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高齢社会と向かい合う伝統産業について : 和服の文様制作にみる高齢者と伝統工芸

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全文

(1)

社会

合 う伝 統

産業

い て

和 服の文 様 制 作にみ る高 齢 者と伝 統工芸

Traditional Crafts lndustries Confronted with Advanced Age Society

服 部   等 作 神戸芸 術工科 大 学

1 ,

は じめに

 

高 齢

が 文 化 を支えて いる側虧は無 視できない,,例 え ば、極まっ た 腕 と技 を もつ 重要無形 文化財 技 術 保持 者、 いわ ゆ る人 間国宝の指定 は

無 形の 技術

そ して 文化が途 絶 えることがないよ うに文化 継 承の た めの 度でもある。

 

我が 国の 固 有 文 化であ る和服におい て も同様の状況 が あ る。 和服 が 完成に至 る まで には、 その周辺で様々 な材 料、 工程 は もとよ り、 生地の文 様制 作 から染 色 ま で磨きのか か っ た技 術 を さ さえる人々 の 基 盤があ り

世界 的にも特長 あ る 文 化 と なっ て いる   この 伝統 的な 和 服の 文様づ くり を 支 える型 紙 か ら染 色に わ た る 職 人

製 作技 術 を調査 した,,限定した分 野 に もか かわ らず

昭和

30

年 代におい て

6

名いた人 聞 国 宝

持 者 もすで にな くなり

産 業に従事 す る後継 職 人 自体が高齢 をむか え

その延 長 線 上に 日本の伝統文 化 の将来 性が予 見できる

 

本稿で は

和 服のデ ザ イン の原 点と なっ て いる 型紙 製作を支え る環 境 を述べ ることによ り高 齢 問題 と向か い合う伝 統と産 業、そ して そ のサクセス フ ルエ

ジン グ (幸 福 な加 齢 ) を 考えた い。

2 .

型 地 紙

型紙

型染め、 その生 産

 

江 戸初 期の職人 達 が狩野吉信 (

1552

1640

年 )によ る重要文化 財紙 本 着

職 人尽 絵 (川越 市 喜多院蔵品 ) に描かれて いる。 そこで は

型 紙 を 彫 る初老の 男 性

糊 置 きをする男 性

染め と乾燥を する若い女 性、 なら び に手伝 う子 供 が表さ れ

活発に仕 事 をして い る様 子が

み 取 れ る。 i二図

1

 

当 時 は

衣類の 中心は、染 織 技 術によ る和服であり

当然 産 業の 中核 をになっ て い た。 さ らに

型紙 製 作は、

日の

原 版と同様に基 幹技 術となっ ていたた め

所属す る紀 州 藩 (注

1

)にとっ ては

技 術の転 出 はもとよ り門外 不 出の技 術であ り

型紙関連の職 人 達 の育 成は 重要であっ た。   和服における型 染 め 技 術の歴 史 は、

7

世 紀 頃の唐 を 経 由 し遠 くササン朝ペ ル シャよ り輸入 品 と し て纐 纈

臈纈 など型 を使っ た染 色品 が正倉院 宝 物のなかに残 るc

Hattori

 

Tosaku

Kobe Design University

1

  職人 尽 絵 (川 越市 喜 多 院 蔵品 ) (右 :突き彫 り

左 :道具 彫 リ

鮫 小 紋

2

 型紙の例   室町 か ら桃 山時代に か け て辻が花

江 戸時 代に は 江 戸 小紋 型

鹿の 子絞 り

友 褝 染め を代 衣とする完成 度 の高い型染めの手 法と して完 成した、,   極めて細 か な文 様の小 紋の場 合

あ た かも無地の よ うに見え

洗練された江戸小紋の粋が 出現 した。 江戸 後 期以降は文 様の 大小によ る 分類か ら

絹 染め は 小 紋

木 綿地 を 中 形 と呼ぷ ようにな り

和服における デ ザ イン の完成 期にむ かっ た、, [図

21

 

