EAPVPFメンバー国へのPVP制度アンケート集計結果(2015年度) ※2016年3月11日現在、回答があった国はクリーム色でハイライト(その他の国の情報は昨年の回答または事務局調べ) 国名 合計 2015年1‐12月 合計 2015年1‐12月 受入れ可能か 契約書は必要か 費用 直接/代理人 代理人リスト 代理人情報問合せ先 PVP法 申請料支払先 DUS試験実施 DUS試験料支払先 メンテナンス料支払先 ブルネイ × 0 0 0 0 すべて Y N 未定 認めら れたとこ ろならど こでも 直接申請 可能 誰でもOK N/A UPOVに審査を 依頼中(2016年 中に終えたい) Bakhtiar Hafeez Bandial 未定 未定 未定 未定 カンボジア × - - - - なし - - - - 直接申請可能 - -国内で検討中 /UPOVと協議 中 Mr. Sao Chesda -GDA/MAFF, Mr. Phe Chantravuth -DIP/MIH
GDA/MAFF GDA/MAFF DIP/MIH
-中国 ○ 13,483 (2014年12 月31日現 在) 1,772 (2014年) 4,845 (2014年12 月31日現 在) 821 (2014年) 2014年度 リストあり 代理人経 由 林業部代理人リスト: http://cnpvp.net/root/DL JG_en.aspx NULL 1978年条約と 適合 インドネシア ○ 568 47 360 32 全品種 Y N 国によって異なる まだない代理人経由 http://ppvt.setjen.perta nian.go.id/ppvtpp/files/ daftar%20konsultan.pdf PVPオフィ ス 国内で検討中 Sub division of Law Service, General Affairs Division Sub Division of PVP Service(支払 いは銀行経由)
Sub Division of DUS
Testing (Zakki氏) 指定銀行 指定銀行 韓国 ○ 8,210 799 5,941 665 すべて N - - - 代理人経 由 韓国に住んでいるか事業 所がある人を代理人とし て申請可。委任状(原本お よび韓国語に翻訳したも の)が必要 なし 1991年条約 Ms. Oksun Kim, Plant Variety Protection Division, Korea Seed & Variety Service ([email protected] r) ラオス × 0 0 なし なし なし - - - -マレーシア ○ 215 30 60 4 すべて (別添リス トあり) Y N 350CHF N/A 代理人経由 住んでいるか事業所がある(別添リストあり) ウェブサイトで 公開。但しレ ポート購入目 的は不可 国内で検討中 /UPOVに審査 を依頼中 /UPOV条約に 基づき修正中 Department of Agriculture 不要 ミャンマー × N/A N 直接出願 可能 UPOV条約に基 づき修正中 Mr. Thant Lwin Oo, Director, DAR
Mr. Thant Lwin Oo, Director, DAR/Ms. Pa PA Win, Assistant Research Officer
Mr. Thant Lwin Oo, Director, DAR/Ms. Pa PA Win, Assistant Research Officer DAR DAR フィリピン ○ 242 7 189 0 すべて Y N N/A 代理人経由 どの代理人でも可 国内で検討中 Dr. Vivencio R. Mamaril, choymamaril@yaho o.com Ms Elvira D. Morales, [email protected]
Bureau of Plant Industry-PVP Office Secretariat Bureau of Plant Industry-PVP Office Secretariat Bureau of Plant Industry-PVP Office Secretariat シンガポール 2 0 すべて Y N なし 1991年条約 タイ ○ 1252 44 355 59 62 plant species (2015年 度リストあ り) N (法律で禁 止) - - - 直接出願可能 誰でもOK 法律事務所 またはイン ターネット 国内で検討中 Duangduen Sripotar, Plant Variety Protection Office, Department of Agriculture, email:duangduen_s [email protected] Rungthiwa Thanumtaht, Plant Variety Protection Office, Department of Agriculture, email: rungthiwa_pvp@yahoo. com Rungthiwa Thanumtaht, Plant Variety Protection Office, Department of Agriculture PVP Office PVP Office ベトナム ○ 708 148 311 60 2015年度 リストあ り。2016 年12月~ すべての 種類 Y Y 350CHF(U POV準拠 /交渉可 能) なし 直接出願可能 法律上は海外から直接出 願できるが、ベトナム語で 書かれている必要がある ため通常は代理人経由で 出願。代理人リストはHP にあるがベトナム語のみ。 PVP Office (pvpo.mard.g ov.vn) 1991年条約 Nguyen Thanh Minh, PVP Office, DCP PVP Office, DCP 植物品種試験センター (NCVPT)
