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金融商品取引法上の課徴金制度

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(1)

金融商品取引法上の課徴金制度

著者 川口 恭弘

雑誌名 同志社法學

巻 61

号 2

ページ 255‑285

発行年 2009‑07‑31

権利 同志社法學會

URL http://doi.org/10.14988/pa.2017.0000011773

(2)

金融商品取引法上の課徴金制度

二五五同志社法学 六一巻二号

金融商品取引法上の課徴金制度

川 口 恭 弘

  (七二五)

一  はじめに   証券取引等監視委員会が平成二〇年六月に公表した課徴金事例集によると︑金融商品取引法において課徴金制度が導 入されて以降︑三年余りの期間において︑確定済みの課徴金納付命令の実績は三六事例︵五二件︶であった (

︒さらに︑ 1)

平成二〇年六月以降も︑不公正取引や開示書類の虚偽記載にかかる課徴金納付命令の事例は数を重ねており︑課徴金制度は︑いまや︑金融商品取引法の所管官庁である金融庁にとって重要な監督手法の一つとなっている︒

  本講では︑金融商品取引法の課徴金制度について︑その創設から現在に至るまでの改正を検討し︑今後の課題を探ることとしたい︒

(3)

金融商品取引法上の課徴金制度

二五六同志社法学 六一巻二号

1

︶ ﹂︵︶︒

二  平成一六年の法改正  

1

経緯   金融商品取引法の課徴金制度は︑平成一六年の証券取引法の改正で導入された︒当時︑金融機関︵銀行︶を中心とす る間接金融モデルから︑証券市場を中心とした資金仲介モデル︑すなわち︑市場型金融モデルへの転換の必要性が強く主張されていた (

︒市場型金融モデルがより重要な役割を果たすためには︑証券市場の公正性・透明性が確保されている 1)

ことが大前提となる︒特に︑エンフォースメントの強化の一つとして︑民事責任規定の見直しとともに︑監督官庁による市場監視機能の強化が緊急の課題とされた (

︒ 2)

  課徴金制度は︑独占禁止法によるものが知られている︒すなわち︑同法が定める差止めなどの排除措置命令では規制の実効性が不十分であること︑刑事罰は立証や手続きの制約があり広範な利用が難しいことから︑カルテルの﹁やり得﹂ を防止し︑違法行為の抑止を図る目的で︑昭和五二年の法改正で導入された (

︒ 3)

  それまでの証券取引法においても︑違反行為に対しては刑事罰が規定されているものがあった︒しかし︑独占禁止法

の場合と同様に︑刑事罰は︑その制裁が重く︑厳格な手続きの実施と抑制的な運用が求められるため︑必ずしも十分な規制が行われているとは言えないという批判があった︒また︑監督官庁は︑監督下にある金融機関に対して行政処分を

行う権限を有している︒もっとも︑それは業者に対する登録取消し︑業務改善命令などにとどまり︑また︑有価証券の

  (七二六)

(4)

金融商品取引法上の課徴金制度

二五七同志社法学 六一巻二号 発行者や投資者に対する処分を行うことができなかった︒そこで︑総合規制改革会議︵当時︶の答申を踏まえ︑金融審議会金融分科会第一部会での検討を経て︑平成一六年の証券取引法改正により︑行政上の措置として︑違反者に対して 金銭的負担を課す︑課徴金制度が新たに創設されることとなった (

︒ 4)

2

規制対象となる違法行為   平成一六年の法改正では︑課徴金の対象となる違反行為は︑発行開示における虚偽記載と不公正取引とされた︒また︑

証券取引法が定める不公正取引のうち︑内部者取引︑相場操縦および風説の流布・偽計取引の三つのものを対象とすることとされた︒

  このように課徴金の対象となる行為を限定したことについては︑立案担当者の解説では︑﹁いずれも証券市場の公正性と投資家による信頼を直接に害するという意味で証券取引法違反のなかでも特に悪質であり︑その抑止の必要性が特 別に高いものとして︑課徴金制度を導入するにあたって対象とされたものである︒﹂と説明されている (

