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智山學報 第41 009原 隆政「浄影寺慧遠の仏性義について」

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(1)

浄

影

寺

慧

遠

の

仏

性

義

に

つ

い

て

原

隆

政

浄影寺慧 遠の仏性義に つ い て (原

 

隆政) 〔 レ ジ ュ メ 〕   今 回 の テ ー マ は 仏 性 を 地 論 宗 の 慧 遠 を 中 心 に し て 華 厳 宗 の 法 蔵 ま で の 変 遷 を 見 て い く 。 最 終 的 に 、 仏 性 義 を 中 心 と   し た の 宗 は 法 蔵 の 五 教 判 の う ち の 大 乗 終 教 の 第 三 番 目 に 位 置 さ れ る 。     ち な み

笑

師 に よ ・ て は

讓

宗 を 法 蔵 自 身

楚

義 付 け た 五 教 判 の 如

議

教 睡 第 三

沓

に 位 置 付 け ら れ る と い う 誤 解 が

餐

祝 ・   仏 性 義 と い う テ ー マ は 幅 広 い 。 し か し 的 を 絞 る と 、 北 魏 仏 教 の 総 合 と し て の 『 大 乗 義 章 』 を 著 し た 慧 遠 は 地 論 宗 南 道 派 に 分   類 さ れ る 一 方 、 智 儼 の 教 学 そ し て 法 蔵 の 教 学 へ 連 な る 契 機 を 持 つ 人 物 で あ る 。 す な わ ち 、 お も に 彼 ら は 地 論 宗 か ら 華 厳 宗 へ の 流 を 作 る 人 脈 で あ る 。 し た が っ て 厳 華 宗 − 地 論 宗 の 線 で 仏 性 義 を 検 討 し て み た い 。   ま ず は 、 慧 遠 の 時 代 の 仏 性 義 を 見 て い く が 、 吉 蔵 の 『 大 乗 玄 論 』 ・ 『 涅 槃 遊 意 』 ま た 『 大 乗 起 信 論 』 ・ 曇 遷 の 『 亡 是 非 論 』 な ど   を 慧 遠 の 仏 性 義 と 比 較 し て み る 。 ま た 、 コ 心 L と い う こ と で は 、 『 十 地 経 論 』 の 三 界 唯 心 偈 も 見 て み た 。 〔

1

〕

 

仏

性

議

論

  ま ず 一

般

的 と 言 わ れ る 仏 性

義

を 見 て 行 く こ と に

す

る 。 一 般

論

的 に 用 い ら れ て い る 論 疏 は

慧

遠 に も 引 か れ て い る 。 こ こ で は 『 宝 性 論 』 や 『 仏 性 論 』 な ど も

挙

げ る が 、 特 に こ の 両 論 の 成 立 真 撰 ・

偽

撰 の 問 題 は 当 論 の

文

脈

上 間 わ な い こ と と す る 。

A

『 究

竟

一 乗 宝 性 論 』  

仏

性 の 規.

定

は 、 仏 性 が 三 宝 生 み 出 す の だ が、 仏 性 が 衆 生 の 中 に あ っ て か つ 煩 悩 に 包 ま れ て い る と

き

こ れ を

如

来 蔵 一 111 一

(2)

智山学報第四十一輯   ( 注 2 ) と よ ぶ 、 と い う こ と で あ る 。 し か も 、 こ の 仏 性 は 空 を

否

定

し て

有

と し て の 仏 性 を 立 て て い る 。

後

で 述 べ る が 慧 遠 の 「 仏 性 義 」 で は 、 「 弁

体

」 の 項 で 性 を 分 け て い く 中 、

10

に

分

け る 場 合 を こ の 論 を

引

い て 詳 し く 述 べ て い る 。 「 経 論 」 の

項

で は 、 衆 生 と 仏 性 と の あ る べ き 姿 を 説 く と き に も こ の

論

が 用 い ら れ て い る 。

B

『 仏 性 論 』   冒 頭 で 、 全 て の 衆 生 に は 仏 性 が あ る 、 と

言

っ て い る 。 そ の と き の 仏

性

と は 、 人 と

諸

物

と の 二 つ が 空 に よ っ て 現 れ て い る 真 理 【 真 如 】 の こ と を い う の で あ る 。 そ し て 、 如

来

蔵

と い う 定 義 で は 、 そ の 仏 性 が 煩

悩

に 包 ま れ て い る 状 態 を 指 し て い る 。 こ の 論 は

慧

遠 に は

引

用 さ れ て い な い 。   こ の

A

・

B

両 論 に お い て 仏 性 は

衆

生 に 内 属 す る 、 転 依 し て 仏 と な る た め の 可 能

態

と 言 う こ と が で き る 。

C

『 大 智 度 論 』   こ の 論 で は 「 法 性 」 と 言 い 、

コ

切 世 間 法 中 に 涅 槃 性 が 皆 あ り L と 言 っ て 、 こ れ は 仏 性 義 の

釈

名 で 用 い ら れ て い る 。

D

『 十 地 経 論 』  

特

に は 、 仏 性 義 の こ と は 論 じ て は い な い が 、 三

界

唯 心 偈 が 体

弁

中 の

真

妄

和 合 の 因 縁 を 説 明 し て い と こ ろ で 用 い ら れ て い る 。               〔

2

〕

 

地

論

宗

の

仏

性

義

A

『 大 乗 義 章 』 「 仏 性 義 」  

1

. 仏 の 釈 名 で 「 仏 を

挙

げ て 性 を 樹 て る 」

11

「 仏 を 明 か す 」 と い う 言 明 が 先 ず あ る 。

仏

性 は 「

仏

・ 性 」 ・ 「 果 ・ 因 」 と い う 関 係 を

慧

遠 は

意

識 し て い る 。 と い う こ と は 、 こ の 項 で は 「 性 」 の

分

析 が 中 心 と な る 。 一

112

一

(3)

浄 影寺慧遠の仏性義につ いて (原

 

隆政)   性 の 釈 名 で は 〔 性 の 体 〕 を、 真

識

心 を 因 、

法

身

を 果 、 両 者 共 通 の 場 を

コ

来

性 L と い い 、 仏

性

の 能

動

的 な 面 で あ る 。

受

動

的 な 面 で は 、 諸 法 自

体

ー 諸 仏 の

窮

ま る と こ ろ 、 と し て い る 。 〔 性 の 不 改 〕 「

11

用 」 を 、 同 様 に 因 ・ 果 ・ 通 ・

諸

法

と わ け る 。 〔 性 の 別 〕 「 ー 性 の 所 在 」 も 同 様 で あ る 。  

2

. 仏 性 と い う の は 法 界

門

の 一 門 で

あ

る 。 真 識 心 は 無 明 と 合 わ せ る と

妄

心 を 起 こ す 。 「 心 あ る も の に は 全 て 仏 性 が あ る 。 」 と 言 い 、 非

情

の も の に は 仏 性 を み と め な い 。 所

知

と し て 第 一 義 空 や 中 道 も 仏 性 で あ る 。 と に か く 論 理 構 造 は 、 非

A

・ 非

B

・

C

と い う こ と で あ り 、

C

が 前

両

者

(

11AB

) を 支 え て い る 。 体 を 語 る 上 で こ の よ う な

AB

を ふ や し て い く 。 つ ま り 、

AB

と

C

と は 同 一 次 元 上 に は い な い 。

常

に

C

は 前 者 の 必 要 条 件 と な り 、

AB

は

C

に と っ て 充

分

条

件 と な ろ う 。  

3

.

