1
マクロ経済動向分析
11 月
経済成長はゆるやかに減速するも、構造改革は進む
2017 年 10 月の中国経済はゆるやかに減速した。中国政府の構造改革に伴う環境規制が 強まっていることが背景にある。とりわけ中国北部では、環境保護部門が立ち入り調査で 環境負荷の大きな製品の生産停止や工場閉鎖を命じている。さらに、大気汚染を引き起こ す石炭火力から、クリーンエネルギーへの代替が進んでいる。 10 月の共産党大会を終え、政府は経済政策の軸足を景気下支えからリスク抑制に移しつ つある。その一環として、経済成長の継続を確かなものとするために、金融部門に対する 締め付けを強化した。「影の銀行」の縮小を目的とした規制強化に踏み切るだけでなく、企 業のより投機的とみなされる海外投資を規制する。一方で、金融業務に関する外資の参入 規制を緩和したことにより、今後の金融部門の高度化が期待される。内容
1. PMI は 3 ヵ月ぶりの低水準、環境規制の影響か ... 2 2. 社会消費品小売総額は前年同月比 10.0%増、ネット通販最大の商戦日「独身の日」の売 上高は過去最高を更新 ... 4 3. 投資構造の調整進む、中国マネーはギリシャ不動産へ ... 7 4. 経済の安定と成長目指し、外資規制緩和と金融の規律強化へ ... 9 5. 鉄鉱石輸入は大幅減少、一部の消費者向け製品の関税が引き下げ ... 12 6. 米中首脳会談が開催、日中間では日中経済協会が訪中 ... 18 7. 上海市場は 3 ヵ月連続の調整、香港市場は約 10 年ぶりの高値を記録 ... 19 参考Web... 21 参考新聞・資料 ... 212
1. PMI は 3 ヵ月ぶりの低水準、環境規制の影響か
2017 年 10 月の製造業購買担当者指数(PMI)は 51.6 と、前月から 0.8 ポイント下落した(国 家統計局2017/10/31)。2017 年 7 月以来の低水準となった。不動産市場の軟化や環境汚染 対策の強化で、製鋼所や製錬所など多くの工場が生産削減を余儀なくされていること、信 用の伸び鈍化を受けた投資の減少、党大会終了に伴う財政支援の打ち切りが背景にある(ロ イター2017/10/31)。企業規模別にみると、大企業、中企業、小企業それぞれ 53.1、49.8、 49.0 となり、前月からそれぞれ 0.7 ポイント、1.3 ポイント、0.4 ポイント下落した。非製 造業PMI は 54.3 で、前月から 1.1 ポイント下落した(国家統計局 2017/10/31)。 10 月の工業付加価値生産の伸びは前年同月比 6.2%増となり、前月から 0.4 ポイント下落 した。電力・熱生産供給業が前年同月比9.2%増であった(国家統計局 2017/11/14)。一方で、 環境負荷の重いセメント、コークス、鋼材、非鉄金属などが減少し、生産全体の動きを映 す発電量の伸びも前年同月比2.5%増と、1 年 4 ヵ月ぶりの低さであった。これも中国北部 を中心に環境保護部門が立ち入り調査で生産停止や工場閉鎖を命じていることが背景にあ る。発電量の詳細な内訳は、石炭材料が中心の火力が前年同月比2.8%減の一方で、太陽光 が同 35.7%増、原子力が同 15.2%増、風力が同 11.7%増と大幅に伸びており、このことか らも政府が大気汚染を引き起こす石炭火力を抑制し環境負荷を低減させる意図が見える(日 本経済新聞2017/11/15、2017/11/21)。また、外資企業の工業付加価値生産の伸びは前年同 月比6.5%増となった(国家統計局 2017/11/14)。2017 年 1-10 月の外資企業新規設立は前年 同期比15.9%増の 2 万 6174 社であった(商務部 2017/11/14)。 10 月の粗鋼生産は前年同月比 6.1%増で、鉄鋼生産は前年同月比 1.6%減となった。また、 1-10 月の産業用ロボットの生産は前年同期比 68.9%増となった(国家統計局 2017/11/14)。 背景には中国国内の人件費高騰や人手不足があり、世界的にもロボット需要が高まってい ることがある。2015 年から現地の家電大手、美的集団と連携して産業用ロボットを生産し ている安川電機に続き、三菱電機も2018 年 6 月から中国での産業用ロボット生産の開始を 発表した(日本経済新聞 2017/11/20)。3
