空
海
の
『法
華
経
開
題
』攷
福
田
亮
成
一
開
題
の所
在
空 海の 「法 華 経 開題1
攷 (福 田〉 弘 法 大 師 空 海(
七 七 四 〜 八 三 五)
の 著 作 の一
グ ル ー プ に、
「 開 題 」 類 と 称 さ れ る 二 十 五 種 の 資 料 が 存 在 し て い る 。 そ れ は、
「 大 日 経 一 の 開 題 が 七 種、
『 金 剛 頂 経」
系 の 開 題 が 七 種 。「
法 華 経 一 の 開 題 が 五 種 。 他 に 「 仁 王 経」
、 「 梵 網 経 一、
「 最 勝 王 経 一 二 種、
「 金 剛 般 若 経 』(
真 筆 が 存 在)
。 他 に『
一
切 経 開 題 一 と で あ る 。 以 上 を一
覧 表 に す る と 、 次 頁 の ご と く で あ る 。一
覧 表 の 上 に 、 「 題 名 」、
「 字 数」、
「 目 的・
特 徴 」、
「 同 文・
関 連 文 」、
「 年 号(
年 齢)
」
、 「 撰 者 名・
処 」 、 「 重 復 文 」 の 七 項 目 を 立 て 、一
つ一
つ コ メ ン ト を 加 え た。
「 字 数 」 に つ い て は 、 長 文 な の は 、 『 金 剛 頂 経 開 題』
で 、一
番 短 文 な の は、
「 理 趣 経 開 題 」(
将 釈 此 経 三 門)
で あ る 。 さ ら に 注 意 す べ き は、
「 性 霊 集 」 第 八 に 七 種 の「
開 題 」 か ら 文 章 が 採 取 さ れ て い る こ と で あ る 。…
覧 表 に よ っ て 確 認 し て い た だ き た い 。 「 性 霊 集 」 全 十 巻 は、
空 海 の 十 大 弟 子 の一
人 で あ る 真 済(
八 〇 〇 ー 八 六 〇)
の 編 纂 し た も の で あ っ た が 、一
27一
智山 学 報 第 五 十 五 輯 弘 法 大 師の諸
一
開 題H 類の一
覧表 題名 宇数 目的・
特 徴 同文欄 遅文 年駅 年齢1撰者名・
塾 重復文 E 大日経 開題 (怯 界 浄心 } 2775 笠 仲 守の先妣 追 稲の為にた 日の微 細 会 曼荼 羅 を図 画 し大 日軽 を講 ず る 文。
「二頒八句」有 り。
性 霊 集 第七 個趣巽) 天長 元年 10月躍 日〔5L} 5・
2・
7・
2・
7・
7 2 大日経 開題 {搬生 狂 迷} 2550 三督・
五 椙 虞 身・
四 曼・
金剛 心殿こそ 密 教 の 悟 りの境 地 と説 く。
釈 題 は 「疏 」による。
性 霊 集 第八 「丈夫笠左…
」 天長4年〔8”} 5月22口? レ レ1・
3・
5・
5・
7・
3・
5・
1・
7 3 大日経略閥 〔今釈 此 樹 L625 大 意 は1、
2と変 わ らず.
簡 略 化 し た もの,
釈 閥 は 「疏1に よ る。
2・
5・
2・
7・
5 4 大 口経 開 題 【文毘盧遮那) B75 「帰 命亅と「如 是我 聞」の 意味 を字 梢・
宇 義 岡 画 か ら釈す。
他は 且、
2、
3と同趣旨。
2 5 大 日継 開 題 {陸崇頂不見13575 孝 子、
先 枇の周 忌の為に両 部弛 藁羅・
大 目軽を 国写し供養し て講ずる文、
,
性霊 集第八 同文 1・
3・
2・
7・
2・
7・
3・
2 6 大 日経 開題 (三密 法 翰) 1弸 「和尚の祥忌目 の為に講ずる文 」とある が 具俸 的には 不 明,
釈 題の中で「大」の十 三義 を説 く。
7 大目軽開 爼 幗 以受自楽1 !550K 法界浄 心〕本 と大 同小異。
「二項八句 」有 り。
L・
5・
1・
1・
2・
5・
3・
2・
5・
L 8 金 用頂 経開 題 67DD 法 身仏の 五智・
……密、
遼 疾 成 仏の教 えである こ と、
十八 会の初会 で あること、
等 を説 く。
9 教 王経 開 題 2625 「仏 繕 を講 演 して四恩の徳 を報 ず る表 白 亅は性 霊 集と同 文。
釈 題で は 四曼に約 して説 く.
性 霊 集 購八 同文 21・
16・
11・
16 工0 理 趣鞣 開 題 子 帰命) 775 「忠 延師が先 妣の為に理 趣経 を講 ず る文 」は性 霊 集 と同 文。
釈題で はく理 趣1恥の各語 を釈す。
性 霊 集 第八 同文 iI 理趣経 禰 題 〔生死 之 河11225 「施主の為に理 趣 般若経 を 講ずる文」とある。
釈 題では 四種 曼荼羅の幌 点 か ら理趣軽を 釈すウ
9・
16・
2聖 12 理 趣経1尉題 〔将釈此軽三門分別〕 350 経 全 体 を序 読・
正 説・
流 通分に分ける が,
そ の 区 分 は、
13{真 実 経 文句 }とは 異なる。
13 真 実経 文 句 4000 釈 題ではな く、
理 趣経の内容 そのものを縁起・
正 説・
漉 通 分に分 け 更に膵 細 に経 全体 を説 く。
遅照 金 剛俣 14実 招般 若 経 答釈 1075 棄 大寺の円 蔵 か らの理 鰛 経 についての質 問 に 答 え,
密 教の独 自性を 主張 したもの。
弘仁8年 8月2日 (4心 沙 門空 海 釈上 鹽5 仁王 経開 遡 1025 護 国経典 として の仁王経の強跚。
儀 霊 集のr公 冢の仁 王経 を 修せらる る表 白」時の諺演か ? 性 霊 集 第八 {蘭 連 文1 天長2隼, 7月19日‘52〕 16 法 翠経 開 題 〔開 示 盗大 乗褂 3425 輊 名の「妙 法 」と「題 華」との解 釈ゆ
各 字の字 義 屏釈から法 擧糧 を濠秘釈して宏 教 的に 説 くp 15鹽
U・
2い17・
聖7・
19・
L7・
17 17 法華経開 題 {重 円性徳) 3575L6〔「旧示茲 大 乗経 }と頭 似 点 多い。
同 じ く,
法華 経を深秘 釈 して密教的に撹く。
避照 闍 梨記 19・
16・
16・
16・
夏5・
16 18 法華経閉題 (殖 河 女人 》 4025 序説は性霊集の「三嶋丈夫亡息女のため に法華 軽 を書写し供養して講説す る表白文」と同文,
性霊集窮八 同文 天長6年 7月18B〔鮒 平域京 西寺会 聖9・
匿9・
19 19 法華経駅 2875 前16・
監7・
18と同趣旨。
特に18(殖河女人⊃と同 文 多い。
経 麗 を四 曼 に約 して 釈す。
承和 元年 2月 (61⊃ 東大寺 真 言院 且8・
且7・
覧6・
18・
且8・
16・
LB・
L8 20法 華経 密 号 725 大 郎 分は16(躙 示 茲 穴 乗経 )とほ ぼ 同 文。
そ れ 以外の末尾 文 章 を大 斷真撰に非ず との説 有 り。
