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Academic year: 2021

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(1)

はじめに 今日ITS1)は情報通信技術と制御技術を駆使した社会インフラの1つとなってい る。運転者や歩行者のより高度な道路利用,現在の道路利用における環境負荷の軽減 を可能とし,円滑な交通社会の構築を目指すシステムである。交通・運輸の安全性, 輸送の効率化,運転の快適性の飛躍的な向上を目的とするものである。都市の重要課 題となっている渋滞の解消による交通の円滑化を実現することで,排気ガスを軽減し, 世界的問題となっている環境保全という側面から見ても大きく貢献するものである。 ITSは交通事故や渋滞などの道路交通問題の解決に大きく寄与しているだけでな く,自動車産業や情報通信産業の市場の拡大,さらに新たな関連産業の創出を担うも のと期待される。2000 年から2015 年までにITSの累計市場規模は60 兆円にも達し, 経済波及効果は100 兆円,雇用効果は 107 万人となる見通しである(電気通信技術審 議会予測)とされており,21 世紀初頭のITS関連市場は新世紀を牽引する産業に成 長するとして期待される。 2005 年春,愛知県の「21 世紀の地域づくり」の方向性を大きく左右する国際プロジェ クトが動き始めた。それが『中部国際空港』・『日本国際博覧会』である。愛知県で開 催 さ れ る 日 本 国 際 博 覧 会 は ま さ に 全 世 界 的 イ ベ ン ト で あ り , 世 界 で 中 部 地 区 (NAGOYA)が間違いなくクローズアップされる。その中部の玄関口とも言うべき中 部国際空港が2月に先ず開港され,両プロジェクトが両輪となって地域活性化を盛り 上げている。全世界に日本のGNP総計の約17 %を占める中部の産業技術の集積力を アピールする願ってもない機会となっている。そこでITS技術の導入を図ることに よって,利用者の安全性と利便性,そして管理者側の有効なプレゼンテーションの推 進を効率的に運用していくための基盤整備を確立することで,これらのプロジェクト

都市内物流の動向調査と物流効率化

― 名古屋港と長者町地区の陸上貨物搬送―

Trend Investigation of City Logistics and

Land Transport Improvement in Efficiency

大 島 俊 一 Toshikazu OHSHIMA

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の相乗効果が発揮されるのである。その意味からして2005 年は中部地区が日本を,そ して日本が世界を技術面や社会資本整備の面でどこまでリードしているのか,またで きるのかを世界中の耳目の集中する中で試される場でもある。 この地域にとって最大のインパクトとなる中部国際空港と国際博覧会について若干 の概要とITSの導入について付記しておくと以下のようになる。 中部国際空港… 伊勢湾常滑沖に開港される海上空港。05 年2月の開港を目指す。 3,500m の滑走路を整備。24 時間運用し,内外定期便を集める。 課 題 ①『アクセス利便性の向上』 ②『空港内の移動・誘導の円滑化』 ③『総合交通情報の提供サービス』 ④『車両運行管理センターの設置』 迅速かつ快適に空港へのアクセスを可能とするため,ETCなどの最新ITS技術 の導入を図り,空港内の利用者の利便性を高めるため,情報端末の開発をし,わが国 初の民間主導型の国際空港としての経営を展開して,周辺地域との共生を目指し,新 しい日本の玄関口としての期待を集めている。 開港までの準備として道路交通情報やバス・電車・タクシーなどの公共交通機関へ の乗り換えを効率的に行う情報を提供し,空港へのアクセスに活用される車両を総合 的に管理する運行管理センターを設置するなど,空港を取り巻く環境全体の利便性を 高めるため,ITS技術の開発・実証・導入を目指している。 国際博覧会への導入 日本国際博覧会…愛知県瀬戸市と長久手町などを会場に05 年3月 25 日∼9月 25 日まで開催される21 世紀最初の国際博覧会。 メインテーマは「自然の叡智」 サブテーマ (1)宇宙,生命と情報 (2)人生の“わざ”と智恵 (3)循環型社会 ①『先端的ITS技術の展示・情報発信』 ②『観客の円滑な移動,誘導の実現』 ③『周辺交通環境への影響緩和』 ④『開催後の地域づくりへの応用』 (愛知万博)

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日本国際博覧会でのITSの導入の背景には,最先端のITS技術を展示し,愛知 県,言わば日本全体のITSへの取り組みを全世界にアピール。国民に対してもIT Sへの関心を高めるという目的がある。04 年 11 月名古屋市で開催された世界ITS推 進会議でも,未来都市づくりを目指す数多くのイベントや実証実験が紹介され,筆者 も中部運輸局と全日本トラック協会の主催で名古屋市の中心市街地にある長者町繊維 問屋街での物流効率化調査に参加し,海外からの視察団に,その成果の一端を解説し た。このことについては,後章で触れる。 しかしながら,忘れてはならないのが04 年7月にスーパー中枢港湾指定を受けた名 古屋港の躍進である。中でも飛島ふ頭南側コンテナターミナルは,全3バース,岸壁 総延長が1,050m の国内屈指のコンテナターミナルとして計画され 05 年9月に竣工が 予定されており,筆者が数年来研究を進めている総合物流施策大綱にある4大拠点の 一つとしての整備がようやく本格的な実現への助走を始めているのである。昨年11 月 実績で194 万 6,000 TEU,推定で 214 万TEU以上とされる名古屋港の好調なコンテ ナ取扱量は,中部圏の物流導線を大幅に変革しており,殊に阪神淡路大震災以降の名 古屋港での内外の取扱量は飛躍的に伸びており,わが国屈指の特定重要港湾としての 地位を確保していることは,周知の事実となっている。 とはいえ,わが国の全国的な港湾における現状を見れば,表日本側の特定重要港湾 の外国貿易(輸出入)量の比率は群を抜いているものの,地方港湾とのマッチング面 を考えると,国のこうしたスーパー中枢港湾を牽引車としてこれらを中核として終戦 直後に石炭合理化で腕を振るった経済学者有沢広巳氏の提唱による経済復興策として 採用された「傾斜生産方式2)」のような重点施策を推進していく以外に,国際的に遜 色のない物流サービスを提供していくことは出来ないと判断したと解される経緯があ るので,筆者としてはこの度の国の港湾計画は支持しているのである。 わが国の現下の景気低迷状況を打破するために,構造改革が小泉政権下で推進され ているが,世界的な大企業各社の物流戦略及びその理念となっているのは,「競争」と 「選択」であり,それ故に「特化」した施策を特定地域で空港・港湾・鉄道・道路ネッ トワークを効率的にリンクした総合物流拠点として実施することが具体策となってい るのである。その実例が今,名古屋で展開されている。 現状は戦後まもなくの状況とは隔世の感があることは事実であるが,見事に量的世 界での発展を遂げたわが国の戦後経済成長も新世紀を迎えて質的な大転換を余儀なく されてきていることは衆知の事実であり,経済戦争という暗黙の競争の下で,今や世 界を席巻する経済システムが根底から新たなアメリカン・システムへと移行し始め, 情報・通信分野からの既存の産業構造が適・不適の指標の中で再構築されているので あり,最早指針や方向性の提示だけでは,わが国のこの現実は変えられないのである。

