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ConsiderationonOhm'sLawintheJuniorHighSchoolScience 中学校理科教科書におけるオームの法則の検証実験

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(1)

中学校理科教科書におけるオームの法則の検証実験

福 山 豊 * 東 口沙都美 *, **

(平成16年3月15日受理)

Co ns i de r a t i o no nOhm' sLa wi nt he J uni o rHi ghSc ho o lSc i e nc e

Yut a kaFUKUYAMA* ,Sa t o miHI GASHI GUCHI * , * *

(ReceivedMarch 15,2004)

1.は じめに

中学校理科 のなかで教 え られているオームの法則の学習は,電流計,電圧計な どを用 い て,定量的な実験 を行 い,その実験結果 か らオームの法則 を見 つけださせ るな ど,典型的 な科学的手法 に よる学習 を行 ってい るようにみえる1)。 しか し,中学校 で電気 回路 を学習 した多 くの生徒 たちは,電流 と電圧の概念の習得 が十分 にで きていない し,電流 と電圧 の 違 いや区別 もで きないでいる。

中学校 で学んだ理科 について,高校生 にお こな った好嫌度調査 による と,電気回路の項 目は大層嫌 われている学習項 目としてラン クされてお り2),多 くの生徒 にたい して物理嫌 いを起 こさせ る大 きな要因 ともな っているように感 じられ る。 この ような状況の発生は, 現在発行 されている教科書 に も大 きな責任 があ る とともに教 える側の教材研究の不足 に よ る と考 え られる。 そ こでまず現在 中学校 での電気回路,特 にオームの法則の取 り扱 いにつ いて検討 して,その指導の問題点 を考察 した。 その後 , この問題点 を解決す るための方法 として生徒たちに電気回路の電圧 ,抵抗 ,電流の概念形成を うながすために水位差網入 り パ イプ水流モデル3),4)を検討 した. さ らに, この水流モデル に よ り電圧 ,抵抗 ,電流の間 に成 り立 つ と予想 した関係式が,実際の電気回路 について成立 す るか どうかを,確 かめ る 実験 について考察 した。

2.中学校教科書 におけるオームの法則の検証実験の問題点

現行中学校理科教科書 に よる流れは,まず電流が流れ る回路 を学び,電流の大 きさを測 る。そのために電流計の基本操作を学 んだ後 ,直列回路 と並列回路の豆電球 な どの電流 を

*長崎大学教育学部理科物理教室 **現在 は放送大学長崎学習セン ター

(2)

測 る実験 を行 う。 同様 に して,電圧計の基本操作 を学び,先の回路の電圧を測 り電圧の加 法性 を理解 させ る。その後,電熱線の回路 に電流計 と電圧計を組み込み, これ らの測定値 か らⅩ軸 に電圧の値 とy軸 に電流の値 をグラフに描 かせ,電流 と電圧 とが比例関係にある ことを見つけださせ る。

生徒たちの学習は,実験観察を重視するあま りメー ターのつなぎ万や よみ方 を訓練する 単なるテクニカル ・ノウハ ウの訓練 となっている。 ほ とん どの時間が測定法の学習 と測定

に終始 してお り,その後 はオームの法則 がⅤ‑R Iであ るこ とを覚 えさせ, この公式 を 用いた計算問題の練習 となる。そのため生徒たちは電流,電圧,抵抗の物理量の実在感を 持 ってお らず, これ らの概念については,生徒たちは納得で きるイメージがで きないまま 放置 されている。

教科書の1番の問題点は,オームの法則を,電熱線 と電源による閉 じた回路 に,電流計 と電圧計をつないで, これか ら卿定 した電圧 と電流の値 か ら実験的に帰納的に導けるかの ように思わせている ところにある。実際は,電圧計は,オームの法則が成立することが確 定 しない と設計で きない ものであ り,オームの法則その ものを利用 している測定器である 導 こうとしている法則 (オームの法則)を もとに設計制作 された測定器で,オームの法則

