• 検索結果がありません。

利尻研究 19: 79-87, M 町 ch2000 表層コア掘削による利尻山の多年性雪渓の雪氷学的調査 河島克久 納口恭明 " 小林俊市開 佐藤雅彦由 干 新潟県南魚沼郡塩沢町大字塩沢 ( 財 ) 鉄道総合技術研究所塩沢雪害防止実験所 干 茨城県つ

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "利尻研究 19: 79-87, M 町 ch2000 表層コア掘削による利尻山の多年性雪渓の雪氷学的調査 河島克久 納口恭明 " 小林俊市開 佐藤雅彦由 干 新潟県南魚沼郡塩沢町大字塩沢 ( 財 ) 鉄道総合技術研究所塩沢雪害防止実験所 干 茨城県つ"

Copied!
9
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

利尻研究 19: 79-87, M町ch2000

表層コア掘削による利尻山の多年性雪渓の雪氷学的調査

河島克久・・納口恭明"・小林俊市開・佐藤雅彦由 干 949-6408 新潟県南魚沼郡塩沢町大字塩沢 1108 ・ 1 (財)鉄道総合技術研究所塩沢雪害防止実験所・ 干 305-0006 茨城県つくば市天王台 3 ・ 1 防災科学技術研究所軸 干 940-0821 新潟県長岡市栖吉町前山 187-16 防災科学技術研究所長岡雪氷防災実験研究所開 干 097

-

0

3

1

1

北海道利尻郡利尻町仙法志字本町利尻町立博物館田

GlaciologicalinvestigationsoftheYamunaisawaperennialsnowpatchon

M

t

.

Rishiri

by

meansofshallowcored

r

i

l

l

i

n

g

s

Katsul 由a

KAWASHIMA*

,

Y.椙田ki

NOHGUCHI**

,

T

o

s

h

i

i

c

h

iK

O

B

A

Y

A

S

H

I

*

*

*and

M描出 ko SAT~****

S

h

i

o

z

a

w

aSnowT

e

s

t

i

n

g

Station ,京 TRL

Shiozawa

,

Minami-uonurn

a,Niiga匂"

9

4

9

-

6

4

0

8

Jap 聞を

NationalR 田earch

I

n

s

t

i

t

u

t

ef

o

rE

a

r

t

hS

c

i

e

n

c

ea

n

dD

i

s

a

s

t

e

rPrevention

,

Tennodai

,

Tsukuba,あ世aki,

3

0

5-

0

0

0

6

Jap 阻H

NagaokaI

n

s

t

i

t

u

t

eo

fSnowa

n

d

Ic

eStudies

,

NIED

,

Suyoshi

,

Nagao

ka,

Niigata

,

94仏0821Jap担問

R

i

s

h

i

r

iTownMuseu

m,

Senhoshi

,

R

i

s

h

i

r

i

Is

land

,

Hokkaido

,

097・0311

J

a

p

a

n

*

*

*

*

A

b

s

t

r

a

c

t

.

