DOI: http://dx.doi.org/10.14947/psychono.34.15
心理検査に使う: 能面テスト
―社会適応能力を測定する心理検査―
簑 下 成 子
川村学園女子大学The Noh Mask Test: Social skills test
Seiko Minoshita
Kawamura Gakuen Woman s University
The Noh Mask Test measures social skill ability. Noh Mask image stimuli of this test were compared with Hu-man face photos stimuli by Matsumoto & EkHu-man, Face Drawings. A multi-dimensional scaling analysis of the com-parative judgments of the healthy subjects for these three stimuli revealed a two-dimensional solution involving pleasure and arousal. The reaction of Face Drawings located on X and Y axis. Although face stimuli of human lacks the first quadrant, Noh mask image to draw a smooth oval, covering all of the quadrants. Representing subtle look, Noh Mask Test was considered to expose the feelings of continuity. The test was compared with Rorschach Test and MMPI, also performed test–retest method. Schizophrenia in outpatient day care performed Noh Mask Test, and they were studied after 4 years later. The Noh Mask score of employed after 4 years later was more similar to healthy employee than unemployed patients. It was found that Noh Mask Test is a test for examining the social skills.
Keywords: Social Skills Test, facial expression recognition, psychological test, personality test, schizophrenia,
mood disorder 日常生活で「空気を読む」ことは,対人関係を維持す るポイントと言われている。日本には,「人の顔色をう かがう」といった用語もあり,諸外国よりもノンバーバ ルコミュニケーションが重視されてきた(佐藤・簑下, 2000)。実際に,Ekmanによると,東洋系民族の方が本 心を押し隠して表出を控えるという文化的な習慣がある という(Ekman, 1972)。 近年,教育の現場や職場で発達障害の問題が注目され ている。発達障害者の社会復帰のポイントは「空気を読 む」ことであるが,そういったあいまいな指示を与えた としても当事者にはピンとこない。そこで,各施設で は,社会技術訓練(SST)を受けることになり,「眼を 見る」ということが強調されて伝わってしまう。 「眼をみなさい!」 と教えられ続けて生きたアスペル ガー障害を持つギタリスト,ジョン・エルダー・ロビソ ン(小説家バロウズの兄でもある)は,40代になって はじめてアスペルガー障害と診断された(Robinson, 2007)。このような教育は,案外現代日本でも蔓延して いる。発達障害児が増加しているという状況のなか,入 試面接の担当者の多くは,「私は発達障害ですが…」と 告白しながら面接に臨む高校生に出会うことになる。そ して,担当者は入学希望者の凝視の異様な雰囲気に居心 地が悪くなってしまうのである。教育者は,アスペル ガー障害の生徒に「眼をみる」ことだけを教えているわ けではないかもしれない。しかし,「空気を読む」ため に行う表情の読み取りを最も効率よく行うために「眼を みる」というポイントを教えただけで,極端な思考傾向 にあり,こだわりのある発達障害者特有の受け取り方に よって,このような状況で担当者を凝視する結果となっ たとも考えられる。空気を読むことは相手の眼を見るこ とと関係しているが,1対1の関係ではない。眼をみる ことによって,表情を効率良く読み取れ,空気を読むこ とができて,最終的にその場にふさわしい対応をするこ とができるのである。 時々刻々と変化する表情を正確に読み取るためには, 最低限眼をみることが必要であるが,口元,鼻,額,頬 Copyright 2015. The Japanese Psychonomic Society. All rights reserved. Corresponding address: Faculty of Liberal Arts,
Depart-ment of Psychology, Kawamura Gakuen Woman’s Universi-ty, 1133 Sageto, Abiko, Chiba 270–1138, Japan.
