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研究目的

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Academic year: 2021

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厚生労働科学研究費補助金(難治性疾患等克服研究事業(難治性疾患等政策研究事業

(免疫アレルギー疾患等政策研究事業(移植医療基盤整備研究分野)))) 分担研究報告書

造血幹細胞移植採取の効率化・適正化、相互監査システムの構築に関する研究

研究分担者    室井一男    自治医科大学医学部    教授

                   

A. 研究目的

  造血細胞の採取、処理、保管、凍結、解凍、出 庫等の一連の作業が適正に行われているかを、

造血細胞処理施設間でチェックリストを用いて 相互監査する。チェックリストは、「院内におけ る細胞処理のための指針」(平成22年5月27日 作成)の遵守状況を確認できるものを作成する。

B. 研究方法

  相互監査に用いるチェックリストを作成する。

チェックリストは、「院内における細胞処理のため の指針」を確認できるものとする。作成したチェッ クリストをもとに、2つの造血細胞処理施設で相 互監査を行い、監査結果報告書を作成する。

C. 研究結果

 

「院内における細胞処理のための指針」に述べら れている①目的、②対象、③細胞の採取、④責任者 と作業員、⑤設備・機器、⑥細胞処理(プロセシン グ)、⑦払い出し、⑧保存と解凍、⑨検体保存、⑩ 投与、⑪廃棄の 11 項目を網羅したチェックリスト を作成した(資料1)。「院内における細胞処理のた めの指針」作成後、細胞治療認定管理師制度が発足 したので、この認定資格の取得の有無をチェック リストに加えた。自治医科大学附属病院輸血・細胞 移植部と東京大学医科学研究所附属病院セルプロ セッシング・輸血部の間で、造血細胞の採取、処理、

保存、凍結、解凍、出庫等の一連の過程が、「院内 における細胞処理のための指針」

を遵守して行われているかを、書類審査と実地検 分を行い監査した。

  自治医科大学附属病院輸血・細胞移植部への監 査結果の総評は、「自治医科大学附属病院は、栃木 県下野市薬師寺3311−1に位置し、広大なキャン パス内にある。輸血・細胞移植部は、院内のほぼ中 央に位置し、血液検査、フローサイトメトリーの検 査と造血幹細胞移植のためのドナー健診、自己血 採取、骨髄採取、末梢血幹細胞採取、細胞調製・凍 結保管、払い出し、解凍および移植時の解凍検査を 一手に担当している。輸血・細胞移植部内に、(血 液・表面マーカー)検査室、自己血採取および末梢 血幹細胞採取室、ドナーの健診・問診室、細胞調製 室、更衣室を完備している。昨年度は、年間74件 の造血幹細胞移植が行われ、うち、30 例の末梢血 幹細胞採取が行われており、HLA-Hapo 移植も始 まり、採取・調製ともに増加傾向であるとのこと。

なお、室圧管理された細胞調製室は、先端医療用と して使用中とのことで、現在は部内の区画された 部屋を調製室として使用している。細胞調製に関 して、部長を総括責任者として、細胞処理責任者は 部長が兼務し、品質管理責任者は輸血・細胞移植部 技師長が担当している。その他 3 名の臨床検査技 師が細胞調製できる体制である。うち、細胞治療認 定管理師は部長を入れて 4 名であり、長年本作業 に関わっているスタッフでもあり、細胞調製体制 は組織的に整っているといえる(指針 4)。採取に 関しては、ドナー健診を含めて問題はないと思わ れる(指針3および4)。細胞調製場所として、部 内の区画された室(実験室と表示されているが、実 際には調製・保存のみを実施する部屋)があり、机 上も含めて非常にきれいに整理整頓されている