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それだけに新しい機運をより盛り上げていくために地域及び事業関係者との密着した 現実性を意図した実証実験を積み重ねて行き,それを社会に普遍化させていく道筋ま でを具体的な戦略の下に実行していくという共通認識を徹底すべき時代であると考え る。物流効率化の動向は世界的な環境対策と交通安全対策の基本を成すものであり, またISO9 0 0 0,ISO 1 4 0 0 13 )などの世界標準化機構(International Organiza-tion for StandardizaOrganiza-tion)の世界的普及によって,製品の品質ばかりでなく,事業体 そのものの環境負荷の軽減が求められており,都市計画や情報化推進の要となるもの であるだけに,その意義は大きくわが国の高コスト構造を是正するための効果的な施 策であることは論をまたない事実であり,ものの流と人の流れを活性化させ全国的な 社会流を形成する推進力であるだけに,この動向に対する国民への理解を増大してい くことが望まれるのである。 本論を展開するに先立ち,筆者が作成したこの地域のプロジェクト図を先ず掲載し ておくことにする。こうしたグランドプランを前提に,今回の論文では都市内物流の 実体を検証するためにデータ解析と実証実験をベースに行った次第である。 三重ハイテクプラネット21構想 鈴鹿山麓研究学園都市 鈴鹿国際交流ゾーン 岐阜県内の 岐阜県内の 中核都市・開発拠点 中核都市・開発拠点 岐阜県内の 中核都市・開発拠点 愛知県 名古屋市 万国博覧会 東濃・尾三地域の 東濃・尾三地域の 中核都市・開発拠点 中核都市・開発拠点 東濃・尾三地域の 中核都市・開発拠点 三重県内の 三重県内の 中核都市・開発拠点 中核都市・開発拠点 三重県内の 中核都市・開発拠点 周辺の 周辺の 中核都市・ 中核都市・ 開発拠点 開発拠点 周辺の 中核都市・ 開発拠点 名古屋空港 名古屋空港 名古屋空港 中部国際空港 中部国際空港

世 界 へ

総合物流拠点

総合物流拠点

総合物流拠点

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1 名古屋港と陸上貨物輸送 本研究の主旨は,特定重要港湾である名古屋港に集配されている内外の貨物が,名 古屋市及びその周辺地域の物流の集散地への移動実態を明らかにすることを,一つの 目的とするものである。近年都市部においては,自動車交通量の増加に伴う道路混雑 や排ガスなどの環境問題が発生しており,また物流効率化施策の進展に伴い,空港・ 港湾・内陸鉄道網を基軸とする物流導線においても,次第にNOx/PM法の特定地 域の指定を受け,トラック(主に特積事業者)の環境対策が喫緊の課題となって浮上し ている。 そうした中で,名古屋港の重要性と評価は,阪神淡路の大震災後年々高まって来て おり,それに随伴して中部圏域及び全国の貨物物流の中核拠点としての位置を確立し ている。今回の調査研究の今一つの目的は,この特定重要港湾と関係地域間の貨物移 動の実態を明らかにしながら,新総合物流施策大綱に裏付けされている国際物流と都 市内物流の相互連携のあるべき姿と現状での推移をパースペクティブしていくことで ある。 そのため調査手法としては,関係事業者(物流事業者,荷主及び倉庫業者),関係 する主管及び機関に対する基礎資料の収集と一部の事業者等への現地実態調査を行 い,上記の課題を究明する。 具体的には名古屋港から海上貨物として荷揚げされた衣料品に関係する貨物が(1 次流動として)一体どこへ送られているかについて,5年に一度の割合で行われる陸 上出入貨物調査(調査時期:平成9年10 月1日∼同月 31 日の1ヶ月間)データを元 に実態解明を行うものである。またこれに筆者が中部運輸局の下に行っている名古屋 市内の長者町繊維問屋街でのトラック事業者によるIT(スマートプレート)を活用 した荷捌きシステム調査と合わせて研究をまとめたいと考えている。 尚,調査の元データの選定に関しては,名古屋港管理組合の企画課の支援を得なが ら,ポイント摘出のための資料を作成している。 元データに関して付言しておくと,本来ならば最新のデータとの比較を試みたいと 考えていたのであるが,データ入手時にはまだそれが出来上がっておらず,この研究 に関しても長者町での実験結果とのマッチングを当初意図していたため,繊維・衣料 関係の速報値だけではトピックのみが表出すると思われたので,元データとして信頼 性の高いものを使用し,分析をしたのである。尚,このデータ分析は筆者の所属する 経営情報学部の龍岡亮二教授研究室に依頼し,数回にわたって検討したものである。

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港湾輸入貨物の移動 以下に,先ず集計したデータの概要を示し,論をすすめていくことにする。 表1−1 名古屋港から内陸への衣料品関係品目集計 (衣類・身廻品・はきもの) (トン) 地 区 輸 入 移 入 合 計 鉄道 自動車 その他 鉄道 自動車 その他 23206 愛知県 春日井市 0 35,918 0 35,918 0 34 0 34 35,952 23219 愛知県 小牧市 0 4,670 0 4,670 0 0 0 0 4,670 23203 愛知県 一宮市 0 3,431 0 3,431 0 40 0 40 3,471 23110 愛知県 中川区 0 3,365 0 3,365 0 39 0 39 3,404 21201 岐阜県 岐阜市 0 3,254 0 3,254 0 8 0 8 3,262 23218 愛知県 尾西市 0 2,139 0 2,139 0 11 0 11 2,150 23220 愛知県 稲沢市 0 1,948 0 1,948 0 0 0 0 1,948 21304 岐阜県 羽島郡柳津町 0 1,896 0 1,896 0 9 0 9 1,905 23111 愛知県 港区 0 1,822 0 1,822 0 80 0 80 1,902 そ の 他 20 30,111 0 30,131 0 185 0 185 30,316 総   計 20 88,554 0 88,574 0 406 0 406 88,980 ト ラ ッ ク 倉 庫 倉 庫 港湾荷役 世界の港 鉄道インランドデポ 荷 主(出し手) トラック・ターミナル 長距離トラック 内航海運 内貿バース 内貿バース 港湾荷役 トラック トラック ︵ 受 け 手 ︶ コンテナターミナル

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(織 物) (トン) (糸及び半紡績品) (トン) (羊 毛) (トン) 地 区 輸 入 移 入 合 計 鉄道 自動車 その他 鉄道 自動車 その他 23427 愛知県 海部郡飛島村 0 1,111 0 1,111 0 0 0 0 1,111 21300 岐阜県 羽島郡内 0 865 0 865 0 0 0 0 865 23219 愛知県 小牧市 0 533 0 533 0 0 0 0 533 22202 静岡県 浜松市 0 439 0 439 0 0 0 0 439 21212 岐阜県 土岐市 0 371 0 371 0 0 0 0 371 21201 岐阜県 岐阜市 0 346 0 346 0 0 0 0 346 23113 愛知県 守山区 0 311 0 311 0 0 0 0 311 23221 愛知県 新城市 0 304 0 304 0 0 0 0 304 23109 愛知県 熱田区 0 285 0 285 0 0 0 0 285 そ の 他 274 3,819 0 4,093 0 1 0 1 4,094 総   計 274 8,384 0 8,658 0 1 0 1 8,659 地 区 輸 入 移 入 合 計 鉄道 自動車 その他 鉄道 自動車 その他 23203 愛知県 一宮市 0 3,557 0 3,557 0 18 0 18 3,575 23219 愛知県 小牧市 0 893 0 893 0 0 0 0 893 18201 福井県 福井市 0 776 0 776 0 7 0 7 783 22202 静岡県 静岡市 0 648 0 648 0 0 0 0 648 21214 岐阜県 可児市 0 553 0 553 0 0 0 0 553 23201 愛知県 豊橋市 0 359 0 359 0 0 0 0 359 21209 岐阜県 羽島市 0 261 0 261 0 4 0 4 265 24202 三重県 四日市市 0 262 0 262 0 0 0 0 262 23213 愛知県 西尾市 0 236 0 236 0 0 0 0 236 そ の 他 0 3,675 0 3,675 0 44 0 44 3,719 総   計 0 11,220 0 11,220 0 73 0 73 11,293 地 区 輸 入 移 入 合 計 鉄道 自動車 その他 鉄道 自動車 その他 23203 愛知県 一宮市 0 1,246 0 1,246 0 0 0 0 1,246 24202 三重県 四日市市 0 548 0 548 0 0 0 0 548 21505 岐阜県 加茂郡八百津町 0 500 0 500 0 0 0 0 500 24201 三重県 津市 0 500 0 500 0 0 0 0 500 28201 兵庫県 姫路市 0 500 0 500 0 0 0 0 500 23220 愛知県 稲沢市 0 300 0 300 0 0 0 0 300 27206 大阪府 泉大津市 0 300 0 300 0 0 0 0 300 43201 熊本県 熊本市 0 300 0 300 0 0 0 0 300 31201 鳥取県 鳥取市 0 250 0 250 0 0 0 0 250 そ の 他 0 637 0 637 0 0 0 0 637 総   計 0 5,081 0 5,081 0 0 0 0 5,081

