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第1部第Ⅱ章114 (2) 我が国の水産物の輸出入の動向 ( 我が国の水産物輸入の動向 ) 我が国の水産物輸入量 ( 製品重量ベース ) は平成 13(2001) 年に過去最高 (382 万トン ) となった後 国内消費の低下等に伴っておおむね減少傾向で推移しています 平成 25(2013) 年の水

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(1)水産物需給の動向

(我が国の魚介類の生産・消費構造)  平成24(2012)年度における我が国の魚介類の国内消費仕向量(原魚換算ベース)は817 万トン(概数)であり、このうち80%(652万トン)が食用消費仕向け、20%(166万トン) が非食用消費仕向け(飼肥料)となっています。国内の食用消費仕向量は、国内生産量と輸 入量がともに減少したことから、平成19(2007)年度と比べ10%(75万トン)減少していま す(図Ⅱ−4−1)。 (我が国の食用魚介類自給率)  平成24(2012)年度の我が国の食用魚介類の自給率は前年度と同じ58%になりました。こ れは、国内供給量が減少している中、国内生産量が減少し、輸入量及び輸出量が増加したた めです(図Ⅱ−4−2)。  自給率は国内需要量に対する国内生産量の割合であるため、国内生産量が減少しても水産 物需要量がそれ以上に減少すると自給率は上昇します。このため、実のある自給率向上のた めには、魚介類の消費拡大に向けた取組も併せて強化し、我が国周辺の水産資源を有効かつ 適切に活用することが重要です。

第4節 水産物の消費・需給をめぐる動き

図Ⅱ−4−1 我が国の魚介類の生産消費構造とその変化 (単位:万トン) 非食用 国内消費 仕向量 166 食用国内 消費仕向量 652 国内消費仕向量 817 食用魚介類の 国民1人1年当たり供給量 【粗食料ベース】51.1kg 【純食料ベース】28.4kg 国内生産量 430 食 用 376 非食用 54 輸入量 459 食 用 335 非食用 124 輸出量 62 食 用 60 非食用 2 在庫増加 10 食 用 -1 非食用 11 資料:農林水産省「食料需給表」 注:1) 純食料ベースの供給量を除き、数値は原魚換算したもの。鯨類及び海藻類は含まない。 2) 純食料ベースの国民1人1年当たり供給量については、消費に直接利用可能な形態(例:カツオであれば頭部、骨、ひれ等を除いた形 態)に換算。 〈国内消費仕向量の推移〉 〈魚介類の生産消費構造〉 (平成24(2012)年度(概算値)) 800 600 400 200 0 200 400 平成19 (2007)(2008)20 (2009)21 (2010)22 (2011)23 (2012)24 (概算) 年度 万トン 生鮮・冷凍 塩干、くん 製、その他 かん詰 飼肥料 692 677 656 652 715 727 166 228 226 223 194 169 33 32 31 31 32 31 352 393 391 376 370 347 266 302 294 285 275 278

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(2)我が国の水産物の輸出入の動向

(我が国の水産物輸入の動向)  我が国の水産物輸入量(製品重量ベース)は平成13(2001)年に過去最高(382万トン) となった後、国内消費の低下等に伴っておおむね減少傾向で推移しています。平成25(2013) 年の水産物輸入量は、最近の為替相場の動向や世界的な水産物需要の高まり及びエビ類での 病気等による生産量の減少に伴う水産物価格の上昇から大きく減少し、前年比9%減の249 万トンとなりました。一方、輸入金額は水産物価格の上昇等を反映し、前年比5%増の1兆 5,797億円となりました(図Ⅱ−4−3)。なお、平均輸入単価は、前年比15%上昇しました。  品目別ではサバ及びイカ類は輸入量・額ともに増加しましたが、サケ・マス類及びエビ類 は輸入量は減少し輸入額は増加しました。カツオ・マグロ類及びカニ類、ウナギ調整品は輸 入量・額ともに減少しました。 図Ⅱ−4−2 食用魚介類の自給率等の推移 資料:農林水産省「食料需給表」 1,600 1,400 1,200 1,000 800 600 400 200 0 万トン 120 100 80 60 40 20 0 食用魚介類の供給量 国民 1 人 1 年当たり食用 魚介類供給量︵粗食料、 kg︶ 食用魚介類の自給率︵ % ︶ 昭和35 (1960)(1965)40 (1970)45 (1975)50 (1980)55 (1985)60 (1990)平成2 (1995)7 (2000)12 (2005)17 (2012)24 年度 自給率(%)=国内生産量÷国内消費仕向量 ※国内消費仕向量=国内生産量+輸入量          −輸出量±在庫増減量 平成24(2012)年度 (概算値) 自給率 58% 昭和39(1964)年度 自給率ピーク 113% 国内生産量 輸入量 自給率 (右目盛) 国民1人1年当たり 食用魚介類供給量 (粗食料、右目盛) 食用魚介類 国内消費仕向量 図Ⅱ−4−3 我が国の水産物輸入量・輸入金額の推移と国別金額内訳 400 350 300 250 200 150 100 50 0 万トン 18,000 16,000 14,000 12,000 10,000 8,000 6,000 4,000 2,000 0 億円 資料:財務省「貿易統計」 ベトナム 6% インドネシア 6% タイ 8% その他 26% インド 3% 韓国 5% チリ 8% 米国 8% ロシア 7% ノルウェー 5% 平成25年 (2013) 1兆5,797億円 中国 18% 平成25(2013)年 1兆5,797億円 輸入量 平成25(2013)年 249万トン 輸入金額 平成15 (2003)(2004)16 (2005)17 (2006)18 (2007)19 (2008)20 (2009)21 (2010)22 (2011)23 (2012)24 (2013)25 年 農林水産物総輸入金額に占める割合:17.6%