16 2L 覧 輌 経開 題 30QO 本軽 を毘盧 遮 那の法身脱該と し 四愛に約して 説 く。
儉 璽 桑 に「為 先師 講 釈 梵輌 軽 表白 」有 り。
性 霊 集第八 欄 連 文 } 天長5年7 く551 9・
16・
u 232
2 最 勝 王経 鬧 題 1175 経の大意 を 表 した上で縫 題の字 義 漂秘 駅 か ら 廠 教 を説 く
。
全て は 遭字か ら流幽 すると説く。
金 勝 王縫 秘 密 伽 陀 2475 上記 と同 じ金 光明 経 を巧み に 要約。
密教 的解 釈は表 に幽 ない。
真 円律 緬の轟に 説いた もの匂
弘仁4年 12月 〔40) 24 金嗣 般 若波 羅蜜経 開 題 3650 金剛 股 着 経 を密 教 眼 を もって蹟 略・
深 秘の二 方面 か ら釈す。
経題 を 人・
怯・
喩を 以 て 駅 す。
25一
切経 開題 1625一
切経の根本 患想を追究し た論 親r
空観・
中観 思 想 を 軸に空 海の仏教 思 想の精 要 を膜 く。
一
28一
空海の
r
法華経開 題」攷 (福田)〔
ーピ
こ の 集 第 八 以 来 は 零 落 久 し。
仍 っ て 先 聖 の 美 言 を 拾 う て 三 軸 の 闕 文 を 補 う と し、
勒 し て 三 巻 と 成 し、
題 を 立 て て 号 し て 続 性 霊 集 補 闘 鈔 と い う と て、
承 暦 三 年 玄 冬 上 旬 に 、 仁 和 寺 の 学 僧 で あ る 済 暹(
一
〇 二 五 〜一
一
一
一
V
が、
先 聖 の 美 言、
祖 師 の 遺 冊 を 窺 い 得 て 、 闕 文 を 補 っ た、
と 述 べ て い る。
そ の 実 際 は 、 多 く こ れ ら「
開 題 一 類 か ら 採 取 し た の で あ る 。 さ て 、 こ こ で 考 察 す る も の は、
五 種 の 「 法 華 経 開 題 一 で あ る 。 こ れ ら 五 種 の 「 開 題 」 に は 重 複 文 を 認 め る こ と が で き る が、
そ れ は 前 掲 の一
覧 表 で 確 認 し て い た だ き た い。
『
法 華 経 開 題(
兢 河 女 人 ζ に は 、 平 城 京 西 寺 会、
天 長 六一
年 七 月 十 八 日 の 記 が あ り 、 大 師 五 十 六 歳 の 時 の も の で あ り 、 「 法 華 経 釈 一 に は、
東 大 寺 真 言 院 、 承 和 元 年 二 月 の 記一
が あ る 。 大 師 六 十一
歳 の 時 の も の で あ る こ と が 明 ら か と な る 。 二『
法
華
経
開
題
』 の背
景
思
想
『 開 題 』 類 の 検 討 に お け る一
つ の 興 味 は、
主 著 作 に お い て 論 述 さ れ て い る 思 想 が、
そ れ に さ ら に一
展 開 を 加 え て 援 用 さ れ て い る こ と で あ る 。 こ こ で は、
ま ず『
法 華 経 開 題 一 の 背 景 思 想 と な る も の を 考 察 し、
さ ら に 主 思 想 よ り 援 用 の 実 際 を 検 討 し て ゆ く も の で あ る。
ま ず 第一
に 考 え ら れ る も の は、
大 師 が 自 己 の 密 教 々 学 体 系 の 構 築 に あ た っ て 最 も 重 要 視 さ れ た『
大 日 経 』、
そ れ智 山学 報 第 五 十 五 輯 も 『 大 日 経 疏 』 の 存 在 で あ る 。
→
行 禅 師(
六 八 三 〜 七 二 七)
の か か わ り に よ っ て『
大 日 経」
解 釈 に『
法 華 経」
思 想 が 種 々 に 援 用 さ れ て お り、
そ こ か ら の 情 報 を 看 過 す る こ と が で き な い 。 ま た、
『 十 住 心 論 』 巻 第 八、
一
道 無 為 住 心 の 真 言 の 密 意 を 説 く と こ ろ で、
引 用 さ れ る 「 法 華 の 儀 軌 経 」 と い わ れ る 『 成 就 妙 法 蓮 華 経 王 瑜 伽 観 智 儀 軌」
(
唐・
不 空 訳)
の 存 在 で あ る 。 さ ら に は、
「 理 趣 釈 」 巻 下 の”
自 性 清 浄 如 来”
に つ い て の 説 段 で あ る 。 以 上、
三 つ の 資 料 を 背 景 と し て、
『 法 華 経 開 題 」 に お い て そ れ ら を 縦 横 に 展 開 し て い る 。 三そ
の実
際
に つ い て 「 法 華 経 開 題(
開 示 茲 大 乗 経)
」
、
「 法 華 経 開 題(
重 円 性 海 こ に 、 大 日 経 に 拠 っ て 秘 密 の 妙 法 蓮 華 の 義 を 顕 さ ば、
と し て、
次 の 文 が あ る。
こ こ に い う 「 大 日 経 」 と は 実 際 は 「 大 日 経 疏 一 て み よ う。
巻 三 の 文 章 で あ る。
原 文 と 比 較 し、
あ げ 「 大 日 経 疏 』 巻 三(
開 示 茲 大 乗 経 )(
3)
今 此 の 中 の 妙 法 蓮 華 曼 荼 羅 の 義 は、
毘 盧 遮 那 の、
本 地(
4}
毘 廬 遮 那 の 本 地 の の 常 心 に し て、
即 ち 是 れ 華 台 の 具 体 な り 。 四 佛 四 菩 薩 常 心 に し て 即 ち 是 れ 華 台 の 具 躰 な り 。 四 佛 四 菩 薩 は 醍 は 、 醍 醐 の 果 徳 に し て、
衆 実 の 倶 に 成 れ る が 如 し、
十 醐 の 果 徳 に し て 猶 し 衆 実 の 倶 に 成 れ る 如 し 。 十 世 界 微 世 界 微 塵 数 の 金 剛 密 慧 の 差 別 智 印 は、
猶 お、
鬚 蕊 の 如 塵 数 の 金 剛 密 慧 の 差 別 智 印 は 、 猶 お し 鬢 蕊 の 如 く、
十一
30一
空海の 「法 華経開題」攷 (福田) し 。 十 世 界 微 塵 数 の
、
大 悲 萬 行 の 波 羅 蜜 門 は、
猶 お、
華 藏 の 如 し。
三 乗 の 六 道 無 量 の 応 身 は 、 猶 お 、 根 莖 條 葉 の 発 暉 し て 相 問 わ れ る が 如 し 。 是 の 如 く の 衆 徳、
輪 圓 周 備 せ る を 以 て の 故 に、
曼 荼 羅 と 名 つ く る な り 。 よ う す る に、
次 の 如 く 整 理 さ れ よ う 。 妙 法 蓮 華 曼 荼 羅繰
誘
艷
ー
世 界 微 塵 数 の 大 悲 万 行 の 波 羅 蜜 門 は、
猶 お し 華 藏 の 如 し 。 三 乗 の 六 通 無 量 の 応 身 は、