Glaciologi 叫町出 gations of 血e

Yarnunaisawap

e

r

e

n

n

i

a

lsnowpatchon

R

i

s

h

i

r

iIsland

,

a

s

m

a

l

li

s

l

a

n

dl

o

c

a

t

e

dn

e

a

rt

h

en

o

r

t

h

e

r

nendo

fHokkaidoIsland

,

Japan

,

were

first ∞nducted

i

nS

e

p

t

e

m

b

e

r

andNovember1

9

9

6by

me 出\S

o

fs

h

a

l

l

o

w

∞民 drillings , wi 仕\

s

p

e

c

i

a

lr

e

f

e

r

e

n

c

et

ot

h

ei

n

t

e

r

n

a

l

s仕ucture and 回nsformational

p

r

o

c

e

s

s

e

sf

r

o

m

f

i

r

nt

o

ice. 百世 s

snowpatch

,

n

o

u

r

i

s

h

e

dm

a

i

n

l

ybysnowa

v

a

l

a

n

c

h

e

s

i

n

wint 句お subject

t

oa

ra血町 warm

c

l

i

m

a

t

e

aα x> mpanied

byheavym

e

l

t

i

n

gi

nsummer.Cored

r

i

l

l

i

n

g

s

weremadeat 仕\e 白川町 of

t

h

esnowp

a

t

c

hu

s

i

n

gahandauger

,

s

ot

h

a

t

we ∞叫 dob 匂inwho1e1-y 白r-old­

funl

a

y

e

r

with 出ckness

o

f4

-

5m.The

e氾stence

o

fani

c

eb

o

d

y

(

c

o

n

t

i

n

u

o

u

smasso

fi

c

e

)c

o

u

l

dn

o

tbe

ascertained

,

becaused

e

b

r

i

sembeddedi

nt

h

esnowpatch

inte 町upted

t

h

ea

d

d

i

t

i

o

n

a

ld

r

i

l

l

i

n

g

.C

o

r

e

s

o

b

t

a

i

n

e

dwerea

n

a

l

y

z

e

df

o

r

s仕組 graphy , densi t:ゎ五 quid-wat 町∞ ntent

andt

e

m

p

e

r

a

t

u

r

e

.Consequentl

y,

all 仕\e 1-y悶-old-危n

l

a

y

e

rwasfoundt

obewetand

dens 温.ed to 臨む y

d

e

n

s

i

t

yo

f

7∞ kgm"ormo 児 on

2

1

Sept ,回 \b 町'.On 仕\e 0位四 hand ,

t

h

emeasuremento

ft

e

m

p

e

r

a

t

u

r

e

pro 剖.e

r

e

v

e

a

l

e

dt

h

a

t

the ∞ld

wave

hasalr 個々 p四e回tedinto

t

h

e

loy 白日 lId

-

f

u

n

l

a

y

e

r

u

pt

oa

dep血 ofatle<ぉt2mon8Nov田也ぽ・ Sign泊四nt

i

n

c

r

e

a

s

ei

nt

h

e

d

r

y

density 台om7 ∞ t0750kgm"w 鉛 S出1 血血お frozen 白nlay 包百 teres 叫ts

c

o

n

f

i

r

m

e

d

位凶 ther' 曲目 zing

o

fm

e

l

t

w

a

t

e

ri

nfun

by ∞, ldw 前e 戸netra 厄on

a

tt

h

eb

e

g

i

n

n

i

n

go

f

wint 釘∞ n凶bute

t

o

(2)

1 緒言 北海道北端の宗谷岬の酋に位置する利民島は、中 央に急峻な山稜の利尻山(標高 1721m) を有する円 錐形の火山島である。利尻山には日本最北の多年性 雪渓(万年雪)が存在することが知られている。利 尻山における多年性雪渓の分布に関してこれまで詳 細な調査はなされていないが、利尻山の南東部に位 置するヤムナイ(豊仙)沢の上流に存在する雪渓 (fヤムナイ沢雪渓」と称することとする)は現在の 気候条件下で確実に越年しており、小岩(1992) は厚 さ 45m に及ぶ大雪渓(測定地点や時期は不明)で あると報告している。さらに近年、ヤムナイ沢にお いて実施された氷河地形調査によってモレーンの存 在が確認されたことから、ヤムナイ沢には氷期に氷 河が形成されていた可能性が高いと考えられている (湾口ほか、 1994 ;小嶋、 1994) 。 著者等はこれまで我が国の日本海倶ij の山岳地帯に 広く分布する多年性雪渓の内部構造の調査を多数 行ってきており、雪渓内の連続的な氷化層(氷体) の有無を明らかにするとともに氷体の形成・維持機 構を考察することによって氷河との相違点や共通点

について議論してきた (Kawashima

e

ta1.