江戸小 紋のデ ザ インを

細に見る と

そ こ に は機械 的 な文 様の反復でない味わい深い微 妙な職 人技が垣間 見 ることがで き

そこ に人 間 と機 械によ る技の決 定 的 な相 違と風 格が ある,   型紙と型 染め制作は

江 戸時 代、 各 地に点 在 して い た が

現 在型紙の生産される地 域は限 られて い る。

26

   sPEciAL  IssuE oF JssD vol

4 No

4 1997 デ サ イ ン学研 究 特集号

(2)

本 調査では職 人 技 術の持ち味 を活 か し た伝 統産 業を 形 成してき た 型紙生 産 地 と して鈴 鹿市 寺 家町

白子 町 (三重県 )、 那 覇 市 (沖縄 県 )、 東 京都

お よ び 型染め と して京 都市、 那 覇 市、 大宜味 村 (沖縄 県 )の 現地調査 をす す めた結 果につ い て 、 全 国の型 紙の

99

%)と して

有名

鹿

寺 家町 (二重 県 )の 「 伊 勢型紙」 につ い て

その 伝 統 技術の 調査 結果の

部 を 述べ る。 [表

1

] 表

1

   伊勢型 紙の概要 (

1992

年調 査 )

伊勢

型紙 組

員 ;総数

102

名 (

む 準組 合員) 型彫

り師   

:正組

員 数

85

名 (注

2

)   内訳、 錐彫 り

25

名 程、 道具彫 り

25

名 程、         彫 り目 (注 染 )

50

名 程   (

1968

年 調 査では、 型地 紙販売 業 者

39

    

型 彫り

約 400

人 以 上 ) 彫 り

組合員 外:

2G

24

名 紙屋 (渋紙)  :現在操業 中

2

軒 /

6

軒 販売 店 (仲買):注 染

一7

着尺

一4 〜 5

3

今日の制 作 技術   今日 に おいて も型 紙製 作に は 多 くの作 業工程

熟 練 した技 術 者が 座作 業中 心によ り進 め ら れ

高度に専門 化し様々な 道具が使われて いる、、型紙の 文化に影響 を うけ触発され た欧米の ステ ン シ ル技 術

さ らにはシル クスク リ

ン技 術、 ひいて は電子回路の基 板 作 成に 至 る

術の点 と なっ ている   現代に おいて和服生 地の文 様 デザインを制 作

そ れ を 染 め る までの 工 程 は

ほ ぼ

3

段 階に分 けること が できる。 まず あ らか じめ 決 め られた文 様の デ ザ インを絹 な ど の生地に型染め す る た め

、7、8

枚に重 ね た 型 地紙 (い わ ゆ る

日本古来の 和 紙に柿 渋を塗っ た柿 渋紙 )に刃 物 を 使っ て型 彫 りや穿孔 し文様 製 作により生 地の染色 用の原 版と な る型 紙 を 得る。

L

2

 

こ の 型紙 を 和服 生 地の

面 にあて

糊 を置 き

乾燥 し た後

生 地を染めて文様 を生 地の さで表 す。 そ れ ぞ れ 型 地紙が 型紙

型染め段 階で は 型紙が出 発点 と なっ ている。  「伊 勢 型 紙」の それぞれの 仕 事に 占め る技 術 者の役 割

、年令

を ふ

め た作 業

工 程の 特 長を 述べ る。

3

1

  型 地 紙 製 作 技 術  型紙の素材となる型地 紙と よ ぶ 渋紙 は、楮 をっ かっ た 日本 伝 統の紙す き製 法による和 紙に柿 渋 を塗布した もの である。 後の 工程に くる高 度な 彫 刻技 術と 共に

強靭で伸 縮しない 和紙が型紙に か か せない。

 

作 業と工 程 は

、1

) 法 造 り:

