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第 48 回 人 類 働 態 学 会 全 国 大 会 のご 案 内 下 記 の 通 り 第 48 回 人 類 働 態 学 会 全 国 大 会 を 開 催 させていただくことになりました 多 くの 会 員 および 関 係 の 皆 さまのご 参 加 をお 願 い 申 し 上 げます 期 日 :2013

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15. June. 2013

■第48回全国大会・シンポジウム 1

第48回人類働態学会全国大会のご案内  1 プログラム     4 抄録集     7  一般講演 口頭発表  8         ポスター発表 54

■第47回全国大会から 72

座長報告 72

■地方会から 75

「くらしの中の共生」第9回シンポジウム・        第41回東日本地方会大会から  75   第41回人類働態学会 東日本地方会報告 水戸和幸  75   優秀発表賞受賞者から 75 日本人間工学会 九州・沖縄支部第33回大会 人類働態学会 西日本地方会第37回大会 合同開催から 78   大会および地方会についての報告 大箸純也 78   優秀発表賞受賞者から 79

■学会報告・連絡

JHE論文募集 83

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第 48 回人類働態学会全国大会のご案内

下記の通り、第 48 回人類働態学会全国大会を開催させていただくことになりました。多くの会員および、関係の 皆さまのご参加をお願い申し上げます。 期日:2013 年 6 月 15 日(土)13:00~6 月 16 日(日)17:00 (夏季研究会は 6 月 14 日(金) 13:00 から) 会場:和歌山大学システム工学部 大会長: 山岡俊樹 (和歌山大学システム工学部) 連絡先:Tel: 090-1702-5601 E-mail: tyamaoka6@gmail.com 会費(当日支払いのみ): 大会参加費 4,000 円(学生 2,000 円) 懇親会費 3,000 円(学生 1,000 円) 夏季研究会 4,000 円(学生 2,000 円) 夏季研究会懇親会費 4000 円程度(学生 3000 円)

1.学会スケジュール概要

6 月 14 日(金) 夏季研究会 エコロジーの泰斗、南方熊楠を通じて、働態学を 深耕する。 12:15 JR 和歌山駅東口(セブンイレブンの横)集合 13:45 ごろ 南方熊楠顕彰館 30 分講演,その後,見学を予定 15:15 出発 15:45 南部梅林を見学 16:30 出発 18:30 ごろ 懇親会 SAKA BAR くらら (南海・和歌山市駅,徒歩 5-6 分) 6 月 15 日(土) 第 48 回全国大会 1 日目 午前 理事会 午後 基調講演:認知症高齢者の行動特性とケア 環境 和歌山大学,足立教授 一般発表、自転車シンポジウム、懇親会 6 月 16 日(日) 第 48 回全国大会 2 日目 午前 一般発表 昼 総会 午後 ポスター発表、一般発表、表彰式、閉会式 (大会に関する情報は、学会ホームページにも掲載し てあります.併せてご確認ください。)

2.参加予定の方へ

参加登録のお願い 大会参加は当日登録も歓迎致します。しかし、懇親 会などの利用参加人数を把握する必要がありますの で、参加ご予定の方は、以下の事項についてできるだ け事前の早い時期にご連絡をくださいますようお願い 致します。 支払は、大会当日のみとなっております。 <登録事項> メール連絡先:tyamaoka6@gmail.com、 締切は 6 月 14 日 17:00 ・氏名、所属、連絡先(電子メールアドレス、電話 番号)(学生会費がありますので、学生はその旨 を明記してください。) ・懇親会の参加・不参加 弁当は取り扱いませんので、南海電車・和歌山大学 前駅に Value Max のお店がありますので、ご活用くだ さい。 関空 和歌山大学 南部梅林 紀伊田辺

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システム 工学部 バス ルート 徒歩 ルート ②GOAL ①GOAL 交通アクセスについて START 全国大会 ⇒南 海 ・和 歌 山 大 学 前 (1)南海電車和歌山大学前駅、下車、徒歩 18 分、バス で 4 分 (2)JR 和歌山駅から和歌山バスで 25 分(直通バスの場 合) アクセス、バスの時刻表 http://www.wakayama-u.ac.jp/access.html 住宅街 宿泊について 和歌山市内のホテル (1)JR 和歌山駅前:大学行きの和歌山バスの利用 東横イン和歌山、ドーミイン Premium 和歌山、ホテル グランヴィア和歌山、和歌山アーバンホテル (2)和歌山城近く:大学行きの和歌山バスの利用 和歌山東急イン、ホテルアバローム紀の国、ダイワロ イネットホテル 南海 ・和 歌山 市駅方 面 → (3)南海和歌山市駅:南海電車か大学行きの和歌山バ スの利用 ワカヤマ第二富士ホテル 南海和歌山大学前駅からのアクセス GOAL①:バスルート GOAL②:徒歩ルート

3.発表について

・大会当日までに、英文抄録(200 語 程度;JHE 掲載用)をご提出ください。 書式は英文 abstract 用のテンプレ ートファイルに従ってください。 ■一般発表の形式 ・口頭発表時間は、発表 11 分、質疑 応答 3 分、交代時間 1 分の合計 15 分です。 ・プレゼンテーション用にパソコンを用 意します。ただし、ファイルやフォント などは標準的なものにしか対応して いません。 ・ムービー等の特殊な仕様を用いた発 表を行う場合は、ご自身のパソコン をご用意ください。 ・御自身のパソコンを利用する場合、 必ず休憩時間に動作確認をお願い します。 ・以下の場合は大会前のできるだけ早 い時期に事務局までご連絡下さい。

Google Maps - ©2013 Google より 南海和歌山大学前駅

和歌山大学

南海・和歌山市駅 ○ビデオ、書画カメラ、OHP 等パソコ ン以外のメディアを利用する場合。 JR和歌山駅

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■ポスター発表の形式 ・展示場所は A 棟ホールに設置します。ご自分の発表 番号の札のあるボードにポスターをお貼りください。 ・ポスターのボードサイズは 117×180cm です。画びょ うは大会事務局で準備します。 ・ポスターセッションは 6 月 16 日(2 日目) 915 から 15: 00 までです。 ・ポスタープレゼは 12:45 から番号順(P1-P10)に口頭 説明を行います。 1 題につき口頭説明 2 分とします。一言で説明できる ようにしてください。 ・12:45-13:20 は個別の質疑応答の時間とします。発 表者は自分のポスターの前に待機してください。 ・ポスターの撤去は 6 月 16 日 15:00~17:00 にお願い します。 システム工学部 A 棟 A103教室 和歌山大学キャンパスマップ(http://www.wakayama-u.ac.jp/file/campus-map.pdf から)

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第48回人類働態学会全国大会・夏季研究会 プログラム

全体構成

日時 午前 午後 夜 6 月 14 日 夏季研修会:12:15JR 和歌山駅集合 懇親会:18:30 より 6 月 15 日 理事会(10:30-12:00) 受付:12:00 基調講演:13:00-13:55 セッション1:14:10-15:55 自転車シンポジウム:16:10-18:15 懇親会: 18:30-20:30 6 月 16 日 セッション 2:9:15-10:15 セッション 3:10:25-11:40 総会: 11:50-12:45 ポスター:12:45-13:20 セッション 4:13:20-14:50 セッション 5:15:00-16:15 表彰式・閉会式:16:30-17:00

夏季研究会 6月14 日(金) (南方熊楠顕彰館,南部梅林)

12:15 JR 和歌山駅東口(セブンイレブンの横)に集合 (または、南方熊楠顕彰館で集合も可) 15:45 南部梅林を見学 16:30 出発 13:45 南方熊楠顕彰館 到着(/集合) 30 分の講演,その後,見学 18:30 ごろ 懇親会 SAKA BAR くらら (南海・和歌山市駅から徒歩 5-6 分) 15:15 出発

大会第1日目 6月15日(土) (和歌山大学システム工学部A103 教室)

12:00- 受付開始 13:00-13:55■基調講演[A103 教室] 「認知症高齢者の行動特性とケア環境」 足立啓/和歌山大学システム工学部 環境システム 学科教授 14:10-15:55■一般演題:セッション1[A103 教室] 座長:平田一郎/兵庫県立工業技術センター 1-1.文化伝承のツールとしての回想法の活用 鳴瀬麻子/大妻女子大学博物館