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(綿花) (トン) 陸上貨物調査は昭和29 年から全国の主要港湾の中からブロックごとに指定統計第6 号「港湾調査の部として,」港湾の陸上勢力圏の実態及び港湾と陸上後背地間に置け る物の流動状況を明らかにして,港湾の開発,利用及び管理に資することを目的とし て行われてきたものであるが,特定重要港湾の名古屋港に関する調査は5年に1回行 われており,第8回は平成9年10 月1日から31 日まで行われている。今回のデータ件 数は搬入8,140 件,搬出 61,888 件の計 70,028 件となっており,前回調査の 75,650 件よ り7.4%減少している4) 名古屋港から海上貨物として荷揚げされた衣料品に関係する貨物が(1次流動とし て)どこへ送られているかについて,陸上出入貨物調査(調査時期:平成9年10 月1 日∼同月31 日の1ヶ月間)データ(参考文献【1】より)から抽出した。なお,品目 については,衣料品に関係すると思われるものを抽出した。これから示すデータは, 「衣類・身廻品・はきもの」「織物」「糸及び半紡績品」「羊毛」「綿花」と,これらの 「すべての品物」が,どの出荷施設から搬出地区へ,どのくらいの数量(単位:トン) 出荷されているのかを示すものである。次にデータ項目について(陸上出入貨物調査 の概要 http://toukei.mlit.go.jp/01/gaiyo/rikujo.html より基本的項目のみを記載して おく。 仕 出 地…「搬入」における貨物の出発地。(貨物がどこから港湾の調査区域 に運び込まれたか) 出 荷 施 設… 船によって運ばれた貨物(輸入又は移入)が,港湾において船卸し される施設。(これより示すデータの中では,出荷施設コードは 11000,12000,13000,14000,21000,31000 の合計6個ある。) 地 区 輸 入 移 入 合 計 鉄道 自動車 その他 鉄道 自動車 その他 22202 静岡県 浜松市 0 2,638 0 2,638 0 0 0 0 2,638 20212 長野県 大町市 0 1,018 0 1,018 0 0 0 0 1,018 22214 静岡県 藤枝市 0 957 0 957 0 0 0 0 957 23202 愛知県 岡崎市 0 854 0 854 0 0 0 0 854 22209 静岡県 島田市 0 712 0 712 0 0 0 0 712 21423 岐阜県 本巣郡穂積町 0 708 0 708 0 0 0 0 708 16201 富山県 富山市 0 566 0 566 0 0 0 0 566 21426 岐阜県 本巣郡糸貫町 0 563 0 563 0 0 0 0 563 23201 愛知県 豊橋市 0 529 0 529 0 0 0 0 529 そ の 他 0 4395 0 4395 0 317 0 317 4,712 総   計 0 12,940 0 12,940 0 317 0 317 13,257 (H9陸上出入貨物調査より作成)

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搬 出 地 区… 船によって運ばれた貨物(輸入又は移入)が,港湾において船卸し され,調査区域から内陸(仕向地)へ輸送される地区をいう。 (これより示すデータの中では,搬出地区は01,02,03,04,05, 08,10,11,12,13,17,18,19,20 の合計 14 個ある。) 荷受人業種… 貨物の荷受人の業種をいう。 仕 向 地…「搬出」における貨物の目的地(貨物が港湾の調査区域を出てどこ に向かったか) 本来ならば「織物」,「糸および半紡績品」,「羊毛」「綿花」等の各項目別に提示す べきであるが,紙面の関係から「衣類・身廻品・はきもの」の流動についてのみ概要 を掲載し,その他は出荷施設毎に検討を加えるべきであると考えるが,以下の項目に ついては注目を引いた点のみ若干のコメントを付加するに止める。次の「衣類・身廻 品・はきもの」の表及び図で明らかなのは,出荷施設12000 から搬出地区 12 及び10 へ の数量が1番大きいことであり,この2つの地区で全体の約85 %を占めているのであ る。また出荷施設12000 は搬出地区5ヶ所にしか出荷しておらず,その内2ヶ所が 5,000 t 以上で,2ヶ所が149 t 以下となっている。 尚,基礎データの分析は,筆者と同経営情報学部の龍岡教授の研究室(ゼミ生の大 野賢一朗君)に委嘱したものであるが,文責はすべて筆者にある。 実際問題として,やっかいな事柄を興味をもって進められ,様々な問題点を指摘さ れ,データ結果から想起されるものと,現行の貨物移動についてのトータルな見通し などの不備についても,しばしば議論を展開したことも付記しておきたい。というの も統計分析のプロの手に掛かっては,現実は諸矛盾を解決する術を持たない限り,デ ータそのものに疑いの眼を向けられるという怖さを痛感したからである。とはいえ, 今回のデータ分析に関して言っておかなければならないことは,筆者の不勉強なので あるが,上屋やCF(コンテナヤード)などや地区名,出荷,仕向地,搬出場所,受 人などすべてがコードによって分類されていたことである。 港湾研究を長年行っていながら,こうしたことを知らないというのは,まったくも って恥ずかしい限りであるが,それだけに港湾を見る眼は一変したことも事実である。 名古屋港の地区コード及び出荷施設は以下のようになっている。 以下にデータを図表化したものを掲載しておく。

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コードと地区名 出荷施設 次に掲載したものは,データ分析の内容を示すものである。これらを元に名古屋港 からの陸上貨物の移動の実体を明らかにしていくのが,本論の目的である。 コード 施設名 11000 上屋 貨物の荷捌を行う施設 12000 CY コンテナの荷捌を行う施設

荷捌施設 13000 CFS Container Freight Station 主にコンテナの開封や貨物をコンテナ化する 施設 14000 荷捌場 15000 その他 21000 倉庫 22000 貯油層・危険物置き場 23000 貯炭場 保管施設 24000 野積場 25000 水面貯木場 原木等を保管するための水面 26000 陸上貯木場 27000 その他 係留施設 31000 岸壁・物揚場等の船舶をつなぎ置くための施設 01 ガーデン埠頭 09 潮見 02 大手 03 稲永 18 中川運河 堀川17 06 大江 07 昭和 08 船見 13 新宝 14 東海元浜 15 北浜 16 南浜 05 稲永背後 04 空見 10 金城 11 木場金岡 12 飛島 19 弥富 20 鍋田 ポー トア イラ ンド

