フライアッシュの物理性とその応用に関する研究 I フライアッシュの物理性-香川大学学術情報リポジトリ

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第20巻節1′号(1968) 6l フライアッシュの物理性とその応用に関する研究

Ⅰ フ ラ イ ア ッ シ ュ.の物理性

松田 松ニ,山 田 宣良 工 は し が き 「フライアッシュとは微粉炭燃焼ポイラ・−の煙道ガスから収度器で採取するアッシュをいう」(1)と定義されている. 炉内で徽粉炭が,約15000C程度に.燃焼され,石炭中の灰分が熔融して,この熔融した灰が表面張力によって球形と なり,熱気によつて煙道へと運ばれる,この間に灰分は急速に冷却され,固化してガラス質の徽粗子となる1.これが 収頗器によって採取されるフライアッシ.ユである∴すなわち,フライアッシふは火力発電を主体とする諸工菓が多急 に排出する灰塵の一徹であって,以前にはその処理に困り,単にこれを棄却していたのである.ところが,フライア ツシ・ユが天然ボゾランに代り,はるかに優れた人工ポゾランともいうべき性質を有することが発見されて以来,もっ ぱらコンクリート混和剤として利用され,今日に至っている.植物に対する徽盈要素の補給や漏水田における漏水の 防止など,農業用として若干利用されているが,いずれも利用面における主流考なすに至っていない,さらに二次加 工品となると,はとんどその例をみないのが現状である.したがってフライアッシ.ユに関する研究もコンクリートに それを混和した場合の諸性質や,その施工例等に集中している.しかるに上述ごとく,フライアッシ。1が球形かまた ほそれに近い形状を有する(2)ことに着目すれば,この特性を利用した研究やこの特性を利用するための研究がさら に強力に推進されなければならない例えば土壌物理学における諸法則中には,必ずしも球形でない土壌粒子を球形 と仮定した上での形状因子を含むものが底めて多いこれらの諸法則は,より優れた球形材料によって検証されるか, またほ修正されて−ゆかなければならない.とにかく土のモデルを考えてゆく場合など,フフライアッシ.ユ.は好個の実 験村料となることは確かである. またコンクリ・−トの混和剤として利用できるフライアソシ.ユの物掛臥化学性等はJISに規定されており,物理性 においては特に比表面辟が2700cm2座以上と,かなりこまかいものでなければならないように規定されている.した がって一般のフライアッシ.ユ中にはこの規格より粗粒の部分があるはずであり,この部分の有効利用も当然考えてゆ かなけれぽならない.. そればかりでなく,現在でも埋立権や棄却のための運搬等に多額の費用を投じているところが珍らしくない.この 廃物に活路を与えることは目下の急務である. 以上の諸観点より,本研究においては従来のボゾラン中心の研究から離れて,フライアッシュの利用に閲し一遍の 土壌物理学的接近を試みた.本報においては第Ⅱ報以降に述べる応用に際し,基礎となる一般的物理性について報告 すると共に問題の提起を行なってみたい Ⅱ フライアッシュの化学成分 わが国で市販されている代表的フライアッシュ.の平均的化学成分はTablelに示す通りである‖ Table−1フライアッシュの化学成分(JISA6201による)(%) 0.55 1.26 0.05 JIS

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62 香川大学虚学部学術報嘗 強熱減鼠とはフライアツシ・ユを約8000Cで焼いた時の減鼻をいうのであつて,わが国の市販フライアッシ・ユ・のそれ は1∼2%のものが大部分であり,節Ⅱ報で述べる2次加工品の生成には有利な条件を与えている.またSiO2は陸 地の表層を形成する土壌の主成分をなし,その含有率は5908%であってフライアッシ.ユ.のそれとはとんど変わらな いこのことは,耕地への施用など,土壌との混和利用が自然な形で可能であろうことの推定を促するものである. Ⅱ・一般的物理性 ここでいう物理性とは土壌物理学的手法によ。て得られた物理性を意味する試験を行なったのは,北海道竃九 東京電九関西電力,中国電九四国竃九九州電力等6社のプライアッシ、ユ.でその各々につき粒皮試験,其比乱 倣比重,間隙率,Atterberg限界値,透水試験,突固め試験,毛管上昇速度およびpF一合水比関係等を知る為の試 験を行なった∴結果は次に示す通りである. 1)粒径加積曲線 粒度分析はJIS規格(JISA1204)によって行なった.結果はFig小1に示す通りである. 100 90 80 70 ▼ l 叫‖電力(グリー u ンアッシュ)

