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目次 1 施設耐震化事業基本計画 の策定にあたって 1 2 計画対象施設 1 3 想定地震と被災時の影響 2 (1) 想定地震 (2) 地震被災時の影響 4 耐震診断 6 (1) 耐震診断ガイドライン (2) 耐震診断の結果 5 基本理念と基本方針 8 (1) 基本理念 (2) 基本方針 6 具体的

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施設耐震化事業基本計画

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目 次

1 「施設耐震化事業基本計画」の策定にあたって ・・・・・・・・・・ 1 2 計画対象施設 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1 3 想定地震と被災時の影響 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2 (1)想定地震 (2)地震被災時の影響 4 耐震診断 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 6 (1)耐震診断ガイドライン (2)耐震診断の結果 5 基本理念と基本方針 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 8 (1)基本理念 (2)基本方針 6 具体的な取組み ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10 (1)水道施設の耐震性強化 (2)バックアップルートの強化 (3)備蓄資材の確保 (参考1)これまでの地震対策 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 17 (参考2)施設耐震化事業の進捗イメージ ・・・・・・・・・・・・・ 20

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1 「施設耐震化事業基本計画」の策定にあたって 神奈川県内広域水道企業団(以下、企業団という。)は、給水人口約 800 万人を 擁する神奈川県、横浜市、川崎市及び横須賀市の 4 構成団体(以下、「構成団体」 という。)に対し、その給水量の約 50%を供給する用水供給事業体である。平常 時はもとより、阪神・淡路大震災レベルの大地震が発生した場合にも、構成団体 への安定供給を続け、県民・市民の社会生活や災害復旧活動を支える責務は重い。 企業団が管理する基幹水道施設について、計画的に耐震化を完了し、県民・市 民への地震発生時の安定供給を早期に確立するため、ここに『施設耐震化事業基 本計画』を策定するものである。 2 計画対象施設 企業団は、現在、2取水管理事務所(取水堰を含む。)、4浄水場及び38給水 地点(寒川事業分を除く。)のほか、関連する導・送水施設を管理しているが、全 ての施設が構成団体への安定供給を担う基幹水道施設である。したがって、本計 画では、企業団が管理する全ての水道施設を対象とする。

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3 想定地震と被災時の影響 (1)想定地震 「神奈川県地域防災計画~地震災害対策計画~」(神奈川県防災会議:平成 24 年 4 月)は、想定地震を次のように定めている。このうち、①、②、③、⑧、⑨、 ⑪、⑫の 7 地震については、平成 17 年 3 月に策定された同計画から追加されたも のである。 【神奈川県地域防災計画における想定地震の一覧】

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【神奈川県地域防災計画における想定地震の震源位置図】 「神奈川県地域防災計画~地震災害対策計画~」(神奈川県防災会議:平成 24 年 4 月)p14 より引用 南関東地震や神縄・国府津-松田断層帯地震による企業団施設位置の想定震度 は、震度6強以上である可能性が高い。想定地震は『水道施設耐震工法指針・解 説 2009』において規定しているレベル2地震動「当該施設の設置位置において発 生すると想定される地震動のうち、最大規模の強さを有するもの」に該当する。 【「神縄・国府津-松田断層帯地震」による想定震度階】

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また、企業団と構成団体は、以下の想定地震も加えた上で、水道施設の地震被 害想定を行っており、レベル2地震動相当に対して耐震性能の確保を図っている。 ア 東京湾北部地震(企業団、神奈川県、川崎市) イ 川崎市直下型地震(川崎市) ウ 伊勢原断層帯地震(企業団) エ 立川断層帯地震(企業団) (2)地震被災時の影響 施設耐用年数に基づく計測期間(50 年間)において、レベル2地震動により企 業団施設が被害を受けた場合の影響額※ は、3,300 億円を超えると推計される。 【浄水場別影響区域図】 ※:給水エリアでの生活用水、業務営業用水、工場用水の断水被害額が計上される。給水率 や復旧日数及び計測期間中の地震発生確率が考慮され、耐震化による便益(地震被害軽 減額)として換算される。

