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「むら」の再生と集落営農 : 小規模・兼業農家による集落営農の意義を考える

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「む ら」 の 再 生 と 集 落 営 農

一小規模 ・兼業農家による集落営

  農の意義 を考 える一

竹 安 栄 子*

  危 機 に瀕 して い る 日本 農 業 の 担 い 手 と して 政 策 的 に位 置 づ け られ た集 落 営 農 に注 目が 集 ま っ て す で に10年 余 りが 経 過 した 。 こ の 間 、 集 落 営 農 の構 造 や 集 落 営 農 が 抱 え る課 題 な ど に つ い て は 、 様 々 な 立 場 か ら議 論 さ れ 多 くの 研 究 成 果 が 蓄 積 さ れ て きた 。 そ の 中 に は 、 農 業 ・農 村 政 策 に位 置 づ け られ て い る よ う に、 集 落 営 農 を 単 な る経 営 体 と捉 え る こ とは 適 切 で は な く、 集 落 営 農 の 意 義 は 「む ら」 の 再 生 の視 点 か ら論 じ られ る必 要 が あ る 、 との 見 解 が あ る。 本 稿 で は 、 まず 政 策 上 の 集 落 営 農 の 位 置 づ け を確 認 し、 集 落 営 農 の 統 計 的 分 析 に 基 づ い て類 型 化 を 試 み る 。 次 い で こ の 類 型 を 分 析 枠 組 み と して 、 兵 庫 県 北 播 磨 地 方 の 集 落 営 農 を組 織 して い る 「む ら」 の事 例 を 分 析 し、 これ に よ っ て 小 規 模 ・兼 業 農 家 地 域 に お け る 集 落 営 農 の 意 義 を 考 察 す る こ と を 目的 と して い る。 キ ー ワ ー ド:集 落 営 農 、農 業 の担 い 手 、食 料 ・       農 業 ・農 村 基 本 法 、 小 規 模 兼 業       農 家 *  京都女子大学 現代社会学部 教授 は じ め に   1999年 に 制 定 され た 「食 料 ・農 業 ・農 村 基 本 法 」 で 、 危 機 に 瀕 して い る 日本 農 業 の 担 い 手 と して 政 策 的 に 位 置 づ け られ た 集 落 営 農 に 注 目が 集 ま っ て す で に10年 余 りが 経 過 した 。 この 間 、 集 落 営 農 の 構 造 や 集 落 営 農 が 抱 え る 課 題 な ど につ い て は農 業 経 済 学 や 農 業 経 営 学 、

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農 業 開発 論 、 あ る い は 農 業 政 策 の 立場 か ら盛 ん に議 論 され 多 くの研 究 が 蓄 積 され て きた 。 そ の 中 に は 、 集 落 営 農 を法 人 組 織 に 移 行 す る まで の過 渡 的 形 態 と捉 え る政 府 の 方 針 は 集 落 営 農 の実 態 を 正 し く捉 え て い な い との 批 判 的 論 調 も少 な く な い1)。 す な わ ち集 落 営 農 組 織 は、 「む ら」2)が歴 史 的 に 作 り上 げ て きた共 同 関係 に基 礎 を置 く生 産 組 織 で あ る の で 、 単 な る経 営 体 と捉 え る こ とは 適 切 で は な く、 集 落 営 農 の 意 義 は 「む ら」の 再 生 の 視 点 か ら論 じ ら れ る必 要 が あ る、 との 見 解 で あ る 。 集 落 営 農 を経 営 体へ の移 行 形態 と捉 える のか 、 「む ら」 に根 ざ す 生 産 組 織 と して 生 活 を含 む 地 域 社 会 と一 体 で捉 え るか は、 集 落 営 農 の 政 策 的 位 置 づ け や社 会 的 評 価 、 さ ら に は集 落 営 農 そ れ 自 体 の 目的 に も関 わ る 問 題 で あ る 。 また 、 認 定 農 業 者 に な りえ な い小 規 模 経 営 者 層 の 農 業 経 営 に果 た す 役 割 を評 価 し、 農 業 政 策 よ り農 村 政 策 と して 農 業 構 造 改 革 を考 え る こ との 必 要 性 は様 々 な 立 場 か ら主 張 さ れ て い る(例 え ば、 安 藤,2005:1-2蔦 谷,2006:30-43森 本,2004:96-100)。 本 稿 は 、 集 落 営 農 の政 策 上 の位 置 づ け を確 認 し、 集 落 営 農 の 現 状 を 統 計 的 に 分 析 した 上 で 、 兵 庫 県 北 播 磨 地 方 の 集 落営 農 を組 織 して い る 「む ら」 の 事 例 の 検 討 を 通 して 小 規 模 ・兼 業 農 家 地域 にお け る集 落 営 農 の 意 義 を考 察 す る こ とを 目的 と して い る。 1  集 落 営 農 の 展 開 過 程 1-1  集 落 営 農 の 展 開 過 程 農 地 改 革 以 後 、 日本 農 政 の根 幹 で あ っ た 自 作 農 主 義3)は 、 経 営 規 模 の拡 大 を推 進 す る た め1970年 に農 地 法 が 改 正 され 、 農 地 利 用 者 を 中心 に 置 い た 農 地 耕 作 者 主 義 へ と変 化 を 遂 げ た(石 原,2008:220-223)。 しか し1980年 代 に入 っ て も借 地 型 経 営 に よ る規 模 拡 大 は 思 う よ うに 進 まず 、 一 方 、 総 兼 業 化 と もい え る 状 況 が急 速 に広 が る 中 で 、 集 落 等 の 地 縁 関係 に 基 礎 を置 き な が ら土 地 利 用 や 営 農 を実 施 す る 集 落 営 農 が 重 視 され る よ う に な つ た 。1980年 代 半 ば に な っ て 転 作 が 一 層 強 化 され 、 ま た そ れ まで 農 業 の 主 た る担 い 手 で あ つ た 「昭和 一 ケ タ世 代 」 の 高 齢 化 が 進 展 す る に 伴 っ て4)、 転 作 地 の 集 積 に よ る作 業 の 効 率 化 が 急 務 と な り、 土 地 利 用 の 調 整 組 織 と して 集 落 営 農 が 一 層 注 目 され る よ う に な っ た 。 日本 の 水 田 農 業 の特 徴 で あ る 零 細 分 散 錯 圃 制 の も とで は 、 農 地 の 合 理 的 利 用 の た め に 集 落 営 農 に基 づ く合 理 的 な土 地 利 用 秩 序 の 形 成 が 重 要 か つ 緊急 の 課 題 で あ っ た5)。   しか し国 の 施 策 で 集 落 営 農 が 農 業 の 担 い 手 と して 取 り上 げ られ る よ う に な る に は ま だ し ば ら く時 間 を要 した。 『農 業 白書 』 で は1989年 に 集 落 営 農 に 関 す る記 述 が 見 られ るが 、 見 出 し に 「集 落 営 農 」 が 登 場 す る の は1998年 が 最 初 で あ る。 そ して こ の 翌 年 に 日本 の 農 業 政 策 を大 き く転 換 す る 「食 料 ・農 業 ・農 村 基 本 法(以 下 「新 基 本 法 」 と略 記)」 が 成 立 した。 1-2  「食 料 ・農 業 ・農 村 基 本 法 」 と新 し       い 担 い 手 政 策  担 い 手 政 策 な い しは 農 業 構 造 政 策 は、1961 年 に制 定 さ れ た 「農 業 基 本 法 」(「旧 基 本 法 」

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「む ら」 の再生 と集 落営 農 23 と略 記)に お い て も最 重 要 課 題 で あ っ た。 し か し 「旧 基 本 法 」 が 育 成 を 目指 した 個 別 自立 経 営 を 中 心 とす る 選 択 的拡 大 に よ る農 業 構 造 の 改 革 は ほ と ん ど進 ま な か っ た 。1999年 に 制 定 さ れ た 「新 基 本 法 」 は 、 農 業 構 造 改 革 とい う 「旧 基 本 法 」 の 課 題 を そ の ま ま引 き継 ぎな が らそ の 基 本 的性 格 に お い て大 き く変 容 して い る。 転 換 点 の 一 つ は 、 農 業 者 優 先 の 農 政 か ら消 費 者 も視 野 に 入 れ た 消 費 者 重 視 の農 政 へ の 変 質 で あ り、 も う1点 は 「旧 基 本 法 」 に お け る 公 共 福 祉 の 実 現 か ら市 場 原 理 の 重 視 へ と い う根 本理 念 の 転換 で あ る(小 池,2008:103-105)。 同 時 に 「新 基 本 法 」 で は 、 農 業 の担 い 手 と して 「旧 基 本 法 」 の 家 族 農 業 経 営(個 別 自立 経 営)に 加 え て 農 業 経 営 の 法 人 化 を 初 め て掲 げ た。 この 節 で は、 「新 基 本 法 」 が 意 図 す る農 業 経 営 の 法 人 化 を 実 態 に照 ら して どの よ うに 評 価 で きる か を検 討 す る の に 先 立 つ て 、 新 しい 担 い手 政 策 を 「新 基 本 法 」 の 枠 組 み に 位 置 づ け て考 察 す る。   「新 基 本 法 」 は農 業 が 果 た す 役 割 と して 、 食 料 の 安 定 供 給 の 確 保(第 二 条)に 加 え て 、 多 面 的 機 能 の発 揮(第 三 条)を 掲 げ 、 この 役 割 を果 た す た め に は何 よ り も農 業 の持 続 的 な 発 展 が 図 られ な け れ ば な ら な い と して い る (第 四条)。 そ して こ の 持 続 的 発 展 を可 能 にす る 条 件 と して 、 ① 農 業 資 源 と農 業 の担 い 手 の 確 保 、 ② 望 ま しい 農 業構 造 の 確 立 、 ③ 農 業 の 自然 循 環 機 能 の 維 持 増 進 の3点 を あ げ(第 四 条)、 さ ら に農 村 を農 業 の持 続 的 発 展 の 基 盤 と 位 置 づ け、 農村 の 振 興 が 図 られ な け れ ば な ら な い と して い る(第 五 条)。 そ れ で は 「新 基 本 法 」 で 持 続 的発 展 の 条 件 と され て い る 農 業 の 担 い 手 と望 ま しい 農 業 構 造 は どの よ う に 法 定 され て い るの で あ ろ うか 。 「第 三 節   農 業 の 持 続 的 な発 展 に 関 す る施 策 」 の 中 で 、 望 ま しい 農 業 構 造 を 、 「効 率 的 か つ 安 定 的 な 農 業 経 営 」 (第二 十 一 条)と し、 続 く第 二 十 二 条 は 「専 ら 農 業 を営 む 者 等 に よる 農 業 経 営 の 展 開 」 と表 題 が 附 さ れ て 次 の よ う な 条 文 とな っ て い る。   「国 は、専 ら農 業 を営 む者 そ の他 経 営意 欲 の ある農 業者 が創 意 工夫 を生 か した農 業経 営 を展 開で きる よ うにす る こ とが 重 要 であ る こ とにか んがみ 、経 営 管理 の 合理 化 そ の他 の経 営 の発展 及 びそ の円 滑 な継承 に資 す る条件 を 整備 し、 家族 農業 経 営 の活性 化 を図 る と とも に、 農業 経営 の法 人 化 を推 進す るた め に必要 な施 策 を講ず る もの とす る。」(第 二十 二 条)   この よ うに 、 「新 基 本 法 」 に お い て も 「効 率 的 で 安 定 的 な 農 業 経 営 」 の 主 た る 担 い 手 は 「家 族 農 業 経 営 」 と捉 え られ て い るが 、 こ れ に 続 く第 二 十 五 条 の 「人 材 の育 成 及 び 確 保 」、 第 二 十 六 条 「女 性 の 参 画 の 促 進 」、 第 二 十 七 条 「高 齢 農 業 者 の 活 動 の促 進 」 にみ られ る よ う に 多 様 な担 い 手 の 確 保 を提 起 して い る こ とが わ か る。 さ ら に、 第 二 十 八 条 で は 「農 業 生 産 組 織 の 活 動 の 促 進 」 と題 して 次 の よ うな 条 文 と な っ て い る 。   「国は、 地域 の 農業 に お け る効 率 的 な農 業 生 産の確 保 に資 す る ため 、集 落 を基礎 と した 農 業者 の組 織 その他 の 農業 生 産活 動 を共 同 し て 行 う農業 者 の組織 、 委 託 を受 けて 農作 業 を