闡

提

に は 不

善

の 性 が あ り 、 仏 性 縁 起 に よ っ て 不

善

と な る 。 単 な る 縁 起 に よ る の で は な い の だ か ら 、 仏 性

義

か                       ( 注 3 ) ら も

染

が 生 じ る と 考 え ら れ る 。 理 性 は 内 外 通 じ る 。   こ の こ と に お い て 、 『 涅 槃

経

』 で は 非 情 ー

外

に は 仏 性 が な い と

あ

る が 、 そ う す る と 、 仏 性 壮 理 性 と い う こ と に な る 。  

4

.

縁

に よ り て、 生 ず る こ と に つ い て は 二 つ の 原 因 が 考 え ら れ る 。 縁 因 と 正 因 と で

あ

る 。 つ ま り 間

接

原 因 と 直 接 原 因 。

仏

性

、 菩 提、 性 浄 、 方 便 と い う 果 、 そ れ ぞ れ に 対 し て 正 ・

縁

が あ る 。   仏 性 と い う 、 立 場 的 に は 絶 対 者 の

原

因 を 以 て 語 る と い う こ と に な る 。 つ ま り 第 一 原

因

の 原 因 を 設 定 し て い る こ と に な る 。   仏 性 は

転

変

し て 生 と な る が 、 虚

空

は 観 念 上 の も の で 顕 現 す る こ と は な い 。 了 因 は 方

便

で あ る 。   よ っ て 理 性 の こ と を

鑑

み る と 「 性 」 に は 二

義

あ

る こ と に な る 。 仏 性 と 本

質

と 。  

5

、

諸

々 の 経 論 に お い て 、 空 と い う の は

固

執

す る

衆

生 の た め に 説 く も の で あ っ て 、 性 は 空 を 知 っ て し ま う こ と で 、 一

113

一

(4)

智山学報第四十一輯

安

息 し て し ま う 衆 生 を 怠 け さ せ な い た め に あ る 。                   ( 注 4 )

B

『 大 乗 義 章 』 「 八 識 義 」   体 相 論 は 『 大 乗 起 信 論 』 に よ る 。 心 真

如

門 ( 如 実

空

・ 如 実 不 空 ) は 心 の

体

、 心 生 滅

門

( 真

妄

和 合

/

本 覚 ・ 不 覚 )                                                     ( 注 5 ) は 心 の 相 。 ほ と ん ど は 、 『 大 乗 起 信 論 』 に よ る 説 明 と な っ て い る 。   以 上 で 説 明 す る 上 で

5

つ の

分

類 が あ る 。 簡 単 に ま と め る と

次

の よ う に な る 。  

 

名 前 ” 性 に

関

し て そ れ ぞ れ の 性

質

( 因 ・ 本、

体

、 不

改

、

性

別 ) を 名 付 け て 四 種 あ る 。  

 

本 質 鱒 相 対 立 す る も の に 、 根 底 に

第

三 項 を 設

定

す る 。 又 、 悉 有 仏 性 と 真

妄

和 合 そ し て 、 そ れ 故 、 闡

提

成 仏 を み           と め る 。 〔 『 亡 是 非 論 』 ・ 『 大 乗 起 信 論 』 〕  

 

所

在 ” 理 性 と し て 闡 提 や 善 根 に あ り 、 縁 に 関 し て は 無

自

性 、 因

果

の 性 は 内 に あ る が 、 体 や 理 性 は

内

外 を 問 わ な           い 。 仏 性 昇 妄 情 。 時 間 的 に は 三 世 を 越 え て い る が 、 そ の 理 性 は 現

在

・

未

来 に 通 じ て い る 。     因 の 義 ” 縁 因 と 正 因 と が あ り 、 〔 仏 性 ・ 菩 提 ・ 性

浄

・ 方 便 〕 に そ れ ぞ れ 、 縁 ・ 正 を あ て て い る 。 ま た 、 生 因 ・             了 因 ( 推 量 す る と き の 認 識 根 拠 ) を 兎 角 と

仏

性 に 当 て は め て 説

明

す る 。     諸 経 論 で の 評

価

” 総 合 的 な 判 断 を 空 (

法

蔵 の 教 判 で は 大 乗 始

教

) に 対 し て

述

べ る 。 「 性 を 説 く の は

衆

生 に

怠

け                     心 を 起 こ さ せ な い た め だ o 」   以 上 は

直

接 的 な 資 料 を 基 に し て 仏 性 義 を 見 て き た が 、 次 に は 副 次

的

な 意 味 で 必

要

と 思 わ れ る

資

料 を 見 て い き た い 。                   ( 注 6 ) 理 由 と し て は、 東 洋 的 無 に 適 う よ う な 概 念 が 仏 性 を 語 る 上 で 慧 遠 の

中

で 用 い ら れ て

き

た の で 、

無

礙 な る

根

拠 と し て の

概

念 の

模

索

と い う こ と が、 必 要 に 感 じ ら れ る か ら で あ る 。 し た が っ て 、 こ こ に 示 す

資

料 は 模 索 と い う こ と を 基 に し て み れ ば 不 充 分 な

感

か ら 免 れ な い か も し れ な い 。   〈 資 料

V

一 114 一

(5)

浄影 寺慧 遠の仏性義に つ い て (原 隆政)        

A

『 亡 是 非

論

』 曇 遷 著

Zo

」

Q。 『 α Q。

9

密

H 切 『 孔 目 章 』

内

       

B

『 十 地

経

論

』 世

親

著

 

Zo

° 呂 卜。 b。 < or 卜。  

這

゜。 〜        

C

『

大

乗

起 信 論 』 馬 鳴

著

 