猶 お し 根 莖 條 葉 の 発 暉 し て 相 問 わ れ る が 如 し。
是 の 如 く の 衆 徳、
輪 円 周 備 せ る を 以 て の 故 に 妙 法 蓮 華 曼 荼 羅 と 名 つ く る な り 。 台 の 具 躰 衆 実 の 倶 成 世 界 微 塵 数 の 金 剛 密 慧 の 差 別 智 印 ーIIIIIIIII
鬢 蕊 世 界 微 塵 数 の 大 悲 万 行 の 波 羅 蜜 門ー
IIIIIII
華 藏 三 乗 の 六 道 無 量 の 応 身 根 莖 條 葉 の ご と き 妙 法 曼 荼 羅 を 述 べ て い る 。 さ ら に 如 来 の 加 持 に よ り、
菩 提 の 自 証 の 徳 八 華 中 胎 蔵 の 身撫
霧
鱗
驪
さ ら に は、
輪 王 の 潅 頂 に よ っ て 三 重 万 国 の 君 長轟
二 重 朝 廷 の 百 僚一
31一
智 山学 報 第五十五輯
一
重11111
占 ホ 枝 の 内 弼轟
胎垂 拱 の 君 と 配 当 し 、 華 台 の 常 智 を 大 曼 荼 羅 王 な り と し て お り
、
中 台 の一
→
の 門 ー 流 出 ー 第一
重 の 種 々 門 第 二 重 の一
一
の 門 − 流 出ー
第 三 重 の 種 々 門 ま た、
因 よ り 果 に 至 る 時 は、
墨
錘爨
困
驪
… と い う が ご と き 三 重 曼 荼 羅 を 出 現 せ し め て い る 。 本 よ り 迹 を 垂 る 時 は、
ま た、
「 金 蹴 頂 経 」、
実 際 は 『 理 趣 釈一
巻 下 の 観 自 在 菩 薩 般 若 理 趣 会 品 を 充 分 に 利 用 し て い る 。 に お い て は 、 そ の ほ “ 全 体 が 引 用 さ れ て い る こ と は 注 意 す べ き で あ ろ う 。 特 に(
重 円 性 海)
「
理 趣 釈 」(
重 円 性 海)
(
5〕
時 に 婆 伽 梵 と は、
前 の 所 釈 の 如 し。
得 自 性 清 浄 法 性 如〔
6V 時 に 婆 伽 梵 得 自 性 清 浄 法 性 如 来 と は、
観 自 在 王 如 来 の 来 と は、
是 れ 観 自 在 王 如 来 の 異 名 な り 。 即 ち 齔 の 仏 は 異 名 な り。
即 ち 此 の 仏 を 無 量 壽 仏 と 名 つ く 。1
無 量 壽 如 来 と 名 く 、 若 し 浄 妙 仏 国 土 に 現 に 仏 身 を 成 じ、
若 し 浄 妙 国 土 に 成 仏 の 身 を 現 じ 、 雑 染 五 濁 の 世 界 に 住 雑 染 五 濁 の 世 界 に 住 す る は、
即 ち 観 自 在 菩 薩 と す。
復 せ ば、
即 ち 観 自 在 菩 薩 と す 。 復 説 と は 、 即 ち 其 の 毘 盧一
32一
空 海の
f
法華経 開題」 攷 (福田} 説 と は、
即 ち 其 の 毘 盧 遮 那 仏 を 観 自 在 菩 薩 と す 。 説一
切 法 平 等 観 自 在 智 印 出 生 般 若 理 趣 と は、
四 種 の一
切 の 煩 悩 と 及 び 隋 煩 悩 に 染 せ ざ れ ざ る 三 摩 地 法 を 説 く。
所 謂 世 間一
切 欲 清 浄 故 則一
切 瞋 清 浄 と は、
此 れ 則 ち 金 剛 法 菩 薩 の 三 摩 地 な り。
所 謂 世 間一
切 垢 清 浄 故 則一
切 罪 清 浄 と は、
剛 利 菩 薩 の 三 摩 地 な り 。 此 れ 則 ち 金 所 謂 世 間一
切 法 清 浄 故 則一
切 有 情 清 浄 と は、
此 れ 則 ち 金 剛 因 菩 薩 の 三 摩 地 な り 所 謂 世 間一
切 智 智 清 浄 則 般 若 波 羅 蜜 多 清 浄 と は、
此 れ 則 ち 金 剛 語 菩 薩 の 三 摩 地 な り 。 瑜 伽 者 は 四 種 清 浄 菩 薩 の 三 摩 地 を 得 受 す る に 因 て、
世 間 に 於 て 悲 願 を も っ て 六 趣 に 生 す れ ど も、
一
切 煩 悩 の 染 法 に 染 せ ざ る こ と 猶 し 蓮 華 の 如 し。
此 の 三 魔 地 を 以 て 能 く 諸 の 雑 染 を 浄 む。
是 故 佛 告 金 剛 手 言、
若 有 聞 此 理 趣 受 持 頡 誦 作 意 思 惟 設 住 諸 猶 如 蓮 華 不 為 客 塵 諸 垢 所 染 疾 證 無 上 正 等 菩 提 。 遮 那 仏 を 観 自 在 菩 薩 と な り て、
一
切 法 平 等 観 自 在 智 印 と 四 種 の一
切 の 煩 悩 と 及 び 隋 煩 悩 に 染 せ ざ れ ざ る 三 摩 地 法 を 説 く。
謂 ゆ る 世 間一
切 欲 清 浄 故 則一
切 瞋 清 浄 と は 、 此 れ 則 ち 金 剛 法 菩 薩 の 三 摩 地 な り 。 此 の 金 剛 法 と は 、 顕 に は 観 自 在 菩 薩 と 名 く 。 謂 ゆ る 世 間一
切 垢 清 浄 故 則一
切 罪 清 浄 と は 、 此 れ 則 ち 金 剛 利 菩 薩 の 三 靡 地 な り 。 顕 に は 文 殊 師 利 を 名 く 。 謂 ゆ る 世 間一
切 法 清 浄 故 則一
切 有 情 清 浄 と は、
此 れ 則 ち 金 剛 因 菩 薩 の 三 摩 地 な り 。 顕 に は 金 剛 輪 と 名 く 。 謂 ゆ る 世 間一
切 智 智 清 浄 故 則 般 若 波 羅 蜜 多 清 浄 と は 、 此 れ 則 ち 金 剛 語 菩 藷 の 三 摩 地 な り。
瑜 伽 者 は 四 種 清 浄 菩 薩 の 三 摩 地 を 得 受 す る に 由 て、
世 間 に 於 て 悲 願 を も つ て 六 趣 に 生 す れ ど も、
一
切 煩 悩 の 染 法 に 染 せ ざ る こ と 猶 し 蓮 華 の 如 し 。 此 の 三 摩 地 を 以 て 能 く 諸 の 雑 染 を 浄 む。
是 の 故 に 仏、
金 剛 手 に 告 て 言 く、
若 し 此 の 理 趣 を 聞 き て 受 持 し 讀 誦 し 作 意 し 思 惟 す る こ と 有 ら ば、
設 い 諸 慾一
33一
智 山学 報 第五 十 五輯 修 行 者
、
観 自 在 菩 薩 の 心 真 言 を 持 し て 般 若 理 趣 を 成 就 す る こ と を 求 め ん と 欲 せ ぱ、
応 に 曼 荼 羅 を 建 立 す べ し。
中 央 に は 観 自 在 菩 薩 を 晝 い て 本 儀 形 の 如 く せ よ 。 前 に は 金 剛 法 を 安 じ、
右 に は 金 剛 利 を 安 じ、