H イ 匹 西竃カ(フライ u アッシ.ユ)

// 鱒東電力(シンダ「サン

川 u 北海道魔力,中国 電力,四国魔力(フライアッシュ)

〟/ OdlO。002 0.005 0.01002 0、05 0..10.2 0い51..0 2い0 5り010.0 20¶0 50. 0 6 50 40 30 20 100乱 暴 駄食匝珊瑚 Fig.1,Flyashの粒径加硫曲線 fig・1から解るように,フライアッシュ.ほ人工的傲粗子であるにもかかわらず,その粒径加酷曲線は極めてスムー ズな連続状態を示した…最大粒径は東京電力のシンダーサンドが042mm,九州電力のグリーンアッシ.ユ.が0…45mmで, 他はいずれもー・般にいういわゆるフライアッシユ.であって,その最大粒雀は0.25mmであ1。た”}均等係数はTable に示すように九州電力のものを除き,いずれも1‖5前後であり粒径はよくそろっていた■また含有粘土藍は極く少な く,いずれも5%前後であつたい これらはフライアソシ.ユが一般の土壌甚比べて単純な物理性を有するのであろうこ とを暗示するものである、 2)Atterberg限界値その他 試験結果はTable2に示す通りであるフライアッシュの其比重はその化学成分すなわち,母体の石炭灰分の化学 成分と燃焼温度に関係した焼締り皮によって若干変わるが大体2.0∼2、4の問にあり,規格では1.95以上と定められ ているが,本実験の場合Table2から解るように真比重は2小0∼22程度であり一顧土壌の2.6に比べてかなり小さく, 火山灰土の中にこれと近い値を示すものがある(8)。 しかし,仮比重はそのわりに大きく,1−・10∼1..30程度の値であった間隙率は小さく,46%近傍の値を示し,先述 火山灰土の間隙率70、6%に比べてはるかに小さい.この他は等大球の正方形粗充填(接触点の数6)の間隙率(48%) にほぼ等しい‖ またここで特筆すべきことは,塑性限界と液性限界がはとんど等しく,したがって塑性指数が極めて 小さいということである−.塑性は−・般に水膜が関係する界面現象であるから,粒子の大きさや形によって変ってくる ので上述のことは当然期待されるところである.一般に粘土含有良やぎ減少すると塑性の下部限界の水分含有盈はわず かに減少するだけであるが,上部限界の水分含有盗は著しく低下するといわれているが,フライアッシュの粘土含有 袋が極めて小さいことを考えあわせると上述の結果は塑性の上部限界の水分含有盈が下部限界のそれに大きく歩みよ

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63 第20巻第1号(1968) Tabl¢−2 フライアッシュ.試験結果 った為と思われる.また,塑性は接触界面面硫に起因するものであって,板状粗子はど表面積が大きく,したがって 塑性を呈するが球形をなすフライアッシーユ粒子には,もともと期待しがたい性質である.AtteIも引苫定数はまた易排 他の最良の指標であるとも考えられているので上述の特性は重髄土壌の改良など,土地改良への可能性を示している. またフライアッシ.ユ.は,乾燥してもはとんど収縮しないという特徴をもっている1これはフライアッシーコ.が球形で あるため,相隣る粒子とは一億点で接触しており,粒子問には極めて薄い水膜しか介在し得ないからであろう.いず れにせよ粒虔特健からすれば,シルト質ロ′−ムであるにもかかわらず乾燥してもほとんど収縮しないということはフ ライナッシュの−・つの特徴であり,ここから発展させるペき多くの問題を含んでいる.この問題については算Ⅱ報で 報告する予定であるい 0 120 240 360 480 600 720 840 9601080120013201440 経過時間(mむ1) Fig㊥2.毛管上昇速度曲線