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(輸入水産物の安全性等に関する監視体制)  輸入水産物については、他の食品と同様に空港や港等の水際で検査し、我が国の食品衛生 基準上不適切な食品については輸入を認めない措置を採っています。諸外国の衛生基準は我 が国と異なるほか、輸送中の温度管理の不備等により、基準値以上の添加物、抗生物質又は 細菌類が検出される例が見受けられます(表Ⅱ−4−1)。 (我が国の水産物輸出の動向)  平成25(2013)年の我が国の水産物輸出量(製品重量ベース)は、最近の為替相場の動向 を背景に前年比25%増の55万トンとなり震災前の水準を回復しました。また、平成25(2013) 年の輸出金額は、前年比30%増の2,216億円となり5年ぶりに2,000億円台を回復しました(図 Ⅱ−4−5)。  品目別にみると、特にホタテガイの輸出が拡大したほか、サバ、イワシ及びサケ・マス類 の輸出が拡大しています。 図Ⅱ−4−4 我が国の主な輸入水産物の国・地域別内訳(平成25(2013)年) 資料:財務省「貿易統計」 注:エビについては、このほかエビ調製品が757億円輸入されている。 エビ注 2,231億円 ベトナム 19% インド ネシア 18% タイ 9% タイ 23% アルゼンチン 5% インド 15% 中国 7% 中国 33% カナダ 5% その他 22% 魚粉 300億円 その他 37% ペルー 32% チリ 15% エクアドル 16% イカ 505億円 その他 33% ベトナム 11% サケ・マス類 1,617億円 その他 4% チリ 60% 米国 2% ロシア 13% ノルウェー 21% マグロ・ カジキ類 1,801億円 インド ネシア 8% 中国 9% その他 36% 台湾 19% 韓国 13% 豪州 7%マルタ 8% 有毒・有害物質及び病原微生物等 253件 4件 微生物規格 214件 129件 残留農薬 191件 15件 添加物 184件 20件 残留動物用医薬品 117件 115件 腐敗、変敗、異臭及びカビの発生 65件 0件 その他(器具、容器の素材等) 64件 0件 表Ⅱ−4−1 平成24(2012)年度輸入食品監視実績 資料:平成24(2012)年度輸入食品監視指導計画に基づく監視指導結果(厚生労働省)に基づき水産庁で作成 うち 水産食品・加工品等に関するもの 食品衛生法の違反件数

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(世界における日本産水産物への評価と流通状況)  日本料理は世界中に浸透しており、アジア・欧米の主要7国・地域での調査*1 においても、 「好きな外国料理」の1位を占めています(図Ⅱ−4−7)。中でも寿司、刺身、天ぷらとい った、水産物が中心となる料理が人気です(図Ⅱ−4−8)。日本産食材のうち人気のある 食材を産品ごとに見ても、水産物が最も人気のある産品になっています(図Ⅱ−4−9)。  しかし、寿司、刺身の中で人気の食材では、主にノルウェーやチリ等で生産されるサケ(サ ーモン)が最も人気があり、日本産ではない食材で調理された日本食が人気になっている状 況です。また、2位はマグロですが、日本からのマグロ類の輸出額は世界の輸出額の4%(平 成21(2009)年)にすぎません。このように、海外で人気となっている日本食の普及が、必 ずしも日本産水産物の需要拡大につながっているとはいえない状況です(図Ⅱ−4−10)。 *1 日本貿易振興機構(ジェトロ)が平成24(2012)年12月6日~12月20日に実施した「日本食品に対する海外消費 者意識アンケート調査」。中国、香港、台湾、韓国、米国、フランス、イタリアにおいて、20~59歳の一般消費者男 女のうち、過去に日本食品を購入あるいは日本料理店を利用したことがある者に質問(回答者数:2,800人)。 図Ⅱ−4−5 我が国の水産物輸出量・輸出金額の推移と国・地域金額内訳 資料:財務省「貿易統計」 平成15 (2003)(2004)16 (2005)17 (2006)18 (2007)19 (2008)20 (2009)21 (2010)22 (2011)23 (2012)24 (2013)25 年 70 60 50 40 30 20 10 0 万トン 3,000 2,500 2,000 1,500 1,000 500 0 億円 平成25年 (2013) 2,216億円 平成25(2013)年 2,216億円 輸出量 平成25(2013)年 55万トン 輸出金額 農林水産物総輸出金額に占める割合:40.3% ベトナム 9% タイ 9% その他 15% 台湾 7% 韓国 5% 香港 29% 米国 14% 中国 12% 中国 9% フィリピン 6% その他 10% タイ 75% タイ 37% グアム 15% その他 25% 香港 7% ベトナム 9% 韓国 7% 図Ⅱ−4−6 我が国の主な輸出水産物の国・地域別内訳(平成25(2013)年) 資料:財務省「貿易統計」 注:1) ホタテガイについては、このほか、ホタテガイ調製品(142億円)等が輸出されている。 2) ナマコ(乾燥以外)の調製品。このほか、ナマコ(乾燥)が98億円、ナマコ(調整品以外)が27億円輸出されている。 マグロ・ カジキ類 96億円 ホタテガイ注1 399億円 ブリ 87億円 カツオ類 82億円 中国 24% その他 15% その他 10% 韓国 6% 香港 9% ナマコ注2 (乾燥以外) 130億円 ベトナム 3% その他 1% 香港 96% 米国 85% 米国 28% サケ・ マス類 84億円 タイ 17% 中国 66% その他 4% ベトナム 13% ベトナム 18% サバ 120億円 タイ 22% エジプト 24% フィリピン 9% その他 19% ベトナム 15% ガーナ 11% 台湾 5%