図表1 製造業購買担当者景気指数(PMI) (出所)国家統計局より作成 図表2 工業付加価値生産額伸び率(単位:%) (出所)国家統計局より作成51.2
51.7
51.4
51.3
51.6
51.8
51.2 51.2
51.7
51.4
51.7
52.4
51.6
48.5 49 49.5 50 50.5 51 51.5 52 52.5 536.1
6.2
6
6.3
6.8
6.5
6.5
7.5
6.4
6
6.6
6.2
5.5 5.7 5.9 6.1 6.3 6.5 6.7 6.9 7.1 7.3 7.5 7.74
2. 社会消費品小売総額は前年同月比 10.0%増、ネット通販最大の商戦日「独身
の日」の売上高は過去最高を更新
中国のEC 大手アリババ・グループ・ホールディングスは、ネット通販最大の商戦日であ る11 月 11 日の「独身の日」セールの取引額が 1683 億元となり、昨年の 1207 億元から 39% 増加して過去最高を更新したと発表した。3 億人を超える中間所得層の可処分所得が増えた ことが背景にある。「独身の日」セールは、米年末商戦が本格化するブラックフライデー(米 感謝祭翌日)とサイバーマンデー(感謝祭翌週の月曜日)の 2 大商戦日を合わせた売上高を超 える規模に拡大し、中国の消費動向を占う指標として注目されている(ロイター2017/11/13)。 中国のネット通販市場の成長は著しい。中国の個人向けネット通販市場規模は約 3 兆 5000 億元で、米国を上回る。消費全体に占める割合は約 15%で、2011 年の 4%から急拡大 し、米国の7%、日本の 5%を圧倒する。アリババの 2017 年の実績は前年を大きく上回り、 楽天の年間流通額に近い規模に達した。また、10 月には時価総額で一時アマゾンを抜いた (日本経済新聞 2017/11/12)。 ネット通販市場の成長は雇用を支え、決済の形態を大きく変えた。「ラストワンマイル」 と呼ばれる顧客宅までの配達を担うのは 300-400 万人もの宅配員で、彼らの多くが地方か らの出稼ぎ労働者だ。彼らは月5000 元前後の収入を得ており、新たな雇用の創出が消費を 生み、景気の失速を防いでいる(日本経済新聞 2017/11/12)。 拡大を続ける中国のEC 市場に、越境 EC で日本製品を中国で販売するインアゴーラが伊 藤忠商事とともに仕入先拡充や中国での物流網の整備を進め、本格参入する。日中間の越 境EC 市場はアリババや網易(ネットイース)など中国大手 3社が 7割のシェアを占めており、 インアゴーラは一部の大手サイトとはメーカーの出店を仲介するなど協力関係にある一方 で、これらの巨人と対抗していかなければ埋没してしまう。伊藤忠のグループ企業にはフ ァミリーマートや果物事業のドール、ジーンズ国内最大手のエドウインなどがあり、イア ンゴーラの仕入先に加われば他のEC サイトとの違いを打ち出せる。当面の目標は、約 150 億円の年間取扱高を2020 年までに 1800 億円に拡大させることであるという(日本経済新聞 2017/11/24)。 2017 年 10 月の社会消費品小売総額は、前年同月比 10.0%増で、前月から 0.3 ポイント 下落した。そのうち商品小売は7.3%増であった。1-10 月は前年同期比 10.3%増で、そのう ち商品小売は8.4%増となった(国家統計局 2017/11/14)。 10 月の生産者物価指数(PPI)は、前年同月比 6.9%増で、伸び率は前月から横ばいであっ た(国家統計局 2017/11/09)。10 月の消費者物価指数(CPI)は、前年同月比 1.9%増で、前月 から0.3 ポイント上昇した(国家統計局 2017/11/09)。2.5%上昇した 2017 年 1 月以来、9 ヵ 月ぶりの高水準となった(日本経済新聞 2017/11/10)。分野別では、医療保険が 7.2%、旅行 が3.6%それぞれ増加するなどサービス業の伸びが目立った一方で、食品価格は 0.4%減とな り、そのうち豚肉と食用油はそれぞれ 10.1%、0.8%減少した(国家統計局 2017/11/09)。政 府の大気汚染対策で工場生産が減り、物価の上昇圧力が一段と強まっていることが背景に5