︒ 5)

  これら四つの違反行為は︑いずれも従前から証券取引法で刑事罰の対象とされていたものである︒また︑課徴金制度

導入にあたり︑その適用要件は︑刑罰規定の構成要件と基本的に同様のものとされている︒

  なお︑制度導入の当初から︑﹁これら以外の違反行為であっても︑将来的に抑止の必要が高いと判断されるに至ったものについては︑法改正によって新たに課徴金の対象とすることが考えられる﹂とされており (

︑将来の改正により︑適 6)

用範囲を拡大することを視野に入れたものであった︒

  (七二七)

(5)

金融商品取引法上の課徴金制度

二五八同志社法学 六一巻二号

3

発行開示書類の虚偽記載   重要な事項につき虚偽記載がある発行開示書類を提出した発行者が︑当該発行開示書類に基づき募集・売出しを行った場合に課徴金納付命令の対象となる︵証取法一七二条︵現行法では︑金商法一七二条の二︶︶︒

  既述のように︑課徴金の性格は︑規制の実効性を確保するという行政目的を達成するため︑違反者に対して金銭的負担を課す行政上の措置とされた︒その上で︑﹁やり得﹂を防止するため︑違法行為の抑止のための必要最小限の水準と して︑課徴金の額は利得相当額が基準とされた (

金額は機械的に決定されるものとされ︑刑事罰のような情状酌量の余地が一切認められないものとして制度化された ( ︒この点は︑刑事罰との差別化を図る目的もあった︒したがって︑課徴 7)

︒ 8)

  発行開示書類に虚偽記載があった場合︑発行者にどれだけの利得があったかが問題となる︒虚偽記載は︑実際よりも

良好な財務内容である旨の記載がなされるのが通常である︒そこで︑虚偽情報を反映した高い株価で新株発行がなされ︑発行企業はこれにより︑多額の資金調達が実現したと考えることができる︒また︑銀行からの借入金利の負担も軽減さ

れるかもしれない︒すなわち︑観念的には︑発行者が得た経済的利得は︑﹁虚偽記載によって︑それがない場合に比べて増加した資金調達額 (

﹂︵﹁虚偽記載があった場合の資金調達額﹂︱﹁虚偽記載がなかった場合の資金調達額﹂︶と言える︒ 9)

もっとも︑このような金額を算定することは容易ではない︒結局︑平成一六年の法改正にあたっては︑初めて制度を導入するものであり︑﹁一義的・明確に算出できるものにする﹂こととされ︑課徴金の額は︑募集・売出額の一パーセント︑

株式等の場合は二パーセント相当の金額と定められた (

のデータ等を踏まえ﹂て算出されたとされている ( ︒この数値については︑﹁過去に決算発表を行った会社の変動率 10)

︒ 11)

  発行開示書類に虚偽記載を行った際には︑本来調達できる資金よりも多額の金額を調達できたこととなる︒その差額を吐き出させるという考え方︵すなわち︑現状回復︶は︑先の数値の妥当性は別として︑考え方としては︑受け入れ易

  (七二八)

(6)

金融商品取引法上の課徴金制度

二五九同志社法学 六一巻二号 いものと言える︒

4

不公正取引規制違反︵内部者取引の場合︶   平成一六年の法改正では︑不公正取引に関する三つの違法類型について課徴金の納付義務が規定された︒ここでは︑ 特に︑内部者取引を検討の対象としたい (

︒ 12)

  証券取引法︵金融商品取引法︶は︑﹁会社関係者﹂または﹁会社関係者から情報の伝達を受けた者﹂︵情報受領者︶が︑

同法が定める﹁重要情報﹂を知ったときは︑その情報が公表されるまで︑当該会社の有価証券について売買をすることを禁止している︵証取法︵金商法︶一六六条一項・三項︶︒内部者取引を行った場合の課徴金の額は︑内部者取引とし

て行われた売買の価格と重要事実が公表された翌日の価格との差額︵×数量︶とされた︵証取法︵金商法︶一七五条︶︒すなわち︑重要情報が︑株価を引き上げる情報︵グッド・ニュース︶であった場合︑時価二〇〇〇円で一万株の買付け