,

1993;Kaュ

washima

,

1997) 。日本の多年性雪渓は、主に吹き溜 まりによって多量の雪が酒養される吹き溜まり型雪 渓と、主に雪崩によって酒養される雪崩型雪渓とに 分類できる。これまでの調査から著者等は、吹き溜 まり型雪渓については多くの多年性雪渓で氷体の存 在を確認し、その主要な氷化機構が初冬の寒気侵入 による高合水率状態のフィ jレン (tim) の再凍結で ある可能性が高いことを指摘した。一方、雪崩型雪 渓については、過去に越後駒ヶ岳の桑ノ木沢雪渓や 北ア Jレプスの白馬大雪渓に関して調査を実施した が、未だ氷体の存在は確認できていない。 ヤムナイ沢雪渓は雪崩型雪渓であるが、上記の桑 ノ木沢雪渓や白馬大雪渓と比べて極めて高緯度に位 置すること、雪渓底部に大規模な流出河川を有しな いなど、おかれた環境条件が大きく異なる。した Q

?

'J甲 km 図 1 利尻島の地形の概略図.等高線の間隔は 200m. Fig.1TopographicalmapofRishiriIsland.Theinterval betweencontourlinesis200m. がって、現在の気候条件下でのヤムナイ沢雪渓の内 部構造や氷化過程を明らかにすることは、かつて存 在した可能性が高い氷河の状況や今後の気候変動に 対する雪渓の将来像を探る上で重要であるのみなら ず、日本の多年性雪渓の地域特性を他との比較から 論じる上でも大きな意義がある。 本論文では、これまで雪氷学的調査がなされてい なかったヤムナイ沢雪渓において、 1996 年の消耗期 間末期と酒養期間初期に実施した浅層コア掘削の結 果について述べ、ヤムナイ沢雪渓の表層フィルンの 特徴や氷化過程について考察する。 2. 調査地点 利尻島の概略地形およびヤムナイ沢雪渓の写真 (1996 年 9 月 21 日撮影)をそれぞれ図 l 、図 2 に 示す。簡易気圧高度計での計測から、 1996 年の消耗 期間末期のヤム・ナイ沢雪渓(越年規模)は標高約

(3)

表層コア掘削による利尻山の多年性雪渓の雪氷学的調査 81 650m から 1010m にわたって存在しており(標高に は数 10m 程度の誤差があり得る)、その全長は約 800m であると考えられる。雪渓の下流方の約半分 は、側方の斜面からの土砂崩壊、落石、小規模な土 石流などによって数 10cm 程度の厚さの土砂や礁に 覆われており、これらの堆積物によって融雪が抑制 されている箇所が多い。また、土砂に覆われた雪面 には山脈状に 1- 数 m 程度盛り上がった凸部が多 数みられる(図 2 の DC 地点の周辺)。これらは dirt corn と呼ばれる堆積物で覆われた氷河上でよくみら れる円錐状の表面形態の一種であると考えられ、納 口ほか (1998) によってその形成機構が議論されて いる。浅層コア掘削は雪渓のほぼ中央に位置し、土 砂に覆われていない標高約 850m の地点(図 2 の BS 地点、雪面傾斜 24° )で行った。 3. 掘削およびコア解析の方法 浅層コア掘削には、一回の掘削で直径 8cm 、最大 長 70cm 程度のコアを得ることができるハンドオー ガーを用いた。掘削は消耗期間末期の 1996 年 9 月 20- 21 臼と涌養期間初期の 1996 年 11 月 8 日の 2 回 行われた。得られたコアはその場で層位構造の観察 と密度、合水率および雪 1;' の測定を行った。密度は、 コアを長さlO cm 程度の円柱状に切断し、その長さ と直径をノギスで測定して求めた体積と電子天秤に よって測定した質量とから算出した。合水率の測定 には、著者等が開発した熱量計方式の簡易合水率計 .(遠藤式合水率計)を使用した (Kawashima etaI.

,

1998) 。また、雪1;' はコアが得られるやいなやコア に小さい穴を開け、そこにサーミスター温度計のプ ロープを挿入して測定したため、 O.2·e 程度の誤差を 含んでいる可能性がある。 4. 調査結果 4.1 消耗期間末期の内部構造 1996 年 9 月 20-21 日に行われた掘削で明らかに なったヤムナイ沢雪渓表層部の層位構造、密度およ び合水率分布を図 3 に示す。深さ O.94m までの掘削 図 2 消耗期間末期 (1996 年 9 月 21 日)の ヤムナイ沢雪渓 (BS: コア掘削地点、 DC: dirtcorn 、 TE 雪渓末端)

.