ある。環境汚染対策が商品価格を上昇させ、これがインフレに影響を及ぼす中、今後も価 格圧力は強いままの見込みだ(ロイター2017/11/09)。 10 月の新車販売台数は、前年同月比 2.0%増の 270 万 3500 台で、前月から 3.7 ポイント 下落した。1-10 月では、前年同期比 4.1%増の 2293 万台であった。新車生産台数は、前年 同月比0.7%増の 260 万 3600 台で、前月から 4.8 ポイント下落した。1-10 月では、前年同 期比4.3%増の 2296 万台であり、5 ヵ月連続で前年同月実績を上回った。この内、乗用車 の販売台数は前年同月比0.4%増の 235 万 2500 台と微増にとどまった一方で、商用車の販 売台数は前年同月比14.8%増の 35 万 1100 台と好調であった(中国汽車工業協会 2017/11/10)。 石炭などの堅調な物流需要に加えて過積載などの取り締まり強化が追い風となったためで ある。乗用車のうち、大手メーカーが積極的に新車を投入している多目的スポーツ車(SUV) が前年同月比13.9%増の 102 万台で、国内市場を支えた(日本経済新聞 2017/11/11)。また、 政府の減税策などが功を奏し、10 月の新エネルギー車の販売台数が前年同月比 106.7%増の 9 万 1000 台、生産が前年同月比 85.9%増の 9 万 2000 台と大幅に伸びた(中国通信 2017/11/15)。6
図表3 社会消費品小売総額伸び率(単位:%) (出所)国家統計局より作成 図表4 消費者物価指数(CPI)及び生産者物価指数(PPI)(単位:%) (出所)国家統計局より作成10.0
10.8
10.9
9.5
10.9
10.7 10.7
11.0
10.4
10.1
10.3
10.0
9.0 9.5 10.0 10.5 11.0 11.5 12.02.1
2.3
2.1
2.5
0.8 0.9
1.2 1.5 1.5 1.4
1.8 1.6
1.9
1.2
3.3
5.5
6.9
7.8 7.6
6.4
5.5 5.5 5.5
6.3
6.9
6.9
-1 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9CPI
PPI
7
3. 投資構造の調整進む、中国マネーはギリシャ不動産へ
2017 年 1-10 月の固定資産投資は、前年同期比 7.3%増の 51 兆 7818 億元で、伸び率は 1-9 月を 0.2 ポイント下回った。産業別に見ると、第一次産業への投資が前年同期比 13.1% 増、第二次産業への投資が前年同期比2.7%増、第三次産業への投資が前年同期比 10.0%増 であった(国家統計局 2017/11/14)。資金調達コストの上昇や政府の不動産過熱抑制策、大気 汚染対策を受けて国内経済が一段と鈍化していることが浮き彫りとなった(ロイター 2017/11/14)。 ただし、投資構造の調整は進んでいる。1-10 月のインフラ投資は、前年同期比 19.6%増 の30 兆 7189 億元となった(国家統計局 2017/11/14)。しかし、地方政府が民間資金を活用 して整備するインフラ事業の中断が相次いでいる。中央政府は今年に入り、内モンゴル自 治区の地下鉄建設など1000 件近くを停止に追い込んだ。地方政府は独自の税収源が乏しく、 慢性的な財政難を抱えるためだ。共産党大会を終え、経済政策の軸足を景気下支えからリ スク抑制に移しつつある習近平指導部の姿勢が鮮明だ。(日本経済新聞 2017/11/24)。ハイテ ク製造業の投資は前年同期比 16.8%増加し、エネルギーを多く消費する製造業の投資は前 年同期比2.2%減少した(国家統計局 2017/11/14)。 1-10 月の民間投資は、前年同期比 5.8%増の 31 兆 3700 億元となった。伸び率は、1-9 月 の6.0%を下回った。全国の固定資産投資に占める割合は 60.6%で、1-9 月の 60.5%を上回 った(国家統計局 2017/11/14)。 10 月の主要 70 都市の新築住宅価格動向によると、50 都市で住宅価格が上昇した(国家統 計局2017/11/18)。1-10 月の不動産開発投資は、前年同期比 7.8%増加し、伸び率は 1-9 月 を0.3 ポイント下回った(国家統計局 2017/11/14)。習近平国家主席は 10 月に開催された共 産党大会の活動報告で「不動産は住むもので投機の対象ではない」と強調したため、規制 緩和は当面無さそうだ(日本経済新聞 2017/11/15)。この流れを受けて、中国マネーがギリシ ャ不動産に流れている。