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超高齢社会を地域から支える 持続可能なヘルスプロモーション

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様式(第D-2号)

博 士 論 文

超高齢社会を地域から支える 持続可能なヘルスプロモーション

-教育的支援と環境的支援-

東北文化学園大学大学院 健康社会システム研究科

氏 名 入江 由香子

(2)

超高齢社会を地域から支える持続可能なヘルスプロモーション

-教育的支援と環境的支援-

Sustainable health promotion in local communities to support a super-aged society:

educational and environmental support

目 次

第1章 序論

1

第1節 本研究の背景

1

1. 超高齢社会における課題

1

2. ヘルスプロモーションにおける教育的支援と環境的支援

2

3. ヘルスプロモーションにおける地域拠点の役割

3

4. 後期高齢者増加の地域差と転倒骨折予防

4

5. 地域におけるウォーキングのプロモーション

5

第2節 研究の目的と意義

7

1. 従来の研究における問題点の整理と本研究の目的

7

2. 本研究の意義

8

3. 本研究の構成

9

図表 図-1-1

10

第2章 地域のヘルスプロモーションにおける教育的支援Ⅰ:

東京都心部での転倒骨折予防実践講座が在宅高齢者の体力に及ぼす影響

11

第1節 緒言

11

第2節 方法

12

1. 対象者

12

2. 講座

12

3. 体力測定項目

13

4. 統計処理

13

5. 倫理的配慮

14

第3節 結果

14

1. 対象者の特性

14

2. 講座参加時における体力測定結果

14

3. 講座参加前後の体力測定値の分析結果

14

第4節 考察

15

図表 表-2-1 から表-2-4 図-2-1

17

第3章 地域のヘルスプロモーションにおける教育的支援Ⅱ:

地域住民の身体活動量の維持増加を意図した

ICT

活用教育システム構築とその効果

20

第1節 緒言

20

第2節 方法

21

(3)

1.

公開講座の運営方法

21

2.

教育方法の工夫

23

3.

対象者

24

4.

評価

24

第3節 結果

25

1.

参加者の特性と自宅のコンピューター環境

25

2.

一日歩数報告の手段と回数

26

3. Moodle

上のコンテンツに対するアクセス回数

26

4.

期間中の週間一日歩数、最高気温、日照時間の推移

26

第4節 考察

27

1.

大学公開講座で行う

ICT

活用教育の意義

27

2.

一日歩数の報告

28

3. Moodle

上のコンテンツでの学習

29

4. DVD

教材への反応

29

5.

猛暑の中での一日歩数の推移

30

6.

地域住民に受け入れられる

ICT

活用教育の工夫と改善

31

図表 表-3-1 から表-3-5 図-3-1 から図-3-2

32

第4章 地域のヘルスプロモーションにおける環境的支援Ⅰ:

韓国発信のスポーツツーリズム「済州オルレ」の持続可能なビジネスモデル

36

第1節 はじめに

36

第2節 済州オルレが起こす社会変革

36

1. 済州オルレの創設とコースの特徴

36

2. 徒歩旅行ブーム

37

3. オルレが韓国社会に与えた影響

37

4. 韓国を代表する社会的起業家

38

第3節 (社)済州オルレのビジネスモデル

39

1. 組織体制

39

2. 収益事業

39

3. 女性の支持基盤の醸成

40

4. 地域貢献事業

41

第4節 グローバルな事業展開

42

1. 日本への波及

42

2. モンゴルへの波及

43

3. 世界のトレイル運営団体の牽引

43

第5節 おわりに

44

図表 表-4-1 図-4-1 から図-4-3

46

(4)

第5章 地域のヘルスプロモーションにおける環境的支援Ⅱ:

九州オルレの導入を主導したキーパーソンの行動軌跡とその発展過程

48

第1節 はじめに

48

第2節 済州オルレの成功

49

1.

済州オルレの創設

49

2.

済州オルレのコース運営管理

50

3.

オルレックン増加と経済効果

51

第3節 九州へのオルレ誘致

51

1.

九州観光推進機構の発足

51

2.

韓国人観光客誘致への初期戦略

52

3.

オルレ誘致までの経緯

52

第4節 九州オルレの創設と拡大

54

1.

1

次九州オルレの創設

54

2.

コースの拡大

54

3.

九州オルレの特徴

55

4.

九州オルレの実績数

55

5.

九州オルレのプロモーション

56

6.

九州オルレコースをもつ地域の変化

57

7.

韓国で販売されている九州オルレ旅行商品

58

第5節 おわりに

58

図表 表-5-1 から表-5-5 図-5-1 から図-5-5

60

第6章 総合考察

66

第1節 本研究の結果のまとめ

66

第2節 地域のヘルスプロモーションにおける教育的支援の総合考察

67

第3節 地域のヘルスプロモーションにおける環境的支援の総合考察

68

第4節 総合考察

71

第5節 結語

73

第6節 本研究の限界と今後の展望

74

謝辞

75

脚注

76

引用文献

78

(5)

関連論文一覧

第2章

入江 由香子, 亀井 智子, 梶井 文子, 杉本 知子, 糸井 和佳, 山本 由子, 千吉良 綾子, 小坂井 留美: 多因子介入プログラムで構成する転倒骨折予防実践講座が在宅高齢者の体力 に及ぼす影響 : 都心部で開催した

People-Centered Care

事業における実践報告. 聖路加看 護学会誌, 19(1), 19-26, 2015.

第3章

入江 由香子, 大沼 博靖, 高橋 修, 竹上 健: 大学が地域貢献事業の一環として行う身体活 動量の維持増加を意図した

ICT

活用教育システムの構築と試行: 地域住民に受容されるため の工夫と課題. 高崎商科大学紀要, 29, 193-203, 2014.

第4章

入江 由香子, 吉田 裕人, 小笠原 正志: グローバルな社会変革を起こす韓国発信のスポー ツツーリズム「済州オルレ」の持続可能なビジネスモデル. スポーツ産業学研究,

28(4),345-355,2018.

第5章

入江 由香子, 吉田 裕人, 李 唯美, 小笠原 正志: 韓国の人気トレイル「済州オルレ」を取 り入れて韓国と国内からの誘客を狙う「九州オルレ」の実態~創設と発展過程に関わるキー パーソンに着目して~. 観光まちづくり学会誌, 14, 43-55, 2017.