1-2.Narrative evidence of the work-family positive spillover in Japanese midwives: A descriptive study using the Multiple Role Map program

1-3.駅利用者の人間行動~上野駅エスカレーター及 び階段利用者の人間行動の比較~ ○福司光成 1)、久宗周二 2)/1)高崎経済大学大学 院 経済経営研究科, 2)高崎経済大学 経済学部 1-4.観察による職場環境調査票の試み 小木和孝/公益財団法人労働科学研究所 1-5.文脈に基づく観察フレームワークの提案 ○安井鯨太、山岡俊樹/和歌山大学システム工学 研究科 1-6.果樹栽培における高齢作業者の生活と健康 ○竹内由利子 1)2)、松田文子 1)、吉川悦子 1)3)、池 上徹 4)、酒井一博 1)/1)公益財団法人労働科学研 究所, 2)川口短期大学, 3)東京有明医療大学, 4)ITI エルゴコンサルタンシー

○Yamada Y1)、Ebara T1)、Kinooka Y1)、Mizuno M2)3)、Hirosawa M2)3)、Kamijima M1)/1)Nagoya City University Graduate School of Medical Sciences, 2)Juntendo University Graduate School of Health and Sports Science, 3)Juntendo University School of Health and Sports Science

1-7.マーカーレス3次元動作計測システムの開発 ○石本明生 1)、本多信夫 1)、足立和隆 2)/1)(株)H ALデザイン研究所, 2)筑波大学

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16:10-18:15■自転車シンポジウム[A103 教室] 司会:真家,植竹 16:10-16:15 (1)概要紹介 真家,植竹 -16:30 (2)自動車事故要因グループ・活動報告 堀野,水野 -16:45 (3)自転車利用者働態研究グループ・活 動報告 真家,植竹,松村 -17:00 (4)住民参加型事業提案グループ・活動 報告 岸田,橋本 17:00-17:15 (5)自転車・道路デザイングループ・活動 報告 岡田,山岡 -18:15 (6)自由討議 18:30-20:30■懇親会[和歌山大学第二食堂]

大会第 2 日目 6月16日(日) (和歌山大学システム工学部A103 教室)

9:15-10:15■一般演題:セッション2[A103 教室] 井上阿英 1)、○岡田明 2)、山下久仁子 3)/1)大阪 市立大学生活科学部, 2)大阪市立大学大学院生活 科学研究科, 3)大阪市立大学研究支援課 座長:松村秋芳/防衛医科大学校 2-1.首都圏における自転車利用の実態把握Ⅰ-自 転車利用時の行動特性と意識に関する質問紙調査 からのアプローチ- ○川田裕次郎 1)3)、藤井啓嗣 2)、中山貴太 3)、芳地 泰幸 2)、水野基樹 2)3)/1)東京未来大学, 2)順天堂 大学大学院 3)順天堂大学 2-2.首都圏における自転車利用の実態把握Ⅱ-事 故およびヒヤリ・ハット体験レポートからのアプロー チ- ○芳地泰幸 1)、藤井啓嗣 1)、中山貴太 2)、川田裕 次郎 3)、水野基樹 1)2)/1)順天堂大学大学院, 2) 順天堂大学, 3)東京未来大学 2-3.日本の道路環境への適合を考慮したトレーラ付 き自転車のデザイン開発 ○前川正実 1)、山岡俊樹 2)/1)株式会社操作デザ イン設計, 2)和歌山大学 2-4.自転車ドライブレコーダーで判るリスクと背景要 因:横浜とニュージーランドネルソンの走行比較 堀野定雄/神奈川大学 10:25-11:40■一般演題:セッション3[A103 教室] 座長:森亮太/長野県立短期大学 3-1.自転車と走行帯を共有する自動二輪車からのド ライブレコーダーによる自転車走行の実態 ○真家和生 1)、鳴瀬麻子 1)、松村秋芳 2)/1)大妻 女子大学博物館, 2)防衛医科大学校 3-2.アイカメラを用いた自転車走行中の若年者及び 高齢者の行動比較 ○植竹照雄、下田政博/東京農工大学大学院農学 研究院 3-3.自転車ブレーキの適切な操作形態に関する人間 工学的研究 3-4.交差点における自転車運転者の行動 ○松村秋芳 1)、真家和生 2)、鳴瀬麻子 2)/1)防衛 医大・生物, 2)大妻女子大・博物館 3-5.生活道路交差点の視認距離が交通参加者の認 知的負荷に及ぼす影響 ○山本あゆ美、髙橋雄三/広島市立大学大学院情 報科学研究科 11:50-12:45■総会・昼食[A103 教室] 12:45-13:20■ポスター発表[A棟ホール](展示時間: 9:00-15:00) P-1.大学生の進路選択に対する自己効力とソーシャ ル・サポートに関する研究 ○北村茉衣 1)、水野基樹 1)2)/1)順天堂大学大学 院, 2)順天堂大学 P-2.自転車のための標識のデザイン要素と設置位 置が視認性に及ぼす影響 原貴子 1)、○岡田明 2)、山下久仁子 3)/1)大阪市 立大学生活科学部, 2)大阪市立大学大学院生活科 学研究科, 3)大阪市立大学研究支援課 P-3.国内の主要学会における自転車研究の研究動 向の把握 ○中山貴太 1)、芳地泰幸 2)、藤井啓嗣 2)、川田裕 次郎 3)、水野基樹 1)2)/1)順天堂大学,2)順天堂 大学大学院,3)東京未来大学 P-4.大学男子サッカー選手における誕生月が人数構 成に及ぼす影響 ○上村明 1)、川田裕次郎 2)3)、広沢正孝 1)3)/1) 順天堂大学大学院, 2)東京未来大学, 3)順天堂大 学

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P-5.避難行動のための手すり誘導システムの研究 第 2 報:触覚サインの開発 ○河原雅典 1)、川原由紀 1)、馬場康明 2)/1)富山 大学芸術文化学部, 2)三協立山株式会社 P-6.絵本の画面構成の分析と GUI への応用の提案 ○上島佳佑、山岡俊樹/和歌山大学システム工学 部デザイン情報学科 P-7.大学生における衝動性とレジリエンスとの関連 ○西田敬志、田中純夫/順天堂大学スポーツ健康 科学部 P-8.筋出力・視覚における感覚的数値と実測値との 差について ○湯川優 1)、竹内京子 1)、松村秋芳 2)、石田裕二 1)、酒井紀行 3)、鈴木拓郎 1)、福島諒 1)、西田育弘 4)/1)帝京平成大院・健康科学, 2)防衛医大・生物, 3)グローバルベイシック, 4)防衛医大・生理 P-9.エコーによる下腿軟組織の解析 ―利き足と羽 状角の関係― ○福島諒 1)、竹内京子 1)、松村秋芳 2)、大瀧晃 3)、 酒井紀行 1)、梅原彰宏 4)、鈴木拓郎 1)、湯川優 1) /1)帝京平成大・院・健康科学, 2)防衛医大・生物, 3)自衛隊体育学校, 4)あおき整形外科 P-10.大学水泳部活動選手におけるバーンアウトとソ ーシャル・サポートの関係性について ○本多里也子 1)、水野基樹 1)2)/1)順天堂大学大 学院, 2)順天堂大学 13:20-14:50■一般演題:セッション4[A103 教室] 座長:河原雅典/富山大学 4-1.メンタルモデル形成過程にみる高齢者と若年者 の違い 森亮太/長野県短期大学 4-2.組み込み型機器のための GUI 設計手法の提案 ○平田一郎 1)、山岡俊樹 2)/1)兵庫県立工業技術 センター生産技術部, 2)和歌山大学システム工学部 4-3.タッチパネル搭載端末での読書における視線お よび操作の特性把握 ○高島実穂 1)、松延拓生 2)、満田成紀 2)、福安直 樹 2)、鯵坂恒夫 2)/1)和歌山大学システム工学研 究科, 2)和歌山大学システム工学部 4-4.暗視環境下の安全視距離:高速道中央分離帯 衝突車追突死亡事故裁判に関与して 4-5.車両減速時の立位方向の違いによる生理学的 及び心理学的評価研究 ○坂本和義 1)、田近秀騎 2)、日野拓也 2)/1)電気 通信大学 産学官連携センター, 2)日野自動車株式 会社 技術研究所 4-6.フィットネスクラブ従業員のレジリエンス向上のた めの組織的支援 ○庄司直人 1)、藤井啓嗣 1)、森口博充 1)、中山貴 太 2)、芳地泰幸 1)、水野基樹 1)2)/1)順天堂大学 大学院スポーツ健康科学研究科, 2)順天堂大学ス ポーツ健康科学部 15:00-16:15■一般演題:セッション5[A103 教室] 座長:岡田明/大阪市立大学 5-1.発話音声と NIRS を用いた作業負担評価法に関 する検討 1 ○立川公子 1)、塩見格一 2)、橋本修左 1)/1)武蔵 野大学, 2)電子航法研究所 5-2.指示内容が曖昧な視覚記号に対する動作の同 期に関する筋電図学的検討 ○髙橋雄三、山本あゆ美/広島市立大学大学院 情報科学研究科 5-3.ヒトの運動行動様式と利き手利き足との関係 ○松村秋芳 1)、竹内京子 2)、中村好宏 3)、樋 桂 4)、 真家和生 5)/1)防衛医大・生物, 2)平成帝京大学, 3)防衛医大・数学, 4)文京学院大学, 5)大妻女子大・ 博物館 5-4.急激な室温の変化が血圧と心電図におよぼす 影響 ○瀬戸山祐一 1)、岡村侑磨 1)、成田裕二 1)、南優 太 1)、千代島諒平 1)、下田政博 2) 、植竹照雄 2)/ 1)東京農工大学農学部, 2)東京農工大学大学院農 学研究院 5-5.下肢開脚幅が股関節回旋角度並びに荷重動揺 軌跡に及ぼす影響 ○竹内京子 1)、松村秋芳 2)、酒井紀行 3)、梅原彰 浩 4)、福島諒 1)、湯川優 1)、片山証子 5)、煙山健仁 6)、岡田守彦 7)/1)帝京平成大・院・健康科学研究 科, 2)防衛医大・生物学, 3)グローバルベイシック・研 究開発, 4)あおき整形, 5)筑波綜合研究所, 6)防衛 医大・生理学, 7)筑波大学 16:30-17:00■表彰式・閉会式[A103 教室] 堀野定雄/神奈川大学