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和食は日本産食材をもとに発達してきたものであり、日本産水産物の更なる輸出促進を図る ことが、真の和食の世界的普及につながると考えられます。その意味からも、日本産水産物 の輸出促進を図る必要があります。 図Ⅱ−4−7 好きな外国料理 資料:日本貿易振興機構(ジェトロ)「日本食品に対する海外消費者意識アンケート調査」 注:1) 質問「好きな料理かつ外食で食べる外国料理はどれですか(複数回答可)」に対する回答結果(n(回答個数)=11,139)。 2) 回答者数に対する回答個数の割合を示した。 90 80 70 60 50 40 30 20 10 0 % 日本料理 中国料理 イタリア料理 タイ料理 韓国料理 フランス料理 アメリカ料理 メ キ シコ料理 インド料理 スペイン料理 料理 中東・アラブ アフリカ料理 65.0 59.5 41.8 39.4 29.3 29.1 26.4 26.1 22.4 14.2 5.2 83.8 図Ⅱ−4−8 好きな日本料理メニュー 資料:日本貿易振興機構(ジェトロ)「日本食品に対する海外消費者意識アンケート調査」 注:1) 質問「好きな日本料理メニューはどれですか(複数回答可)」に対する回答結果(n(回答個数)=24,277)。 2) 回答者数に対する回答個数の割合を示した。 3) 調査対象国の自国料理は回答選択肢から除外した。 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100% 天ぷら うどん すき焼き 味噌汁 そば お好み焼き 牛丼 唐揚げ かつ丼 焼きそば たこ焼き とんかつ カレーライス しゃぶしゃぶ ラーメン 焼き鳥 おにぎり その他 寿司(ロール寿司含む) 刺身 9.2 7.1 7.1 6.7 5.8 5.7 5.3 5.3 5.2 5.1 5.1 4.6 4.6 4.2 4.1 4.1 3.7 3.5 3.4 0.2 図Ⅱ−4−9 好きな日本産の食材 資料:日本貿易振興機構(ジェトロ)「日本食品に対する海外消費者意識アンケート調査」 注:1) 質問「日本産清酒、日本産緑茶以外で、過去1年間のうち消費経験のある日本産食品の中から好きなものを1つ挙げ、その具体的品目 名を教えてください。料理ではなく食材を回答ください。」に対する回答結果(n(回答品目個数)=3,373)。 2) 回答品目個数の割合を示した。 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100% 菓子類 肉および乳製品 焼酎 その他 米 味噌 醤油 ビール 果物と野菜 なし 寿司 味噌汁 わからない わさび 水産品 餅 21.2 14.0 12.5 7.8 7.1 7.1 7.0 5.8 5.8 3.8 3.1 0.70.4 1.0 1.3 1.4

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(水産物輸出拡大の必要性と課題)  世界的に水産物需要が増大し水産物価格が上昇傾向にある一方、我が国国内の水産物価格 は低迷していることから、水産業を成長産業に変えていくためには、国内と比べて市場規模 が格段に大きく、成長も続いている世界市場に進出することが必要です。特に、欧米諸国で は水産物消費が定着している中で、より質の良い水産物を求める動きが強まっており、他国 産に比べ多少価格が高くとも品質の高い我が国の水産物が受け入れられやすくなっていま す。特に、近年の為替相場の動向により日本産水産物の価格競争力も強まっているため、現 在は世界に日本産水産物を売り込むには格好の時期と考えられます。また、平成27(2015) 年5月から10月までイタリア・ミラノで2015年ミラノ国際博覧会が「地球に食料を、生命に エネルギーを」をテーマに開催されますが、このような場を活用して、世界中に日本食や日 本食文化の柱の一つである水産物に関する情報発信を図っていくことが重要です。  水産物輸出の拡大のためには、輸出相手国の消費者等への働きかけも重要ですが、事前の マーケティングによる相手国の市場規模調査や、輸出相手国での衛生基準への適合、貿易業 者が求める量・質・価格すべてについて安定した供給が不可欠です。  国は、平成25(2013)年8月に「農林水産物・食品の国別・品目別輸出戦略」を公表しま した。この戦略においては、水産物輸出額を平成32(2020)年までに3,500億円に増加する ことを目指しており、そのため対EU・対米向けHACCP取得の促進等の品質管理体制の確 立、迅速な衛生証明書発行体制の構築、品質保持技術の向上を図るとともに、輸出相手国へ の働きかけと日本の魚のブランド化、産地間連携による安定供給の確保等により国家的なマ ーケティングを行い、市場を開拓していくこととしています。 図Ⅱ−4−10 好きな寿司ねた 資料:日本貿易振興機構(ジェトロ)「日本食品に対する海外消費者意識アンケート調査」 注:1) 質問「好きな日本料理メニューのうち、「寿司」、「刺身」を選んだ方にお聞きします。好きな寿司ねた・刺身はどれですか(複数回答 可)」に対する回答結果(n(回答個数)=14,813)。 2) 回答者数に対する回答個数の割合を示した。 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100% 卵焼き 鮭 まぐろ えび(ロール含む)ほたて いくら たこ巻き寿司 鯛 いか うに さば (はまち)ぶり その他 12.8 11.3 11.0 9.9 8.1 7.2 6.7 6.6 5.8 5.5 5.1 5.1 4.7 0.2

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(3)水産物消費の状況

(水産物消費の傾向)  食用魚介類の1人当たり年間消費量*1は、我が国で牛海綿状脳症(BSE)が発生した平成 13(2001)年度の40.2㎏/人をピークに減少を続けてきましたが、平成24(2012)年度は前 年度比0.1㎏/人減の28.4㎏/人にとどまり、下げ止まりの兆しがみられます(図Ⅱ−4− 11)。  平成25(2013)年の1世帯当たりの生鮮魚介の購入金額においても、3月以降、前年同月 を上回る月が続いています。ただし、数量面では平成25(2013)年秋に多数来襲した台風に より鮮魚の水揚げが減少し単価が高騰した影響で購入数量が減少し、前年同月比で9月は9 %減、10月は7%減となっています(図Ⅱ−4−12)。 *1 農林水産省では、国内生産量、輸出入量、在庫の増減等から「食用魚介類の1人・1年当たり供給純食料」を算出。 この数字は、「食用魚介類の1人当たり年間消費量」とほぼ同等と考えられるため、ここでは「供給純食料」に代え て「消費量」という言葉を用いる。

国産水産物輸出促進のためのキャッチコピー

及びロゴマークの策定(農林水産省)

 農林水産省は、平成32(2020)年までに我が国水産物の輸出額を2倍に拡大する目標を掲げており、 その達成のために日本産水産物のブランディングも重要な課題と認識しています。このため、水産庁は日 本産水産物をブランド化し品質の高さを伝えるためのキャッチコピーとロゴマークを策定しました。  キャッチコピーには、日本産水産物の持つ「品質の高さ」や「おいしさ」、それを支える日本の食文化 や技術、真摯なものづくりの姿勢を世界に広めたいとの想いが込められています。  また、ロゴマークには、豊かな漁場を連想させる「波」と、活きが良くはねる「魚」、その背景に日本 を象徴する「富士山」をあしらい、「新鮮でおいしい日本産水産物」をわかりやすく表現するとともに、 日本産であることを日の丸を意識した赤いラインの丸囲いで表現しています。 《キャッチコピー》