200〜 50

〔}枚の美濃和 紙 を重 ね て 規格 寸法 に裁 断 する。

2

)紙つ け :お き台に

3

枚の美 濃 和 紙 を紙の 目に従っ てタテ、 ヨ コ、 タ テ と積 層ベニ ヤ板 上に のせ

座 りなが ら柿 渋 を手の旋 回によ り

りか え し塗布 し貼り合わせることに より台紙とす る。

3

)乾 燥 ;紙つ けの 終わっ た紙を 桧の 張板に貼り

天日干しをおこない

さ らに

4

) 室 干 ら し:乾燥 し た 紙 を燻 煙室に いれて、 約

1

週間いぶ しつづ けて

伸 縮 しに くい コ ゲ 茶 色型 地 紙とする。 さ らに もう

度柿 渋に浸 し

H

干 し

室干ら し

乾燥後の型 地 紙を裁 断刀で付 着し たゴ ミ

小 石 とりを繰 り返 した あ と

型 地 紙が完 成 する。  その効 果は

和 紙の特 性 強化、 長期 保 存が ・∫能、 伸 縮 を 抑え

染めに狂いが 生 じない型紙になる。

6G

歳 以 上の 作 業 者 に よ る作 業が、 ほ とん ど手作 業である。 紙 つ 場 合

座姿 勢を とり上半

を紙の お き台にむ け、 美 濃和 紙を紙の 目に従っ て縦

横 と積 層 状にの せ 、柿 渋 をつ けた刷毛を持っ 上腕 を到 達 範 囲の 限界にまで保 持

く りか え し和 紙に塗 布し貼 り合わせ 型 地紙と す る 作 業 を す る

「図

31

  現 在、鈴鹿市におい て操 業 中の紙屋 は

6

軒 中の

2

軒 と存続が危ぶ まれて い る。作 業 環 境と しては 柿 渋によ る臭気、 汚 れ、姿 勢 を考えあわせれ ば、

3K

(汚い、 き つ い

危 険)的環 境 条 件か ら後 継 者の 育 成が困 難と なっ て いる。

3

2

型 紙 製 作 技 術  

般 的に型彫は、数ミリか ら数セ ンチ租 度に型 紙 師 自 らが調整した彫 刻刀の刃先を、文 様の デ ザイ ン下書 きに従いな が ら型地 紙に彫 刻や穿孔する

こ の型 彫 り技 術には

大 き

4

っ の技 術

突 き 彫 り

錐 (きり)彫 り

道具彫 り

縞彫 りにわ け られ

さ らに引 彫 り、

枚 突 き を あげることがで き、 他に その仕上げ と して付 帯的 な糸人 れ技 術が あ る

 

作 業は

5

8

枚の型地 紙を穴 板という高さ約

20cm

前後の作 業 台 (寺家の場 合、 沖縄で は倚座作 業が 見 ら れた)に置い て

現在では直線 や大 きな柄を 彫 る場合 に

肘は少 し浮 か し小 刃を手 前に 引くように彫る。 作 業 姿 勢の安 定の た めにあ ぐらを かいて右 脚部を机の 側に出して座 り

作 業の た めに視線は

型 地紙の真上

デ ザ イ ン学研究 特 集 号 sPECIAL  ISSuEOF  JSsD voL

4 No

4 1997   27

(3)

1

) 法 づ く り (

2

) 紙つ け 図

3

型 地 紙に お け る作 業 者 に常 時 お く姿 勢 を とる。精 密 な凵視 作 業のた め

業台 の 作 業面高さ は

235

か ら

178cm

と低 く設 定 さ れ

脊 椎 を前方に著し

屈曲した猫 背に近いような 拘束された 作 業姿 勢 を とる

  高度 な技 術 を もつ 型 彫の製 作 姿 勢と 道具刀の関係は 密 接である。 最

っ た 型 彫 用の道 具刀 は

特に渋 紙づ く りにより強固 となっ た 型紙の 台紙に 対して意 図 し た文 様の組み合わ せ と最 高の 切れ 味 を もっ て切 り出す 必要がある。  その道 具 類としては

刃物 とするハ ガ ネ材

磨 す る た めの砥 石

固 定 用の台

焼 き入れのた めの

と油、

作 を 効 率 的にま た確 実にする ため 定規

あて場 とよ ぶ製 作 台、 さらに は職人の長い経 験や好み に合わせ て 工

さ れ た工 具 類な どの 道 具 箱が横に常 置され、 こ う した

え 間 ない

良と念 入 りな調整をし た道 具 類が

出来上 が りを左右 すること は述べ まで もない。 (

1

)突き 彫 り 技 術  刃 先 が

1 〜 2

ミ リの 刃で手 前 か ら先へ 刀 を 突 く ようにする突 き彫 り技 術である。 補 強 用に後述する紗 張 りをする事 も多い。 [図

4

」 (

2

) 道具 彫 り

 