左 に は 金 剛 因 を 安 じ 、 後 に は 金 剛 語 を 安 ぜ よ 。 四 の 内 外 の 隅 に 於 て 各 四 の 内 外 の 供 養 を 安 せ よ。
東 門 に 於 て は 天 女 形 を 晝 け、
貪 欲 を 表 す 。 南 門 に は 蛇 形 を 晝 け、
曝 を 表 す。
西 門 に は 猪 を 畫 け、
癡 形 を 表 す 。 北 門 に は 蓮 華 を 畫 け、
涅 槃 形 を 表 す 。 此 の 輪 壇 に 入 る こ と を 得 れ ば、
無 上 菩 提 に 至 り、
一
切 の 諸 惑 皆 染 汗 す る こ と を 得 ず。
或 る 時 に は 自 ら 壇 中 に 住 し て 本 尊 の 瑜 伽 を 作 し、
心 に 布 列 し て 聖 衆 圍 繞 せ り。
四 字 明 を 以 て 召 請 し て 心 真 言 を 誦 し、
四 種 清 浄 の 般 若 理 趣 を 誦 持 し て一
一
の 門 に 入 て 法 界 に 遍 周 し て、
周 し て 復 始 め よ 、一
法 界 を 成 じ て 自 他 平 等 な り。
或 る 時 は 己 身 に 維 里 字 門 を 想 へ、
八 華 蓮 華 と 成 る 。 胎 に 住 す と も 猶 し 蓮 華 の 客 塵 の 諸 垢 の た め に 染 せ ざ れ ざ る が 如 く 疾 く 無 上 正 等 菩 提 を 証 せ ん と 修 行 者 、 観 自 在 菩 薩 の 心 真 言 を 持 し て 般 若 理 趣 を 成 就 す る こ と を 求 め ん と 欲 せ ば、
応 に 曼 荼 羅 を 建 立 す べ し。
中 央 に は 観 自 在 菩 薩 を 豊 い て 本 儀 形 の 如 く せ よ。
前 に は 金 剛 法 を 安 じ、
右 に は 金 剛 利 を 安 じ、
左 に は 金 剛 因 を 安 じ 、 後 に は 金 剛 語 を 安 ぜ よ 。 四 の 内 外 の 隅 に 於 て 各 四 の 内 外 の 供 養 を 安 ぜ よ 。 東 門 に 於 て は 天 女 形 を 聲 け、
貪 欲 を 表 す。
南 門 に は 蚰 形 を 畫 け、
瞋 形 を 表 す 。 西 門 に は 猪 形 を 豊 け、
癡 形 を 表 す 。 北 門 に は 蓮 華 を 畫 け、
涅 繋 の 形 を 表 す。
此 の 輪 壇 に 入 る こ と を 得 れ ば、
無 上 菩 提 に 至 り、
一
切 の 諸 惑 皆 染 汗 す る こ と を 得 ず.
或 る 時 に は 自 ら 壇 中 に 住 し て 本 尊 の 瑜 伽 を 作 し、
心 に 布 列 し て 聖 衆 圍 繞 せ り。
四 字 明 を 以 て 召 請 し て 心 真 言 を 誦 し、
四 種 清 浄 の 般 若 理 趣 を 誦 持 し て一
一
の 門 に 入 て 法 界 に 遍 周 し て、
周 し て 復 始 め よ 。一
法 界 を 成 じ て 自 他 平 等 な り。
或 る 時 は 己 身 に 維 里 字 門 を 想 へ 、 八 華 蓮 華 と 成 る 。 胎空海の 「法 華経開 題亅攷 (福 田 ) 中 に 金 剛 法 を 想 い
、
八 華 の 上 に 於 て 八 佛 を 想 へ 。 或 る 時 は 他 身 に 吽 字 を 想 へ、
五 股 金 剛 杵 な り。
中 央 の 杷 處 に は 十 六 大 菩 薩 を 想 へ 、 自 の 金 剛 と 彼 の 蓮 華 と 二 躰 和 合 し て 定 恵 と な る 。 是 の 故 に 瑜 伽 の 廣 品 の 中 に 密 意 を も っ て 二 根 交 會 し て 五 塵 に 大 佛 事 を 成 す、
と 。 此 の 三 摩 地 を 以 て一
切 如 来 に 奉 献 す れ ば、
亦 能 く 妄 心 よ り 起 す 所 の 雑 染 速 に 滅 し て 疾 く 本 性 清 浄 の 法 門 を 證 す 。 是 の 故 に 観 自 在 菩 薩 は、
手 に 蓮 華 を 持 し て一
切 有 情 の 身 中 の 如 来 蔵 性 の 自 性 清 浄 の 光 明 は一
切 の 惑 染 の 染 す る こ と 能 は ざ る 所 な り と 観 じ た も う 。 観 自 在 菩 薩 の 加 持 に 由 て 離 垢 清 浄 を 得 て 聖 者 に 等 同 な り 。 紘 里 字 は 四 字 を 具 し て一
の 真 言 を 成 ず。
賀 字 門 は、
一
切 法 因 不 可 得 の 義 な り。
曙 字 門 は、
一
切 法 離 塵 の 義 な り 。 塵 と は 謂 く 五 塵 な り。
亦 は 能 取 所 取 二 種 の 執 着 と 名 く 。 伊 字 門 は 自 在 不 可 得 な り 。 二 點 は 悪 字 の 義 な り 。 悪 字 を 名 け て 涅 槃 と す。
諸 法 本 不 生 を 覚 悟 す る に 由 る が 故 に 二 種 の 執 着 、 皆 遠 離 し て 法 界 清 浄 を 証 得 す 。 維 利 字 を 亦 は 漸 の 義 と 云 う 。 若 し 慙 愧 を 具 す れ ば一
切 の 不 善 を な さ ず 。 即 ち一
切 の 無 漏 の 善 法 を 具 す 。 是 の 故 に 蓮 中 に 金 剛 法 を 想 い、
八 華 の 上 に 於 て 八 佛 を 想 へ 。 或 る 時 は 他 身 に 吽 字 を 想 へ 、 五 股 金 剛 杵 な り 。 中 央 の 把 處 に は 十 六 大 菩 薩 を 想 へ 、 自 の 金 剛 と 彼 の 蓮 華 と 二 躰 和 合 し て 定 恵 と な る 。 是 の 故 に 瑜 伽 の 廣 品 の 中 に 密 意 を も っ て 二 根 交 會 し て 五 塵 に 大 佛 事 を 成 す、
と 。 此 の 三 摩 地 を 以 て}
切 如 来 に 奉 献 す れ ば、
亦 能 く 妄 心 よ り 起 す 所 の 雑 染 速 に 滅 し て 疾 く 本 性 清 浄 の 法 門 を 證 す 。 是 の 故 に 観 自 在 菩 薩 は 、 手 に 蓮 華 を 持 し て一
切 有 情 の 身 中 の 如 来 蔵 性 の 自 性 清 浄 の 光 明 は一
切 の 惑 染 の 染 す る こ と 能 は ざ る 所 な り と 観 じ た も う 。 観 自 在 菩 薩 の 加 持 に 由 て 離 垢 清 浄 を 得 て 聖 者 に 等 同 な り 。 結 里 字 は 四 字 を 具 し て一
の 真 言 を 成 ず 。 賦 字 門 は、
一
切 法 因 不 可 得 の 義 な り 。 ξ 字 門 は、
一
切 法 離 塵 の 義 な り 。 塵 と は 謂 く 五 塵 な り 。 亦 は 能 取 所 取 二 種 の 執 着 と 名 く 。 伊 饗 字 門 は 自 在 不 可 得 の 義 な り 。 二 點 は 鎚 字 の 義 な り 。 其 字 を 名 け て 涅 槃 と す。