「Excellent Seafood JAPAN」

《ロゴマーク》

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(水産物に対する消費者の意識)  魚介類の消費量が大きく減少し、消費者の「魚離れ」が指摘されていますが、「魚離れ」 という言葉のイメージ調査によると「魚の調理が面倒なイメージ」が1位になりました(図 Ⅱ−4−13)。また、「魚が食べにくい」とするイメージも高く、魚料理は調理したり食べた りすることが「面倒なもの」とするイメージが高いものとなっています。逆に、「食習慣の 変化」とするイメージはこれらと比べると低いことから、「魚離れ」は我が国の消費者の食 習慣が変わったためではないことが示されています。  既婚女性の魚料理に関する意識調査においても、魚料理を増やしたいとする意見は若い世 代を中心に過半数を超えており(図Ⅱ−4−14)、水産物への潜在的需要の高さを示してい ます。一方、家庭で魚料理をもっと取り入れるためにあったらよいと思う商品としては、や はり若い世代を中心に「うろこや内臓が処理されている」「骨が抜かれている」商品を望む 声が高くなっており、骨や内臓の処理を始めとする魚料理の面倒なイメージが水産物の消費 拡大を図る上での課題となっている状況が伺えます(図Ⅱ−4−15)。 10 8 6 4 2 0 -2 -4 -6 -8 -10 % 41 39 37 35 33 31 29 27 25 kg/人 月 12 11 10 9 8 7 6 5 4 3 2 1 平成元 (1889)(1992)4 (1995)7 (1998)10 (2001)13 (2004)16 (2007)19 (2010)22(2012)24 年度 資料:農林水産省「食料需給表」 資料:総務省「家計調査」注:二人以上の世帯 図Ⅱ−4−11 食用魚介類の1人当たり年 間消費量(純食料)の推移 図Ⅱ−4−12 生鮮魚介の世帯当たり 支出金額及び購入数量 の前年同月比の推移 (平成25(2013)年) 平成24(2012)年度 (概算値) 28.4kg/人 平成13(2001)年度 40.2kg/人 (ピーク時) 支出金額 購入数量 資料:(一社)大日本水産会「平成24年度水産物消費嗜好動向調査」 (平成25(2013)年3月実施。人口100万人以上の都市に 在住する20∼39歳と60歳以上の男女約13,000名が対象。) 図Ⅱ−4−13 「魚ばなれ」という 言葉のイメージ どちらかというと減ら したい又は減らしたい どちらかというと 増やしたい 現状を維持したい 増やしたい 0 10 20 30% 魚料理が面倒なイメージ 子供や若い世代のイメージ 食習慣の変化のイメージ 魚を食べないイメージ 図Ⅱ−4−14 魚介料理に対する意向 食べにくいので魚を 避けているイメージ 資料:日本水産(株)「既婚女性の食生活調査「魚介料理に関する意識と実 態」について」(平成24(2012)年10月実施。首都圏在住の25∼ 69歳の既婚女性1,007名が対象。) 0 20 40 60 80 100% 全体 20∼30代 40代 50代 60代 23.9 19.3 16.5 15.9 13.6

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図Ⅱ−4−15 家庭で魚介料理をもっと取り入れるために、あったら良いと思う商品 資料:日本水産(株)「既婚女性の食生活調査「魚介料理に関する意識と実態」について」 80 60 40 20 0 % うろこや内臓が処理 されている 骨が抜かれている シピ︶がついている 料理方法の説明︵レ ずに調理できる 包丁やまな板を使わ になっている わせ調味料がセット メニューに必要な合 ンが豊富 の素のバリエーショ 魚料理が作れる料理 パン粉な どの衣の加 工がされている る めるだけでできあが 湯せんやレンジで温 レーごと調理できる 具材が入っているト になっている 菜や調味料がセット メニューに必要な野 50.5 43.8 31.3 30.8 19.3 17.7 15.8 14.9 10.0 8.6 味 が つ い た 切 り 身 ︵味 噌 漬 け な ど︶の バリエーションが豊 富 74.2

モニター試食会による魚食普及の取組

(山梨県 甲府中央魚市(株))

 山梨県の甲府市地方卸売市場で水産物卸売業を営む甲府中央魚市(株)は、一般消費者への魚食普及を 推進するため、平成22(2010)年から、「モニター試食会」を実施しています。年3回開催される試食 会では、毎回旬や季節に沿ったテーマを設定し、簡単な調理法とともに旬の魚を使った料理を10品近く 並べ、食べ方の提案等を行っています。平成24(2012)年からは、野菜料理研究家と協力し、野菜を取 り入れた新しい魚料理を提案したり、ファストフィッシュ商品を使用した、見た目にもおもしろい商品の 提案を行ったりと、様々な新しい取組を実施しています。家でも簡単に取り組める調理法を採用している こともあり、試食会で実際に魚を見て味わった参加者の多くが家庭にその料理を取り入れています。

顧客の魚への親しみを喚起する大朝市((株)マルエツ)

 (株)マルエツは、昭和20(1945)年に魚屋として創業し、現在では首都圏に約270店舗のスーパーマ ーケットを展開しています。同社では、子供を含めた顧客に魚に親しんでもらうことをコンセプトとして、 年に7回開催される「市場祭り」にて、「お魚シャトル」(水槽を設置したバス)をシンボルとして、「お 魚クイズ」や「つかみ取り」等を実施しています。また、平成9(1997)年から限定店舗にて開催され る「大朝市」には役員を含めた従業員総出で臨み、鮮魚コーナーにおいて試食を交えた対面販売やマグロ の解体ショー等を行うほか、顧客の要望に応えるため、普段よりバラエティに富んだ形態の商品を市場さ ながらの元気な雰囲気の中で販売しています。これらの取組の成果として、イベント当日の鮮魚の売り上 げが好調であるだけでなく、この取組により魚のおいしい食べ方を知った消費者のイベント開催日以外で の水産物購入量も増えてきています。同社は、魚屋というルーツに基づく「魚への思い入れ」の精神を大 事にし、今後も水産物の消費拡大に努めていくこととしています。