Fig.2PhotographoftheYamunaisawasnow patchon21September1996.Coreswere takenatthesitelabeledBS.DCandT宜、

representdirtcornsformedatthesurfaceof thesnowpatchandtheterminusofthesnow patch,respectively.

(4)

D

e

n

s

i

t

y(kgm

-

3

)

WaterC

o

n

t

e

n

t

(%)

600 700 800 900

a

10 20 30

I I ・ I I I I' I ・ E ・|

S

t

r

a

t

i

g

r

a

p

h

y

旬。〆 :;;sity 」 l九

ロ 』 ( E ) Z H a 由 。 • 0 dry ・ o density-与.。

0

・ 0

0

・ 0

・ 0

・コ .。 3 4

》守2

・~

」ーー』山L 5

Legendf

o

rs

t

r

a

t

i

g

r

a

p

h

y

E二コ lim 竪翌週 water-saturated

l

i

m

・・・・

i

c

e

~

newsnow

-→惨 di は layer は 9 月 20 日に、それ以深の掘削は 9 月 21 日にな されたものである。掘削時の気温は1O -16'C であっ た。表面からの深さ 4.62m まで掘削した時点で礁を 含んだ氷化層に遭遇したため、それ以上の掘削は不 可能であった。 得られたコアは全て水を含んでおり、雪温は全層 0 "Cと考えられるので温度計による雪温の測定は 行っていない。深さ 4.54m までは比較的均一なフィ ルンであったが、 2.94

-

3.00m の深さに厚さ 6cm の氷板がみられた。フィルン層下端(深さ 4.54m) から掘削した最下端(深さ 4.62m) までは氷化して いた。この氷化層の直ぐ上のフィ lレン(深さ約 4.30 -4.54m) は水でほぼ飽和した状態にあり(帯水層 (日 rn aquifer) と称する)、掘削の約 1 時間後には掘 削孔が約 4.30m の深さまで水で満たされた。さらに 深さ 4 .3 9m 以深のフィルンおよび氷化層は小さな 土砂を含んでおり汚れ層を形成していた。との汚れ

•••

• •

防 図 3 1996 年 9 月 20-21 日における ヤムナイ沢雪渓表層部の層位構造、密 度および合水率分布. -司

. .

・ よ

F

i

g

.3

Stratigraphy

,

d

e

n

s

i

t

ya

n

dl

i

q

u

i

d

w

a

t

e

rc

o

n

t

e

n

tp

r

o

f

i

l

e

sa

tt

h

eY

a

m

u

n

a

i

s

a

w

asnowp

a

t

c

hon2

0-

2

1S

e

p

t

e

m

b

e

r

1

9

9

6

.

層は 1995 年の消耗期間の終わりの雪面を表す年層 境界と考えることができる。すなわち、この汚れ層 より上に位置するフィルン層が 1995/96 年冬季間に もたらされた降雪から成っていることを意味する。 濡れ密度は合水率の違いに対応し、 700

- 850kgm"

の関で変動している。濡れ密度と合水率とから求め られる乾き密度は、表面から深さ約 3m までが 700kgm ・3 程E変であるのに対し、深さ約 3m 以深では 750kgm" 程度まで、帯水層が形成されている深さで は 800kgm" まで増加している。最下部の氷化層で は、フィ lレン内の空隙が孤立し通気性が失われる氷 化密度(約 830kgm") を上回る 850kgm" に達して いる。

4

.

2

;菌養期間初期の内部構造 1996 年 11 月 8 日の調査結果を 9 月 20- 21 日の層 位構造と乾き密度分布とともに図 4 に示す。 11 月 8 日の掘削時の気温は約 -3'C であった。この掘削で

(5)

表層コア掘削による利尻山の多年性雪渓の雪氷学的調査 83 も深さ 4.08m に達した時点でフィ Jレン中に合まれ た砂礁のために掘削の続行が不可能となった。 掘削の 2 目前の 11 月 6 日に新たな降雪があった ため、雪渓の表面には密度 230kgm- 3のこしまり雪が 0.3m の厚さで堆積していた。この新たな積雪の直 下には厚さ約 0.35m の氷化層がみられ、その下は深 さ 4.08m まで比較的均一なフィルン層であった。 フィ Jレン層は全体的に乾いた状態にあると判断され たため合水率の測定は行っていない。仮に水を含ん でいても極めて少量であると考えられるので、ここ では測定した密度を全て乾き密度として取り扱う。

