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(1)

松山赤十字病院 竹田 喜久恵

平成25年2月28日(木)

モーニングレクチャー

(2)

雲仙普賢岳の噴火から

21年

1991年6月3日、雲仙・普賢岳で発生した大火砕流。犠牲者43人を出した =長崎県深江町(現在の南島原市)

(3)

阪神・淡路大震災から18年

(4)

新潟中越地震から約8年

2004年10月23日17時56分ころ発生した地震。土砂崩れにより山古志村 が一時孤立状態となった。余震の強さと回数に不安が強かった。

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(6)

第1救護班 第2救護班 第3救護班 第4救護班 第5救護班 第6救護班 第7救護班 第8救護班 第9救護班 第10救護班 第11救護班 発症(3/11) 1ヶ月目 2ヶ月目 3ヶ月目3/12∼17)3/14∼19)3/18∼23)3/24∼29)3/28∼4/2)4/5∼9)4/18∼22)4/25∼29)5/5∼10)5/16∼22)6/16∼21 慢性期 超急性期 急性期

東日本大震災 救護活動

(7)

災害対策本部での打合せ

本部要員と熱い議論が…

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焼 骨 6% 損 傷 ・ そ の 他 3 % そ の 他 1% 出 血 ・ シ ョ ッ ク 死 2 % 焼 死 ・ 火 傷 死 4 % 圧 死 ・ 窒 息 死 等 8 4 % 阪神淡路大震災の死因別状況 1995年 災害の種類や被災状況によって、 死因は大きく変わった。

(26)

災害 = 脅威・危険×脆弱性

備え有れば憂いなし(寺田寅彦)⇒備えがあってもなお憂い有り 備えがあれば被害を軽減できる(減災) * 原因が何であれ、同様に医療や公衆衛生上の需給バランスの崩壊がおきる アンバランス 医療資源 情報の不足・途絶 医薬品、衛生材料の不足 医療施設の損壊 搬送手段の不足 ライフラインの途絶 医療スタッフの不足 医療ニーズ 多数の傷病者 多数の被災者 ≠救急医療 災害派遣医療チーム(DMAT) 域外搬送等で災害医療から救急医療へ

(27)

災害が及ぼす影響3

大災害後の感染症の発生 年 被災地 災害 感染症 1907 サンフランシスコ(USA) 火災 ペスト 1918 ダルース(USA) 森林火災 インフルエンザ 1963 ハイチ(中央アメリカ) ハリケーン マラリア 1976 フリウリ(イタリア) 地震 サルモネラ 1979 ドミニカ ハリケーン チフス・肝炎・麻疹 1982 ポパヤ(コロンビア) 地震 肝炎 1983 エクアドール 洪水 マラリア 1995 神戸 地震 インフルエンザ Aghababianの表1992に一部改変 東日本大震災では、6月20日現在、細菌性腸管感染症、急性呼吸器感染症、 麻疹、破傷風などの感染リスクが高いと発表されています。

(28)

災害が及ぼす影響5 災害後の心的ストレス 反応 時期 身体 思考 感情 行動 主な特徴 発災直後から 数日 (急性期) 心拍数の増加 呼吸が速くなる 血圧の上昇 発汗や震え めまいや失神 合理的思考の困難さ 思考狭窄 集中力の低下 記憶力の低下 判断能力の低下 茫然自失 恐怖感 不安感 悲しみ 怒り いらいら 落ち着きがない 硬直化 非難がましさ コミュニケーショ ン 能力の低下 闘争 迷走反応 1∼6週間 (反応期) 頭痛 腰痛 疲労の蓄積 悪夢・睡眠障害 自分の置かれた辛い 状況がわかってくる 悲しみと辛さ 恐怖がしばしばよみが える 抑鬱感 喪失感 罪悪感 気分の高揚 被災現場に戻るこ とへの恐れ アルコール摂取量 の増加 抑えていた感情が 湧き出してくる 1ヵ月∼半年 (修復期) 反応期と同じだが、 徐々に強度が減じ ていく 徐々に自立的な考え が出来るようになっ てくる 悲しみ 淋しさ 不安 被災現場に近づく ことを避ける 日常生活や将来に ついて考えられる ようになるが、災 害の記憶がよみが えり辛い思いをす る (復興期) 災害の出来事を振り返ってもストレス反応を起こすことなく経験を受け入れ、他のストレスに対応する準備ができ ている状態になるが、個々の被災者により、回復過程に違いがある。 日本赤十字社「災害時のこころのケア」より