事 例

事 例

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(消費者の意識や社会情勢の変化を踏まえた販売戦略の必要性)  消費者の多くが魚介料理を調理して食べることが面倒と感じている中、従来のようなラウ ンドやフィレでの販売ではなかなか消費に結びつかないのが実態です。また、社会の高齢化 が進む中、高齢者のみの世帯や介護が必要な者の意向も汲み取ることが求められています。  このため、水産物の消費拡大を図るために、購入後レンジ等で温めるだけで完成する状態 まで加工したり、骨を完全に抜いたり、消費者の注文に応じ店頭で刺身まで加工するなど、 かつては家庭の台所で行ってきた調理を販売の段階で代行する販売方法が一般化していま す。また、魚介類を誰にでも食べやすい形態に加工することは、病院や介護施設における食 事を豊かにすることにもつながる取組であり、この方面への販路を拡大する上でも重要と考

魚食普及を目指していち早く条例を制定

(兵庫県美

かた

郡香

町)

女性ならではの魚食普及の取組

(長崎県 魚のまち長崎応援女子会)

 長崎県長崎市は、地元水産物の消費拡大のため、「長崎お魚食べようプロジェクト事業」を実施してい ます。この事業の中で、地元の魚のアピールと消費拡大を達成するためには女性の知恵やアイディアを活 かすことが重要との考えの下、水産加工、観光、料理、メディア、行政等の各分野で活躍する女性が集ま り、平成23(2011)年に魚のまち長崎応援女子会(以下「女子会」といいます。)が設立されました。  女子会の活動は、漁業者、水産団体、一般市民を巻き込んだ「おさかな食べようミーティング」への参 加、お手軽でエコな魚料理レシピの地元紙での連載、市内のイベントにおける魚の食べ方・だしの取り方 教室等の開催等多岐にわたります。女子会が協力した小学校における「魚さばき教室」には、平成24 (2012)年と平成25(2013)年で合わせて約800人の児童が参加し、もともと魚が嫌いだった児童からは、 自分で捌さばいた魚はおいしかったという声が聞かれました。  今後は、女子会が提案する離乳食用の魚レシピを乳児の健診時に配布したり、魚を利用した旅行プラン や新たな魚の土産商品の開発等を通した観光分野での活動を検討しており、女子会を中心に関係団体が連 携して、ますます活動を活発化させていく方針です。

事 例

事 例

 香か美み町はスルメイカやカレイ等豊富な水産物が水揚げされる香か住すみ漁港等が位置する、山陰地方でも有数 の漁業の町です。特に松葉ガニ(雄のズワイガニ)は有名で、漁期には大阪から臨時特急が運行されるほ どです。  香か美み町では、地域経済の活性化のためには町の重要産業である漁業の活性化が必要であり、それにはま ず町全体の魚食普及を徹底しようとの考えから、平成26(2014)年2月28日の町議会において、毎月 20日を「魚ととの日」と定める条例を可決しました。香か美み町役場によると「この条例は県内では初、全国的 にも他にはないのではないか。」とのことです。  「魚ととの日」には、関係する各店舗にのぼり旗を立てたりイベントを開催するなどにより、町の魚食普及 を盛り上げることとしています。また、同条例は町・漁業者・加工業者・住民の役割や努力目標について も掲げており、漁業者・加工業者は高い安全性と品質の確保に、住民は魚の消費に努めることが盛り込ま れています。

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えられます。  さらに、食の洋風化に対応し、ムニエルやブイヤベース等の洋風の魚介料理を手軽に作る ための合わせ調味料等、和食や酒肴中心になりがちだった魚介料理のレパートリーから脱却 した新商品開発も活発化しています。米の消費が低下し、パンへの支出が米への支出と拮抗 するようになった現在、パンにも合う魚介料理の普及や新しい料理法の開発も重要です。 (学校給食等での食育の重要性)  義務教育年限にある子供達がどれだけ骨のある魚料理を食べられるかを調査した結果で は、骨のある魚料理を上手に食べられる子供は半数以下となっています(図Ⅱ−4−16)。 このため、子供に魚の食べ方や魚食文化を伝えることは大切だと考える親が9割以上となっ ており、多くの親が魚の食べ方を教える必要性を感じていることがみてとれます(図Ⅱ−4 −17)。  このような状況の中、親は学校給食に対し食べやすい魚料理の提供を期待していると同 時に、骨のある魚を上手に食べられるようになることを期待していることから(図Ⅱ−4 −18)、まず食べやすい魚料理によって子供達に水産物のおいしさを伝えるとともに、骨 のある魚の食べ方の適切な指導も行うことが望ましいと考えられます。  学校給食では、水産物のおいしさを伝えるだけでなく、我が国・地域の水産業を理解する という観点から、給食用に供給される水産物はできるだけ国産・地元産水産物が利用できる よう、地元産水産物の安定供給体制を構築したり、漁業者と学校給食会が共同で学校給食向 け商品を開発するなどの活動が進んでいます(図Ⅱ−4−19)。学校給食では食材の安定 供給の確保が大きな課題であるため、定量・定時性の確保が求められるほか、主に子供が食 べることからより厳しい安全性の確保や、短時間に大量の調理が必要であることから、ある 程度の簡便性の確保等が求められています。  また、給食だけでなく、水産物に知見を有する者から水産物に関する話を聞いたり、子供 が実際に魚を捌さばいてみるといった実習を行うなどにより、水産物に関する食育への取組が進 められています。国ではこのような出張授業や実習等を通じて水産物消費拡大を後押しする 担い手として「お魚かたりべ」を任命しており、平成26(2014)年3月現在で58名が任命さ れています。「お魚かたりべ」は食育の出張授業や実習だけでなく、イベントでの講演等も 通じて魚食に関する情報発信活動を進めています。 資料:国産水産物流通促進センター「魚食に関するアンケート」(平成26 (2014)年2月実施。小中学生の子供を持つ親3,000名が対象。) 資料:国産水産物流通促進センター「魚食に関するアンケート」 (平成26(2014)年2月実施。小中学生の子供を持つ親 3,000名が対象。) 図Ⅱ−4−16 骨のある魚料理を上手に食べ ることができる子供の割合 どちらかと いえば上手 どちらかといえば下手 とても 上手 とても下手 0 20 40 60 80 100% 全体 小学校低学年 小学校高学年 中学生 10.2 35.8 43.7 10.3 9.6 17.8 12.6 42.0 44.2 43.3 39.1 31.9 35.6 9.2 6.1 8.5 図Ⅱ−4−17 子供に魚の食べ方や魚 食文化を伝えることに ついての親の意識 必要と思う あまり必要でない その他 97.1 2.8 0.2