彫 り

が 刃 を菱

扇など の形 に組み合わ せ [作 した 道具刀で文様を 彫 り抜く。文 様 と 多 様 な 形 を 均

に表 現するよ う道 具刀の研 磨と調 整が型 紙の完成 度 を 左右する。 「図

5

] (1)刃先を 浮 か し図 柄 を突き 彫 り操 作 図

4

 突き彫 リと作 業 姿 勢 (大杉 石 美 氏) (

3

) 錐 彫 り   錐 彫 りは

刃先が半 円 形の彫 刻刀を 型 地 紙に 垂直に たて

錐を 回 転 させ小 さ な穴を 彫っ てい く 小紋の 技 法で鮫 小 紋

行儀

アラレ等の 種 類 が あ るc

江 戸 小 紋では、 リズ ミカ ル な作 業 (ゴッ ト リ と需 う)で ある。 小紋のな かで もその精 緻さ が 追及される鮫 小紋 の なかに は、 ほ ぼ無 地に近い極 印という約

2.5cm

平 方 中に

1

〔}

00

粒の穴を あけた型 紙まである

単 調 な柄だ け 非 常に高 度 な 技 術 で あ る。 [図

61

1

) 顎で刀 を押下げる操 作 図

5

道 具 彫 リと作 業 姿 勢 (中 村 喬 氏 )

28     sPEclAL  IssuE oF JssD vol

4 No

4 1997 デ ザ イン学 研 究 特 集 号

(4)

1

)刃先を回転 し前 屈 す る 錐 彫 りの姿 勢 図

6

 錐 彫 りと作 業 姿 勢 (六谷博臣 氏 ) 図

8

糸 入 れの技 術 (

4

) 縞 彫 リ

 

定 規と彫 刻 刀で均 等の縞 柄 を 彫る

単 純 作業の よう で

、一

本のを 彫 るの に同じ所を 二度 続 けて小 刀でな ぞ るため

極めて 正確な技 術が 必要で ある。

1cm

幅に 最 高で

11

本の縞 を彫 る神 技のよ うな 型 紙が ある

こ の 彫 りには、 切っ た際の弛みを補 強す る た めの後 述 す る 糸人れ が必 要である。 「図

7

] (

5

) 糸入 れ技術

 

糸入 れ とは

渋 紙に花の 花弁 模 様 を彫れば真んili

が脱 落して模 様ができ な くな り 「型彫

1

工程か ら 必然 的に模 様が脱 落 する

,そこ で花

を彫 らない釣 り と 呼 ぶっ な ぎ を 要 所 につ けrti弁 を持た せ 。 特に 縞 彫 りや、彫 り残しの

ない型紙には型 染 めする時に 動 きやす

不 安定 な た めこ の技 術が必要 と な る「図

81

。   糸入 れの場 合 古 くは、型 地 紙の段 階 で

2

枚には が し

重 ねて彫 っ て か ら

そ の間に絹糸 を 張 り

ズレないよ うに柿 渋で張 り合わせ念入 り な 作 業であっ た。

 

しか し大正

10

頃に絹の網 を彫刻 した型 紙に か ぶ 図

7

縞彫 り (引 彫 ) と作 業 姿 勢 (故 児玉博 氏 ) せ

漆で固定し、 補 強 する紗張 り技 術が開発され

今 日では すべ て紗 を張 り付け ている。 現 在で はこ の糸入 れ 技

出来る 人 はも ういな くなっ た、, いっ ぽう沖縄の 「紅型 」 は あ えて釣 り を 模様に加 え た デ ザ イ ン によっ て効 果 を 出 して いる、,

3

3

型染め工 程

 

型 紙に糊 置 きすることに より染め上 げ

最終的に和 服の反物 となる

その れには糸目糊置 き

伏 せ 糊置 き

地 染め

蒸し

水洗

地 入 れ

色挿 し

蒸 し

ゴ ム水 洗、 湯の し

彩 色

地直 し

付帯 加工 といっ た過 程 を経て完成にいた る

91

 