を求める という無意味な実験作業が行われていることになる。

オームの法則は,単 に電流計 と電圧計で測定 した結果を もとに発見で きるものではない0 またオームが発見 したや り方は この ような ものではない5)・6)。オームは測定で きない電圧 の概念 と実在性 を しっか りイメージし,それが原因で抵抗 を持つ金属の中を電流が流れ, 抵抗の大小が電流の流れを決めることと,電流の流れる大 きさが抵抗に反比例す ることを 予想 して,その検証のために実験 を行 ったのである。

中学生の学習 に も, この実験 で検証する前 に,電圧の概念の実在的予感 とこの電圧 を原 因 として抵抗のなかを電流が流れる様子 とその ときの関係の予想を,頭の中に確かな物 と して感 じることがで きるように し,その後,その予想 した関係を検証するために電圧計を 使用 しない実験の学習プランを開発すべ きである。 イメージによる新 しい物理量の実在の 予感 と,その物理量 と他の物理量の関係の推理が行われて,それを検証す るため,その推 理 か ら導 かれる関係を実験で確 かめる学習教材 としたい。

3.

電気回路の水位差網入 りパ イプ水流モデル 電気回路の電圧 (電位差),抵抗,電流の概 念を理解するためには,定常的な流れ とそれを 生 じさせる原因 と見なせる物理量のイメージを, 生徒の頭に思い起 こさせ る必要がある。電圧, 抵抗,電流はお互いに関係 しあい機能 しあって いるので,三者の役割 を一 つに統一 したモデル で表せ ることが望ま しい。

そ こで今回考察 しかつ製 作 した水流モ デル は,電圧 (電位差),抵抗,電流 を,次の よう に対応づけ,それを実際のモデル (図1) とし

て製作 した。 図

1

水位差網入 りパ イプモデル

(3)

電圧 (電位差)‑ 水位の差

抵抗 ‑ 網の詰 まったパ イプ

(導線) ‑ (網の詰 まっていないパ イプ) 電流 ‑ パ イプを流れ る水流

この対応 を もとに した水流モデルを特 にほかの水流モデル と区別す るために、水位差網入 りパ イプ水流モデル と呼ぶ ことにし,・以後水流モデル と言 うときは このモデルを意味 してい るもの とする。実際, この水流モデルを通 して推測または類推で きる概念は電気回路の概念 を総合的に理解するための手助け となる。その内容について次に述べてみることにする。

A.水位差 (電位差 :電圧)

① パ イプの両端 に水位差 があ る とパ イプの中を水が流れ るが,水位差が無 くな る とパ イプの中の水は流れない。

(抵抗物体の両端 に電位差 があ る とこの抵抗 に電流が流れ る。電位差 が無 くなる と 抵抗 には電流が流れない)

○今 までの教科書 が 電流 を初めに取 り 扱 い電圧 の イメー

ジを後回 しに して いたため,電流が 流れ る因果関係を

正 し く理解で きな 図

2

水位差の大 きさと流れの関係

かった。電流が流れ るための原因 として電圧 (電位差)があ り,その結果 として電 流が流れ る とい う認識 を持たせ ることが大切 であ る。電圧 は電位の 「差」であ り, これを図の ような体験 しやすい水位の 「差」.でモデル化 してお くことは以後の学習 での基礎 となる。すなわち,水位差がある ときは水が流れるが,水位差がない と流れ ないことを,流れを生 じる現象の一番大事なことが らとして認識 させ ることである0 (卦 水位差が大 きい とパ イプの中の水は速 く流れ る。

(電位差が大 きい と抵抗 に流れ る電流は大 きい)

○水の流れに水位差 があ ることの重要性 がわかれば,図2の ように水位差の違 う2つ のモデルで, どち らが水の流れが速 い (多 く流れ る)のかを生徒の経験 か ら理解 さ せ るこ とがで きるだろう。水位差の大 きい ものほ ど水の流れは大 きい こ と,逆 に, 水の流れが大 きい ときほ ど水位差は大 きい こ と。

B.網入 りパ イプ (抵抗)