※第2章から第5章は、それぞれこれらの論文をもとにして加筆訂正して再構成したものである。

(6)

- 1 -

第1章 序論

第 1 節 本研究の背景

1. 超高齢社会における課題

わが国の総人口は、2008 年の 1 億 2,808 万人を最高として減少し続けている(厚生労働省, 2016a) 。 一方、65 歳以上の高齢者人口は、2017 年の 3,515 万人から 2042 年頃にピークを迎えるまで増加し続け ると予測されている(内閣府, 2018)。そのため、高齢化率は、2017 年の 27.7%から今後も上昇し続け、

2035 年には 32.8%、2055 年には 38.0%となる見込みである(内閣府, 2018) 。

誰でも年を重ねていけば身体機能が低下し、様々な健康問題が生じる。よって高齢者が増えれば、医 療や介護のニーズは当然高まる。国民医療費は、高齢化の影響を受けて年々増加しており、2016 年度に は約 42.1 兆円と推計されている(厚生労働省, 2018)。介護給付(総費用額)は、介護保険制度が始まっ た 2000 年の約 3.6 兆円から増え続け、2015 年以降は 10 兆円を突破している(厚生労働省, 2016b)。さ らに、認知症の有病者(認知症とその予備群を含む)は、2012 年の 462 万人から、2025 年には 700 万 人に至ると推計されており(厚生労働省, 2016a)、介護負担のさらなる増加は避けられそうにない。

政府の経済財政諮問会議が 2018 年 5 月に公表した将来推計によると、2018 年度の社会保障給付費

(121.3 兆円)は、高齢化の進展による年金、医療、および介護費用の増加に伴って、2040 年度には 1.6 倍増の 190 兆円に達すると見込まれている(内閣官房・内閣府・財務省・厚生労働省, 2018)。高齢者に 対してこれまで以上の自己負担を求めるには限界があるため、結局そのつけは若い世代に回ることにな る。

ところで、スポーツ、運動、日常生活での活動をすべて含む身体活動量の不足は、冠動脈性心疾患、

2 型糖尿病、乳がん、大腸がんの 6~10%の発症原因であり、その影響度は肥満や喫煙と同等とされる(Lee et al, 2012)。わが国の研究でも、非感染症・傷害による死因において、身体活動量の不足は、喫煙、

高血圧に次ぐ第三の危険因子に挙げられている(Ikeda et al, 2012)。また、要介護に至る要因となる

「高齢による衰弱」は、高齢層ほど高率となり、90 歳以上では要介護に至る要因の約 4 割を占める(木 村, 2018)。ただし、自立した生活が困難となって要介護に至るまでの前段階にある「フレイル」にお いては、身体活動量を増やすなどの適切な介入によって回復することができる(山田ら, 2012)。このよ うに、各人のライフステージや健康状態にマッチした身体運動を実践することは、生活習慣病の発症抑 制、死亡率の低下、介護予防に有効であることが示唆される。

人生 100 年時代の到来が予測されている(グラットン・スコット, 2016)なかで、里山資本主義(藻谷・

NHK 広島取材班, 2013)や日本版 CCRC「生涯活躍のまち」(松田, 2017)などの時代の変化に即した新た

(7)

な地域社会モデルが提案されている。だが、これらのモデルが機能するためには、各人が高齢になって も最小限の治療で健康体を保ち、生産的活動を通して社会に貢献し続けることがその前提にある。かつ て人類が経験したことのない長い時間を、豊かで活力のあるものとして過ごし続けるには、幼少期から 高齢期まで、 「生涯にわたる各ライフステージにおいて、生活の質(QOL)が向上するために自分自身の ライフスタイルに適した運動・スポーツを継続して楽しむこと」、すなわち「生涯スポーツ」(山口, 1989) を実現する社会を構築していかなければならない。

2. ヘルスプロモーションにおける教育的支援と環境的支援

わが国では、1989 年に初めての運動指針である「健康づくりのための運動所要量」 (進藤, 1990)を 定め、有酸素運動を週に 140 分以上(60 歳代)とするなどの目標値を示して、健康運動の普及を推進し てきた。また、2000 年からは、10 年後の目標を定めて、国民が一体となって健康づくり運動を総合的 かつ効果的に推進する「健康日本21」(厚生労働省, 2000)が始まった。

健康づくりのための運動所要量は、2006 年には「健康づくりのための運動基準 2006」(運動所要量・

運動指針の策定検討会, 2006)へ、2013 年には「健康づくりのための身体活動指針(アクティブガイド)」

(厚生労働省, 2013c)へと改訂が重ねられた。世界保健機関(World Health Organization: WHO)が 2010 年に発表した「健康のための身体活動に対する国際勧告(Global recommendations on physical activity for health)」(WHO, 2010)では、週に 150 分以上の中等度強度の有酸素性身体活動(18〜64 歳)を推 奨していることから、わが国は世界に先駆けて精度の高い目標値をすでに設定していたことになる。

しかし、こうした国を挙げたヘルスプロモーションの推進にもかかわらず、健康日本21の 10 年間 の成果については、全 59 の目標のうち 10 項目で達成できたものの、9項目では逆に悪化した(健康日 本21評価作業チーム, 2011)。運動面においては、①意識的に運動を心がける人の割合は増加したが、

運動習慣者の割合は不変、②日常生活での歩数が悪化、③高齢者では、外出に積極的な態度をもつ人の 割合や、何らかの地域活動を実施している者の割合は目標を達成したことが報告されている(健康日本 21評価作業チーム, 2011)。

また、身体活動量の指標として活用されている一日歩数の推移(1995 年から 2011 年)は、男女とも

に低下傾向にあり(厚生労働省, 2013a)、年齢を補正して分析しても同様な結果にある(Inoue et al,

2011)。運動習慣者(1 回 30 分以上、週 2 回以上、1 年以上)は、2004 年から 2014 年にかけて増加は認

められず(厚生労働省, 2015)、ウォーキング実施率(週 1 回以上)は、1996 年から 2010 年までは上昇

しているものの、その後 2016 年まで 60~70 歳代以上では一定となり、若い世代では低下傾向にある(笹

(8)

- 3 -

川スポーツ財団, 2018)。しかも、アクティブガイドの認知度は 10%未満に過ぎない(杉山ら, 2016)。

ところで、グリーンとクロイター(1997)は、教育的支援と環境的支援を両輪としてヘルスプロモーシ ョンを推進することを提唱している。健康日本21を始めとする従来のヘルスプロモーションは、健康 情報の提供や実践方法の指導などの教育的支援に偏重していた。健康日本21評価作業チーム(2011)

は、最終報告書のなかで、「個人の健康設計における『こうすべき型』から『こうありたい型』への転 換」を指摘している。これは、 「もっと運動すべきだ」、 「減塩すべきだ」などの、 「こうすべき」を強調 する健康教育の限界を認め、「病気や障害があっても一病息災で相当に生きられるアプローチ」への発 想転換を提案したのである。

一方、健康行動が社会環境の影響を大きく受けることを示すエビデンスが近年蓄積されてきている。

特に、所得、就労状況、学歴に代表される社会経済状況は、健康行動に大きく影響を与えることが明ら かになってきている(近藤, 2016)。そこで、2011 年からの健康日本21(第二次)では、 「健やかで心 豊かに生活できる活力ある社会の実現」を目的とし、健康格差の縮小、健康を支え守るための社会環境 の整備、栄養・食生活などの健康習慣獲得を支援する社会環境の改善が対策の基本姿勢に加えられた(厚 生労働省, 2013b)。運動面においては、従来からの①日常生活における歩数の増加および②運動習慣者 の割合の増加に加え、③住民が運動しやすいまちづくり・環境整備に取り組む自治体数の増加が新たに 加えられた(厚生労働省, 2013b)。

以上のように、わが国では健康運動についての精度の高い目標値を早くから定め、教育的支援を推進 していたにも関わらず、身体活動量が減少し運動習慣者の増加も認められない。そのため、近年のヘル スプロモーションでは、教育的支援もさることながら、環境的支援により重点をおくパラダイムシフト が起きている。こうした背景を受けて、日常生活のなかで自ずとたくさん動いてしまうような社会環境 をつくる施策によって、身体活動量の増加やウォーキング推進に取り組む地方自治体も増加してきてい る。