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第48回人類働態学会全国大会 発表抄録

一般演題: 口頭発表25題、ポスター発表10題

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1-1

文化伝承のツールとしての回想法の活用

鳴瀬麻子 大妻女子大学博物館 1.はじめに 本研究は、医療福祉関係で用いられる回想法を、文 化伝承のツールの一つとして活用するための可能性 を探ることを目的とした。 回想法は、1960 年代にアメリカの精神科医ロバート・ バトラーが提唱した。回想法は、過去の楽しい出来事 を思い出し、語ることによって脳の活性化が図られる、 高齢者の介護・認知症予防のための非薬物療法の一 つである。回想法の有効性は、近年の脳内活動研究 からも確認されており、海馬にある過去の楽しい記憶 を回想することにより、報酬系にドーパミンが放出され、 幸福感が生まれることが示されている。 回想法は、主に医療福祉関係で用いられているが、 近年博物館においても、所蔵する資料また施設を利 用した社会活動の一環として取入れられて来ている。 本研究では、医療福祉施設と博物館という異なった 施設において、それぞれどのように回想法が取り入れ られているかを調査し、それに基づいて文化伝承のツ ールとして回想法が活用できるのではないかと考え、 その具体的な方法につき検討を行ったので報告する。 2.社会的背景 現在、日本の高齢化率は 25.1%と 4 人に 1 人が 65 歳以上の高齢者となり、介護給付金受給者は年々増 加傾向にある。こうした背景から、介護や認知症のため の対策が求められており、回想法はその一つの手法と して広く取り上げられてきている。 また、平成に入り、昭和期に使われていた日常生活 用品は、その形態やその使用法が大きく様変わりした。 コンピューターや携帯電話は、その例である。 また、地方では過疎化が進み、伝統的生活の継承 者は都市へと移り住み、都市化生活へと移行している。 家屋・衣料・生活様式も変わり、現在ではかつての生 活スタイルの多くが失われつつある。 3.調査と結果 3-1.医療福祉現場での活用 現在、回想法に関する研修会や講座が様々な団体 により行われている。著者もその中の一つの研修会に 参加し、回想法が実際に医療福祉の現場では、どのよ うに活用するのかの研修に参加した。 回想法の手法は大きく、個人回想法・グループ回想 法・地域回想法に分かれている。時間は、いずれも週 に 1・2 回程度で 1 回約 60 分行なう。 しかし一般に現場の職員は、回想法の有効性を知り つつも、日々のルーティーンワークに追われ実際に取 入れる時間的・人的余裕がないという声が多かった。 3-2.博物館での活用 近年博物館では、博物館が所蔵する昭和期の資料 を用い、福祉行政・医療福祉施設などと連携した取組 みを行なっている。 博物館での回想法は、博物館内の一角に昭和の時 代を再現し個人で来館するシニア世代が利用する方 法や、博物館学芸員が博物館の資料を用いて、介護 施設等で出張回想法を行うなどの手法を用いている。 4.考察 医療福祉施設や博物館での回想法の取組みは、シ ニア世代に、過去の楽しかった思い出や使っていた道 具についての記憶を回想し語ることを目的としている。 しかしさらに、回想法を用いることによって、シニア 世代から若者世代、または若者世代からシニア世代へ と文化を伝承するという相乗効果が出現すると考えら れる。それにより様々な場面で回想法の活用が可能な のではないかと考えた。すなわち、シニア世代からの 資料・情報収集を行うことは、若者世代へと生活文化 伝播を行なうことにつながると言える。また若者世代の 文化をシニア世代に伝播することにもなる。 現在、医療施設や博物館で行われる回想法の多く は、施設や人員が整っているところがほとんどである。 しかし今後、過疎化する地方部において活用できる小 規模施設での回想法の活用を広めることで、シニア世 代の介護・認知症予防とともに、失われつつある生活 文化の保存の可能となるのではないかと考察した。 --- << 連絡先 >> --- 鳴瀬 麻子 大妻女子大学 博物館 〒102-8357 東京都千代田区三番町 12 電話 03-5275-5739 E-mail: naruse@otsuma.ac.jp

(10)

1-2

Narrative evidence of the work-family positive spillover in Japanese midwives:

A descriptive study using the Multiple Role Map program

○Yamada Y1)、Ebara T1)、Kinooka Y1)、Mizuno M2)3)、Hirosawa M2)3)、Kamijima M1)

1)Nagoya City University Graduate School of Medical Sciences, 2)Juntendo University Graduate School of Health and Sports Science, 3)Juntendo University School of Health and Sports Science

1.INTRODUCTION

In order to improve high turnover rate (Full time staffs: 11.9%, New graduates, 8.9%, JNA, 2009) among Japanese midwives and nurses, providing a positive role model of those who developed fulfilled professional career and kept good work-family balance is practical. However, it was unknown about what kind of enrichment working midwives got though their work and family lives when they tried to keep a good balance between them. According to the theoretical study, one phase of enrichment was defined as the “positive spillover (PSP).” Then, this study aimed to collect midwives’ PSP episodes elicited from their multiple roles as midwives, managers (e.g. a nurse manager, a chief, a leader and preceptor), marital partners, mothers, friends (human relationships) and family members.

2.METHODS

Midwives working in a general hospital in Tokyo, Japan were asked to participate in this study. A total of 18 female midwives participated and we collected their data with one-hundred percent response rate. We adopted the Multiple Role Map (MRM) program that required participants to describe PSP episodes within the designated protocol (Yamada et al., 2010, 2011). Although MRM written form could provide us rich and various information, this study focused on five roles (a midwife, a managerial, a marital partner, a mother, human relationship roles) and the free state in which it is not necessary to perform any roles (role-free time) for detecting the features and interaction of PSP episodes. Finally, this study counted the frequency rate of PSP caused in each interface between roles and categorized each PSP episode according to the theoretical framework.