(29)

災害現場における体系的な対応

(CSCATTT)

Command & Control 指揮命令、統制/調整 Safety 安全 Communication 情報伝達 Assessment 評価 Triage トリアージ Treatment 治療 Transportation 搬送

(30)

トリアージの意義

限られた医療資源のもとで、最大多数の傷病者 に最善を尽くす。 1人でも多くの傷病者を救うために、治療及び搬 送の順序をつけること ®軽症、救命の見込みの無い重傷患者に優先を与えない

(31)

トリアージの基本的な考え方

 多発傷病者の最大多数に最善最高の医療を提 供する  優先度を確立する 生命>四肢の温存>機能の温存>美容  混乱した現場救急医療を整理する  患者の苦痛を軽減し、精神的な援助をする  患者およびスタッフの安全を図り、二次災害の防 止に努める

(32)

トリアージは状況により変化する

トリアージは絶対のものではない

• 患者の状態の変化 • 医療資源や搬送条件の変化 

救助・応急処置・搬送・病院での治療な

ど、それぞれの場面で繰り返し行う必要

がある

(33)

Triage

: トリアージ

トリアージの目的とは、 

正しい患者を

Right Patient

正しい場所へ

Right Place

正しい時間内に (

Right Time

篩い分け、選別することにある。 後で詳しくお話しします。

(34)

トリアージ(篩い分け:

Sieve)

迅速に、大別する

「素早く、大まかに」

おもに災害現場で行う

(35)

トリアージ

(並び替え

/順位付け:Sort)

主に現場救護所や病院で行う 生理学的、解剖学的に評価し、処置・搬送治療 の優先順位を確定 JPTEC、JATECの手法も用いる

(36)

Triage Sieve (篩い分け) Triage Sort (並べ替え/順位付け) 災害現場 赤 黄 緑 黒 現場救護所 赤 黄 救急車乗車エリア 赤 黄 病院 現場トリアージ 救護所トリアージ 搬送トリアージ 救出の優先順位を決定 応急処置の優先 順位を決定 搬送順位、手段、 病院選定 病院 病院 病院 院内トリアージ

(37)

トリアージ・カテゴリー

 最優先治療群(Ⅰ)  待期的治療群(Ⅱ)  保留群(Ⅲ)  死亡群(O) 赤 黄 緑 黒

(38)

赤:最優先治療群(Ⅰ):重症群

 生命を救うために、ただちに処置を必要とするもの  窒息、多量の出血、 ショックの危険のあるもの 意識障害 気道閉塞・呼吸困難 ショック 大量外出血 胸部開放創 血気胸 腹腔内出血 多発骨折 クラッシュ症候群 多発外傷 広範囲熱傷 気道熱傷

(39)

黄:待期的治療群(Ⅱ):中等症群

 多少治療の時間が遅れても、 生命に危険がないもの  入院治療を要するが、基本的 にバイタルサインが安定  6∼12時間以内に手術をす ればよいもの 四肢骨折 脊髄損傷(頸髄以下) 気道熱傷を伴わない全身熱傷

(40)

緑:保留群(Ⅲ):軽症群

 処置不要  歩行可能  処置後外来通院可能  専門医の治療を必要としないもの 外来処置が可能な、四肢骨折、脱臼、打撲、捻挫、 擦過傷、切創、挫傷、軽度熱傷、過喚起症候群など *軽症群とされても、そのまま帰宅させるのではなく、 一ヶ所に集めてアンダートリアージされたり、容態変化し た傷病者がいないか再確認

(41)

黒:死亡群(O)

 すでに死亡しているもの、又は明らかに即 死状態であり、心肺蘇生を施しても蘇生の 可能性はないもの⇒遺体安置所へ *平時の救急医療では心肺停止状態の傷病者は 心肺蘇生の対象となるが、災害時において蘇生に 携わる人員がいない場合は死亡群とする。