3. ヘルスプロモーションにおける地域拠点の役割

ヘルスプロモーションは、市役所、保健所、健康増進施設、公民館、体育館、病院、介護施設などの 様々な地域拠点において、主に行政や民間によるサービスとして展開されている。とりわけ大学は、事 業効果の検証や新たな事業手法の開発などといった地域拠点では取り組みにくい研究・開発を通して、

地域に貢献することが期待されている。これまで、地域のヘルスプロモーションにおける大学の地域貢

献事業としては、転倒骨折予防(亀井ら, 2007; Kamei et al, 2014; 吉田ら, 2011)、介護予防(小笠原

(9)

ら, 2006a; 小笠原ら, 2006b; 重松, 2016; 木村, 2018)、スポーツ振興(福田, 2009; 宮村ら, 2017) など、数多くの研究が報告されている。

これら大学の地域貢献事業は、地域の要望(ニーズ)をくみ取り、行政や住民との相互理解と信頼関 係のもとに、大学の資源(シーズ)であるヒト・モノ・カネ・情報とをマッチさせて行われている。と はいえ、研究プロジェクトの遂行には、研究協力者や学生などの数多くの優秀な人材が必要である。ま た科学研究費を始めとする種々の研究資金に基づいているので、住民への運動指導が介入期間終了と同 時に止まることもある。さらに、学生が研究に関与する場合は、大学の授業や課外活動のために指導現 場での実践に時間的制約がある上、学年の入れ替わりによって毎年同じ教育をし続けなければならない。

加えて、行政担当者や住民との交渉や情報共有など、長期的に持続可能な研究事業を推進するには解決 すべき課題が山積している。

ところで、住民サイドからは、やる気はあっても具体的な学習方法を理解し修得するまでに時間を要 するので、継続した学習機会を求める要望が根強い。数回の介入では、地域住民の継続的学習へとつな がるプロセスを十分に支援しているとは言い難く、かといって介入の回数や期間をさらに増やすことに も限界がある。そこで、インターネットを活用した地域介入が注目されている。これは、資源に恵まれ ない大学であっても、地域住民に継続的な学習を支援することを可能とする。

これまで Internet & Communication Technology (ICT)を活用した健康づくり教育は、職域における ウォーキングの習慣化(須藤ら, 2014)、大学生のウォーキングの習慣化(山脇ら, 2007) 、中高年者の 血圧管理(足達ら, 2001; 山津ら, 2003)においてその有用性が報告されている。また、IT デバイスを介 した研究には、糖尿病患者における生活習慣の自己管理(中川ら, 2014) 、家庭用フィットネス機器に よる運動管理(橋本ら, 2003)があるが、地域で運動普及を図るにはコストも含めた諸問題を解決しなけ ればならない。そこで、特殊な IT 機器を用いず家庭のインターネット環境下で実施できる介入が求め られるが、地域住民を対象とする研究は限られており(鳥谷ら, 2011)、しかも身体活動量の増加を意図 した大学の ICT 活用教育は報告されていない。

4. 後期高齢者増加の地域差と転倒骨折予防

厚生労働省の「都市部の高齢化対策の現状」によると、後期高齢者(75 歳以上)は、2010 年の 1419.4

万人から 2025 年には 2178.6 万人に増加する(厚生労働省, 2013d)。この間の増加数は 759.2 万人、増

加率は 1.53 倍となる。特に人口の多いベビーブーマー(団塊の世代:1947~1949 年生まれ)は、2025

年には 75 歳以上の後期高齢者となることから、 「2025 年問題」として注目されている。ただし、今後の

(10)

- 5 -

高齢化は、全国一様に進むのではなく地域差が生じるとみられている。

後期高齢者の増加率(2010 年から 2025 年)が全国最少であるのは、山形県(1.14 倍)であり、次い で島根県(1.15 倍)、鹿児島県(1.16 倍) 、秋田県(1.17 倍)と続く(厚生労働省, 2013d)。その一方、

全国最高であるのは埼玉県(2.00 倍)であり、千葉県(1.92 倍) 、神奈川県(1.87 倍)、大阪府(1.81 倍) 、愛知県(1.77 倍)の順で続く(厚生労働省, 2013d)。東京都は、増加率(1.60 倍)でみると全国 で 8 番目であるが、その増加数は 74.3 万人増と最多である(厚生労働省, 2013d)。このように、今後 の後期高齢者人口は、高齢化が他県に先駆けている地域では微増でとどまるものの、経済成長を牽引し たベビーブーマーが数多く居住する東京圏(東京都・埼玉県・千葉県・神奈川県)では特に著しく増加 する。そのため、東京圏では、今後膨張する医療・介護ニーズを支えるマンパワーが枯渇し、地方では これに連鎖した人材の流出が加速することで、かつて経験したことのない深刻な社会問題の発生も懸念 されている(増田, 2015)。

ところで、高齢者は、自立した生活ができる人であっても、若い時に比べると転倒しやすく、その衝 撃で骨折する危険性が高く、場合によっては要介護状態に陥る(新野, 2006)。また転倒恐怖感のため に、とじこもりやうつに至るなど、生活の質を低下させる要因にもなる(Howland et al, 1993; 金ら, 2001)。世界規模でみても高齢者人口の増加は確実であるから、転倒骨折から派生する社会問題が深刻 化すると予測されている(World Health Organization, 2008)。そのため、転倒骨折予防対策を推進す ることは、高齢者自身の生活の質の維持はもちろん、社会負担増の抑制からも重要な課題といえる。

わが国の在宅高齢者における1年間の転倒発生割合は、10%~30%(柴田, 1997; 坂上・佐藤, 2005; 宮 川ら, 2002; 鈴木ら, 2003)である。また、地方では、居間や部屋などの家屋内における転倒が約30%

を占める(新野ら, 2003)。一方、東京都では、転倒発生割合が男性25.1%・女性27.2%、また家屋内で の発生が45.3%であると報告されている(亀井ら,2008)。とりわけ、わが国最多の後期高齢者を抱える 東京都では、転倒が比較的発生しやすく、また家屋内で起こりやすいという地域特性をふまえた予防策 を講じる必要がある。

転倒には、体力や心理面などの内的要因,および段差や床の滑りやすさなどの外的(環境)要因が存

在することから(American Geriatrics Society, British Geriatrics Society, American Academy of

Orthopaedic Surgeons Panel on Fall Prevention, 2001; 新野, 2005; 上野ら, 2006)、多様なリスク

因子へのアプローチを含んだ介入が効果的であることが示唆されている(Tinetti et al, 1994)。東京

都での転倒予防教育の推進にあたっては、すでに家屋内の環境安全を含めた多因子介入プログラムが開

発されており(亀井ら, 2007; 亀井ら, 2009)、この転倒予防効果が明らかにされている (Kamei et al,

(11)