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4 耐震診断 (1)耐震診断ガイドライン 平成 17 年 1 月に制定された『水道事業ガイドライン(PI)』において、耐震 化率に関する業務指標が4つ定められた。これらの業務指標では、レベル2地震 動における耐震性能を科学的根拠に基づいて証明することが条件となっている。 企業団では、レベル2地震動における耐震性能を的確に評価するため、耐震診 断ガイドラインを策定した。 ア 入力地震動の設定 入力地震動は、『水道施設耐震工法指針・解説 2009』の「方法4」における レベル2地震動の加速度応答スペクトル(地上構造物で用いる)及び速度応答 スペクトル(地中構造物で用いる)の上限値を用いることを基本とする。 一方、「方法2」で示される企業団施設の近傍で想定されている地域防災計画 等の地震(シナリオ地震)については、中央防災会議が各地域(国土地理院メ ッシュ)の工学的基盤における時刻歴加速度波形を作成しており、「方法4」の 応答スペクトルや時刻歴加速度波形と比較することができる。よって、シナリ オ地震のデジタルデータを内閣府から入手し、シナリオ地震による構造物への 影響を確認する。 イ 耐震計算の方法 耐震計算の方法は、対象施設の構造的特徴や地盤条件などをもとに適切に選 択するものとする。一例として、地下・半地下池状構造物の例を表1に示す。 表1 構造物の解析方法と解析モデル 構造物 解析方法 2 次元 3 次元 地盤と構 造 解説 地下・半地下 池状構造物 震度法 応答変位 法 動的解析 2 次元 3 次元 構 造 物 -バネ 構造物~ 地盤 地表面付近にあって、地盤変位の影響と慣性力の影響を ともに受けるため、震度法でも応答変位法でも適用でき るが、挙動が複雑であるため厳密には動的解析が望まし い。池状構造物では壁効果が期待できるが、一方で 3 次元モデルにおける非線形性の再現が問題となること もあり、3 次元モデルによる線形弾性解析が適用できる 震度法が多くの場合用いられている。ただし、エクスパ ンジョイントの相対変位量については、1 次元地震応答 解析結果との組み合わせによる評価などが必要になる。

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(2)耐震診断の結果 耐震診断ガイドラインに基づいて実施したレベル2地震動による耐震診断結果 は表2のとおりである。 表2 土木構造物と建築物のレベル2地震動による耐震診断結果 耐震診断年度 診断手法 診断結果 飯泉調圧水槽 H22 動的解析 補強必要 社家調圧水槽 H22 動的解析 一部補強必要 社家沈砂池 H20 震度法 補強必要 相模原ポンプ場吸水井 H22 動的解析 補強必要 淵野辺接合井 H22 動的解析 耐震性あり 伊勢原浄水場 H22H20 震度法、応答変位法動的解析 着水井、沈でん池で補強必要給水塔で補強必要 相模原浄水場 H21 震度法 全て補強必要 綾瀬浄水場 H20 震度法、動的解析 全て補強必要 相模原浄水池 H21 震度法 補強必要 相模原調整池1 H21 震度法 補強必要 相模原調整池2 H21 震度法 補強必要 (相模原送水ポンプ所地下含む) 西長沢調整池 H21 震度法 補強必要 藤沢調整池 H20 震度法 補強必要 矢指調整池 H20 震度法 補強必要 淵野辺調整池 H21 震度法 補強必要 保木調整池 H21 震度法 補強必要 港北調整池 H20(横浜市) 震度法 一部補強必要 小雀調整池 H20 震度法 補強必要 朝比奈調整池 H21 震度法 補強必要 田浦調整池 H21 震度法 補強必要 有馬給水井 H21 震度法 補強必要 相模原送水ポンプ所 H21 保有水平耐力計算 耐震性あり (上部建築物のみ) 綾瀬送水ポンプ所 H21 保有水平耐力計算 耐震性あり 小雀ポンプ場 H21 保有水平耐力計算 耐震性あり いぶき野ポンプ場 H21 保有水平耐力計算 補強必要 港南台ポンプ場 H21 保有水平耐力計算応答変位法 ともに耐震性あり建屋、下部工 小雀無線局舎 H21 許容応力度設計法 補強必要 浅間山無線局舎 H21 保有水平耐力計算 補強必要 ※ほとんどの震度法では、構造物特性係数と3次元モデルを採用し、限界状態設計法で断面照査した。  診断結果では、曲げ耐力とせん断耐力がともに不足する構造物が多い。 付帯施設 耐震診断対象施設 導水施設 浄水場 調整池 送水ポンプ 施設 補強が必要な施設の耐震補強について、適切な工法を選定した上で、概算事業