(42)

トリアージと処置

トリアージの際に許されるのは

気道管理と止血のみである

(43)

STARTトリアージ

大量の傷病者を短時間でトリアージ 呼吸(A,B)、循環(C)、意識(D)の 3つのパラメーターでトリアージ 30秒以内で完了! (正確な診断が目的ではない)

(44)

歩行可能? 呼吸(気道開通にて) 呼吸数 意識:従命反応 保留群 軽症群 死亡群 最優先治療群 はい いいえ 9/分以下、30/分以上 触知不可/2秒-/120以上 なし 10-29 あり 最優先治療群 最優先治療群 橈骨動脈/CRT/脈拍 A B C D いいえ

(45)

ケガ人

1.

 地震の揺れが続く中、自宅の階段から転落 して頭部を打撲しています。 かなりの出血がみられ、意識はほとんどあり ません。 家族に付き添われ運ばれてきました。 本人は意味不明な言葉を発しています。 下半身のマヒもあり、左手と左足が動きませ ん。 血圧、脈拍、呼吸は正常です。 [判定] 黒 ・赤 ・黄 ・緑

(46)

ケガ人

2.

 「骨が折れた、痛い、痛い!先生助けて」と先 ほどから絶叫している女性がいます。 左手首の骨にヒビが入っているようです。 転倒して、地面にドンと手をついてその衝撃 でケガをしました。 本人は痛がっています。 手首は赤く腫れあがり引く様子はありません。 [判定]黒 ・赤 ・黄 ・緑

(47)

ケガ人

3.

 右足のスネにケガをした男性がいます。 自転車で走っていて誤って溝に落ち、下肢を 嫌というほど打ちつけました。 骨が折れて飛び出しています。 「痛い、助けて。早く治してくれー」、大きな声 で訴えています。 脈拍は110と高く、血圧は150-80です。 骨折した部位からは多量の出血をしています。 [判定]黒 ・赤 ・黄 ・緑

(48)

ケガ人

4.

担架で運ばれてきた男性はコンクリートブ ロックに挟まれ、先ほど救出されました。 右の太股に挟まれて出来た赤い腫れと右腕 にも腫れがあります。 痛みを懸命にこらえ、しかめっ面をしています が、意識は正常で、呼吸、脈拍ともに異常は ありません。 医師の問いかけに、挟まれていた時間が3時 間以上あったと答えています。 [判定]黒 ・赤 ・黄 ・緑

(49)

トリアージを行うときの留意点

1.対応できる医療資源を正しく評価する。 2.チームを組織化し、行動計画を練る。 3.揺るぎないリーダーシップを発揮できる指揮官を 選ぶ。 4.一人の負傷者に多くの時間を費やさない。 5.気道の開放、外出血の止血以外は治療しない (救護班ではない)。 6.「最も近い」「最も騒がしい」負傷者から、トリアージ を開始しない。 7.他人のトリアージ結果を非難しない。

(50)

トリアージの実施要領 1

 トリアージエリアの設置  トリアージオフィサーの決定 医師・看護師・救急隊員など トリアージの基本的知識を持つ 地域の医療事情に通じていることが望ましい  搬入⇒処置⇒搬送の流れを一方向にするよ うに動線を確保する

(51)

トリアージの実施要領 2

 トリアージエリアにおいては治療を行わない 例外:気道確保と圧迫止血  軽治療群の傷病者は救護所内には収容せず 他の場所を確保する  死亡群のエリア(遺体安置所)を治療場所と 離れたところに確保  収容後も容態悪化に注意し、トリアージを繰り 返す

(52)

トリアージ実施上の注意点

 傷病者の生死を決定するため責任は重大  ひとつの誤判断が他の傷病者に影響を及ぼ す可能性  トリアージの結果について、他の医療従事者 は私見をはさまない  トリアージエリア内には傷病者以外(家族や 報道者など)を入れない

(53)

統一トリアージタグの特徴

 医療救護活動場面で一貫して使用するととも に、傷病者の安否情報として利用  裏面に医療情報が記載できカルテとして活用  水に濡れても字が書けるような丈夫な紙質  台紙代わりに片手に持って記載できる寸法  もぎり式でミシン目が適度に入り、切取り可能