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0 20 40 60 80% 魚をもっと食べるよう、食べやすいメニューを工夫して欲しい 骨のある魚を、もっとたくさん出して欲しい 骨がのどに刺さると心配なので、あまり出さないで欲しい 子供が魚はあまり好きではないので、あまり出さないで欲しい その他 図Ⅱ−4−18 親が給食での水産物利用に期待すること(複数回答) 71.1 36.6 3.2 1.1 3.8 資料:国産水産物流通促進センター「魚食に関するアンケート」(平成26(2014)年2月実施。小中学生の子供を持つ親3,000名が対象。) 表Ⅱ−4−2 学校給食における使用食品の分類別摂取状況の変化 資料:文部科学省「学校給食栄養報告(平成19(2007)年度、24(2012)年度)」に基づき水産庁で作成 (単位:g) 図Ⅱ−4−19 学校給食への水産物供給に関する取組例 ○北海道機船漁業協同組合連合会は、すり身原料とされるスケトウダラやホッケを原料としたフライ、 ザンギ(唐揚げ)等の冷凍食品を製造し、学校給食向けに販売。 ○石川県及び石川県漁業協同組合は、平成23(2011)年度から、学校給食における県産魚の安定的な 利用を図ることを目的とした「石川のおさかな給食モデル事業」を実施。県産魚を安定的に学校給食 に供給するための知見を収集。 ○いとう漁協(静岡県)は、規格に合わない小型のサバ等を「魚肉落し身製造機」(肉骨分離機)を用 いてミンチ状に加工。これを「朝獲れすり身」として、学校給食、高齢者介護施設等に販売。 ○三重県漁業協同組合連合会は、魚体が小さく安価な水産物を飽和蒸気調理器で調理した「骨まで食べ られる」製品を開発。三重県の学校給食会が関心を示し、共同で商品開発を行うとともに、開発商品 を学校給食へ提供。 ○魚竹蒲鉾店(大阪府)は、旬を外れたハモを活用した商品や規格外の水産物をすり身にして使用した 練り製品の供給体制を整備。取引先の幼稚園・小学校は国産にこだわった取組として高く評価。 ○日本遠洋旋網漁業協同組合(長崎県)は、熱と圧力を加えることで骨や皮ごと食べられる加工品を開発。 カルシウムを多く摂れることや、調理は油で3∼4分揚げるだけという手軽さから、長崎県の学校給 食で使用。 ○(株)ウエハラ(長崎県)は、学校給食会から「骨を取ってほしい」と言われたのをきっかけに、「骨 ごと食べられる」製品を開発・販売。 まきあみ

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(官民協働での魚食普及に向けた活動の展開)  官民協働で水産物の消費拡大に取り組む「魚の国のしあわせ」プロジェクトが平成24 (2012)年8月にスタートしました(図Ⅱ−4−20)。このプロジェクトは生産者から消費者 までの各代表で構成される「魚の国のしあわせ」推進会議で方向性が決定され、イベント等 水産物の消費拡大に資する取組を紹介する「魚の国のしあわせ」実証事業、手軽・気軽にお いしく水産物を食べることを目指した商品や食べ方を選定するファストフィッシュ、各分野 での多様な魚食文化の普及・伝承を後押しする「お魚かたりべ」の任命、学校と地域・社会・ 産業界等が連携し学校教育を通じた魚食普及の支援といった取組を展開してきました。  「魚の国のしあわせ」実証事業は、平成26(2014)年3月現在で108事業の取組が登録され、 各地で活動しています。平成24(2012)年度の取組の中で特に優秀な活動に対して、平成25 (2013)年5月31日に開催された「魚の国のしあわせ」推進会議において魚の国のしあわせ 大賞を決定しました。  ファストフィッシュについては、メディア等でも大きく取り上げられ、平成26(2014)年 3月現在でのべ508社の2,914商品が選定されています。  また、水産物の消費を更に推進していくためには、生産地から消費地にいたる流通にも目 を向ける必要があります。「水揚量の変動が大きい」、「多種類で大小の魚が水揚げされる」、「鮮 度劣化が激しい」といった水産物は、実需者ニーズに合わず流通に乗らない、流通しても十 分に消費されないといった課題を抱えています。このような産地(川上)から消費地(川下) までの流通過程の目詰まりをいかに解消していくかが重要です。国では、このような流通過 程の目詰まりを解消するため、販売ニーズや産地情報等の共有化、加工機器の整備等を支援 する国産水産物流通促進事業を実施しています(図Ⅱ−4−21)。

「お魚かたりべ」の活動

 水産物の消費拡大を図るためには、家庭で魚の調理を楽しみ、おいしく経済的に食べる消費者を増やす 活動が重要です。国では、水産物の消費の拡大を推進するため、様々な分野で多様な魚食文化の普及・伝 承に努めている方々を「お魚かたりべ」として任命しています。「お魚かたりべ」の皆さんは、現役漁師、 漁業協同組合女性部員、水産物流通業者及び水産関係会社員等のみならず、大手流通企業社員や元教職員、 PTA役員、NPO法人代表、ジャーナリスト等その属性は幅広く、それぞれの持つ知見や経験を活かし、 広く国民の皆さんへの魚食に関する情報発信に取り組んでいます。  活動の柱としては、「子供やその家族に対する魚のおいしさの伝達」、「一般消費者等への日常的な魚食 の普及」、「イベント等を活用し、国民への魚食への関心を喚起」及び「魚食に関する研究推進や講演活動」 が挙げられ、具体的には学校等での出前料理教室の開催、地元の魚を使った商品の開発等、全国各地で様々 な活動を展開しています。

事 例

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図Ⅱ−4−20 「魚の国のしあわせ」プロジェクト 2013「魚の国のしあわせ」プロジェクト〔4つのキーワード〕 世界に発信 To the World 立ち止まらない By Innovation 消費者に近づく On the Table 直売所 出前授業 料理教室 地域の 魚コーナー レシピ提案、調理サービス 食シーンの提供 地域活性化 For the Community