Nguyen Thi Mai Ha ([email protected]); Nguyen Tien Phong ([email protected]) 植物品種試 験センター (NCVPT) PVP Office, DCP 各国PVP制度の状況調査 保護対象 植物 海外からの申請 UPOV条約との 適合状況
Director of Crop Quality Control Division / Department of Agriculture DUS試験 の実施状 況 他国のDUS試験レポートの受入れ 自国の DUSレ ポート受 入国 担当機関・担当者 出願件数 登録品種数
Ms. Seungin Lee, Examiner, Plant Variety Protection Division, Korea Seed & Variety Service ([email protected])
タイ及びベトナムにおけるPVP 制度の運用及び課題に関する現地調査 1. 調査の目的 農林水産省は、我が国で育成された新品種が東アジア各国で適切に保護されるための環境整備の 一環として、各国における技術面、政策面の障害や政策決定のメカニズムを包括的に調査した上で、 PVP 制度の整備と相互調和に向けて、有効かつ効率的であり、かつ、我が国の政策とも整合的な相 互の協力活動を推進することとしている。 本調査は、PVP 制度の運用・課題に関する現地調査を実施し、調査対象国における権利侵害の対 策や事例、国内外の種苗会社の事業展開の状況、我が国育成品種の種苗や生産物の栽培・流通等につ いて調査することを目的とする。 2. 調査実施概要 (1) タイ 平成27 年 11 月 8 日~16 日 調査員:千葉大学名誉教授 三位正洋 (独)種苗管理センター業務調整部品種保護対策課長 木村鉄也 (公社)農林水産・食品産業技術振興協会主任調査役 石川君子 (2) ベトナム 平成27 年 11 月 29~12 月 4 日のトマト技術研修及び 10 月 4 日~11 日に実施した別件調査の収 集情報に基づき調査 調査員:元ベトナム植物品種保護制度プロジェクトJICA 専門家 水野忠雄 タキイ種苗株式会社海外営業部第二課長 柏木雅紀 (公社)農林水産・食品産業技術振興協会主任調査役 石川君子 3. 調査結果 (1) PVP 制度の運営状況 ① タイにおける PVP 制度の運営状況 タイは、1999 年に植物品種保護法を制定し、2003 年から品種保護制度の運営を開始してい る。2015 年末迄の出願件数は 1,252 件、内 355 件が登録されている。保護の対象植物は、62 種類である。 法律の英文版は公表されていないが、WIPO の法令コレクションから入手可能である。こ の法律は、UPOV 条約に基づく新品種(育成品種)の保護と、生物多様性条約に基づく地域 在来品種及びジェネラルドメスティック品種及び野生植物の保護の独立した 2 つの制度を含 んでいる(別添1(1) )。 新品種の保護制度については、ほぼUPOV 条約に沿った運営がなされているが、新品種を 育成する際に、タイのジェネラルドメスティック品種を使用している場合には、出願時に農業 協同組合省の農業局(DOA)と Agreement を結ばなくてはならず、また、登録後、品種を販売 して利益が出た場合には、国に利益配分することが義務付けられている。ただし、1999 年以
前から所有していたことが証明できれば、Agreement を結ぶ必要はない。これは、UPOV 条 約の定める保護の条件以外の条件を課していることとなり、UPOV 条約と整合していない。 ジェネラルドメスティック品種の定義は、法律によると、「タイ国内に存在する又はタイに 由来する(originating)品種で、一般に利用されており、新品種、地域在来品種又は野生植物 以外のもの」となっている。これに対し、タイで営業している種苗会社は、現在の定義では、 自社の既存品種がすべて含まれてしまい、長年かけて自社で育成してきた系統や品種を使っ て育種をするのに、何故国に利益配分しなければならないのかと強く反発し、タイ種苗協会 (Thai Seed Trade Association)として、この部分の定義の改正を農業協同組合省の農業局 長に要請している。改正の動向としては、毎年政権が変わり、担当局長も変わるので、見通し は不透明とのことであった。
PVP 制度のジェネラルドメスティック品種利用の利益配分については、担当当局の植物品 種保護室及び登録実績のあるEast West Seed 社に聴き取りを行った結果、利益配分の方法に ついては、施設整備、お金、農家への栽培方法等の教育研修、農家への情報提供の方法のいず れかで行うこととなっているが、実行された事例はまだない。East West Seed 社は、どのよ うな方法にするか検討中とのこと。 UPOV 加盟に向けた法律改正の動向については、担当当局、種苗会社、大学教授等の学識 経験者のいずれもが、法律改正を望んでいるとのことであるが、タイでは、グリンピースタイ ランドが法律改正に強く反対しており、種苗会社が育成した新品種を無断増殖して農家に配 布したりしているため、農家の中には、この活動を支持する者もおり、政府は法律改正に慎重 な姿勢であるとのこと。最も可能性のある方法は、タイがTPP に参加する場合には、UPOV への加盟が義務付けられるというマレイシアと同様の方法であろうとのことであった。 その他、タイのPVP 制度の運営で、我が国と異なる点は、①法律により、書面による DUS 試験の実施が禁止されていることであり、他国等で実施されたDUS 試験の報告書は受け入れ られない。②DUS 試験は、全て育成者のほ場で現地調査により実施されている。海外から出 願する場合は、タイ国内にDUS 試験実施場所を確保する必要があり、植物品種保護室に依頼 して手配することも可能とのことである。この場合の必要経費はすべて出願者が負担し、また、 生育期間中に 2 回実施される現地調査の旅費等の経費もすべて出願者が負担することになっ ている。現在、国による栽培試験を実施するための種苗センターを Pitsanuklok に建設中 (47ha)であり、近い将来は、栽培試験も実施可能になるとのことである。 また、植物品種保護室の説明によると、③F1 品種の出願に当たっては、両親系統の種子の 提出が必要で、かつ、現地調査においても両親系統の特性を調査するとのことであったが、種 苗会社からの聴き取りによると、親系統については、種子は提出しておらず、特性調査も一切 していない(企業秘密)とのことであり、何らかの運用がなされていると思われる。 ④出願時の種苗の提出については、出願情報は、出願後90 日間公表され、その期間内に異 議申し立てがない場合は、種苗を提出するが、植物品種保護室には種苗の保管場所がないため、 種苗の確認後、育成者に返送するとのことであり、この間、発芽率等の検査は特に行っていな いとのことである。 ⑤未譲渡性の条件も異なり、国内外を問わず未譲渡性は1 年間しか認められていないので、 日本から出願する場合には、注意が必要である。
