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新潟県のなだれの発生頻度に関する研究

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551,578.48:624,144(521.41)

新潟県のなだれの発生頻度に関する研究

    五十嵐 高 志*

国立防災科学技術セソター雪害実験研究所

The Frequemy of Ava1a皿che Re1ease i皿Niigata P爬fec伽爬

      by

       Takashi Ikarashi

    ∫伽舳加ψ∫伽ωα〃∫・θ肋伽・,Nα伽舳げθ・舳肋C舳2θ・仰    〃・α・〃1〕閉舳肋〃,∫仰・・〃,N昭α・肋,N晦α肋一為舳940,∫ψ舳

      Abst胞ct

  A considerab1e progress has been made in road improvement in Niiga亡a Prefecture,

but safe士y measures for win士er are sti11insu筋cien士・

  Avalanches士hat o㏄ur a1ong亡he roads obs亡ruc七the road−tra冊c and human1ives are occasiona11y工os亡.I士js impor亡an七,亡hen,to know we11the circumstances of ava−

lanches and士o know the relation of avalanches to me亡eoro1ogical factors.

  In this s士udy,士he si亡es,the time and da士e,士he c1ass and士he vo1ume of debris of ava−1anches were investigated a七di丘erent ditricts(Nagaoka,Ojiya,Muikamachi,

Tokamachi,Kashiwazaki,Yasuzuka,Joe亡su,Itoigawa and Tsugawa)in Niigata Prefecture. I七was recognized士hat the frequency of ava1anche re1eases is related to士he average temperature in each district,and a1so to士he士empera亡ure at500mb in the sky above Wajima City,Noto PeninsuIa・

1. まえがき

 わが国の面積の52%に相当する地域は,積雪寒冷地域であり,とくに北陸地方および東北 地方は世界でも有数な豪雪地帯と言われている.かって,これらの地域の村落は,冬季には 外部と連絡する道路が雪で埋まり,陸の孤島になった.今日,これらの村落も広域経済圏に 含まれるようになり,冬季においても道路交通を維持することが必要になった.このため道 路の整備も進み,除雪も行われ,道路の機能は冬季でも働くようになったが,山間を通る道 路が多いために,なだれに対する対応は必ずしも十分でないのが現状である.これらの除雪 した道路になだれがしばしぼ発生し,バトロール班がその箇所を発見し,除雪車がなだれの デブリを取除くために出動するのが通例である.事前になだれ発生箇所を予知したり,ある

*第1研究室

一89一

(2)

国立防災科学技術セソター研究報告 第21号 1979年3月

いはなだれから道路を完全に守るような方策は現状では十分には行われていない.

 この研究の目的は,除雪を行っている道路沿いに発生するなだれの状況を知り,目時別の 頻度分布から何ちかの手がかりをえようとするものである.

2.調査方法

2.1方   式

あらかじめ調査項目を印刷した用紙を冬季に入る以前に,県内の各土木事務所に送付し,

2月末目まであデータを中問報告として向収し,4月末日までに全デニタを回岐した.

また,建設省上越国道工事事務所からも資料を収集した.

2.2項   目

   1976年〜1977年冬瑚 σ調;査地域,磁・

・鐘鰐磁㌃↓

胴}碓 二 則一片  / 9 〜

一ψ    照

安塚地域\滋洲饗

150f牛    鐵 榊

       麸■

㎜数灘鍛ヌ・肝■ 一川

    ・聴 い

一図1調査地域およびなだれ発生場所の分布(1976丁1977年冬期)

一g0一

(3)

 1976〜1977年については発生場所および年月日の2項目である.1977〜1978年について は,さらに発生時刻,規模(長さ,幅,体積),種類(全層,表層の区別),障害の程度など の項目を追加Lた.ここで調査に該当するなだれは,交通障害をひきおこす程度のもので,

あまり小規模のものは含まれていない.

 2.3期間およぴ範囲

 期問は1976〜1977年および1977〜1978年の2冬期で,12月1目から4月20日までである.

調査用紙を送付した箇所は1976〜1977年では,長岡,小千谷,六日町,十日町,柏崎,安 塚,上越,糸魚川および津川の各土木事務所である.