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仕向地コード H9 陸上貨物出入調査データの一部 No. コード 数量(t) 件数 平均(t) 標準偏差(t) 1 23206 35,952 36 998.6667 5,828.776 愛知県春日井市 2 23203 8,426 268 31.4403 83.15339 愛知県一宮市 3 23219 6,150 236 26.05932 29.36992 愛知県小牧市 4 22202 5,532 185 29.9027 93.13432 静岡県浜松市 5 21201 3,655 208 17.57212 20.95347 岐阜県岐阜市 6 23110 3,639 146 24.92466 20.44811 愛知県名古屋市中川区 7 21300 2,836 104 27.26923 23.1056 岐阜県羽島郡 8 23218 2,496 88 28.36364 27.15692 愛知県尾西市 9 23220 2,336 65 35.93846 53.7078 愛知県稲沢市 10 23111 2,063 69 29.89855 42.26532 愛知県名古屋市港区 11 23427 2,030 74 27.43243 25.51072 愛知県海部郡飛島村 12 21304 1,929 62 31.1129 31.97187 岐阜県羽島郡柳津町 13 23202 1,635 74 22.09459 47.15296 愛知県岡崎市 14 21209 1,592 74 21.51351 33.9174 岐阜県羽島市 15 21423 1,542 54 28.55556 23.62495 岐阜県本巣郡穂積町 16 23100 1,527 103 14.82524 19.33524 愛知県名古屋市 17 23214 1,406 85 16.54118 30.69029 愛知県蒲郡市 2496 コンテナ区別 輸移入別 品名コード 数 量 出荷施設コード 輸送機関 仕向地コード 荷受人業種コード 仕向場所 搬出地区 1 1 442 5 12000 2 22202 44 02 12 1 1 442 12 12000 2 23219 44 02 12 1 1 442 5 12000 2 23201 44 02 12 1 1 442 4 12000 2 22202 44 02 12 1 1 442 3 12000 2 21213 49 03 12 1 1 442 9 12000 2 22202 45 02 12 1 1 442 2 12000 2 23201 41 03 12 1 1 442 7 12000 2 22202 45 11 10 1 1 442 10 12000 2 22483 45 11 12 1 1 442 3 12000 2 21341 44 02 12 1 1 442 17 12000 2 22202 44 02 12 1 1 442 4 12000 2 23346 48 03 12 1 1 442 3 12000 2 23201 44 02 12 1 1 442 2 12000 2 22202 45 11 12 1 1 442 8 12000 2 22202 20 03 12 1 1 442 3 12000 2 23203 44 02 10 1 1 442 17 12000 2 22202 44 02 10 1 1 442 6 12000 2 22202 15 03 10 1 1 442 6 12000 2 22461 48 03 10 5 10 15 20

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本来ならば平成15 年度の陸上貨物調査結果と相関を試みるべきであると考えていた が,本稿の作成期間に間に合わず,また上記に若干記載したが,元データであること により,今回の元データ件数の総量を表すデータの一部(これは2003 年8月に三の丸 KKRで行なわれた港湾経済学会)の中部部会で述べたように,公表できない事情が あるので,筆者としては個別に大手事業者に対してオープンすることの是非を問い了 承を得たが,他の事業者に対して迷惑が掛かる懸念があるかもしれないとするむきも あった。それ故,一体どの程度のデータをどの程度処理したのかを掲載できないとい う現実では,このような形にせざるを得なかった事情がある5)。総量を明示し,それ をどのようにして分析していったかというプロセスは果たせなかったが,その概要に ついては敷衍しているものと考えている。コンテナ,輸移入別,品名,数量,出荷施 設,仕向地コードなどの10 項目を横に,2,496 の件数を縦にしたデータであったこと のみ記載しておく。競争著しい特積み大手事業者幹部間では調査依頼から半年の時間 が経ったものであるのと,現実との乖離が若干あるとのことで,問題視していない感 触が濃かったことも付記しておく。 衣類・身廻品・はきものの流動の様子について 表1−2.「衣類・身廻品・はきもの」の搬出地区・出荷施設間の流動数量 合計/数量(t) 出荷施設コード 搬出地区 11000 12000 13000 14000 21000 総 計 01 76 76 02 90 56 230 1,914 2,290 03 117 1,393 13 1,523 04 16 164 1,530 1,710 05 174 27 41 242 10 404 9,834 140 67 10,445 11 18 18 12 3,085 64,855 572 20 1,681 70,213 13 80 80 17 40 821 861 18 3 406 409 19 1 118 4 123 20 990 990 総 計 3,980 75,815 2,702 20 6,553 88,980

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衣類・身廻品・はきもの(すべて) 図2−1 で突出しているのは 12000 地区である。以下の図は全体の流動状況を示すも のである。これらの2図から理解されるように,出荷施設からどのエリアへどの程度 の数量が移動しているかが明らかとなっている。 図1−1.「衣類・身廻品・はきもの」の出荷施設から搬出地区へ送られる数量 出荷施設コード12000 の74,689t は9,834t + 64,855t である。 0 10000 20000 30000 40000 50000 60000 70000 11000 12000 14000 21000 13000 出荷施設コード 01 02 03 04 05 10 11 12 13 17 18 19 20 合計/数量(t) 搬 出 地 区 9,834t 64,855t 出荷施設コード 搬出地区 12000 10 12 10 県・ 9,834 t・ 16 業種 17 県・ 64,855 t・ 20 業種 出荷施設からどのくらいの数量 を出荷しているかを表している。 いくつの都道府県へ どのくらいの数量を いくつの業種が 運んでいるかを表している。 74,689 t

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「衣類・見廻品・はきもの」の流動性の全体図 ○総 計 1000 ∼ 9,999t, 100 ∼ 999t 1 ∼ 99t 64,855t 出荷施設コード 搬出地区 11000 3,980 t 21000 6,553 t 14000 20 t 13000 2,702 t 12000 75,815 t 01 3 県・ 76 t・ 4 業種 02 11 県・ 2,290 t・ 10 業種 03 7 県・ 1,523 t・ 10 業種 04 6 県・ 1,710 t・ 5 業種 05 3 県・ 242 t・ 4 業種 10 12 県・ 10,445 t・ 17 業種 11 1 県・ 18 t・ 1 業種 12 26 県・ 70,213 t・ 25 業種 13 1 県・ 80 t・ 1 業種 17 2 県・ 861 t・ 4 業種 18 4 県・ 409 t・ 4 業種 19 2 県・ 123 t・ 4 業種 20 4 県・ 990 t・ 5 業種 衣類・身廻品・はきもの 3,365 3,600 6,096 8,234 35,918 42,637 中 川 区 合計 岐阜県岐阜市 合計 小 牧 市 合計 一 宮 市 合計 春日井市 合計 その他地域 合計 0 5,000 10,000 15,000 20,000 25,000 30,000 35,000 40,000 45,000 単位:t 輸入貨物総計 上位5都市

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「衣類・身廻品・はきもの」の流動の様子についてのデータで,出荷施設12000 から 搬出地区12 へと出荷されている数量が 34,998 t と異常値が出ている。このデータは, 仕向地コード23206 の愛知県春日井市,荷受人業種コード44 の倉庫業である。 参考:日本の統計制度 http://www.stat.go.jp/info/seido/ 統計に用いる標準地域コード http://www.stat.go.jp/info/seido/9-5.htm(平成 14 年4月1日現在)。 この異常値が出たデータの次に大きな数値は,品名「羊毛」の出荷施設21000 から 搬出地区12 へ出荷している1,200 t である。このデータは,仕向地コード 23203 の愛知 県一宮市,荷受人業種コード14 の繊維工業(衣服・その他の繊維製品を除く)である。 以下は,項目別に図表化したものを掲載しておく。見易さを考えて横棒グラフとした。 ○衣類・身廻品・はきもの(輸入) 0 100 200 300 400 500 600 11 34 39 58 80 547 単位:t 尾 西 市 合計 春日井市 合計 中 川 区 合計 一 宮 市 合計 港  区 合計 その他地域 合計 移入貨物総計 上位5都市 1,822 1,896 1,948 2,139 3,254 3,365 3,431 4,670 30,131 35,918 港    区 岐阜県羽島郡柳津町 稲   沢   市 尾   西   市 岐阜県岐阜市 中   川   区 一   宮   市 小   牧   市 そ の 他 地 域 春 日 井 市 0 5,000 10,000 15,000 20,000 25,000 30,000 35,000 40,000 単位:t 輸 入