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5 基本理念と基本方針 (1)基本理念 地震災害時にも給水を確保するため、水道施設の被害を抑制する施設整備 を進め、水道利用者や地域社会への影響を最小限にとどめる。 阪神・淡路大震災の事例から想定すると、震災直後から構成団体が復旧作業を 行う際は、漏水箇所を特定する作業等で企業団からの供給が不可欠である。 企業団施設は、構成団体の上流側に位置しているので、耐震性能を確保し、地 震直後に一部の施設能力が低下しても、影響を最小限にとどめなくてはならない。 河 川 浄水施設 取水施設 導水施設 貯水施設 (調整池) 送水施設 P P 構成団体の地震災害対策    (長期ビジョン等による) ・主要施設の耐震化 ・管路網の耐震化 ・相互融通機能の強化 ・応急給水体制の強化 ※災害拠点病院や消火栓 ポンプ場 導水管 導水トンネル 接合井 取水堰 取水口 管理橋 沈砂池 着水井 沈澱池 ろ過池 浄水池 (薬注設備) 排水処理施設 自家発施設 (斜面) ポンプ所 送水管 水管橋 調整池 想定地震 (レベル2) バックアップ強化 安定供給 (2)基本方針 【地震被害発生の抑制】 ア 震災直後でも可能な限り供給を継続できるシステムを構築する。 【影響の最小化】 イ 水系間の相互融通機能を強化する。 【復旧の迅速化】 ウ 調達が困難な資機材を備蓄する。 【施設の長寿命化】 エ 次世代に繋がる水道施設へと長寿命化を図る。

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ア 震災直後でも可能な限り供給を継続できるシステムを構築する。 阪神・淡路大震災レベルの大規模地震が発生した場合でも、安定供給を継続 させるとともに、構成団体へのバックアップを確実にする。主要施設の耐震化 率 100%を目標に、供給停止の影響度が高い施設から順次補強工事を実施する。 イ 水系間の相互融通機能を強化する。 水系間の相互融通機能を強化することにより、地震被災時の構成団体の供給 要請に対応する。 酒匂川系統の導水ルートは、日本でも有数の活動確率の高い活断層(神縄・ 国府津-松田断層)を横断している。活断層の変位により導水管が破損した場 合でも、安定供給に支障がないよう、相模川系統からのバックアップ機能を強 化する。 ウ 調達が困難な資機材を備蓄する。 企業団の管路は、内径 1,000mm を超える大口径管が多く、特別注文生産とな るため、その調達には数ヶ月を要する。 活断層の変位等による被災時、復旧の迅速化に障害が生じることが想定され る資機材は、事前に調達して備蓄する。 エ 次世代に繋がる水道施設へと長寿命化を図る。 「耐震補強とあわせた施設の長寿命化」を図ることを基本とし、施設の健全 度を調査し、その結果を補強工事に反映する。

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6 具体的な取組み 施設耐震化事業基本計画 ア 計画期間 平成 21 年度~35 年度 第1段階(H24 年度まで) → 酒匂川系統導水管における総合的地震対策の完了 第2段階(H27 年度まで) → 東海地震防災対策強化区域内の施設耐震化率100% 第3段階(H29 年度まで) → 応急給水拠点調整池の耐震化率100% 第4段階(H32 年度まで) → 用水供給システムとしての耐震化率100% 第5段階(H35 年度まで) → 施設耐震化率100% イ 総事業費 約 200 億円 ウ 主要施策 (ア)水道施設の耐震性強化 (イ)バックアップルートの強化 (ウ)備蓄資材の確保 企業団のすべての主要施設は、レベル2地震動に対して耐震化を図ることとし、 耐震化率の達成目標は、次のとおりとする。 ※管路の耐震化率について 厚生労働省が主催した「管路の耐震化に関する検討会」では、良い地盤に布設 されている K 形継手等はレベル2地震動に対する耐震適合性を満たすとしている。 耐震化率(水道事業ガイドライン(PI))の達成目標 ア 浄 水 場 の 耐 震 化 率 42.9%(H21 年度実績)⇒100%(H32 年度達成) イ ポンプ場の耐震化率 87.4%(H21 年度実績)⇒100%(H32 年度達成) ウ 調 整 池 の 耐 震 化 率 24.7%(H21 年度実績)⇒100%(H35 年度達成)