一定額以上の投資で滞在許可を取得できる、欧州諸国の中でも最 もハードルが低いとされる制度のためだ。中国とギリシャはインフラ投資の結びつきも強 く、両国経済の結びつきの強さが鮮明になっている(日本経済新聞 2017/11/20)。 1-10 月の対外直接投資は、前年同期比 40.9%減の 863 億 1000 万ドルとなった(商務部 2017/11/16)。中国企業による海外投資は、政府が資本流出規制を強化して以来大幅に縮小 している。政府は今後も純粋な海外投資は奨励する一方、海外の不動産やホテル、娯楽、 スポーツクラブ、映画産業など、より投機的とみなされる投資への投資は制限する考えを 示している(ロイター2017/11/16)。8
図表5 固定資産投資及び民間固定資産投資伸び率(単位:%) (出所)国家統計局より作成 図表6 不動産投資伸び率(単位%) (出所)国家統計局より作成8.3
8.3
8.1
8.9
9.2
8.9
8.6
8.6
8.3
7.8
7.5
7.3
2.9
3.1
3.2
6.7
7.7
6.9
6.8
7.2
6.9
6.4
6.0
5.8
2 4 6 8 10 固定資産投資 民間固定資産投資6.6
6.5
6.9
8.9
9.1
9.3
8.8
8.5
7.9
7.9
8.1
7.8
4 5 6 7 8 9 109
4. 経済の安定と成長目指し、外資規制緩和と金融の規律強化へ
2017 年 10 月の新規人民元建て融資は、6632 億元と、2016 年 10 月以来の低水準となっ た(中国人民銀行 2017/11/13)。背景に、金融状況の引き締まりがここ数四半期の信用の伸び の鈍化をもたらしたことがあり、今後このマイナスの影響が経済に及ぶとみられる。その ため、今後1 年は金融緩和が実行される可能性が高い(ロイター2017/11/13)。実際に、中国 政府は10 日、国内の金融業務に関する外資の参入規制を緩和すると発表した。現在は外資 系金融機関が中国で証券や生命保険業務をする際に過半出資ができないが、証券は2020 年、 生命保険は22 年にそれぞれ全額出資を認める。中国資本の銀行を外資が買収することも可 能になる。銀行セクターに過度に流れていたマネーの流れを株式や債券など直接金融に振 り向け、資本市場を活性化させる狙いが背景にある。また、不良債権処理や年金保険の普 及などに優れたノウハウを持つ外資系金融機関の力を借りる狙いや、中国から海外への資 金流出を抑える思惑もあるとみられる(日本経済新聞 2017/11/11)。 10 月のマネーサプライ(M2)は、前年同月比 8.8%増の 165 兆 3400 億元となった。また、 M1 の残高は前年同月比 13.0%増の 52 兆 6000 億元となった(中国人民銀行 2017/11/13)。 10 月の社会融資総量フローは、1 兆 4000 億元と、9 月の 1 兆 8199 億元から減少した。 また、10 月の社会融資総量ストックは、前年同月比 13.0%増の 172 兆 2100 億元となった(中 国人民銀行2017/11/13)。 10 月の財政収入は、前年同月比 5.4%増の 1 兆 6234 億元となった。また、10 月の財政支 出は、前年同月比8.0%減の 1 兆 1122 億元であった。そして、1-10 月の財政収入総額は前 年同期比9.2%増の 15 兆 363 億元となった。1-10 月の財政支出総額は前年同期比 9.8%増の 16 兆 2995 億元であった(財政部 2017/11/10)。環境保護、科学技術、民生などが主な支出先 であった(中国通信 2017/11/15)。 10 月の外貨準備高は、3 兆 1092 億ドルで、9 月に比べ 7 億ドル増加した。9 ヵ月連続の 増加であった(中国人民銀行 2017/11/08)。9 ヵ月連続の増加は 2014 年 6 月以降はじめてだ (ロイター2017/11/07)。10 月はクロスボーダーの資金移動と国内外の主体による取引行為が 一段と均衡に向かい、外貨受給が基本的均衡状態にあったことが背景にある。今後、共産 党大会が成功に終わり、中国経済・社会の長期的発展に対する国内外の信頼が高まったこ とで、クロスボーダーの資金移動と国際収支の均衡・秩序維持の基盤が一層強固になり、 外貨準備の全体的安定が予想される(中国通信 2017/11/09)。 