諸 法 本 不 生 を 覚 悟 す る に 由 る が 故 に 二 種 の 執 着、
皆 遠 離 し て 法 界 清 浄 を 得 る。
載 字 を 亦 は 懸 の 義 と 云 う 。 若 し 慙 愧 を 具 す れ ば一
切 の 不 善 を な さ ず 。 即 ち一
切 の 無 漏 の 善 法 を 具 す 。 是 の 故 に 蓮智 山 学 報 第 五 十五輯 華 部 を 亦 は 法 部 と 名 つ く 。 此 の 字 の 加 持 に 由 て 極 楽 世 界 に 於 て 水 鳥 樹 林 皆 な 法 音 を 演 ぶ 。 廣 経 の 中 の 所 説 の 如 し 。 若 し 人 此 の
一
字 の 真 言 を 持 す れ ば、
能 く一
切 の 炎 禍 疾 病 を 除 き 、 命 終 巳 後、
当 に 安 楽 国 土 の 上 品 上 生 に 生 ず べ し 。 此 の一
品 は 通 じ て 観 自 在 心 を 修 す る 真 言 行 者 は、
亦 能 く 餘 部 の 修 瑜 伽 者 を 助 く る な り 。 華 部 を 亦 は 法 部 と 名 つ く 。 此 の 字 の 加 持 に 由 て 極 楽 世 界 に 於 て 水 鳥 樹 林 皆 な 法 音 を 演 ぶ 。 廣 経 の 中 の 所 説 の 如 し。
若 し 人 此 の一
字 の 真 言 を 持 す れ ば、
能 く一
切 の 炎 禍 疾 病 を 除 き、
命 終 已 後、
当 に 安 楽 国 土 の 上 品 上 生 に 生 ず べ し。
謂 ゆ る 妙 法 蓮 華 経 の 廣 略 の 本 の 無 辺 の 義 理 は、
悉 く一
の 轟 字 の 中 に 含 せ り 。 地 な り。
以 上 長 文 に な っ た が、
こ れ ら の 引 用 文 が(
重 円 性 海)
の 大 部 分 を 占 め て い る 。 す る に あ た っ て 「 理 趣 釈 」 を 重 要 な 根 拠 と し た こ と が う か が え る の で あ る 。四
八
葉
と
九
字
・
九佛
に
つ い て 今 の 是 の 経 は 則 ち 観 自 在 之 三 摩 こ れ に よ っ て も、
『 法 華 経一
を 開 題 「 法 華 経 開 題(
開 示 茲 大 乗 経)
」 に、
次 の ご と く あ る 。〔
7V 妙 法 蓮 華 経 と は 、 唐 語 の 翻 な り 。 若 し 梵 名 に よ ら ば 正 し く 薩 耐 達 q 磨 到 奔 尉 茶 塾 利 α 迦 砥 蘇 噸 多 覧 註 と 唱 う べ し。
今、
此 の 経 は一
部 八 巻 な り 。 品 品 句 句 其 の 義 無 量 な り 。 爾 り と 雖 も 此 の 題 綱 を 挙 て 彼 の 義 目 を 摂 す る に、
一
36一
空海の
r
法華経 開題 亅 攷 (福田) 摂 せ ざ る と こ ろ な し 。 と し、
さ ら に 梵 名 の 九 字 に つ い て(
8V 謂 ゆ る 梵 名 の “ 薩q
達 烈 磨 嚮 奔 込 茶 愈 利 翫 迦 蔓 素 喫 多 哦 オ と は、
是 れ 則 ち一
部 の 法 曼 荼 羅 と 摂 し、
諸 尊 秘 密 の 號 を 挙 ぐ 。 蓮 華 部 の 曼 荼 羅 の 中 央 八 葉 の 中 に 八 佛 有 り、
中 台 の 尊 を 加 う る と き は 則 ち 九 佛 な り 。 題 目 の 九 字 は 則 ち 彼 の 種 子 真 言 な り 。 こ れ に よ っ て、
九 字 の 悉 曇 文 字 に よ っ て 表 現 さ れ る 経 名 は、
そ の も の が一
部 の 法 曼 荼 羅 で あ り、
諸 尊 の 秘 密 号 で あ り、
九 仏 で あ り、
か の 種 子 真 言 で も あ る と し て い る 。 さ ら に、
こ の 九 字 観 を 展 開 し て 、(
9)
此 の 九 字 は 則 ち 九 仏 の 種 子 真 言 な り 。 九 仏 と は 謂 く 中 央 は 大 日 尊、
四 方 四 葉 に 各 々 四 仏 を 現 ず 。 東 方 宝 幢 仏・
南 方 開 敷 花 王 仏・
西 方 無 量 壽 仏・
北 方 天 皷 雷 音 仏 是 れ な り 。 四 隅 の 四 菩 薩 と い う は 則 ち 東 南 方 普 賢 は 即 ち 大 捨 の 徳 是 な り。
西 南 方 文 殊 は 則 ち 大 善 の 徳 な り 。 南 北 方 観 音 は 則 ち 大 悲 智、
東 北 方 慈 氏 は 大 慈 智 な り。
此 の 九 種 の 仏 を 諸 仏 の 根 本 と す。
此 の一
一
の 智 よ り 各 々 十 仏 刹 微 塵 数 の 差 別 智 印 を 現 ず。
是 の 如 く の 智 印 は 則 ち一
仏 の 徳 な り。
一
一
の 仏 徳 も 皆 亦 是 の 如 し 。 よ う す る に、
九 字 は 九 仏 の 種 子 で あ る と し て 九 仏 に よ る 曼 荼 羅 構 成 を あ げ て い る の で あ る。
そ の 構 成 は、
中 央i
−1
大 日 尊∴
雛
”一
37一
智 山学 報 第五十五輯
蕊
と な る 。 さ ら に(
9H 此 の 尊 を 以 て 首 と な す は、
と し て 、 大 日 観 音 の 遍 法 界 躰 性 智 阿 閹 観 音 の 円 鏡 ロ ロ 金 剛 智 宝 観 音 の 福 徳 聚 身 無 量 壽 観 音 の 妙 観 壽 命 智 釈 迦 観 音 の 作 業 寂 照 智 分 身 観 音 の 正 覚 差 別 身 普 賢 観 音 の 菩 堤 心 如 如 智 殊 観 音 の 妙 慈 慈 氏 観 音 の 大 慈 乃 至冖
切 の 声 聞 縁 覚 身・
天 竜 八 部 国 王 長 者 身 も 亦 復 是 の 如 し。
と あ る 。 「 法 華 経 釈」
の も 同 文 の も の が あ る が、
「 此 の 尊 」 と あ る の を,
「 蓮 華 尊 」 と か え、
普 賢 は 観 音 の 遍 法 界 の 菩 提 心 行 願 の 義 、 文 殊 は 観 音 の 妙 恵、
慈 氏 は 観 音 の 大 慈、
乃 至 多 宝 は 観 音 の 福 聚 身、
釈 迦 は 観 音 の 作 業 智、
分 身 仏 南 方−
普 賢−
大 捨 の 徳 西 南 方−
文 殊−
大 喜 の 徳 西 北 方−
観 音−
i
ー 大 悲 の 智 北 方ー
慈 氏−
大 慈 の 智(
競 河 女 人)
に お い て は、
観 音 菩 薩 を も っ て 中 心 と し、