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PIの定義による企業団管路の耐震化率は 50.5%(H21 年度実績)であるが、 導水トンネルと一部送水管路を除いて耐震適合性を満たしており、耐震適合率は 87.7%である。 (1)水道施設の耐震性強化 水道施設の耐震性強化の具体的取り組みは、次のとおりである。 ア 耐震性能目標 『水道施設耐震工法指針・解説 2009』では、水道施設の重要度を3段階に定 めている。企業団の全施設は県内水道システムの中でも上流側に位置し、基幹 施設であるため、重要度の高い施設ランクA1に該当する。 表3 水道施設の重要度区分 水道施設 区分 区分内容 ランクA1 重要な水道施設のうち、ランクA2以外の水道施設 重要な施設 ランクA2 代替施設があり、かつ、破損した場合に重大な二次被害 を生ずるおそれが低い水道施設 それ以外の施設 ランクB ランクA1、A2以外の水道施設 (ア)土木構造物 『水道施設耐震工法指針・解説 2009』に示されているとおり、ランクA1の 水道施設がレベル2地震動に対して保持すべき「耐震性能2」とする。 表4 構造物の耐震性能 耐震性能 内容 耐震性能1 地震によって健全な機能を損なわない性能 耐震性能2 地震によって生じる損傷が軽微であって、地震後に必要とする修復が軽微な ものにとどまり、機能に重大な影響を及ぼさない性能 耐震性能3 地震によって生じる損傷が軽微であって、地震後に修復を必要とするが、機 能に重大な影響を及ぼさない性能

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耐震性能の照査は、構造物の部材ごとに行うことが理想である。池状構造物 は止水性に十分配慮することとし、特に地下構造物の外周部材は修復が困難で あるため、地震による損傷程度を軽微に抑えることが必要である。 したがって、耐震補強工事における設計業務では、構造物の部材ごとに損傷 状態を評価できる動的解析を積極的に採用し、合理的な設計を図ることとする。 (イ)管路 企業団の管路は被害事例が少ない大口径管であり、ほとんどが基盤層に布設 されている。また、管路の布設地盤の検証結果と液状化地盤や地盤急変部に布 設されている一般ダクタイル鋳鉄管(K・U 形)の耐震診断結果は良好であった。 管路の更新について、「管路の老朽度調査及び保全計画」を策定し、管路及び 導水トンネルの健全化を図るとともに、耐震性能が低下した老朽管対策に万全 を期すこととする。 (ウ)建築物 官庁施設の建築物については、大地震時における機能保持の観点から、阪神・ 淡路大震災の被害を踏まえ、『官庁施設の総合耐震診断・改修基準』及び『官庁 施設の総合耐震計画基準』が平成 8 年に制定され、耐震基準が強化された。 企業団の建築物は、一般建築物以上に必要な耐震性能を確保することとし、 構造耐震指標(Is値)は重要度係数を考慮した 0.75 以上を確保する。人が常 駐する管理本館などの建築物は耐震化が完了しているため、送水ポンプ棟や無 線局舎などの耐震化を行う。 (エ)設備機器 電気・機械・計装等の設備機器は、構造物への固定等により転倒防止策を講 じ、電線やケーブル配線は、配電盤の転倒・移動に備えて十分な余長を持たせ ることが必要である。これまでに実施した自家用発電設備、受変電設備及び監 視制御設備の対策に引き続き、薬品注入設備等の設置状況を調査し、転倒防止 策等を実施する。 『官庁施設の総合耐震計画基準』によると、企業団施設は構造体がⅡ類、建