Z

ρ δ

3

< o ピ ω b。 α

謡

〜

A

『 亡 是 非 論 』

 

 

 

  一   無 心 と い う

考

え 方 を 「 是 非 」 の と は 違 う

次

元 に 設 定 す る こ と 、

仏

性 の 設

定

の さ れ 方 に

似

通 っ て い る と い う こ と で 取 り 上 げ た 。 『 荘 子 』 の 「

斉

物 論 こ の 論 は 根

拠

を 持 っ て い る こ と は 諸 先

達

が 考 究 し た と こ ろ で も あ る 。 唯 、

慧

遠 は

曇

遷 か ら 教 え を 受 け た が 、 ヒ の 仏 性 義 に は そ の 影 響 は

未

詳 で あ る 。  

論

の 要

点

は 、 「 自 ら は

彼

を 非 と し 、 、 己 を

美

と し 、 人 を

悪

と す る 。 つ ま り 物 は 然 ら ざ る こ と の 無 い の は、 皆 然 を

拠

り

所

と し て い る か ら で あ る 。 世 間 で は て

紛

紜 ( 複 雑 な さ ま ) と し て 、 自 ら が 正 し い 者 は い な い 。 か く な る 由 は 未 だ 、 是 非 の 【

患

】 に

達

し て い な い か ら 。 【 患 】 に は 、 す な わ ち 、 十 種 の 不 可 が あ る 。 」 と 言 い 、 そ れ ら を 列 挙 し て い る 。       是 非 無

適

主       自 性 不

定

  *  

彼

我 倶

有

  ・  

更

互 因

生

   

 

互 不 相 及   *   穏 顕 有

無

      性 自 相 違   *   執 者 情 偏       是 非 差 別 一

115

一

(6)

智山学報第四十 一輯    

 

無 是

無

非

* は

荘

子 の 「

斉

物 論 」 の 説 明 に 似 て い る と の 指 摘 が 木 村 博 士 に よ っ て な さ れ て い る 。   こ の 論 は 『 孔 目

章

』 の 「 性 起 品 」 の 説 明 に

付

し て あ る 。 す な わ ち 、

性

起

品 の 関 連 で あ る か ら 、 『 亡 是 非 論 』 の 無 を 是 非 と い う

対

立

概

念

の

第

三 項 と し て

設

定 し、 是 非 と い う 執 な る 状 況 を 脱 し よ う と し た 。 鎌 田

博

士 に ょ れ ば 、

曇

遷 は

自

分

の 名 利 を ひ け ら か し て い る の を 否

定

す る た め に 、 「 世 間 の

名

利

と 恭 敬 と を 求 め る に 非 ざ る が 故 に 」 を 根 拠 に し て い る 。                 ( 注 7 )

B

『 十 地 経 論 』

現

前 地   〔 経 〕

 

「 こ の 菩

薩

は こ の 念 を

作

し て 、 三

界

は

虚

妄 に し て 、 但 、 こ の 一 心 が 作 る の み 。 」   〔 論 〕

 

「 但 是 一 心

作

」 と は 、 一 切 三 界 唯 心 の

転

な る 故 な り 。 云 何 世

諦

の 差 別 な り や 。 随 順 し て 世

諦

を 観 る に 即 、

第

一 義 諦 に 入 る 。 此 観 は 六

種

あ り 。 一 染 染 依 止 観 、 二 因 観 、 三 摂 過

観

、 四

護

過

観 、 五 不 厭 厭 観 、 六 深 観 で あ る 。 こ の

中

の 染 依 止 観 は 、 因 縁 有

分

は 一 心 に 依 止 す る 故 な り 。   [ 経 〕

 

「 如

来

蔵 の

所

説 は 十 二 因 縁 分 に 皆 一 心 に よ る … … 」   [ 論 〕   こ れ は 「 第 二 の 差

別

」 で あ る 。

コ

心 L は 「 雑 染 和 合 因 縁 集 観 」 で あ る 。 「 因

縁

観 」 に は 、 「 自 因 観 」 ・ 「

他

因

観

」 が あ る 。                         ( 注 8 )

C

『 大 乗 起 信 論 』 立 義 分

/

解 釈

分

 

慧

遠

の 真

妄

和

合

と い う 考 え 方 を こ の 論 は 助 け て い る 。

引

用 に つ い て は 、 慧 遠 の 「 仏

性

義

」 中 の

本

質

「

体

」 を 論

ず

る

中

に

2

箇

所 こ の 論 が 引 か

れ

る 。   〈 立 義

分

〉   「 所 言 の 法 は 衆 生 心 」 は 三 界

唯

心 偈 に つ な が る と す れ ば し か も そ の 「 心 」 は 「 世 間

法

・ 出 世 間

法

」 を 含 ん で い る 。 一

116

一

(7)

浄影寺慧 遠の仏性義につ い て (原

 

隆政) 又 、 こ の 「 心 」 は 「

摩

訶 衍 義 」 が あ り 、 「 心 真 如 相 」 は 「

摩

訶

衍

体 」 顕 し 、 「 心 生 滅 相 」 は 「

摩

訶

衍

自

体

・ 相 ・ 用 」 を 顕 わ す 。 よ っ て 「

衆

生 心 」 は

義

に よ っ て 説 明 さ れ る 。 義 に は 三 つ あ っ て 、 〔 体 大 〕 は

真

如 。 〔 相 大 〕 は 如 来 蔵 、 〔 用 大 〕 は 世 間 ・ 出 世

間

の 善 な る 因

果

を 生

ず

。 「 一 切

諸

仏 の 本

所

乗

」 で あ る か ら 。 全 て の 菩

薩

は こ の

教

え に 従 っ て 如

来

の 地 へ

行

っ た 。   〈

解

釈

分

〉   〔 顕 示 正 義 〕   一 心 は 「 心 真 如

門

」 と 「 心 生

滅

門 」 と に 分 か れ る 。 こ の 二 つ ( も と は 一 心 だ が ) の 心 に ょ っ て 全 存

在

が 抱 摂 (

説

明 ) さ れ る 。   心 の

本

性

が 不 生 不

滅

で あ る 。

コ

切 諸 法 は 唯 、

妄

念 に よ る L と 言 う 。 し か し 、 妄 念 を

離

れ れ ば 、 「 一 切

境

界 之 相 」 は 無 く な る 。 だ か ら 、 一 切 法 は

本

来 「

離

言 説 相 」 「 離 名 字

相

」 「

離

心

縁

相 」 で あ る 。

真

如 は 「 依 言 説 」 に よ っ て 二

分

さ れ る 。 「 如 実 空 」 ・ 「

如

実

不 如 工 」 で あ る 。   「 心 生

滅

」 に

如

来 蔵 が 当 て ら れ て い る が 、 こ の 説 明 こ そ が 慧

遠

の 仏 性

義

に 相 当 す る の で は な い だ ろ う か 。   『 大 乗

起

信 論 』 の 阿

黎

耶 識

11

衆 生 心 と 唯 識 と ア ラ ヤ 識

1

ー

第

八

識

と は 全 く

別

物

で あ る が 、 慧 遠 の 場 合 は 第 八 識 “

清

浄

心 “

仏

性 と し て と ら え て い る き ら い が

あ

る 。 〔

3

〕

 