3.RESULTS and DISCUSSION

According to the PSP episodes with high frequency

rate, many midwives got specific knowledge, skills, experience, community and income in performing their midwife’s roles and these benefit positively spilled over to other roles (PSP: midwife to manager=71%, marital partner=82%, mother=53%, human relationships=66%). For example, they fully used their professional knowledge and skills to their own pregnancy, childbirth and parental care. Moreover, their friends, husbands, children and other surroundings respected them and relied on their professional advice. Adversely, many of them described that experience of their own pregnancies, childbirth and parental care helped in-depth understanding of midwife job (PSP: mother to midwife=40%). Additionally, marital partner’s advice, support and understanding were also necessary to continue their professional careers (PSP: marital partner to midwife=36%).

In conclusion, this study showed narrative evidence that playing at least two roles, work and family, enriched their knowledge, skills, experience, community and income.

Acknowledgment

This work was supported by JSPS KAKENHI Grant Number 24700779.

--- << contact information >> --- Yasuyuki Yamada

Nagoya City University Graduate School of Medical Sciences Kawasumi 1, Mizuho-cho, Mizuho-ku, Nagoya 467-8601, Japan

Tel 052-853-8171 FAX 052-859-1228

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1-3

駅利用者の人間行動

~上野駅エスカレーター及び階段利用者の人間行動の比較~

○福司光成 1)、久宗周二 2) 1)高崎経済大学大学院 経済経営研究科, 2)高崎経済大学 経済学部 1.はじめに 現在、交通バリアフリー法により、1 日の乗降客 5000 人以上の駅の構内では、バリアフリー化が進んでいる。 その一環としてエスカレーターの設置も増えている。バ リアフリーに加えてステップ上を歩くことで階段を利用 するよりも早く到達することができる。しかし、エスカレ ーターは通常 1 ステップに 2 人ずつしか乗れないため、 ラッシュ時や列車の到着時など大量の人が乗ると、混 雑し順番待ちをしなければならない1)。久宗の研究で は「上野駅のホームでの列車到着後のエスカレーター 及び階段の混雑状況」に関する研究がある。列車のド アが開いてから地下通路に行く下りの階段とエスカレ ーター、中央通路に行く上りの階段の混雑が解消する までの時間を比較し、下りのエスカレーターより上る階 段のほうが早く混雑が解消することが分かった。 本研究では上野駅での特に混雑の激しい乗り換え 通路で混雑状況と所要時間を調査した。 2.方法 2-1.調査方法 平日朝の通勤ラッシュ時に上野駅の南側地下通路 から東京方面行きの列車が出る 3・4 番ホームに向かう エスカレーター及び階段で、混雑状況と列の最後尾に 並び始めてからエスカレーターに乗車するまでにかか る所要時間(列に並んで待つ時間)を測定した。混雑 度は以下の 5 段階に設定した。また、階段は激しく混 雑することがなかったので3段階とした。 <エスカレーターの混雑度> 1・・・列はなくスムーズにエスカレーターに乗れる 2・・・エスカレーター前で詰まっている 3・・・エスカレーター前から列ができる 4・・・列が7・8番ホーム付近まで続いている 5・・・列が地下改札口付近まで続いている <階段> ①・・・スムーズに通行できる ②・・・階段で詰まっている ③・・・階段前から列ができる 矢印は列の最後尾を示す。数字はエスカレーター混雑度、 丸数字は階段混雑度を示す。なお混雑度1は列なしの状態 を示すため図では省略している。点線はロープ設置位置。 図1 調査場所の見取り図 2-2.調査日時・調査対象 調査時間:7:20~9:40 調査日:平成25年4月1、2、8、15日の計4日間 調査対象:エスカレーターに並んだ人 414人 3.結果 閑散時にエスカレーターの乗車時間は 23 秒(ステッ プを歩いた場合は 15 秒程度)、階段を上る時間は 38 秒程度で、エスカレーターの方が 15 秒程度早かった。 しかし、混雑度1であっても前に人がいる場合はエスカ レーターに乗るまで平均 22 秒、混雑度2のときは平均 33 秒かかった。混雑度 3 以上になると所要時間が増加 し平均 1 分以上かかり、ステップ上の歩行は困難にな った。混雑度が 4 または 5 になった場合は平均所要時 間 1 分 20 秒程度であったが、エスカレーターに乗るま で 1 分 50 秒かかった場合もあった。 7:50~8:45 頃は混雑が激しく、列の長さは増減を繰 り返していた。特に 8:00~8:10 頃は列が地下改札口 付近まで伸びた。7:50~8:45 の時間帯は突発的に混 雑度4~5ことがある。他方、階段はスムーズに通れる 3・4番線 地下ホーム ② ③ 5 ・ 6 番 線 7 ・ 8 番 線 階段 コンビニ 1 ・ 2 番 線 階段 エ ス カ レ ー タ ー 通路 2 3 4 5 3・4番線

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ことが多く、混雑度 1 または2だった。階段前に列がで きたのは、各日とも1~2 回だった。また、調査対象の エスカレーターは整列利用を徹底させるため地下ホー ム側からの通路に誘導ラインと掲示で通路左側から並 んで乗るように案内している。加えて、混雑する時間帯 (7:40~8:50 頃)には列にロープを引き、駅員が立っ て割り込みをさせないようにしている。そのため、この 時間帯は列が長くなりやすかった。また、駅員が階段 の方がすいていると案内していたが、それでも多くの 乗客がエスカレーターに並んでいた。 一方で、ロープを撤去すると混雑度が下がるが、列に 割り込みをする人もいて、調査中に 9 回確認できた。こ のときは混雑度が1や2のときでも、列の後ろから並ん でいた人は 40 秒~1 分かかる場合もあった。 階段については比較的流れており、混雑時間帯でも 混雑度 2 または1であった。混雑度 2 の場合は階段を 上りきってホームに到達するまでに 45~55 秒程度か かっていた。混雑度 3 になり階段前で立ち止まることは 各日とも1~2 回程度で、いずれも1~2 分程度で解消 した。最も混雑しているときでも階段の前で 30 秒程度 待てば階段のステップに到達し、最大では、ホームま で 80 秒程度かかった。エスカレーターの混雑度が 5 の ときでも、階段は混雑度1でスムーズに通行できる場合 もあった。 0:00 0:10 0:20 0:30 0:40 0:50 1:00 1:10 1:20 1:30 1 2 3 4 5 図2 混雑度別のエスカレーター乗車までの所要時間比較 4.考察 朝ラッシュ時などエスカレーター待ちの列ができ、階 段を使うよりも時間がかかっていた。閑散時にはエスカ レーターの方が早く移動できるが、少しでも混雑すると 階段の方が早く行ける。ラッシュ時は、乗客が一部に 集中して、他の個所は比較的すいている傾向もある。 また、本調査を行った上野から東京へ向かう列車の場 合、4 番ホームから出る京浜東北線についてはエスカ レーター降り口付近には平日の 9 時 22 分までは女性 専用車が停止する。したがって、男性客は 3 番ホーム の山手線に乗るか他の車両に移らなければならず階 段の方が早く移動でき、スムーズに列車に乗れると考 えられる。多くの人はエスカレーターの方が早くて快適 と考えるかもしれないが、時間帯や状況によっては階 段を利用することで混雑を避け、早く乗り換えができる と考えられる。 また、ロープや駅員の配置がなくなると列が後ろまで 続いていても途中に割り込みをする人もいた。さらに、 列に割り込んだ人の後ろに続いて並ぶ人もいて列が 複数になり、列が短くても時間がかかる場合もあった。 駅利用者は、混雑時は周囲の混雑状況をみてどの 通路が効率よく移動できるか、臨機応変に判断する必 要もある。複数の行き方がある場合、別ルートを利用 することで快適に移動でき、駅全体の混雑の解消にも つながると考えられる。 参考文献 1)『街角の行動観察』(創成社) 久宗周二 著 --- << 連絡先 >> --- 福司 光成・久宗周二 高崎経済大学大学院 経済経営研究科 〒370-0801 群馬県高崎市上並榎町 1300 1 2 3 4 5 7:25 7:35 7:45 7:55 8:05 8:15 8:25 8:35 8:45 8:55 9:05 9:15 9:25 エスカレーター 階段 図3 時間帯別のエスカレーターと階段の混雑度の比較