 1977〜1978年では新たに村上,新発田,三条,新津,与板,佐渡の各土木事務所を追加し

ψ

図2 調査地域およびなだれ発生場所の分布(1977−1978年冬期)

一91一

(4)

国立防災科学技術セソター研究報告 第21号 1979年3月

たが,この内,新津,与板,佐渡の土木事務所管内ではなだれの発生はなかった.上越国道 工事事務所の管理する国道は土木事務所の管理区域を通っているが,データは重複していな

し、.

3.調査結果

 3.1発生場所の分布

 1976〜1977年の発生場所の分布を図1に,1977〜1978年については図2に示す.黒点で示 した位置はなだれの発生場所であるが,発生回数に比例して記入されてはいない.したがっ て発生箇所の分布であり,黒点が密になる所は発生頻度が大きく,疎になる所は発生頻度も 少ないと予想はできるが,定量的な意味をもっていない.これらの図から,安塚土木事務所 管内に相当する東頸城郡は,なだれの頻発地域であることがわかる.総発生件数は1976〜

1977年が542件,1977〜1978年が776件であった.

 3.2発生の時期

 1976〜1977年におげる発生件数を地域別に月目をもとにブロットすると図3のようにな る.1977〜1978年については図4のようになる.これらの図から地域によって発生件数は異

な だ れ 発 生 状 況

津川地域

5 99件

長岡地域

150   64件5

小千谷地域

5 61件

十目町地域

5 33件

六目町地域

28件

柏崎地域

32件

安塚地域

10  150件5

上越地域

5 42件

糸魚川地域 8件

建設省 5 25件

全  域 ︵新聞報道を 除く︶ 252015 542件105

新聞報道

5  35件

DEC.

」AN.

FEB. MAR、

^PR.

1976 1977

図3地域別なだれ発生状況(1976−1977年冬期)

一92一

(5)

な だ れ 発 生 状 況

件 数

村上地域

25件

新発田地域

10件

津川地域

1510 56件5

三条地域 1件

長岡地域

13件

小千谷地域

10,138件

十日町地域

・ 65件

六日町地域 9件

柏崎地域

48件

安塚地域

20151︐348件5

上越地域

21件

糸魚川地域

42件

全  域 ︵新聞報i賛を 除く︶ 35302520776件15105 日件数 ⁝/蒼 倉

新聞報道

5 26件

月 DEC. 』AN. FEB. MAR. APR.

1977 197 8

図4地域別なだれ発生状況(1977−1978年冬期)

な7 だ れ 発5 生 頻 度・

9

8

197碑〜19榊η

7 6 5

4 1 ■

3

2

!■

1

0 2 3 11121 31 1ア1目1亨0212

口± 古11 川朝昼夜盃

時刻

朝昼夜請

図5時刻別なだれ発生頻度(%)

一93一

(6)

国立防災科学技術セソター研究報告

%  1977年〜1978年冬期  %

種8 類

別 な6 だ れ 発4

頻3 度

10

9 14.2 42.9

□ □

8

←層

7 6

.表

5

r層:

4

■●■●●

□「.

●■・1■●

r,

3 ●;■;■ ●■■●■ ●;□: !■■

2 ●=■:1

■●●●● ;一:1■

. l1!・1﹁・ 1 ●.1・1●■ ●■●■●

11 ●︒●●●● ■●●●●

■●●■● ■●● ●1:

0

村新津三長小十六柏安上糸

発 千日目 魚

上田川条岡谷町町暗壕越川

100 90 80 70 60 50 40 30 20 10

 0

上田川条岡谷町町崎塚越川域

図6地域別のなだれの種類別発生頻度(%)

1977年〜1978年冬期

第21号 1979年3月

な150 だ

れ1。。

発 生

  50

件 数

0

   夫見    キ莫    不\

   明

500m;以上\

 0   1   2   3   4   5(x102・m3)

なだれのデブリの体積

 図7 なだれのデブリの規模別発生件数

なっても,月目別の傾向は似てお り,図3では1月上旬,2月中旬お よび下句に多発し,図4では1月上 旬,2月中旬,3月上旬および中旬

に多発している.