吉

蔵

の

仏

性

義

  地 論

宗

を 見 て い た 吉

蔵

の 著 作

す

で 検

討

る 。

A

『 涅

槃

経

遊

意

』  

 

「 釈 名 」 = o °

嵩

  。。   bδ G。 ω

O

歯 。。 心 〉   『 大 乗 義

章

』

浄

法 聚 第 四 の 果 法

第

二 の 「 涅

槃

義 」 の 文

意

を

引

い て い る 。 「 涅 槃 」 と い う 言

葉

を

支

那 語 に ど う 訳 す か 、 一 117 一

(8)

智由学報第四十 一輯 と い う こ と で 慧 遠 は 「

安

楽

」 と し て い る と 言 っ て い る 。

反

対 に、 不 安 は 生 死 。

然

る に 安 楽 は

涅

槃

。 北 人 の 言 う に は 、 「 般

涅

槃

夥 」 を 訳 す と 「 入 息 」 な る 。 「 入 」 に は 三 種 類 あ る と し て 、  

 

『

成

実

論 』 で は 「

妄

を 止 め て 、 真 に 帰 る 。

因

に 従 い 、

果

に 魁 く 」 と 言 う 。     「

真

応 相 対 」 は 「 化 を 止 め て 、 真 に 帰 る 」 と 言 う 。     「 但 就 応 為 書 扁 は 「

有

為 を

捨

て 、 無

為

に 入 る 」 と 言 う 。 し か し 、 正 し く は 「

滅

」 と 訳 す 。 も し 義 に 従 う と 、 「 不 生 解 脱

等

」 と な る 。

B

『

大

乗

玄 論 』 「

仏

姓 義 」  

1

、 大 意                               ト カ         モ ト  

吉

蔵

の 仏 性 義 を

概

観

す る 。 「 識 を 蕩 し て 原 に 還 る を § づ け て 仏 徃 と 為 す 」 〔 識 に あ る 汚 物 を

取

り 除 い て そ の 素 に

戻

り こ と を 仏 性 と 言 う 〕    

 

       

 

       

 

       

 

    隻     と い う こ と は

吉

蔵

自

体

が 仏 性 の 在 処 を

真

妄

和

合 識 と み な し て い る 。  

2

、 明 異

釈

  こ こ で は

11

種 類 の

諸

家 の 説 を あ げ て 、 蕊 つ の 要 索 に ま と め る 。 地 論 師 は

7

/

11

で 陣

梨

耶

識

麕

性 溝

浄

心 と み て い る 。 「

中

道

を 以 て 仏

性

と 為 す 」 と し 、 『 涅 槃 義

疏

』

道

朗

・

曇

無 讖 共 著 か ら の

説

を 受 け 入 れ て い る 。 そ し て、 以

後

の 諸 家 は こ の

疏

を も と に 仏

牲

義

を 論 じ て い る 。  一 二 つ の 要

素

と し て は 、      

仮

。

実

( 衆 生 ・ 六 法 ) の 二

義

 

1

・

2

』       心 。 心

識

の 二 義 と 五 解

 

3

。

4

。

5

・

6

・

7

   

 

−       理 の 義

 

8

・

9

・

10

・

11

 

 

 

 

 

 

 

 

・ 一

118

一

(9)

浄影寺慧遠の仏性義につ い て (原

 

隆政) で

あ

っ て 、 地 論 師 は   の 心 識 に 分 類 さ れ る 。

吉

蔵 の 批 判 と し て は 、 〔 ア ラ ヤ 識 は 仏 性 で は な い 。 よ っ て 、 『 摂 大

乗

論 』 に こ れ ー ア ラ ヤ 識 は 無 明 の 母 、 生 死 の 根 本 で あ る 。 六 識 、 七 識 、 八 識 、 九 識 ・

…

無

限

に 識 を 設 定 し た と し て も 、 全 て

仏

性

で は な い 。 何 故 な ら こ れ ら は 有 所 得 で 、 五 眼 の み な い と こ ろ で

あ

る 。 〕 と い う こ と 。 つ ぎ に 、 吉 蔵 の 仏 性 義 の 正 因 を 語 る 。 つ ま り 、 「 非

A

非

B

。

A

ル ー 〜

11

の 識 。

A

の 反 対

概

念

と し て の

B

」 、 こ れ が 中 道 で あ る 。  

3

、

尋

経

( 経 証 )  

4

、

簡

正 因   こ れ を

検

討

す る た め に は 、 無 始 終 義 と

作

三 世

義

と を 用 い る 。 無 始 終 で は 、 菩 提 ー 果 は

智

、 涅

槃

11

果

果

は 断 、 で あ る か ら、

智

に よ る の で 断 と 説 く 。  

5

、 釈

 

名  

通

名

・ 別 名 が

あ

る 。  

6

、 本

有

始 有   地 論 師 の

意

見 を

引

く 。 つ ま り 〔 仏 性 に 二 種 あ る ゆ 理 性 と 行 性 。 理 は 作 ら れ る べ き も の で な い の で、 本 有 。 行 は

修

を

借

り て 成 立 す る の で 始 有 。 し か し 、

有

所 得 に 対 し て は 了 解 さ れ る よ う だ が 実 は そ う で は な く て 、 そ れ ぞ れ の 言

葉

に

執

着

し て し ま う か ら 、 か え っ て 迷 執 と な っ て し ま う 、 と い う の で

あ

る 。 中 道 の

義

が な い か ら 、 か よ う に 批 判 さ れ る よ う で あ る 。  

7

、

弁

内

外

有 無 ・ 明 仏 性 有

無

  理 外 と い う 立 場 に 立 て ば 、 に は 衆 生 も な く 仏

性

も な い 。

火

に 水 を 求 め る よ う な も の で あ る 。 そ し て 五 眼 の 見 な い と こ ろ で

あ

る 。 理 内 と い う 立 場 で は 、 全 て に 仏

性

が あ る 。

闡

提

に 関 し て は 、 三

宝

を 誹 る の は

闡

提

で あ る か ら 、 「

今

」 罵 る こ と が な け れ ば 闡

提

で は な い か ら 、 「 過 去 」 に 闡

提

だ っ た 人 は 「 今 」 は 違 う か ら 仏

性

は あ る 。 だ か ら (

仏

性 の 一 119 一

(10)