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観察による職場環境調査票の試み

小木和孝 公益財団法人労働科学研究所 主管研究員 1.はじめに 参加型の職場環境改善活動では、職場巡視による 改善策の提案をグループワークで行う手法を重視して いる。この自主的に行う職場巡視では、観察により、現 場にある良い実践と必要な改善策を指摘し合って、巡 視後のグループ討議で改善提案に結びつけるすすめ 方が効果を挙げている。そのさい、観察により職場環 境の多要因を同時に取り上げる。幅広く多要因を観察 しやすくする調査票を作成したので、報告する。 参加型職場環境改善活動は、東南アジア地域の中 小企業・農業をはじめとして、多業種に普及しつつある。 アフリカ、中南米など他地域にも広がりつつあり、国内 と韓国・中国でも応用が進んでいる。一方、こうした参 加型職場環境改善を小規模職場にたいする安全保健 支援サービスに取り入れてさらに普及させる動きが進 行中である。とくに「基本職業健康サービス」(Basic Occupational Health Services, BOHS)に参加型改善 手法を組み入れる動きが最近の特徴になっている。 そこで、ベトナムにおける小事業場の職場改善を支 える基本職業健康サービスの支援ツールとして、観察 による職場環境調査票を設計した。多重リスクにたい する改善策提案を容易化することを目標にした。 2.方法 中 小 企 業 に お け る参 加 型 職 場 を 行 う ワ イ ズ 方 式 (Work Improvement in Small Enterprises)の経験から、 良好実践に着目しながら、低コスト改善策提案用のア クションチェックリストを開発する手法を応用した。図 1 の手順を採用してアクションチェックリストと併用する目 的で、多領域の職場環境要因を観察項目として列挙 する調査票を設計した。 ベトナムの基本職業健康サービス(BOHS)のための ワイズ方式ツールの開発プロジェクトに 2010~2012 年 に ILO コンサルタントとして参画した折に、「BOHS アク ションガイド」を作成した。そのさい、BOHS 職員が中小 企業労使とともに利用できる職場環境調査票とアクショ ンチェックリストを作成し、BOHS 普及に役立てた。 この新しい調査票とチェックリストをベトナムの労働省 と保健省合同による BOHS 研修で使用し、参加者の意 見を求めて、上記「ガイド」に加えて刊行した。 3.結果 参加型改善ツール作成の手順に従い、ベトナム中小 企業でワイズ方式を応用して改善された地元の実例を 収集して、中小企業で実施可能な良好実践の範囲を 確認した。図 2、3 に典型例を示した。これらの実践例 とベトナムにおけるワイズ研修結果から確かめられた 職場環境改善範囲を、次の 10 領域にまとめた。 ① 資材取扱い ② 作業台 ③ 機器の安全 ④ 作業場環境 ⑤ 化学リスク ⑥ 福祉施設 ⑦ 個人保護具 ⑧ 作業編成 ⑨ 緊急時手順 ⑩ 安全保健マネジメント 各領域に 3~6 の対応リスク項目を割り振り、36 項目か らなる職場環境調査票を設計した(表 1)。 図 2.資材取扱いとワークステーションの良好実践例 図 3.有害物、機械安全、作業場環境の良好実践例 地元条件での多領域良好実践例を収集 領域ごとに安全・健康・生産性に影響しやす い少数項目を選び、職場環境調査票とアク ションチェックリストを併せ設計 職場巡視による観察のさい職場環境調査票 に記入する参照チェックポイントを編集 参加型研修に使用して有効性を確認 よい事例・改善点を観察する領域を選定 (運搬、操作台、作業環境、休養、チームなど) 図1.小事業場用の職場環境調査票の設計手順

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表 2.調査票と併用の職場環境アクションチェックリスト項目 ① 資材取扱い 1.通路を区分する 2.多段棚・ラックを設ける 3.カート・可動ラック使う 4.重量物にリフター使う ⑥ 福祉施設 25.飲料水・食事場所備える 26.衛生的トイレ・洗い場 27.快適な休息場を設ける ② 作業ステーション 5.材料を届きやすい所に 6.作業面を肘高に調節 7.固定装置を用いる 8.ラベル・標識を付ける ⑦ 個人保護具 28.保護具着用区域を明示 29.保護区使用を訓練する 30.高所作業で保護する 31.保護具を保守する ③ 機器の安全 9.防護装置を備える 10.インターロックを使う 11.緊急操作具を明示する 12.安全な配線にする ⑧ 作業編成 32.困難な職務を改める 33.掲示・指示書を活用する 34.短いミーティングもつ 35.休憩時間を確保する ④ 作業場環境 13.十分な照明を備える 14.高温・寒冷から保護する 15.換気設備をよくする 16.騒音源を隔離する 17.振動を減らす 18.放射線・電磁場から保護 ⑨ 緊急時手順 36.十分な消火器を備える 37.救急キット備えて訓練 38.医療施設と連携する 39.2つ以上の非常口設ける 40.緊急時計画を確立する ⑤ 化学生物リスク 19.有害物にラベル付ける 20.有害物扱い手順を定める 21.溶剤源を隔離・排気する 22.粉じん源隔離・排気する 23.発がん・アレルギー源を坊護 24.生物リスクから保護 ⑩ 安全保健マネジメント 41.事業場ポリシー立てる 42.安全衛生委員会定期に 43.安全保健レポート提出 表1.職場環境調査票のチェック項目と総括記入表 ① 資材取扱い ❑保管と運搬 ❑資材の挙上 ❑床・通路・階段・足場 ⑥ 福祉施設 ❑飲料水と食事場所 ❑トイレ、洗面設備、更衣室 ❑休憩設備 ② 作業ステーション ❑作業姿勢 ❑反復操作 ❑手持ち工具 ⑦ 個人保護具 ❑ヘルメット、手袋、靴、作業衣 ❑耳栓、眼鏡、呼吸保護具 ❑安全ベルト ③ 機器の安全 ❑ガードと安全装置 ❑緊急停止操作 ❑電気配線 ⑧ 作業編成 ❑作業量 ❑連絡とチーム作業 ❑勤務時間、休憩 ④ 作業場環境 ❑照明 ❑温熱条件 ❑空気質と換気 ❑騒音・振動 ❑放射線・赤紫外線・電磁場 ⑨ 緊急時手順 ❑火災リスク、消火器 ❑救急キットと研修 ❑緊急時対ケア ❑非常口と標識 ❑緊急時備えと計画 ⑤ 化学生物リスク ❑ラベルと安全データシート ❑化学物質取扱いと標識 ❑有害物ばく露 ❑粉じん ❑生物学的要因 ❑発がん物質、アレルゲン ⑩ 安全保健マネジメント ❑ポリシーと責任分担 ❑安全委員会と安全代表 ❑安全保健レポート 1) 2) ポジティブな所見 3) 1) ❑すぐ❑助言 2) ❑すぐ❑助言 必要なアクション 3) ❑すぐ❑助言 この調査票の 36 項目について、観察結果から問題 となるか(すぐの改善を必要とするか)どうかの見分け 方を簡明に解説する「チェックポイント集」を作成し、観 察に際して参照できるようにした。この観察に当たり参 照する内容の例を表 2 に示した。 調査票では、36 項目について、労使代表と支援サ ービスチームが合同で現場観察により問題とすべき項 目を記入するようにした。その観察結果から良好所見 と必要な改善点を 3~4 項目書き出すようにした。 併用するアクションチェックリストには、調査票の 10 領域に関する低コスト改善策を、ベトナムの現状に見 合う 43 項目に整理してそれぞれのアクションを提案す るかどぅかを記入するようにした(表 3)。このように、調 査票と提案式チェックリストを併用しやすくした。 表 2.観察に当たり参照するチェックポイント集の内容例 1.資材取扱い 保管と運搬 ・保管棚が安全で届きやすくラベル付きか ・運搬が安全で過大でない負担か ・台車、コンベア等が安全で、良く保守か 2.作業ステーション 反復操作 ・反復操作が安全で過重・単調でないか ・材料・工具届きやすく過大負担でないか 4.作業場環境 照明 ・窓が大きく、きれいか ・作業がしやすい照明か ・局所照明が必要か 騒音 ・上肢距離で会話できない過大騒音か ・耳保護具を適切に着用しているか 5.化学生物リスク ラベルとMSDS ・使用化学物質の種類と使用量は ・資料物質のリストとMSDSがあるか ・労働者がMSDSを利用できるか 溶剤と有害物 ・溶剤・腐食剤から保護されているか ・溶剤の影響を点検しているか ・保護具の使用が適切か 8.作業編成 コミュニケーショ ンとチーム作業 ・管理者のコミュニケーションよく、ポ ジティブな連携が行われているか ・労働者の裁量度は適切か ・職務訓練、指示、チーム作業は適切か ・職務満足について調べる これらのツールを BOHS に関する研修で用いた結果、 ベトナムの現状で中小企業の職場改善支援に用いる ことができることを確かめた。BOHS アクションガイドとと もにウェブ上で活用できるようにする。 4.考察 ワイズ方式を応用して、良好実践を収集して観察に よる職場環境調査票を改善アクションチェックリストと併 用できるように設計できた。基本職業健康サービスに 活用できることが確認できる。小事業場の参加型職場 環境改善に有効に活用していくことが期待される。 --- << 連絡先 >> --- 小木和孝 公益財団法人労働科学研究所主管研究員 〒216-8501 川崎市宮前区菅生 2-8-14 電話 044-977-2121 FAX 044-977-7504 E-mail: k.kogi@isl.or.jp