 3.3発生時刻

 新潟県全域のなだれの発生時刻別

頻度を図5に示す.5時から7時お

よび13時から16時の問に多発してい る.これは宮崎健三(ユ948)の報告 とほぼ…致している.

 3.4 なだれの種類

 種類別の発生頻度を地域別に分け て図6に示す.全層なだれ80.9%,表 層なだれ18.7%,識別不明0.4%で ある.六日町および十日町は多雪地 ではあるが,閉鎖されて通行不能に なる道路が多く,この調査の対象と なる除雪の行われている道路は少な い.また除雪されている道路は,な だれ防止施設が整備されており,そ うでない所でも人為的になだれを起 し斜面の積雪を取除くなど,安全施 策がゆきとどいているので,この調 査での全屑なだれの発生件数は少な くなっている.しかし表層なだれの 防止策はなかなか困難なため,この

地域では全層なだれ発生件数より

表層なだれ発生件数が多くなってい る.安塚,小千谷,津川地域は山岳地帯になり,地形も急しゅんた所が多いため発生件数は 多い.新発田,三条,長岡,上越の地域は平野部が多く,村上,柏崎,糸魚川の地域は沿岸 部が多い.これらの地域は降雪量も少ないため,なだれの発生件数も少なくなっている.

 3.5 なだれの規模

 規模別の発生件数を表1に示す.新潟県全域の規模別発生頻度を図7に示す.表1からわ

      一94一

(7)

    地域名 なだれ

 の規模(m3)

  10m3以下

  10−20   20 30   30−40   40−50   50−60   60−70   70−80   80_90

  90−100   100−110   !10_120   120   130_140   140_150   150 160   160_170   170_180   180 190   190_200   200_210   210_220   220_230   230_240   240_250   250_260   260 270   270_280   280_290   290 300   300_310 310_320 320_330 330 340 340_350 350_360 360_370 370_380 380_390 390一_400

表1地域別なだれのデブリの規模別発生件数 村

3.

2

2■

31

新津I三長小十六柏

雷川条r出コ碁1晶品崎

1■

1

1

1  3

12■

6■

21

1 1

l   l

■   1

1

30  7

33 27

14  6 10  5 11  51

4  4■

2

4  2■

211

3i

一」_一

  3

2  2

11

1  1■

3 1

1  2  1

一95一 1

1

安 塚

2■

14.

3 1 9 3

2.

4i

2

4■

2■

1■

3  4

1  1 上 越

4 5 7 2 2

1

1

全 域 90 152 94 57 72 32 12 34 17 15

 3

21

 5  4

20

 4

 6  5  7

 5  1  3

3

 2

 1

15

1

4

(8)

国立防災科学技術セソター研究報告 第21号 1979年3月

llば111津1:ll1l}lll}1

       ■  1

  400_410

  410−420       11 1

  420_430   430_440

  440_450.      1

  450−460       1   460_470      !

  470_480       1 「

       1      !   480_490

  490_500      1r  218

  500_550      1   550_600       1 ■       5

  600_650

  650_700       1       2 ■      5

  700_750

  750■800     ,l1       1

  1000m3以上      2; 21     8        14   規模不明   12    34   !      46

。、__      ____L_一L_

㌧計・・ =ニゴI1い・、1・・1.・・1」・!・・」….l1.r・・1…

㌃1:1嵩1去r百}1ζ

「1

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1.

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2 2 1 11

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■      ■一1

1 13

1,111 1

1+1■2.

l i

かるように同じ山岳地帯でも安塚地域は小千谷地域に比して大規模ななだれが発生している

ことがわかる.図7からは全体としては10〜50m3という小規模のものが多く,100m3をこ れるものは少ないことがわかる.10〜50m3が465件,50〜100m3が110件,100〜500m3 が129件,500〜1000m3が12件,1000m3以上が14件となっている.

4.考   察

 4.1なだれの地域分布

 図1,図2,図3および図4からわかるように,新潟県のなだれ発生地域は南西部に集中

しており,沿岸部および北東部はなだれの発生は少ない.南西部は積雪地帯でもあり山岳地 帯でもある.北東部は積雪が少なく平野部である.安塚および小千谷地域がとくに発生件数 が多いが,いずれも山地で豪雪地帯であり,奥深く集落が散在するという特殊事情によって

いる.