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行 う組 織等 の活 動 の促進 に必 要 な施策 を講ず る もの とす る。」(第 二十 八条)   以 上 の よ うに、 「新 基 本 法 」 に は新 しい担 い 手 の あ り方 と して 、 ① 「家 族 農 業 経 営 」 の 育 成 を主 流 と しな が ら も、② 新 規 就 農 者 や 女 性 、 高 齢 者 な どの 多 様 な担 い 手 の 確 保 、 そ して ③ 集 落 を基 盤 と した多 様 な 農 業 生 産 組 織 の 活 性 化 と経 営 の 法 人 化 とい う3つ の方 向性 が 示 さ れ て い る 。 しか し、 と りわ け2007年 の 「品 目 横 断 的経 営 安 定 対 策 」 の 本 格 実 施 に よ って が ぜ ん 関心 を集 め た の は 、 農 政 が 主 要 な 担 い 手 とす る 「家 族 農 業 経 営 」 で は な く農 業 生 産 組 織=集 落 営 農 で あ っ た 。   2005年 に 閣 議 決 定 され た 「食 料 ・農 業 ・農 村 基 本 計 画 」 を受 け て2007年 度 よ り本 格 実 施 とな っ た 品 目横 断 的経 営 安 定 対 策 で は 、 一 定 規 模 以 上 の 認 定 農 業 者(個 人 ・法 人)(原 則 、 北 海 道10ha以 上 、 都 府 県4ha以 上)と 一 定 要 件 を み た す 集 落 営 農 の み が 土 地利 用 型 農 業 の 「担 い 手」 と認 定 され 、 これ ら 「担 い 手」 だ け が 政 策 の 支 援 対 象 経 営 体 と して 絞 り込 まれ る こ とに な つ た。2008年 度 か らは 品 目横 断 的 経 営 安 定 対 策 の 骨 格 は そ の ま ま で あ るが 、 一 定 規 模 以 上 とい う要 件 を事 実 上 な くして 水 田 ・ 畑 作 経 営 所 得 安 定対 策 と名 前 を 変 えて 実 施 さ れ た 。   さ ら に2010年 に 決 定 さ れ た 「2010年食 料 ・ 農 業 ・農 村 基 本 計 画 」 で は 、 民 主 党 の 農 業 政 策 を反 映 して 農 政 の 大 きな転 換 が 図 られ た。 本稿 に関 わ る転 換 点 と して は 次 の2点 を挙 げ る こ とが 出 来 る。 第1点 は 、 実 態 と して 農 業 の 担 い 手 の 大 多 数 を 占 め て い る兼 業 農 家 や 小 規 模 経 営 が 日本 農 業 で 果 た す 役 割 を一 定 程 度 評 価 し、 「兼 業 農 家 や小 規 模 経 営 を含 む 意 欲 あ るす べ て の 農 業 者 」(農 林 水 産 省,2010:4) と表 記 し、 担 い手 の 多 様 性 を基 本 計 画 の 前 提 に据 え た こ とで あ る 。 さ ら に 第2点 と して 、 「『望 ま し い農 業 構 造 の 実 現 』 を 目指 し、 認 定 農 業 者 や 集 落 営 農 の 育 成 、 … が 講 じ ら れ て き た。 これ ら の施 策 は、 国 内 農 業 の体 質 強 化 を 急 ぐあ ま り、 対 象 を一 部 の 農 業 者 に 重 点 化 し て集 中 的 に実 施 す る手 法 を採 用 して い た。」(農 林 水 産 省,2010:5)と2005年 の 基 本 計 画 を 反省 し、 「大 規 模 効 率化 を 目指 す 農 業 者 も、 規 模 が 小 さ くて も加 工 や販 売 に取 り組 む こ と等 に よ り特 色 あ る 経 営 を展 開 す る 農 業 者 も、 そ れ ぞ れ が 創 意 工 夫 を 活 か し な が ら営 農 を 継 続 ・発 展 させ る こ と が で き る よ う、 現 場 の 主 体 的 判 断 を尊 重 し た多 様 な努 力 ・取 り組 み を 支援 す る施 策 を展 開 して い く こ と とす る 。 ま た 、 女 性 や 高 齢 者 の役 割 が 適 切 に発 揮 され る よ う条 件 整 備 を図 っ て い くこ と とす る 。」(農 林 水 産 省,2010:5-6)と 、 戦 後 一 貫 して 農 政 が 追 求 して き た大 規 模 経 営 だ け で は な く 多 様 な経 営 形 態 の あ り方 を認 め た 点 に あ る。   以上 の よ うに大 き く転 換 した 「2010年食料 ・ 農 業 ・農 村 基 本 計 画」 に基 づ き、2010年 度 よ り 「戸 別 所 得 補 償 制 度 」 が 導 入 され 、 施 策 の 支 援 対 象 の 制 限 は撤 廃 され た。 しか し 「新 基 本 法 」 で示 され た 「効 率 的 か つ 安 定 的 な 農 業 経営 」(第 二 十 一 条)の 推 進 と農 業 経 営 の 法 人 化 方 針 は そ の ま ま で あ り、 主 た る担 い 手 は 認 定 農 業 者 で あ る こ とに 変 わ りは な い。 しか る

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「む ら」 の再 生 と集 落営 農 25 に 認 定 農 業 者 の 数 は1995年 の1万9000人 か ら 2010年 に は24万9000人(う ち法 人 は1万4千) へ と毎 年 増 加 し て い る が(農 林 水 産 省,2010)、 全 国 の 販 売 農 家 に 占 め る認 定 農 業 者 の 割 合 は 約1割 に過 ぎ な い(農 林 水 産 省 経 営 局 経 営 政 策 課,2010)。 そ の 耕 作 面 積 も全 農 地 の約3分 の1で あ る 。 そ こ で 、 小 規 模 農 家 や 、 兼 業 農 家 、 高 齢 者 な ど大 多 数 の 認 定 農 業 者 以 外 の 農 業 者 が 参 加 す る 集 落 営 農 組 織 に注 目が 集 ま る こ とに な る。 五  集落 営農 と地域差  各 地で組織化 が進展 して いる集落営農組織 は、 「新 基本法」 に謳われてい るように 「集落 を基礎 とした農業者 の組織」(第二十八条)で あるため 、その組織 形態 は基礎 となる集落が 位 置す る地域 の 自然 的環境 とその環境 の中で 形 成 され て き た農 業 構 造 、 さ らに 集 落 の 社 会 構 造 に規 定 され た もの とな る。 そ の 結 果 、 集 落 営 農 は 、 上 で 指 摘 した担 い手 の 多 様 性 の他 に も集 落 の 諸 条 件 に よ っ て 多 様 な組 織 形 態 を と る。 本 節 で は 集 落 営 農 の 実 態 調 査 結 果 の 検 討 を通 して 、 農 業 地 域 別 に集 落 営 農 の 実 態 を 把 握 す る6)。 ll-1  集 落 営 農 数 の 推 移   表ll-1に 実 態 調 査 実 施 以 降 の 集 落 営 農 数 の 推 移 を示 した。集 落 営 農 数 は 、2010(平 成22) 年2月1日 現 在 で1万3577で あ り、 地 域 別 に 見 る と、 東 北 、 九 州 、 北 陸 の3地 域 で 集 落 営 農 数 が 多 い 。 調 査 開 始 年 の2005年 と 比 べ て 3,514(34.9%)増 加 し て い る。 農 業 地 域 別 の 推 移 をみ る と、 北 海 道 で107(△27.0%)減 少 して い る の を除 き、 全 地 域 で 増 加 して い る 。 表 豆一1  集 落営 農数 の 推移 年 次 全 国 北 海 東 北 北 陸 関東 ・東 山 東 海 近 畿 中 国 四 国 九 州 2005年     2006年     2007年     2008年     2009年     2010年 10063   396 1624 1912   463   753 1585 1586   193 1545 10481   357 1792 1953   485   776 1606 1589   242 1675 12095   324 2170 2042   772   823 1600 1646   316 2396 13062   320 2825 2063   863   790 1704 1685   336 2470 13436   289 2981 1079   908   787 1767 1726   368 2525 13577   289 2997 2089   936   790 1771 1759   378 2562 単位:集 落営 農数 、% 増 加 率 (10/05)   34.9 △27.0   84.5   9.3 102.2   4.9   11.7   10.9   95.9   65.8 組織率 9.8 3.9 17.0 18.9 3.8 6.8 16。3 8.9 3.4 10.4 資料:農 林水 産省 『集 落営 農 実態 調査 報告 』、  『農 林業 セ ンサ ス』 備考:組 織率 は2010年 集 落営 農数/集 落数 であ る。