をして︑情報公表後の株価が三〇〇〇円に値上がりした例では︑﹁︵三〇〇〇円︱二〇〇〇円︶×一万株=一〇〇〇万円﹂が課徴金額となる︒

  内部者取引規制については︑刑事罰の適用がある︒刑事手続において有罪とされた場合には︑いわゆる必要的没収・

追徴規定︵証取法︵金商法︶一九八条の二︶により︑没収・追徴がなされる︒したがって︑内部者取引が刑事事件にもなっている場合︑課徴金の納付と没収とで︑二重の支払いを余儀なくされる可能性がある︒課徴金の納付命令が︑経済

的利得を吐き出させることにあるとすれば︑刑事罰による没収によって︑その目的は達成できたことになる︒以上のことから︑課徴金事件と同一の事件について確定した刑事裁判で没収・追徴が命じられている場合は︑当初算出された課

徴金額から当該没収・追徴相当額を控除するといった調整が行われる︵証取法︵金商法︶一八五条の七・一八五条の八︶︒

  (七二九)

(7)

金融商品取引法上の課徴金制度

二六〇同志社法学 六一巻二号

課徴金納付命令の時点で︑同一事件についての刑事事件が係属中であれば︑判決が確定するまでの間は︑課徴金納付命

令の効力は発生しないものとされている︒

  なお︑刑事罰としての没収・追徴については︑裁判所の裁量によって︑減額等の措置をとることが可能である︒他方 で︑課徴金については減額が許されない︒通常は︑﹁没収額=課徴金額﹂と考えられるが︑先の例のように︑課徴金の額が追徴額を上回るときは︑その差額分の課徴金の納付が命じられることになる (

︒ 13)

5

手続き   内閣総理大臣︵金融庁長官に委任︶は︑証券取引等監視委員会からの勧告等により違反事実があると認めるときは︑課徴金納付命令のために審判手続き開始決定を行わなければならない︵証取法︵金商法︶一七八条︶︒行政審判は︑原

則として︑審判官三名からなる合議体で︑公開でなされる︵証取法︵金商法︶一八〇条一項︶︒当該事件の調査に関与したことのある者は審判管として当該事件の担当ができないなど︵証取法︵金商法︶一八〇条四項︶︑審判手続きが公正・

中立に行われるための制度保障がなされている︒

  審判官は︑金融庁内の各局に属さない職員と位置づけされているものの (

︑厳密に意味で︑裁判官のような第三者とい 14)

う立場にはない︒また︑刑事事件と比較して迅速な決定を行うことが目的であるため︑その手続きも緩和されている (

︒ 15)

  なお︑内閣総理大臣︵金融庁長官に委任︶が行う課徴金の納付命令や審判手続きかかる処分については︑行政不服審

査法による不服申し立ては認められない︵証取法︵金商法︶一八五条の二一︶︒これは︑事前手続きとして審判手続きを特に法定し︑行政過程において被審人の手続き的防御権を尽くさせたことから︑事後的な行政手続きを行う必要がな

いという制度趣旨による (

︒そのため︑課徴金納付命令に不服があるときは︑行政手続訴訟法にもとづく裁判を提起する 16)

  (七三〇)

(8)

金融商品取引法上の課徴金制度

二六一同志社法学 六一巻二号 こととなる︒証券取引法︵金融商品取引法︶上の課徴金制度では︑納付命令につき内閣総理大臣︵金融庁長官に委任︶に裁量がない︒課徴金の納付命令に不服がある場合でも︑裁判において︑違法行為が認定された場合は︑処分の取り消

しが認められることは難しいと考えられる︒

1

︶ ﹂︵ 調   ﹁︒︶

︒﹂

2

︶ ﹂︵

3

︶ 

4

︶ 

2

使   ﹁

  (七三一)

(9)

金融商品取引法上の課徴金制度

二六二同志社法学 六一巻二号

便︒﹂

5

︶ 

6

︶ 

5

7

︶ 

5

︶︒ 便

8

︶ ︶︶

9

︶ 

5

10

︶ 

11

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5

12

︶ 

5

1

  (七三二)