こ の過 程で は

最 終の 型染めの た め

経験に頼っ た 微 妙な色の 調合

糊と 型 紙の 洗 浄の た め水や蒸気と いっ た染 色工程の作 業 環 境は決 して

快 適な作業環境 とはいえ ず、 また糊 置 きの作 業 も中腰で 繰 り返 さ れ る た め

高 齢 者にはきつ い作 業 となっ てい る

1

) 型 紙へ の糊 置き 図

9

 型染め作 業

デザ イン学 研 究 特 集 号 sPEclAL  IssuE  OF JssD vol

4 No

4 1997   29

(5)

4 .文

様 制

齢 化の

 

ショ ック以

の型

生産の最盛期の頃は

80

歳 位まで作 業した と さ れ るが

今日 では和服産 業自体が 低迷 して いることに加えて

そこ に従事す る 人 々

技 術 者で に

44

、 一

番 高技 術 者

71

歳 と高 齢 化が す す んでい る (注

3

  まず

型地 紙の製 作におけ る高 齢化の問題 として

全 国 的に紙 す き と和紙 生 産 従事 者が高齢化 してい る現 状 が あ る。 その た め

伊勢の 白 子

寺 家の 型紙生 産に おいては

型紙 製

と な る 型 地紙の

確 保の ため美 濃 和紙の原材 料

楮 を産 地 よ り契 約 購入 し原 料 確 保 し

基 本 素 材の備 蓄 を 進め ている。  つ ぎに

型紙の型彫り師 (

4

名 )の 労働 時 間 を調 査 した結果

6

日/週

仕 事

9

時 問 / 日 で あ る。

勢の 型紙 師の 場合は

現在職 人組 合に属す るのが最盛期に

1

000

人 以上いたのが現 在

102

名と減 少 しつ づけ

経 験 年 数

30

か ら

42

年 を 経て、 その ほ と ん どが

50

歳 以 上

熟 練 者にる ほ ど限精 疲 労や腰 痛に悩 まさ れてい る

仕事

に 見

合 う

所 得が合致 しない点 も見逃 せ ない。 後

希望 を す る若い人 が 修業に入 っ ても収入 と熟練 作 業 とのか ね合いか らほと ん どが脱 落 する

ま た 型紙の補 強に用い られるつ な ぎ技 術、当該 技 術 者がすで に いな く、 技 術は

紗 張 りに技 術 転 移し

、存

続しな

なっ て い る。

 

最後に型染め工 程でも

3K

職場のイ メ

ジが強 く 新しい 工場へ の脱 皮に目が向 けられて いる。 京 都の

工場の染 色 部 門は、 いわ ゆ る

3K

職場の特長 が随所に見 ること が出来る

ある染 色工場の場合は

和 服の不振に より

度 廃業に追い込 まれ、 その後、 伝 統の 技 術 を もつ 中高 年 者に再 出 発し た会 社は

当然高 齢化 が す す んで いる 現状であっ た。

5 ,

高 齢 問題 と向か い

う伝統産 業の

5

1

高 齢 問題 と向かい合 う伝統産 業

 高

齢 者にとっ て、 なにより健 康が かけがい の ない こ と は述べ もな

同様の こと が 伝 統 産 業につ い ても言 うことが できる。

 

産 業 として健 全な体

質、

そのた め伝 統 性の健全

維 持、 さ らには脱 皮 あ るいは 革 新が必 要 な 場 合 もある。 そ の結 果、 新 陳代 謝が うなが され

ひ い て は 世 代の 交 代にも結 び 付 く。   本 稿では和 服のデ ザ イン文 様づ く りを さ さえ てきた 型紙 を 中心 とする限られ た分 野につ いて述べ た が

べ てきたよ うな伝 統の技 術が高齢 者によっ て文え られ て い る事 実

さら にこ の分 野で は間違いな く高齢 化と 需 要低迷によりその 存 続が 困難と なっ て い る

戦 後の 生活における 急 速 な欧 米化によ り和 服の 需 要 は

日常 使 用する機 会が減 少し

冠婚葬 祭 や成人 式の におい て着用 する位になっ て いる。  こ の和服の衰 退 と と もに 型地 紙

型紙

ならび に 型 染めの 生産 地におい て後 継 者不 足が大 きな影 響 を受 け

確 実にくる 技 術 者の高齢問題に直面 している。 昭 和

30

年 代におい て

6

名いた人 間 国宝保持 者 もすで にな くな り

調査 した工場の型染め部 閂におい て は 従業 員 に占め る

50

歳以上の比 率が

40

%を越 え、 すで に高 齢社 会 (業 種 )に入 っ た とい え る

 