2014)が、これが体力に及ぼす影響については検討されていない。

5. 地域におけるウォーキングのプロモーション

ウォーキングは、最も代表的な有酸素運動である。いつでもどこでも実施可能であり、費用もかから ない。ウォーキングが、生活習慣病の予防・改善に有効であることは、今や周知の事実となっている。ス ポーツ庁による「スポーツの実施状況等に関する世論調査」における「この 1 年間に実施した種目」の中 で、ウォーキングは、男性で 56.8%、女性で 57.2%と他の種目と比べ群を抜いて実施率が高く(スポーツ 庁, 2018)、最も人気のあるスポーツである。

これまで行政におけるウォーキング普及推進の環境的支援としては、ウォーキングマップの作成や周 知、賞品などのインセンティブの付加、運動履歴の管理などが行われている。民間では、1964 年から活 動を始めた日本ウオーキング協会の主催するマーチングリーグや、JR 東日本の「駅からハイキング」を 始めとする鉄道会社によるイベントなど、ウォーキングイベントが全国各地で行われている。さらに、

長崎市の「さるく」や大阪市の「大阪あそぼ」など、ガイドの案内でまち歩きを楽しむプログラムも人 気を博している。

また、わが国のウォーキング専用道の整備については、長距離自然歩道が最も代表的なものである。

これは、1970 年から造成が始まり、すでに 50 年近い歴史を有している。現在これらを主管している環 境省によれば、長距離自然歩道は、「四季を通して手軽に、楽しく、安全に自らの足で歩くことを通じ て、豊かな自然や歴史・文化とふれあい、心身ともにリフレッシュし、自然保護に対する理解を深める ことを目的」としており、東日本大震災で津波被害を受けた東北沿岸部の復興を兼ねて作られた「東北 みちのくトレイル」を含むと、総計 27,000km にも及ぶ(環境省, 2014) 。

長距離自然歩道のように行政が多額の税金を投じて造成したものの他にも、わが国では導入された順 に、フットパス(神谷, 2014; 坂本・廣川, 2014; 廣川, 2015)、クアオルト(小関・Schuh, 2012; 後 藤・高橋, 2015)、オルレ(小笠原・中嶋, 2015)といったもともとある田舎の小道をつないで一連の コースとしたトレイル(注 1)がある。これら 3 つのトレイルは、地域のありのままの自然や魅力を体験 できるスポーツツーリズムといえ、それぞれの発祥地はフットパスがイギリス、クアオルトがドイツ、

オルレが韓国である。

これら3つのトレイルの中でも、済州オルレは、世界的にも特異的な存在である。これは、済州出身

で元ジャーナリストの徐明淑(ソ・ミョンスク:서명숙)(注 2)女史が支援者とともに、2007 年から 2012

年にかけて築いた約 420km にも及ぶ民間のトレイルである(小笠原・中嶋, 2015) 。オルレの維持管理

(12)

- 7 -

は、民間の非営利団体である社団法人済州オルレ(以下(社)済州オルレと略)が、行政からの補助金 に依存することなく、独立した財源で行っている(小笠原・中嶋, 2015) 。済州オルレには、2011 年か ら 2014 年にかけては年間 100 万人以上が訪れ(小笠原・中嶋, 2015)、マスコミは、これを「オルレ・

シンドローム」(발, 2010)と揶揄するほどの社会現象となった。済州オルレは、「徒歩旅行(トボヨヘ ン: 도보여행)」(注 3)という新しい観光スタイルを確立させ、地域の隅々に経済効果をもたらして地域 の活性化に貢献し、政策をも動かすまでのソーシャル・イノベーションを起こした(小笠原・中嶋, 2015) 。 わが国には、東日本大震災後の韓国人旅行者数の減少への対応策と新しい九州観光の魅力づくりとして、

2012(平成 24)年に九州に取り入れられ、さらに 2018(平成 30)年には宮城県に導入された。オルレ はわが国以外にもモンゴルにも拡大し、グローバルに展開されつつある。

これまで済州オルレに関する韓国内での研究は、オルレ利用者の特性を解明しようとするものが中心 であり、訪問動機の解明(정ら, 2010; 김・조, 2011)

、心理的特性の分析(정ら, 2011a)、マーケテ

ィング分析(고ら, 2012; 이ら, 2013; 한・이, 2014)

、日韓オルレ客の訪問動機比較(신・정, 2014)

が報告されている。また、済州オルレの地元経済効果(정ら, 2011b)や徒歩旅行の探求的研究(최ら, 2015)がある。わが国では、社会現象化した済州オルレ徒歩旅行の実態を多角的な資料から解明する萌 芽的研究(小笠原・中嶋, 2015)や、九州オルレのコースを持つ一つの地域における事例研究(渡邉・小 畑, 2015)に限られており、済州オルレに関する研究はまだ緒についたばかりである。

済州オルレは、創始者である徐明淑女史と、その活動に共鳴する人々とのつながりの中で生じる共感 や信頼が原動力になって創出され拡大した。わが国に初めて導入された九州オルレも、オルレを取り入 れることで、九州旅行に徒歩旅行という新たな魅力を発信したいという一個人の熱意が、創始者の心を 動かしたことに端を発する。このように、人を動かす力をもったキープレイヤーが存在し、そこに人々 の共感の輪が広がるからこそ、困難な事業が実現するのである。こうした観点から、キープレイヤーを 軸にして九州オルレにおける創設までの経緯および発展過程を明らかにした研究はない。

また、行政補助金に依存しないでオルレを維持管理する(社)済州オルレの生み出したビジネスモデ

ルは、持続可能なソーシャル・イノベーションであるために、グローバルに展開可能である。(社)済

州オルレのビジネスモデルは、人口構造の高齢化に伴って財源に乏しく地域社会の活力が失われつつあ

るわが国のヘルスプロモーションやスポーツツーリズムに新たな視点や発想をもたらすものと考えら

れるが、この全体像の解明を試みた研究はまだない。

(13)

第2節 研究の目的と意義

1. 従来の研究における問題点の整理と本研究の目的

本章第 1 節においては、超高齢社会を支える地域のヘルスプロモーションの必要性ならびに従来の研 究の問題点を指摘した。これをふまえ、本論文では、1)地域のヘルスプロモーションにおける教育的 支援、および 2)地域のヘルスプロモーションにおける環境的支援、以上 2 つの問題点について着目し、

論を進めることとした。

これらの2つの問題点を整理すると、次の通りとなる。さらにこれらの問題点をふまえて、本研究の 目的を具体的に以下に示す。

問題点 1. 大学は、培った研究成果やノウハウを地域連携事業の一環として地域に還元する役目が ある。特に、東京都心部では転倒割合や自宅内での転倒率が高く、また地方では車社会によって身体活 動量が不足するなど、各地域の実情に合わせたヘルスプロモーションが求められる。都心部での転倒骨 折予防実践講座が在宅高齢者の体力に及ぼす影響は検討されていない。また、地域住民を対象にした身 体活動量の維持増加を図る ICT 活用教育については報告されていない。

目的 1. 大学が地域連携事業の一環として行う教育的支援として、多因子介入プログラムで構成す る都心部での転倒骨折予防実践講座が在宅高齢者の体力に及ぼす影響、ならびに地域住民の身体活動量 維持増加を意図した ICT 活用教育システムの構築とその成果を明らかにする。