⑥育成者権の存続期間についても、1 年草は 12 年、多年草は 17 年、永年性作物は 27 年と なっており、UPOV 条約より短いものがある。 ⑦育成者権の保護の範囲は、種苗に限定されており、生産物(収穫物及び加工品)は含まれ ていない。 なお、タイでは、植物品種は特許対象から除外されており、特許はとれない。 ② ベトナムにおける PVP 制度の運営状況 ベトナムは2006 年 12 月に UPOV に加盟し、2016 年 12 月で 10 年となる。2015 年末ま での出願件数は708 件、内 311 件が登録されている。本年 12 月から保護対象がすべての種類 に拡大される予定である。法令の英文が公表されている。また、特許庁の法令コレクションに 日本語仮訳版が収録されている(別添1(2) )。現在、法律及び規則の改正が検討されており、 2016 年中には改正される予定である。改正の方向としては、手続きの簡素化、英文出願の導 入、電子出願の実施、罰則の強化等とのことである。 PVP の出願の仕方は、まず、農業・農村開発省の作物生産局の PVP 室(Minh 氏が Director) に行き、申請書を提出し、出願料を支払う。その後、独立行政法人の植物品種試験センターに 行き、DUS 栽培試験の依頼書と、品種特性説明書を提出し、栽培試験料の半額を支払う。栽 培試験は、2 回(2 作)実施され、報告書が作成される。報告書ができた時点で、残りの半額 を支払うとのこと。出願料は、以下のとおり。 品種保護関係料金(2011 年、財政省の省令 180 号) No. 内容 単位 金額 (1.000 VND) 1 出願料 1回 2.000 2 出願者からの依頼による再度出願書類審査 1回 1.000 3 DUS 試験費 一年生植物 01 品種 11.000 生育期間の短い植物 8.300 多年生植物 24.000 現地調査の場合、試験費は1/2 4 登録料 1年目~3年目 (毎年) 3.000 4年目~6年目 5.000 7年目~9年目 7.000 10年目~15年目 10.000 16年目以降 20.000 出願者がDUS 試験を実施する現地調査の場合は、DUS 試験料は半額になる。料金及び出願 書の詳細については、以下参照。
http://pvpo.mard.gov.vn/DetailInfomation.aspx?InfomationID=IN00000397 代理人は必須要件にはなっておらず、ベトナム語で書いてあれば直接出願が可能。 なお、現在、英語での出願及びオンライン出願の準備中であるとのこと。ベトナムは、 2016 年度に PVP 法及び種子規則の改正を検討しており、いずれも、出願者の負担を減ら す方向であるとのこと。 (2) PVP 制度の権利侵害対策及び事例 ① タイ タイの法律では、第61 条に、新品種の権利侵害は、裁判所の裁判に委ねられると規定され ており、罰則は、第63 条から第 69 条に規定されており、2 年以下又は 10 万バーツの罰金も しくはその両方と規定されている。また、関税法に税関における水際での植物品種の侵害対策 の規定はない。 育成者権の侵害の取締りについては、警察権のある専門家が全国 8 か所に設置され、取締 りを行っているとのことである。 通常、育成者権の侵害については、二者間で話し合いをするか、裁判所で裁定してもらい、 和解するとのことである。裁判で侵害が認められた事例としては、種子繁殖性パパイアの事例 がある。 侵害については、種苗会社の聴き取りによると、国内よりも、周辺国での侵害が問題であり、 中国、ベトナム、インドでコピー品種が作られているとのこと。これに対し、PVP 当局は、 各国の出願公表をチェックし、タイから持ち出された品種が公表された場合、公知の品種であ るとの異議申し立てをしているとのこと。種苗会社は、国内で侵害されても、裁判費用がかか り、罰則も軽いので、告訴等はしていない。F1 品種の場合、採種用の親品種が売られるとか、 余った種子が他で売られてしまうことがあり、採種農家には雌株だけを渡し、雄は花粉だけを 渡すようにして自己防衛している。ニガウリの親品種をとられた事例では、種苗会社が見つけ て、差し止めし、全量を回収した。 農家が侵害する事例はあまりなく、種苗会社を辞めて出ていく者が、品種を持ち出すことが 問題とのこと。 国が育成した品種は、許諾料を取らずに配布されており、ラオスやミャンマーに持ち出され ても、ダイズやイネ等は食料だから構わないとの意識であった。固定品種の場合、農家は1 回 購入したら、増殖し、農家間で種子を交換し、二度と買わないとのこと。日本の種苗会社の枝 豆用の大豆品種(冷凍食品として日本に輸出する)が、その事例で、現在広範に栽培されてい るとのこと。 ② ベトナム ベトナムのPVP 制度は、知的財産法の第Ⅳ部の「植物品種に係る権利」に規定されている。 権利侵害に関しては、第Ⅴ部の「知的所有権の保護」及び「知的財産権保護及び知的財産国家 管理に関する知的財産法の条項の催促及び施行ガイドラインの政令105 号」(別添1(3))に規 定されている。