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文脈に基づく観察フレームワークの提案

○安井鯨太、山岡俊樹 和歌山大学システム工学研究科 1.はじめに 近年,国民の生活に対する価値観がモノの豊かさよ りも心の豊かさへ移り変わってきている.そうしたニー ズを満たすサービスを実現するためには,ユーザ個々 の特性やその文脈に応じたきめ細やかなサービスの 提供が求められ,エスノグラフィーや観察などはユー ザ個々の特性や文脈を把握する方法のひとつである. 図1.ユーリアエンゲストロームによる活動理論図[1] そうした観察調査をより効果的に行うため,個人と文 脈の関係を分析できる理論である活動理論を手がかり に,フレームワークの構築を行った. 1-1.活動理論[1]とは 活動理論とは,「活動」を分析の単位とし,個人を取 り巻く社会やそこで用いられる道具を分析する理論で ある.基本形となるものは「主体-道具-目標」の3つの 要素を三角形で結ぶことによって表され,それらの関 係を分析可能である.その後,ユーリアエンゲストロー ムによって,「ルール」「コミュニティ」「分業」の3つの活 動の背景にある要素を加え拡張された(図1). 図2.提案する観察フレームワークのコンセプト (1)思考のしやすさ 項目数や段階を3つごとに分類し,観察者をフレーム ワークに当てはめることに必死になることなく,頭のな かで関係を思考しながら観察できることを心がけた. 活動理論のメリットは,非常にシンプルな図で多くの 情報を表現できるという点である.例えば,活動の構成 要素は 6 つに分類されるが,線で結ぶことによって,15 の関係を考察可能である.さらに縦方向に項目が階層 的に整理されている. (2)文脈の表現のしやすさ 文脈の表現を豊かにするためには,まず多くの語彙, すなわち観察した現象を表す言葉のバリエーションが 必要である.そして,その上でお互いの言葉がネットワ ーク構造を築きやすい関係であることが望ましい.その 点で活動理論は 6 項目に 15 の関係を意味づけること が可能であり,表現力は高い.さらに強化するために, 活動理論における6項目(主体,道具,目標…)のそれぞ れに活動の貢献度から3つ段階(第一世代,第二世代, 第三世代)を設け,さらに時間軸(過去,現在,未来)の3つ の次元がそれぞれ掛け合わせることにより,54(6×3× 3)通りの語彙を提供可能に拡張した.これにより,様々 な文脈を豊かに表現可能と考えられる. 2.観察フレームワークの提案 従来の観察フレームワークにおける問題点をふまえ て,新しい観察フレームワークを提案する. 2-1.従来の観察フレームワークの問題点 エスノグラフィーや観察の問題点は,観察者の経験 や知識に依存することが多いことである.それらを補助 するための手法としてAEIOUやArtifact Analysis[2]な どのフレームワークやタスク分析が挙げられるが,文脈 を記述する自由度が低いため,状況の描写力に欠け たり,単眼的な見方に陥ったりしまい,文脈の多様性 が削ぎ落とされてしまうという問題がある. 2-2.新しい観察フレームワークのコンセプト (3)複眼的な見方がしやすさ 複眼的な見方がしやすいについてであるが,特に 活動への貢献度(第一世代,第二世代,第三世代)という 軸を与えることによって,複眼的な見方が可能となる. ユーザ分類でなく,ユーザの活動への貢献度で分類 している点が重要であり,同じユーザが3つの世代に 含まれることもある.そのため,同じユーザを観察しても, 3つの切り口から同時に観察することが可能である. 今回フレームワークを開発するにあたって,観察者に おける「思考のしやすさ,文脈の表現しやすさ,複眼的 な見方のしやすさ」に留意した(図2).はじめに,新しい 観察フレームワークの考え方を述べ,詳細な利用方法 などは次の章で述べる.

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2-3.新しい観察フレームワークの概要 観察の手順は,対象把握,文脈把握,現状分析,改 善提案の4つから構成される.概要は図3に示した.ま た,新しい観察フレームワークの開発に先立ち,活動 理論を拡張し,活動理論図の項目は対象に合わせて 変更可能とした.定義例は表1に示した.また,記述し にくい部分は対象に合わせて省略可能とした. (1)対象把握 まず,観察対象の特性を調査する.現在における活 動の対象を把握する.観察手がかりのテンプレート(表 2)を参考に,観察をしながら「主体,道具,目標」を書き やすいものから順番に記述する.観察手がかりのテン プレートの詳細は次の節で示した. (2)文脈把握 図3.観察フレームワークの概要 現在において観察をしながら,「主体,道具,目標」 を観察のレンズとして,背景にある文脈を記述する「ル ール,コミュニティ,分業」の3つを記述する. 表1.活動理論における項目の定義例 (1)活動の中心 主体 (Subject) 活動へ従事するユーザ 目標 (Object) 主体の主な目的 道具 (Instruments) 主体が目的を達成するために 媒介されるもの. (2)活動の社会的背景 ルール (Rule) コミュニティにおける 制約条件 コミュニティ (Community) 主体が所属する集団 分業 (Division of labor ) コミュニティにおける それぞれの人の役割や目的 (3)現状分析 現在における活動理論図の項目が埋まったところで, それぞれの関係(線で結ばれた)についてどのような影 響関係があるか観察をしながら考察し,それに付随す る情報があれば結びつける. (4)改善提案 現在における活動理論図や痕跡やインタビューなど を参考に,過去の活動を類推により記述し,未来にあ るべき姿の活動を予測する. 2-4.観察手がかりのテンプレートの概要 ここでの活動は,観察対象の目指すべき目標である. 活動を解き明かすこと自体が観察の目的であることも ある.活動はそれぞれ複数の行為,行為は複数の操 作と階層関係になっている. 表2.観察手がかりのテンプレート 主体については,マズローの欲求5段階説を参考に 分類を行った.第一世代の典型的ユーザは外的に満 たされたいというユーザで,主に大衆のユーザを対象 とする.第二世代の自己実現型ユーザは内的に満た されたいというユーザであり,主に個々のユーザを対 象とする.第三世代のユーザは,自己実現型のユーザ の中でも,周囲に利益を与えたり,活動全体を促進さ せたりするユーザである. 道具については,消費型サービスと生産型サービス の2種類に分類した.消費型サービスの中で,サービ スの中核を示すものをメインサービス,それらの補助的 な役割を果たすものをサポートサービスとした. 観察手がかりのテンプレートに記述された抽象レベ ルのキーワードを観察対象に合わせて具体レベルに 落として活用する. 表3.観察手がかりのテンプレートの目標の說明 項目の説明 説明 活動の実現 観察対象の目指すべき目標 行為の実現 活動を実現させるための要素 操作の実現 行為を実現させるための要素 活動の貢献度 第一世代 第二世代 第三世代 主 体 典型的 ユーザ 自己実現型 ユーザ 活動貢献型 ユーザ 消費型サービス 道 具 メイン サービス サポート サービス 生産型 サービス 目 標 操作の実現 行為の実現 活動の実現