中国政府による株式保有が膨らんでいる。2017 年 9 月末の残高は 4 兆 4300 億元と 6 月 末に比べ 8%増え、過去最高を更新した。10 月の共産党大会を前に、金融市場の安定を演 出しようと買い支えに動いた公算が大きい。党大会後も買いが続くかは不透明で、株高が 鈍化する恐れがある(日本経済新聞 2017/11/27)。 また、中国の大手銀行の経営基盤が一段と改善している。「影の銀行」の取り締まりが大 手国有銀行の第3 四半期決算を支援した。大手国有銀行は多くの預金を握っており、規模 が比較的小さい他行は太刀打ちできず、国内の債務急拡大に伴い引き起こされる可能性の10
あるショックへの耐性も強くなっている(ロイター2017/11/05)。より経済成長の基盤を安定 させるため、中国政府は「影の銀行」の縮小を目的とした規制強化に踏み切る。銀行、証 券など業種横断で「理財商品」などの金融商品の販売に網をかけて規制の抜け道をふさぐ ことで、資金が銀行を介さず、リスクの高い不動産開発などに流れるのを防ぐ狙いだ(日本 経済新聞2017/11/27)。11
図表7 通貨供給量(M2)の伸び率(単位%) (出所)国家統計局より作成11.6 11.4
11.3
11.3
11.1
10.6 10.5
9.6
9.4 9.2
8.9
9.2
8.8
8 9 10 11 12 1312
5. 鉄鉱石輸入は大幅減少、一部の消費者向け製品の関税が引き下げ
2017 年 1-10 月の輸出入総額は、前年同期比 15.9%増の 22 兆 5200 億元となった。うち 輸出は前年同期比11.7%増の 12 兆 4100 億元となり、輸入は前年同期比 21.5%増の 10 兆 1100 億元となった(海関総署 2017/11/08)。政府の環境汚染対策で工場生産が減少するとの 見方が出ているが、内需が依然として力強いことが浮き彫りとなった(ロイター2017/11/08)。 輸出入総額を主要な相手国・地域別に見ると、EU に対しては前年同期比 16.2%増の 3 兆 4000 億元で、輸出入総額の 15.1%を占めた。米国に対しては前年同期比 17.2%増の 3 兆 2100 億元で、輸出入総額の14.2%を占めた。ASEAN に対しては、前年同期比 18.5%増の 2 兆 8000 億元で、輸出入総額の 12.4%を占めた。日本に対しては前年同期比 14.2%増の 1 兆 6700 億元で、輸出入総額の7.4%を占めた。輸出入全体における貿易黒字は前年同期比 17.8%減 の2 兆 3000 億元となった(海関総署 2017/11/08)。他の新興国市場の成長がやや鈍化したこ とや、インフラ支出の鈍化で内需が伸び悩んだことが背景にある(ロイター2017/11/08)。 輸入のうち10 月の石炭輸入は 2128 万トンと、前月比で減少した(海関総署 2017/11/08)。 厳しい環境基準を満たし、大気汚染を改善するため、北部でクリーンエネルギーへの代替 が進んだ(ロイター2017/11/08)。また、10 月の鉄鉱石輸入は 7949 万トンとなった(海関総 署2017/11/08)。過去最高を記録した前月から 23%近く減少し、2016 年 2 月以来の低水準 となった。中国政府の汚染対策の一環として製鋼所は生産を削減していること、および10 月初めの大型連休が背景にある(ロイター2017/11/08)。 12 月 1 日から、食品、健康補助食品、医薬品、医療、娯楽製品など一部の消費者向け商 品の平均輸入関税が17.3%から 7.7%に引き下げられた(財政部 2017/11/24)。コストを引き 下げ、家計の消費支出を刺激する計画の一環で、187 品目の輸入製品が引き下げの対象とな った(ロイター2017/11/24)。財政部は、国民の消費需要は増加の一途をたどっており、消費 者が国内で利用可能な選択肢を広げることで、国内の供給システムの向上に寄与すると説 明した(財政部 2017/11/24)。13 図表8 輸出の伸び推移(単位:%) (出所)海関総署より作成 図表9 輸入の伸び推移(単位:%) (出所)海関総署より作成
-7.3
0.1
-6.1
7.9
-1.3
16.4
8.0
18.3
11.3
7.2
6.9
9.0
11.7
-10.0 -5.0 0.0 5.0 10.0 15.0 20.0-1.4
6.7
3.1
16.7
38.1