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しか し増 加 の 割 合 は 地 域 に よ つ て 大 き く異 な る。 東 北 で1,373と 最 も増 加 して お り、 次 い で 九 州 が1,017、 関 東 ・東 山 が473増 加 して い る。 増 加 率 で み る と、 も っ と も増 加 率 が 高 い の は 関東 ・東 山 の102.2%、 次 に 四 国が95.9%、 東 北 が84.5%増 加 し た 。 これ に対 して 、 東 海 (4.9%)、 北 陸(9.3%)は 増 加 率 が 低 い。 集 落 営 農 数 で み る と、 東 北 、 北 陸 、 九 州 の3農 業 地 域 で 集 落 営 農 総 数 の 半 分 以 上 を 占 め て い る 。2005年 ま で は 生 産 組 織 へ の 参 加 率 が 高 い (田代,2006:247-248)と され て い た 近 畿 と 中 国 は 、 そ の 後 集 落 営 農 数 が 伸 び 悩 み 、2010 年 に は 東 北 や 九 州 と 大 き く差 が 開 くこ と と な つ た 。   以 上 の 推 移 を経 て 集 落 営 農 の2010年 の組 織 率 は全 国平 均 で9.8%で あ つた 。 地域 別 に 見 る と東 北(17.0%)、 北 陸(18.9%)、 近 畿(16.3%) で 高 く、 北 海 道(3.9%)、 四 国(3.4%)が 著 し く低 い。 また 九 州 が こ の5年 間 の集 落 営 農 の 増 加 に よ っ て そ の組 織 率 も上 が りつ つ あ る (10.4%)o 皿一2  集 落 営 農 の地 域 差   集 落 営 農 の 組 織 率 や 増 加 率 に 地 域 差 が あ る こ と を示 した が 、 次 に集 落 営 農 の 組 織 構 造 の 地域 差 を、組 織 形 態(法 人 か任 意 団体 か)、 集 落 営 農 の担 い 手 、 活 動 内 容 の3点 につ い て 分 析 す る。 (1)組 織 形 態   「新 基 本 法 」 で は 農 業 経 営 組 織 の法 人 化 の 促 進 を政 策 方 針 と して 掲 げ て い るが 、 集 落 営 農 の 法 人化 は 現 実 に どの 程 度 進 ん で い る の で あ ろ う か 。 表ll-2に 示 した よ う に 、 法 人 化 した集 落 営 農 数 の割 合 は年 々 増 加 して い る も の の2010年 で 全 体 の15%に 過 ぎ な い。 た だ法 人 化 率 に は 明 らか に 地 域 差 が 認 め られ る 。 す 表1-2  法 人 数 の 推 移(2010年) 年次 全 国 北海 道 東 北 北 陸 関東 ・東 山 東 海 近 畿 中 国 四 国 九 州 2005年 646(6.4)   26(6.6)   98(6.0) 201(10,5)   33(7.1)   44(5.8)   29(1.8) 159(10.0)   7(3.6)   49(3.2) 2006年 842(8.0)   26(7.3) 117(6.5) 261(13,4) 54(11.1)   65(8.4)   40(2.5) 190(12.0)   13(5.4)   76(4.5) 2007年 1233(10.2)   26(8.0)   170(7,8) 384(18.8)   77(10。0)   77(9.4)   53(3.3) 237(14.4)   37(11.7)   172(7.2) 2008年 1596(12.2)   29(9.1)   244(8.6) 517(25.1)   99(11.5)   85(10.8)   73(4.3) 299(17.4)   48(14.3)   202(8.2) 単位:法 人数(%) 2009年 1802(13.4)   33(11.2)   271(9.1) 563(27.1) 108(11.9)   88(9.7)   94(5.3) 366(21.2)   53(14.4)   226(9.0) 2010年 2038(15.0)   31(10,7) 307(10.2) 600(28.7) 137(14.6)   96(12.2)   119(6.7) 421(23.9)   61(16.1) 266(10.4) 資料:農 林 水 産省 『平 成22年  集 落営 農実態 調査 報告』

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「む ら」 の再生 と集 落営 農 27 な わ ち 、 北 陸 と中 国 は2005年 時 点 で す で に 法 人化 率 が10%を 超 え て お り、2010年 に は 北 陸 が28.7%、 中 国 は23.9%と 他 地 域 に比 較 して 一 段 と高 い割 合 と な っ て い る。 法 人数 も同 様 に こ の2地 域 が 抜 きん 出 て 多 く、北 陸(600法 人)と 中 国(421法 人)の 合 計 で 全 国 の 法 人 数 の5割 以 上 を 占 め て い る。 一 方 、 近 畿 地 方 は 法 人 化 割 合 が も っ と も低 く、2010年 に よ うや く5%を 超 え た もの の 未 だ6.7%に 過 ぎな い 。 (2)集 落 営 農 の 担 い 手   地 域 差 が よ り際 立 つ 項 目は 表H-3に 示 し た 集 落 営 農 の 担 い 手 で あ る。 「新 基 本 法 」 の 「専 ら農 業 を営 む者 」 で あ る認 定 農業 者が い る 集 落 営 農 の 比 率 は 、 全 国平 均 で は64.3%で あ り、 半 数 以 上 の集 落 営 農 が 認 定 農 業 者 を擁 し て い る(表ll-3参 照)。 「集 落 営 農 に認 定 農 業 者が い る」割合 が高 い地域 は、北 海道(96.9%)、 東 北(88.5%)、 関東 ・東 山(79.1%)、 九 州 (85.1%)で あ る7)。一 方 、 近 畿(32.2%)と 中 国(36.7%)は 全 国 平 均 を大 き く下 回 っ て 著 し く低 い 割 合 とな っ て い る。   次 の 「主 た る従 事 者 」 で あ る が 、 認 定 農 業 者 の い る 集 落 営 農 の 割 合 が 低 か っ た 近 畿 (36.3%)と 中 国(41.6%)で 、 「主 た る従 事 者0人 」 の 集 落 営 農 の 比 率 が 高 くな っ て い る。 「主 た る従 事 者 」 が0人 の 集 落 営 農 は、 同 時 に 認 定 農 業 者 も い な い 集 落 営 農 を意 味 して い る 。 す な わ ち 近 畿 の 集 落 営 農 の 特 徴 は 、 法 人 化 率 が 低 く、 認 定 農 業 者 や 「主 た る従 事 者 」 もい な い集 落 営 農 が 全 国 で も っ と も高 い 割 合 を 占 め て い る と い う こ と で あ る。 次 節 で 取 り上 げ る北 播 磨 地 域 の 集 落 営 農 の よ う に、 「専 ら農 業 を営 む 者 」 が い な い 集 落 が な ん とか 農 業 経 営 を継 続 して い きた い と考 え て 組 織 した 集 落 営 農 が 多 い 結 果 と い え よ う8)。た だ 「専 ら農 業 を営 む 者」 が い ない とい う こ とは 、「新 基 本 法 」 表 皿一3  認定 農業 者 と主 た る従事 者(2010年) 全 国農業  地 域 全 国 北 海 道 東 北 北 陸 関東 ・東 山 東 海 近 畿 中 国 四 国 九 州 認 定 農業 者   が い る 集落 営 農 64.3 96.9 88.5 47.4 79.1 50.8 32.2 36.7 69.0 85.1 0人 21.3 16.3 12.2 18.5 9.3 21.4 36.3 41.6 18,5 15.3 1人 23.0 17.3 15.1 40.0 20,8 13.0 24.3 14.4 19.3 28.4 主 た る従事 者 数別割 合 2人 10.9 1.0 16.7 10.6 8.5 11.1 6.8 6.2 10.3 12.5 3人 10.8 7.6 16.9 7.8 8.7 8.1 8.4 8.6 13.0 11.0 4人 5.7 6.6 7.7 4.1 5.4 11.1 3.2 4.7 9.0 5.2 単 位:% 5人 以上 28.3 51.2 31.4 19.1 47.2 35.2 21.0 24.6 29.9 27.7 資 料:農 林水 産 省 『平成22年   集落 営農 実態 調査 報告 』

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が 望 ま しい 担 い手 の も う 一 つ の 要 件 と考 え る 「創 意 工 夫 を生 か した農 業 経 営 」(第 二 十 二 条) を して い な い とい う こ と を 意 味 しな い。 この 点 に つ い て はIV節 で 事 例 を示 して 述 べ る こ と に す る。 (3)活 動 内 容   表ll-4に 集 落 営 農 の活 動 内 容 を掲 げ た 。 「農 産物 等 の生 産 ・販 売 」 に取 り組 む集 落 営 農 の割 合 は 地 域 に よ って は っ き り と2分 され て い る 。 取 り組 み 割 合 の 高 い 地 域 は北 海 道 を除 く東 日本 の 各 地 域 、 東 北(75.3%)、 北 陸 (79.6%)、 関 東 ・東 山(77.1%)と 九 州 (65.8%)で あ る。 他 方 、 取 り組 み 割 合 が 低 い 地 域 は 、 九 州 を 除 く西 日本 の3つ の地 域 、 近 畿(53.9%)、 中 国(47.2%)、 四 国(45.5%) と、 さ らに北 海 道(25.6%)が 著 し く低 い 。   「機 械 の 共 同所 有 ・共 同 利 用 」 は全 国 平 均 が79.8%で あ り、 各 地 域 別 に 見 て も高 い 割 合 で 取 り組 まれ て い る こ とが わか る。 「防 除 ・収 穫 等 の 農 作 業 受 託 」 は全 国 の 約5割 の 集 落 営 農 が 取 り組 ん で い る 。 地 域 別 に は 北 海 道 (39.1%)と 北 陸(39.6%)が や や低 く、 東 海 と西 日本 の 全 て の 地 域 で や や 高 くな っ て い る。 「農家 の 出役 に よ り共 同 で 農作 業 」 に 従事 して い る集 落 営 農 の割 合 が高 いの は北 海 道(52.2%)、 北 陸(62.4%)で あ り、 四 国(25.4%)が もっ と も低 い割 合 と な つ て い る。 「集 落 内 の 土 地 利 用 調 整 」 は 全 国 の6割 以 上 の 集 落 営 農 で 取 り 組 ま れ て い る が 、 北 海 道(13.8%〉 と 中 国 (42.0%)、 四 国(30.7%)の3地 域 が 低 い 。 す な わ ち 、 機 械 の 共 同使 用 ・利 用 と集 落 内 の 土 地 利 用 調 整 に よ る 団 地 化 が 現 在 の 集 落 営 農 の主 要 な機 能 とい え る。 そ の 一 方 で 、 「集 落 内 の 農 地 を一 括 管 理 ・運 営 して い る」 集 落 営 農 は全 国 平 均 で3割 に満 た な い。 集 落 営 農組 織 を 地域 経 営 シ ス テ ム と捉 え 「地 域 を支 え る 集 表ll-4  活 動 内 容:複 数 回 答(2010年) 全 国農 業   地域 全 国 北海 道 東 北 北 陸 関東 ・東 山 東 海 近 畿 中 国 四 国 九 州 農産物 等 の 生 産 ・販売 64.2 25。6 75.3 79.6 77.1 45.7 53.9 47.2 45.5 65.8 農 産物等 の生 産 ・販 売 以外 の活 動 機 械 の共 同所 有 ・共 同利用 79.8 91.0 70.1 86.5 84.9 65.2 80.9 88.4 73.5 81.3 防除 収穫等の 農作業受託 49.9 39.1 46.2 39.6 44.7 56.3 57.4 55.5 56.1 53.7 農家の出役 により 共同で農作業 45.1 52.2 49.0 62,4 41.7 39.2 46.9 41.0 25.4 33.1 集落 内 の土 地利 用調 整 63.2 13.8 72.4 72.2 65.6 77.7 70.1 42.0 30.7 61.2 単 位:% 集 落 内 の農 地 を 一 括 管理 ・運営   してい る 27.6 19.7 28.1 35.3 32.1 28.9 23.7 27.6 14。8 24.4 資料:農 林水 産省 『平 成22年   集落営 農実 態調査 報告 書』