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3.観察フレームワークの活用方法 あるコーヒーショップを例に観察フレームワークの活 用方法を紹介する.対象把握,文脈把握,現状分析, 改善提案の4つを順番に紹介する. (1)対象把握 コーヒーショップの構成要素を把握する.ここで,観 察手がかりのテンプレートを参照しながら,イメージし やすいキーワードを探す.ここで,主体から記述するこ とにした. 主体を飲食店の文脈に合わせて解釈すると,第一 世代は最も典型的なユーザは「コーヒーを楽しむ客」, 第二世代は自己実現型ユーザということから「店内の 雰囲気を楽しむ客」,第三世代は活動貢献型ユーザと いうことから「クチコミを広げる客」とおける.主体の世代 が上がるにつれてユーザが活動的であることが分かる. その主体をベースにその目標は何であるか,それを 実現させるためにはどういった道具が必要かを記述し たものが表4である.この時点ですべての項目を埋め ることは難しいため,徐々に埋めていくことが求められ る. 表4.観察手がかりのテンプレートを埋めた例 活動の貢献度 第一世代 第二世代 第三世代 主 体 コ ー ヒ ー を 楽しむ客 雰囲気を 楽しむ客 クチコミを 広げる客 道 具 コーヒー… 環境… コ ー ヒ ー 勉 強会… 目 標 安 く て 美 味 し い コ ー ヒ ーを嗜む 気 持 よ い 雰 囲 気 で コ ー ヒ ー を嗜む 潤 い の あ る 社 会 で 暮 ら したい 図 5.現在-第三世代における文脈把握 (2)文脈把握 観察対象を取り巻く文脈を把握する.表4の活動の 貢献度が第三世代のユーザに注目して,その文脈を 活動理論図によって「ルール,コミュニティ,分業」を書 き加えたのが図5である. ここで,コミュニティとして,ただコーヒーを楽しむ客と 比べて,より生活にゆとりのあるユーザであることが推 測され,これを手がかりに観察によって事実を確かめ てその項目を記述すると,観察結果の質を向上させる ことができる. (3)現状分析 文脈把握によって完成した活動理論図を用いて,項 目が線で結ばれた関係を考察する.例えば,ルールと して「会員になる必要がある」とあるが,これと目標との 関係を考察すると矛盾することが分かる. (4)改善提案 改善提案として,会員制を撤廃するなどの案が考え られる. 4.考察 観察フレームワークを使用に際して,そのメリットとデ メリットをまとめ,利用範囲を考える 1)メリット ・観察をフレームに当てはめることによって,新しい観 察の手がかりや,気付きをえることができた. ・項目が限られているため,観察に集中することができ るため,より深い洞察が可能と考えられる. 2)デメリット ・観察フォーマットが非常に書きづらい項目も多い. ・簡易な観察では,手間が多い. 5.まとめ 現状の観察フレームワークの問題点を克服するため, 活動理論を用いて観察フレームワークを開発した.活 用方法の例では,フレームワークに当てはめることによ って,これまで見えて来なかった対象やその関係を見 出すことができ,新しい気付きをえることができた. 観察フレームワークは観察対象によっては使いづら いため,その利用範囲を広げられるよう,簡易版などを 作る必要などがあると考えられる. 参考文献 [1]南條光章,ユーザビリティ ハンドブック,p380-381, 共立出版株式会社,2007

[2]B. Hanington and B. Martin, Universal Methods of Design: 100 Ways to Research Complex Problems, Develop Innovative Ideas, and Design Effective Solutions,p10,14, Rockport Publishers, 2012

--- << 連絡先 >> --- 安井鯨太

和歌山大学 システム工学部 システム工学研究科 E-mail: s145051@wakayama-u.ac.jp

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果樹栽培における高齢作業者の生活と健康

○竹内由利子 1)2)、松田文子 1)、吉川悦子 1)3)、池上徹 4)、酒井一博 1) 1)公益財団法人労働科学研究所, 2)川口短期大学, 3)東京有明医療大学, 4)ITI エルゴコンサルタンシー 1.はじめに 農業労働における高齢化は深刻な課題であり、加齢 による体力低下が転落や転倒による怪我の発生をもた らすリスクが指摘されている。昨今では兼業農家が中 心で、農業以外の仕事を定年退職後に本格的に家業 を継ぎ、専業化する人も多く 70 代、80 代の従事者も珍 しくない。果樹栽培においては、施肥や草刈り,防虫 病害防除の消毒,樹上(または脚立使用による)摘果 作業,収穫作物の運搬といった一連の作業の中、特 に中山間地域では、圃場およびその周辺が傾斜地で あることから、転倒・転落事故発生のリスクは潜在的要 因として常に存在している。 本研究は、高齢者の農作業の活動内容の実態を明 らかにし、健康支援マニュアル作成のための基礎資料 を作成することである。本報告では、果樹(みかん)栽 培に従事する高齢者の実態を、聞き取りおよび活動量、 直接観察によって調査した結果を報告する。 2.方法および結果 首都圏近郊の中山間地域におけるみかん栽培農家 の協力の下、圃場が平坦地,傾斜地,急傾斜地に存 する農家をそれぞれ抽出し、そこで作業に従事する高 齢者に対して次のように調査を行った。 2-1.ヒアリング調査 果樹栽培者の 1 年を通じて仕事の流れ、負担軽減 策、ケガ防止策、健康面での課題、取り組みなどを把 握した。 1)調査期間:2012 年 10 月 11 日(木)13:30~15:00 2)対象:神奈川県内で、みかんを栽培する方(みかん のみではなく、他の作物も作っている方も含む)7 名で、 A~C をグループ1、D~G をグループ2とし、グループ インタビュー形式で実施した。 3)結果 ①大変な作業 大変な作業として、「摘果」「消毒」「コンテナ運搬」が 挙げられた。摘果作業では、男性は木の上部、女性は 木の下部を担当することが多いとのことであった。11 月 ごろから本格化するため腰痛がきつく、精神的にも、身 体的にも疲れる、しんどい作業という意見が多かった。 次に、消毒作業については、山地だとホースが長く 扱いが大変であることや、夏場にも行う農家からは、暑 さがつらいとの意見が聞かれた。熱中症にならないよう、 水分摂取をまめに行うなど、健康管理面でのケアをし ている様子もうかがえた。 コンテナ運搬についは、5 段 6 段の高さまで積むの がきついことや、貯蔵庫での運搬が厳しいこと、高齢化 にともない重いものの運搬が全般的にきつくなってき たこととの意見が聞かれた。 ②健康維持のための工夫 一般的なサラリーマンの定年退職年齢を超えても、 現役で仕事を続けているということを受けて、健康を 維持する工夫を聞いた。 自然の中で風景を楽しむことが長生きの秘訣という 意見や、睡眠時間をきちんと取り、規則正しい生活を し、日々の生活リズムを整えることが大事であるという 意見がうかがえた。また、食べ過ぎない、飲み過ぎな い、翌日に疲れを残さない、無理をした翌々日に体に こたえるので自分の疲れを把握しておくなど、自分の 体調と向き合いながら、仕事に取り組んでいる姿勢が うかがえた。実際に、規則正しい生活を送っている人 が多かった。 ③現在の仕事の方法における課題 実際に、仕事の中で困っていることや、解決したい と考えていることを聞いた。まず、挙げられたのが「荷 扱い」に関することであった。貯蔵庫、木と木の間など、 狭い場所が多く、道具の導入が困難との意見が聞か れた。 スプリンクラーは設置していても、散布する水や消 毒液の量にムラがあり、手作業が欠かせない点が挙 げられた。 霜や雨(葉についた水滴が敵)、雪対策についても、 何か工夫ができないかなどの意見が聞かれた。 1 年を通じてもっとも繁忙な収穫時期における収穫 作業に関しては、手でやらなければしょうがない、機 械化は大変難しいという意見が得られた。特に、貯蔵 みかんについては、傷をつけない取り方にコツが要り、 慎重に手作業で収穫を行っている。他の地域の事例 を参考に、この作業での工夫が進むと、負担は相当 に軽減されると考える。 夏から秋にかけての剪定の際には品質の良いノコ ギリやハサミが必要との意見があった。こうした道具は、 主に農協主催の展示会で、紹介されるものを購入す