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○衣類・身廻品・はきもの(移入) 輸入では何と言っても県内外の中で際立っているのは,春日井市である。一般的に は衣類であることから,多少の常識感覚からすれば小牧市や一宮市の方が多くなって いると思っていたが,データとしてはこのようになっている。それにしても中川区や 小牧市と比較して春日井市の35,918 トンという数値は,異常と思えるほど高くなって いる。 ○織 物 織物については,輸入のみとした。それは移入ではその他の地域の数値が突出して いるのみであったからである。 8 9 11 34 40 80 185 39 港    区 岐阜県羽島郡柳津町 尾   西   市 岐阜県岐阜市 中   川   区 一   宮   市 そ の 他 地 域 春 日 井 市 0 20 40 60 80 100 120 140 160 180 200 単位:t 移 入 285 304 311 346 439 533 865 371 岐阜県羽島郡内 海部郡飛島村 岐阜県岐阜市 新   城   市 熱   田   区 名古屋市守山区 静岡県浜松市 小   牧   市 そ の 他 地 域 岐阜県土岐市 0 500 1,000 1,500 2,000 2,500 3,000 3,500 4,000 単位:t 1,111 3,819 輸 入

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輸入では新城市304 トン,岐阜市 346 トン,静岡県浜松市 439 トン,岐阜県羽島郡 865 トンとなり,業者からの一部聞き取り調査からも応分の妥当な数値のように思え る。 ○糸及び半紡績品 糸及び半紡績品の移入では,福井県への移動率が大きいのが目を引いた。 筆者は運輸局の委員会で特積み事業者たちとの調査実験をしている経験から,この 地区は大阪圏との認識があったので,この数値の背景に関心をもっている。 ○羊 毛 0 0 0 0 0 0 4 7 18 30,131 18 静岡県静岡市 岐阜県可児市 西   尾   市 豊   橋   市 三重県四日市市 小   牧   市 岐阜県羽島市 福井県福井市 一   宮   市 そ の 他 地 域 0 5 10 15 20 25 30 35 40 45 単位:t 44 移 入 0 200 400 600 800 1,000 1,200 1,400 250 熊本県熊本市 鳥取県鳥取市 大阪府泉大津市 稲   沢   市 三 重 県 津 市 兵庫県姫路市 岐阜県加茂郡八百津町 三重県四日市市 そ の 他 地 域 一   宮   市 単位:t 300 300 300 500 500 500 548 637 1,246 輸 入

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輸入では熊本県や兵庫県の姫路市の名前が出でいる。姫路の革製品についての市場 の実情は若干知っていたが,四日市市や熊本市の名前は実際予想外で,素人としては 港湾関係だけではなく,この業界の卸市場に興味をもった次第である。これは今後の 調査ポイントの一つとなっている。 ○綿 花 綿花に関しては,岐阜県本巣郡の糸貫町や穂積町,島田市,そして岡崎市や藤枝市 など数値が接近している。これは小売業界の例を当てはめると固定客と云えるのでは ないかと思う。しかし長野県の大町市が1,018 トンと浜松市の 2,638 トンに次いで綿花 の市場となっていたことは,業界知らずを暴露されたような気がしている。あの寒い 地と綿花との関係も興味がわくデータとなった。 次頁の図は名古屋港の将来構想図である。名古屋港は1995 年の阪神・淡路の大震災 以降,特定重要港湾としての重要性が顕著になり,特に中部圏に2005 年に建設される 中部国際空港との位置関係から,国の目指している物流ネットワーク構想の中核拠点 としての整備が進んでいる。第二東名・名神高速道路構想の進捗を受け,伊勢湾岸高 速道路に建設されている数多くのインターチェンジの数を見れば,国際港湾と物流拠 点,そして内陸部の高規格道路と鉄道の一体型のモデル地区としての潜在力が具現化 しているのである。 名古屋港は平成15 年4月 21 日,構造改革特区計画第1号 57 件の一つとして認定さ れており,これは国の期待感の大きさを表している。 0 500 1,000 1,500 2,000 2,500 3,000 3,500 4,000 4,500 529 富山県富山市 岐阜県本巣郡糸貫町 豊   橋   市   岐阜県本巣郡穂積町 静岡県島田市 岡   崎   市 静岡県藤枝市 長野県大町市 静岡県浜松市 そ の 他 地 域 単位:t 563 566 708 854 712 957 1,018 2,638 4,395 輸 入

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この計画は,名古屋港産業ハブ特区計画として,地域産業の活性化のみならず,圏 域全体の持続可能な経済発展を意図しているだけに,今後の地域を上げた取組体制の 推進が,広くわが国全体の景気浮揚に連動していくだけに,本気でこの時流を高めて いくことが何よりも望まれる。PFI推進法6)の活用も脳裏に置き,この計画の中枢 が「ロジスティックスハブの形成」と「基盤産業ハブの形成」となっていることを, 真剣に捉えなければならないのである。 というのは,これらを中核とすることは過去の港湾計画との連動性や予算制度上 (税金か資本)かの問題は依然として残るものの,海外の港湾,例えばロッテルダム港 湾のように港湾地区での住宅建設や学校,病院などの福祉施設建設,また勤住直近の http://www.port-authority.minato.nagoya.jp/

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住環境の実現,更に国を始めとした地域行政の地域活性化の中核とした都市計画の推 進による新労働市場形成及び国際港湾としての石油や食糧備蓄基地等の公的位置付け や年間無休経営が浸透している物流効率化戦略を徹底する世界中の企業間の要請を受 けた付加価値性の勝れた時間管理型の輸送システムを構築していくといった全体的な 地域イメージを打ち出しながら,計画を実行し,適正なディスクロージャー経営の下 に,税金の使用が費用対効果7)の基準値を絶えず上回っていくような資本形成や新し い組織形態や人材配置及び若年労働者の養成など,広範なマネジメントが必須のもの となるからである。それ故,そこで働くものたちが「プライド」を持って,地域経済 に貢献しているという姿勢と実績が何よりも評価され求められ,しかも都市計画であ る以上,景観や環境対策も思い切った施策を継続して計画年度毎に成果を評価し,継 続していかなければならないのである。国の特別区の認可の真意は,既存の組織の延 長ではない民間(型)の時代に即応した経営体による企業の運営なのである。この点 を看過しては,国の構造改革の地域にとっての優位性を手にすることは出来ないと考 える。 前頁図からも理解できるように,中部国際空港が開港されたことによって,一挙に 名古屋港は国際港湾へと大きく変貌していくのである。金城,鍋田,飛島,弥富とい った地区が伊勢湾経済発展の外貿取引の拠点として整備されていくことで,国の総合 物流施策大綱の意図した国際総合物流と地域間及び都市内物流が,陸海空の運輸手段 のネットワーク形成を完全に視野に入いり,それらの地域経済に対する相乗的波及性 が生まれ,地域住民にとっても魅力ある地域となり,守り育てていくべきであるとい う市民性が着床していくのである。 換言すれば,従来特定の事業者の優先地域であった港湾地域が海外の国際港湾のよ うに,地域住民の新たな魅力ある都市に変えていかなくてはならないのである。港湾 は歴史的にみても,始まりは常に地域住民にとって人,モノ,かね情報が入る先端地 区であったからである。わが国のこの20 数年間の経済発展の勢いが殺いできたものが, 今環境問題を通して原初に回帰することが求められて来ていると考える。 筆者が2000 年夏から行ってきた世界物流視察でニューヨークやニュージャージーの 空港や港湾,ベルギーのゲント港湾,アントワープやロッテルダム港湾,上海やシン ガポール港湾などは地域との密接な関係を先ず担当者が説明してから,自分たちの職 場が如何にこの国の経済を支えているか,またどのように貢献し,何を為し,どうい った将来構想を進めているのかについて,賛同を求めるかのように解説し,職場を案 内していたのを想起すると,わが国の港湾担当者の姿勢はセクト意識が数倍強く残っ ており,全体計画への意見が少ないように思われてならない。地域発展計画は,第一 に自分たちの生活と文化に係わる重要な問題であるだけに,歴史を大切にする欧米人 には他人のような眼で見るということに対する意識は希薄であった。

