藤宗平、放射線生物研究Vo145(4),p341,2010 同、IsotopeNews,No636,p14-19,Apr2007) ⇒超高線量率の原爆放射線の被ばくは、がん死亡率を増加させる ⇒低線量率放射線の長期間被ばくは、がん死亡率を低下させる(ガン発生を起 こしにくい:ホルミシス効果?) 調査集団 がん死亡率の比 被ばく線量(被ばく期間) 原爆放射線被ばく者 1.08 200 mSv(数マイクロ秒) 中国の高自然放射線地区住民 0.75 330 mSv (60年間, 5.5 mSv/年) 英国の放射線科医 0.71 100 mSv (20年間, 5.0 mSv/年) 欧州の定期航空パイロット 0.68 20 mSv (約10年間, 2.0 mSv/年)コラム:“時間当たり”の被ばく影響
単位時間あたりの飲酒量
単位時間あたりの被ばく量
リスク
リスク
/1時間 /1時間 /1時間 /1時間 μSv/1時間 mSv/1時間 Sv/1時間 (『基礎から学ぶ緊急被曝ガイド』より引用改変)高自然放射線地域における放射線の影響
低線量放射線安全評価情報HP
福島県民の推定外部被ばく線量(事故後4ヶ月間)
平成23年12月23日 福島県発表
飯館村、浪江町、川俣町の住民 1,589 人の外部被ばく線量
を放射線医学総合研究所が推計
1 mSv 未満 63 %
1~2 mSv 23 %
2~3 mSv 8 %
3~5 mSv 3 %
5~10 mSv 2.4 %(38人)
10 mSv 以上 0.3 %(4人, 最高値 14.5 mSv)
→ 今後の健康影響調査の基礎資料となる
弘前大などの研究:平成23年9月8日新聞報道
住宅地で最も高い線量を示した浪江町赤宇木地区の住民の推定
避難までの2ヶ月で約50 mSv,
年間被ばくは最大で68 mSv
コラム:低線量発がんのリスク評価
(『低線量放射線と健康影響』より引用改変) 線量 発 が ん 率 自然発生 レベルしきい値なし直線モデル
(
Linear Non-Threshold:LNT)
⇒ 少ない被ばくがあっても、それに比例した 影響が出るとの説高線量
領域
100~4000 mSvでは障害 の発生が直線的に増加す ると立証されているコラム:低線量発がんのリスク評価
(『低線量放射線と健康影響』より引用改変) 線量 発 が ん 率 自然発生 レベル高線量
領域
ホルミシス効果仮説
⇒ 免疫力が活性化され有益という説 100~4000 mSvでは障害 の発生が直線的に増加す ると立証されているコラム:低線量発がんのリスク評価
(『低線量放射線と健康影響』より引用改変) 線量 発 が ん 率 自然発生 レベル高線量
領域
きびしめの説
(バイスタンダー効果)
⇒ 被ばくした細胞から被ばくしなかった周辺 の細胞に遠隔的に被ばく情報が伝えられる という説 100~4000 mSvでは障害 の発生が直線的に増加す ると立証されているコラム:低線量発がんのリスク評価
しきい値(数十mSv) (『低線量放射線と健康影響』より引用改変) 線量 発 が ん 率 自然発生 レベル高線量
領域
しきい値あり仮説
⇒ 低線量被ばくにもしきい値が存在するとい う説 100~4000 mSvでは障害 の発生が直線的に増加す ると立証されている放射線防護の国際的枠組み
• 研究成果 (放射線影響) • 統計資料 (線源と被ばく) UNSCEAR 報告書 ICRP 報告書 IAEA 防護・管理基準 国内規制 • 障害防止法 • 医療法 他 •ICRPの勧告、IAEAの提案する基 準に基づいて国内の放射線防護管理 規制が作られている •ICRPの最新は ICRP2007勧告である •様々な結果を示す 疫学データの乱立 •様々な研究を包括的に評 価し、科学的信頼性の高 いデータを選別 •データを世界の研究者に 提供 •放射線防護に関する原則 の勧告を行っている。 •UNSCEAR報告書を重 要な資料としている。専門家の意見がなぜ異なる?