税関における輸入差し止めについては、関税法に規定が整備されており、企業から申請があ れば、対応可能とのこと。育成者権の権利保持者は、輸入差し止めの申請ができるが、検査の 結果、権利保持者の品種と違った場合には、罰金が科される。 権利侵害事例については、種苗会社での聴き取りによると、サウザンシード社では、無断増 殖されることはあるが、特に対策はとっていない。勤務していた種苗会社から退職する際に、 育種材料を持ち出し、新会社を作って販売されたという事例はあるとのこと。Trang nong 社 では、スイカの登録品種TN522 の番号をまねたり、そのまま品種名称を使われてしまった事
例があるが、特に対策はとらなかったとのこと。East West Seed 社では、共同設立のパート ナーが育種材料を持ち出し、新会社を作って、育成品種として販売された経験がある。また、
キュウリについて3、4 のコピー品種が出ているが、見つけてもお金はとれないので、特段の
対策はとっていないとのこと。コピー品種は安いので、成功している者はコピーしないし、農 家はEast West Seed 社のブランドを信用しており、同社から買うとのこと。シンジェンタ社 の事例では、同社の種子と類似した種子がタイから輸入された際に、国が植物品種試験センタ ーでDUS の比較試験を実施し、同一性を確認し、ダラットの警察にデーターを送って、タイ からの輸入種子を差し止めたとのこと。また、VINO シード社では、キュウリ、カボチャ、ス イカ及びトウガラシのF1 品種を品種登録しているが、登録品種を他の会社が別の名前で売る ことがあるとのこと。 (3) 国内外の種苗会社の事業展開の状況 ① タイ
タイの種子市場は、野菜については、East West Seed 社、チアタイ(正大)社及びサカタ のタネ社等が占有している。イネ等の作物は、C. P. Group が行っている。
タイには、2 つの種苗協会があり、1つは、タイ種子協会(Seed Association of Thailand)
で、会員数563 で、67 の企業及び個人から成り、すべて国内企業である。年に 1 回大会を開
催して、その参加費で運営している。会長はPVP Commission の委員である。もう一つは、 タイ種苗協会(Thai Seed Trade Association:TSTA)で、こちらは外資系企業も加入してい る。法律の「General Domestic Variety」の定義の改定や、従属品種の規定の導入など、会員 の意見を代表して積極的に農業局長への要請活動を行っている。タイは、種子の輸出入につい て、植物検疫の規制が厳しく輸入できない種子が多く問題であるとのこと。また、タイは、ト ウモロコシ種子の輸出が多いが、タイでは遺伝子組み換え品種は栽培していないので、遺伝子 組み換え検査はしていないとのこと。日本種苗協会と協力して、タイでPVP 制度に関する意 識啓発セミナーができないかとの提案があった。 ア 民間企業の事業展開 i. Chia Tai(正大:チアタイ)社 タイで第2 位の種苗会社で、1921 年創業、タイ最大のコングロマリットの C. P. Group は、 チアタイ社の最初の子会社から発展したものである。タキイ種苗の代理店である。ウリ科、 特にキュウリ、スイカ、カボチャの育種を行っている。輸出については、熱帯地域の多くの 国に輸出しており、品種保護制度のある国では、現地の代理人を通じてPVP の出願をしてい
る。欧州にも輸出している。海外での権利侵害は起きており、中国、ベトナム、インドは要 注意とのこと。
ii. East West Seed Co., Ltd
同社は、オランダ人のMr. Simon N. Groot 氏により 1982 年に設立された野菜の国際的種 苗会社で、アジアでは、フィリピン、タイ、インドネシア、インド、ミャンマー、ベトナムに 拠点がある。East West タイは、1984 年に設立され、2013 年には 30 周年を迎えた。タイ最 大の種苗会社である。販売範囲は、アジア、中米、南米、西アフリカ、東アフリカ、南アフリ カ、中近東、ニュージーランド、オーストラリア、中国、台湾、日本と幅広い。 現在までに、トマト、メロン、トウモロコシ、コショウ等14 植物種で、30 品種を PVP 出 願し、20 品種が登録されている。来年度(2016 年)も 16 品種の出願を予定している。PVP 出願する品種は、農業局の奨励品種リスト(イネ、トウモロコシ等の主要作物)に載せる品 種と、価値の高い品種である。タイでは、登録品種の種子の袋には、農業局のPVP マークの 添付が義務付けられており、PVP マークをつけて販売している。DUS 試験は、100%自社の ほ場でやっている。海外の種苗会社を含め、他社のDUS 試験を実施したことはない。また、 他国へのPVP の出願はしていない。
F1品種の種子繁殖パパイアのDUS 試験を見学した。試験前に DOA と Meeting を持ち、 テストガイドラインに沿って、試験設計、類似品種等を決定する。試験区については、植物 によってはUPOV の DUS ガイドラインに従っている。パパイアの DUS 試験は 6 本かけ る4反復、類似品種等は3 品種であった。栽培期間中は、PVP 担当官が 2 名、専門家 1 名 の3 名で 2 回程度現地調査に来る。経費は出願者持ちで、1 回につき 20,000 バーツほどか かるが、高いとは思わない。タイの遺伝資源を使っているので、出願の際に DOA と Agreement を結んだ。利益配分については、施設整備、お金、農家への栽培等の教育研修、 農家への情報提供等の方法があり、まだそのような方法でやるか決めていない。一般的には DOA との交渉であり、それら方法のどれを選ぶかはケースバイケースである。 F1品種の親については、出願時に品種名称等の情報だけ記載するが、種子は提出しない し、実物は見せない、DUS 試験で栽培もしないし、調査もされない。企業秘密なので、見 せなくてよい。(DOA の説明とは食い違いがあり、何らかの運用が行われているものと思わ れる。) F1品種への DNA 分析の利用はまだ行なっていない。一部情報はもっているが DOA の PVP 事務局には知らせていない。将来的には純度について、遺伝子型と形態的表現型の両 面からチェックしたいと考えている。 PVP 出願のメリットは、他社によるコピーを止められること。 種子生産は契約農家でやっているが、雌株だけ渡して、雄は花粉だけ渡す(余分に生産さ れた種子が他で売られたりするため)。 侵害が無いかどうか、売った種子量と市場に出回っている収穫物の量(生産量)等を厳し くチェックし対応している。 ゴーヤの新品種の親を取られたことがあるが、見つけて差し止めし、全量回収できた。 課題としては、DUS 試験に時間がかかるので、DNA 分析技術やバイテク等でも少し楽に