図3および図4から1976〜1977年と1977〜1978年のなだれ発生頻度の地域分布を検討すると 前年は県の北東部の津川地域に多く発生し,西南部の小千谷,安塚などは比較的少ない.翌 年はこの傾向が逆転し,小千谷,安塚などの発生件数が大幅に増えている.前年の津川の最

深積雪は287cmで翌年は195cmとなり,積雪の多いために発生件数が多かったと考えら

れる.小千谷,安塚では両年共,積雪量に大差はなかったが,翌年の1977〜1978年は,融雪

       一96一

(9)

がおくれたため3月に入ってからのなだれの発生件数が多かったので,全体として前年より 件数が多くなった.このように各年の気象条件により,地域分布にも多少の変動がみられ

るようである.

 4.2 発生時刻と頻度

 図5からわかるように,午前と午後にピークが存在する.宮崎健三(1948)によると14時 近傍のピークは,日巾の気温上昇が原因ではないかと推察している.午前中のピークは,夜 問の除雪やパトロールは行われないので,夜問のなだれの積算件数があらわれるという説も ある.図5からみると,この積算件数は5時から6時の問に含まれるべきで,この点を考慮

しても7時から8時近傍に中央値をもち,時問的には広くひろがった分布が午前中には少く とも一っはあると推諭できる.この理由は気象条件,除雪車の振動,除雪によるのり先の除 去など様々な原囚が考えられているが,明確な結論を出すに至っていない.

 4.3種類と頻度

 新潟県における全屑なだれと表層なだれの発生件数の比率は,高橋喜平(1950)によると 全層なだれ55.7%,表層なだれ43.3%になっている.図6からわかるが,道路沿いに発生 する種類別の比率は,全樽なだれが非常に大きい値を示している.

 地域別の種類をみると,安塚地域では全層なだれの占める割合が圧倒的に大きく,次いで 小千谷地域が大きい.その他は表暦なだれの占める割合も比較的大きくなっている.これぱ 地形,気象条件,湿雪と乾雪の柵違など種々の原因が重複しているものと思われる.

 4.4 規模と頻度

 図7でわかるように10〜50m3のものが一番多く,大きくなるにつれ頻度は減少している.

この傾向はn然界の一般法則に合致するもので,むしろ収集したデータの信頼度の高いこと

   m       m

   2      10 積

の 深 さ   ○

日℃

』 な

均日

凧旧 だ

;皿れ

 発  生

イ牛

1.95m一

8.94m

■■≒

45cm

I

﹁・Il

降:τ雪︒︒の︒︒深︐︒さ1︒

1 −1

15      表。 56件   層。      .  {

全↓層

1

DEC  三 」AN.

FEB. MAR.

APR、

1977年       1978年

 降  雪  の  深

5さ

 の  積  算  値 0

10

0

−10

図8 なだれの発牛状況と降積雪の椎移および日平均気温(津川地域)

一97一

(10)

国立防災科学技術セソター研究報告 第21号 1979年3月

m

2

  ○日平均気温℃

 発日 生な  件だ 数れ

2.78m

13.14m

68cm

/1 ﹁lL  仁m gO降雪80の70深さ6. 50 40 30 20 10  /

c

10, 138件

表1扮1

DEC.

』AN. 1=EB、 MAR.

APR、

1977年 1978年

m

10  降  の  さ 5 の 積  算 値

O O

−10

図9 なだれの発生状況と降積雪の推移および日平均気温(小千谷地域)

を示している.ヵ一ブの勾配は地域によって変化するものと思われる.

 4.5 日平均気温と頻度

 一般に平均気温が低下すると降雪があり,降雪が止むと平均気温が上昇する.降雪が止ん で平均気温が上昇した時に発生するなだれと,降雪中ではあるが降雪量が大きい時に発生す るなだれの二つのケースが考えられる.前者は気温上昇による融雪水や雪層の材料強度の変 化によるもので,後者は自重の増大と強度の関係が微妙に働いているためである.

 津川地域では1月中旬までと3月中のなだれ発生は,平均気温の上昇によっておこってい る.1月下旬から2月中のなだれは,降雪量の大きい時に発生している.なだれの種類は冬 の初めから2月中旬までは,表層なだれが多く,2月下旬以後は全層なだれが多くなってい る.これらの関係を図8から認めることができる.