智山学報第四十一輯

内

外 ・

有

無 は 定 ま っ て い な い 。 衆 生 は 仏 で あ り 、 密 で あ る 。 衆 生 に

仏

性 が あ る と 言 う の は

如

来

蔵 に ょ る し 、 仏 性 に 衆 生 あ り と い う の は 、 如

来

蔵

生 死 の た め に

依

持

建

立 す る か ら で あ る 。  

8

、 明 見 性  

見

に 二

種

あ る 。      

 

慧 眼

見

〔 十 地 ・ 十 住 〕   仏 眼 は 仏 性 を 見 て 了 了 で あ る が 、 慧 眼 は し か ら ず 。 た だ 、 『

華

厳 経 』 は 初 発 心 時

便

成 正 覚 と い う こ と か ら 、 「 初

発

心 時 」 に 仏 性 を 見 る の で あ る 。 よ っ て 、 涅

槃

の 明 か す 十 地 は 地 懿 で あ る 。 と こ ろ が 、 地 論 師 は 行 位 に よ っ て 決 め て い る 。 浬 槃 は 位 別 に ょ っ て 、 仏 牲 の

見

不 晃 を

決

め 、

華

厳

は 行 通 に よ っ て

決

め て い る 。 つ ま り 地 論 師 は 華

厳

の 説 を

取

っ て い る と い う こ と に な る 。         儒   見 〔 外 道 ・ 凡 央 〕  

9

、 会 経  

仏

性 は 、

各

経

典

で

定

義 さ れ て い る 。 書 葉 を 挙 げ る と 、 仏 性 『 淫 槃 経 』 ・ 法 界 『

華

厳 経 』 ・ 如 来

蔵

自 性 清

浄

心 『 勝

鬘

経 』 ・ 八

識

『 楞 伽 経 』 ・ 首

楞

厳

三 昧 『 首 楞 厳 経 』 ・ 一

道

一

乗

『 法 華 経 』 ・ 般

若

法 性 『 般 若 経 』 ・

無

住 実

際

『 維

摩

経

』 。   吉

蔵

自 身 は 「 識 を 蕩 か し て 原 に 選 る を 名 づ け て 仏

性

と 為 す 」 と い う 定

義

を し て い る 。 こ の 場 合 の 「

識

し は

真

妄

和 合 識 と み る 。 「 明 異 釈 」 で は

自

分

の 知 り 得 る 限 り の 諸 説 を

11

説

取

り 上

げ

、

慧

遠 を

7

番 目 の 「 阿

梨

耶 識 自 挫 清

浄

心 」 と み て い る 。 し か し 、 こ の 場 合 こ れ は 仏 盤 で は な い と い う 主 張 を 『 摂 大

乗

論 』 の ア ラ ヤ

識

の

定

義

を 根 拠 に し 、

最

終 的 に は 「

中

道

の 義 」 が

無

い 故 に

他

の

11

説

の 仏 性 義 は 否 定 さ れ る 。 し か し 、 慧 遠 は 、

体

弁

中 で 中 道 も 仏 性 と 言 っ て い る 。 ま た

闡

提 成 仏 は み と め て い る 。   以 上 、

慧

遠 は こ の よ う に 見 る

限

り 、

吉

蔵 の よ う な 個 性 あ る 主 張 を し て い な い の が 解 る 。 飽 く ま で も 、 百 科

辞

典

並 一

120

一

(11)

浄影寺慧遠の仏性義につ い て (原 隆政 ) の

枠

を で な い

感

が あ る 。

唯

、 次 の 骨 子 は 充 分 に

読

み

取

れ る 。        

 

真

妄

和

合

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一        

 

仏

性

縁

起        

 

空

よ り の

優

位 性  

 

に 関 し て は

存

在 論 上 の

構

造 で 明 確 で な い と こ ろ が あ る 。 つ ま り 、 不 善 が 生

起

す る

き

っ か け を

仏

性 と し て い る が 、

曇

遷

1

『

荘

子 』 に 裏

付

け さ れ た 、 或 は 影 響 を 受 け た こ と を

否

定

で き な い の で 、 二 元

論

的 な 実 在

論

を 有 し て い る の で は な い か と も

受

け 取 れ る 。

今

後 の 課 題 と し た い 。   ま た、 こ の

慧

遠 の 仏 性

義

の 全 体 的 な

特

徴 と し て は 、 引 用 と し て 唯 識 関 係 の 論

疏

が な い と い う こ と で あ ろ う 。 全 て が 、

真

如

随

縁

を 説 く 論 疏 か ら の 説 明 で あ る 。 同 じ 様 に 「 八 識 義 」 に お い て も 、 『 摂 大 乗 論 』 が 引 か れ て い る も の の

体

制

は 『

大

乗

起

信 論 』 で

あ

る 。 〔

4

〕

智

 

儼

                                          ( 注 9 )

A

『 華 厳 五 十 要 問 答 』

 

「 三

衆

生 作 仏 義

 

十 稠 林

後

釈 」   〔 小

乗

〕 で は 成

仏

す る の は

菩

薩

と し て の

釈

尊

だ け で あ る 。 他 は

無

余

涅

槃 が 最 高 の 悟 で あ る 。 〔 始

教

〕 は 不 成 仏 が あ る 。

直

進 と 回 心 の 菩

薩

が

成

仏

。 心 満 の

堪

任 地 に 到 ら な い も の は 、

闡

提 と 同 じ 不 成

仏

で あ る 。 〔

終

教

〕 で は 一 切 の 衆 生 が 成 仏 す る 。 仏 の

智

(

11

他 聖

智

) に ょ っ て 仏 性 と 行 性 と が 相 俟 っ て

顕

現 す る か ら で

あ

る 。 し か し 、 知 覚 の

あ

る も の だ け に

仏

性

が 限 ら れ る 。 し か し 、 〔 一 乗 〕 で は 全 て の

存

在 が

成

仏 す る 。 こ の

考

え 方 は 同 教 一 乗 の も の で

あ

る 。 別 教 で は な い 。                     ( 注 玲 )

B

『 孔 目

章

』   コ ニ 種 仏 種

性

」 一

121

一

(12)

智

山学報第四十一輯   仏 盤 と は 仏 所 の 師 、 つ ま り 法 で あ る 。 そ の 本

質

は 平 等 で 虚 空 の よ う で あ る 。

衆

生 に お い て は 、 制 限 さ れ る こ と の な い 、 妨 げ の 無 い も の で あ る 。 仏 性 は

覚

時

に ょ っ て 語 る 。 な ぜ な ら 、 そ の

流

れ 出 る 場 所 に 従 っ て 、

種

々 の 味 が あ る 。 法 身 は 流 転 し て 五 つ の 道 と 成 る 。 〔 衆 生 〕 は こ の 因 縁 に よ っ て 仏 性 と は 名

付

け な い 。 〔 声

聞

〕 は 仏 性 を 持 つ が 、 彼 は 先 ず

無

余 浬

槃

に 向 か っ て 成 仏 は し な い 。

今

は

声

聞 や 成

仏

を 巡 つ る の で (

?