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ることが多いとのことであった。 3)結果 みかんの価格(収益)は低く、対象者らの親世代と 比べると、みかんのみを栽培して、必要な収入を得る ことは非常に困難との意見が大半を占めた。売る算段 をつけ、収入に見合うような仕組みを作ることが急務 であると認識している人も多かった。 これらの記録から、作業の種類と内容を分類し、作 業を支える道具、作業における良い工夫、身体的負荷 および危険度の高い安全作業リスクの洗い出しを行っ た。3 名それぞれの結果を写真付き一覧表にまとめる ことにより、良好事例や改善点、課題等が明確になっ た。 2-2.活動量調査 装着型 3 次元加速度計を用いて果樹栽培者の日常 の身体活動量および生活時間を定量的に測定し、そ の実態を把握すること、作業環境や条件の違いによる 身体活動量の差異ついて比較した。 3.考察 ヒアリングから把握された調査対象者の属性、および その作業場所の特性については、同じ農業作物を栽 培しているのにもかかわらず、圃場の環境(特に傾斜 の程度)や規模,方針が三者三様に異なっており、多 様な運営が可能な作物であることが特徴と言える。し かし、このことは逆に、運営上で何らかの変更が必要 な場合、すべての作業者に対して一律の方策では対 応できない事例が生じる可能性を示唆する。 1)調査期間:2012 年 8 月 10 日(金)から 9 月 14 日(金) の 36 日間(連続) 2)対象:ヒアリング調査で参加協力かつ本調査に同意 した果樹栽培作業者 3 名とした。対象者には、調査前 に調査の目的、プライバシーの保護、調査に参加する ことのメリット、デメリット、危険性などについて説明を行 い、同意書への署名をもって調査協力への同意を得 た。活動量計装着期間中は、補助的な記録として、就 寝時刻と起床時刻ならびにその日に行った主要な作 業について、日記形式に記載してもらった。 次に、最盛期に多く見られる摘果作業から、作業観 察により抽出されたリスクの高い場面について述べる。 摘果作業時の姿勢は、通常立位で無理なく手の届く 範囲(地上 1.5m~2m)では最大で肩高より 30cm程度 の挙上、他は直接樹上に上り、または脚立上で前傾姿 勢(20~30 度)を取り、枝に寄りかかったり足をかけな がら、腕を肩、時には頭の上まで拳上する場合もあっ た。 収穫したみかんを入れるカゴは、脚立の中段また は枝にフックで吊るされ、満載になると、そのカゴを片 手で持ちながら降段し、さらに大きな容器へ移し替え ていた。この作業のリスク要素としては、高所での一人 作業である点、拳上作業が続く点、カゴ(満載で 8kg)を 片手に持ちながら降段する点、脚立を立てる場所が限 定され(特に傾斜地)足場が悪い点などが挙げられる。 3)結果 ①対象の生活の実態 3 名の測定期間中の生活実態(作業日、休日、その 他、平均就寝時刻、平均起床時刻)を表 1 に示す。な お、作業日の具体的な内容としては、摘果作業、草刈 作業、消毒作業であった。 表 1 対象者の測定期間中の生活実態 対象者 A さん B さん D さん 作業日 22 日 26 日 32 日 非作業日 10 日 10 日 3 日 その他(会合、研修) 4 日 0 日 1 日 平均起床時刻 6:00 5:41 6:36 平均就寝時刻 21:42 20:36 21:53 斜面における重量物の取り扱いでは、バランスを取る ために左右動揺の頻度が多いことから、一度、滑りが 発生すると転倒につながる可能性が高いことが伺えた。 また、高所作業での昇降では、逆に重量物が姿勢動 揺を抑えるはたらきをしていることから、荷重負荷が突 然消失した場合(持ち手がはずれる等)、一気にバラン スを崩し、転落につながる可能性がある。 2-3.作業観察調査(タイムスタディ) 果樹栽培者の 1 日の作業内容、作業姿勢、道具扱 いなどを目視によって観察した。 1)調査期間:2012 年 12 月 10 日(月)および 12 月 14 日(金) 9:30~16:30 対策としては、滑りにくい適切な靴の選定、圃場の整 備(伐採枝や葉の除去)、堅固な運搬具の確保とその 管理、補助具の使用などが考えられる。 2)対象: ヒアリング調査を実施した農家のうち、承諾を 得られた高齢の対象者 3 名(A さん、B さん、D さん)に ついて、みかんの収穫繁忙期にタイムスタディを実施 した。タイムスタディは 30 秒スナップリーディング法と連 続行動観察記録を併用して行った。観察項目は、作 業姿勢、捻り、重量、物品、作業場所、作業内容、その 他記録すべき状況などを記録した。 --- << 連絡先 >> --- 竹内由利子 公益財団法人労働科学研究所 〒216-8501 川崎市宮前区菅生 2-8-14 電話 044-977-2121(代) FAX 044-976-8659(研究部) E-mail: y.takeuchi@isl.or.jp

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マーカーレス3次元動作計測システムの開発

○石本明生 1)、本多信夫 1)、足立和隆 2) 1)(株)HALデザイン研究所, 2)筑波大学 1.はじめに 今日、主流となっているヒトの3次元動作計測システ ムは、ヒトの身体に赤外線反射素材の球をマーカーと して装着する方法で、取り扱いの簡便さ等の利点があ る反面、かなり高価でマーカーの貼り付けに解剖学的 知識と経験と手間を必要とし、マーカーが必ずしも関 節位置を見ていないという欠点がある。 一般的に複数のカメラを使用した3次元動作計測で のキャリブレーションは、計測エリア内で、複数の基準 点を固定および移動させて行う。これに対して、本報 では、より簡単なキャリブレーション法とマーカーを用 いない3次元動作計測(Anakin)システムをご紹介す る。 2.基本計測システムの構築 2-1.KinectTMとは KinectTMは、Microsoft社が製造、販売しているテレ ビゲーム機Xbox360 用の動作入力用装置である。この 装置には、被写体までの距離を計測できる赤外線カメ ラ 、 通 常 の ビ デ オ カ メ ラ が 内 蔵 さ れ て お り 同 社 の WindowsをOSとするパソコンでも使用することができ る。 2-2.キャリブレーション方法 本システムでは、対象を3次元で計測するため、3 台 の Kinect を、図1に示す計測エリアに向かって設置す る。次に、直径が既知の球(直径 200mm の発泡スチロ ール球)を計測エリア内で移動させることによりキャリブ レーション法を行う 1)。直径 200mm の球は 3 台のカメ ラから見て、共通して 200mm の円に見えることを利用 して、各カメラの座標軸を共通化することができる。具 体的には図1に示すように、計測エリア内の 9 点を通過 するように球を移動して行う。 2-3.マーカーレス動作計測 本計測システムで得られたデータの精度が確認され れば、それと人体の骨格モデルを併用することによっ て、人にマーカーを付けなくても動作解析が可能とな る。以下その根拠について述べる。 計測により得られたデータは 3 次元座標内での表面 座標群である。人体が映り込んでいない状態での背景 としての座標群を動作計測時の座標群から除外して得 られた座標群が計測しようとしている対象物の表面座 標群である。この座標点群に近似する標準人体のモ デルを選択する。その後、動作にモデルを追随させる のであるが、個人差により関節位置が大きく変わる場 合、標準モデルから四肢の長さなどを変更することで 実際の被測定者に最適な個別モデルを生成し直す。 データ時系列を計測開始点に戻し、最適化された人 体モデルで座標点群を追随させ、その関節中心点を3 次元座標として記録するようにする。こうして推測され た関節中心点の位置は、ねじれなどの関節方向の情 報はないが、実際に計測を行った被験者の関節中心 位置に近似している。

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図1 計測エリア及びキャリブレーションにおける球の 移動状況と精度検定用ブロックをおいた床面(A面)、 床から 1.2m の面(B面)及び 1.7m(C面 図には示 されていない)を示す このモデルから関節位置を推定し、さらに、計測中 に、被測定者に合わせて修正する。 2-4.計測結果 キャリブレーションの後、高さ100mm、横200mm、 縦300mmの検定ブロックを床面(A面)の9ヶ所、1.2 m(B面)の9ヶ所、1.7m(C面)の9ヶ所に移動させな がら置き、AnakinSystem によってそれぞれの場所にお ける検定ブロックの寸法を計測し、精度検定を行った。 その結果を表1に示す。 表1 AnakinSystem による検定ブロックの各辺の計算 値と実測値の差の絶対値を実測値で除して求めた 誤差E 計測面 A面 B面 C面 全体 床からの高さ(cm) 5 120 170 平均 0.0094568 0.0103025 0.0085 0.0094198 偏差 0.007442 0.0073255 0.0055595 0.0067848 最大 0.026 0.027 0.027 0.027 最小 0 0.0005 0.0015 0

参照

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