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「む ら」の再 生 と集 落営 農 29 落 営 農 」 の組 織 化 を 支 援 す る 楠 本 雅 弘 は 、 農 地 を地 域 の 共 同財 産(社 会 的 共 通 資 本)と 位 置 づ け、 多 様 な住 民 が 参 加 す る シ ス テ ム こ そ 集 落 営 農 の 本 質 で あ り、 そ れ 故 に こ そ 集 落 営 農 は 「む ら」 の 再 生 に 有 効 に 機 能 す る と説 い て い る。 そ の 楠 本 に よ る と 「集 落 内 の 農 地 を 一 括 管 理 ・運 営 」 す る こ とは 集 落 営 農 の 本 質 的 な 機 能 で あ る の だ が(楠 本,2006:は じめ に2楠 本,2010:第1章3)、 こ れ を果 たす 集 落 営 農 が3割 弱 とい う こ と は、 まだ 集 落 営 農 の 機 能 上 の 展 開 は 未 成 熟 な段 階 に あ る と い う見 方 も出 来 る で あ ろ う。 近 畿 地 域 の 集 落 営 農 の 活 動 傾 向 を こ の 表 か ら読 み 取 る と、 集 落 内 の 土 地 利 用 調 整 は7割 が 行 っ て い るが 、 そ れ 以 外 に は 機 械 の 共 同所 有 ・共 同 利 用 を主 要 活 動 と して 組 織 され て い る集 落 営 農 が 多 数 を 占め て い る と理 解 され る 。   以 上 、 『集 落 営 農 実 態 調 査 報 告 書 』に基 づ き、 集 落 営 農 の 現 状 を そ の 地 域 差 に 着 目 して 分 析 して きた 。 そ の結 果 、 と りわ け 近 畿 地 域 で は 基 幹 的 農 業 者 を 欠 く集 落 で 、 農 業 機 械 の 共 同 所 有 ・共 同 利 用 を 目的 と して 組 織 され て い る 集 落 営 農 が 多 数 を 占め て い る こ とが 明 らか と な っ た 。 こ れ らの 集 落 営 農 で は 、 法 人 化 が 遅 々 と して 進 ん で い な い こ と か ら も分 か る よ う に、 「新 基 本 法 」 が 目指 す 経 営 体 と して の 方 向 性 を必 ず し も志 向 して い る とは 限 ら な い 。 で は近 畿 地 域 に 多 くみ られ る小 規 模 ・兼 業 農 家 に よ っ て 組 織 され た営 農 組 合 が どの よ うな 機 能 を果 た して い る の で あ ろ う か 。 こ の 点 を 検 討 す る た め の 分 析 枠 組 み と して 次 節 で は 集 落 営 農 の 類 型 を検 討 す る 。 皿  集 落 営 農 の 類 型 化   集 落営 農 の 地 域 差 に 着 目 して 集 落 営 農 の 類 型 化 が 試 み られ て い る 。 そ の 中 で よ く知 られ て い る もの の一 つ に、 楠 本 に よ る北 陸 平 野 型 、 中 国 山 地 型 、 東 北 型9)が あ る(楠 本,2006: 16-18)。 ま た 田代 は 、 安 藤 の 東 日本 の 「少 数 の 有 志 の 担 い 手 に よ る 営 農 組 合 」 と西 日本 の 「集 落 ぐる み型 」 の 区 分 と 同一 の 認 識 に 立 って 、 東 日本 な か ん ず く東 北 地 方 に よ くみ られ る少 数 の本 家 あ とつ ぎ層 に よ る 「ワ ンマ ンフ ァー ム 連 合 」 と 、 富 山 か ら 中 国 地 方 に 共 通 す る 「地域(集 落)ぐ るみ 組 織 」 の二 つ の 類 型 を設 定 して い る(田 代,2006a:253-258)。 これ らは 実 態 と して の 集 落 営 農 の 特 徴 に 着 目 して 設 定 され た類 型 で あ るが 、 この2類 型 に つ い て 田代 自 身が 「生 産 組 織 や 集 落 営 農 に は 明 ら か に 地 域 差 が あ る。 そ し て 地 域 差 と して 析 出 さ れ た 類 型 は 、 そ の他 の 地 域 に も散 見 され る の で 、 そ の 意 味 で は 地 域 差 を超 え る類 型 差 と み る こ とが で きる 。」(田 代,2006:253)と 述 べ て 、 こ の類 型 を理 念 型 と して 用 い る こ と を 提 案 して い る 。 確 か に 前 節 で 示 した よ う に、 統 計 的 に捉 え る と集 落 営 農 に は 明 確 な 地 域 差 が 存 在 して い る 。 そ れ らの 差 異 の い くつ か は 地 域 の 歴 史 的 ・経 済 的 ・社 会 的 要 因 に 規 定 さ れ て 現 出 した と理 解 さ れ る が 、 これ らは あ く ま で も地 域 的 傾 向 で あ つ て 、 傾 向 に一 致 しな い事 例 も 当 然 存 在 して い る 。 そ う い う意 味 で は 金 沢 の 「地 域 特 性 と か 地 域 の 個 性 の 意 義 を 多 くの 人 々 は 重 視 す る よ う に な っ た とい わ れ る が 私 は疑 わ しい と思 う。 日本 農 業 の 現 実 を み れ ば ど こ で も、 地 域 性 は そ の 意 義 を 希 薄 化

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して い る。」(金 沢,2004:7)と の 見 解 は妥 当性 を持 つ とい え よ う。   楠 本 や 田代 の 実 態 か ら折 出 す る類 型 化 の 試 み と は異 な り、 筆 者 は集 落 営 農 で行 う共 同 の 生 産 活 動 内容 か ら類 型 化 を試 み て い る(竹 安, 2010:25-26)。 類 型 化 の 基 軸 に は小 林 恒 夫 が 指 摘 す る集 落 営 農(小 林 は 「営 農 集 団 」 とい う語 を用 い る)の3つ の協 働 生 産 活 動(① 栽 培(技 術)協 定 、 ② 共 同 利 用 、 ③ 共 同 労 働) の 共 同 化 の 有 無 を用 い た(小 林,2005:8-11)。 す な わ ち 、小 林 の指 摘 に したが って 集 落 営 農 の 協 働 内 容 を整 理 す る と以 下 の よ う に な る。 ① 栽 培(技 術)協 定:水 稲 作 に つ い て い え ば、   複 数 農 家 が 同 一 水 系 内 の 品 種 、 栽 培 時 期 お   よ び水 管 理 を統 一 して 作 物 別 団 地 の 形 成 を   行 な う こ とで あ り、 これ に よ つ て 水 稲 の 単   収 の増 加 と機 械 利 用 効 率 の上 昇 を図 る も の   で あ る 。 ② 共 同利 用:労 働 手 段 儂 業 用 機 械 や 施 設)   の 集 団 的 利 用 で あ る 。 小 林 は この 点 につ い   て、 機 械 や 施 設 の大 型 化 が 進 む の に対 して、   農 業 経 営 の 規 模 の 零細 性 が そ れ に対 応 し き   れ な い と こ ろ に労 働 手 段 の 共 同 利 用 の 形 成   要 因 を 求 め る こ とが 出 来 る 、 と指 摘 して い   る。 さ ら に共 同利 用 に も 、構 成 員 の 出役 に   よ る協 業(共 同作 業)を 伴 う場 合 と、 農 家   間協 業 を伴 わ な い 「持 ち 回 り共 同 利 用 」 の   形 態 を区 別 して い る。 ③ 共 同 労 働:複 数 農 家 に よ る 労 働 力 利 用 に お   け る 集 団 的 対 応 で あ る。 こ れ は 「ゆ い」 の   よ うな 個 々 の農 家 間 で の伝 統 的 な家 族 協 業   とは 異 な り、 複 数 の 農 家 間 で の 協 業 で あ る   とい う点 に特 徴 が あ る 。   以 上 の 集 落 営 農 の 協 働 内 容 よ り、 集 落 営 農 の類 型 と して 理 論 的 に は 、 類 型1:① ∼ ③ の 3つ の 共 同 の全 て を実 施 、 類 型H:① と② の 共 同 、 類 型 皿:② と③ の 共 同、 類 型IV:① と ③ の 共 同 、 類 型V:① の 共 同 の み 、 類 型VI: ② の 共 同 の み 、 類 型va:③ の 共 同 の み 、 の6 類 型 を設 定 す る こ とが 可 能 で あ る。 しか し、 前 節 で 見 た よ う に、 農 業 機 械 の 共 同利 用 は 全 国 の 約8割 の 集 落 営 農 で 実 施 され て い る とい う実 態 を考 え る と、 農 業 用 機 械 の 共 同 利 用 を 伴 わ な い集 落 営 農(類 型IV、 類 型V、 類 型W) を類 型 化 す る の は 実 際 的 意 味 を余 り持 た な い。 また 、 共 同労 働 が 可 能 に な る に は何 らか の 栽 培 協 定 の 実 施 が 前 提 と な る の で 、 類 型 皿 も現 実 に は想 定 しが た い 。 さ らに 農 業 用 機 械 の 共 同 利 用 に は 、 協 業 を伴 う場 合(す な わ ち ③ 共 同 労 働 を伴 う類 型1)と 、 協 業 を伴 わ な い 類 型llが あ り、 後 者 は さ ら に 「農 家 に よ る持 ち 回 り利 用 」 と 「共 有 機 械 の 操 作 を農 家 が 集 団 的 に特 定 個 人(オ ペ レー タ ー)に 委 託 す る」 場 合 の2類 型 に細 分 され る。 以 上 の 点 を考 慮 に入 れ 、 実 態 に即 して 集 落 営 農 類 型 を 再 設 定 す る と以 下 の5類 型 に な る。   類 型1:① 栽 培 協 定 、 ② 農 業 用 機 械 や 設 備       の 共 同利 用 、 ③ 共 同 労 働 の3点 を       実 行 す る形 態 。   類 型ll-a:① 何 らか の 栽 培 協 定 が取 り結       ば れ て い るが 、② 農 業 用 機 械       は 「農 家 に よ る持 ち 回 り」 で       利 用 され 、 ③ の 労 働 力 の 共 同

