4W 数理物理学 ( 概論 )IV 標準 H001-1
担当教員
:
浜中 真志 研究室: A327 E-mail:[email protected]
ベクトル解析・ Maxwell の方程式
作成日: October 21, 2018 Updated : October 21, 2018 Version : 1.0 実施日: October 22, 2018
3
次元空間R
3での内積・外積,
ベクトル解析空間ベクトル
⃗a =
a
1a
2a
3
, ⃗b =
b
1b
2b
3
に対して, 内積⃗a · ⃗b,
外積⃗a × ⃗b
を次のように定義する:
⃗a · ⃗b := a
1b
1+ a
2b
2+ a
3b
3, ⃗a × ⃗b :=
a
2b
3− a
3b
2a
3b
1− a
1b
3a
1b
2− a
2b
1
.
定義より
, ⃗a × ⃗a = ⃗ 0
が成り立つ.
外積⃗a × ⃗b
は⃗a
と⃗b
とも直交し:⃗a · (⃗a × ⃗b) = 0, ⃗b · ( ⃗a × ⃗b) = 0,
その大きさは
⃗a
と⃗b
の張る平行四辺形の面積に等しい.(θは2
つのベクトルのなす角):∥ ⃗a × ⃗b ∥ = ∥ ⃗a ∥∥ ⃗b ∥| sin θ |
ベクトル解析序論(
勾配,
発散,
回転)
定義
1. (関数の勾配,
ベクトルの発散, 3次元ベクトルの回転)n
次元空間R
nを考え,
その上の関数f (⃗ x) := f (x
1, x
2, · · · , x
n),
およびn
成分ベクト ル値関数⃗ v(⃗ x) := ⃗ v (x
1, x
2, · · · , x
n)
を考える(
すべてC
∞級とする).
また微分演算子 の記号として∇ :=
( ∂
∂x
1, ∂
∂x
2, · · · , ∂
∂x
n)
を導入しておく
. ( ∇
は「ナブラ」と読む. )
関数
f
の勾配(gradient) grad f ,
およびベクトル⃗ v
の発散(divergence) div ⃗ v
は以下 のように定義される:grad f :=
( ∂f
∂x
1, ∂f
∂x
2, · · · , ∂f
∂x
n)
= ∇ f, div ⃗ v := ∂v
1∂x
1+ ∂v
2∂x
2+ · · · + ∂v
n∂x
n= ∇ · ⃗ v.
特に
3
次元空間においては,
ベクトル⃗ v
の回転(rotation) rot ⃗ v
というものが以下の ように定義される:rot ⃗ v :=
( ∂v
3∂x
2− ∂v
2∂x
3, ∂v
1∂x
3− ∂v
3∂x
1, ∂v
2∂x
1− ∂v
1∂x
2)
= ∇ × ⃗ v.
以下の恒等式が成り立つ:rot (grad
f ) = ∇ × ( ∇ f) = ⃗ 0, div (rot ⃗ v) = ∇ · ( ∇ × ⃗ v) = 0.
また
,
以下の公式が成り立つ(
興味ある人は確かめてみるとよい)
:∇ × ( ∇ × ⃗ v) = ∇ ( ∇ · ⃗ v) − ( ∇ · ∇ )⃗ v. (1)
標準
H0-4W18-01
難易度: C
名古屋大学・理学部・数理学科4W 数理物理学 ( 概論 )IV 標準 H001-2
担当教員
:
浜中 真志 研究室: A327 E-mail:[email protected]
問題1. (マクスウェルの方程式)
時間座標をt, 3
次元空間の座標を⃗ x = (x
1, x
2, x
3)
とす る. (
以後,
矢印の記号⃗
は3
次元ベクトルを表す.)
与えられた電荷密度をρ,
電流密度を⃗j
とすると,
マクスウェルの方程式は次式で与えられる:div B ⃗ = 0, rot E ⃗ = − 1 c
∂ ⃗ B
∂t , (2)
div E ⃗ = 4πρ, rot B ⃗ = 1 c
∂ ⃗ E
∂t + 4π
c ⃗j. (3)
ただし
E, ⃗ B ⃗
はそれぞれ電場,磁場を表す.c
は正定数(光速度).
また,スカラーポテンシャ ルϕ
とゲージポテンシャルA ⃗
はE, ⃗ B ⃗
と以下の関係を持つ:E ⃗ = − grad ϕ − 1 c
∂ ⃗ A
∂t , B ⃗ = rot A. ⃗ (4)
(1)
〜(3)
ではこれらを微分形式を用いて書き表すことを考える.
そのために, 4
次元時空の 座標x
µ:= (ct, ⃗ x), 4
元ポテンシャルA
µ:= ( − ϕ, ⃗ A)
および4
元電流密度j
µ:= ( − cρ,⃗j)
を 導入する. (
以後,
添え字は以下を走る:µ, ν = 0, 1, 2, 3. i, j = 1, 2, 3.)
(1) 1-form A := A
µdx
µおよび2-form F := dA
を定義する. F = (1/2)F
µνdx
µ∧ dx
ν と 表したとき, F
i0= E
i, F
ij= ϵ
ijkB
kであることを示せ.
(2) d ◦ d = 0
より, dF = ddA = 0
である(Bianchi
の恒等式).
式(2)
は, dF = 0
で表さ れることを示せ.
(3) 1-form j := j
µdx
µを定義する.
式(3)
は∗ d ∗ F = (4π/c)j
で表されることを示せ.
ただし, ∗
はホッジ作用素(Hodge operator)
と呼ばれ,以下のように定義される. (p-form
の空間を(n − p)-form
の空間に写す.∗ : Ω
p→ Ω
n−p.)
∗ (dx
i1∧ · · · ∧ dx
ip) := 1
(n − p)! ϵ
i1,···,ipj1,···,jn−p
dx
j1∧ · · · ∧ dx
jn−p.
ただし本問では
(
ミンコフスキー空間では),
上付き添え字を下付き添え字におろす とき,「0
」が上付き添え字に含まれるときはマイナス符号が出る. (
たとえば, ϵ
0123=
− ϵ
0123, ϵ
2031= − ϵ
2031, ϵ
1203= +ϵ
1203.)
(4) j = 0
とする.
式(2)
第2
式の両辺の回転をとり以下を示せ. (
公式(1)
を用いてよい.) ( 1
c
2∂
2∂t
2− ∂
2∂x
2− ∂
2∂y
2− ∂
2∂z
2)
E ⃗ = ⃗ 0 (5)
磁場についても同様のことが示される
.
(5)
式(5)
は波動方程式と呼ばれるものである. 空間1
次元で考えると波動方程式は( 1
c
2∂
2∂t
2− ∂
2∂x
2)
f = 0, (6)
である
. f (t, x) = A sin(x − ct) (A
は定数)
は,
式(6)
の解であることを示せ. (
より 一般にf (t, x) = f (x − ct)
の形の関数は式(6)
を満たす. これは速さc
でx
の正の方 向に進行する波を表す.)
(4), (5)
より, 電場・磁場は速さc
で進行する波になりうることが分かる. これが電磁波であり物理学では「光」と総称して呼ばれる
. (
可視光は波長(4000
〜7000) × 10
−10m
の電 磁波.)
なお重力波の満たす方程式も(4)
と同じ波動方程式である. (
伝播速度も同じ.)
標準