問題点 2. 済州オルレは、韓国内に徒歩旅行ブームを生み出す社会現象を起こした。 (社)済州オ ルレが創出したビジネスモデルは、地域のヘルスプロモーションにおける環境的支援に新たな視点や発 想をもたらし、自然と人間が調和する持続可能な地域社会の創造に資するものと考えられるが、オルレ に関する研究はごく限られている。特に、(社)済州オルレの持続可能なビジネスモデルや、日本に導 入された九州オルレの経緯とその発展過程ならびにその利用実態については解明されていない。

目的 2. グローバルな社会変革を起こす韓国発信のスポーツツーリズム「済州オルレ」の持続可能

なビジネスモデルを明らかにするとともに、九州へのオルレ導入を主導したキーパーソンの行動軌跡な

らびに九州オルレの誘客と地域活性化の実態を分析する。

(14)

- 9 - 2. 本研究の意義

研究成果は、実社会において実践として活かされてこそ真の意味がある。大学が教育的支援として地 域で実施する転倒骨折予防実践講座や ICT 活用教育が、体力や身体活動量に及ぼす効果を分析し、その 有用性を検証することは、地域における持続可能なヘルスプロモーションの構築に資するであろう。

また、グローバルな社会変革を起こす韓国発信のスポーツツーリズム「済州オルレ」のビジネスモデ ルや、九州への導入を主導したキーパーソンの行動軌跡ならびに九州オルレの誘客と地域活性化の実態 を解明することは、地域のヘルスプロモーションにおける環境的支援に新たな価値観や視点をもたらす ものと考えられる。

これら一連の研究は、身体活動量が低下し、運動実践者の増加に伸び悩むわが国のヘルスプロモーシ ョンに新たな視点をもたらし、地域でも持続可能な普及モデルを提言する一助となろう。これは、ヘル スプロモーションの枠を超えて、まちづくりや地域活性化にも発展する可能性を内包しており、自然と 人間が調和する持続可能な地域社会の創造に資するものと考えられる。

3. 本研究の構成

ここまで序論では、本研究の背景となる超高齢社会を地域から支える持続可能なヘルスプロモーショ ンに関する従来の研究を展望するとともに、それらの問題点を明らかにした。また、本研究の目的と意 義について論じた。本研究は以下に示す構成で展開される。

第 2 章および第 3 章では、目的 1 を達成するため、大学が地域連携事業の一環として行う教育的支援 の介入効果を検討する。第 2 章では、東京都心部での転倒骨折予防実践講座が在宅高齢者の体力に及ぼ す影響について、また第 3 章では、地域住民の身体活動量維持増加を意図した ICT 活用教育システムの 構築と試行についてそれぞれ検討する。

第 4 章では、目的 2 を達成するために、グローバルな社会変革を起こす韓国発信のスポーツツーリズ ム「済州オルレ」の持続可能なビジネスモデルについて、また第 5 章では、九州オルレの導入を主導し たキーパーソンの行動軌跡とその発展過程についてそれぞれ検討する。

第 6 章では、第 2 章から第 5 章までの結果を受けて、超高齢社会を地域から支える持続可能な地域の

ヘルスプロモーションについて総合的考察を述べる。最後に、本研究で示された結果をまとめるととも

に、本研究の限界や残された今後の課題について論じる。これら本論文の全体的構成を図示すると図

-1-1 の通りとなる。

(15)

- 10 -

図-1-1 本論文の構成

(16)

- 11 -

第2章 地域のヘルスプロモーションにおける教育的支援Ⅰ:

東京都心部での転倒骨折予防実践講座が在宅高齢者の体力に及ぼす影響

第1節 緒言

わが国における全人口に占める 65 歳以上の高齢者の割合(以下、高齢化率)は、 2014 年で 25.1%であ り、2035 年には 33.4%にいたる見通しである(内閣府, 2014)。高齢化率は、今後すべての都道府県に おいて上昇していくが、とくにもともと人口が多い首都圏など三大都市圏ではより顕著に進む(内閣府, 2014) 。そのため、都市圏では、膨大な高齢者を抱えることになり、高齢者のもつ様々な健康問題に対処 できる体制を急速に整備することが求められている。

転倒・骨折は、要介護化要因の約10%を占めており(厚生労働省, 2010)、わが国の高齢者における 大きな健康問題のひとつである。とくに要介護の主因のひとつである大腿骨頸部骨折は、その約8割 が「転倒や踏み外し」に起因している(日本整形外科学会骨粗鬆症委員会, 2000) 。また、高齢者の転 倒は、骨折などの身体的外傷だけではなく、転倒に対する心理的反応である転倒恐怖感を惹起させ、

それは社会活動や余暇活動を制限し、生活の質をも低下させる要因となる(Howland et al, 1993;

金ら, 2001)。今後の高齢化率の進展と相まって、高齢者の転倒骨折の絶対数は増加するものと考えら れ、これに伴って、転倒による外傷、転倒恐怖、寝たきりの早期化、医療費増大など、転倒・骨折に 由来する社会問題は、さらに深刻化するものと予測されている(World Health Organization, 2008) 。これらのことから、転倒を未然に予防する方策を講じることは、高齢者自身の生活の質を維持 することはもちろん、社会負担の増大を軽減する上でも重要な健康課題と考えられる。

わが国に先行して研究が進められている欧米諸国において、在宅高齢者の転倒発生割合は28~35%、

そのうち後期高齢者では32~42%と報告されている(川上ら, 2006) 。わが国での転倒発生割合は、10%

~30%とされ(柴田, 1997; 坂上・佐藤, 2005; 宮川ら, 2002; 鈴木ら, 2003)、欧米諸国に比べると やや低い。東京都心部の2地区において調査した研究(亀井ら,2008)によると、1年間の転倒発生割合 は男性25.1%、女性27.2%であり、これまでの報告の範囲内ではあるがやや高めである。さらに、同地 区における居間や部屋などの家屋内での転倒は45.3%を占めており、地方での約30%(新野ら, 2003)

と比べてやや高い。

一方、高齢者における転倒には、体力や心理面などの内的要因,および段差や床の滑りやすさなどの

外的(環境)要因が存在する(American Geriatrics Society, British Geriatrics Society, American

Academy of Orthopaedic Surgeons Panel on Fall Prevention , 2001; 新野, 2005; 上野ら, 2006)。

(17)

そのため、高齢者の転倒予防の介入は、多様なリスク因子へのアプローチが効果的であることが示唆さ れている(Tinetti et al, 1994)。したがって、東京都心部での転倒予防教育の推進にあたっては、家 屋内の環境安全を含めた多因子介入プログラムを提供する必要性が高いものと考えられる。

亀井ら(2007)は、 People-Centered Care(以下、 PCC)による市民とのパートナーシップに基づき、都 心部の在宅高齢者を対象として、健康教育と運動プログラムを柱とした転倒骨折予防実践講座(以下、