20.3
11.9
22.1
17.2
11.0
14.4 19.5
21.5
-5.0 0.0 5.0 10.0 15.0 20.0 25.0 30.0 35.0 40.0 45.014 図表10 輸出品目別統計 商品名称 単位 1-10 月累計 前年同期比(%) 数量 金額(億ドル) 数量 金額(億ドル) 機械・電気設備製品 - 10,518.0 8.2 ハイテク製品 - 5213.6 8.8 服飾付属品 - 1303.3 -0.6 自動データ処理設備及び備品 万台 125.049 1263.6 -2.3 15.3 携帯電話及び部品 1189.5 4.5 紡績・織物及び製品 - 898.3 3.3 農産品 - 595.4 2.4 IC 100 万個 526.7 13.8 8.4 鋼材 万トン 6,449 452.0 -30.4 -0.3 自動車部品 405.3 7.7 家具及び部品 403.6 5.1 靴類 万トン 378 400.7 8.7 4.4 プラスチック製品 万トン 952 313.8 12.4 9.3 電灯・照明装置及び類似品 234.3 -1.2 鞄類 万トン 257 218.5 12.9 8.6 液晶掲示板 100 万個 1,542 212.3 -0.5 1.6 船舶 艘 6,475 177.1 -1.9 6.0 陶磁器 万トン 1,942 156.5 2.6 8.6 (出所)海関総署より作成
15 図表11 輸入品目別統計 商品名称 単位 1-10 月累計 前年同期比(%) 数量 金額(億ドル) 数量 金額(億ドル) 機械・電気設備製品 - - 6853.5 - 10.9 ハイテク製品 - - 4661.8 - 11.3 IC 100 万個 308,702 2072.0 11.9 14.5 原油 万トン 34,908 1315.0 11.8 41.6 農産品 - - 1019.4 - 13.7 鉄鉱砂及び精鉱 万トン 89,623 642.8 6.3 39.4 自動車(セット部品含む) 万台 101 409.5 19.5 15 プラスチック原料 万トン 2,338 392.6 13.1 18.5 大豆 万トン 7,731 320.5 15.2 20.1 自動車部品 - - 259.1 - 8.5 液晶パネル 万個 197,339 250.8 2.3 -1.7 銅鉱及び銅材 万トン 376 245.1 -7.8 14.9 自動データ処理設備及び部品 万台 41,522 225.8 -8.6 4.4 医薬品 トン 112,136 216.2 12 21.9 銅鉱砂及び精鉱 万トン 1,393 203.3 2.9 23 廃材・リサイクル原料など 万トン 3,560 190.4 1.2 32.3 天然ガス 万トン 5,416 179.1 24.9 37.2 ダイオード及び半導体部品 100 万個 423,256 164.2 8.2 3.7 (出所)海関総署より作成
16 図表12 主要国別輸出入 (出所)海関総署より作成 輸出最終目的国 単位:億ドル,% 当月 1-10 月累計 輸入原産国 単位:億ドル,% 当月 1-10 月累計 金額 金額 前年同期比 金額 金額 前年同期比 合計 1889.8 18209.9 7.4 合計 1508.1 14862.2 17.2 アメリカ 377.5 3467.8 11.2 韓国 153.4 1424.4 11.6 香港 229.8 2165.3 -3.9 台湾 141.1 1238.7 12 日本 117.0 1110.3 4.8 日本 137.0 1344.0 14.8 韓国 83.4 834.4 11.2 アメリカ 111.4 1238.0 17.4 ベトナム 65.1 563.6 16.3 ドイツ 80.2 788.4 11.8 オランダ 62.2 533.4 16.9 オーストラリア 80.1 786.7 39.4 ドイツ 59.5 575.9 7.8 ベトナム 50.6 375.1 30.1 インド 51.0 556.4 15.6 マレーシア 43.5 439.9 12.9 イギリス 47.4 469.7 3.7 ブラジル 39.2 494.5 26.8 台湾 36.8 351.9 8.1 タイ 34.8 343.8 13.6 ロシア 35.3 349.0 16.5 シンガポール 29.6 275.6 34.6