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「む ら」 の再 生 と集 落営 農 31         は行 なわれ ていな い形態 。 類 型H-b:① 何 らかの栽培 協定が取 り結         ば れてい るが 、② 共有 の農業         用機械 は 「操作 を農家 が集団         的 に特定個人(オ ペ レー ター)         に委 託す る」形 で利用 され、        ③ の労 働力 の共同 は行 なわれ         て いない形態。 類 型m-a:② 農業 用機械 や施設 を共有 し、         共有 す る農業用 機械 を 「農家         による持 ち回 り」 で利 用す る         以外他 の共 同(① 栽培協 定 と        ③ 共 同労働)は 行 なわれてい         ない形 態。 類型 皿 一b:② 農業機械 や施設 を共有 し、         共有 す る農業 用機械 の 「操作         を農 家 が 集 団 的 に特 定個 人         (オペ レー ター)に 委託す る」         だ けで他の共 同(① 栽培 協定         と③ 共同労働)は 行 なわれて         い ない形態。   集 落 営 農 の 類 型 化 の 目的 の 一 つ は 、 実 態 分 析 の ツー ル と して の 意 味 もあ るが 、 も う一 つ 重 要 な機 能 と して 、 森 本 が 提 起 す る よ うに 集 落 営 農 を組 織 し よ う とす る地 域 住 民 が 、 どの よ う な形 態 の 集 落 営 農 が 自分 た ち の 地域 に 適 合 的 で あ る か を考 え る 際 の 指 針 な い しは 目標 を 与 え る とい う意 味 が あ る。 森 本 は 、 この 視 点 か ら次 の5つ の タイ プ を提 案 して い る(森 本,2004:81-82)。   ① 共 同 利 用 個 人 作 業 型:営 農 組 合 等 で 共 同     機 械 を保 有 し、 そ の機 械 を個 人 が 借 りて     作 業 す る 方 式 。 ② 共 同利 用 共 同作 業 型:営 農 組 合 等 で 共 同     機 械 を保 有 し、 組 合 員 が 交 代 制 や 輪 番 制     で 作 業 を請 け負 う方 式 。 ③ 共 同利 用 オペ レー ター 型:営 農 組 合 等 で     共 同機 械 を保 有 し、 営 農 組 合 の 特 定 の 人     (オ ペ レー ター)が 作 業 を請 け 負 う方 式 。 ④ 集 落 一 農 場 型:集 落 の 圃 場 を一 つ の 農 場     と見 な し、 営 農 組 合 が 生 産 ・販 売 を一 元     的 に行 う方 式 。 機 械 作 業 は 交 代 制 や 輪 番     制 で 行 わ れ る こ とが あ る。 ⑤ 中 核 農 家 規 模 拡 大 型:営 農 組 合 が 集 落 内     の 農 地 の 利 用 調 整 を 行 い 、 集 落 内 外 の 中     核 農 家 に 農 地 の 利 用 権 を集 め る方 式 。   森 本 の 類 型 と竹 安 の 類 型 を比 較 す る と、 森 本 は ① ∼ ③ の 類 型 で は栽 培 協 定 を要 素 に入 れ て い な い 点 で竹 安 の 類 型 と異 な る が 、 「共 同利 用 個 人作 業 型 」 は類 型ll-aに 、 「共 同 利 用 オ ペ レー ター 型」 は 類 型ll-bに 、 「集 落 一 農場 型 」 は 類 型1に 対 応 す る とい え よ う 。 ま た 「共 同 利 用 共 同 作 業 型 」 は類 型1の 栽 培 協 定 の 要 素 を 除 い た 形 態 で あ り、 「中核 農 家 規 模 拡 大 型 」 は竹 安 の 類 型 で は考 慮 さ れ て い な い 形 態 で あ る。 本 稿 で 分 析 対 象 とす る 北 播 磨 地 域 の 集 落 営 農 の 事 例 に は 「中核 農 家 規 模 拡 大 型 」 に 当 て は ま る実 態 が な い た め 、 名 称 に 分 か り に くさが 残 る も の の 、 類 型 設 定 の 要 素 が 明 確 で あ る竹 安 の 類 型 を用 い て 次 節 で 分 析 を行 う こ と にす る 。

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N  小 規 模 ・兼 業 地 域 に お け る集 落 営 農 の 評  価 と課 題   この 節 で 取 り上 げ るの は酒 造 好 適 米 山 田錦 の 全 国最 大 の 生 産 地 で あ る北 播 磨 地 域 の集 落 営 農 で あ る 。 兵 庫 県 の2010年 集 落 営 農 組 織 率 は19.9%と 全 国 平 均(9.9%)を 上 回 って い る (『2010年集 落 営 農 実 態 調 査 報 告 書 』)。中 で も 北 播 磨 地 域 は34%ゆ と県 内 で もつ と も集 落営 農 の組 織 率 が 高 い 地 域 で あ る 。 この 地 域 が 山 田錦 の 生 産 地 で あ り、 水 稲 の 栽 培 品 種 の統 一 が容 易 で あ る こ とが 集 落 営 農 の 組 織 化 に プ ラ ス の 影 響 を与 え て い る と思 わ れ る。 以下 で は 2007、2008年 に 調 査11)を 実 施 した殿 畑 地 区 と 大 島地 区 の 集 落 営 農 の 分 析 に よ り、 集 落 営 農 の 運 営 形 態 の 差 異 が 地 域 の 営 農 と地 域 社 会 に どの よ う な影 響 を与 え る か に つ い て検 証 す る。 N-1殿 畑 地 区(殿 畑 営 農 組 合)   殿 畑 営 農 組 合 は、1996(平 成11)年 に 「経 営 規 模 に応 じた 資 本 装 備 に よ り農 機 具 費 の 大 幅 な コ ス ト削 減 と農 作 業 の 効 率 化 を 進 め 、 集 落 の 農 地 と農 家 を永 続 的 に 維 持 発 展 させ 、 地 域 の輪 と創 意 工 夫 に よ る損 を しな い農 業 」(殿 畑 営 農 組 合,1996)の 実 現 を 目指 して 任 意 組 合 と して結 成 され た。 す な わ ち、 殿 畑 地 区 に お け る営 農 組 合 設 立 の 目的 の 第1は 農 業 経 営 の コ ス ト削 減 と農 作 業 の 効 率 化 で あ るが 、 地 域 農 業 の継 続 目 的 は 地 域 社 会 の存 続 と地 域 社 会 の環 境 の 保 全 で あ っ た 。 結 成 当 初 は25戸 の 農 家 で ス ター トした が 、 現 在 加 入 農 家 数30戸 で 集 落 の 山 田錦 を耕 作 す る全 農 家 に よ つ て組 織 さ れ て い る。 水 稲 作 と転 作 田 の 耕 作 の 全 て を受 託 し、 作 業 受 託 面 積 は 一 部 の 集 落 外 所 有 者 分 を除 く殿 畑 地 区 の 全 耕 地23.17ヘ ク ター ル で あ る(殿 畑 営 農組 合,2007)。 次 に殿 畑 営 農 組 合 の 実 態 を 、① 栽 培 協 定 、 ② 共 同利 用 、 ③ 共 同労 働 の3点 に即 し て整 理 す る 。   ① 殿 畑 営 農 組 合 で は、 転 作 田 だ け で な く水     稲 作 も合 わせ て 一 元 的 に 経 営 して い る 。     す な わ ち 山 田錦 の 栽 培 技 術 の継 承 と い う     「栽 培 技 術 の共 同」 が 営 農 組 合 設 立 の 目的     の 一 つ と な つ て い る 。2006年 作 で 山 田錦     15.8ha、 飯 米(キ ヌ ヒ カ リ)は2.2haを 作     付 け した 。2009年 か らは 山 田錦 の 直 播 栽     培 に も取 り組 ん で い る 。 転 作 田 につ い て     は 地 区 内 の耕 地 を8団 地 に 分 割 し、2団     地 ず つ ブ ロ ッ ク ロ ー テ ー シ ョ ン形 式 で 黒     大 豆 を栽 培 し販 売 して い る。   ② 殿 畑 営 農 組 合 で は 、組 合 発 足 時 に個 人 有     の 農 業 用 機 械 は そ の 一 部 を組 合 が 買 い 上     げ た 以 外 全 て 処 分 し、 現 在 、 農 家 が 所 有     す る農 機 具 は 、 畦 の 草 刈 り機 程 度 で あ る。     か つ て の 農 機 具 小 屋 は ガ レー ジ な どに 改     装 され 、 農 家 の 住 宅 の 様 相 も一 変 して い     る。 施 設 と して は 、 ラ イ ス セ ン タ ー を営     農 組 合 で 装 備 し、 播 種 か ら籾 の 調 整 、 袋     詰 め 、 運 搬 まで 一 貫 し て機 械 化 を 図 り、     高 齢 者 で も作 業 に 従 事 す る こ とが 可 能 な     よ う に して い る。 また 黒 大 豆 部 門 の 機 械     化 も進 め 、 さ らに2009年 に は 直 播 用 農 業     機 械 も導 入 し、 一 層 の 農 作 業 の 省 力 化 に     努 め て い る。   ③ 殿 畑 営 農 組 合 で は 、 発 足 当 初 よ り農 業 用     機 械 の共 同 利 用 だ け で な く農 作 業 の 協 働

