観光都市横浜を目指すウォーターフロントデザインの提案
The proposal of the waterfront-design to become Yokohama a tourist city
1W080350-9 内藤 水樹 指導教員 藪野 健 教授
NAITO Mizuki Prof. YABUNO Ken
概要: 本研究は、神奈川県横浜市の横浜港とその周辺の地域を観光都市として確立させるための環境 デザインの提案である。現在の横浜は、多くの顔を持ちすぎている。それぞれが無秩序に展開され、
たくさんの魅力があまり活かされていないように感じる。今日まで、埋め立てから都市設計など様々 な開発が進められてきてはいるが、代名詞でもある港は、商業区域として物流拠点となっており、コ ンビナートや発電所が立ち並び、市民に親しみのある水際線はわずかしか存在していない。ここで、
開港から現在までの歴史を顧みながら、横浜の価値を高めるべき建築物、文化をもとに、立ち入り禁 止区域を大幅に減らした安全性と緑のある全く新しい観光都市横浜を目指す画期的なウォーターフロ ントのデザインを行う。海からも陸からも美しい横浜を作り出し、オリジナリティをもたせたること で多くの観光客を呼べると同時に、横浜市民が住みやすいと感じる街へと変容させていきたい。
キーワード:環境デザイン、ウォーターフロント、横浜、港湾都市 Keywords: environmental design, waterfront, Yokohama, harbor city
1.はじめに
開港されてから横浜という町が、どのよう な道を辿ってきたのかを考えていきたい。歴 史のみならず建築物や、横浜発祥の文化・物 を調べ、後世に残すべき物と排除すべき物に 分類する。そして、現在の港の問題点を挙げ ると同時に、港湾緑化に関する研究や人々が 好ましく思う景観とはどのようなものかとい う論文から、解決にいたるために何が必要か を調査する。また、海外の港湾都市の再計画 事例を調べ、それらの都市がどのような状態 からどんな街に変貌したのかを考察してい く。
2.横浜について
横浜港がどこからどこまでの場所であるの かを明確に定義し、その後横浜の歴史を考え ていく。江戸時代の開港によって、何もない 村にすぎなかった横浜がどのように発展・変 貌していくのかを調べ、明治時代に新たに埋 め立てられた場所や外国人居留地について、
また当時建てられた建築物を調べる。その 後、関東大震災や不況・第二次世界大戦によ る戦災によって受けた被害と焼け野原からど のように復活を遂げたのかを考えることで、
今日の横浜がどのような歴史をたどって形成 されたのかを理解する。また、横浜が文化の 発祥の地となった「よこはまもの」について も考察する。
3.現在の横浜について
いま、横浜がどのような状態であるのかを 調べていく。海岸線がどのように使われてい るのかを明確にし、埠頭の1つ1つの使用状 況を整理し、まとめていく。同時に、横浜港 が、海運業でどのような役割をはたしている のかを把握していく。次に、現状の観光都市 卒業論文/制作説明書
図1 明治初期の横浜
2 としての横浜の様子や、今では横浜の代名詞 ともいえる、みなとみらい21地区にの開発 について背景を調べていく。その後、港湾の 緑地化推進に関する事項とその後押しとなっ た1973年の港湾改正法と、それにまつわる緑 地化計画を過去の論文のいくつかをとりあげ 考察をおこなっていく。
4.新しいウォーターフロントデザイン 開港されてから150年あまりで横浜は大 きな変化をとげ、たくさんの異なる顔を持っ た都市に成長した。桜木町を中心とした埋立 地に立ち並ぶ高層ビルと遊園地は、みなとみ らい21の言葉通り近代的な一画となってお り整然と整理された道路や建物は人工的で、
どこか冷たさを感じさせる。関内・石川町周 辺の町並みは、活気ある商店街と中華街があ り、まるで異国に来たかのような錯覚を感じ させ、港町のにぎわいをみせている。そのさ らに奥の山手には、丘陵から海を見下ろせる 洋館が立ち並ぶ。明治や大正、昭和初期に建 築された建物や教会は、西洋風でもありなが らエキゾチックさがあり、それがまた「横 浜」と呼ぶにふさわしい景観を作り出してい る。さらに、日本有数の貿易港としての顔も 持ち、また工場地帯でもあり、発電所までも が港には建設されている。海沿いの一帯のほ とんどは立ち入り禁止区域が続き、市民に愛 されている海岸線はほとんどない。
これだけたくさんの物が、横浜には存在し ているのに、そのどれもが点在しており、観 光客のほとんどは桜木町とその周辺、または 山手の外国人居留地跡を見るだけで満足し、
町中で今も使われている歴史のある建造物は 気付かれず少しずつその数を減らしている。
横浜の道路には大型トラックがコンテナを乗 せて走りまわり、景観を無秩序で騒然とした 風景に変えてしまっている。海岸沿いのほと んどは、水に擦れ合うことのできないコンク リートと柵で立ち入りを制限されている場所 ばかりで、上から顔を出して水面をのぞくし かできない。
横浜に存在している、海と高層ビル、臨海 公園、建築物など様々な横浜を作っている風 景の歴史的背景を把握した今、観光都市とし
て100年、200年先までも人々から愛さ れ誇られる町になるようなデザインを提案し ていきたい。
横浜の歴史を活かした歴史的資産や特徴の ある景観を利用し、水際の環境保全はもちろ ん市民から親しまれるウォーターフロントの 環境づくりやレクリエーション機能の多様化 など、国際性を兼ね備えた活気とにぎわいの ある港への改革を行っていく。そして以下の 4つを軸にし、デザインを考えていきたい。
(1)開港地としての歴史を感じられる風景
(2)横浜にしかないという個性がある風景
(3)賑わいがあり人々に親しまれる風景
(4)防災に優れ、環境に優しい港湾
横浜が持っている数々の歴史資産の活用 と、唯一性のあるデザインを兼ね備えること で、歴史的を感じられる面と近代港湾として の横浜をかんじることができる。また、都心 から近く大都市でありながらも、海や水辺に 触れられる開放感のあるウォーターフロント をデザインすることで、様々な利用者や市 民、国内外からの観光客により賑わいのある 風景をつくり出していきたい。
5.まとめ
横浜に住んでいる住人にとって優れた環境で あるよう、都市交通環境の整備・教育施設の 充実・生活利便性を兼ね備えた環境デザイン と、また同時に、観光都市としてオリジナリ ティと国際色豊かで、賑わいのある街への発 展が見込めるデザインを考えた。港湾が整備 され緑化されたことで、生活環境の改善と理 想の都市へと近づけることができた。
最後に、ウォーターフロントデザインの提 案をイメージ図として示す。
注:
*1 小西四郎 岡秀行『百年前の日本』小学館、
1983。
*2 Space Design 別冊No.11『横浜=都市計画の 実践的手法』鹿島出版会、1978
*3 運輸省第二港湾建設局京浜港工事事務所『横浜 港修築史 -明治・大正・昭和前期-』港湾技術サービ ス、1983