)

仏

性

と 言 う 。

教

の 起 こ り

方

も こ の よ う で あ っ た 。 略 し て 言 え ば 仏 性 は 三 種 類 あ る 。 つ ま り 、

1

自 性 住 仏 性

 

2

引 出

仏

性

 

3

至 得 果

仏

性 。 自 性

住

仏

姓 は 本 性 の こ と 。

引

出 仏 盤 は 修 得 性 。 至

得

果 仏 性 は

修

因 満 足 を

名

付 け た も の 。 本 性 が

あ

っ て、 こ れ を 引 出 し 、

得

果

に い た る 。 つ ま り 、 本 性 が 果 に 到 る わ け で あ る 。 ま た 、 仏 姓 に は 鐙 種 あ る 。

如

来 蔵 性 は

本

性

で

あ

る Q

如

来 蔵

性

は

紘

に 関 係 し な い で そ の 相 を 説 い た り、 仏 性 義 の 門 は 、 つ ま り 、 地

位

に 関 し て そ の 瞬 暗 を 論

ず

る の は 、 な ぜ な の か

?

 

答

え る に 、

如

来

蔵

差

別 は 直 進 の 菩 薩 の た め に あ る の で 、 位 に 関 し て 論 じ な い の で あ る 。 そ の 差 別 た る 仏 性 義 は

声

聞 の 為 に 説 き 、

声

聞 の 見 は

増

え る 。 今 、

彼

見 に 順 ず る の で 差 溺 を 説 く の で あ る 。 仏 性

義

と は 正 に 三 乗 の

義

で あ っ て

詳

し く は 、 差 別 を 論 じ て い る の は 諸 論 に 広 く 書 か れ て い る 。 も し 一

乗

の た め で あ れ ば 、 そ れ は 一 乗 円 教 の 所 摂 に 入 っ て い る 。                               ( 注 11 >

C

『 華

厳

一 乗 十 玄 門 』

 

「 第 九

 

唯

心 回

転

善

成 門 」   こ れ は 心 に 約 す 。 こ れ は

如

来

蔵

性

性

浄

真

心 が 立 て る 門 で あ る 。 善 悪 は 心 に し た が っ て 回 転 し た 結 果 で あ る 。 だ か ら 、 「 痙 転 善 成 」 と 言 う 。 順 に

転

ず れ ば 浬 槃 で あ り 、 逆 に 転 ず れ ば 生 死 で あ る 。 そ こ で、 三

界

唯 心 偈 が 証 左 と な る 。 心 ” 性 は

浄

不

浄

で あ る 。

如

来

蔵

性 は 不

動

本

所

で あ る か ら 、

体

は 十 方 に あ っ た り 、

牲

は

常

に

転

じ て い て も 、 そ れ は

縁

起 自 在 力 に よ る 。 し か し 、 こ れ は マ ジ ッ ク で は な い 。   法 蔵 に 至 る と 教 遡 の 整 理 が 為 さ れ て い る 感 が

あ

る 。 慧 遠 の 仏 性 義 は ど ち ら か と い う と

衆

生 の う ち に 内 在 す る 、 成

仏

因 と い う

範

囀

に 収 ま っ て い た も の が 、 世 界 観 と い う 、 も う 蝋 つ の 領

域

に ま で 仏 性 が 整 理 さ れ 、 定

義

さ れ る に い た っ た Q 一

122

一

(13)

浄影寺慧 遠の仏性義につ い て (原 隆政 )               〔

5

〕

 

法

蔵

の

仏

性

義

                              ( 注 14 )

A

『 五

教

章

』   「 所

詮

差 別 」   〔 心 識 差 別 〕   心

識

と は 一 心 の こ と で あ る 。   〔 小 乗 〕 は 六 識 だ け 。 縁

起

生 滅 の

事

の 中 に ア ラ ヤ 識 を 立 て る が 、 不 生

滅

の

概

念 は 立 て な い 。   〔 大 乗 始

教

〕 は

仏

の

善

巧

方

便

で

あ

る に 過 ぎ な い 。 三 界 唯 心

偈

の 心 は ア ラ ヤ

識

で あ る 。   〔 大 乗 終 教 〕 に お い て 、 ア ラ ヤ 識 は 不 生 不

滅

と 生

滅

と が 和 合 し て い る 。

如

来

蔵 を ア ラ ヤ 識 と 言 う 。 「 自 性

清

浄     心 〕 は 無 明 の 風 に よ っ て

染

心 が 生 じ る ( 『 大 乗 起 信 論 』 ) 。 三 界 唯 心 偶 の 心 は 第 一 義 心 ( ー

真

の 心 ) で あ る 。   [

頓

教 〕 に お い て は 一 切 の 法 は 唯 一 の 真 心 で あ る 。 差 別 の (

染

浄

の )

相

や 言

葉

は な い 。   [ 円 教 / 別 教 〕 に お い て 、 法 体 は 性 海 円 明 、 義 用 は 法 界 縁

起

無 礙 自 在 で あ る 。 一 即 一 切 に よ り 、 縁 起 で 一 心 か     ら

十

心 そ し て

無

尽 と な り 、 一 切 即 一 性 起 の

義

よ り 、 一 心 中 に 一 切 の 徳 を 具 す る 。 こ の 両 者 に よ っ て 、 主 判 円     融 と 言 う 。   〔 円 教 〕 に お い て 、 小 乗 か ら

頓

教 ま で の 四 教 の 心 識 を 収 め て い る 。 四 教 は 別 教 よ り 、 方 便 と し て 派 生 し た も の     で

あ

る 。 円 教 は 別 教 と 四 教 と の 仲 介

役

で あ る 。 こ の よ う に 一 心 ー 識 心 が 一 つ で あ る の に 、

5

つ に 分 け た 理 由     は 、 法 と

機

根

と に

根

拠 を

置

く と い う こ と で

あ

る 。                               ( 注 15 )