証明(審査)できないか。登録期間については、1 年草にするか多年草扱いにするかは、出 願者が選べるとのこと。登録料は 1 年間で 1,000 バーツであり、どの植物でも同じ値段で ある。なお、種子の値段はマーケットにより様々である。 イ 国の研究機関の事業展開 i. 農業協同組合省イネ局 タイにおけるイネの品種登録はまだ7 品種程である。奨励品種は、190 品種、ジーンバン クには2 万点ほどある。タイは、ナショナルリスト制度はなく、日本と同様に種苗の販売の 規制はない。奨励品種は、強制力はなく、載っていなくても生産できる。種子法に基づく種 子検査制度はある(45 作目を対象)。ジーンバンクの品種は、データベース化されており、 DUS 試験の類似品種の検索にも使用している。イネの品種開発については、民間企業の C.P. グループもイネの品種開発をしているが、まだ民間の品種のPVP 登録はない。今のところ、 すべて国の開発品種である。カセサート大学もイネの育種をしており、「ライスバーリー」 という品種を登録している。国では、F1品種の育成はやっていない。 野生稲の保護もやっており、現地ではOryza rufipogon 87 系統を保護している(12 ヘ クタール程度)。
local variety の保護もしており、集落で遺伝資源の保護をしている。野生種と local variety の保護は、生物多様性条約(タイは未加入)と食料農業植物遺伝資源国際条約(タイ署名) の規定に沿った保護であり、植物品種保護法に入っているが、PVP とは全く別の保護制度 である。
国が開発した新品種は、許諾料は取らずに、種子生産のため Seed Center に送られる。 Seed Center はイネ局の下部機関で、全国に 28 か所ありそのうちの 23 か所でイネの種子 生産が行われている。種子の増殖は、Breeder's Seed → Foundation Seed → Registered Seed → Certified Seed のように 4 段階で行われており、3 番目と 4 番目が農家に販売され る。農家への販売価格は、1kg あたり 23 バーツ、特別の新品種は 5~20 バーツ高いが、生 産物が高く売れるので人気がある。 種子の値段は品種間で差は無く、ほとんど同じ値段。「バトンタニヌン」だけは高いが、 4~5 バーツ位である。 種子生産は、全国を5 つの地域に分けて、それぞれの地域に適した品種を生産し、配布す る。灌漑可能な中央部では感光性品種が作られ、東北部ではモチ米が作られる。 タイのイネは、白米、香り米、モチ米、色のついた米の4タイプに分けられる。 イネ局の研究所が開発した品種の一つで、バトンタニヌン(バトンタニの試験場で開発さ れた1 号の意味)は、香りがよく、米国の特許に登録した(2004 年)。この品種は中央部で 16 万ヘクタールほど作られている。また、Prachinburi 1 は、2004 年に欧州とベトナムに PVP の申請をし、ベトナムでは 2007 年に登録されている。この品種はフローティングライ スで、ベトナムに向く。欧州のイネの審査国であるスペインでは出穂せずに、ベトナムの審 査データを使うことになったが、データの記載内容が不足のため、再試験をベトナムで実施 中である。海外に出願する理由は、米の輸出や販売のためではなく、生育環境の似た地域に 取られないための防衛目的である。ベトナムは生育環境が似ているので、持って行かれると
大変なためとのことである。 PVP 制度の評価について聞いたところ、国の育成者には職務育成の報奨金はないが、給 料の査定の根拠となる。また、政府の表彰や賞金がもらえ、前述の2 品種の育成者は表彰さ れているので、モチベーションは上がるとのこと。 イネの品種開発は、全国28 の Rice Center で行われており、研究者は、全国で 50 名ほ どいる。基本的に転勤はない。 イネ品種の地域適性は、全国28 の Rice Center で調査する。 これまでイネの品種登録した他国での例は、アメリカとベトナムである。 国内での権利侵害対策については、国内では、国が開発した品種は、許諾料をとっていな いので、誰が持って行ってもよく、特にやっていないとのこと。輸出については、種もみの 輸出を禁止する法律がある。しかし、米国に遺伝資源を持って行かれるので、米国で特許を 取った。タイでは、植物品種の特許は取れない(特許対象から除外されている)。UPOV 加 盟国以外(保護制度がない国)に持ち出されると、どうしようもない。 これまで外国人が既存品種のデータベースに載っていないからといって買って自国に持 ち帰りその国の品種となった例が多くあったため、データベースを充実させることは大切。 従属品種の規定の運用については、タイでは、将来の改正案には書いているが、現行の法 律には条文がない。研究および登録は可能であるが、販売に際しては、元の品種の育成者の 許可が必要。この場合、類似性の判定はDOA が行うが、従属品種かどうかの判断は、当事 者間の調整か、裁判にゆだねられる。なお、NGO が遺伝子組換体植物に対して反対してい るので、そのような品種は少ない。
ii. BIOTEC(National Science and Technology Development Agency )