こ こで産業自体が

面 して い るのは

体 質 的に伝 統 が重 視され、 その た め、 あらゆるもの 、 例と して作 業 姿 勢そ の ものが職 業の要 件となっ て いる傾 向す らみら れ るこ とである,、 これは各種ス ポ

ツ のよう な、 体 技 に関 係する体操

武道に近い完成されたの で あ る。 こ のため作 業の基 本と な る姿 勢が

まず熟練技 術の条 件となる。   茶道

華道

書 道 などの 伝統 的 な 世界作 法で は体 の 姿 その もの

作 その もの が 土 体 で あ る か ら

姿 勢 の大切なこ と は 他の どの よ う な 修 業にも ま して大 切で あ る。 こ の こと か らも和服にか か わ る 型紙づ くり

型 紙

型染 めの伝統のなか で後 継 者 を 寄せ付 け ない ほ ど 完成された姿に なっ て い る。

5

2

伝統 産業の今 後   今回 調査し たの は伝 統 産 業の ごく

面にす ぎない が、 新 人が作 家 活 動か ら 入 りやすい陶 芸、 ガラ ス の伝 統

1/芸分 野 を除い て

全体で は

1

司様の経 過を辿っ て い ると思われる。 いず れにして も新規の需 要 開拓により業 界の活性化の た あのグラ ン ドデ ザイ ンが急 務であり

そ のた め産 業 の需要掘 り起こ し、 伝 統 技 術の ため 次

U11

代の育 成の た め新しい取 り組 み を 取 り上げる 事が出 来 る1

1

)需 要の拡大  インテ リア分 野 (屏 風、 照明 )に進出(白子

東京)、

産 地 デザ イ ンを 積 極 展 開する (沖縄 )

な ど

2

) 生 産 価 格の 引 き 下げ

 

文様パ

み 込 み か ら染 色い た るコ ンピュ

タによる製 造システム の導人

なら びに生産

流通 近 代化 (東 京

京都

イ タ リア)

30   sPEcIAL  IssuE oF JssD  vol

4 No

4 1997 デザ イン学 研究特集号

(6)

3

)コ ンピュ

タ 化生産 システムの 確立

 

シ ル クスクリ

ン の 自動走行によ る印刷 技 術が染 色 工場の普及 し は じめ

生産、 環 境 改 善に直 結 する。 イ タ リアの染色工で見 受けたシス テ ムと人 間の 役 割 分 担で は

すな わ ちコ ンピュ

タ制 御された レ

ル上 を任意に走 行 し長 尺布の印刷 位 置 決め す る 型 (シルク ス クリ

ン)に対 して、 作 業者は

感 性

経 験と 勘を いか せる色 合わせ

位置

わせとい っ た役 割 を持 ち 品 質の鍵 を握る

これは人間 と 自動化 シ ステム の役 割分 担のデ ザインが 円滑に行な われ 職 人の生きがいにっ な がっ て いると思 う

L

10

] 型染め作 業 者と自動 化 (イ タリ ア

・RATTI

社) 図

10 

人 と生産 自動 化の 役 割分担

4

)後 継 者

技 術の育 成

 

主婦 を 中心 とする人を 集 め カ ル チャ

教 室、個 展 発 表会で技 術の普及 を 行 なっ て い る (東 京 )。

 

生 き がいをもっ て伝 統産 業に従 事 する (沖縄 )

5

)ユ

ザの 伝 統に向かい合 う まな ざし

 

伝 統ヘ ユ

ザ が評 価 する新しい視点 が 必要である。 人間 技 と必 要なコス トを再 評 価 し、 新 しい代 替 技 術

後 継 者 を と りこんで こ そ和 服、 さらには世界的 な文 化 の保 存と継承可 能となる

6

まとめ

 