(指針 5.2)。しかし、開放系作業を実施する場合

には、ベンチ内の空気中の菌や粉じん量等を把握 できる体制および環境を整えられることが推奨さ 研究要旨

日本輸血・細胞治療学会と日本造血細胞移植の両者が作成した「院内における細胞処理のた めの指針」(平成22年5月27日作成)の遵守状況を確認するチェックリストを作成し、こ のチェックリストをもとに、2つの造血細胞処理施設で相互監査を行った。監査を受ける造 血細胞処理施設は、事前に自己申告したチェックリストを他の造血細胞処理施設の監査官 に提出し、その後監査官による実地検分が行われた。実地検分終了後、監査官から口頭で総 評が述べられ、その後正式な監査結果報告書が送付された。時期を改め、監査を受ける造血 細胞処理施設と監査する造血細胞処理施設の役割を交代した(相互監査の実施)。相互監査 を実施することによって、「院内における細胞処理のための指針」を遵守する上での不備な 点が明らかになり、造血細胞処理の質の向上に結びつくことが明らかとなった。

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38 れる。また、入室時にキャップ、ガウン等、マスク の装着およびこれらの手順書は必要である(指針 

6.2.8)。また、品質の一つである細胞数や CD34+

測定に直接影響するピペットの校正は、必要であ る(指針5.3-4および6.4.11.3)。工程記録は、丁寧 に記載されており、責任者の署名等も問題はない

(指針6.2-4)。但し、出庫に関する適合基準(規格)

を定めておくことが望ましい(指針  6.4.6および

7.1.1)。製剤番号も、輸血と同様のラベルおよびシ

ステムを用いて、凍結・保管から解凍、出庫、移植 実施まで、一貫したIDにて運用できる体制とな っている点は、高く評価できる。これによって、電 子カルテシステムと連動できている(指針6.5.およ び 7)。保管体制、警報に関しては、部内に輸血当 直者も常駐しており、万一の場合には対応できる 体制である。施錠の必要性については、今後検討さ れたい(指針8.1.1)。保管期間に関しては、1年と のことであったが、今後の同意書にも反映すると のことであった(指針8.2)。今回の査察において、

概ね、細胞調製体制は良好である考えられた。一部、

上記の点についてさらなる改善が期待される。」で あった。

  東京大学医科学研究所附属病院セルプロセッシ ング・輸血部への監査結果の総評は、「東京大学医 科学研究所附属病院セルプロセッシング・輸血部 の業務は、輸血検査、造血幹細胞移植関連業務(末 梢血幹細胞採取、骨髄採取、細胞処理・調製、凍結 保管、細胞培養、解凍、出庫)を担っている。今回 の監査は、「院内における血液細胞処理のための指 針・第1版」に従い、院内血液細胞製剤の製造工程 の安全性と品質の製造・管理など査察を実施した。

貴院の造血幹細胞移植状況は、昨年が23件実施さ れ、その中で臍帯血移植が 18 件と約 80%を占め ている。近年の特徴としては、他施設から自家末梢 血幹細胞の採取から凍結保存の依頼を受け、移植 時の細胞搬送まで行っているとのこと。この管理 は難しいと思われるが、安全に対応されていると 思われる。細胞採取については、ドナーに対する詳 細なデータチェックリストも作成され安全な体制 が整っている(指針3および6.4.2)。血液細胞製剤 の責任者と作業員に関しては、総括責任者を部長 とし、細胞採取責任者を医師2名を配置し1名が 骨髄、1名が末梢血幹細胞採取としており問題はな い。しかし、細胞処理責任者を検査技師としている ため、医師を任命して頂きたい(指針4.3.1)。他に 作業員として検査技師5名、医師3名の8名を配 置し役割分担も明確な体制を整え、細胞治療認定 管理師も部長を入れて 4 名取得しており、細胞処 理技術は高く維持できていると思われる(指針 4.5)。細胞処理に関わる設備・機器も高い水準を維 持している(指針5)。しかし、COBE spectra を 用いているため、定期保守点検・修理、処理用の専 用回路キット共に2018年3月末で終了となる。こ