BIOTEC は、科学技術省の外部機関で、3,500 名の職員を擁する。内、Dr.が 1,800 名お り、タイ最大のDr.の雇用先とのことである。バイオテクノロジーにかかわるあらゆる分野 の研究をしており、細菌(13,070 点)、糸状菌(34,839 点)、酵母(4,390 点)、昆虫(約 5,000 点)、植物等のコレクションを有する。これらは、タイ国内の研究者に提供している(国の 研究者は500 バーツ、民間は 1,000 バーツ)。海外にも研究用に 100US ドルで分譲してい る。なお、実用化にあたっては別途契約が必要。 民間企業との共同研究(マーケティングなども含む)、商品開発も多数実施しており、共 同研究のための工場施設も有する。ジーンバンク、植物園(チェンマイ)もある。植物工場 もあり、野菜やドリアンをオフシーズンに施設内で環境制御して生産している。 現在の研究目標は、農家の所得向上とのこと。民間企業と組んでバナナのモデルシステム を構築している。耐塩性、耐乾性の品種開発、農家の支援(低所得層の支援)という目標に 沿って、マラリアの新薬(アルテミシアから)の生産もしている。 放射線、イオンビーム、ガンマー線を使った人為的突然変異の研究もしているが、なかな か難しいとのこと。 毎年30 名程度 ASEAN から研修生の受け入れをしているとのこと。 タイは、海外からの植物の持ち込みが厳しく、ASEAN 共同体になっても、独自の途を歩 むのではないかと思う。また、遺伝資源の持ち出しについても、タイは非常に厳しい。
PVP 制度の評価については、BIOTEC という政府側の研究者の立場では、新品種は許諾 料を取らずに配布するので、関心がないといえる。また、民間側の立場に立って考えると、 固定品種の育成はあまり魅力がなく、F1品種の育成をしているので、やはりあまり関心が ない。 同席した、マヒドール大学のDr. Kanyaratt Supaibulwatana 氏は、PVP は誰も反対し ない制度と思うが、一つは法律の範囲をはっきりしないといけない。内容について皆知らな いので、理解を進めるための具体的なガイドブックのようなものが必要だ。二つ目は、制度 をどのように活用できるかというマニュアルが必要だと考える。良い品種ができると農家 の所得が上がるといったような。また、野生植物が絶滅しないようにアジア全体で考える必 要がある。 タイのPVP 制度で、F1品種の親の情報開示が求められる点については、BIOTEC は、F1 品種の親を開示しないで済むのなら、PVP 制度を利用するかもしれないし、PVP 制度によ り品種の交換や利用が増えると思うとのこと。タイの品種保護はいろいろなものが混じっ ている。BIOTEC は、米国で方法特許を取っており、SIGMA 社から製品が発売されている。 タイでも医薬品等の特許を20 ほどとっている。 iii. 農業局チェンマイ畑作物研究センター この地域は大豆の生産地であり、ここでは、ダイズの育種をやっている。このセンター は、DOA と協力して、この地域を大豆産地として守ることを目的としている。遺伝子組 み換えでない品種を栽培しているので、それが守れるかどうか。ダイズの育種や民間との 共同研究もやっている。民間、種苗会社、政府間で情報交換を図り、ダイズをどのように 育種・栽培していくか戦略的に検討を行っている。 現在までに15 品種を育成し、奨励品種(Recommend variety)リストに登録し、普及 されることを期待している。PVP の出願はやっていない。 チェンマイ60 という品種は、ラオスやミャンマーに持って行かれているが、ダイズは 食料なので、持って行っても良いと考えている。政府の品種は安く、民間の品種は高い が、形質が違うので、勝手に作ると周囲にわかるので、育成者権の侵害はないのではない か。品種に最適な場所を選ぶのもセンターの仕事。政府の育種は、民間が作っていないも の、食料や健康に良いものなどについて行っている。固定品種の種子は、政府だけでは増 やせないので、民間に増殖してもらっている。ダイズ育種において、DNA マーカーの利 用は育種段階で親の由来を確認するために用いることがある。なお、日本でSNP マーカ ーを開発した場合は、育成者権の保護のため、品種識別技術として導入したいので、早い 時期の導入を期待する。 タイのマーケットは規制が多いので、種子のビジネスをスムーズにするように、奨励品種 制度の改正を検討中。DOA の新局長が、4 つの種苗センターの設置を進めており、2 か所 はすでに完成し、あと2 か所も来年には完成する。Pitsanuklok に一番大きいセンター (48ha)を建設中で、そこでは、DUS 試験も実施できるようになるとのこと。 ② ベトナム
ベトナムには243 の種苗会社があり、海外企業は、駐在員事務所を含めて 11 社であり、シ ンジェンタ、モンサント、バイオシー、バイエルン、East West Seed、中国、日本の種苗会社 が含まれる。海外取引をしている国内の種苗会社は、10 社程度で(Vietnam National Seed Joint Stock Company(VINA Seed, Southern Seed Corporation, Thai Binh Seed Company, Nghe An Seed Company, Hong Guang Seed Company, Quang Ninh Seed Company, Lao Cai Agriculture, Forestry Company, East West Seed Corporation, VINO Seed, Tran nong Seed
等)、育種をやっている種苗会社は少なくイネとトウモロコシが主である。
ベトナムには、種苗関係の全国団体「Vietnam Seed Trade Association:ベトナム種苗協会」
があり、100 社程の種苗会社が加入している。海外企業も入っており、活発な活動をしている。 年会費は500 万ドン(約 25,000 円)で、主な活動は以下のとおり。 研修会の開催 植物品種試験センターと協力して、採種技術、種子検査などの研修会を年に3、4 回開催 生産の会議の共同開催 科学省主催で、試験研究機関の新品種育成状況とその譲渡状況報告セミナーを開催。そ の他、年に1、2 回、その年の種子の生産能力報告会を開催。 会員のコンサルタント 会社の権利を守るため、登録品種が生産者に勝手に使われた時に、コンサルタントとし て、仲介役をする。今までの事例は30 品種で、イネとトウモロコシとのこと。協会は品 種の譲渡の仲介も行う。実績は、同じくイネとトウモロコシとのこと。ベトナムの会社 以外にもアメリカとインドの会社にも譲渡した。譲渡価格は、高いものでは、1品種10 億ドン(約500 万円)、安いものは、数百万ドン(数千円)とのこと。トウモロコシは、 イネより高いとのこと。また、品種の許諾の仲介も行うとのこと。 (ア) 民間企業の事業展開