17 図表13 ドル円対人民元相場推移 (2017/05/26-2017/12/13) (出所)中国外貨管理局より作成 図表14 香港ドルユーロ対人民元相場推移 (2017/05/26-2017/12/13) (出所)中国外貨管理局より作成
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2017/7/26
2017/9/26
元/10000円(左軸)
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84.0
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7.40
7.50
7.60
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7.80
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8.00
8.10
2017/5/26
2017/7/26
2017/9/26
元/ユーロ(左軸)
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6. 米中首脳会談が開催、日中間では日中経済協会が訪中
2017 年 11 月 9 日に米中首脳会談が行われた。この会談後、トランプ米大統領は貿易面 で中国を責めることはしないと発言した(ロイター2017/11/10)。背景に、トランプ米大統領 訪中に合わせて2500 億ドル規模の商談が米中で成立したことがある。しかし多くは拘束力 を持たず、契約が実現するかは不透明だ。また、中国市場への自由なアクセス、サイバー セキュリティー、海外企業内での中国共産党の存在の拡大など、米企業が持つ懸念の多く は依然として解消されていない(ロイター2017/11/09)。今回、トランプ米大統領に同行した のは製造業の各企業で、金融業界は同行しなかった。中国国内の金融産業を外国とのさら なる競争にさらすよう中国政府を説得するのはモノを売るよりも難しく、写真映えするよ うな譲歩を見込めないとの判断が背景にある(ロイター2017/11/03)。 日中間では、経団連の榊原定征会長らが参加する日中経済協会の訪中団が李克強首相と 会談し、中国側は連携強化や友好ムードの姿勢を示した。習近平国家主席が提唱する巨大 経済圏構想「一帯一路」に日本側の協力を取り付ける狙いとみられる(読売新聞 2017/11/23)。 一方で日本側は、日中の外交関係が改善に踏み出したのは企業活動の追い風になるが、中 国当局による企業取引への介入や自由なデータ流通の制限にはなお懸念が根強い。経済界 はビジネス環境の改善を要望し、2 期目に入った習近平指導部の経済政策を見極める(日本 経済新聞2017/11/22)。 会談を終え、経団連の榊原定征会長は日本経済から環境や企業管理を学ぼうとする中国 の姿勢を評価した(産経新聞 2017/11/23)。また、日中経済協会の宗岡正二会長は、中国が WTO ルールから逸脱し続ければ中国への新規投資は難しいと述べた。経済規模が大きい中 国と欧米が主導したWTO ルールの整合性をどうとるのかが、日本企業の海外展開に大きく 影響する(日本経済新聞 2017/11/22)。とりわけ自動車業界は警戒を強める。これまでほとん ど輸出されていない中国製自動車が、「一帯一路」を機に輸出攻勢をかける可能性があるか らだ。中国国内では政府主導で電気自動車へのシフトが進められているが、エンジン車を 輸出に回せば現在の設備や雇用をそのまま活用できる。今回の会談でも、中国の自動車大 手が日本の商社にアジア地域での販売で協力を打診する場面があった。会談を経て「一帯 一路」に対する警戒感は以前よりも和らいだものの、日本企業は対中投資に際して慎重な 判断が求められる(産経新聞 2017/11/23)。19
7. 上海市場は 3 ヵ月連続の調整、香港市場は約 10 年ぶりの高値を記録