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築非構造部材がA類、建築設備が甲類に分類され、耐震安全性の分類は「危険 物を貯蔵又は使用する施設」に該当する。この分類にしたがい、設備機器の耐 震性能目標は『建築設備耐震設計・施工指針』の「耐震クラスS」とする。 イ 耐震補強工法 耐震補強工事の実施にあたっては、次に示す基本的な技術的留意点と方向性 に基づき、工法選択を行う。 (ア)伸縮目地(EXP.J)は耐震継手を採用し、止水性を確保する。 (イ)コンクリート構造物は、耐震補強とあわせて長寿命化を図る。施設の健 全度に応じて、池状構造物における EXP.J の補強や、耐食性及び水密性が 長期間持続する内面保護を施す。 (ウ)浄水に接する面に設置する塗装・継手などの資機材は、『厚生省令第 15 号第 1 条第 17 号ハ 水道施設の技術的基準を定める省令』における基準 値を満たすものを使用する。 (エ)調整池内部昇降階段に手摺を設ける等、今後の施設維持管理向上に資す る。 表5 既設水道施設の耐震補強(例) 施設 構造物 耐震補強の内容 着水井 耐震壁の設置、コンクリート増打ち 沈でん池 コンクリート増打ち、導流壁の補強 浄水場 ろ過池 コンクリート増打ち 調整池 RC 調整池 コンクリート増打ち、耐震壁の設置、伸縮目地 の補強、バイパス管の設置 送水ポンプ棟 耐震壁、鉄筋ブレースなどによる補強 建築物 無線局舎 代替通信手段の検討 耐震性に懸念がある複合的な 管種 布設替え (管路) 老朽管 リペアスリーブの保管

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ウ 耐震補強優先順位の設定 耐震診断の結果、補強が必要な施設については、供給停止時の影響や施工性、 工事期間中の水運用などを検討した上で、優先順位を付け、計画的に工事を進 める。地盤条件の悪い施設や供給停止時の影響が大きい施設から、優先的に補 強工事を実施する。 (ア)浄水場の補強順位 地盤条件や供給停止時の影響、当該地域における地震発生の切迫性や想定震 度を加味し、補強順位を決定した。 第1位 伊勢原浄水場 a 東海地震防災対策強化区域内に位置する。 第2位 綾瀬浄水場 a 基礎地盤は旧地形と谷埋め盛土で造成されており、一部杭基礎 で施工しているが、沖積層であることから地震による被害が大き くなる可能性がある。 b 構成団体の主要配水池に供給しており、大規模地震発生時には、 バックアップ施設としての役割が大きい。 第3位 相模原浄水場 a 構成団体の水運用上の制約から、平成 26 年度以降に本格的な 工事に着手する。 第4位 西長沢浄水場 a 「川崎市水道事業の再構築計画」に伴う浄水場統廃合計画と関 連することから、事前に構成団体と連携を図る必要がある。 (イ)調整池の補強順位 調整池については、応急給水の拠点となる拠点調整池や送水系統の拠点とな る施設から優先的に補強を実施する。 なお、構成団体施設に隣接している調整池については、構成団体の耐震化状 況を考慮し、実施時期を調整する。

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第1位 拠点調整池及び送水拠点 a 拠点調整池 ⇒ 保木調整池、矢指調整池、淵野辺調整池、 朝比奈調整池 b 送 水 拠 点 ⇒ 藤沢調整池、小雀調整池 第2位 田浦調整池、港北調整池 a 田浦調整池に隣接する田浦配水池は耐震性が確保されている。 b 港北調整池に隣接する港北配水池の耐震補強工事が計画され ており、実施時期を調整する必要がある。 第3位 有馬給水井 a 田浦給水地点でのバックアップが可能であるため、後年次で実 施する。 (ウ)導水施設の補強順位 水道システムとして上流側であり、重要度が高い施設である。そのため、補 強時に水運用上の制約を伴う施設は、工法の選定に検討を要することもある。 第1位 飯泉調圧水槽、社家調圧水槽、社家沈砂池 a 東海地震防災対策強化区域内に位置する。 第2位 相模原ポンプ場吸水井

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(2)バックアップルートの強化 酒匂川系統の導水管が横断している「神縄・国府津-松田断層帯」は、日本で も有数の地震発生確率の高い活断層帯であり、最大地盤変位は約 3mと推定され ている。企業団では、導水管が破損した場合、本復旧まで最大 190 日程度を要す るものと想定している。復旧までの間は、相模川系統からバックアップすること になるが、現状では日量約 20 万 m3 程度が限界であり、十分な量とは言えない。 酒匂川系統の停止により、構成団体が復旧作業等に使用する緊急時の供給水量 に不足をきたさないようにするため、社家ポンプ場伊勢原系ポンプを増設し、相 模川系統からの原水融通機能を強化する。 なお、このバックアップルートの強化により、現状では導水を停止して点検で きない酒匂川系統導水路の内部点検の実施が可能となり、適切な保全を行うこと ができる。 相 模 川 伊勢原浄水場 相模原浄水場 西長沢浄水場 曽我接合井 内径3,100mm導水管 導水トンネル 社家-伊勢原系導水 内径1,650mm導水管 社家ポンプ場 酒 匂 川 飯泉ポンプ場 (3)備蓄資材の確保 酒匂川系統の内径 3,100mm 導水管が被災した場合、本復旧までに要する 190 日 間のうち、130 日間は導水管の製作に要する日数である。 復旧期間の大幅短縮を図ることを目的に、被害が想定される区間の導水管をあ らかじめ製作し、飯泉取水管理事務所内に備蓄する。