① 水位差 が同 じ大 きさで も,長 さ と断面積 が同 じパ イプの中 の網の詰 ま り方 で水の流れは 速 さが異な る。詰 まっている ほ ど流 れ に くい。 (電位差 が 同 じ大 きさで も,長 さ と断面 積 が同 じ抵抗は,物質 に よっ

て電 流 の大 きさが異 な る) 図3 水位差 と水流のモデル実験

(4)

○ ここでは電気回路の抵抗 に対 して

,

「網 を詰 めたパ イプ」 と見 な した。 これまでの 水流モデルでは,抵抗の大 きさをパ イプの細 さ (パ イプが細 いほ ど抵抗 が大 きい) に例 えた ものが多か ったが,パ イプの断面 の大 きさ と長 さが同 じパ イプは同 じ抵 抗 の値 を示 す こ とにな る。 しか し,実際の抵抗 の値 は,同 じ断面積 と同 じ長 さで あ って も物質の違 い (抵抗率) に よって異 な る。 この事実 を意識 させ るには,物 質 に よって抵抗 の違 いを生 じさせ る度合 いをパ イプの網 の詰 ま り万 を変 えて理解 させ るこ とが適 当であ る。抵抗 の値 は,物質 に よって大変大 きな違 いがあ るが, 実験 に用 い るニ クロム線 は鋼線 のお よそ100倍 ほ どであ る。 そ こで電気回路 で用 い る鋼線 (導線) は,ほ とん ど網 を詰 めないパ イプでモ デル化 してい る。 さ らに言 えば,水位 の高 い水槽 の下方 に接続 されたパ イプの近傍 の水は,水位 の低 い水槽 の下方 に接続 されたパ イプの近傍 の水 よ り,圧縮 されてい る。 そのため, よ り圧 縮 された水は,圧縮 されていない水の万へ押 し流 され るこ ととなる。

② パ イプの長 さが長 いほ ど,パ イプの中の流れは小 さい。

(抵抗の長 さが長 いほ ど,抵抗 を流れ る電流 は小 さい)

○ 同 じ物質 (抵抗率が同 じ)で断面積 が等 しい場 合,抵抗の長 さ、が長 いほ ど電気が流 れに くい (抵抗値 が大 きい) ことは,網 を詰めたパ イプは長 さが長 いほ ど水の流れ が流 れに くい こ とに対応 している。

(丑 パ イプの半径 (断面積)が大 きいほ ど,パ イプの中の水の流れは大 きい。

(抵抗の半径 (断面積)が大 きいほ ど電流の流れは小 さい)

○上 と同様 にパ イプの半径 が大 きければ, よ り多 くの水を流す ことがで きることも実 体験 か ら理解す るこ とがで きる。

C.

水の流れ (電流)

① 回路のパ イプの中は どこで も水が詰 まってい る。

(回路 (導線や抵抗)の中は, どこも移動 で きる電荷 (電気)が詰 まっている)

○回路のス イッチを入れ る と+極や 一極 か ら電気が飛び出 してい くと考 えている生徒 たちは, +極 か ら出た電流の強 さは抵抗の場所で弱め られ,抵抗 を過 ぎれば弱い流 れ となる と考 えている。

② 水の流れはパ イプの外 には飛び出ない。

(電気は回路 か ら外へは飛び出ない)

○導線や抵抗の中で電気は新 し く生 じた り消えた りは しない こ とに対応 して,パ イプ の中を流れ る水は外 に漏れず に一定の量 が移動す るこ とを理解で きる。

(診 スイ ッチを入れ る とパ イプの どの場所 で も水は同時 に流れ始 め る0 (スイ ッチを入れ る と回路の どの場所 で も電気は同時 に流れ出す)

○水位の高 い水槽側のバ イブロの水は,水位の低 い水槽側のバ イブロの水 よ り大 きな 圧 力で押 されてい るため,圧 力の高 い方 の水 か ら圧 力の低 い方 の水 へカが働 く

圧 力の高 い万の水は,す ぐ隣の水を押 し,その水はまた隣の水を押す。 この とき水 は激 しい分子運動 を行 ってお り,非圧縮流体であ る と考 え られ るので この流れは, はば同時 に生 じることにな る。