生産 者 側のサクセス フ ルエ

ジング を考え た場 合

の ヒ トをい て蕉命 を 現 在 も織 り続 ける

76

歳の平 敏 子さんと話 し合 うな かで得た。

縄北 部、 大宣味 村の喜如 嘉 (きじょか ) は、

470

名ほ どが 住 む 山岳地帯にありな が ら村の 自慢が 長寿と喜如嘉の 芭 蕉布 (

1974

年 国指 定 無形 重要文化 財 )であり

65

歳 以 上の高 齢 者が

103

90

歳 を越 し た人が

8

人、 さ ら に は

80

90

歳 を過 ぎても芭蕉布の生産に携わ り続 け る 人が多い。   こ の事実 は

高齢社会におい てコ ュ ニ テ

ー、

そ し て生きがいがあるこ とが サ クセ ス フルエ

ジングの

つ の条件 で あ るこ と を 如実に示して いるc  

消 費者側の 態 度はどうであろ うか

効率 的 な 社会面にの み傾 倒して いく

すな わ ち基本となる伝統 を支え る高齢 者 を簡 単に切 り捨て続け る我々情報 社会 にあ る消費 文化へ 態 度 を直 すこと が 健 全 な高齢社 会へ の解 決の側面 がある と 結びたい。

7 .

謝辞

 

本 稿は

伝 統工芸の 世界における 1

姿勢 研 究の

環 と して調 査にあ たり、 各地の現 役 技 術者

お よ び 財 団法 人

姿 勢 研 究所 から多 大な ご 協 力 をいた だいた、, とりわけ 伊勢型紙 師の大 杉 石美 氏

(突き彫り)、 中村 喬氏 (道具 彫 り )

六 谷 博 臣氏 (錐 彫 り )か らは様々 な ご指 摘

さ らには

テキスタイルデザ インの側 面 よ り

松本美 保子 教 授、 戸 矢崎 満男助教 授 よ り貴重 なご 意 見 をいた だいた。   さ らに本十と 沖 縄 紅 型 との 比 較に は沖縄 県立博物 館、 お よび現地の関係者にご 協 力 をいた だ き 実 現できた。 こ こに 関係 者に本稿 を かり御 礼 申 しあ げる次 第である。

8 .

参 考 資 料

D

京 都 国立博 物 館編 :染めの型紙

京 都国立博 物 館

 

1968

2

)山辺知 行 : 日本の美 術

7

 

至文堂

朿京

、1966

 年

9 .

注釈

D

勢型紙が よく知られる理由に

紀 州藩によ る産 業

 

奨 励策と して領 民の生 業を 保 護 した 点 が あ るtt その

 

た め 「

稼ぎ 鑑札

 

を受 け 1通行 手形

1

を入手 し个

 

国 をめぐる行

が保護 され た,、加え て徳川吉 宗の代

 

に幕 府と特別の関係が生じ

この度 は

層の効果  を あげる

2

)昭和

40

年 (

1965

)最 盛期に千人以

L

、 石 油ショ ック

 

まで寺

町内

800

軒、 白子 町の ほと ん ど が 型紙の関

 係

分 野に従 事して いた とされ る

 

伊勢 白子町の

12

代 を数え る 旧家の 寺 尾 家蔵の古文書

 

承には

「 延暦 年 中 (

782

806

年 )に 型紙

 

の型売

4

承徳 年 中 (【

097

1

〔〕

99

年 )に

20

応 長正和 年 聞 (

1311

1317

年 )に

50

人に な り云々

 とす る 起 源に遡 る 記 述 が 見 られる,

3

1992

年 調 査 デ

タに加 算し た,

デ ザ イ ン学 研 究 特 集 号 sPECIAL  tSSuE  OF JssD   vol

4  No

4 1997    31

図 1   職 人 尽 絵 ( 川 越 市 喜 多 院 蔵 品 ) ( 右 : 突 き 彫 り 、 左 : 道 具 彫 リ ー 鮫 小 紋 ) 図 2   型 紙 の 例   室 町 か ら桃 山時代 に か け て 辻 が 花 、 江 戸 時 代 に は 江 戸 小 紋 型 、 鹿 の 子 絞 り 、 友 褝 染 め を 代 衣 と す る 完成 度 の 高 い 型 染 め の 手 法 と し て 完 成 した 、,   極 め て 細 か な 文 様 の 小 紋 の 場 合 、 あ た か も無 地 の

参照

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