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筆者としては,他の特定重要港湾の視察調査を踏まえて名古屋港の港を中心とした 都市形成の進捗こそが,この地域の将来を決定すると考えているだけに他の運輸機関 や都市高速や高規格道路を利用した現実の物流導線の利用度と効率性などを調査し て,わが国の高コスト構造の重大な原因の一つとなっている通関・運輸業務に付随す る規制や慣例を現場視察を重ねて摘出しているのである。 一般的に物流事業者の現場での搬送に伴う作業は多岐に亘っているだけに,調査方 法としては空港と港湾のFAZ8)やトラック事業などを個別に比較してきたのである が,昨年の神戸港の視察の折は,港湾行政機関と関連施設を終日視察した後,関空の 担当者と共に空港貨物の移動現場を見たことから,これらの相関関係と形態の整合性 の有無や貨物移動に対する関係者間の意識の相違などが,新たな問題意識となってい る。何れも貿易の玄関口であるという認識は共通しているが,これが世界に向けてど うあるべきか,日本としてこうした拠点を今後どのように活用し,国の経済成長に役 立てていくべきなのか,また現状の施設管理や施設の付加価値性の追求,地域社会と の関係強化,更に新たな利用者サービス提供についての現場決済の権限問題など,改 善しなければならない点は数多くあり,公団や管理組合の経営形態の限界についての 内在化する課題の影響が大きく,開かれた空港や港湾と呼ばれるまでには,まだまだ 時間が必要であることを痛感している。しかしながら,その突破口は徐々に開かれ始 めており,既存の慣例の中でしか書けなかった基本計画や将来構想図も担当者が驚く ほどの変化も既に見られるのである。 次頁に掲載した図も筆者の考案したものであるが,ここに示されているような動向 は国も地域も経済活性化と構造改革の路線の中で,全国各地で実験・調査が既に数多 く行われているのである。 例えば,ITの活用に関してNACCS(通関情報処理)に関しても輸出入・港湾関 連手続のシングルウインドウ化は国がその骨格を示しており,利用者が専用回線を利 用して輸出入承認・許可(確認)=経済産業省,食品輸入届=検疫所,輸出入申告= 税関などの情報が得られる体制へとシフトし始めているのである。先に引用した名古 屋港の将来図もこうしたネットワークの下に考えていけば,本来的な港の機能強化が 促進され,また外国の観光名所となっている港湾に並ぶ地域を代表する魅力ある都市 スポットの形成が実現できるのである。唯,本業の機能・設備強化優先を忘れて部分 的な景観や導線を変えるだけでは,市民がそこを誇りにして支援の手を差伸べること は期待出来ないのであり,市民のための港湾にはなれないのである。認識すべきこと は19 頁図上の物流拠点整備は物流事業者や行政の関係者間のエリア分割ではなく,そ の目的が21 世紀型ビジネスを提供し,更に隣接地域の人々の生活の利便性と質的向上 にある点なのである。地域住民への寄与・貢献こそが巨大な国土を利用し,税金を使 ってきたものとしての責務であるという認識が問われているのである。

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インターネット上での公的機関の経営内容の情報開示は,今後欧米並みに進むと考 えられるが,国民が自分たちの街のあり方を自分たちの頭で考案していくためには, これは日本国民にとって重大な影響を及ぼしていくと思われる。当然と言えるかもし れないが,こうした情報開示はわが国の公的機関の慣例から民間が遅れていたことは 否めなかったが,筆者の視察経験からの実感では1998 年頃から地方の公的機関内部で の情報端末の配備状況も大幅に変化しており,関係部署内でのデータ集積も全館的な ネットワーク化が徐々に進んでおり,外部に出せるデータの数もその質も高まって来 ているように思われる。これは本省内部での公的責任論が漸く本来の欧米並みのパブ リック意識(コミュニティーという地域共同体が社会生活の源泉となっている)の原 点に立った施策を展開してきた為に可能になったと考えられる。勿論,政治やその背 後にあるわが国の財政事情が主因であると思うが,関係機関の調査や担当者訪問の中 で実感したものである。

官民共同EDIの構築

環境負荷の低減 コスト削減 技術革新 新規事業の創出 広域物流 高規格道路 高規格道路  鉄 道  鉄 道  空 港  空 港  港 湾  港 湾 広域物流 高規格道路  鉄 道  空 港  港 湾 物流拠点整備 物流拠点整備 物流拠点整備 1.流通効率化対応型物流流通効率化対応型物流 2.モーダルシフト拠点型拠点型ターミナル 3.トラックターミナル 4.共同輸配送拠点共同輸配送拠点 5.輸入対応型物流施設輸入対応型物流施設 6.食料備蓄食料備蓄・流通施設流通施設 1.流通効率化対応型物流 2.モーダルシフト拠点型ターミナル 3.トラックターミナル 4.共同輸配送拠点 5.輸入対応型物流施設 6.食料備蓄・流通施設 物流拠点整備 ITの活用

IT活用の高度物流システム

IT活用の高度物流システム

地域経済の高度活性化 地域経済の高度活性化 情報文化都市 情報文化都市 21世紀型ビジネス 地域経済の高度活性化 情報文化都市 21世紀型ビジネス 荷主・物流業者 地域経済発展へ G P S:衛星測位 E D I:電子データ交換 NACCS:通関情報処理 I T S:高度道路交通 E T C:ノンストップ自動料金収受 VICS:道路交通情報通信 DSRC:狭域通信 G P S:衛星測位 E D I:電子データ交換 NACCS:通関情報処理 I T S:高度道路交通 E T C:ノンストップ自動料金収受 VICS:道路交通情報通信 DSRC:狭域通信

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2 都市内物流のデータとの相関 愛知県内における貨物自動車運送事業者数(陸運支局別,平成15 年3月 31 日現在) は,5,791 で全国的に見れば東京(17,408),大阪(14,183),神奈川(10,156),埼玉 (9,952),千葉(8,260),兵庫(6,121),福岡(5,837)に次ぐ八位で全体の 4 %となって いる。しかしながら,特積運送事業者数では,東京の25,岐阜の20 に次いで3位の15 であり,これは大阪の13 を上回り,愛知と岐阜の合計 35 というのは,全国(276)の 内13 %となっている。これに静岡と三重,福井を加えた中部全体での比率は,全国の 17 %を占め,関東の24.6 %に次いで2位となっている。中部地区の特性として産業集 積と貨物出荷量が喧伝されているが,そうした実績の裏には,こうした貨物物流の集 積も整備されているということを知らねばならないのである。メーカー再度の時間管 理経営を下支えしているのは,メーカー以上に過酷な時間競争と安全運行を心掛けて いるこうした物流事業者がいるのである。 国の物流施策の眼目は物流効率化,環境対策,安全対策,各種支援とされており, 中でも物流効率化ではその具体的方向として次の4点に集約されている。 ◎規制緩和の推進 ◎幹線共同運行,共同輸配送の促進 ◎情報化の推進 ◎トレーラー化及び車両の大型化の促進 その中で特にトラック運送業については,ITを活用した道路運送の高度化事業が 予算化されて推進されている。その主旨は「道路運送事業におけるITの活用を推進 することにより,運行の円滑化や輸送の効率化,利用者への情報提供の充実,運行管 理の高度化等を図るものであり,現在,必ずしも十分に進んでいない道路運送事業で のITへの取組を強化することで,安全性の向上,環境負荷の低減,交通渋滞の解消 等を図ることを目的とし,システムについて,その整備に係る課題の抽出,システム 開発,実証評価実験等を実施するもの」として,リアルタイム安全管理システム構築 に向けて国土交通省は様々な施策を講じている。 その物流効率化については,陸上貨物がどのように搬送されているか,またその手 続きや荷主との特積事業者9)との関係などここ数年各種の委員会で勉強してきた関係 から,今回の調査を引き受けたのであるが,期を一にして上記の国策としての実証実 験を伴う委員会があったので,これとの貨物移動の実態での相関の手掛りが掴めれば, これまでにない調査報告が出来るのではないかと考えて本論をまとめた次第である。 長者町での実証実験の概要を示したものが,次の図である。