サンマ スルメイカ マアジ ブリ 図Ⅱ−4−21 国産水産物流通促進事業の概要 産地=川上 漁協 加工業者  産地卸売業者 等 無名の未利用小魚は 毎日揚がるけど 捨てるしかないなぁ サバが大漁すぎて 値崩れがするので 困ったなぁ 消費地=川下 消費者       小売業者 外食業者 給食業者 等    定量・定時 簡便性 即食性 安全・安心 鮮度 健康 地方の珍しい地魚を 都会で買えたらなぁ サバも浜で一次加工 してくれると、 扱いやすいのに 鮮魚 加工 保管・運送 鮮魚 鮮魚 加工 簡 簡 簡 簡 家庭・外食 学校給食 さんま冷凍品 鯨入りソーセージ 川上と川下の流通目詰まり解消支援 川下のニーズにマッチ した水産物の提供 情報共有、個別指導等 販売ニーズや産地情報等の共有化 流通のプロによる個別指導 水産物の栄養成分等の知識普及のセミナー・研修 保管・運送経費の助成 流通促進の取組に係る国産原魚の買取代金金利、  保管経費、加工経費、運送経費等を助成 機器整備の支援 流通促進の取組に必要な機器の購入経費を助成

魚の国のしあわせFish-1グランプリ

 まだ知られていない日本の水産物に光を当て、国産水産物の消費拡大と地域の観光や産業の活性化につ なげていこうとする初めての催しである「魚の国のしあわせFish-1グランプリ」が、(一社)大日本水産会 等の主催により開催されました。  「魚の国のしあわせFish-1グランプリ」は、2つのコンテストで構成されています。1つはご当地なら ではの水産物を使った「“ご当地魚”グルメコンテスト」で、これは、全国的には知名度が低いが地元で はよく知られている、あるいは漁師や漁港で働く人たちは知っているが地元の家庭では食べられていない 水産物を使用した料理のコンテストで、「ご当地魚」を全国の人に知ってもらい、地域に人を呼び込もう とするのが狙いです。もう1つは、最近、話題となっている「ファストフィッシュ」を扱う企業・団体を 対象とした「“国産魚ファストフィッシュ”商品コンテスト」で、地域特有の魚を加工し、地域の発展に 寄与する可能性を秘めたファストフィッシュ選定商品のコンテストとなっており、地域を元気にしようと するものです。

事 例

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(和食と水産物)  和食は、食材を単なる食物としてではなく、素材の持ち味を活用するとともに、季節の食 材を取り入れ自然の美しさや四季の移ろいを表現するように発達してきました。また、和食 は年中行事と密接に関わって育まれてきており、自然の恵みである「食」を分け合い、食の 時間を共にすることで、家族や地域の絆を深めてきたとの特徴も有しています。  我が国では古来から水産業が盛んであったことから、水産物は和食の食材として大きな位 置を占めています。とりわけ、天然水産物は回遊時期や産卵期との関係で季節により旬や栄 養状態が大きく異なります。このため、水産物は和食の単なる食材としてだけでなく、技術 が発達した現在でも季節感(旬)を大きく感じさせる食材として、重要なものとなっていま す(図Ⅱ−4−22)。  試食した来場者の投票によりグランプリは決定され、平成25(2013)年11月に下関で開催された「魚 の国のしあわせFish-1グランプリin下関」と、平成26(2014)年1月に東京で開催された「魚の国のし あわせFish-1グランプリFINAL」での投票により、「“ご当地魚”グルメコンテスト」では山形県の「鱈の どんがら汁」が、「“国産魚ファストフィッシュ”商品コンテスト」では、鹿児島県の「本鮪ほるもん」が グランプリを獲得しました。 左:オスのタラの白子・ガラ・内臓を使っ た、山形県庄内地方に伝わる「鱈のど んがら汁」 右:奄美大島産本マグロの胃袋を使用し た「本鮪ほるもん」 図Ⅱ−4−22 主な魚種の「旬」の一覧 資料:東京魚商業協同組合ホームページに基づき水産庁で作成 注:魚種名は上記ホームページでの標記に従った。秋鮭(秋サケ)はシロザケ、本鱒(ホンマス)はサクラマスである。 赤カレイ 秋鮭(秋サケ) 鰺(アジ) 鰯(イワシ) 鰹(カツオ) 皮剥(カワハギ) 鯖(サバ) 桜海老(サクラエビ) 鰆(サワラ) 秋刀魚(サンマ) 鱸(スズキ) 虎河豚(トラフグ) 鰊(ニシン) 鱧(ハモ) 鰤(ブリ) 本鱒(ホンマス) 真鯛(マダイ) 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 マダイのかぶと蒸し ブリの照り焼き 石狩鍋

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(水産物と健康)  水産物の摂取が健康に良い影響を与えることが、数々の研究から明らかになっています(図 Ⅱ−4−23)。特に、魚介類由来の脂肪酸が心疾患や脳血管疾患等の循環器疾患のリスクを 低下させることが最近の研究結果で示されています。なお、心疾患は日本人男女の死因の2 位、脳血管疾患は日本人男性の3位、日本人女性の4位を占めています。  また、カゼイン(乳タンパク質)との比較で、特に白身魚のタンパク質には筋肉量を増や す効果があり、筋肉への糖の取り込みを促して血糖の上昇を抑制したり脂質の蓄積を抑制す ることで、内臓脂肪症候群(メタボリックシンドローム)対策につながる効果が期待される との研究結果も出されています。  一般に、魚介類は、良質なタンパク質のほか各種ビタミンや必須ミネラルを含む一方、カ ロリーは総じて低く、肥満につながりにくい食材といえます(表Ⅱ−4−3)。また、小魚 は骨ごと食べることができ、日本人に不足しているとされるカルシウムの摂取にも効果があ ります。また、藻類はビタミンや必須ミネラルに加え、日本人に不足しているといわれてい る食物繊維に富んでいます。このように、水産物は国民の健康を維持する上でも重要な役割 を果たしています。