講座)を継続的に提供している。この講座は、転倒割合や自宅内での転倒率がやや高いという地域特性 を反映させた点で特徴的である。本講座は、高齢者へのヘルスプロモーションや介護予防を重視し、運 動に加え、転倒のメカニズム、栄養と食事摂取、足の手入れ(フットケア)など、転倒予防に関する知識 の提供と実践を多角的に支援したり、自宅の危険箇所を理解し改善するための知識を提供する演習プロ グラムを付加するなど、実践方法を工夫してきている(亀井ら, 2007; 亀井ら, 2009)。これまで多因子 介入プログラムからなる本講座の転倒予防効果については報告されている(Kamei et al, 2014)が、体 力に及ぼす影響については検討されていない。そこで、本研究は、都心部の在宅高齢者を対象として、

講座が体力に及ぼす影響について検討することを目的とした。

2

節 方法

1. 対象者

対象者は、公募により 2008~2011 年に聖路加国際大学で開催した講座への参加を希望し、東京都心 部に在在する 65 歳以上の高齢者 75 名(男性 14 名、女性 61 名)である。

2. 講座

講座は、聖路加国際大学での PCC 実践開研究事業として運営されているもので、1 回 2 時間、計 5 回 実施した。第 1 回目から 4 回目までは、週 1 回ペースで行い、第 5 回目は 8 週間の間隔をあけて第 1 回 目から 12 週後に実施した。本講座の内容は、表-2-1 に示したとおりであり、保健師・看護師による参 加当日の心身の確認、問診および血圧測定後、ミニレクチャー(20~30 分) 、および運動プログラム(50

~60 分)で基本的に構成されている。

本講座のカリキュラムは、運動、高齢者の転倒発生とその予防、食事と栄養、自宅の中の安全対策、

フットケアというように、高齢者の転倒に関連する多因子プログラムで構成されている点で特徴的であ

る。これらの担当者は、運動を健康運動指導士、高齢者の転倒発生とその予防を医師、食事と栄養を管

理栄養士、それ以外を保健師・看護師とし、各専門家が直接指導することで教育効果を高めるようにし

(18)

- 13 -

た。本講座は、とくに転倒リスクに大きな影響をもつ体力向上のみならず、こうした多因子介入により、

転倒とそれに伴う骨折を総合的に予防することを目的としたものである。

運動プログラムは、第 1~5 回目まで 30~60 分通して行った。体調不良や認知機能の低下、杖の使用 で歩行が不安定などの、配慮が必要な参加者には、保健師・看護師が傍らで見守った。運動プログラム は、筋力・バランス・調整力などの維持向上を目的とし、運動のバリエーション、運動量、運動強度は 低強度から中強度までの範囲で無理なく安全に強度を高めていった。また、参加者が楽しく積極的に運 動を実践できるよう、指の体操を入れたレクリエーション、音楽を利用したリズム体操や、自宅で実践 できるストレッチ体操や簡単な筋力トレーニング、タンデムウォークやウォーキング時のポイントを組 み込み、さらにテキスト教材を配布し、講座内で紹介した運動を自宅でも繰り返し実践するよう教示し た。

3. 体力測定項目

体力測定は、Tinetti assessment test(以下、TAT)、開眼片足立ち、握力、および 10m 歩行時間の 4 項目とし、講座の第 1 回目(以下、講座参加時)および第 5 回目(以下、12 週後)に行った。TAT は、

バランス(9 項目、16 点満点) 、歩行(7 項目、12 点満点)、および合計(28 点満点)から転倒の危険性 を評価するものである(Tinetti et al, 1986)。TAT は、点数が低いほど転倒危険性が高いことを意味 し、その信頼性や妥当性も検証されている(Whitnet at al, 1998; Raiche et al, 2000) 。本研究では、

島田(2005)の日本語版を用い、転倒に関連する歩行動作を主とする機能的バランス能力の評価指標と して採用した。

開眼片足立ちは、対象者が任意で選んだ足で片足立ちを 2 回実施し、最大を 60 秒としてよいほうの 値を採用した。握力は、左右 2 回ずつ行い、それぞれよいほうの値の平均とした。10m 歩行時間は、 「普 段歩いている速度で歩いてください」と指示し、 10m の歩行に要した所要時間とした。開眼片足立ちは、

握力、10m 歩行時間は、それぞれ静的バランス能力、筋力、および自立歩行の能力の指標とした。

4. 統計処理

収集したデータは、記述統計の算出後、各体力測定項目について対応のある

検定を行った。有意水

準は 5%とした。統計解析には、SPSS for Windows ver.21 を用いた。

(19)

5. 倫理的配慮

講座参加者に対し、講座の主旨・内容を十分に説明し、本研究への参加は自由意思に基づき同意を得 た。体力測定などの結果については本人に返却した。データ等については個人が特定されない方法での 統計処理・研究を行うことを説明し、同意を得た。

聖路加国際大学研究倫理審査委員会の承認を得て行った(承認番号: 06-056) 。

3

節 結果

1. 対象者の特性

本講座に参加した対象者の特性は表-2-2 に示した。対象者は 75 名であり、平均年齢は 75.9±6.5 歳 であった。性別は、女性が 61 名(81.3%)を占めた。年代別では 70 歳代が 36 名(48.0%)で最も多かっ た。後期高齢者は 42 名(56.0%)であり、そのうち女性は 31 名と全体の 41.3%を占めた。同居人数は、全 体で独居が 27 名(36.0%) 、2 人(40.0%)であり、女性のみの場合は、独居が 26 名(42.6%)と半数 近くが 1 人暮らしであった。

2. 講座参加時における体力測定結果

講座参加時における体力測定の結果は、表-2-3 に示した。TAT の歩行は、12 点満点に近い 11.7±0.7 点であった。TAT のバランスは 16 点満点中 14.8±1.8 点、合計は 28 点満点中 26.9±1.9 点であった。

3. 講座参加前後の体力測定値の分析結果

(1) 参加者全体における変化

参加者全体における体力測定の変化は、図-2-1 に示した。 TAT のバランスは、講座参加時と比べ 12 週 後に有意に(

t

=4.202,

p

=0.000)上昇した。同様に、 TAT の合計も有意に(

t

=2.963,

p

=0.004)増加した。

TAT の歩行については有意な変化が認められなかった。開眼片足立ちは、有意に(t=2.026,

p

=0.046)上 昇した。握力および 10m歩行時間については、いずれも変化がなかった。

(2) 性別による変化

性別でみた体力測定の変化は、表-2-4 に示した。男性(n=14)においては、TAT のバランス・歩行・合

計にいずれについても、有意な変化は認められなかった。同様に、開眼片足立ち、握力、および 10m歩

行時間ついても有意な変化はなかった。女性(n=61)においては、TAT のバランスが有意に(

t

=4.484,

(20)