などの顔の部位すべて,あるいは,顔以外,頭部だけで なく肩,上半身だけでなく下半身の動きでさえ必要に なってくる。 ただし,それでは心理学実験で操作するためには,条 件や要素が増えすぎて研究としてまとめることが難しく なる。そこで,眼の動きだけで相手の感情を読み取るテ ストが開発されており,発達障害の診断や訓練に用いら れている(Baron-Cohen, Wheelwright, Hill, Raste, & Plumb, 2001)。しかしながら,上述のように眼に注目するだけ では表情を読み取ることは完成しない。また,眼の動き だけの判定では,精神状態を把握するには乏しい。その ため,顔全体を使って心理テストを作ることとした。
人の表情を読み取るテストは Ekmanの実験刺激を用 いることが主流になっている(Ekman & Friesen, 1977)。 そのほか,線描画を用いるテストなど多種のものが開発 されている。さらに,画像刺激を動画にする研究,新し いコンピュータ理論に基づいた研究,ロボットへの応用 技術も進んでいる (Alonso-Martín, Malfaz, Sequeira, Gorostiza, & Salichs, 2013; Cid, Moreno, Bustos, & Núñez, 2014)。
表情認知刺激としての能面 Ekmanらが提唱する世界基準として定着してきてい る,FACSシステムによる演じられた基本の表情顔写真 は,実は日常生活ではあまり登場しない極端な表情であ る。日常生活には微妙な表情刺激こそが重要であり,人 は,微妙な表情からさまざまな複合感情を読み取ってい る。FACSシステムにおいて,微妙な表情は,それらの 極端な表情をモルフィング(画像的に平均化)すること によって作成されている。さらに,明白な表情であれ ば,精神疾患患者であっても認知可能であるという知見 が得られていること,人の顔写真であればどうしても, 好悪,性別,年齢による判断への影響が無視できないこ となどの理由から無表情の代名詞である人工物の能面を 用いた。 能面の表情は7種に変化するという専門家もおり,実 は,能面を表現するときの「無」表情は無数の「無」で あるともいう。能面は,世界に存在するといわれている 3つの無表情な仮面(能面,ギリシャの仮面劇で用いら れる仮面,バリ島の仮面)の中でも最も角度変化で表情 が変化するという。その能面のなかでも,17歳程の乙 女をモデルとした小面は,最も角度変化により表情変化 が激しいといわれている。こうした小面を用いて表情認 知テストを行うことで,被験者の表情認知能力を適切に 測定することができると考えられる。 能面を用いた表情認知研究は,約30年前の増山によ る多種の能面のイメージを因子分析したことから始ま る。男面や般若,翁の面を交えた多種多様な能面のイ メージを健常者に実施している(増山・石塚,1984)。 その後Osaka (1986)は,10種類の能面写真の評定によ る日独の文化的差異研究を行い,日本人よりもドイツ人 の方が極端な認知になるという結論を得ている。さらに 近年Osaka (2012)は,能面を表情刺激としてfMRI研究 を行い,悲しみを表す能面は,右扁桃核を活性化させる こ と を示 し た(Osaka, Minamoto, Yaoi, & Osaka, 2012)。 鈴木・小貫(1994)は,能面研究において初めて角度変 化による表情変化を研究したが,能面本体の角度を変化 させることではなく,照明の角度を変化させ,正面,上 45度,下45度,右45度の4方向のイメージ研究を行っ た。さらに,Lyons et al. (2000)は,小面よりもやや年 上の女性がモデルとなっている孫次郎と20代の日本人 女性の顔刺激を同様に角度変化させて提示し,日米比較 している。両者に人間の顔写真の角度変化では有意差が 認められず,能面では日米に有意差が認められ,アメリ カ人よりも日本人の方が「テラス・クモラス」の偏見に 影響をうけて上向きの能面を「快」と判定したが,アメ リカ人は「不快」と判定したという。しかしながら,能 面画像の額と顎(上下)を切り取り,角度変化を目立た ないように工夫して提示すると日米の認知に有意差が認 められなかった。そのため,日本人に適用されたこの能 面テストが海外版として適用される場合は,健常者の データベースを作成し,多民族にも応用できるように工 夫することが必要であることが示唆された。 