B

『 五 教

章

』

 

「 所 詮 差 別 」 宀 明 仏

種

性 〕   こ こ で も 五 教 に 分 類 が な さ れ 、 そ れ ぞ れ の 教 に 種 性 が 配 当 さ れ る 。   〔 小 乗 』 小 乗 で は 唯 一 仏 性 が み と め ら れ る の は 、 釈 尊 一 代 限 り だ け で あ っ て 六 種 あ り と 言 っ て も 、 「 退 ・ 思 ・     護 ・ 住 ・ 昇

進

・ 不

動

」 で あ る 。 最

後

の 不 動 性 に さ ら に 「

仏

種 性 ・ 独 覚 性 ・

声

聞 性 」 と

分

け る 。 一 

123

 一

(14)

智山学報第四十一輯 〔 始 教 / 法 爾 〕 五 性 中 に 無 性 が い る が 、 こ の た め 諸

仏

の 利 他 の

功

徳 が 尽 き な い 。 〔

始

教 / 暫 時 〕

種

性 に 二 つ あ っ て 、

本

性 住 と 習 所 成 と で あ る 。 瑜

伽

で は 種 性 を 持 つ と 言 う こ と は 発 心 と 同 じ こ   と で あ る 。 こ れ ら 両 者 は 同 時

存

在 で あ っ て 、 約 〔 本 〕 は 性 種 で あ り 、 約 〔

修

〕 は 習 種 で

あ

る 。 し か し 、

瑜

伽   の 立 場 で は 性 を 重 ん じ て 、 こ れ に 助 長 さ れ て 一 体 と し て の 種 子 が 成 立 す る の で あ る 。 い ろ い ろ な 経 論 の

解

釈   は あ る が 、 仏 種 性 は 信

満

で 性 . 習 が 融 通 し 、 種 性 と な り 両 者 が 縁 起 に よ っ て 成 り 立 つ 。

無

性

11

闡 提 と 言 う の   は 「 習 あ れ ぽ 性 あ り 」 と い う 立 場 を と る

限

り 、 仏 種 性 を 成 じ る 可

能

性 が あ る 。 〔 始 教 / 分 位 〕 不 定 性 が 六

度

を 修 し

終

っ て 、 菩

薩

の 種 性 を 成 ず 。 諸 乗 の 性 種 は 習 に つ い て 説 く 。 無 習 は

無

性 を  

根

拠 と し な い の で 、 成 仏 の 可

能

性 は あ る 。 几 夫 の 愚 位 “

無

性

有

情 、 四 諦 を 修 し て 四 善

根

の 忍 位 の 声 聞 、 十 二   因 縁 を 修 し て 不 退 位 の 縁 覚 、 六 度 を 修 し て 十 信 堪 任 位 の

菩

薩 。 そ し て 不 定 性 は 三

乗

の 不 退 位 に 到 ら ぬ

者

を 言   う o 〔

終

教 〕 真 如

性

V

種 性

 

一

切

衆 生 に 悉 く

仏

性 あ り 。 心

n

阿 耨

菩

提

11

妄

識 。 始 教 は 不 了 、

終

教 は 了 で あ る 。 始 教   ー 不 了 は 小 乗 の 人 を

導

く た め の 仮 の も の で あ る 。 最 終 的 に 無 性 を 立 て る こ と に 矛

盾

が

あ

る と 言 う こ と を 主 張   す る た め に

7

門

の 問 が あ る 。

1

衆 生 有 尽 の 難  

2

損 不 損 の 難  

3

後

仏 無 化 の 難  

4

自

語

相

違

の 難

 

5

仏

徳 有   尽 の 難

 

6

行

欠

成 仏

 

7

総

難

の 難 。   終 教 に は 二 つ の 種 性 が あ る ; 性 種 性 /

習

種 性 。 性 は

真

如 の 理 体 、

無

漏 智 に し て 本

覚

・

真

如

で あ る 。 習 は

真

如   よ り

現

れ た 仏

菩

薩 が 、 衆 生 を 摂 化 す る こ と で

外

よ り 、

無

明 妄 心 を

薫

習 し て 成

ず

る も の で あ る 。 し た が っ て 、   性 を

根

拠 に し て 成 り 立 つ 。 〔 頓 教 〕 一 切 法 に 相 を

成

さ な い か ら 、 性 ・ 習 の 異 は な い 。 〔 円 教 / 同 教 〕 別

教

の 主 と 三 乗 の 判 と が 和 合 し て い る 。 一 124 一

(15)

浄 影寺慧遠の仏性義につ い て (原 隆政 )   〔 円 教 / 別

教

〕 性 .

習

二 種 性 の 因 果 無 二 は

証

道 門 で 、 教 道 門 と し て は 菩 薩 五 位 の 各 位 に 六 決 定 ( 六

度

と 対 応 す       る ) を 以 て

種

性

と す る 。                 ( 注 16 )

C

『

探

玄 記 』

 

「 五

教

判 」   『 五

教

章

』 の 五

教

判 を

援

用 す る 。 始

教

・ 終

教

で は 始 教 を 『 解 深 密 経 』 を

根

拠 に し て

定

性 の 二 乗 は

第

二 ・ 三 時 に   お い て 成 仏 し な い 。 と こ ろ が 終 教 で は 、 無 性 と 二 乗 と が 成 仏 す る の で 大

乗

の 極 み と さ れ る 。 ま た 、 こ の 終 教 で   は あ ま り 法 相 は 説 か な い が 、 真 性 を 説 く の は 事 を 融

合

し て 理 に

従

う の で あ る 。 八 識 は

如

来 蔵 に 通 じ

縁

に し た が   っ て 、 生 滅 . 不 生 滅 が あ る 。

参

考 と す る

文

献 は 、 『 楞

伽

経 』 や 『 究

竟

一 乗 宝 性 論 』 な ど で あ る 。 そ し て 、 五

教

  開 合 で は 始 ・

終

は 漸 教 に 用 い ら れ て い る 。   十 宗 判 で は

第

八 番 目 の 「 真 徳 不 空 宗 」 と な っ て い る 。                   ( 注 17 )