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香川大学鹿学部学術報皆 64 3)毛 管 上 昇 フライアッシ.ユの粒子は球形であり,しかも均等係数が1.0に近く,粒形がよくそろクモいることについてはすで に述べた.とすればその集合体には極めて規則正しい毛細管が発達するはずであり,したがって,毛管上昇がすみや ふに行なわれるはずである申そこで毛管上昇速度の測定を行なつた.測定方法は,内径2..Ocm,長さ100cmのガラ ス管の底にワイヤガ−ゼをとりつ机 その上に2cmの厚さに漂砂(0.40∼0.85mm)をつめてフィルダーとし,さ らにその上にフライァッシ,コ.旧国電カ)を$Ocmの高さまで充填したuなお,フライアッシュの充填に際して−は粒 虔の分扱が起こらないよう注意し充填条件も統一・した.この管をフラスコ中に垂直に立て,管底から給水が可能とな るようにした.此奴の為シルト質粘土ロ・−ム(香川大学農学部付属農場大宮果樹園)と漂砂(0..25∼0・40mm,水洗) についても同様の測定を行なつた.結果はfig.2に示す通りである fig.2から解るように,あらかじめ推定した通り,フライアソシュの毛管上昇は極めてすみやかに行なわれ,18時 間40分で上端(80c血)に達したい同一履過時亥那こおけるシルト賓粘土ロ−ムの上昇高は13cmであり,砂のそれもわ ずか12cmであった。なお,Wollnyの実験結果(4〉によれば,粒径が0.25mm以下の壌土では24時間後に約27cm, 同様に,枚径が0.071∼0.114mmの砂土では約43cmの上昇高が認められている.以上と比較すれば,■フライアッ シュの毛管上昇速度がいかに大きいかが解る 毛管水とそのすみやかな移動の重要性は特に虚業において,はかりしれないはど大きい.このことを考えればフラ イアッシュの農業面における利用など,さらに発展させるべき多くの問題を含んでいる.この問題については罪Ⅱ報 で報告する予定である

4)保 水 力

フライアッシユの保水力を知るため,含水比−pF関係を訝らべた.測定に使用した遠心機は京都大学土地改良研 究室の発案になるもので,正確に遠心力方向に脱水が行なわれ,しかも遠心力の作用による土壌の圧密が過大に出な い(8)よう,試料管はグ−チルツボのような円錐台形ではなく,円筒形が採用されている.試料管の容盈は70mlで, 採土器どとその中に納めることができるようになっている.この試料管にFig.1に示すような粒度特性を示す四国竃 力社製プライアッシーユ.をつめ,これが十分に飽和するまで水を吸収させた後,脱水過程で連続的に高pアヘとpF一合 水比関係を求めた..実測結果はFig..3に示す通りである. 0 10 20 30 含水此(%) 40 50 Fig小3.pF一合水比関係(四国電力フライアッシ,ユ)

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第20巻第l号(1968) 65 この図から解るように,PFlり8(幸FC)の含水比は約45%,PF3.0(=CME)の含水比は約11%であった.っ

まりpFが1.8から3.0までかわる間に含水比は34%も変化する.ちなみに一腰土優につきpFがこの範歯でかわり

た場合の含水比の変化畳を示すと砂壌土(平塚)でほ約14%(5),植壌土では約13%(6)であウて,これらにくらベフ ライアッシ.ユ.がこのpF範囲でいかに多量の水分を含み得るかということがわかる,ところで植物に効率よく利用さ れる土壌水分はFC−CMEの範囲にある水分であるから(7)この範囲に多盈の水分を含み得ることが耕地の土壌とし ては好ましいわけである.これはフライアッシふの施用による水分環境の改良に対し,一つの可能性を示すものであ る… このことについては第Ⅱ報で詳述する予定である. またFC−CME範囲のpF一含水比曲線は比較的直線に近い.この特性はフライアッシ.ユ.が焼成可能であるという 特性とあわせてさらに展開が期待されるところである巾 5)透 水 性 透水性は微粒子の集合体の物理的特性を示す最も藍要な指標の一つである.そこで,変水位法によって−,その透水 係数を調べた。.内径10cmのモ・−ルドに試料を14cmの厚さにつめた.つめ方は試料を2cm毎の層にわけて,その 各層が同一・の間隙率を有するように慎重を親したlモールド4連で10回の反復測定を行なったのであるが,各モール ド内の試料の間隙率は55ないし56%であった.また水はすべて煮備によって脱気したものを利用した小 突験の結果,フライアッシュ(四国電力フライアッシ・コ)の透水係数はK2000〒1・2×10 ̄4cm/S¢Cであることが 解った,なお,これとはとんど同一・の粒径分布を示すシルト質ロ−ムの透水係数も同時に測定したが,その値は K2000=5.8×10 ̄6cm/secであり前者にくらべてはるかに小さかった.ちなみほ∴Koze】1y,Rose−FaiI−Hatch, Zunker,TeIZaghi,Hazen等の各公式によつて前述試料の透水係数を求めたところ,両試料ともK=10 ̄8∼10∼4cm/ SeCの範囲内にあった,.これはフライアノシユ.,すなわち球形粒子の方がはるかに公式と実験値とがよく合致するこ とを示すものである..このことばフライアッシ.コが土壌物理学における好個の実験材料であるとした前述推論の妥当 性を一・部うらずけるものである− 6)突固め試験 フライアッシュの乾燥密度が突固め時の含水比によってどのように変化するかを検討した… その冶果はfig一・4に示 す通りである. 30 35 10 15 20 25 含水比(%) Fig.4.突固め曲線