他 を 各 々 位 置 づ け て い る 。 則 ち 三 十 七 尊 及 び 無 量 仏 刹 微 塵 の 身 を 具 す 。空海の 「法 華経開題亅攷 (福田) は 観 音 の 正 覚
、
余 尊 等 准 知 す べ し、
と ま と め、
(
10)
但 だ 此 の 尊 に の み に 是 の 如 く の 徳 を 具 す る に は 非 ず 。 自 余 の一
切 仏「
切 菩 薩一
切 衆 生 も 亦 此 の 如 し。
能 く 此 の 義 を 覚 り ぬ れ ば、
則 ち 三 平 等 門 に 入 り て 速 に 究 竟 大 曼 荼 羅 を 得 る 。 と む す ん で い る。
こ れ も、
も う一
つ の 法 華 経 曼 荼 羅 で あ る と 云 う こ と が で き る。
さ ら に 、 『 金 剛 頂 経 」 に 云 う 、 と し て(
11)
観 自 在 尊 に 六 種 の 曼 荼 羅 有 り 。 第一
に 大 曼 荼 羅 は 三 十 七 尊 を 具 し 、 第 二 に 三 昧 耶 曼 荼 羅 は 三 十 七 尊 を 具 し、
第 三 に 法 曼 荼 羅 は 三 十 七 尊 を 具 し 、 第 四 に 羯 磨 曼 荼 羅 は 三 十 七 尊 を 具 し、
第 五 に 四 印 曼 荼 羅 は 二 十一
尊 を 具 し、
第 六 に一
印 曼 荼 羅 は 十 三 尊 を 具 す 。 是 れ 観 自 在 菩 薩 の 身 な り 。 是 の 如 く の 蓮 華 尊 に 無 量 の 身 智 を 具 す 。 餘 の 金 剛 部・
如 来 部 等 亦 の 如 し 。 是 の 如 く の 身 雲 互 相 に 渉 入 し て 帝 釈 網 の 珠、
光 明 交 映 し て 展 轉 し て 限 り 無 き が 如 し 。一
一
の 身 分、
一
一
の 毛 孔、
一
一
の 相 好 、一
一
の 隋 形 、=
の 福 徳、
一
一
の 智 恵 は 、 虚 空 法 界 に 等 し く 重 重 無 盡 に し て 遷 満 平 等 な り。
能 く 此 の 義 を 解 せ ば、
三 密 相 応 す る が 故 に 速 に 大 覚 の 位 を 証 す 。 と あ り、
『 法 華 経」
の 題 目 に は 、 無 量 無 辺 の 義 理 を 含 ん で い る と 結 論 す る の で あ る。
五開
示
悟
入
と
阿
字
の こと
『 法 華 経 』 巻一
、
方 便 品 第 二 に、
次 の ご と き 文 が あ る 。(
珍)
諸 の 仏、
世 尊 は、
唯、
一
大 事 の 因 縁 を も っ て の 故 に の み 、 世 に 出 現 し た ま え ば な り 。 舎 利 弗 よ、
諸 の 仏 、 世 尊 は 唯、
一
大 事 の 因 縁 を も っ て の 故 に の み 世 に 出 現 し た も う と 名 つ く る や 。 云 何 な る を か一
39一
智山学報 第 五 十五輯 諸 の 仏
、
世 尊 は、
衆 生 を し て 仏 の 知 見 を 閲 闘 か し め 、 清 浄 な る こ と を 得 せ し め ん と 欲 す る が 故 に、
世 に 出 現 し た も う 。 衆 生 に 仏 の 知 見 をポ
さ ん と 欲 す る が 故 に、
世 に 出 現 し た も う。
衆 生 を し て 、 仏 の 知 見 を 慴ぢ
し め ん と 欲 す る が 故 に、
世 に 出 現 し た も う。
衆 生 を し て、
仏 の 知 見 の 道 に囚
ら し め ん と 欲 す る が 故 に、
世 に 出 現 し た も う 。 舎 利 弗 よ 、 こ れ を 諸 仏 は、
唯、
一
大 事 の 因 縁 を も っ て の 故 に の み 、 世 に 出 現 し た も う と な す な り 。 即 ち、
仏 、 世 尊 が 世 に 出 現 す る こ と の一
大 事 は、
衆 生 の 仏 知 見 を 開 、 示、
悟 し て 、 つ い に 仏 知 見 の 道 に 入 ら し め る た め で あ っ た と す る。
こ の 文 の 開 、 示、
悟、
入 を も っ て、
阿 字 の 五 転 と 連 動 さ せ る こ と は、
か の「
菩 提 心 論 』 の 三 摩 地 段 の お い て 見 る 通 り で あ る 。 そ れ 阿 字 と は一
切 諸 法 本 不 生 の 義 な り。
(
3}
と い う こ と が 命 題 で あ り、
「 毘 盧 遮 那 経 の 疏」
か ら 、 阿 字 を 釈 す る に 具 に 五 義 有 り、
と し て一
、
阿 字 短 寅 は 是 れ 菩 提 心、
二 、 阿 字 引 は 是 れ 菩 提 行 、 三、
暗 字 蝮 声 は 是 れ 証 菩 提、
四、
悪 字 短 声 は 是 れ 般 涅 槃 、 五、
悪 字 引 は 是 れ 具 足 方 便 智 と し、
そ れ を 「 法 華 経 」 の 開 示 悟 入 に 配 解 す る の で あ る 。(
14}
bつ
又 阿 字 を 將 て 法 華 経 の 中 の 開、
示、
悟、
入 の 四 字 に 配 解 す 。 開 の 示 と は 仏 知 見 を 開 く。
即 ち 雙 べ て 菩 提 心 を 開 く 。 初 の 阿 字 の 如 し。
是 れ 菩 提 心 の 義 な り 。 示 の 字 と は 仏 知 見 を 示 す 。 第 二 の 阿 字 の 如 し。
是 れ 菩 提 行 の 義 な り 。 悟 の 字 と は 仏 知 見 を 悟 る 。 第 三 の 暗 字 の 如 し 。 是 れ 証 菩 提 の 義 な り 。 入 の 字 と は 仏 知 見 に 入 る 。 第 四 の 悪 字 の 如 し。
是 れ 般 涅 槃 の 義 な り 。 総 じ て こ れ を 言 は ば、
具 足 成 就 の 第 五 の 悪 字 な り。
是 れ 方 便 善 巧 智 円 満 の 義 な り 。(
隠)
こ の 文 は、
そ の ま ま に 「 秘 蔵 宝 鑰 一 巻 下、
第 十 秘 密 荘 厳 心 に お い て 引 用 さ れ て い る 。 空 海 は、
こ の 文 を 前 提 と し つ つ 、 主 題 を【
16)
蓮 華 三 昧 之 心 を 開 敷 す る。
一
40一
空海の 「法華経 開題亅攷 (福田) に お き か え て
、
祥 細 に 論 じ て い る。
是 の 如 き の 智 恵 荘 厳 は、
唯、
諸 仏 の み 此 れ あ る に 非 ず 。一
切 衆 生 も 亦 復 是 の 如 し。
如 来、
無 垢 浄 眼 を 発 し て一
切 衆 生 を 照 見 し て 諸 の 衆 生 を し て 是 の 如 き の 本 心 に 悟 入 せ し め ん が た め の 故 に 慇 懃 に 悲 歎 し て 開 示 悟 入 す 。 故 に 文 に 云 う、