(10)

金融商品取引法上の課徴金制度

二六三同志社法学 六一巻二号

13

︶ 

5

14

︶ 

15

︶ 

16

︶ 

三  平成一七年の法改正  

1

経緯   平成一七年の法改正で︑課徴金の納付命令の対象となる行為が︑継続開示書類の虚偽記載にも拡大された︒すなわち︑

発行者が︑重要な事項につき虚偽の記載がある有価証券報告書およびその添付書類またはこれらの訂正報告書を提出したときは︑内閣総理大臣は︑その発行者に対して︑課徴金の納付を命じなければならないものとされた︵証取法一七二

条の二第一項︵金商法一七二条の四第一項︶︶︒発行者が重要な事項につき虚偽記載のある半期報告書もしくは臨時報告

書またはこれらの訂正報告書を提出したときにも︑課徴金の納付が命じられる︵証取法一七二条の二第二項︵金商法一七二条の四第二項︶︶︒なお︑現行法では︑四半期報告書の虚偽記載も課徴金の納付命令の対象となる︒

  平成一六年の改正では︑継続開示違反の場合の課徴金制度は設けられなかった︒この点について︑当時の立案担当者は︑﹁継続開示違反の場合︑経営状況等を偽ることにより発行会社にも間接・無形の経済的なメリットが発生している

ことはうかがえるものの︑それを一義的な形で定量化することは困難であることから︑今回の課徴金制度では︑まずは

  (七三三)

(11)

金融商品取引法上の課徴金制度

二六四同志社法学 六一巻二号

課徴金額を一義的・機械的に算出できる発行開示について導入することにし︑継続開示違反については今回は対象とさ

れなかった﹂としている (

︒ 1)

  もっとも︑平成一六年の改正法の施行日︵平成一七年四月一日︶以前に︑すでに︑継続開示書類に関する虚偽記載に

ついても課徴金の納付命令の対象とすべきという見解が述べられていた︒すなわち︑金融審議会第一部会ディスクロージャー・ワーキング・グループ報告﹁ディスクロージャー制度の信頼性確保に向けて﹂︵平成一六年一二月二四日︶では︑

﹁最近のディスクロージャーをめぐる不適正な事例の多くはいずれも継続開示に関するものであり︑また︑発行市場と流通市場における取引数量や取引金額等を比較すれば︑継続開示義務違反を抑止する必要性は︑発行開示義務違反に比

べて劣るものではないと考えられる︒継続開示義務に違反した会社は︑①上場の維持等を通じて︑当該会社の有価証券について価格水準や流動性の確保が可能になる他︑②財務状況が実際より健全に見えることによるレピテーションの上

昇およびそれに伴う取引拡大︑人材確保の容易化︑③会社の格付等の上昇による借入金等のスプレッド改善等︑様々な形で利得を得ているのであり︑発行開示義務違反の場合とのバランスのとれた形で適切な金銭的な負担を課すことなし

に︑違反行為を的確に抑止することは困難であるということができる︒国際的にみても︑米国︑英国︑ドイツ︑フランス等主要な証券市場においては︑発行開示義務違反︑継続開示義務違反のいずれもが課徴金制度の対象とされており︑

発行開示義務違反のみが課徴金制度の対象とされている例はない︒これらの点を踏まえれば︑わが国においても継続開示義務違反を課徴金制度の対象とするべきことは明白であり︑このための法制面の詰めが早急に進められるべきである︒﹂

としていた︒

  平成一六年改正法の施行日前に︑さらなる法改正の必要性が述べられ︑早急に改正法案が上程されたのは︑西武鉄道

事件の有価証券報告書の虚偽記載や︑粉飾決算事例が増加したことを背景として︑何らかの対応を金融庁として迫られ

  (七三四)

(12)

金融商品取引法上の課徴金制度

二六五同志社法学 六一巻二号 たことが理由と思われる (

︒ 2)