氷化層の上部(深ざ

0.3

-

OAm) には、 1996 年の

消耗期間の終わりの雪国を示す新たな汚れ層(年層 境界)が形成されていた。また、深さ 3.96m 以深の フィルン層にも砂礁を含んだ汚れ層がみられる。こ の汚れj嘗は、 9 月 20-21 日の掘削でみられた汚れ層 (1995 年の消耗期間の終わりの雪国を表す年層境 界)に対応するものと考えられる。図 4 では、 9 月 20-21 日の層位構造と乾き密度分布を 1995 年と 1996 年との年層境界が同じレベルになるように配置して いる。両方の層位構造の比較から、 9 月 20-21 日以 降さらに約0.7mのフィルンの融解が起こったこと、 および 11 月 8 日の時点では帯水層は消滅している 可能性が高いことがわかる。雪温のプロファイルか ら明らかなように、 11 月 8 日には少なくとも深さ 2m 程度まで寒気が侵入し凍結している。しかも表 面の新たな積雪とその下のフィルンとの境界で雪温 が不連続に変化していることから、フィルン内への 寒気侵入は 11 月 6 日の降雪の以前に既に生じてい たと考えられる。フィルンの乾き密度は深さによら ずほぼ一定の約 750kgm-3であり、深さ 1- 2.5m で は 9 月 20-21 日に比べて約 50kgm・3 の増加がみられ た。これは寒気の侵入に伴ってフィルン内に含まれ ていた水が凍結したことによる密度増加と考えられ る。この 50kgm-3の密度増加は、約 7% の含水率を 有する乾き密度 700kgm-3 のフィルンが凍結したこ とを意味する。一方、深さ 3-4m の乾き密度は 9 月 20-21 日とほとんど同じであることから、深さ 3m 以深では寒気侵入による凍結は生じていないと判断 できる。 」一一J...-l 5 Stratigraphy DryDensity(kgm-3 ) Temperature(t) 。 600 700 800 900 ー2 。

.

、 x 20-21Septx

••

x 、 x xキ8Nov.

••

x x ・ x

.

-・

.

xキ

x

x

e

t

4 ト x x 20-21Sep

t

.

8Nov目 raphyisthesameasinFig.3. temperatureprofilewasobt 副ned on stratigraphyanddrydensityprofile obtainedon20-21September1996 andthoseon8November1996.The Fig.4Comparisonsbetweenthe 図 4 1996 年 11 月 8 日における ヤムナイ沢雪渓劃習部の層位構造、 乾き密度および雪混分布.比較の ため、 1996 年 9 月 20- 21 日におけ る層位構造と乾き密度分布も同時 に示す.層位構造の凡例は図 3 と 同じ 8November1996.Legendforstratig

(6)

-5. 考察 5.1 奇形の気象データからみた調査結果の解釈 ヤムナイ沢雪渓の東方約 8.9km に位置する気象 庁のアメダス沓形(標高 14m) の気象データを用い て、コア掘削によって明らかになった雪渓表層部の 内部構造を考察する。図 5 に 1996 年 9 -11 月の 沓形における気温(日平均気温および日最低気温) と日降水量の変動を示す。日平均気温の変動をみる と、沓形では 15 - 20'C の狭い範聞で推移している 9 月に比べて、 10 月初旬からは急激な低下傾向が顕 著にみられ、 11 月にはマイナスになる日も出現す る。気温減率を 6·Ckm·

'