諸 仏 世 尊 は、
唯、
一
大 事 因 縁 を 以 て の 故 に 世 に 出 現 し た も う 。 又 附 字 を 以 て 開 示 焙 入 の 四 字 に 配 解 せ ば、
と て、
開 示 悟 入 と 阿 字 の 五 転 と を 配 解 し て い る の で あ る。
次 の よ う に で あ る 。「 衆 生 を し て 仏 知 見 を
陶
か し め て 清 浄 を 得 し め ん 欲 す る が 故 に 世 に 出 現 し た も う 」 初 の 烈 阿 字 の 如 し、
是 れ 菩 提 心 の 義 な り 。 経 の 文 に 云 く、
「 声 聞 若 し は 菩 薩、
我 が 所 説 の 法 を 聞 か ば、
乃 至一
偈 に 於 て を も 皆 成 仏 せ ん こ と 疑 無 し、
と。
「 衆 生 を し て 仏 之 知 見 をポ
さ ん と 欲 す る が 故 に 世 に 出 現 し た も う 」 第 二 の 憂 阿 引 字 の 如 し 、 是 れ 菩 提 行 の 義 な り 文 に 云 く、
「 十 方 仏 土 の 中 に は 、 唯、
一
乗 の 法 の み 有 り 、 二 も な く 亦 三 も な し 。 仏 方 便 の 説 を 除 く、
と。
「 衆 生 を し て 仏 の 知 見 を憾
ら し め ん と 欲 す る が 故 に 世 に 出 現 し た も う 」 第 三 の・
醐 暗 字 の 如 し、
是 れ 證 菩 提 の 義 な り 。 文 に 云 く、
「
仏、
智 慧 を 説 く が 故 に、
諸 仏 世 に 出 て た も う 。 唯、
此 の一
事 の み 実 な り、
餘 の 二 は 則 ち 真 に 非 ず、
と 。 「 衆 生 を し て 仏 の 知 見 に刈
ら し め ん と 欲 す る が 故 に 世 に 出 現 し た も う 」 第 四 の 麺 悪 字 の 如 し 。 是 れ 涅 槃 の 義 な り 。 こ の か 文 に 云 く、
「
諸 法 本 よ り 來 た 常 に 自 ら 寂 滅 の 相 な り、
仏 子、
道 を 行 じ 已 て 來 世 に 作 仏 を 得 ぺ し 、 と。
一
41一
智 山学 報 第五十五輯 文 に 云 く
、
惣 じ て 之 を 言 は ば、
具 足 成 就 の 第 五 の 愁 悪 引 字 な り。
是 れ 方 便 善 巧 智 円 満 の 義 な り。
と 深 釈 し て い る 。 さ ら に 、 「 法 華 経 開 題(
兢 河 女 人)
一 に お い て も、
〔
17}
文 に 云 く、
諸 仏、
世 尊、
唯 し}
大 事 因 縁 を 以 て の 故 に 世 に 出 現 し て、
衆 生 に 開 示 悟 入 し た も う 。 入 の 四 字 は、
龍 猛 菩 薩 の 釈 に、
此 れ 則 ち 大 日 経 の 四 種 の 異 字 と 義 趣 大 い に 同 な り 懇 嚢 肉 餐 烈 方 便 具 足 大 涅 槃 証棗
工 菩 提畧
菩 提 の 因芙
日壟
の 義 此 の 経 に 入 の 義 悟 の 義 示 の 義 開 の 義霧
華罍
第 五 の 字 鉦,
」
し
亀
し と 雖 も 義 理 と し て 必 ず 有 る べ し o 謂 ゆ る 開 示 悟 と 整 理 さ れ る で あ ろ う 。「
法 華 経 開 題(
重 円 性 塰 』 に お い て、
八 葉 と 阿 字 五 転 に つ い て 次 の ご と く 述 べ て い る 。 そ れ は 八 葉 の 蓮 華 観 と い う こ と で あ る が、
冖
切 衆 生 の 心 は 蓮 華 三 昧 の 因 で あ り 、 い ま だ 煩 悩 等 の た め に 自 か ら 心 の 如 実 の 相 を 知 ら な い で い る。
仏 知 見 の あ り か は 凡 夫 の 内 心、
即 ち 汗 栗 駄 心 そ の も の で あ り 、 観 音 を 覚 ら ん と し て 蓮 華 形 を 観 念 す べ し と し て い る。
一
切 の 凡 夫 の 心 處 は、
未 だ 自 か ら 了 す る こ と あ た わ ず と 雖 も、
然 も 其 の 上 に 自 然 に 八 弁 有 り 、 合 蓮 華 の 形 の 如 し。
但 し 此 の 心 を 観 照 し て、
其 れ を し て 開 敷 せ し む 。 即 ち 是 れ 三 昧 ま り 。 然 る に 其 の 理 と は 、 若 し 此 の 葉 之 華 を 観 す れ ば、
即 ち 理 と 相 応 す る こ と を 得 る。
此 の 八 葉 と は 即 ち 是 れ 四 方 四 隅 な り 。 四 方 は 即 ち 是 れ 如 来 の 四 智一
42一
海の 「法 華経開題亅攷 (福田) な り 。 初 の 奚 字 門
−
菩 提 之 心 次 の 餐 字!
菩 提 之 行 次 の 貞 字 ーII
成
無 上 菩 提 次 の 凝 字ー
大 涅 槃 其 の 餘 の 四 隅 之 葉 は 即 ち 是 れ 四 摂 の 法 な り。
と 。 こ れ は 八 葉 蓮 華 観 と 阿 字 の 四 転 観 と の 相 応 で あ る 。 文 申 に 「 五 の 阿 字 の 義 」 と か 、 「 末 後 の 蓉 字 門 」 と い う 矛 盾 が 見 う け ら れ る が、
よ う す る に 八 葉 の 観 照 と 阿 字 の 四(
五V
転 に よ っ て 示 さ れ て い る も の は 、 心 法 の 体、
本 来 寂 滅 相 を 完 成 さ せ る ご と き、
で あ っ た 。 六『
法
華
経
』と
四種
曼
荼
羅
観
我 々 は、
大・
三・
法・
羯 の 四 種 曼 荼 羅 に つ い て は、
「 即 身 成 仏 義 」 に お い て 明 解 な 定 義 を 知 っ て い る。
題(
開 示 茲 大 乗 経)
」 に お い て 、(
18}
こ の 大 乗 経 を 開 示 す る に、
略 し て 四 意 有 り 。 謂 ゆ る 大 三 法 羯 な り 。 大 と は、
大 日 及 び 四 仏 乃 至 外 金 剛 部 の 諸 尊 の 相 好 の 身。 三 と は、
所 持 の 慓 幟 な り 。 法 と は、
真 言 及 び一
切 の 声 名 句 等 な り。
羯 と は、
諸 尊 の 種 種 の 威 儀 事 業 な り「
法 華 経 開一
43一
智 山学 報 第五十五輯 と あ る 。 さ ら に 、
(
兢 河 女 人)
に お い て、
(
19)
法 界 躰 性 五 大 五 字 を 以 て 稲暫
刃 「 と す 。 六 大 無 礙 の 故 に.