- 15 -

p

=0.000)上昇した。また、TAT の合計についても有意に(

t

=3.142,

p

=0.003)増加した。TAT の歩行、開 眼片足立ち、握力、および 10m歩行時間ついては有意な変化が認められなかった。

(3) 高齢区分でみた体力測定の変化

高齢区分でみた体力測定値の変化は、表-2-4 に示した。前期高齢者(n=33)においては、TAT のバラン ス・歩行・合計にいずれについても、有意な変化は認めなかった。同様に、開眼片足立ち、握力、およ び 10m歩行時間ついても有意な変化はなかった。後期高齢者(n=42)においては、TAT のバランスが有意 に(

t

=4.468,

p

=0.000)上昇した。また、TAT の合計についても有意に(

t

=1.536,

p

=0.002)増加した。

TAT の歩行、開眼片足立ち、握力、および 10m歩行時間ついては有意な変化は認められなかった。

後期高齢者の性別でみた体力測定の変化は、表-2-5 に示した。男性の後期高齢者(n=11)においては、

すべての項目について有意な変化は認められなかったが、女性(n=31)では、 TAT のバランス(

t

=4.062,

p

=0.000)および TAT の合計(

t

=2.903,

p

=0.007)がそれぞれ有意に上昇した。

4

節 考察

高齢期に高い体力を保つことは、転倒リスクの軽減(Emilio et al, 2014)、 QOL の向上(Takata et al, 2010)、認知機能の低下抑制(Narazaki et al, 2014)に有効であることが知られている。本講座は、転 倒率や自宅内での転倒がやや高いという都市部地域の調査結果(亀井ら,2008)をふまえ、運動はもちろ ん、食生活、フットケア、自宅内の転倒予防対策等も含めた多因子プログラムで構成されている点で特 徴的である(亀井ら, 2007)。これまで本講座が転倒予防に効果的であることが明らかにされている

(Kamei et al, 2014)が、体力面に及ぼす介入効果は検討されていない。本研究は、対照群を設定して いないため、プログラムが体力の維持・向上に有効か否かを結論づけることはできない。しかし、参加 者の体力面の変化は、本講座の体力面の効果を考えるうえで有用な資料を提供するものと考えられる。

参加者全体における体力面での有意な向上が認められたのは TAT のバランス、および TAT 合計、そし

て開眼片足立ちであった。とくに TAT の有意な向上は、 4 か月のランダム化比較試験(RCT)による転倒

予防プログラムにおいても報告されており(Lin et al, 2007) 、本研究も同様の結果をえた。一方、TAT

の歩行、握力、および 10m 歩行時間は、変化なく維持していた。これらのことから、本講座は、在宅高

齢者の体力を維持することができ、とりわけ機能的・静的バランス能力の向上に有用である可能性が考

えられた。これは、本講座の運動プログラムのなかで、両足立位で上下左右に重心を移動する運動(太

極拳的な動き)を実施することや、それを自宅でも行うように奨励した結果によるバランス向上による

(21)

ものではないかと推測される。

また、性別でみると、男性では変化なく女性のみに TAT のバランスおよび合計が有意に上昇した。年 齢でみると、前期高齢者では変化なく、後期高齢者のみに TAT のバランス、および合計で有意な向上が 認められた。これは、女性の後期高齢者において見られた傾向を反映したものであった。したがって、

本講座は、とくに女性の後期高齢者の機能的バランス能力の向上に寄与した可能性が示唆される。高齢 者が一度転倒すると、身体のけが、日常生活に困難を強いられることも少なくない。参加者の女性の独 居は約半数を占めており、TAT の合計とバランスに有意な向上がみられたことは、転倒しない生活を送 るうえでプラスの作用をもたらすもののひとつと考えらえる。

本研究では、 バランス能力の向上が認められたものの、 握力や 10m 歩行時間は変化なく維持していた。

したがって、本講座内の運動量だけでは、筋力や歩行能力の維持は可能であっても改善には不十分と考 えられた。これはとくに男性や前期高齢者の結果で顕著であった。したがって、転倒リスクを高める要 因に挙げられている階段昇りの困難性や動的バランスの低下(清野ら, 2010)を補うため、階段昇降や 廊下でタンデムウォークなどの運動を奨励することや、一日歩数をセルフモニタリングするプログラム を合わせて実施するなど、家庭での身体活動量をさらに増やし習慣化させる仕掛けを組み入れる必要が あろう。

講座の終了後は、自主的な運動継続が望まれる。内閣府の調査(内閣府, 2006)によれば、運動・ス ポーツの実施にあたり約8割の人は、運動指導者による指導を受けていない。また、高齢者を指導でき る運動指導者はまだ少ないことから、この傾向は高齢者ではさらに強いと考えられる。転倒予防にボジ ティブな要因には、運動種目としてダンス、4 年以上の運動継続が挙げられている(大久保ら, 2014) 。 そのため、講座内で実施し参加者からも反応が良かったリズム体操を動画教材として配布するなど、家 庭での長期的な運動継続を支援する方策が必要と考えられる。

以上のことから、多因子介入プログラムからなる本講座は、TAT のバランス・合計、および開眼片足 立ちの有意な上昇をもたらしたことから、機能的・静的バランス能力の向上に有用な可能性があると考 えられた。ただし本研究は、対照群が設定されておらず、また参加者が自力で参加可能な人に限定され、

数も少ないなど、結果のかたよりもありうる。このため、高齢者の体力向上に有用と結論づけることは むずかしいものの、調査した体力項目に低下はないことから、今後対象者の人数や開催地域数を増やし、

その有効性をさらについて検討していく必要性が考えられた。

(22)

- 17 -

表-2-1 多因子プログラムから構成される本講座の内容

表-2-2 対象者の特性

全体 75名 男性 14名 女性 61名 年齢 75.9±6.5歳 78.5±6.2歳 75.3±6.4歳

65~92歳 68~92歳 65~87歳 年代分布 60歳代 14名(18.7%) 1名(1.3%) 13名(17.3%)

70歳代 36名(48.0%) 8名(10.7%) 28名(37.3%)

80歳代 24名(32.0%) 4名(5.3%) 20名(26.7%)

90歳代 1名(1.3%) 1名(1.3%)

高齢区分 前期高齢者 33名(44.0%) 3名(4.0%) 30名(40.0%)

後期高齢者 42名(56.0%) 11名(14.7%) 31名(41.3%)

同居人数 独居 27名(36.0%) 1名(1.3%) 26名(34.7%)

2人 30名(40.0%) 9名(12.0%) 21名(28.0%)

3人 11名(14.7%) 2名(2.7%) 9名(12.0%)

4人以上 7名(9.3%) 2名(2.7%) 5名(6.7%)

カッコ内は全体(n=75)の中の割合

第 1 回 目 ( 1 週 目 ) 第 2 回 目 ( 2 週 目 ) 第 3 回 ( 3 週 目 ) 第 4 回 目 ( 4 週 目 ) 第 5 回 目 ( 1 2 週 後 )

問診 問診 問診 問診 問診

アンケート アンケート

形態測定・体力測定 形態測定・体力測定

ミニレクチャー ミニレクチャー ミニレクチャー ミニレクチャー

「高齢者の転倒発生と

その予防」 「食事と栄養」 「自宅の中の安全対

策」 「フットケア」

運 動 プ ロ グ ラ ム 運 動 プ ロ グ ラ ム 運 動 プ ロ グ ラ ム 運 動 プ ロ グ ラ ム 運 動 プ ロ グ ラ ム

①レクリエーション ①レクリエーション ①レクリエーション ①レクリエーション ①レクリエーション

②座位ストレッチ ②座・立位ストレッチ ②マット上でのストレッ チ

②座・立位のストレッチ ②第1回~4回までの運 動プログラムの復習

③座位でのリズム体操 ④座・立位の下肢筋力ト レーニング

③マット上の筋力トレー ニング

③ウォーキング、タンデ ムウォーク

③自宅できる運動の復習

④足首の体操(底屈・背 屈)