 小千谷地域は津川地域とほぼ似た傾向を示すが,図9よりわかるように,津川地域より降

雪の深さの積算値は4mも大きいため,発生件数は138件となっている.なだれの種類も2

月中旬までは,表層なだれと全層なだれの両種が発生している.

 六目町および十目町地域については,図10および図11に平均気温との関係を示している が,発生件数白体は少ない.人為的に斜面の雪処理を行うためである.六目町地域は降雪中 の表層なだれの発生が多い.十日町地域は3月中旬までは,表層なだれが多く,3月下旬か らは全層なだれも発生している.十日町地域の表層なだれは降雪中だけでなく,降雪が止ん で平均気温が上昇した時にも発生している。

安塚地域の発生頻度と平均気温の関係を図12に示す.なだれの発生件数は348件と大きく降

      一g8一

(11)

m

2

深1

  ○

日平均気温℃

日なたれ発生

 件数

2.63

m

13.56m

一ト

ch

。1、嵩 90

80

の70

深。。

i

50

㌧〈一

i

i

40

1■

30

■1 1㎜1

1

:!o

1 ,  i  ■

一 」

10

5 9件 層\.

DEC一 」AN. FEB. 1 MAR一

APR、

1977年 1978年

m

10摩  易  深 さ  の 積  算5値

0

10

0

−10

図10 なだれの発生状況と降稜雪の推移および日平均気温(六日町地域)

m 3

積2

  ○

日平均気温℃

発生件数日なたれ

333m

14.41m

D

198㎝ ■    ⊥  :艘肇・・易・︒深︒︒さ

 口﹄

﹁一  50 40﹁. コ0 20 10

5 65件 濁11量

DEC. 」AN、 FEB. MAR. ^PR.

1977年 1978年

m

15

 降

10 の

 深 さ  の

 積

 算 値

% 0

−10

図11なだれの発生状況と降穣雪の推移および日平均気温(十日町地域)

雪の深さの積算値は15.28mにも達する.なだれの種類は12月から1月末までおよび3月

下句以後は全層なだれで,2月から3月中旬までは表層なだれと全層なだれの両種が発生し

ている.この地域のなだれの多発箇所は44地点あるが,同一地点で繰返し全層なだれが発生 している.これは同一斜面で繰返し発生するわけではないであろうが,地形的にかたり危険        一99一

(12)

国.立防災科学技術セソター研究報告 第21号 1979年3月

m 3

2

深1

  ○

日平均気温℃

  日   た  れ   発  生

  寸牛  数

3.35m

15.28m

80cm

戸㌧ 靱降8︒雪70の︒︒深さ50 40 30 20 10

.1

︐1 ■ii

H 止

2015m5

□一 ≒■ 日:件数 ㌧表1層/念

DEC. 』AN. FEB、

MAR APR.

M^Y

1977年 1978年

m

15

10

 降

 の  深

 さ

 の 5積  算  値

O O

−10

図12 なだれの発牛状況と降積雪の推移および日平均気温(安塚地域)

76−77年冬期 の日なだれ発 生件数

(全域)

輪島上空

500mb21時

気温(℃)

77−78年冬期 の目なだれ発 生件数

(全域)

輸島上空

500mb21時

気温(℃)

25 20 15 10 5

542件

一10 一20

一30 一40

35 30 25 20 15 10

776件

一20

r30

DEC.

。1

■■1

﹇□

1ヨ

』AN.

FEB. MAR.

件 数

/奮

/1

APR、

図13輪,島.ヒ空500mb21時気温および調査地域内のただれ発 卜状況

100一・

(13)

な箇所であることを意味しているのではなかろうか.

 4.6 輪島上空500mbの気温と頻度

 輪島上空500mbの気温は,寒波の程度と降雪の可能性を示す一つの目安となっている.