D

『 探 玄 記 』   「 教 所 被 機 」   十 種 類 に

分

け て

前

五 が 非 器 、 後 ろ 五 が 器 で あ る 。

1

違 真

2

背 正

3

乖

実

4

狭

劣

5

守

権

6

正

為

7

兼

為

菩 提 心 な し に 名

声

の た め に 『 華 厳 経 』 を 説 く 。 偽 っ て 菩 提 心 を 起 こ し 、 よ こ し ま な 善 を な す 。 闡 提 。 謬 に

陥

っ た

見

方

。 二

乗

は 広

大

心 が な い 。 三 乗 共 教 の

菩

薩 は 自

宗

の こ と だ け し か

見

え な い 。 地 前 の

菩

薩 。 一 乗 不 共

教

の 普

機

の

菩

薩

。 別 門 (

行

位

を 経 る ) ・ 普

門

( 一 即 一 切 ) あ り 。 遺 法 中 に 無 尽 の 法 を

見

聞 ・ 信 仰 し て 、 金 剛 種 ( ? 丶 仏 性 か ) を き っ か け に し て 、 と が で き る 。 円 融 の

普

法 を 得 る こ 一

125

一

(16)

智山学報 第四十一輯

8

引 為

9

転 為

10

遠

為   以 上 の 法

蔵

の 教 判 に お い て 、 を 生 じ な い 。 う い う 段

階

は な い 。 「

5

守 権 」 の

菩

薩

の 行 位 が あ が り 、

普

賢 の 法 界 を

得

る 。 「

4

狭 劣 」 の 二

乗

が 菩 薩 と な り 、 普

賢

の 法

界

に 入 る 。 展

転

し て 、 全 て 法 器 と 成 っ て 普 賢

法

界

に 入 る 。 愚 凡 と

外

道 と 闡 提 に は 、 仏 性 が あ る が

障

り が 大 き い た め に こ の 法 に 入 る こ と は 大

変

長 い

時

間 を 経 る こ と が 必

要

。 従 っ て 、 一 切 の 衆 生 は こ の 普 法 に は い る こ と が 出

来

る 。 何

故

な ら 、 こ の

普

法 は 衆 生 と 倶 に あ る か ら で あ る 。 円 教 に お い て 衆 生 の 仏 性 は 因 を 具 し、 果 を 具 し 、 性 あ り 、 的 あ り 、 円 明 に 徳 を 備 え る 。                 そ れ ぞ れ の 立 場 で 悟 と い う も の を 見 て い く が 、 大 乗 始 教 以 前 の も の は 、 頓 に は

仏

果 そ れ は、 展

転

し て 地 上 に 入 る こ と に よ っ て 、 仏 果 は 可 能 で

あ

る 。 し か し 、 円 教 と い う 立 場 に 入 れ ば そ 〔 ま

 

と

 

め 〕  

智

儼 が 仏 性 を 「 三 乗 の 義 」 と 定 義 し た こ と が 、 法

蔵

に ょ っ て

体

系 付 け ら れ た 。 つ ま り 、 三 乗 は 仏 性 を 根 拠 と す る の で 、 ま と め て 漸 教 に 収 め 、 教 判 の 第 四

番

目 の 頓 教 と バ ラ ン ス を 取 り 、 そ の 上 の 段

階

と し て 自 ら の 華

厳

宗 を 設

定

し た 。

強

い て 言 え ば 、 漸 教 と 頓 教 と を 揚 棄 し た 形 を と っ て 、 真

如

随

縁 の 思 想 か ら 越 え る こ と に 成 功 し た 。 そ の

完

成 は 「 唯 心 回 転 善 成 門 」 を 新 十 玄 で

取

払

い 、

華

厳 宗

11

円 教 を

完

全 に 仏 性 思 想 を 越 え た も の と し て 、

応

用 し た

も

の と し て 『 探 玄 記 』 の 中 で 体 系 づ け た 。  

華

厳

の 流 れ に お い て、 慧 遠 の 仏 性 義 は 真 如 随 縁 と し て 次 の 智 儼 に 受 け 継 が れ 、 智 儼 は

仏

性 を 「 三 乗

義

」 と 評 し て

教

判

の 中 に 不 完 全 な が ら も 取 り 入 れ た 。 法 蔵 は 、 仏 性

義

を 漸 教 と い う 範 疇 に 、 教 判 的 に

分

類 し 、 自 ら の

華

厳

宗 を 仏 性 思

想

と 切 り 放 し な が ら も そ の 優 位 性 を 築 い た 。 一

126

 一

(17)

浄影寺慧遠の仏性義につ い て (原 隆政) 註

1

、 『 秘 密 曼 陀 十 住 心 論 』 第 九 住 心 「 極 無 自 性 心 」 に 著 さ れ て い る 。 鳳 潭 の 『 華 厳 五 教 章 匡 真 鈔 』 で は こ の 点 に つ い て 痛 烈 な 批   判 が あ る が 、 こ の 批 判 に 対 す る 真 言 側 の 正 式 な 論 駁 は 寡 聞 に し て 聞 か な い 。 2、 『 究 境 一 乗 宝 性 論 』 °。 〒 Q。

2

>

3

、 『 大 乗 義 章 』 大 正 詮 ー ミ G。 じd   「 如 波 風 作 。 摂 陰 従 妄 。 皆 真 心 作 。 如 夢 中 。 身 皆 報 心 作 。 如 波 水 作 。 」 4 、 『 大 乗 義 章 』 大 正 濠 凸 b。 心

b0

5 、 『 大 乗 起 信 論 』 大 正 ○。 b。 −   胡 O / 三 大 の 説 明 ・ − 芻 Ob / 人 我 見 の 四 番 目 。

6

、 こ の 概 念 は 日 本 の 哲 学 者 達 に よ っ て よ く 使 わ れ る が 、 こ こ で は そ の 概 念 に よ っ て 東 洋 の 哲 学 を 括 っ て し ま お う と す る の で は   な い 。 む し ろ 、 こ の 曖 昧 な 概 念 に よ っ て 、 括 ろ う と す る の は 無 礙 だ と か 真 如 な ど を 神 秘 主 義 と の か か わ り で 臨 時 に 格 納 し て お   こ う と す る 試 み に す ぎ な い 。

7

、 『 十 地 経 論 』 大 正 b。   亠     >

8

、

5

を 参 照 の こ と

9

、 『 五 教 章 』 大 正 畠 出 HOO

10

、 『 五 教 章 』 大 正 嵩 凸 畠 ロd 〜 0

11

、 『 五 教 章 』 大 正 & − 蟄 Q。 切 〜 0

12

、 『 五 教 章 』 大 正 戯 甲 亟 ゜Q 膳 0

13

、 『 五 教 章 』 大 正 醤 ム Q。 O 閑

14

、 『 探 玄 記 』 大 正 繊 亠 目   O 山 同   ゆ

15

、 『 探 玄 記 』 大 正 ゜。 切 亠 H   O 山 嵩 O 一 127 一

参照

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