④座位でのリズム体操 ④立位でのリズム体操 ④両足立位で上下左右に 重心を移動する運動

⑤両足立位で上下左右に 重心を移動する運動

⑤両足立位で上下左右に 重心を移動する運動

⑤スクワット・つま先立 ち筋力トレーニング

茶話会 茶話会 茶話会 修了式 茶話会

(23)

- 18 -

表-2-3 講座参加時における体力測定結果

図-2-1 講座による参加者全体における体力測定の変化

TAT バランス(点) 14.8 ± 1.8

TAT 歩行(点) 11.7 ± 0.7 TAT 合計(点) 26.9 ± 1.9 27.9 ± 24.9 21.9 ± 5.0

7.0 ± 2.3 平均±SD TAT: Tinetti assessment test 10m歩行時間(秒)

全体(n=75)

測定項目

開眼片足立ち(秒)

握力(kg)

(24)

- 19 -

表-2-4 講座による性別・高齢区分でみた体力測定の変化

表-

2-5

講座による後期高齢者の性別でみた体力測定の変化

p値 p値

TAT バランス(点) 14.4 ± 1.7 14.9 ± 2.0 0.446 14.9 ± 1.9 15.9 ± 0.5 <0.0001 TAT 歩行(点) 11.5 ± 1.2 11.8 ± 0.6 0.453 11.8 ± 0.5 11.9 ± 0.4 0.095 TAT 合計(点) 25.9 ± 2.6 26.7 ± 2.3 0.381 27.1 ± 1.7 27.8 ± 0.6 0.003 10.4 ± 16.1 18.9 ± 20.2 0.053 31.9 ± 24.9 34.5 ± 24.4 0.207 27.1 ± 5.3 27.3 ± 5.4 0.790 20.7 ± 4.1 20.9 ± 4.1 0.271 8.5 ± 4.2 7.8 ± 2.5 0.311 6.7 ± 1.4 6.9 ± 1.4 0.199

p値 p値

TAT バランス(点) 15.3 ± 1.4 15.6 ± 1.1 0.216 14.4 ± 2.0 15.7 ± 0.9 <0.0001 TAT 歩行(点) 11.8 ± 0.8 11.9 ± 0.4 0.344 11.7 ± 0.6 11.9 ± 0.5 0.132 TAT 合計(点) 27.4 ± 1.5 27.6 ± 1.4 0.680 26.5 ± 2.1 27.6 ± 1.0 0.002 42.9 ± 23.3 46.3 ± 21.0 0.259 16.1 ± 19.2 20.0 ± 20.3 0.096 23.1 ± 4.7 23.0 ± 4.0 0.843 20.9 ± 5.0 21.3 ± 5.6 0.118 6.1 ± 1.3 6.4 ± 1.3 0.152 7.7 ± 2.6 7.5 ± 1.7 0.485 平均±SD 、TAT: Tinetti assessment test、対応のあるt検定の結果を示す

測定項目 男性(n=14) 女性(n=61)

講座参加時 12週後 講座参加時 12週後

前期高齢者(n=33) 後期高齢者(n=42)

講座参加時 12週後 講座参加時 12週後

開眼片足立ち(秒)

握力(kg)

10m歩行時間(秒)

開眼片足立ち(秒)

握力(kg)

10m歩行時間(秒)

測定項目

p値 p値

TAT バランス(点) 14.4 ± 1.6 15.5 ± 1.5 0.097 14.4 ± 2.1 15.8 ± 0.5 <0.0001 TAT 歩行(点) 11.7 ± 0.6 11.9 ± 0.3 0.441 11.7 ± 0.6 11.9 ± 0.6 0.206 TAT 合計(点) 26.1 ± 2.0 27.4 ± 1.6 0.121 26.6 ± 2.2 27.7 ± 0.7 0.007 12.3 ± 17.8 17.3 ± 18.0 0.079 17.4 ± 19.8 20.9 ± 21.2 0.248 25.9 ± 4.9 27.1 ± 5.7 0.107 19.1 ± 3.7 19.3 ± 3.9 0.545 9.1 ± 4.4 8.1± 2.4 0.316 7.3 ± 1.5 7.3 ± 1.4 0.730 平均±SD 、TAT: Tinetti assessment test、対応のあるt検定の結果を示す

女性 後期高齢者(n=31)

講座参加時 12週後 講座参加時 12週後

開眼片足立ち(秒)

握力(kg)

10m歩行時間(秒)

測定項目 男性 後期高齢者(n=11)

(25)

第3章 地域のヘルスプロモーションにおける教育的支援Ⅱ:

地域住民の身体活動量の維持増加を意図した ICT 活用教育システム構築とそ の効果

第1節 緒言

大学による公開講座は、知的資産を地域に還元する地域貢献事業の一環として、各大学で趣向を凝ら し、様々なテーマで実施されている。その中には、運動やスポーツをテーマとした公開講座もあるが、

その多くが単発または 1~3 回程度のシリーズであり、地域住民の継続的学習へとつながるプロセスを 十分に支援しているとは言い難い。とはいっても、公開講座の開催回数をさらに増やしたり、終了後に 対面指導を継続していくことは、担当する教員や職員などのスタッフはもちろん、大学全体についても、

精神的負担の増加、施設の占有、経費拡大などの諸問題を生じかねない。

新しい知識や技術を定着させるためには、継続的な学習が求められる。地域住民からは、学校から離 れた生活を長く送っているために、やる気はあっても具体的な学習方法がよくわからず、それを理解し 修得するまでに時間を要するという声がよく聴かれる。そのため、大学スタッフにとって負担が軽く、

しかも地域住民に継続的な学習を支援する学習環境を整備し、提供することが求められている。これま でスポーツに親しみがなかったり、しばらく遠ざかっている地域住民に運動習慣化を促すような学習機 会を提供するプログラムであれば、なおさらである。

これら大学公開講座の問題点を解決する方法の一つとして、Internet & Communication Technology (以下 ICT と略)活用した教育が 10 年ほど前から注目されている。文部科学省は、急速な情報化の進展 に伴う新たな課題や学習に著しい困難を抱える子どもたちに対応するとともに、児童生徒が基礎知識に 加え、課題発見・解決能力などの重要な能力・スキルを確実に習得することを目指すため、必要となる人 材の育成やソフトの充実を図り、教育の情報化を推進する」ため「ICT を活用した課題解決型教育の推 進事業」(平成 25 年度)を始動させている(文部科学省, 2013) 。

ICT 活用教育は、児童生徒にとって、時間や場所による制約を解消するだけでなく、興味がわく新し

い学習環境やツールを活用など、優れた利点を有している。ICT 活用した健康づくり教育は、職域にお

けるウォーキングの習慣化(須藤ら, 2014) 、大学生のウォーキングの習慣化(山脇ら, 2007) 、中高年

者の血圧管理(足達ら, 2001; 山津ら, 2003)においてその有用性が報告されている。しかし、これら

の対象者は、普段から仕事や私用でコンピューターやスマートフォンなどよく使用している働き盛りの

人々である。

参照

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