このように,能面を用いたイメージ研究は意外なこと に歴史が長い。これらの先行研究を受けて,能面テスト を開発した。Lyons et al. (2000)により,日米の表情認 知の差異は文化的偏見の影響を受けるが,極端な上向き の角度のみにおいて生じていることがわかった。そのた め,能面テストでは,水平50度以上の極端な角度の傾 き画像を用いないこととした。能面画像を能面回転装置 に固定し,1度ごとに回転させて100枚撮影した。また その100枚以外にも,横向きや斜め方向からの撮影も試 み,健常大学生にスライド上映し,能面の表情から抽出 された感情語を採取し,因子分析にかけた(簑下他, 1997)。精神病,特に統合失調症患者の判別を目的とし た心理検査を作成するために,統合失調症特有の感情と 言われている「不気味」を加え,10項目の感情項目を 完成させた。 能面と人の顔写真,線描画刺激の比較 表情刺激としての能面の特性を検討するため,能面と
標準刺激を比較した。能面テストと世界基準となってい るEkman の顔刺激 JACFEE (Japanese and Caucasian Facial Expressions of Emotion, Matsumoto, & Ekman, 1988),より シンプルな刺激である線描画(Yamada, 1993)と,能面 刺激を比較することとした。他の表情刺激を用いた表情 認知研究との関係を探った結果,能面テストで用いてい る小面の画像は,少なくとも日本人男女の感情の総体を ほぼ網羅した表出をしていると考えられた。JACFEEと 線描画も能面テストと同様の提示方法を行い,同一認知 空間上に付置した(簑下・山田・山下・森田・佐藤, 2003)。X軸は注意―拒否,Y軸は快―不快と命名した。 線描画の真顔が中点に位置し,そのほかの線描画の表情 はほぼ軸上に位置した。JACFEEはゆがんだいびつな曲 線となったが,能面画像は,第一象限から第四象限まで ほぼ美しい楕円形となった。各画像にあてはまる感情語 をたどっていくと,Schlosbergの円環モデル(Schlosberg, 1954)に準じた結果となった。 能面の表情認知に現れる精神障害 能面の表情認知は健常者と精神障害者では異なるのか を統合失調症患者,うつ病患者で実施したところ,統合 失 調 症 患 者 で は 快 の 方 向 に 偏 っ た 認 知 が 示 さ れ (Minoshita, et al., 2005),うつ病患者では,不快の方向に 偏った認知が示された(永井・簑下・佐藤,2013)。 能面テスト実施方法
能面テスト(Minoshita, Satoh, Morita, Tagawa, &
Kiku-chi, 1999)は,ノートパソコンの画面上の下部中央に各 感情刺激が提示され,中央部に刺激画像が提示される (Figure 1, 簑下,2014)。能面刺激画像は,下向き40度か ら上向き,下 40度まで10度間隔(下40,下30,下20, 下 10,正面,上10,上20,上30,上40)の9画像から なる(Figure 2, 簑下,2014)。感情項目には,基本感情 である6感情(幸せ,驚き,恐れ,怒り,嫌悪,悲し) と微妙な表情である4感情(呆然,不気味,羞恥,落ち 着き)をあわせた 10感情が使用される。そのため,能 面テストのデータ構造は,被験者1名分のデータが,感 情項目×能面画像の角度の2次元のデータのおのおのに 反応と反応時間を格納したデータである(Figure 3, 10感 情×9 画像×2 (反応,反応時間)=180)(簑下,2014)。 感情項目ごとに能面画像はランダム提示され,感情項目 の出現順もランダムである。そのため,セミランダマイ ズされた手順である。完全なランダム提示をすると,被 験者,特に患者が,各感情項目への構えを準備する時間 が必要となり,課題遂行が困難となるため,正確なデー タが採取できないことを考慮したものである。感情項目 と能面画像が示していると感じる表情が一致していれ ば,「はい」を,一致していなければ「いいえ」のボタ ンを押すという強制選択を行わせる。 能面テストの諸変数 感情肯定数 各感情項目に対する「はい」回答数であ る(Table 1, Minoshita, 2014)。能面画像は9枚あるため, 最低得点は0で最高得点は9である。能面画像を評定し
Figure 2. Noh Mask Images (Minoshita, 2014, p. 101, Figure 2).