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「む ら」 の再 生 と集落 営農 33     を原 則 と し て き た 。 こ れ は 少 数 の オ ペ     レ ー ター に農 作 業 を委 託 す る こ とに よ っ     て 、 土 地 持 ち非 農 家 を作 り出す 危 険 性 を     回避 し、 組 合 農 家 が 集 落 の 営 農 に 関 心 を     持 ち 、 共 同 して 集 落 運 営 に携 わ る こ と を     目 的 と した か らで あ る 。 水 稲 作 の 荒 起 こ     しか ら刈 り取 り、 黒 豆 の 播 種 か ら販 売 に     至 る まで 全 て の作 業 に 、 組 合 農 家 が そ れ     ぞ れ の 委 託 面 積 に応 じた 日数 の 労 働 力 を     提 供 す る。 ま た 殿 畑 営 農 組 合 の 共 同労 働     の特 徴 は 、 年 齢 、 性 別 、 作 業 内 容 に 関係     な く出 役 者 の 労 賃 が 均 一 で あ る点 で あ る 。     こ れ は 世 代 や性 別 を超 克 し、 全 て の 組 合     員 が 自 らの 能 力 に応 じて 貢 献 す る と の 理     念 か らで あ る 。   以 上 の よ う に 、 殿 畑 営 農 組 合 で は、 ① 栽培 (技 術)協 定 、 ② 農 業 機 械 ・施 設 の共 同 利 用 、 ③ 共 同 労 働 の3つ の 共 同 が 実 現 され て い る の で 類 型1に 分 類 で き る 。 す な わ ち楠 本 の 「集 落 内 の 農 地 の 一 括 管 理 ・運 営 は 集 落 営 農 の 本 質 的機 能 で あ る」(楠 本,2006:は じめ に2楠 本,2010:第1章3)と い う立 場 に 立 て ば 、 殿 畑 営 農組 合 の組 織 構 造 は 集 落 営 農 の 本 質 的 機 能 を体 現 す る 形 態 で あ る とい え よ う。 N-2  大 島 地 区(大 南 営 農 組 合)   大 島 地 区 で は 地 区 内 の 構 造 改 善 事 業 の 終 了 に伴 い 、2006年 に 隣 の 南 畑 地 区 と合 同 で 大 南 営 農 組 合 が 結 成 され た 。2008年 現 在 、 大 島 地 区の 営 農 組 合 加 入 率 は 全 農 家 の43.2%(38戸) で あ る 。 受 託 農 作 業 は 水 稲 作 につ い て だ け で あ り、 転 作 田 は 個 人 で 管 理 され て い る。   ① 大 島 地 区 の 農 家 が 所 属 す る大 南 営 農組 合     で は、 栽培 協 定 は 結 ば れ て い な い 。   ② 田 植 え機 、 コ ンバ イ ン を組 合 で 共 同 所 有     す るが 乾燥 機 は 装 備 して い な い 。4名 の     組 合 員 が オ ペ レー タ ー と して 共 同保 有 の     大 型 農 機 具 の 操 作 に従 事 し、 他 の組 合 員     が 操 作 す る こ とは な い 。 た だ 表IV-1に     示 す よ う に、 組 合 加 入 農 家 で も相 当 割 合     の 農 家 が 農 業 機 械 を個 人 で所 有 し、 そ れ     を用 い て 自分 で 農 作 業 を行 な っ て い る。 表 】V-1  営農 組合 加 入 ・非加 入別 農業 用機 械 の所有 率(大 島 地 区) (1)耕 運 機 組合加入 組合非加入 歩行型 6.3 15馬 力 未 満    15∼30馬力未満   30馬 力 以 上 25.0 4.5 50.0 77.3 12.5 そ の他 6.2 18.2 位:%、 戸 農家数 38 22 (2)そ の 他 の 農 業 用 機 械 組合加入 組合非加入 田植 え機 50.0 81.8 コ ン バ イ ン 68.8 86.4 乾燥機 81.3 77.3 農 家数 38 22 備考:無 回答 の6戸(組 合加 入農 家3戸 、組 合非加 入 農家3戸)を 除い て集 計 した。

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    この た め 農 機 具 コ ス トと労 働 力 の 削 減 は     充 分 に 図 られ て い る とは い え な い 。   ③ 組 合 が 受 託 し た農 作 業 は 、 委 託 農 家 ご と     に 行 な わ れ る。 委 託 農 家 は 自分 の 耕 地 の     作 業 の補 助(例 え ば 、 田 植 え 時 の 苗 の 搬     入 や 稲 刈 り後 の 籾 を ラ イス セ ン ター まで     運 搬 す る な ど)に 出 る必 要 は あ るが 、 他     の 農 家 と共 同 して 農作 業 に従 事 す る こ と     は な い。 個 別 に作 業 が 実 施 さ れ る た め 、     大 型 機 械 を使 用 しな が ら も充 分 な作 業 効     率 は期 待 され な い。   この よ う に 、 大 島 地 区 の 農 家 が 加 入 す る 大 南 営 農 組 合 で は 、 農 業 機 械 を共 有 し、 そ の操 作 は農 家 が 集 団的 に特 定 個 人(オ ペ レー ター) に 委 託 す る だ け で 他 の 共 同 は 行 な わ れ て い な い。 した が つ て 、 類 型 皿 一bに 当 て は ま る と い え る 。 農 業 機 械 の 共 同保 有 に よ る経 営 の効 率 化 と高 齢 化 に よる 担 い手 確 保 の た め に設 立 さ れ た 大 南 営 農 組 合 で あ る が 、 集 落 内 の加 入 率 が5割 を切 っ て い る こ とに 示 され て い る よ う に 、 集 落 内 の 意 思 統 一 が 十 分 に図 られ て い る とは 言 い 難 い。 この た め設 立 当 初 の 目 的 で あ っ た経 営 コ ス トの 削 減 と作 業 労 力 の 省 力 化 も現 段 階 で は十 分 達 成 さ れ て い る と は い え な い状 況 で あ る。   こ の よ う に異 な る 組 織 形 態 の 集 落 営 農 の 組 織 が 住 民 に よ っ て どの よ う に 評 価 され て い る か 、 また 集 落 の 農 業 経 営 に どの よ う な影 響 を 与 え て い るか を調 査 結 果 に基 づ い て 次 項 で 分 析 す る 。 N-3  営 農 組 合 の 評 価   次 頁 に掲 げ た 表IV-2は 営 農 組 合 の 評 価 に つ い て の 回 答 で あ る。 まず 営 農 組 合 に対 す る 積 極 的 な 評 価 は殿 畑 地 区 の 方 が 高 い 。 殿 畑 営 農 組 合 で は稲 作 も転 作 田 の 経 営 も一 元 的 に 管 理 して い るが 、 この 成 果 が 「耕 作 しな い 田 が な くな っ た 」 との 高 い評 価 を生 み 出 して い る と考 え られ る。 また 両 地 区 で 大 き く異 な る の は、 共 同 労 働 を 原 則 とす る 殿 畑 地 区 で は 「集 落 の 人 との 交 流 が 増 えた 」 「農業 に つ い て 情 報 交 換 が で き る よ う に な った 」 「集 落 の 結 束 が 強 ま つ た」 を挙 げ る 回 答 者 の 割 合 が 男 女 共 に 大 島 地 区 よ り著 し く高 い 点 で あ る。 この 結 果 は 楠 本 が 主 張 す る 「持 続 的 地 域 社 会 の 基 礎 を 支 え る元 気 な 農 業 」 を再 生 す る シ ス テ ム と して 、 殿 畑 営 農組 合 が 機 能 して い る こ と を示 して い る。 ま た ほ ぼ 全 て の 農 業 用 機 械 と施 設 の 共 同 を実 現 して い る殿 畑 地 区 で は 「農 機 具 購 入 の 費 用 を考 え な くて よ くな っ た 」 を 挙 げ る男 性 の 割 合 も大 島 地 区 男 性 よ り高 くな っ て い る 。 殿 畑 地 区 で は 水 稲 作 だ け で な く転 作 作 物 の 黒 大 豆 の 作 業 に も 出役 す る こ とが 求 め られ る が 、 そ れ で も 「農 作 業 が 楽 に な っ た 」 との 回 答 が 男 女 共 に 高 くな っ て い る。 特 に女 性 の 回 答 が 大 島 地 区 の 女 性 の2倍 近 い 。 大 島地 区 は農 作 業 の 共 同化 を行 な つ て い な い こ とが 、 農 作 業 の 省 力 化 を挙 げ る 回 答 割 合 が 少 な い こ との 理 由 と考 え られ る。 N-4  今 後 の 農 業 経 営 と継 承 問 題 に つ い て   表IV-2の 選 択 肢 の 中 の 「営 農 組 合 が な か っ た ら農 業 を止 め て い た 」 を 選 択 した 回 答

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「む ら」 の再 生 と集落 営 農 35 表N-2  営農 組合 にな って よ か った点(複 数 回答) 農 作業 が楽 に な った 農 機具 購入 の 費用 を考 え な くて よ くなった 子 供 に農作 業 の手伝 い をさせ な くて よ くなっ た 集 落 内の 山田錦 の 質 に差が な くなっ た 収 穫量 が増 えた 耕 作 しない 田が な くな つた 集 落 の人 との 交流 が増 えた 農業 につ いて 情報 交換 が で き るよ うに なった 集落 の結 束が 強 ま った 集落 の 自然環 境 が守 れ た 営 農組合 が なか っ た ら農 業 を止 めて い た 特 に な し そ の他 男性 殿 畑 65.6 84.4 21.9 6. 3 0.0 34.4 68.8 56.3 40.6 25.0 21.9 0.0 9.4 女性 76. 7 55.8 14.0 11.6 4.7 25.6 65.1 37.2 37.2 20.9 18。6 <L7 11.7 男性 大 島 52.0 56.0 4.0 8.0 24.0 20.O l2.0 4.0 20. 0 8.0 単位 % 女性 42.9 38.1 9.5 4.8 9.5 23.8 4.8 4.8 19.0 4.8 28.6 4.8 者 の 割 合 は 、 殿 畑 地 区 で 男 性21.9%、 女 性 18.6%あ り、 こ の こ と よ り殿 畑 営 農 組 合 が 地 区 内 の 農 家 の 離 農 を 押 し留 め る た め の 一 定 役 割 を果 た した とい え よ う。 表IV-3に 示 した 今 後 の 農 業 経 営 の 予 定 で は 、 「経 営 拡 大 」 との 回答 が 大 島地 区 の 男 性 に10%あ っ た 。 割 合 と 表N-3  今後 の 農地 の予 定 ・希望 現状 維持 経 営 を拡大 す る 経 営 を縮小 す る 農 作業 の全 面 委託 農 地 を売却 す る 家 族 の判 断 に任せ る その他 無 回 答 合 計 男性 殿  畑 59.4   3.1   3.1 12.5 12.5   6.3   3.1 100.0 女性 39.5   2.3   4.7   2.3   4.7 41.9   4.6 100.0 男性 大 島 66.7 10.4   6.3   4.2   8.3   4.2 100.0 単位 % 女性 63.6   2.3   2.3 29.5   2.3 100.0