1こ仮定すると、ヤムナイ沢 雪渓の掘削地点(標高 850m) における気温は沓形 よりも約 S'C低いことになる。したがって掘削地点 では 10 月中旬頃から日最低気温がマイナスに転じ、 雪渓への寒気侵入が始まったものと解釈される。し かし 10 月中下旬では日平均気温はプラスの場合が 多く融解が生じるので、雪渓表層では融解と凍結が 繰り返し起こり、その結果 11 月 8 日の掘削でみら れた約 3Scm の厚さの氷化層が形成されたと考えら れる。 沓形では 10 月には合計 187mm もの降水がもた らされている。一般に、降雨が出現する気温と降雪 が出現する気温との境界は 0- S'C 程度の領域にあ るので、 10 月中旬以降は雪渓上に降雪がみられた日 があった可能性が高い。しかし、 11 月 8 日に観察 された厚さ 0.3m のこしまり雪はその層位、密度、粒 径などから判断して明らかに 11 月 6 日の降雪が堆

10

15

1

0

5

( > , ( ) <u ュ ω 壬 場開, 、J コ七= ... w <u 0.

.

.

.

.

。 ミ 与 b ト C 5 ω ト何 .... < c

ミ B

て コ て = ~

0

<u

c

;

:

2

; ;

:

のコ ー 10 凶 X 。

-5

E

互 50

f百

~40

0 弓

E き 30

、 x

5 芯 20

m

0. () ω 0..

Sep

t

.

Oc

.

t

Nov.

1996

図 5 沓形における 1996 年 9 -11 月の気温(日平均気温および日最低気温)と日降水量の変動.

Fig.SVariationsind剖Lyme 叩副 rtemperature

,

daiLyminimumairtemperature

,

daiLyamountofprecipitationat

(7)

85 表層コア掘削による利尻山の多年性雪渓の雪氷学的調査 ても桑ノ木沢雪渓や白馬大雪渓など他の雪崩型雪渓 と同様に、前酒養期間に堆積した雪がその次の酒養 期間初期までに完全に氷化する現象はみられなかっ た。吹き溜まり型雪渓においては、多くの場合、前 酒養期間に堆積した雪のうち、消耗期間に融け残っ た部分(厚さ 1m 程度)は次の酒養期間初期の寒気 侵入に伴うフィルン内の水の凍結によってほほ完全 に氷化する (Kawashima , 1997) 。すなわち、吹き溜 まり型雪渓では、雪が堆積後 l 年以内に氷に転化す るという極めて効率的な氷化プロセスが現在の気候 条件下で実現している。雪崩型雪渓において吹き溜 まり型雪渓と同様な氷化過程がみられない最大の原 因は、雪渓が存在する標高が低〈酒養期間初期の気 温が比較的高いことにあると考えられる。 Kawashi­ ma(1997) は、吹き溜まり型雪渓に多くみられるよう に酒養期間初期の寒気侵入によって雪渓表層の高合 水率フィ Jレン(厚さ 1m) が氷化するためには、雪 渓表面が新たな積雪に連続的に覆われ始める以前に 積したものである。すなわち、 10 月中の降雪は量的 にはそれほど多くなく、気温上昇時に完全に融解し たのであろう。一方、 10 月の雪渓における多量の降 雨は、融雪強度が低下した時期にフィルン内の合水 率低下を防ぐ効果を有し、その結果、寒気侵入によ る氷化層の形成や凍結によるフィ lレンの密度増加に 大きく貢献しているものと考えられる。 11 月には、 降水量は多くないものの、雪渓上では気温の低下に よりほとんどの降水が降雪としてもたらされること になる。その結果、雪渓表面はフィ lレンに比べて密 度の小さい積雪に徐々に覆われることになり、この 積雪層の断熱効果のためフィ lレン内への寒気の侵入 は抑制されるであろう。 5.2 ヤムナイ沢雪渓におけるフィルンの氷化機構 の検討 本調査からは、ヤムナイ沢雪渓における氷体の存 在の有無を明らかにすることはできなかった。しか し表層コア掘削の結果から、ヤムナイ沢雪渓におい

CV=0.30

MA=144.7

Hisago

CV ニ0.80

MA=13.3

Yamunaisawa

( 言 300 てコ

0

.

ラ ω てコ

E 100

OJ C トJ ω Q)

.

.

.

.

.

LL てコ ω

.

.

.

.