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(参考1)これまでの地震対策 神奈川県では、東海地震や南関東地震等の大規模地震発生が危惧されており、 企業団では、創設事業の段階から積極的に地震対策に取り組んできた。 平成 7 年 1 月に発生した阪神・淡路大震災により、土木・建築構造物の耐震性 に関する基準や指針が全面的に見直された。水道では、平成 9 年、それまでの指 針が『水道施設耐震工法指針・解説 1997』に全面改訂され、阪神・淡路大震災レ ベルの直下型巨大地震が発生した場合でも、重要な施設については、水道施設と しての機能を確保することとされた。 厚生労働省は、平成 16 年 6 月に策定した『水道ビジョン』において、「浄水場、 配水池等の基幹施設と基幹管路の耐震化率は 100%とする。」とし、水道施設の耐 震化を促している。また、平成 20 年 3 月、『水道施設の技術的基準を定める省令 の一部改正』が公布され、水道施設の備えるべき耐震性能基準が明確になった。 (1)耐震補強 平成 7 年当時、企業団では、相模川水系建設事業(第1期)が最盛期を迎えて いたが、阪神・淡路大震災以前に完成もしくは工事発注していた施設については、 『水道施設耐震工法指針・解説 1997』に基づき、耐震性の確認を行うこととした。 平成 9 年度から平成 10 年度にかけて、平成 9 年以前に設計した施設の耐震診断を 実施し、その後、計画的に取水堰、水路・水管橋、庁舎建築物等の施設について、 約 27 億円を投じて耐震補強工事を進めてきた。 ア 建築物(平成 10 年度~平成 22 年度) 耐力壁の増設、耐力ブレースの設置、梁・柱の炭素繊維による補強等 イ 水路橋・水管橋(平成 7 年度~平成 19 年度) 落橋防止対策、橋脚及びフーチングの鉄筋コンクリートによる補強等 ウ 浄水施設(平成 13 年度~平成 16 年度) 西長沢浄水場、相模原浄水場の池状構造物について伸縮目地を一部補強 エ 飯泉取水施設(平成 16 年度)

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オ 導水施設(平成 19 年度) 相模原調圧水槽の基部について鋼板及びRC巻立複合工法による補強 カ 西長沢浄水場斜面(平成 21 年度) グラウンドアンカーによる補強(二次災害防止) ア 三ツ境本庁舎の耐震補強 イ 相模川水路橋の橋脚耐震補強 ウ 相模原浄水場沈でん池の伸縮目地補強 エ 飯泉取水堰操作室柱の耐震補強 オ 相模原調圧水槽の耐震補強 カ 西長沢浄水場斜面の耐震補強