れに代わる機種の準備をお願いしたい(指針5.1)。

細胞処理の環境については換気や給排水など十分 に清潔区域が専用として整備されている(指針

6.2.1)。感染症陽性者の末梢血幹細胞の保存場所は、

別の冷凍庫で管理されており、細かい部分にも配 慮され感染防止が強化されている(指針 6.2.4.1)。

危険物の取扱いや暴露した場合の病院マニュアル も整備されている(指針6.2.5)。細胞処理の部屋・

クリーンベンチ・安全キャビネット内も空気中の 菌、粉じん量等を計測できる体制を整備し、整理整 頓もされ清潔に維持されている(指針6.2.7および

6.4.7.1)。作業中は手袋、ヘアーキャップ、マスク

等を装着し安全におこなっている(指針6.2.8)。作

業SOP,工程記録は緻密に記載されており、各責任

者の署名等も問題はない(指針6.3.1)。しかし、作 業操作手順書にチェック欄を設けることで、より 操作手順の誤りの防止が可能であるため、今後検 討されたい(指針6.3)。細胞処理後の検体の細菌・

真菌検査を実施し安全性の確保がなされている

(指針6.4.8)。血液細胞製剤に関わる必要な検査法

や機器は、ピペット校正など適正におこなわれて いる(指針6.4.11)。ラベルは輸血製剤と同様に電 子カルテシステムを用いた一連の運用がされてお り、投与時の患者と血液細胞製剤も電子照合で安 全におこなわれている(指針6.5、7および10.2)。 ラベルの情報にダミー使用予定日の記載があるが、

正確性が低いのであれば移植関連は印字できない ようにシステム改修が望ましいと思われる。血液 細胞製剤の保存温度管理は、警報システムの設置 とスタッフ全員に定時メールで温度の状況報告が されるとのこと、しっかりとした安心なシステム 構築がされており高く評価できる(指針8.3、8.4お

よび 8.5)。血液細胞製剤の移植時の解凍は、病棟

が輸血部門から距離があるとのことで、輸血部ス タッフが病棟に搬送し、病棟スタッフが恒温槽を 用いておこなっている(指針8.7)。但し、解凍時の 恒温槽の温度設定が適正でない場合も否定できな いため、移植時の温度チェック記録は必要と考え る。また、恒温槽の清潔を維持するために、定期的 な清掃も必須と思われる。採取細胞の保管期間に 関しては特に設定されていないが、細胞採取時の 同意書に「様々な理由で私には使用不能と判断さ れた場合、廃棄または所有権の移譲」とした形で記 載し対応しているとのことだった(指針8.2および 11)。今回の査察では、品質の高い血液細胞製剤の 製造に関わる環境が整備されていると思われた。

また、他施設からの末梢血幹細胞の処理操作が増 加するものと思われるため、その取扱いに対し安 全な体制の強化を図って頂きたい。」であった。 

D. 考察

「院内における細胞処理のための指針」の遵守状 況を、チェックリストをもとに造血細胞処理施設

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39 間で相互監査することによって、造血細胞の採取、

処理、保管、凍結、解凍、出庫の一連の過程の不備 な点が明らかとなり、不備な点を改善することに よって質の高い造血細胞が製造され、造血幹細胞 移植の安全性に寄与することが判明した。

E. 結論

  造血細胞処理施設間での相互監査は、造血幹細 胞移植の安全性に寄与する。

F. 研究発表

1. 論文発表       

細胞の採取、処理、保存、輸注の実際.室 井一男.日本造血細胞移植学会雑誌6(1): 22-35, 2017.

2. 学会発表

1) 輸血細胞治療の新たな展開と血液事業.

室井 一男.第 40 回日本血液事業学会総 会、2016年10月6日、血液事業、39(2):294, 2016.

2) 2.造血幹細胞の採取、処理、保存、輸注

について.室井一男.第34回日本輸血・

3) 細胞治療学会北陸支部例会、2016年11月 12日、抄録集・プログラム集、p.24, 2016.

G. 知的財産権の出願・登録状況 なし

                                                        細胞治療学会北陸支部例会、2016年11月1 

 2日、抄録集・プログラム集、p.24, 2016. 

                                             

                                                     

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