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66 香川大学鹿学部学術報告 この図から解るように最適含水比は26.3%でpf2.5水分値に相当している.したがりて−・般の田場でみられる程 度の水分状態で最大密度を示すことが解る.またこの時の最大乾燥密度は1.26gIノCm3であり,間隙率は41.7%とな る.Table2に示したように自然状態における間隙率は47.0%であり,また最大間隙率(含水比12%の時をとる)は 47・7%となるので突固めによるフライアッシ.コ.粒子の配列の変化は比較的小さいと考えられる‖次に(土鹿の安定性 を示す一つの指標ともなる)比密度について考えてみると Dd・YDdmin (比密度)DI・=( Ddmax−・Ddmin (1.15−1.13)×1.2(; (1.26・−・1.13)×1.15 となり,極めてゆるい充填皮の砂が示す値に相当する.これらの結果からプライアッシ.コ.の構造は突固め時の水分環 境によって−はあまり変化しないのではないかと考えられるひ Ⅳ む す び 以上フライアッシュの土壌物理的特性のあらましを明らかにすることができたいその結果,フライアッシ.ユが従来 のポゾラン中心の応用の他に多方面にわたる応用への可能性を秘めていることがわかった.すなわち, (1)易耕性など,土地改良への可能性 (2)毛管上昇による作物の水分環境の改良 (8)土壌保水力の制御 (4)土壌物理学における好個の実験材料 (5)2次加工への可能性 本報においては,これらの可能性を指摘するにとどめたが,節Ⅱ報以下において,これらを実験的に検証してゆき たいと考えている1なお,本研究の遂行にあたって本学教授上原勝樹博士に激励と貴重な助言を賜わり,八重修ニ, 谷佃窓孝両君に助力をいただいた.ここに記して謝意を表する 参 考・文 献 (1)JISA6201(1958) (2)左右田孝男:フライアッシ.コおよびフライアノシふ セメントの規格と性質について,フライアッシュ.の 文献集1,34・−42(1963) (8)富士岡義一・,西出勤:畑地用水鼠決定の合理化に関 する研究(Ⅱ),虚土論文集,12,20(1965). (4)BAVER,LD√:Soilphysics,249,NewYork,John Wiley&Sonsinc.(1956). (5)椎名乾拾,竹中肇:畑地保留水の消費機構(Ⅰ),脇 士研別冊,2,49−55(1961). (6)富士岡義一・,西出勤:土壌水分測定用ガラスフィル ターブロックとその自記記録計について,農土研別 冊,少,5−10(1964) (7)富士岡義一・,西出勤‥畑地用水盈決定の合理イヒに関 する研究(Ⅰ),鹿土研別冊,5,10」14(1963).

SomephysicalpropertiesofFlyashanditspracticaluse

IPhysicalpropertiesofFlyash

MatsltjiMATSUDAandNoriyoshiYAMADA

Summary SomephysicalpropertiesofFlyashhavebeeninvestigatedforitspracticaluseinagriculturalscience・The

resultsoftheinvestigationindicatethatthecontrolofsoilmoisturecan beexpected by the use ofFlyash to

SOil,i.e.,boththecapillaryconductivityandtheavailablemoistureofthesoilareincreasedbytheuseofFlyash・

TheresultsalsoindicatethatFlyashprovidestheexcellentmaterialfortheexperimentofsoilphysicsandfbr

SeCOndaIyprOducts.

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参照

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