2

継続開示書類の虚偽記載   発行開示書類の虚偽記載の場合と異なり︑継続開示書類の虚偽記載の場合は︑それにより︑発行企業がより多額の資

金調達ができたわけではない︒しかし︑虚偽記載で︑外見上財務内容が改善されたようにみえ︑会社の格付けが上昇し︑その結果社債の利回りが低下するという利得があると考えられた︒そこで︑これに関するデータなどを用いて︑資金調

達コスト低下の株式時価総額に対する比率が試算された (

は一〇万分の三と算出された︒また︑当時の上場企業の時価総額の平均が一三二三億円であるところ︑上場企業以外の ︒その結果︑株式時価総額に対する資金調達コストの低下比率 3)

企業があることも考慮して︑時価総額が一〇〇〇億円程度として︑これに右の比率を掛けた金額︵三〇〇万円︶も基準となる (

︒すなわち︑平成一七年の改正法のもとでは︑継続開示書類に虚偽記載があった場合の課徴金の額は︑原則三〇 4)

〇万円︑または発行者の発行する株券等の市場価額の総額の一〇万分の三に相当する額が三〇〇万円を超えるときは︑その額と決められた︒

  このように課徴金額は︑虚偽記載の結果︑格付けの上昇と社債の利回りの低下を数量化する方法で算出されることと

なった︒しかし︑発行開示書類の虚偽記載の場合の金額と比較して︑課徴金額は︑必ずしも経済的利得相当額に相当するものとはなっていない︒いずれにせよ︑本改正で︑課徴金額は︑バーチャルに決定されることが明らかとなり︑その

後の改正においても︑課徴金額は︑現実の利得額に対応するものとして算出されるものではなくなることなる︒

  ところで︑半期報告書または四半期報告書に虚偽記載があった場合の課徴金の額は︑有価証券報告書等の虚偽記載の

場合の二分の一に相当する額とされている︒もっとも︑市場に対するインパクトは︑半期報告書・四半期報告書の虚偽

  (七三五)

(13)

金融商品取引法上の課徴金制度

二六六同志社法学 六一巻二号

記載と有価証券報告書の虚偽記載とは変わらないはずである︒また︑仮に︑インパクトが異なるとすれば︑四半期報告

書の虚偽記載の課徴金は︑半期報告書の虚偽記載の課徴金の二分の一︑すなわち︑有価証券報告書の虚偽記載の四分の一とすべきであろう (

︒ 5)

  なお︑同じ事業年度で︑有価証券報告書と半期報告書など︑二以上の継続開示書類について虚偽記載があり課徴金の納付命令が出された場合の調整規定が定められている︵証取法︵金商法︶一八五条の七第二項・三項︶︒

3

刑事罰との調整規定   継続開示書類について︑重要な事項につき虚偽記載のあるものを提出した者には刑事罰が科せられる︒平成一七年の法改正において︑課徴金を課すべき虚偽記載のある継続開示書類の提出と同一事件について︑罰金の確定判決があると

きは︑課徴金の額から当該罰金の額を控除した額を課徴金の額とする規定が設けられた︵証取法︵金商法︶一八五条の七第四項・一八五条の八第六項︶︒

  課徴金は罰金と同じく金銭の支払いであることから︑また︑利得相当額を保持させないという趣旨から︑罰金の支払い命令が出た場合に︑その額を控除する制度が設けられたものと考えられる︒もっとも︑発行開示書類における虚偽記

載も刑事罰の対象となるものの︑課徴金との調整規定は存在しない︒その理由は定かではない︒

  既述のように︑発行開示における虚偽記載に対する課徴金の額はそれにより不当に得た経済的利得の額に近いもので

ある︒他方で︑継続開示における虚偽記載に対する課徴金の額は︑その設定にあたって経済的利得を考慮要素の一つとして勘案しながらも︑経済的利得額とはかけ離れたものとなっている︒この点で︑発行開示の場合と比べて︑制裁的な

側面がより強いと評価することもできる︒このような点を配慮して︑過剰な制裁とならないように︑刑事罰との調整規

  (七三六)

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