の コ

E

コ。 υ <

200

。 n u n u n u n u n U R 『 内 d つ』 t ,

1995

10 月 31 日における accumulated freezingindex(API) の年変動のヒサゴ雪渓とヤムナイ沢雪渓との比較. MA と cv はそれぞれ API の平均値と変動係数(標準偏差と平均値との比)を表す

1990

1985

1980

図 6

Fig.6Yearlyvariationsinaccumulated 仕eezing index 似FI) attheendofOctober 仕。 m1978to1996atthe

Hi

sagosnow patchandtheYamunaisawasnowpatch.MA 叩dCVrespectivelyrepresentthemeanvalueofAPIandthecoe 伍口町 lt ofvariation,whichistheratioofstandarddeviationto 恥fA.

(8)

(多くの場合 10 月末日頃までに)、 accumulated

f

r

e

e

z

i

n

gi

n

d

e

x

(AFI) と名付けられた気温から算出さ れる一種の積算寒度が約 86'Cday に達している必要 があることを Ste f:叩モデ Jレによる 1 次元熱伝導計算 によって示した。ヤムナイ沢雪渓の掘削地点におけ る 1996 年 10 月 31 日時点での AFI を沓形の気温デー タから気温減率を 6 ・ekm-! として推定すると 18 .4

'

C

day であり、 86'Cday よりも大幅に小さい。吹き溜 まり型雪渓との比較のため、大雪山のヒサゴ雪渓 (吹き溜まり型雪渓、標高 1750m) とヤムナイ沢雪 渓の 10 月 31 日における AFI の年変動を 1978

-1996

年についてアメダスデータ(ヒサゴ雪渓ではアメダ ス忠別の気温データを使用)から推定し図 6 に示す。 ヒサゴ雪渓では 1995 年 (77fCday) を除く全ての 年で 86'Cday を上回り、平均値が 144fCday であ るのに対し、ヤムナイ沢雪渓では 1986 年の 36.2·C day が最大であり、年に依らず 10 月 31 日時点での AFI の値は 86'Cday を大きく下回っている。 上記のようにヤムナイ沢雪渓では、酒養期間初期 における気温が吹き溜まり型雪渓に比べて高いた め、寒気侵入に伴うフィ Jレン表層部内の水の凍結の みでは連続的な氷化層(氷体)を形成することは困 難である。仮にヤムナイ沢雪渓が氷体を有するとし たら、その氷化機構としてはフィルンの自重による 圧密氷化機構が最有力と考えられる。これは温暖氷 河酒養域のフィルンの主要な氷化機構と同じであ り、その氷化深度(フィ Jレンから氷へと転化する深 さ)は吹き溜まり型雪渓よりも大きく、 20

- 30m

となる可能性がある (Kawashima

andYamada

,

1997) 。 6. 結語 利尻山のヤムナイ沢雪渓は、北海道の雪渓として は最大級規模の多年性雪渓であり、しかも利民山と いう日本では地理的、気候的諸条件が特異な場所に 存在している。本調査はヤムナイ沢雪渓における最 初の雪氷学的調査であり貴重なデータが得られた。 しかし、ヤムナイ沢雪渓のみならず、利尻山におけ る雪氷や気象に関する基礎的データは皆無に等し く、利尻山の多年性雪渓の実体を把握するには不充 分である。今後、利尻山の多くの地点で気温、降水 量、積雪深などの通年データが得られ蓄積されるこ とが期待される。ヤムナイ沢雪渓についても、深部 までのコア掘削によりその内部構造の全容の解明が 望まれる。さらに、雪渓の形状、厚さ、質量収支(酒 養量、消耗量)などの測定や、場合によっては流動 の調査を行うことによって氷河学的見地からも質重 な情報が得られる可能性がある。 謝辞 1996 年 9 月 20-21 日の現地調査において、新潟 大学理学部の山田高嗣氏(現在、北海道大学低温科 学研究所)と北海道大学低温科学研究所の Stefan Keller 博士(現在、 SFI

Technology Services

Corporation) からご協力を得た。ここに記し、深く 感謝の意を表する。なお、本研究に要した費用の一 部は利尻町立博物館の平成 8年度利尻島調査研究報 償費(研究課題名:利尻山豊仙沢雪渓の内部構造と 氷化過程に関する雪氷学的研究)から支弁された。 参考文献

Kawashima

, K.,

Yamada

,

T

.andWakahama

,

G.