i. ベトナムナショナルシード社:Vietnam National Seed Joint Stock Company(VINA Seed) 同社は、ベトナム最大手の種苗会社であり、1968 年に農業農村開発省の国営種苗会社 (National Seed Company)として設立され、2003 年に政府の資本が 20%のベトナムで最 初のJoint stock Company となり、現在は政府資本 0 の民間企業である。2014 年の売り上 げは、7,190 億ドン(約 36 億円)で、10 年で約 12 倍、利益は、28 倍になっている。2015 年6 月には、M&A で Southern Seed Corporation の株を 60%取得し、子会社化してい る。 イネとトウモロコシが主要な品目であるが、野菜種子も販売している。また、精米等の生 産物の販売もしている。本年度の種子の生産量は、25,000 から 27,000 トンで、売り上げは 約3,500 万 US ドルである。日本など海外の種苗会社の種子も販売している。 研究開発は、イネとトウモロコシが主体で、その他としてはカボチャ、ウリ類のF1 品種 開発をやっている。将来的には、キャベツやトマトの品種開発をしたいとのこと。また、中 国の種苗会社とF1 イネ及び野菜の研究協力を行っている。 研究ほ場では、品種の試験栽培が行われていたが、日本の品種を含め、多くの品種が栽培 されていた。また、メロンの栽培も行われていた。圃場管理は、他社に比べ、非常によく行
われていた。
ii. Southern Seed Corporation(SSC)
SSC は、元は National Seed Company の南部支所であったが、1976 年に独立して SSC を設立した。2014 年の売上高 6,000 億ベトナムドン(≒30 億円)、税引き後利益 870 億VND(≒4.4 億円)。従業員は 366 人。業務内容は、①イネ、トウモロコシ、野菜、花 及び飼料作物の導入、生産及び販売、②新品種の研究及び育成、③契約による種子生産、 ④農業及び園芸資材の生産及び販売である。National Seed Company に、2015 年 4 月に 40%、6 月に 20%の株式を譲渡し、同社の子会社となっているが、社名の変更はされてい ない。 SSC 社の種子生産 同社の種子生産量の推移は以下の通りであり、イネが61%(固定品種 55%、F1 5.7%)、トウモロコシが35%で、この 2 種類で 96%を占める。野菜は 0.45%。 野菜の種子生産は、2010 年までは国内で採種していたが、今はニュージーランドやオ ーストラリアで採種している。 業務範囲等 種子の販売先は、ベトナム全土、ラオス、カンボジア及びミャンマーであり、ラオ ス、カンボジア及びミャンマーにも事務所がある。国内の拠点は、ホーチミン市の本社 の他に、ハノイ、North Coast 及び Central Coast に支社がある。契約による受託種子 生産(採種)は、日本、韓国、台湾及び中国の種苗会社と契約して行っている。 収益構造 2009 年から 2013 年の成長率は年率 30%である。2013 年から 2014 年は成長が鈍化し ている。収益構造は、イネが29%、トウモロコシが 58%、野菜が 3%で、野菜の収益が 高く、次にトウモロコシで、イネは収益性が低い。ベトナムの種子市場におけるSSC の 位置づけは、F1 イネ、F1 トウモロコシ、F1 モチトウモロコシ、リョクトウ及び飼料作 物(輸入)が、販売額で1 位、固定品種のイネが南部で 2 位、野菜は 12~15 位で、総 合では第3 位である。 開発した品種は、F1 イネ 6 品種、F1 トウモロコシ 7 品種、F1 モチトウモロコシ 7 品 種、野菜14 品種である。品種登録については、スイカ、モチトウモロコシ、イネ、トマ ト、カボチャについて行ったが、経費がかかるので、あまり登録しない。無断増殖はあ るが、特に対策は行っていない。 海外からの品種の導入は、2013 年度は、世界各国から 200 品種を導入した。品種を買い 取るものと、許諾契約を結ぶものがある。 今後の展望としては、収益性の低いイネの種子生産からトウモロコシや野菜の種子生産 にシフトしていきたいと考えている。国内の野菜種子の流通量は8,000 トンと推定さ れ、その内、38%は輸入種子、55%の 4,400 トンが農家の自家採取で、国内種苗会社に よる供給は、7.5%(600 トン)と考えられる。この内、農家の自家採種部分を F1 種子 などの高品質で高収量の種子に置き換えていくという方針で、Cu Chi に 27ha の研究セ ンターを作った(East West Vietnam の農場を購入)。
イネ及びトウモロコシについては、国内の試験研究機関の新品種の開発力は強く、こ れらの研究機関から品種を導入することがある。しかし、野菜についてはベトナムの新 品種の開発力は強くないので、自社で海外の種苗会社と連携しながら研究開発を進めて いきたい。 最近は海外の種苗会社も含め、競争が激化しているので、今後は、従来のような成長 率は見込めないと考えているとのことである。
iii. East West Seed 社