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して は僅 か で あ る が 、 大 島 地 区 に は農 業 を経 営 と捉 え て 積 極 的 に展 開 しよ う との 意 向 を持 つ 農 家 が存 在 して い る と い え る 。 一 方 殿 畑 地 区 で は 、 「家 族/組 合 の 判 断 に 任 せ る」 との 回 答 が 特 に 女 性 に 高 い 。 「農 作 業 の 全 面 委 託 」 と の 回 答 も殿 畑 地 区 で は高 く、 営 農 組 合 へ の 信 頼 の 高 さが 依 存 に転 じ、 営 農 に 対 す る主 体 的 取 り組 み の 弱 さ を伺 う こ とが 出 来 る。 こ の よ う に 、 殿 畑 地 区 で は 営 農 組 合 へ の 満 足 度 の 高 さ が伺 え るが 、 そ の 一 方 で 現 状 以 上 に農 業 表N-4  農 業の 継承 予定 す で に継 いで い る 継 ぐ と期待 誰 か が継 いで くれ る 誰 も継 が ない その他 無 回答 合 計 殿畑 62.0 15.8   1.4   7,2 10.1   2.9 100.0 単位:% 大 島 30.4 24.5 10.5 24.4   9.3   1.2 100.0 を拡 大 す る 意 欲 に 欠 け る とい う側 面 も伺 え る。   後 継 者 の 状 況 に つ い て は 、 表IV-4に 示 す よ うに、 大 島地 区で は 「す で に継 い で い る」 と の 回答 が30.4%と 殿 畑 地 区 の 半 分 以 下 で あ り、 「継 ぐ と期 待 」 が24.5%で あ る が 、 「誰 も継 が な い」 との 回 答 が 大 島 地 区 で は24.4%と 殿 畑 地 区 の3倍 以 上 に な っ て い る。 表IV-5の 若 い 世 代 へ の 農 業継 承 につ い て 、 「米 価 の 上昇 」 の 回答 が 最 も高 か つ た こ とは 両 地 区 と も代 わ りは ない が 、 「機 械 化 の 進 展 」 を あ げ た 人 が 、 大 島 の女 性 に も っ と も多 か っ た の は 、 ま だ 機 械 化 が 充 分 に進 ん で い な い こ とへ の 不 満 の 表 れ で あ ろ うか 。 こ こで 注 目 され る の は、 「農 業 の 意 義 」 と 「物 を作 る喜 び 」 と い う農 業 の プ ラ ス の側 面 を挙 げ る 回 答 割 合 が 、殿 畑 で は 大 島の2倍 近 くに上 つ て い る 。 こ れ は 殿 畑 営 農 組 合 が 設 立 の 理 念 に 「集 落 と農 家 の 永 続 と発 展 」 を掲 げ 、 効 率 化 の 追 求 以 外 に 農 業 の 多 様 な機 能 の保 全 を認 識 して営 農 組 合 活 動 が 実 践 され て い る こ と と無 関 係 で は な い と思 わ れ る 。 表N-5  若 い世代 が農 業 を受 け継 ぐ よ うに なる には ど うす れば よい か(複 数 回答) 米 価が 上昇 し、儲 か る農業 にな る 機 械化 が進 み、 農作 業が 楽 にな る 親 が 山田錦 の生 産 に誇 りを もつ 農業 の大切 さや 意義 を伝 えてい く 耕 地 の資産 価値 を子 ど もに理 解 させ る 物 を作 る喜 び を伝 える 先 祖 の財産 を受 け継 ぐ大 切 さを教 え る その他 男 性 53.1 18.8 9.4 43.8 15.6 34.4 37.5 25,0 殿畑 女性 37.2 23.3 14.0 27.9 9.3 30.2 23.3 37.2 男性 58.3 22.9 8.3 27.1 8.3 16.7 18.8 18.8 大島 単位:% 女性 47.7 40.9 9.1 20.5 4.5 22.7 31.8 18.2

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「む ら」 の再生 と集 落営 農 37 V  む す び に か えて    今 後 の課 題 一   以 上 の 分 析 よ り、 集 落 営 農 の 形 態 に よっ て 集 落 お よ び集 落 の 住 民 に 果 た す 役 割 に差 異 が あ る こ とが 明 らか に な っ た。 す な わ ち 「集 落 一 農場 型 」 で あ る類 型1に 妥 当 す る殿 畑 集 落 営 農組 合 で は 、 組 合 設 立 の 直接 的 目 的 で あ る 集 落 の 農 業 コス トの軽 減 と労 力 の 削 減 が 達 成 され 、 さ らに 個 々 の 農 家 で は 装 備 が 不 可 能 な 大 型 機 械 の 導 入 も実 現 し、 集 落 の 農 業 経 営 の 活 性 化 が 実 現 され て い る こ とが 明 らか とな っ た。 ま た殿 畑 地 区 で は 営 農 組 合 の 共 同作 業 を 通 して 集 落 内 の社 会 関 係 の再 生 を図 り、 「む ら」 づ く りにつ い て も一 定 の 成 果 を挙 げ て い る。 一 方 、「オペ レー ター型」 に妥 当す る類型m-bの 大 島地 区 の 集 落 営 農 で は 、 機 械 装 備 の コ ス ト削 減 が 不 十 分 で あ り労 力 の 軽 減 も限 定 的 で あ っ た 。殿 畑 営 農 組 合 に は 基 幹 的 農 業 者 は 1名 も存 在 せ ず 、 小 規 模 経 営 の 第2種 兼 業 農 家 だ け で組 織 さ れ た 組 合 で あ る。 また 調 査 結 果 に よ る と法 人化 に 対 して 組 合 員 の 意 向 は必 ず し も積 極 的 で は な い12)。す な わ ち殿 畑 集 落 の 住 民 に と っ て組 合 設 立 の 意 義 は 、 経 営 体 と し て の 営 農 組 合 組 織 とい う よ り、 「む ら」 の 存 続 の た め の 有 効 な方 策 と理 解 され て い る と い え よ う。   殿 畑 営 農 組 合 の 分 析 に よ っ て類 型1(「 集 落 一・農 場 型 」)の 集 落 営 農 が 「む ら」 づ く りに 果 たす 積 極 的 機 能 が 明 らか と な る と同 時 に課 題 も 浮 か び 上 が っ て き た 。 本 稿 を締 め 括 る に 当 っ て 、 集 落 営 農 の 課 題 を指 摘 して ま とめ に 代 え た い 。   殿 畑 営 農 組 合 の 分 析 で 明 らか と な っ た 課 題 の 一 つ は 農 業 と女 性 の 関 係 で あ る。 森 本 秀 樹 は 、 地 域 社 会 で 新 た に集 落 営 農 の 組 織 化 を検 討 す る場 合 、 準 備 段 階 か ら夫 婦 で の 参 加 が 重 要 で あ り、 常 に農 業 や 家 事 、 育 児 に苦 労 を 強 い られ て い る女 性 の 意 見 が 大 切 で あ る と述 べ て い る(森 本,2003:58-59、69-70)。 ま た 楠 本 雅 弘 も、 集 落 営 農 組 織 の 発 展 過 程 に 女 性 の 参 加 を 位 置 づ け 、 集 落 に居 住 す る 多 様 な 人 材 の参 加 が 重 要 で あ る と述 べ て い る(楠 本, 2010:66、72-73)。 しか しな が ら殿 畑 営 農 組 合 の 事 例 で は、 集 落 営 農 の 設 立 が 女 性 の 農 業 離 れ を促 進 す る 結 果 とな っ た 。 殿 畑 営 農 組 合 で は、 農 作 業 は 各 農 家 に 割 り当 て られ た 日数 分 を1戸 に1人 が 出 役 す る こ と に な っ て い る。 この た め 水 稲 作 の 作 業 は ほ とん ど男 性 が 出 役 し、 女 性 は 出役 し た と し て も補 助 的 な役 割 を 果 たす に 留 ま っ て い る 。 こ の 結 果 、 大 島 地 区 と比 較 して 殿 畑 地 区 の 女 性 の 農 業 へ の 関心 が 非 常 に 希 薄 に な っ て い る。 す な わ ち 、 殿 畑 地 区 の 女性 は表V-1の 自家 の 田 の 生 育 状 況 に 関心 が 「あ ま りな い 」 と 「全 くな い 」 を 合 わ せ る と41.8%、 表V-2の 自 家 の 田 の 見 回 り に 「め っ た に 行 か な い 」 と 「行 っ た こ とが な い 」 を合 計 す る と約 半 数 近 くに な つ て い る 。 こ の よ う に殿 畑 地 区 で は営 農 組 合 設 立 後 は女 性 が 農 業(特 に稲 作)か ら離 れ て い く とい う 状 況 が 生 じて い る 。 機 械 化 に よる 農 作 業 の 省 力 化 が 進 み 、 か つ て の よ う な 土 に は い つ く ば っ て の 農作 業 は皆 無 とな っ た 現 在 、 農 業 は 女 性 も 主 力 と な つ て 活 躍 で き る 生 産 の 場 と な った に もか か わ らず 、 営 農 組 合 の存 在 が 女 性 の 農 業 離 れ を促 進 す る と い う現 実 は 、 将 来

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表V-1  家の 田の生 育状 態へ の関 心         (回答 は女 性の み) か な りあ る あ る あ ま りない 全 くない 合 計 殿畑 25.6 32.6 20.9 20.9 100.0 大 島 13.6 54.5 27.3   4,5 100.0 の 農 業 の展 開 に と っ て マ イ ナ ス の 影 響 を与 え る と考 え る 。 殿 畑 地 区 で も今 後 、 人 口 減 少 が 進 む こ とは 必 至 で あ り、 集 落 営 農 の継 続 の た め に も女 性 の 力 が 活 か され る仕 組 み を構 築 す る こ とが 重 要 で あ ろ う。   課 題 の 第2点 は個 々 の 農 家 の 営 農 組 合 へ の 依 存 を生 み 出 し、 農 家 の 主 体 的 生 産 態 度 の 低 下 を生 じて い る点 で あ る 。 殿 畑 地 区 で は す で に 示 した よ う に営 農 組 合 に 対 す る組 合 員 の 信 頼 度 は高 い。 しか しそ の た め 農 業 経 営 に 関 す る 意 思 決 定 を組 合 に頼 り、 結 果 と して経 営 へ の 意 欲 の 低 下 が 生 じて い る 。 これ に対 して 大 島 地 区 で は営 農組 合 へ の信 頼 度 は殿 畑 地 区 よ り低 い が 、 農 業 経 営 へ の積 極 的 意 向 を もつ 農 家 も存 在 して い た 。 と い う よ り、 農 業 生 産 に 対 して 意 欲 の 高 い 個 別 生 産 者 は 、 集 落 営 農 よ り個 別 経 営 を志 向 す る傾 向 が 高 か っ た。 集 落 営 農 の 共 同 性 を 高 め つ つ 、 同 時 に 個 々 の農 家 の 主体 的 態 度 を どの よ う に酒 養 して い くか が 今 後 の 課 題 とな る とい え よ う。 〔注 〕 1)代 表 的 な論 者 と して は 、 後 に取 り上 げ る 田代   洋 一 や 楠 本 雅 弘 な どが い る 。 2)理 念 的 に は鈴 木 榮 太 郎 の 「自然 村 」 で あ り、 表V-2 田ん ぼの見 回 り (回答 は女 性 のみ) 農作 業の ときだけ行 く 農作 業以外 に も見 に行 く め つた に行 か ない 行 った ことが ない 合計 殿畑 16.3 37.2 30.2 16.3 100.0 大 島 52.2 22.7 20.5   4.5 100.0   歴 史 的 に は 藩 政 期 に形 成 され た 村 で あ る 。今 日 、   実 態 的 に は 大 字 や 部 落 、 区 と して 、 統 計 的 に は   農 業 集 落 と 認 識 さ れ る 地 域 社 会 を 指 す 。 鈴 木   の い う 「行 政 村 」 と区 別 す る た め 「む ら」 と表   記 さ れ る 。 3)こ の 点 に つ い て 田 代 洋 一 は 、 農 地 法 の 基 本 原   則 は あ く ま で 「自作 農 主 義 」 で あ っ た が 、 農 業 基 本 法 は 立 場 を異 に して い た と指 摘 す る 。 す な   わ ち、 田 代 は 「農 業 基 本 法 は 自立 経 営 の 育 成 を 主 た る経 路 と 考 え て い た 受 け 止 め 方 は 必 ず し も  正 確 で は な い 。」 と し て 、 農 業 基 本 法 の 立 案 者   は 個 別 自立 経 営 の 育 成 と協 業 を 少 な くと も同 列   に 据 え て い た 、 と述 べ て い る(田 代,2006b: 25)。 4)こ の 間 の 状 況 を 高 橋 正 郎 は 「抜 け 殻 状 の 農 業 経 営 」 と呼 ん で い る(高 橋1987:19-25)。 5)こ の 時 期 の 農 政 の 展 開 に つ い て は 、 暉 峻   (2003:第7章)を 参 照 。 6)集 落 営 農 に 関 す る 統 計 的 調 査 と して は 、 農 林 業 セ ンサ ス が 農 家 の 生 産 組 織 へ の 参 加 状 況 な ど   を1969年 か ら調 査 し て い た が 、 集 落 営 農 に 関 す る独 自の 実 態 調 査 が 始 ま つ た の は2005(平 成17) 年 か らで あ る 。 こ こ で は2005(平 成17)年 以 降 、 毎 年 実 施 され て い る 『集 落 営 農 実 態 調 査 報 告 書 』   (農林 水 産 省)を 用 い て い る。 7)集 落 営 農 と認 定 農 業 者 の 関 係 に つ い て は 、 例 え ば神 山(2009)を 参 照 。 8)言 う ま で も な く担 い 手 の 脆 弱 化 は 近 畿 地 域 に