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名古屋市長者町物流効率化推進事業 ITを活用した荷捌きシステム調査 それ故,この章では筆者が参加している「名古屋市長者町繊維問屋街におけるIT を活用した荷捌きシステムに関する調査委員会」(事務局・中部運輸局自動車交通部) で行った実証実験の概要を記載し,中部地区での物流効率化の現状の一端を明らかに すると共に,新総合物流施大綱の意図する目標がどのように達成されているかを述べ ることにする。以下にこの実証実験の概要を掲載しておく。 1.実証実験事業の目的 実証実験対象地区の長者町繊維問屋街は,名古屋都心部の代表的な物流集散地の一 つである。しかしながら近年違法駐車等の車両も目立ち,物流効率化対策の検討が緊 急に必要な地区となっている。 平成14 年度から,当該地域における交差する交通流や物流を整序化し,路上停車の 削減等を図ることなどの物流効率化策の検討を開始し,昨年度の調査結果では,当該 地域内の違法駐車車両が大きな問題点となっていることが実数で明らかになり,複数 の物流効率化対策メニューをできる対策から組み合わせて実施していくことの必要性 が提案された。 活用事例 目 的 送受信アンテナ 情報管理システム 無線通信 ・自動車登録情報の電子情報化 ・車両の諸元データ ・その他民間利用データなど  ・路側アンテナ機器 にてデータ 認識 ・重要施設における業務車両   出入管理 ・イベント等関係車両の出入  管理 ・物流・旅客流の最適化 ・公共交通機関・運行の支援 ・検査場における効率化 ・低公害車等への優遇 スマートプレート導入検討の概要 ・共通基盤インフラとして位置付け ・2000年より実証実験を実施  (DSRC5.8GHz電波を使用) 情報読み取り機器

スマートプレートとは…目的及び活用事例

無線モジュール http://www.mlit.go.jp/jidosha/sesaku/its/slender_plate/slender_plate.pdf 参考事例 愛知管内: 貨物自動車運送事業者数 2,621 車 両 数 80,061

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そこで,路上駐車を排除し物流効率化の 推進を目指す第一歩として,平成14 年度 調査結果で提案された「貨物車専用荷捌き 駐車場(ポケットローディング)」を設置 するとともに,地元問屋街の方々に対し集 配時間の調整など荷捌き効率化への協力依 頼を同時に行うことなどによる実証実験事 業を実施することにした。 路外荷捌き場(ポケットローディング)」 の設置に当たっては,国土交通省が計画し ている「スマートプレート」の実証実験と 連携し,効率的に実験を実施するとともに 物流効率化策へのIT技術の活用などを検 討することも目的としている。委員会の進 捗状況について少し敷衍しておく。 長者町の新システムによる物流効率化の実験調査を行うための準備の一つとして, 2003 年には以下のような実態調査を行っている。その結果は,以下の通りである。 昨年度の調査結果にみる当該地区の問題点 (1) 路上駐車(平日12 時間調査)の実態 ・駐車台数(延5,943 台)のうち営業車が25.0 %,自家用車が75.0 %。 ・乗用車(49.4 %)と自家用貨客車(20.6 %)で全体の7割を占める。 ・路上駐車は13 時台,11 時台,14 時台,15 時台に集中。ただし,営業車 は9 時台を中心に午前中に集中。 ・平均駐車時間は31.4 分(営業用 16.5 分,自家用 36.3 分) (2) アンケート調査による実態 ・当該地域内で荷捌き駐車場を確保している事業所は24 %程度に過ぎず, 貨物集配時の駐車場所の多くは路上となっている。 ・貨物の集配時の路上駐車は,「交通事故の危険性」,「消防車など緊急車 両の通行に障害発生の危険性」,「交通混雑の発生要因」となるとの指 摘があった。 桜通 錦通 伝馬町通 袋町通 パーク 24 タイムズ錦駐車場 サンパーキング 袋町駐車場 名鉄協商 長者町第 3 駐車場

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長者町卸問屋街は全国的にみても,これだけ立地条件の整っている地区は少なく, 東の若宮大通から西の伏見通りまで約800 メートル,北の桜通から南の錦通まで約 400 メートルの地域は,南北に4区画,東西に8区画が碁盤の目状に並んでおり,城下町 尾張名古屋地域の歴史性と特異性を物語るものであるが,卸問屋の集中している長者 町通や袋街通は一方通行が交差しており,中心市街地間の主要な交通路線となってい るにも拘わらず,両サイドに数多く見られる路上駐車の間隙をぬって走らねばならず, 広い道路を狭く使わざるを得ない状況になっている。それだけに今回のポケットロー ディングを活用した荷捌き実験は,警察や市の担当部局の参加・協力もあって,旧来 的な慣行に対して突破口を開くための一石を投じる試みとなった次第である。実証実 験事業の期間は,最低でも一週間(平日と休日を含む)のデータが必要であるとの判 断から,第一回目は平成15 年 12 月1日(月)から12 月7日(日)の7日間とした。 実証実験事業の概要は, 1.荷捌き駐車場(ポケットローディング)の確保と 2.地元問屋街における荷捌き効率化への協力 が主となるのであるが,具体的には, ①PL(ポケットローディング)の設置場所と設置箇所数 ②PL(ポケットローディング)利用対象車両の確定 が当面の課題であった。 そして,今回のIT活用の実験の特色をなすSP(スマートプレート)装着車両の 確保,及び装着および準備学習が問題となったが,以下の本調査委員会の委員事業者 各社の協力によって当日を迎えることになった。西濃運輸(株),トナミ運輸(株),名 鉄運輸(株),佐川急便(株),福山通運(株),(株)エスラインギフ,日本通運(株), 名古屋急便協同組合。 以上のような準備と内容を整えて,上記のような実験を行ったのであるが,ここで は先ず論旨に沿って先ず都市内物流を調査するに際しての物流効率化に対する姿勢と その方法としてわれわれがどのような視点に立って関係者間と協議したかを取り上げ ておく。 一般的に見て,一つの市街地の実体調査を行うに際して直面することは先ず地元商 工業者との意思疎通の問題がある。行政が基本計画の策定を下にいわゆる地域のゾー ニングを実行することは全国の都市計画の手法としては正当な行為であることは疑い がない。何故ならば,全国各地で行われてきた市の基本計画の策定委員会では,市の 担当責任者や地元の関係者・市民そして学識経験者が約30 数人規模で集まり,本会議 (これには市長や助役も参加)と4部会程度の役割分担が行われ,概ね2年間におよ