・個別の研究成果を報告している ・「UNSCEARのような包括的な評 価結果を示している」 ・ICRPのように防護のルールにつ いて言及している で異なることが原因1.放射能と放射線
2.日常受ける自然放射線
3.放射線の人体影響
放射性物質の陸上での移行経路
大気中に放出された核種は、移動中に減衰するか、比較的短期間で地表面に 沈着する。その後、陸上表層の核種は一般的には長い期間をかけて減衰し、 その地域に住んでいる人々に外部被ばくを与える可能性がある。また、食物 の摂取や吸入により内部被ばくの可能性がある。汚染源
大気
土壌
農作物
人体
外部および内部被ばく
外部および内部被ばく
降下
付着
吸収
吸入
吸入
食事
飛散
土壌の汚染と玄米の汚染
イネ可食部における放射性セシウム濃度の相対値
土壌中置換性カリウム濃度と玄米中セシウム濃度
暫定規制値を超過した放射性セシウムを含む米が生産された要因の解析(中間報告)より (福島県、農林水産省)
農林水産物モニタリングの結果
農林水産物モニタリングの結果
魚中の塩類移動
出展:水産庁資料
農林水産物モニタリングの結果
内部被ばくにおける実効線量
(預託実効線量)
の計算法
外部被ばく線量を考える場合には放射線にさらされた期間だけを考
えればよいが、内部被ばくの場合には、放射性物質が体内に取り込
まれてから排泄される、または、減衰するまで臓器が放射線にさら
され続けるので、その期間の量を計算する必要がある。
食品中の放射能と内部被ばくの関係
(『食品と放射能Q&A(第9版)』より引用改変)摂取してから50年間(成人、子供は70歳まで)に受ける量を積算
し、しかも、それを最初の1年間で全ての線量を受けたとして、その
値をmSv/年で示した影響 = 預託実効線量
食品中の放射能と内部被ばくの関係
・食品からの放射性セシウムによる許容被ばく線量を暫定規制値の
年間5 mSvから1 mSvに変更
・1 mSvのうち飲料水からの被ばくを0.1 mSv, その他食品(コメ、
卵、肉類、野菜など)からのそれを0.9 mSv以内に抑える
・飲料水は一日2 L飲むと仮定、一般食品は年代毎の摂取量を推定
し、最も摂取量が多い13~18歳男子で
1年間食べ続けた場合で
も値を超えないように設定
< 基準値 >
飲料水 10 Bq/kg
一般食品 100 Bq/kg
牛乳・乳児用食品 50 Bq/kg
放射性セシウムに係る摂取基準値
平成23年12月22日 厚労省審議会了承 平成24年4月1日 適用
飲料水
WHO(世界保健機関)の示すガイダンスレベルと同様の値に
放射性セシウムに係る摂取基準値
加工食品
原材料と最終製品の両方で一般食品としての基準値を適用
→ 乾燥 →
生のり(100 Bq/kg) 乾燥のり(100 Bq/kg)
→ 乾燥 → 水戻し →
生しいたけ(100 Bq/kg) 戻ししいたけ(100 Bq/kg)
放射性セシウムに係る摂取基準値
(『食品と放射能Q&A(第9版)』より引用改変)食品中の放射性物質から受ける線量
(『食品と放射能Q&A(第9版)』より引用改変)
ホールボディカウンター
Whole Body Counter:WBC
内部被ばく線量を調べるために、人間の体内に摂取され沈着した放射性物質 (ガンマ線放出核種)の量を体外から測定する装置。体内に存在する微量の 放射能の定量分析あるいは人体内の放射能分布の測定に利用されている
相馬市、南相馬市でのホールボディカウンター
による測定の状況
2012年9月22日 朝日新聞デジタル版 東京大学医科研坪倉医師の報告・99.9%以上の小学生が検出
限界以下を維持
・1960年代の数年以上も続い
た大気中核実験中の日本人の
平均値を下回っている
・チェルノブイリ事故1年後の
フランスやドイツの一地方に
おける日常的な内部被ばく量
より、現在の浜通りの住民の
内部被ばく量の方が少ない
ホールボディカウンターによる 日本人の体内137Csの測定南相馬市民のWBCによる内部被ばくの測定:
時間と共に放射性Csが検出される人の割合が減少(排泄により徐々に減少、 追加の内部被ばくは抑えられている:日常の生活での慢性被ばくが少ない)