ているが,その時点での被験者の感情状態を反映しやす いと考えられる。 感情肯定数は一般に円を描くと安定した感情状態であ り,一方向にかたよった反応は妄想傾向,星形ではスト レス状態や,病状悪化を示唆する。 反応時間 一般に感情項目ごとに一定しており,ばら つきがみられる場合は,能面テストに関して,あらかじ めこんなふうに答えようという構えが現れ,詐病を示唆 する場合もある。しかし,発達障害の一部にみられる 「こだわり」が,この反応時間に現れている場合がある。 すなわち反応時間が長く迷いがちな感情項目については 判断困難な状態に陥っていることを示唆する場合もあ る。 感情肯定差数 感情肯定差数は,となりあって,似ている感情項目の 肯定数の差の総和である(Table 1, Minoshita, 2014)。プ ロフィール上は,なめらかでなく,いびつな形になると 20以上になり,精神的に不安定でストレスのある状況 を示すと考えられる。25以上の場合,ストレスが非常 に高く,持続した場合に精神障害を疑う。感情肯定数・ 肯定差指数採点方法をTable 1に示す。 能面テストスコア 能面テストでは,90個のデータを持つが,被験者の 60%以上の答えが得られたデータはそのうち 57 個で あった。Ekman & Friesen (1971)にならい,被験者60% 以上の答えを正解とみなして各被験者の各反応が正解で あると1点を加算し,不正解であるときには,0点を加 算する(Table 2, Minoshita, 2014)。こうして得られた0点 から57点までの範囲を持つスコアを能面テストスコア とした。能面テストスコア採点例をTable 2に示す。 能面テストの信頼性と妥当性 能面テストの信頼性(Test–Retest法)を検討した研究 では,信頼性が検討できた。その研究では,18名の大 学生に対して実施した6日ごとのテスト–リテスト法に よる信頼性係数は,1回目と2回目,2回目と3回目,1 回目と3回目がいずれも0.8以上であり,いずれも1%水 準で有意となった。この信頼係数は,個人の回答が「は Table 1.
The scoring method (positve value・ variation of positive) (Minoshita, 2014, p. 102, Table 1). Tilt
angle Up 40 Up 30 Up 20 Up 10 Front Down 10 Down 20 Down 30 Down 40 Positve value Variation of positive
The absolute value of the difference
Disgust yes yes yes no yes yes no no no 5 disgust–sad 3
Sad yes yes yes no yes yes yes yes yes 8 sad–shy 2
Shy no yes yes no no yes yes yes yes 6 shy–still 1
Still yes no yes no yes no no yes yes 5 still–happy 1
Happy yes yes yes no no no no no yes 4 happy–vacantly 3
Vacantly yes no yes no yes yes yes yes yes 7 vacantly–surprise 5
Surprise no yes no no no no no no yes 2 surprise–weird 6
Weird yes yes yes no yes yes yes yes yes 8 weird–fear 5
Fear yes no no no no yes no yes no 3 fear–anger 4
Anger yes yes no yes yes no yes yes yes 7 anger–disgust 2
Total 32
Table 2.
The scoring method of Noh Mask Score (Minoshita, 2014, p. 103, Table 2).