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ぶ検討委員会の結論を持って策定しているからである。しかしながら,これが市民に 周知徹底しているかというと,筆者の今日までの経験からみても,その比率は低いと 言わざるを得ない。事業が区画整理事業や再開発事業として動き出せば,当該地区の 利益関係者たちは利権獲得と将来構想の中で私有権の確保がむき出しになり,この調 整が原案としての基本計画を,その交渉の場で変化させることが発生するからである。 公共性という概念が,国民規模でみると他の先進諸国と比較してあまりにも低くな っているわが国の現状では,ある特定の区域を変更するだけでも膨大な手続きが必要 となっているのである。殊にまちづくりに関する委員会では,委員の様々な思いが机 上に示され,それを一つの構想の中に集約することは至難の業であり,委員長とそれ を支える行政側の緊密な支援体制がなければ,昔ながらの「会して議せず,議して決 せず,決して行わず」となり,画餅に期すことが多くあったことも隠しようのない事 実である。 とはいえ,5年か10 年毎に見直されていた基本計画も,20 世紀末頃からの急激な情 報機器の普及による社会変化のために,確かな実効性を供与するものへとシフトして いかなければ,その本来的な市民生活の資質向上のための施策としての意義が問われ る時代となっているのである そうした経験を生かすために,理念と指針と今後の方向性に関する主催者側の情報 開示を行い,物流効率化に関する基本的な考え方を説明し,地元関係者や物流事業者 たちに理解を求めることから始めたのである。そのために物流効率化対策を実施する 目的をトラック事業者,荷主,道路管理や交通管理の各行政などに説明することから 始める下準備を進めたのである。 委員会は先ずその主旨を徹底させることから始まったが,こうした説明の下に事業 者と荷主,地元そして行政の各担当の役割分担が明確になっていくのであるが,実際 問題として最大の課題は,何と言っても地元の協力体制の構築であった。 時代の要請とはいえ,何故「長者町なのか」といった思いが当初地元関係者間にあ ったことは事実であるが,それに対してはわが国の主要都市を通覧して,名古屋市の 長者町ほど大都市の中心部でしかもこれだけの地面(町並み)を占める卸問屋街が他 に存在するかという事実認識が第一,そして名古屋市の主導線として名古屋駅から栄 に至る交通の要となる伏見地区,その中でも金融街に隣接する卸問屋街ともなれば, 都市計画や環境対策等との連動性を考慮して,積極的な地域活性化策を展開すべきで はないかといった意見を開陳し,協力への意識を高める努力を積み重ねてきたのであ る。その折の資料に作成したのが次頁の表である。

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物流効率化 (コスト削減) 交通流対策 違法路上駐車対策 環境対策 積載量の向上,積 載率の向上,配送 効率の向上 トラック事業者 地域内事業者 (荷主) 地域内居住者 行    政 (道路管理) 行    政 (交通管理) 交通量の削減 違法路上駐車をし なくてもよいシステム の開 発,荷 捌き駐 車スペースの確保, 違 法 状 態 の 解 消 , コスト負担 物流効率化対策を実施する目的 ◎ 関心度 関心度 関心度 関心度 関心度 △ ○ △ サービス水準を下げ ることなく物流コスト を削減 荷 捌き駐 車スペー スの確保 ◎ △ ○ △ 交 通 量の削 減によ る交通安全の向上, スムースな通行の確 保 緊急車両の通行の 確保 排気ガス(CO2,Nox), 騒音,振動の低減に よる環境の改善 △ ○ ○ ◎ 交 通 量の削 減によ る交通安全の向上, スムースな通行の確 保 緊急車両の通行の 確保,スムースな通 行の確保,荷捌き駐 車スペースの確保 排気ガス(CO2,Nox), 騒音,振動の低減に よる環境の改善 △ ◎ ○ ◎ 交 通 量の削 減によ る交通安全の向上, スムースな通行の確 保 違法路上駐車車両 の撤去,交通安全 の向上,スムースな 通行の確保,緊急 車両の通行の確保 △ ○ ◎ △ 関   係   者 目標 ・ 課題 目標 ・ 課題 目標・課題 目標・課題 目標・課題 物流条件の見直し 情 報システムの 活 用 物流条件の見直し 共同配送 荷 捌き駐 車スペー スの確保 駐車ルールの徹底 低公害車の利用 交通量の削減 対  策  の  方  向 ・使用する車両の 大型化 ・1回(軒)当たり 配送量増大 ・配送回数の削減 ・情報システムの 活用 ・配送回数の削減 ・集荷・配送時間 帯設定 ・複数の会社の配 送による輻輳の 削減 ・荷捌き専用パー キングメーター の設置 ・荷捌き車両に対 する駐車禁止除 外区間(路線)や 時間帯の設置 ・路外の荷捌きス ペース確保 ・違法路上駐車し なくてもよい集 荷・配送システ ムの開発 ・情報システムの 活用 ・CNG車など低 公害車利用 ・通行する交通量 の削減 具 体 的 な 対 策 の 内 容 ◎:非常に関心が高い ○:関心が高い △:関心がある

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03 年の 12 月に一週間と 04 年 11 月に二週間に渡って行った実証実験は全国でも初め ての試みとして,かつてない規模でスマートプレート(電子ナンバープレート)を活 用し,携帯電話(iモード)を用いた予約システム(この一連のシステム開発は株式 会社デンソーが担当)に連動させて実施し,ドライバーと今回の実験のために特別通 信回線を取得して設置された情報センターとの間で,この実証実験を踏まえて必要な 見直しを行ったのである。更に05 年 11 月名古屋市において,ITS世界会議が開催 され長者町の実験が視察対象となり,世界会議の重要なセッションの一つとなり,よ り現実的な物流効率化へのIT技術の有効活用のシステム構築を目指す機運は高まっ た。 昨年の実証実験の集計は,現時点では最終の委員会での検討会議が終わっていない ので公表は出来ないが,筆者の論文作成に対して事務局側(中部運輸局自動車部,日 通総合研究所,デンソー)からの好意的な支援と協力を頂いているので概略について は,そのデータをお借りし若干敷衍しておくことにする。様々な課題を解決しながら の委員会であり,また実験であったが,結果としてはPL(ポケットローディング) を望む事業者の声は高く,関係者間の連携もかなり円滑になっているので次回の実験 調査への期待は膨らんでいる。 次に掲載したのは,実験を行うに際しての地元の交通量調査である。現状を理解す るには何といっても,街路と駐車場などの導線の実測の必要性があるからであり,過 去のデータでは町内の該当する区域のみのものはなく,また曜日や時間的なズレをク リアーすることができないので,実験のために当該地区の最新データを作成すること にしたのである。当然の事と認識されると思うが,実験の成果を高めるためには,こ うした基本的な準備作業が不可欠であり,結果として得られるデータの客観的分析は, 今後多方面への波及性が生まれる可能性があり,地元への協力体制の方向性と基礎固 めの一環としての意義を有するからである。新しい試みを成功させるためには,県警 など関係者一同に対して実数をベースとした現状認識にいたる状況確認のプロセスを 共有しなければならないからである。次に示す表が路上駐車の実態である。 表にあるように営業用と自家用の区分をしているが,こうした結果分析の活用を前 提に,有効なPLの拠点としての駐車場の確保や導入路の安全対策,さらに適正な人 員配備についての数多くの検討がなされたのである。具体的な課題として浮上したの は,一方通行の道路の両サイドに駐車されている車があまりにも多かったという事実, またそれらが商用のものか違法駐車なのかという問題,そして実験期間中にこれらの 駐車スペースをPLとして空けることが可能なのかといった道路行政上の数々の問題 が浮上し,何よりも実験の意義とそのPRを積極的に行い,地元や行政,警察の協力 体制の確立を目指し,さらに地元の再評価と現状認識および実験によってどのように 変化していくかなどを協議して,03 年 12 月2日にマスコミ関係者を多数集めて記者会

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告—欧米豪の法制度と対比においてー』 , 知的財産の適切な保護に関する調査研究 ,2008,II-1 頁による。.. え ,

『台灣省行政長官公署公報』2:51946.01.30.出版,P.11 より編集、引用。