水産物と日本食のユネスコ無形文化遺産「和食」

 「和食;日本人の伝統的な食文化」が平成25(2013)年12月に、ユネ スコの無形文化遺産に登録されました。我が国には多様で豊富な旬の食材 や食品、栄養バランスの取れた食事構成、食事と年中行事や人生儀礼との 密接な結びつき等の特徴を持つ和食文化があり、諸外国からも高い評価を 受けています。  ユネスコ無形文化遺産に登録された「和食」の特徴の一つに「新鮮で多 様な食材とその持ち味の尊重」があげられています。豊かな漁場である海 に囲まれ、四季が明瞭で雨が多い我が国では、古くから全国各地で様々な 魚介類や野菜が豊富に手に入ることから、これらの野菜や魚介類が和食の 中心となっています。年中行事や人生儀礼の中にも、ひな祭り(ハマグリ の吸い物)や土用の丑の日(ウナギ)、お食い初め(尾頭付きの魚)のよ うに、水産物と関わりが深いものが多くみられ、内陸の山間部であっても、 コイやアユといった淡水魚が伝統的に利用されており、更に海藻類を含め 水産物が和食にとって欠かせない食材となっています。特に水産物は和食 の味わいに欠かせないだしとして重要な役割を果たしており、和食の味を 決める要素として利用されています。  このように、魚介類との関係が非常に深い日本人の伝統的な食文化がユネスコ無形文化遺産に登録され たことは、国内外で水産物の良さを再認識する良いきっかけとなります。 水産物は、和食を支えるだし に不可欠

コラム

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図Ⅱ−4−23 水産物摂取による健康面の効能に関する研究結果の例 ○血栓の形成抑制効果((独)水産総合研究センター)  →魚食により、①魚油の血液凝固抑制作用に加え、②魚肉タンパク質の血栓溶解作用。

 (平成16(2004)年10月、欧州の栄養学雑誌「Annals of Nutrition and Metabolism」に掲載)

○脳卒中や心臓病の予防(厚生労働省研究班)  →食事から接種した魚介類由来の脂肪酸が多いほど、その後の循環器疾患死亡リスクが低い。  (平成26(2014)年2月、欧州の動脈硬化学会誌「Atherosclerosis」に掲載) ○心筋梗塞の予防(厚生労働省研究班)  →日本人で魚を週に8回食べる人は1回しか食べない人に比べ、心筋梗塞の発症リスクが6割低い。  (平成18(2006)年1月、米国の医学雑誌「Circulation」に掲載) ○肥満防止((独)水産総合研究センター)  →ワカメと魚油には、それぞれメカニズムの異なる血中中性脂質濃度の低下作用があり、両者は足し算的に作用。  (平成14(2002)年4月、米国の栄養学雑誌「The Journal of Nutrition」に掲載)

○男性の糖尿病予防効果((独)国立がん研究センター)

 →小・中型魚や脂の多い魚の摂取により、日本人男性の糖尿病発症リスクが低下。

 (平成23(2011)年8月、米国の栄養学雑誌「American Journal of Clinical Nutrition」に掲載)

○肝臓がんの予防((独)国立がん研究センター)  →肝臓がんの発生リスクは、n-3系多価不飽和脂肪酸を多く含む魚を多く摂っているグループで低い。  (平成24(2012)年6月、米国の消化器病学雑誌「Gastroenterology」に掲載) ○体脂肪の蓄積や血糖の上昇を抑制(愛媛大学)  →スケトウダラのタンパク質の摂取により筋肉量が増加し、体脂肪の蓄積や血糖の上昇を抑制。  (平成22(2010)年12月、日本の医学雑誌「Biomedical Research」に掲載) 表Ⅱ−4−3 食品群別栄養素等摂取量(1人1日当たり) 資料:厚生労働省「国民健康・栄養調査」(平成24(2012)年) 総摂取量 2,018.3 1,874.3 68.0 55.0 2,231.0 499.3 238.5 7.4 7.3 6.5 5.9 うち魚介類 70.0 107.8 13.3 4.8 191.4 38.2 22.1 0.7 5.6 0.9 4.1 うち肉 類 88.9 186.8 14.0 13.6 156.2 4.7 13.2 0.7 0.2 0.2 0.7 うち卵 類 33.9 51.4 4.3 3.4 43.8 17.3 3.7 0.6 0.6 0.3 0.3 うち乳 類 125.8 96.9 4.7 4.8 182.8 149.3 14.4 0.0 0.2 0.1 0.4 魚介類からの 3.5% 5.8% 19.6% 8.7% 8.6% 7.7% 9.3% 9.5% 76.7% 13.8% 69.5% 摂取量の割合 摂取量 (g) エネルギー(kcal) たんぱく質(g) (g)脂質 カリウム(mg) カルシウム(mg) マグネシウム(mg) (mg)鉄 ビタミンD(μg) ビタミンE(mg) ビタミンB12(μg)

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*1 健康増進法(平成14(2002)年法律第103号)に基づき厚生労働大臣が策定。5年ごとに改訂されている。 *2 現行基準の使用期間は、平成22(2010)年度から26(2014)年度の5年間。 *3 60歳以上の高齢者に多く見られる疾患。視力低下をきたす。

どれぐらいの量の魚を食べると「健康に良い」のか

 「日本人の食事摂取基準*1」は、健康な個人又は集団を対象に国民の健康の維持・増進及び生活習慣病 を予防するため、エネルギー及び各栄養素の摂取量の基準を示すものです。平成21(2009)年5月に取 りまとめられた現行基準の報告書*2では、最新の学術論文等の知見を踏まえて前基準の見直しが行われ た結果、魚介類由来のn-3系多価不飽和脂肪酸であるEPA(エイコサペンタエン酸)及びDHA(ドコサヘ キサエン酸)の摂取によって、冠動脈疾患、脳梗塞、加齢黄斑変性症*3に対する予防効果が得られる可 能性が高いことが認められ、日本人の成人男女によるEPA及びDHAの摂取目標量(下限)を1人1日当 たり1gと設定しました。EPA及びDHAは、魚の脂肪に多く含まれており、この摂取目標量は、具体的に は、アジの開きで0.7枚分、サンマの塩焼きで0.4尾分、ブリ(ハマチ)の刺身で4.7切に当たります。 EPA及びDHA を1g 摂取するために必要な魚介類 資料:文部科学省「五訂増補日本食品標準成分表脂肪酸成分表編」に基づき水産庁で作成 アジの開き 0.7枚 サバの煮付け 0.3∼0.8切 ブリ(ハマチ)刺身 4.7切 カツオ(秋獲れ)のたたき 9.1切 焼き鮭 0.5∼1.9切 サンマの塩焼き 0.4尾

コラム

参照

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