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(2)バックアップの整備と応急対策 平成 7 年度以降、導水及び送水のバックアップ機能の強化、応急復旧の迅速化、 応急給水体制の整備、地震防災訓練の実施等、ハード及びソフトの両面から地震 対策に取り組んできた。これまでの全ての地震対策を表6に示す。   【 企 業 団 の 地 震 対 策 達 成 状 況 】 ( 平 成 2 0 年 度 末 時 点 ) こ れ ま で の 地 震 対 策 取 水 施 設 ( 耐 震 診 断 の 実 施 と 飯 泉 取 水 施 設 の 耐 震 補 強 ) 導 水 施 設 ( 耐 震 診 断 の 実 施 と 相 模 原 調 圧 水 槽 の 耐 震 補 強 ) 浄 水 場 ( 耐 震 診 断 の 実 施 と 伸 縮 目 地 の 補 強 ) 調 整 池 ( 新 設 構 造 物 の 耐 震 化 ) 水 管 橋 ( 全 橋 の 耐 震 補 強 完 了 ) 設 備 機 器 ( 自 家 発 電 設 備 、 受 変 電 設 備 、 監 視 制 御 設 備 の 耐 震 診 断 と 耐 震 補 強 ) 本 庁 舎 、 取 水 所 と 浄 水 場 の 管 理 本 館 ( 耐 震 診 断 と 耐 震 補 強 ) 導 水 ・ 送 水 ポ ン プ 棟 ( 耐 震 診 断 と 耐 震 補 強 ) 管 路 の 耐 震 化 導 水 管 及 び 導 水 ト ン ネ ル と 一 部 送 水 管 ( 耐 震 診 断 ) φ 1 6 5 0 導 水 管 に よ る 相 互 融 通 緊 急 時 連 絡 管 の 整 備 ( 愛 甲 、 矢 指 、 上 和 田 、 新 石 川 、 小 雀 、 金 沢 隧 道 、 峰 、 朝 比 奈 ) 備 蓄 材 の 確 保 φ 3 1 0 0 ・ φ 1 0 0 0 導 水 管 用 リ ペ ア ス リ ー ブ ・ 接 合 バ ン ド 応 急 給 水 拠 点 の 整 備 伊 勢 原 、 相 模 原 、 西 長 沢 、 綾 瀬 、 淵 野 辺 、 矢 指 、 保 木 、 朝 比 奈 、 太 田 和 社 団 法 人 日 本 水 道 協 会 神 奈 川 県 支 部 災 害 相 互 応 援 に 関 す る 覚 書 社 団 法 人 日 本 水 道 協 会 関 東 地 方 支 部 災 害 時 応 援 に 関 す る 協 定 全 国 水 道 企 業 団 協 議 会 関 東 地 区 協 議 会 災 害 時 応 援 に 関 す る 協 定 静 岡 県 大 井 川 広 域 水 道 企 業 団 と の 災 害 時 に お け る 相 互 応 援 に 関 す る 協 定 阪 神 水 道 企 業 団 と の 災 害 時 に お け る 相 互 応 援 に 関 す る 協 定 東 京 都 と の 緊 急 応 援 給 水 に 関 す る 協 定 書 資 材 等 の 供 給 に 関 す る 協 定 書 、 復 旧 工 事 の 協 力 に 関 す る 協 定 書 災 害 時 に お け る 資 材 等 の 供 給 に 関 す る 協 定 書 ( 民 間 3 3 社 ) 災 害 時 に お け る 復 旧 工 事 の 協 力 に 関 す る 協 定 書 ( 法 人 2 団 体 ・ 民 間 3 6 社 ) 地 震 防 災 計 画 地 震 防 災 計 画 実 施 要 領 地 震 防 災 訓 練 ( 全 職 員 対 象 ) 応 急 給 水 訓 練 ( 構 成 団 体 と 合 同 で 実 施 ) 水 道 の 耐 震 化 計 画 等 策 定 指 針 マ ニ ュ ア ル の 整 備 影 響 の 最 小 化 バ ッ ク ア ッ プ の 強 化 水 道 事 業 者 と の 応 援 協 定 民 間 業 者 と の 応 援 協 定 応 急 対 策 施 設 耐 震 化 対 策 策 建 物 の 耐 震 化 被 害 発 生 の 抑 制 訓 練 の 実 施 復 旧 の 迅 速 化 と 応 急 給 水 の 充 実 復 旧 の 迅 速 化 施 設 の 耐 震 化

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(参考2) 施設耐震化事業の進捗イメージ (1)各目標段階における対策期間 (2)水道事業ガイドライン(PI)の耐震化率推移の想定 0.0% 10.0% 20.0% 30.0% 40.0% 50.0% 60.0% 70.0% 80.0% 90.0% 100.0% H19 H20 H21 H22 H23 H24 H25 H26 H27 H28 H29 H30 H31 H32 H33 H34 H35 年度 耐 震 化 率 2207 浄水施設耐震率 2208 ポンプ所耐震施設率 2209 配水池耐震施設率 2210 管路の耐震化率 平成24年度 年度 酒匂川系統導水管の 総合的地震対策の完了 東海地震防災対策強化区域内の 施設耐震化率100% 応急給水拠点調整池の耐震化率100% 用水供給システムとしての耐震化率100% 第1段階 第2段階 第3段階 第4段階 平成27年度 平成29年度 平成32年度 平成35年度 施設耐震化率100% 第5段階

参照

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