同社は、オランダ人のMr. Simon N. Groot 氏により 1982 年に設立された野菜の国際的 種苗会社で、アジアでは、フィリピン、タイ、インドネシア、インド、ミャンマーに拠 点がある。同社は、ホーチミン市郊外に外資を誘致するために開発された広大なベトナ ム・シンガポール工業団地の一角にある。同工業団地にはパナソニック、キューピー等 の日系の大手企業も数多く進出しており、この地域では、許認可の窓口が一本化されて おり、投資許可に時間がかからず、また、団地内に通関施設があることから、仕入れた 原料を空港から直送できる等のメリットがある。 ベトナムでは育種をしておらず、タイ、フィリピン及びインドネシアの研究所で育種した 品種をテストして選定している。 育種目標は、高収量、病害抵抗性、食味及び人の健康であり、同社の品種により、農家の 収入を上げ、環境にも寄与することである。キュウリについて3、4 のコピー品種がでてい るが、見つけてもお金はとれない。品種登録については、今までに、モチトウモロコシ2 品 種、キュウリ2 品種及びスウィートコーン 1 品種を登録しており、スウィートコーンとヤー ドロングビーンの2 品種を出願中である。
iv. Trang nong Seed Company(チャンノンシード社)
同社は、ホーチミン市内にあり、野菜・果樹及び花に特化した種苗会社で、小農と家庭菜 園向けの種子及び苗の卸売及び小売りをしている。 品種開発については、2ha の研究農場を持ち、スイカの品種開発をやっている。育成した スイカの中でもTN386 が同社の主力品種となっている。その他の種類は、海外から導入 しており、研究農場で試作して選定している。特に気候が似ているタイからの固定品種及 びF1 品種を輸入している。取扱品目は、果菜、葉菜、根菜等幅広く、その他にもやし用 豆類、マリーゴールド、ヒマワリ等である。 育種を行っているのは、スイカのみである が、ベトナムの研究農場で選抜したアブラナ科のサイシン及びカラシナをニュージーラン ドで委託採種している。 今後の計画としては、耐暑性のある品種や成熟期が早い品種で、中国、韓国、ロシアへの輸 出や国内需要に合うものを開発又は導入したい。 種子の輸出入については、スイカ、キュウリ、スカッシュ、カボチャ、トマト、キャベツ、 カリフラワー、アスパラガス、ニンジン等何でもで、タイからの輸入が多い。 輸出は、カンボジア及びラオスにはカンクーン(クウシンサイ)他なんでも、台湾、マレ イシア及びアメリカの種苗会社には、カンクーン、ヤードロングビーン、アマランサスを出
している。アメリカ向けは、米国内のアジア人向けであるとのこと。中国には、スイカ、ト ウガラシ、スカッシュの種子を輸出している。
ベトナムは、タイと植物検疫の二国間協定(Plant Protection Department Agreement) を締結しており、タイの植物防疫官がベトナムに来て、野菜と花の種子の検査をしている。 韓国とも協定を結んでいる。 品種登録については、スイカが 1、2 品種だけで、その他はやっていない。新品種の権利 侵害事例は、例えば、TN522 という品種の番号をまねされたり、そのまま使われてしまっ た事例がある。 海外種苗会社との協力については、タイや日本の種苗会社の商品を取り扱っている。信頼 される場合は、海外種苗会社の試作を引き受けることもある。海外種苗会社のベトナムへ の参入については、シンジェンタがイネをやっている。
v. Viet Nong Limited Company(VINO Seed)
南部のDong Nai 県に立地し、ベトナムが UPOV に加盟した 2006 年に設立された民間の 種苗会社である。1997 年に外資系の East West Sed 社と共同でスタートしたが、その後関 係を解消して、新会社を設立した。ベトナムでは唯一の野菜に特化した育種をやっている種 苗会社である。 20 ヘクタールの研究農場と、40ha の採種農場を有し、その他に国内での契約採種も行っ ている。社員150 名で、経営者及び研究者ともに若い会社である。採種は 100%ベトナム国 内で行っている。種子の輸入はしていない。 取扱品目は、カボチャ、キュウリ、ニガウリ、ヘチマ、スイカ、スカッシュ、トウガラ シ、ナス、トマトなど果菜類中心で、全てF1 品種である。売り上げの主力は、ニガウリ、 カボチャ及びキュウリである。今までに作出した品種は50 品種で、PVP は、14 品種を出 願し、キュウリ、カボチャ、スイカ及びトウガラシの4 品種が登録されている。PVP に登 録されても、他の会社が別の名前で売ったりすることがあるとのこと。 カンボジア及びフィリピンに輸出している。 同社の育種目標は、病害抵抗性と食味(今までより良い)、従来の品種と見た目で区別性 があるなどであり、農業新聞や、スーパーマーケット、卸売市場を通じて、消費者に物語を 訴えていくような宣伝をしている。消費者にアントシアニンは身体に良いと訴え、テストし てもらい、バイカラーのモチトウモロコシ種子の販売量を、1 年で 0 から 100 トンに増やし た。白と紫のバイカラーは、見た目の区別性も明確で、同社の商品として認識されたとのこ と。 (4) 我が国育成品種の種苗や生産物の栽培・流通 ① タイ 2015 年 1 月に日本種苗協会の国際委員会の会員社に種苗の輸出市場としての ASEAN につ いてアンケート調査した結果、タイについては、100%から輸出市場として期待しているとの 回答があり、75%からは、採種地として期待しているとの回答があった。ほとんどの種苗会社 が、すでにタイに拠点があり、又はタイに種苗を輸出しており、ウリ科などについては、日本
の種苗会社が相当のシェアを持っている。 日本からのPVP の出願は、イネ 2 品種、サトウキビ 2 品種(JIRCAS とタイとの共同研究) である。 ② ベトナム 2015 年 8 月に、日本種苗協会の国際委員会の会員社に、種苗の輸出市場としてのベトナム についてアンケート調査した結果10 社から回答があり、うち 6 社はすでにベトナムに種苗の 輸出を行っているとの回答があり、現地においても、日本の種苗が販売されており、また、市 場でも、ニンジン、キャベツ、タマネギ、スイカ等、日本の品種が販売されていた。これらは、 ベトナムだけでなく、中国等で栽培され、輸入されたものも多い。また、日本の複数の種苗会 社の名前がブランドとして知られていた。日本からベトナムへのPVP 出願は、まだない。