(彰 回路のパ イプの どこの断面積 を流れ る水の量 もどの場所 で も同 じであ る。

(導線や抵抗の どの断面 を流れ る電気の量 もどの場所 で も同 じであ る)

(5)

0

パ イプの中に詰 まった非圧縮流体の水は, どこかで消えた り生 じた りで きないので あ るか ら, どの場所 での断面 で も同 じ水の量 だけ移動 す る。

(9 パ イプの中の水は少ない距離 しか移動 しない。

(回路の中の電荷 (電子)は少ない距離 しか移動 しない)

○パ イプの中の水は圧力の高 い方 か ら低 い方へ移動 (流れ)す るが,パ イプの中は水 が詰 まっているため実際の水その ものは,ほんの少 しの距離だけ移動 す るのである。

電気の移動 (電流) も回路の どの点で もはば同時 に流れ るので,電気のその ものの 移動 も大変早 いスピー ドで移動 している と考 えている生徒 たち もいる。

D.ポ ンプ (電池)

(丑 定常的 に水 を流 し続け るための水位差 を作 る働 きをす る。

(定常的 に電流 を流 し続 けるための電位差 を作 る働 きをす る)

○電池は, +極 と一極 に電位差 があるため電流 を流す働 きをす るが, この流れを定常 的 に流れ るようにす るためには, こ

の電位差 を維持す るこ とが必要であ る。 この役割は,水位の低 い方の水 槽 か ら高い方へポンプで汲み上 げて 両方の水槽の水位差 を一定 にす るこ

とに対応 させ ることがで きる。

ここで述べた水流モデル を実際 に 作成 して生徒たちに見せた り考 えた りして授業 を行 うこ とは大変有効 で ある と考 え,水槽2個,塩化 ビニー ルパ イプ,ジ ョイン ト,網,ポンプ な どを用 いて図4の基本モデルを作

成 したo これを もとに2本の網入 り 図4 水位差網入りパイプ水流モデルの実体モデル パ イプを用 いてa)直列抵抗 (水流)

モデル とb)並列抵抗 (水流)モデル を作成 した。

4.水流モデルの検討

ここで教科書 な どに掲載 されている電気回路のモデルについて コメン トしてお きたい。

文献 Ⅰの教科書での電気回路のモデルは,直列回路 と並列 回路の電流の説 明 と,直列回路 と並列回路の電圧 の説 明の ところで水流モデル として図示 されている0A社の電流の水流 モデル として,直列 回路は川の流れ,並列回路は中の島のあ る川の流れの図で表 している。

電圧 の水流モ デル として,直列 回路 は2段 の滝 に よって,並列 回路 は並 んだ2本 の滝 に よって図で表 している。 しか し,抵抗のモデルが描 かれていない し,電圧 と電流 と抵抗の 間の相互の関係がわか らないままであ る。 またB社のモデル として,電圧 は同様 に滝の高 さ,電流は滝の落下す る水, さ らに豆電球やモー ターを滝の下で回転 させ る水車で表 して いる。だが,抵抗の イメージを描 くモデルがないため,電圧,抵抗,電流の因果関係 とし て理解す ることがで きない。

これ らの教科書 に限 らず,電圧 を水位差 と考 え,実際 に水を高 い位置 か ら低 い位置へ落

(6)

下 させることでイメージさせる滝の流れや斜めのパイプな どを落下 させるモデルは,電流 のイメージを描かせるのには不適当である。滝の流れによる電流のモデルでは,同 じ電圧 で も抵抗の違いで電流の量が変わることができない。 もし水車を抵抗 と見な して もその水 車の違いによって流れ下 る水量を変えることはできないか らである。また,電流を斜めの パイプの中を落下 させるモデルでは,流れ落ちることを促す原因が,

2

つq)部分か ら成 っ ていることか らくる複雑 さがある。 1つは,この論文で論 じた水平 に流れるパ イプの中の 右の端 と左の端の水圧の差による部分 と, もう 1つは,パ イプが斜めになっているため, パイプの中の水に直接働 く重力の成分による部分の合成 となるための抵抗 と電流の適切な モデルにはな りに くい。 この複雑 さと混乱をさけることを考 えれば,電流q)モデル として は,ここで論 じた網を詰めたパ イプを水平にして水を流れるようにした方がよりよいモデ ルであると考 えられる。