Tilt angle Up 40 Up 30 Up 20 Up 10 Front Down 10 Down 20 Down 30 Down 40
The average response of a
healthy person yes no ̶ no no no yes yes yes
Sample response yes yes yes no yes yes yes yes yes
Sample score 1 0 ̶ 1 0 0 1 1 1
い」「いいえ」を 1, 0に変換した値であるため,18名の 被験者の肯定数を実施日ごとに合計し,相関を算出した ものである。個人間と他者間の相関の差異を確かめるた めMDS法(多次元尺度法)の非類似度を算出したとこ ろ,個人間(1回目と2回目,2回目と3回目,1回目と3 回目)の非類似度は低く,他者間の非類似度は低くな り,個人の個性が能面テストの出力結果から得られると い う こ と が認 め ら れ た(簑 下・ 佐 藤・ 坂 寄・ 浅 井, 2007)。 能面テストの妥当性について行ったMMPIとの比較研 究では,諸変数が相関していた(簑下他,2007)。また, ロールシャッハ・テストは,統合失調症の病型診断に優 れているが,予後診断においては,能面テストが優れて おり,両者を上手に使い分けることで治療を有効に進め ることができることが示唆された(簑下・森田・佐藤, 2001)。 社会適応度を測定するツールとしての能面テスト 社会精神医学会で発表した研究では,能面テストスコ アが高い得点の患者・デイケア通所中)の場合,高い確 率(判別率 80%)で4年後に就労できていることがわ かった。能面テストスコアが高い程,健常者と同じよう な表情認知を行っているため,日常生活の対人関係がス ムーズであると考えられた(簑下・森田・佐藤・浅井, 2004)。司法精神鑑定例における妥当性の検討を行った 研究では,DSM-III-Rで定められている各種精神症状・ 機能尺度と能面テストの各変数との比較検討を鑑定例 26例について検討した。その結果,診断よりも,精神 科医により評定された責任能力の予測と相関が認められ た。能面テストと社会適応尺度の比較検討を行ったとこ ろ,GAF (全般的機能)が高い程能面テストに対する全 反応時間が短くなった。項目毎反応時間差という,反応
時間の感情項目ごとの時間差が,GAF, GARF, SOFASの 各尺度で示される機能の高いほど,低い,つまりグラフ に示すとなめらかで円形に近づくという結果が得られ た。また怒りに対する反応時間が短いと社会機能が低く なることが認められた(新井・簑下・小畠・佐藤・浅 井,2008)。 能面テストの特性 以上の文献をレビューした結果,能面テストは,対人 機能を測定できる検査であると言える。木彫りの人間の 顔に似せた能面の「表情」を読み取ろうとすることは, 無生物であると知りながらも相手の表情を推測するとい う試みである。そこには,「インクのしみ」と知りなが ら,さまざまな物事に見立てていくロールシャッハ・テ ストと同様の投影が起こっている。ロールシャッハ・テ ストとの違いは,能面が顔であることであり,「曖昧さ」 においては共通している。そのため,能面の表情は,被 験者の表情そのものを投影し,あるいは,逆に意識でき ず無意識に抑圧されていた感情を浮き彫りにする(簑 下・山下・森田・佐藤,1996)。 患者と対面して診断を行う際には,生き生きとした会 話のやりとりができるかどうかという「コンタクト」が 重要である。「プレコックスゲフュール: Praecox Gefuhl (プレコックス感: 以前は,「分裂病くささ」と呼ばれて いた。リュムケが提唱した。)」といった言葉さえある (中井,1984)。このことばは,統合失調症らしい雰囲気 という,何とも曖昧で,とらえどころがない。直接対面 すると強烈な印象を受ける。プレコックスゲフュール は,言葉を超える言葉として歴史上の天才臨床家たちが 苦闘したうえで引き継いできたリュムケの至言である。 とはいっても哀しいことに現代は,そのような強烈な印 象も「客観的」に「科学的」に表現できないと評価され
ない時代である。これらのコンタクトやプレコックスゲ フュールを客観的にデータ化しているのが,この能面テ ストのプロフィールなのではないかと考えられる。この ように,言葉を超えた強烈な印象を可視化しているのが 能面テストなのである(Figure 4)。 実際に,患者やクライエントと対面した時に感じる印 象をカルテ記載する際には,膨大な形容詞,感情語等を 駆使しないとなかなか表現できない。しかし,能面テス トのプロフィールを一見すると,まさにその患者,クラ イエントが表出する感情の質,量がみごとに表現されて いることを経験した(Minoshita & Satoh, 2011)。能面テ ストプロフィールと症例の比較検討を行ったところ,統 合失調症の発症初期には,特有のパターンを示し,上述 した統合失調症に特有な「不気味」認知が健常者と異な り,突出していることがわかった(簑下他,2007)。 ま と め 能面テストの作成と特徴をのべた。能面テストは,現 在のところ,空気を読む能力を測定する心理検査であ り,対人関係能力を知ることができる。また,その時の 被験者の感情状態を正確に表現しうる検査であるといえ る。 引用文献
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