(54)

トリアージタグの注意点 1

 原則として右手首に付ける。衣服や靴など、 傷病者と分離する可能性にあるものにはつ けない。右手首が損傷していれば、左手首⇒ 右足首⇒左足首⇒首の順で部位を変える  一時的に多数の傷病者が殺到した場合は、 患者情報の記載は後回しにしても良い  トリアージ実施者は必ずタッグの氏名を確認 する

(55)

トリアージタグの注意点 2

 記載時に確定していない項目は、後で書き加 えられるよう斜線など引かず空欄のままにす る  トリアージは何度も行うため、中央に大きな字 で記載することは避け、数行記載できるよう にする  複写された青色文字と区別できるように、黒 色ボールペンなどを使用する

(56)

トリアージ区分の変更

 二重線で訂正し、訂正時刻を記入する  症状が重くなった場合、変更後の区分まで、 もぎり部分を切り離す  症状が軽くなった場合、新たに2枚目のタッグ を作成する。通し番号は同じにし、一枚目に は大きく×印をつける

(57)

トリアージタグの保存法

 災害現場用・搬送機関用・収容医療機関用 の3枚つづり  救護所や搬送機関でそれぞれを剥がし、番 号順に保管  医療機関では、カルテや診療情報提供用紙 として活用

(58)

トリアージタグの記載の約束事

繰り返しトリアージが行われるので現場救護所 ではタッグが完成できるように情報を整理して 記載する トリアージタッグ=災害現場のカルテ 救護所にてタッグを完成させる

(59)

トリアージタグを書いてみよう

 通し番号  個人識別情報  トリアージ実施場所  トリアージ実施者  推定される傷病名  トリアージ区分  トリアージの根拠  施行した応急処置 バイタルサイン・時間

(60)

救護班派遣命令

 平成25年2月28日7時52分  JR列車、横転、大規模列車事故発生  負傷者:傷病者多数、詳細不明  救護場所:松山市北条粟井  派遣施設:松山赤十字病院

(61)

傷病者

 列車の中から、レスキューが助け出しました。  頭部を打撲しています。 かなりの出血がみられ、意識はほとんどあり ません。 本人は意味不明な言葉を発しています。 下半身のマヒもあり、左手と左足が動きませ ん。 血圧、脈拍、呼吸は正常です。  知人が駆け寄ってきました

(62)

知人に確認しました

氏名:松山春子

年齢:50代ぐらい

住所:詳しくは知らない

(63)
(64)

「黒タグ」

トリアージが残したもの

神戸市北区の会社員は、尼崎JR線事故で大学生の三男を 失った。 空白の14時間。「息子に何があったのか。どこに乗っていて、 どうやって運び出されたのか。なぜ死んでしまったのか」「な ぜ」が四六時中、頭を支配した。眠りが浅くなり、頭痛に悩まさ れた。 「息子の最期を知ってやることが供養になる」と思った。 負傷者や救急隊員、医師、報道機関を駆け回って情報を集め た。目撃証言が得られ、息子の乗車位置が分かった。「車両と 地面のすき間で乗客が折り重なり、息子はその中にいた」と知 る。 事故から1年3ヶ月。発生2時間後に酸素マスクを付けている 息子の写真を見つけた。「息子の悔しさや無念さに少し近づけ た」と思った。

(65)

1. 死亡告知 最善を尽くすことなしに,死亡告知せざるを えない場合もある 遺族は納得できない 2. トリアージにおける黒タッグ 遺族「病院に運んでほしい!」 しかし「運べない」と説明せざるを得ない

トリアージによる遺族・救援者双方のストレス

(66)

日本における

DMORTの役割

 災害現場における死亡者の家族支援急性期 にチーム(災害死亡者家族支援チーム)とし て出動  長期にわたる遺族支援に向けてのネットワー ク作り  黒タッグや急性期のグリーフケアに関しての 啓発・研修活動 <日本DMORT研究会> JR脱線事故の教訓を踏まえて2006年10月研究会を発足

(67)

参照

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