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Academic year: 2022

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(1)

降雨による斜面内の地下水位予測式の提案

九州大学大学院 学生会員○粕谷 悠紀 フェロー会員 善 功企 正会員 陳 光斉 正会員 笠間 清伸

1. はじめに

わが国では,急峻な山地や崖地が多い地形条件に加えて,毎年6~7月の梅雨や8~9月の台風などの気象条 件により,斜面災害が多発するという現状がある.降雨による地盤重量の増加や有効応力の低下に起因する斜 面の強度低下などが複合して起こるため,斜面崩壊を予測することは地盤工学的に難しい問題である.そのう え,雨水の集中・浸透・流出過程の複雑さおよび地盤が有する強度特性やばらつきを考慮し,斜面崩壊の危険 性を評価できる雨量の程度を表す指標は,未だに確立されていない.そこで本文は,降雨による斜面崩壊危険 度を予測するための第一歩として,宮崎県のある斜面を対象に降雨による地下水位の変化を明らかにし,それ をもとに降雨による地下水位予測式を提案した.

2. 内容 2.1 分析概要

本文は,宮崎県のある斜面で観測された6つの地点の地下水位 の変動状況やばらつき,降水量データおよび降水量と地下水位の 相関係数を求めた.調査期間は,2006年の4月1日から2007年 の 3 月 31 日である.図-1 のフローに沿って統計分析を行い,

bx a

y = +

で示す一次の関係式を算出した.求めた関係式から,

観測地点における降雨頻度および降雨継続時間による地下水位 の変化を推定した.

2.2 地下水位変動

図-2 にA地点(標高42.3m)の地下水位変動の観測結果を示す.

この地点の平均水位は,GL(地表面)を基準として-20.44m,最高 水位は-18.86m,最低水位は-21.42mであった.また,6月から8 月にかけて地下水位が急激に上昇したことがわかった.これは図 -3の観測地点の日降水量のグラフから,6月から8月の間に数回 発生した集中豪雨に起因すると考えられる.また,A地点での地 下水位の変動幅は,2~3m程度であることも分かった.A地点で は,集中豪雨によって地下水位は急激に上昇したが,観測地点に よってはほとんど変化しない地点,あるいはわずかに低下した地 点もあったため,標高や斜面勾配および地盤強度などによっては 一概には上昇するとは言えない.

2.3 降水量データ

降水量データは,日降水量,時間最大雨量,連続雨量および実 効雨量の4つを検討した.実効雨量とは,前期降雨の影響を考慮 するために,半減期という概念を用いて,過去になるほど小さく なる減少係数を日降水量に乗じて累積した雨量をいう.本文では,

実効雨量は指針案による手法(A案)1 )に基づいて算出した.半減 期は1日,2日,3日の3ケースを比較した.全ての降水量デー タのうち地下水位変動と最も相関性が高かったのは,半減期 1

-2 A地点の地下水位変動

-21.5 -21 -20.5 -20 -19.5 -19 GL-18.5

4月/1 6月/1 8月/1 10月/1 12月/1 2月/1 4月/1

地下水位(m)

標高=42.3m

-20.44(平均) -18.86(最高)

-21.42(最低)

-21.5 -21 -20.5 -20 -19.5 -19 GL-18.5

4月/1 6月/1 8月/1 10月/1 12月/1 2月/1 4月/1

地下水位(m)

標高=42.3m

-20.44(平均) -18.86(最高)

-21.42(最低)

-1 統計分析のフロー

降雨と地下水位の関係式 y=a+bx

・観測地点:A~Fの6つ

・調査期間:2006.4-2007.3 地下水位変動調査

平均水位,最高水位,最低水位

降水量データの決定 宮崎県のある斜面

実行雨量の概念を導入

半減期1日,2日,3日

土木学会西部支部研究発表会 (2008.3) III-076

-483-

(2)

日の実効雨量であった.これを採用した理由は,降水量と地下水 位の変動状況が一番近いためである.