11 月第 2 週初日 6 日の上海総合指数は 3 営業日ぶりに上昇した。原油・人民元高を支え に翌7 日も続伸し、7 営業日ぶりに 3400 ポイントを回復した。トランプ米大統領が北京に 到着した8 日は売り買いが交錯する中で一進一退だったが、9 日は米中首脳会談の結果が概 ね好感され小高く推移した。週末10 日は足下の金利上昇などが重しになったが、かろうじ て続伸し、前週末の終値も1.80%上回った(内藤証券 2017/11/10)。第 3 週の上海市場は小幅 に反発した。週前半は市中金利の上昇や商品相場の反発を受け、上海総合指数は3400 ポイ ントを下値にもみ合う展開となった。長期金利が一時4%に達した 15 日は、流動性の定価 で利益確定の動きが活発化し、翌16 日は外部環境の悪化を背景に小幅続落し、3400 ポイ ントをわずかに割り込んだ。週末17 日は過熱感が漂う一部大型株の調整が重しになり、前 週末比1.44%安となった(内藤証券 2017/11/17)。第 4 週初日の 20 日の上海市場は値下がり して取引が始まった(中国通信 2017/11/21)。翌 21 日は中国 A 株の上昇を受け上海総合指数 が3400 ポイントを回復した(中国通信 2017/11/24)。第 5 週初日の 27 日は金融当局の引き 締め・規制強化への懸念が強まり、上海総合指数が反発し3300 ポイント割れが視野に入っ た。28、29 日は値ごろ感から押し目買いが入り、緊迫化する北朝鮮情勢の中でも底堅く推 移した。しかし、需給悪化懸念は根強く、30 日に戻り売りが活発化したため 11 月は月間 2.24%安と 3 ヵ月連続で調整した(内藤証券 2017/12/01)。 11 月第 2 週初日 6 日の香港市場は、サウジアラビア情勢の悪化などが重しになり、ハン セン指数は小動きに終始した。しかし 7 日は原油・人民元高や世界的なリスクオンを支え に急反発した。8 日は利益確定に押されて一旦調整したが、翌 9 日は米国株高と米中間の大 型商談の成立などを手がかりに2 万 9000 ポイントを突破し、約 10 年ぶりの高値となった。 週末10 日は小動きで取引を終了し、週間の上昇率は 1.80%だった(内藤証券 2017/11/10)。 第 3 週前半は、不安定な米国株の動きが影響しハンセン指数は小動きに終始した。さらに 中国の弱い経済統計や原油相場の調整を受け、15 日の続落で 2 万 9000 ポイントを割り込 んだ。しかしIT 大手の好決算などを手がかりに 16 日に反発すると、一日で同ポイントを 回復した。米下院で税制改革法案が通過して米国株が急反発するとこれを追い風に17 日は 小幅に続伸し、前週末をわずかに上回り再び年初来高値を更新した(内藤証券 2017/11/17)。 第5 週の香港市場は 5 週ぶりに反落した。27 日のハンセン指数は軟調な A 株が影響して調 整し、28 日は高値更新を続ける米国株と香港の金利上昇という好悪材料が重なり一進一退 だった。29 日は北朝鮮によるミサイル発射で神経質な地合いに終始し、30 日には資金流出 の懸念を受けて急落し、2 万 9000 ポイント割れの現実味が強まった。しかし月間では 3.29% 高を確保した(内藤証券 2017/12/01)。20 図表15 上海総合指数(終値) (2017/10/09-2017/11/30) (出所) kabutan より作成 図表16 ハンセン総合指数(終値) (2017/10/03-2017/11/30) (出所) Searchina Finance より作成 3,250 3,300 3,350 3,400 3,450 3,500 2017 年 10 月 9 日 2017 年 10 月 … 2017 年 10 月 … 2017 年 10 月 … 2017 年 10 月 … 2017 年 10 月 … 2017 年 10 月 … 2017 年 10 月 … 2017 年 10 月 … 2017 年 10 月 … 2017 年 10 月 … 2017 年 10 月 … 2017 年 11 月 2 日 2017 年 11 月 4 日 2017 年 11 月 6 日 2017 年 11 月 8 日 2017 年 11 月 … 2017 年 11 月 … 2017 年 11 月 … 2017 年 11 月 … 2017 年 11 月 … 2017 年 11 月 … 2017 年 11 月 … 2017 年 11 月 … 2017 年 11 月 … 2017 年 11 月 … 2017 年 11 月 … 27000 27500 28000 28500 29000 29500 30000
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