,

1993;

I

n

v

e

s

t

i

g

a

t

i

o

n

sofi

n

t

e

r

n

a

ls

t

r

u

c

t

u

r

eand

transform 止

t

i

o

n

a

l

processes 丘om

f

i

r

nt

oi

c

ei

nap

e

r

e

n

n

i

a

lsnow

p

a

t

c

h

.Ann

a

l

sofGlaciology

,

18

,

1

1

7

-

1

2

2

.

Kaw ぉhim a,

K

,

1

9

9

7

;F

o

r

m

a

t

i

o

np

r

o

c

e

s

s

e

so

f

i

c

ebodyr

eュ

v

e

a

l

e

dbyt

h

ei

n

t

e

r

n

a

ls

t

r

u

c

t

u

r

eo

fp

e

r

e

n

n

i

a

lsnowp

a

t

c

h

e

s

i

n

]a

p

a

n

.B

u

l

l

e

t

i

nofG

l

a

c

i

e

rResearch

,

15

,

1

-

10.

Kawashima

,

K

.

andYamada

,

T.

,

1

9

9

7

;Experimental

s

t

u

d

i

e

sont

h

et

r

a

n

s

f

o

r

m

a

t

i

o

nfromf

i

r

nt

oi

c

ei

n

t

h

ewet-snowzoneoft

e

m

p

e

r

a

t

eg

l

a

c

i

e

r

s

.Ann

a

l

sof

Glaαology , 24 ,

1

8

1

-

1

8

5

.

Kawashima

, K.,

Endo

,

T

.andTakeuchi

,

Y.

,

1

9

9

8

;A

p

o

r

t

a

b

l

ec

a

l

o

r

i

m

e

t

e

rf

o

rm

e

a

s

u

r

i

n

gl

i

q

u

i

d

-

w

a

t

e

rc

o

n

(9)

-表層コア掘削による利尻山の多年性雪渓の雪氷学的制査

8

7

tentofwetsnow.AnnalsofGlaciology

,

26

,

103 -106. 小嶋尚, 1994; 対照的な島利尻島と礼文島小嶋尚・ 福田正己-石城謙吉酒井昭-佐久間敏雄・菊地 勝弘編「日本の自然地域繍 l 北海道 J. 岩波書店, 東京, 112-1 日 小岩清水, 1992; やせていく火山利尻岳.小泉武栄・ 清水長正編「山の自然学入門 J ,古今書院,東京, 3G-31. 納口恭明,河烏克久,小林俊市,竹内由香里, 1998; 粉粒体堆積物で覆われた氷河氷床の融解を支配 する力学的効果.第 47 回応用力学連合講演会講 演予稿集, 69-70. 浮口晋一,長谷川裕彦,三枝茂,佐々木明彦,三浦 英樹, 1994; 利尻岳豊仙沢の氷河地形.日本地理 学会予稿集, 45

,

32-33

参照

関連したドキュメント

は、金沢大学の大滝幸子氏をはじめとする研究グループによって開発され

④改善するならどんな点か,について自由記述とし

このほど金沢市と金沢大学をはじめ金沢市近郊の15高等教 育機関で構成する 「金沢市・大学間連絡会」 は,

2022 年は日本での鉄道開業 150 周年(10 月 14 日鉄道の日)を迎える年であり、さらに 2022 年

2018 年 2 月 4 日から 7 日にかけて福井県嶺北地方を襲った大雪は、国道 8

北陸 3 県の実験動物研究者,技術者,実験動物取り扱い企業の情報交換の場として年 2〜3 回開

 現在『雪』および『ブラジル連句の歩み』で確認できる作品数は、『雪』47 巻、『ブラジル 連句の歩み』104 巻、重なりのある 21 巻を除くと、計 130 巻である 7 。1984 年

Figure  第Ⅰ調査区 SK9 土坑出土遺物  第Ⅰ調査区 SX3075 土坑は、 覆土に黒色の炭化物を大 量に含んだ不整形な土坑で、