2.4 相関係数

実効雨量と地下水位の相関係数および関係式を統計的に算出 した.関係式は,y=a+bxのような 1 次式を用いた.地点ごと の相関係数,切片aおよび傾きbの算定式を式(1)から式(3)に示す.

=

=

2 2

) ( ) (

) )(

(

i i

i i y

x xy xy

y y x

x

y y x x S

S C S

(1)

x y

xy S

S x C - y

a = (2)

x y

xy S

x S C

b = (3)

ここで,Cxy:実効雨量と地下水位の相関係数,Sx;実効雨量の標 準偏差,Sy:地下水の標準偏差,Sxy;実効雨量と地下水位の共分 散である.A地点において,2006年の6月から8月までの実測 地下水位と関係式に基づき算出した地下水位の結果を図-4 に示 す.図-4 から,急激な実効雨量の増大に対してどちらの地下水 位も同様な変動を示したことから,この地点での関係式が妥当で あると判断される.

2.5 地下水位予測式

対象期間の違いによる切片

a

と傾き

b

の違いを比較するため に,予測期間を複数検討し,

a

b

を算出した.予測期間と日降 水量の関係を表-1 に示す.予測期間によって予測回数が異なる のは,地下水位に影響を及ぼす可能性のある豪雨および集中豪雨 の回数に起因した.その豪雨が発生した日とその前後3日の合計 7日間を1回の予測期間とすることで,実効雨量と地下水位の相 関性を高めた.

予測期間の違いによる関係式の切片

a

と傾き

b

を算出し,その 傾向を探った.図-5にA 地点の地下水位予測式の結果を示す.

集中豪雨によって地下水位が上昇した A 地点では,すべての期 間で傾きが正となった.日降水量が30mm程度の期間(11/15-12/10,

2/14-3/8)では傾きが小さいのに対し,50~60mm 程度あるいは

100mm 程度の期間(4/8-5/13,6/5-7/8,2001.4/1-5/2)では傾きが大 きいことから,傾きは日降水量に比例することがわかった.同様 な結果が得られたのは6地点中3地点であった.

3. おわりに

宮崎県のある斜面の観測データから降雨に対する地下水位特 性を把握し,統計分析を行った.以下に得られた結論を示す.

(1)地下水位変動と最も相関性が高い降水量データは,半減期1

日の実効雨量である.(2)統計的手法により降水量と地下水位の 関係式を導出することができた.

参考文献:1) 社団法人地盤工学会:「豪雨時における斜面崩壊のメカニズムおよび危険度予測」, pp114-116, 2006.

0 50 100 150 200

4月/1 6月/1 8月/1 10月/1 12月/1 2月/1 4月/1 観測地点の日降水量(mm) (2006.4-2007.3)

降水量(mm)

図-4 A地点の予測地下水位と実測地下水位

-21.5 -21 -20.5 -20 -19.5 -19 GL-18.5

0 100 200 300 400 500 600

6月/1 7月/1 8月/1

実測地下水位

予測地下水位 実効雨量

地下水位(m) (mm)

標高=42.3m 図-3 観測地点の日降水量 (2006.4-2007.3)

表-1 予測期間と日降水量データ

予測期間 予測回数 日降水量 a b

2006.4/8-5/13 7日×3 67,23,53(mm) -20.253 0.0037 2006.6/5-7/8 7日×4 98,140,107,210(mm) -19.526 0.0039 2006.11/15-12/10 7日×3 32,38,46(mm) -20.747 0.0019 2007.2/14-3/8 7日×4 39,30,37,30(mm) -20.837 0.0024 2001.4/1-5/2 7日×3 48,50,54(mm) -21.221 0.0062 2001.10/13-10/31 7日×2 72,78(mm)

-5 A地点の地下水位予測式 -22

-21 -20 -19 -18 GL-17

0 50 100 150 200

(2006.4/8-5/13) (2006.6/5-7/5) (2006.11/15-12/10) (2007.2/14-3/8) (2001.4/1-5/2)

下水位(m)

実効雨量(mm)

標高=42.3m 土木学会西部支部研究発表会 (2008.3) III-076

-484-

参照

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