西高東低の気圧配置があり,500mbの気温が下ると降雪が多くなるという(木村忠志,

1977;渡辺興亜,1978).新潟県全域のなだれ発生頻度と輪鳥上空500mb,21時の気温の関 係を図13に示す.1976〜1977年および1977〜1978年の2冬期について併記した.輪島上空 500mbの気温が下ると,なだれの発生件数は減少し,気温が上昇すると発生件数が増大す る傾向を示している.このなだれ発生件数は全層および表層を区別してなく,道路沿いに発 生するなだれは,全層なだれの占める比率が大きいため,比較的よく符合したのではなかろ

うか.

5. 結   語

 この研究ではなだれの頻度に着目して,他の様々の要因との関連を明らかにした1ここで 明らかになったことは,1)発生頻度の地域分布は,気象条件により年ごとに変動すること,

2)発生時刻別の頻度は従来のデータとほぼ一致すること,3)なだれの種類は人為的な雪処 理により大幅に比率を変えること,4)道路沿いに発生するなだれは,令憎なだれの占める 割合が大きいこと,5)なだれの規模は10〜50m3のものが圧倒的に多く,大規模になるに つれ,頻度は急激に減少すること,6)日平均気温の上昇と発生頻度には関連のあること,7)

目平均気温が低くても,降雪量が多けれぼ発生頻度は大きくなること,8)輪島上空500mb の気温と新潟県全域のなだれ発生頻度の問には,明確な関連があることなどである.

 ここで取扱ったなだれは,道路沿いに発生し,交通に支障を生じたものであって,それ以 外のものは含まれていない.したがって白然界のなだれ発生状況とは,かならずしも…致し ない.防止工法が完備して,トソネルやスノーシェッドなどの備わった道略は,いかに周辺 でなだれが発生していても,この調査のデータとして登場してこない.また除雪が不■lU能で 冬期問閉鎖される多くの道路は,多くはなだれの頻発地帯を通っているにもかかわらず,こ の調査データには登場してこない.この巾問に位置しているような道路にっいての研究で あった・しかし現実に災害を与えるなだれは,ここで取扱ったようなケースのなだれであ り,その意味では防災に着目した今日的な研究ということができよう.これらの道路は年と 共に近代化し,それにつれ道路沿いに発生するなだれの件数も減少してくるであろうし,そ れは雪害防災の完成を意味するものであろう.

謝   辞

 研究に使用したなだれの資料は,新潟県内各地の県土木事務所ならびに建設省上越国道工 事事務所から収集した。また,新潟県立松代高等学校高橋徳氏には未発表の気象観測資料を       一ユ01一

(14)

国立防災科学技術セソター研究報告 第21号 1979年3月

御提供いただいた.貴重な資料の使用を許可された関係各位に深くお礼申し上げる.

 また,雪害実験研究所第1研究室広部良輔室長,山田穣主任研究官ならびに第2研究室木 村忠志室長に,本報告の内容に関する討論と校閲を受げた.以上を記して謝意を表明する.

      参考 文 献

1)広部良輔・山田穣・五十嵐高志(1978):積雪に伴なう災害の調査研究.(1977−1978年冬期).国   立防災科学技術セソター研究速報,第32号.

2)五十嵐高志(1977):昭和51〜52年冬期の新潟県地方のなだれ発生状況、昭和52年度日本雪氷学会   秋季大会予稿集,117番.

3)五十嵐高志(1978):新潟県内の道路沿線のなだれ発生状況.昭和53年度日本雪氷学会秋季大会予   稿集,146番.

4)木村忠志(1977):北陸地方の降雪・建設の機械化,No・324,3−9・

5)国立防災科学技術セソター編(1977):目本の災害なだれ一1」1形県(1929〜1975),新潟県(1945〜

  1974)ならびに全国資料(1927〜1976)一.防災科学技術研究資料・第27号・

6)宮崎健三(1948):雪崩の起きる時と場所について(1)。雪氷,第10巻,第4号,2−7.

7)高橋喜平(1940):湯田村に於ける頽雪の遭難に就て.目本雪氷協会論文集,第1巻,186−192.

8)高橋喜平(1950):被害のあった雪崩に関する統計.雪氷,第12巻,第1号,15−20.

9)渡辺興亜・五十嵐高志・山田陵(1978):1976−1977年冬期の新潟県を中心とする地方の広域積雪   現象について.国立防災科学技術セソター研究速報・第29号・

       (1978年12月17日原稿受理)

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