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地価と土地サービス価格

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Academic year: 2021

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【 視 点 】

地価と土地サービス価格

日本大学経済学部 教授 中川 雅之

平成17年9月に公表された都道府県地価調査においては、「この1年間の地価は、全国、三大都 市圏平均で引き続き下落しているが、住宅地、商業地とも下落幅は縮小したこと、特に、東京都 区部では、15年ぶりに全体で上昇となっている他、下げ止まりの傾向が多摩地域、埼玉県、千葉 県、川崎市、横浜市など広がりを見せ始めていること」を報告している。このような全国あるい は地域別の地価レベルの情報提供が、地価公示、都道府県地価調査の主な内容となっている。

これまで我が国の地価は、大きなレベルの変動を経てきた。地価公示の推移をみると、平成3 年公示地価を基準にその前後14年の変動をみると、昭和52年の三大都市圏の住宅地価格は平成3 年には4.36倍になり、平成17年の住宅地価格は平成3年の0.41倍となっている。このような激 しいレベルの変動は、所得分配、相対価格の混乱、マクロ経済への悪影響など様々な弊害をもた らした。このため、政府はバブル期に、地価の監視区域制度、土地融資の総量規制など、地価そ のもののレベルをコントロールしようとする政策を次々に実施したほか、地価公示ポイントの大 幅増など、地価情報提供の充実を図ってきた。

地価は資産価格であるから、将来の予想の変化が大きな価格変動をもたらすという性質を本来 的に有している。しかし、今後少子化が進展することや、バブル期の過剰な資産価格調整のめど がつきつつあるという意見を踏まえれば、国全体、都市圏全体を対象とする大幅なレベルの変動 は、これまでよりも起こりにくい環境が整いつつある。このような場合、地価レベルの情報提供 という政策は、我が国経済や国民生活においてあまり大きな位置づけを示さないかもしれない。

近年、地価にメリハリがついてきたとする指摘を耳にすることが多い。土地とは様々なサービ スの集合財である。つまり都心への近接性、地盤に代表される災害安全性、各種インフラの整備 状況、近隣環境などの質や、消費者の選好を反映した価格の総体として地価が形成されていると する原則からすれば、非常に当然なことが起こっている。このような、各種サービス価格は政策 的に非常に意味のある情報を含むことが多い。また、それぞれのサービス価格はヘドニック法に よって、対象とする属性のパラメータを推定することで比較的簡単に把握するできる。東京都に おける地震危険度のパラメータは1990年代に大きく絶対値で上昇している。これは各種世論調査 でも示されているように、都民の地震に対する意識がこの時期に高まっていることを背景として いる。このような情報は、ハザードマップの提供のような政策の、危険な地域に住まないという 消費者の危険回避行動を促す効果が高くなっていることを示唆している。

今後の地価情報の提供は、地価そのものに関する情報提供だけではなく、政策形成や経営判断 の材料として用いうる、土地を各属性に分解した場合の相対価格情報をきめ細かく提供するとい う役割を果たしていくことが求められる。

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