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「む ら」 の再生 と集 落営 農 39 限 っ た こ と で は な く全 国 的 に 深 く進 行 して い る の で あ っ て 、 これ は 地 域 的 な 傾 向 を 示 して い る に 過 ぎな い 。 さ らに 言 え ば 、 藤 谷 が 指 摘 す る よ   う に 「効 率 的 で 安 定 的 な 農 業 経 営 」 の 担 い 手 の 育 成 手 法 が 確 立 さ れ て い な い 点 に 政 策 上 の 問 題 が あ る と い え よ う(藤 谷,2008:126-128)。 9)楠 本 は こ の 三 類 型 を 次 の よ う に 規 定 す る 。 「北 陸 平 野 型 」 は 、 兼 業 機 会 に 恵 ま れ て い る 地 域 で 、 専 業 的 戸 別 農 家 は 非 常 に少 な い。 大 区 画 の 圃 場 整 備 が 進 ん で お り、 一 集 落 一 農 場 方 式 の   ぐ る み 型 集 落 営 農 を 法 人 化 して い る。 「中 国 山 地 型 」 は 、 兼 業 機 会 に 恵 ま れ た 一 部 の 都 市 近 郊 地 域 と過 疎 化 ・高 齢 化 に 悩 む 中 山 間 地 域 か らな  る 。 専 業 的 大 規 模 農 家 は ほ と ん どい な い 。 集 落 営 農 は 、 集 落 の 農 地 を 維 持 し、 な ん と か そ の ム   ラに 住 み続 け る こ と を 目的 に活 動 す る。 「東 北 型 」  は 、 集 落 の 水 田面 積 が 大 き く ま た 稲 作 収 入 へ の 依 存 度 が 高 い 。 戸 別 規 模 拡 大 志 向 農 家 が 担 い 手 型 法 人(オ ペ レー タ ー 組 織)を 設 立 して 集 落 の 農 地 を 集 積 す る タ イ プ で あ る(楠 本,2006: 16-18)。 10)2005年3月 、 兵 庫 県 立 農 業 改 良 普 及 セ ン ター 調 べ 。 11)こ れ ら の 調 査 は 、 神 戸 学 院 大 学 学 術 フ ロ ン  テ ィア 推 進 事 業 「阪 神 ・淡 路 大 震 災 後 の 地 域 社 会 と の 共 生 を め ざ した 大 学 の 新 しい 役 割 に 関 す   る実 践 的 研 究 」 の 助 成 を受 け て 実 施 され た 。 調 査 対 象 地 は 兵 庫 県 三 木 市 口 吉 川 町 殿 畑 地 区 と 同  町 大 島 地 区 、 調 査 期 間 は 、 殿 畑 地 区 が2007年8  月10∼12日 、 大 島 地 区 は2008年8月8∼10日 で  あ っ た 。 調 査 結 果 の 詳 細 は 、 春 日 ・竹 安(2008) お よ び 春 日 ・竹 安(2009)を 参 照 さ れ た い 。 12)「 国 か ら の 補 助 金 の 需 給 や 税 金 の こ と を考 え   る と、 殿 畑 営 農 組 合 を現 在 の 任 意 組 合 か ら法 人 組 織 に変 更 した ほ うが 経 済 的 に 有 利 だ と す る と 、   ど うす れ ば よ い とお 考 え で す か 。」 と の 質 問 に 対 し て 、 「有 利 で あ れ ば 法 人 化 し た い 」40.6%、  「補 助 金 や 税 金 に 関係 な く、 法 人 化 した い」3.1%、 「補 助 金 や 税 金 面 が 有 利 で あ っ て も、 法 人 化 し た くな い 」12.5%、 「法 人 化 に は 疑 問 」6.3%、 「わ か ら な い 」31.3%、 「そ の 他 」6.3%と い う 結 果 で あ つ た(春 日 ・竹 安,2008:33)。 〔参 考文 献 〕 安 藤光義,2005「 集 落営 農 を どの よ うに評 価す る   か」 調 査 と情報,2005.3 石 原健:二,2008『 農業政 策 の終焉 と地方 自治体 の   役割 』 農 山漁村 文 化 協 会 金沢夏樹,2004「 農 業 の地域 性希 薄化 の 中の地 域   営農」,金 沢夏樹 ・高橋 正郎 ・稲本志 良編 『地域   営農 の展 開 とマ ネ ジメン ト』農林統 計協会 神 山安 雄,2009『 「農政 改 革」 下 の農 業 ・農村 』   農林 統 計協 会 楠 本雅 弘,2006『 地域 の多様 な条件 を生 かす 集落   営 農』 農 山漁村 文化 協 会       ,2010『 進 化 す る集 落営 農 』農 山漁村 文   化協 会 小 池恒 夫,2008「 「新 基 本 法 農政 」 の枠 組 み とそ   の展 開過程 」,藤 谷築 次 編 『日本 農業 と農 政 の   新 しい展 開方 向』 昭和 堂 小林恒 夫,2005『 営農 集団 の展 開 と構造 』 九州大   学 出版 会 高橋正 郎,1987『 食料 農業 問題 全集4  地域 農業   の組織 革新 』 農 山漁村 文化 協 会        ,2004「 日本 農業 の展 開過 程 に見 る 「組   織 革新 」 の歴 史」,金 沢夏 樹 ・高橋 正郎 ・稲 本   志 良編 『地域 営 農の展 開 とマ ネ ジメ ン ト』 農林   統 計協 会 竹安 栄子,2009「 北播 磨地 区 山田錦 生 産地 の農業   構 造の 変遷 と現況    農林業 セ ンサ ス結 果の分   析 よ り    」,文 部 科 学省 学 術 フロ ンテ ィア報   告書 第36号 『地場 産 業 の活性 化 と地 域社 会 』        ,2010「 山田錦 生産 地 にお ける農 業経 営   と地 域 社 会 の 活性 化 」 文 部 科 学 省 学 術 フ ロ ン   テ ィア報告 書第36号 『地場 産 業 の活性 化 と地域   社会 』

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田代 洋一,2006a『 地域 の多 様 な条件 を生 かす集   落営 農』 農 山漁村 文化協 会       ,2006b『 集 落営農 と農業 生産法 人      農の協 同を紡 ぐ一 』 筑波書 房 蔦 谷栄 一,2006「 集落 営農 の実態 と兼業農 家の位   置づ け」 『農林 金融 』,2006.12 暉峻衆 三編,2003『 日本の農 業150年 』有斐 閣 原 杖 ・吉 田省 三,2006『 東 条 の山田錦』 兵庫県   加東 郡 東条 町 藤 谷築次,2008「 担 い手政 策の新 しい展 開 とその   特性 お よび問題 点」,藤 谷築 次 編 『日本 農業 と   農 政の新 しい展 開方 向』昭 和堂 森本秀樹,2004『 ここが ポイ ン ト1集 落営 農』小   野 高速 印刷 〔参考 資料 ・報 告書 〕 春 日雅 司 ・竹 安栄子 他,2008『 阪神 ・淡路 大震 災  後 の地域社 会 との共 生 をめ ざ した大学 の新 しい  役 割 に関す る実践 的研 究報告 書第32号 地場 産業   の活性化 と地域社 会一 殿畑 営農組 合調査 を中  心 に一 』 春 日雅 司 ・竹 安栄 子他,2009『 阪神 ・淡路 大震 災  後 の地域社 会 との共 生 をめ ざ した大学 の新 しい  役 割 に関す る実 践的研 究報告 書第36号 地場 産業   の活性化 と地域 社会一 大 島地 区酒米農家 調査   を中心 に一 』 殿畑 営農組 合,1996「 設立趣 意書」 殿畑 営農組 合,2007,2006年 度殿畑 営農組 合資料 農林 水産 省 「食料 ・農 業 ・農村 基本法 」 農林 水産 省統 計部       『平 成17年 度 集落営 農 実態調 査報 告書 』       『平 成18年 度 集落営 農 実態調 査報 告書 』       『平 成19年 度 集落 営農 実態調 査報 告書 』       『平 成20年 度 集落 営農 実態調 査報 告書 』       『平 成21年 度 集 落営農 実態調 査報 告書 』 農林 水産 省,2008『 平成21年 版  食料 ・農業 ・農  村 白書 』 兵庫 県,2006『 ひ ょうごみ ど り白書』     ,2009「 地 域産 業資 源活用 事業 の促 進 に 関す る基本 的 な構 想 」 〔参 考URL〕 農 林 水 産 省 経 営 局 経 営 政 策 課,2010「 認 定 農 業 者,   特 定 農 業 法 人,特 定 農 業 団 体 の 認 定 状 況   (平 成22年3月 末 現 在)」

http://www.  maff. go. jp/j/ninaite/n』intei/zyokyo/   other/h2203_kouhyou.Xis 農 林 水 産 省 「平 成20年 産 米 の 検 査 結 果(平 成21年   10月 末 日 現 在)」 http://www.maff.go.jp/j/sousho㎞/syoryu/kensa/   kome/pdf/20kome_2110.pdf 〔謝辞〕  本稿 で取 り上 げた殿畑 地区 と大 島地区 にお ける調査 は、神戸 学院大 学学術 フロ ンテ ィア 推 進事 業 「阪神 ・淡路大震 災後 の地域社会 と の共生 をめ ざ した大学 の新 しい役 割 に関す る 実践 的研 究」 の助 成 を受 けて実施 され た。 調 査 にあた って全 面的 に ご協 力 いただい た殿畑 営 農組合の皆 さまと大 島地区 の皆 さまに心 か らお礼 申 し上 げる。

参照

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