ヨ な り 。 能 く 三 世 の 軌 持 と 作 る が 故 に 漓 な り。
善 巧 為 作 の 故 に 羯 應 な り 。 さ ら に、
「 法 華 経 」 の 題 目 に つ い て 四 種 に つ い て 解 せ ば、
と し て、
(
20)
妙 と は鶉
糊 な り。
極 無 比 味 無 過 上 の 色 を 以 て 大 日 尊 等 を 荘 厳 す る が 故 に、
妙 を 以 て 名 と す 。 此 の 尊 等 亦 烈 字 等 の 本 有 真 実 の 名 を 以 て 号 と す る が 故 に 法 と 日 う、
即 ち鑽
な り 。 此 の 尊 等 亦 自 性 蓮 花 等 を 持 し て 表 幟 と す る は、
即 ち ヨ喇
耶 曼蕾
纈 身 な り。
一
此 の 三 部 の 諸 尊 定 ん で 妙 善 の 方 便 智 用 有 る は、
羯 囓 と 名 く 。一
こ れ は 、 ま さ し く 題 目 に 四 種 身 を 配 し た 四 種 曼 荼 羅 説 で あ る。
さ ら に 、 「 法 華 経 一一
部 に つ い て 四 種 曼 荼 羅 身 を 配 釈 し て い る。
即 ち、
〔
21)
序、
涌、
不 軽、
薬 王、
妙 音、
観 音、
妙 荘 厳、
普 賢 等 の 品 は、
法 中 の 大 身 な り 。 火 宅 、 薬 草、
宝 塔 は 三 中 の 法 陀 羅 尼 品 は 法 中 の 大・
三・
羯 な り 、 方 便・
信 解・
授 記・
化 城・
五 百 弟 子・
学 無 学・
法 師・
観 持・
安 楽・
寿 量・
分 別・
隋 善・
法 師 供 養・
嘱 累 等 は 羯 中 の 法・
大・
三 な り 。 と あ る 。 こ れ を 図 表 に し て み よ う 。空 海の 「法 華 経開 題亅攷 (福 田)
護
醂 醤 ー 曝 鞍 口 舘 趣 国 酪 験 屬 醂 醤 団 臙 髏 》lll
纛
lllll
難
r
轢
靉 1灘黶 嵯
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口 淌 醤 臓 髏 十 国 鞍 十 〉 囲 団 十 十 十 十 囲 十 融 劭 〉 “ 〉卜 団h
簧ロ 臓 黙 〉 1 計 醤 [ll 辮辮 丑葺
即 匡 丹S
辭
醤 晋S
瓣・
》・
田一
一
45一
智山学報第五十五輯 麟 恭 叶 薩 臓 〉
鑒
和 臓 十 諒羅
嘸 鰍 即 瀰 誉 惓 書 ご 串 臓 目覊
釦 臓 口 十 巨 樹 田 嚼 濕 耕 蝦 釦 醇 瞭 畊 濕 即 聡11
遜 律 峠 畊 爵 鳴 認 講 譜 団 匙 讖 口 十 丑S
》・
臣・
澄 慝 韻 纛 畳 蝦 諍 臓 嘸 躍 囃 鰍 礬 躍 踟 則 ち 観 自 在 王 之一
種 の 法 門 身 な り 。 四 種 曼 荼 羅 の 多 種 な る 転 用 を 見 る こ と が で き よ う。
枚 数 の 制 限 を こ え て し ま っ た が、
「 法 華 経 』 方 便 品 第 二 の 開 示 悟 入 の 主 流 で あ る 仏 智 見 に つ い て、
是 の 如 く の 四 種 身 は、
こ こ に、
以 上、
(
22)
知 見 と は、
謂 ゆ る 衆 生 の 三 密 な り 。 衆 生 の 三 密 に 六 重 の 本 覚 有 り、
是 の 本 覚 に 各 々 卅 七 百 八 乃 至 微 塵 数 の 仏 智・
四 種 法 身・
四 種 曼 荼 羅 の 身 を 具 す と あ る に 注 目 し て お き た い の で あ る。
一
46一
空海の 「法 華経 開題亅攷 (福田)
七
ま
と
め
〔
23)
「 法 華 経 釈」
に お い て、
「 妙 法 蓮 華 経 観 世 音 菩 薩 普 門 品 」 を、
観 自 在 菩 薩 の 四 種 曼 荼 羅 身 を 表 す、
と し て 鬮園
(
同華
確 牌 淋 繭 海
圏
圃(
》 齢 鰍鬯
川 昇 畏 躑 淋 繭 融
鬮
鬮
囲(
黷 面 鼡・
諦 搾 眼)
ー
汁 ゆ 貅 諮 海圏
−[
疇 齣 蟄 麟 黜 剰 韓 鬯 >S
獸 「 』 庄 メ 滯 龜 皿 甫 隊 爵S
黙 血 麟 醺 蘚 算 智 ぴ 誉 潅S
蝸 瀞 熟 蘇 醤 禰 陬 贈 湘 遡 そ し て、
四 種 曼 荼 羅 身 は 、 各 々 の 量 虚 空 法 界 に 遍 満 し て 常 恒 に 無 間 に 大 仏 事 を 作 す、
と し、
こ れ を 自 性 の 四 種 法 身、
即 ち 毘 盧 遮 那 の 異 名 な り 、 と 結 論 し て い る。
(
24》
よ う す る に、
「 法 華 経 一 を 解 す る に 、(
競 河 女 人)
に あ る ご と く 、 梵 家 の 釈・
漢 家 の 釈、
さ ら に は 十 種 ほ ど の 「 法 華 経 」 の 注 釈 を 知 っ て い る 。 し か し、
あ え て そ れ を 持 ち 出 す こ と な く 、「
大 日 経 疏 一 巻 三 の 文。
「 理 趣 釈 一 巻 下 の 観 自 在 菩 薩 理 趣 会 品 の 記 述 に も と ず き、
密 教 の 法 身 観 や、
六 大・
四 曼・
三 密 の 三 大 説 を 背 景 と し て、
実 に 大 胆 な 「 法 華 経 」 理 解 を 展 開 し て い る。
さ ら に、
妙 法 蓮 華 経 の 留 画穿
胃 ヨ 9。 切髫
ユ ロ 嵩 冨 ω 鼕 蠶 の 《(
駄)
の 字 相・
字 義 を 考 察 し、
字 相 と は、
一
切 諸 法 諦 の 義 な り 。 字 義 と は、
一
切 諸 法 阿 字 門 に 入 れ ば、
即 ち 諦 不 可 得 な り 。 謂 く 観 自 在 王 如 来、
一
47一
智 山学 報第五十五輯 妙 観 察 智 の 三 摩 地 に 入 り て