さらに水位差モデル と呼んで いる場合にも,我 々が論 じてい るもの とは異なってモデルが用 い られていることがある。その 1つは,落下する前の水の高い 方の高 さと,落下 した後の水の 低い方の高さとの差をさして水 位差 と呼んでいることがある。

この場合はいずれにせ よ,電流 に見立てた水が上の場所 か ら下 の場所へ流れ下 ることにな り, す ぐ上で議論 したように分か り やすい抵抗 と電流に見立てたモ デルを作 りに くい。我 々がこの

図5 パイプの途中の水位の観測

「 厄 日

図6 水位差による電圧降下の理解図 論文で議論 しているモデルの水

位差 とは,抵抗に見立てた網入 りパ イプを水平に置 き,その両端の2つの水槽での これ ら のそれぞれのパイプの出入 り口の付近での圧力の差を発生 させる要因 となっているそれぞ れの水槽の水位の高 さの差を意味 している。 このモデルで水位差を電位差に例えたのは, 後に高校な どで電位や電圧降下を学習するときにもある対応があることを示す ことがで き るか らで もある。図5に示すように,直列抵抗に対応 した実体モデルの網がないパ イプの 場所 に,小さな塩 ビのパ イプを差 し込み (この場合

3

箇所 に), これ らを支 えて垂直に立 ててみる。その結果は図5に示 したように左から右へ順に3本の塩 ビのパイプの水位は低 くなっていることが見て取 れ る。 これはオームの論文5)・6)に も述べ られている図 6に示 すような電圧降下の概念を理解する面 白い展開が可能 となる。 この ように水平な網入 りパ イプ とそれを結合 した2つの水槽の水位差を,抵抗 と電位差 (電圧)に見立てたモデルは, 我 々には 目に見 えない現象を扱 う電気回路の学習に,電流,抵抗,電位差 (電圧)の相互 の関係を理解 させることので きる点で利用可能なモデル と思われる。

(7)

5

.オームの法則の実験検証

ニクロム線な どの抵抗 に流れ る電気回路について,上で述べた水位差網入 りパ イプ水流 モデ)I/でイメージ し,それを もとに電気回路の規則性を予測 した ことが どこまで正 しいか は,実際に実験 を して確かめる必要がある。そのためには,電圧,抵抗,電流を どの よう に数量化で きるか, どの ように計測で きるかを考 える必要がある。 まず電流は どうして測 れば よいか。電流はその周 りに磁石を近づける とその磁石 に力を及ぼす磁気作用があるこ とが知 られている。そ こで電流の大 きさは,電流の流れる導線の上方 に吊るした磁石の偶 力の大 きさに比例すると仮定する と,磁石の回転角度を電流の大 きさ と見なす電流計がで

きる。 この ように して電流計が準備で きる。

次に電圧 (電位差)は どの ように して測 った らよいだろうか。電位差は水位差の ように は直接私たちの 目で見 るととがで きない。そのため電位差を定量化 しその ような概念が確 かに有用な量 として考 え●られ るためには,電圧 を電流 とは独立 した量 として測定 されねば な らない。そ こで電流を測 るために電流の磁気作用が手助けを した ように,電圧を直接測 るために何 (現象または法則)が手助け して くれ るだろうか。残念なが ら電圧 を直接測 る ための手助け して くれる法則は見つけることがで きない。それにいろいろの金属や抵抗 を つないだ回路で水位差 に対応する電圧 (電位差)は常 に一定である保障 もない。では抵抗 は どの ように して数量化で き.るだろうか。ある一つの抵抗物質の一定の長 さを抵抗の一つ の単位 とし,それの何倍の長 さになっているかで抵抗の大 きさを測 ることにする。

これ らの考察の結果,数量化で きるのは,電流 と抵抗の二 つであることがわかる。 この 二 つの量か ら,前の節でイメージ化 した ような,水位差 に対応 した電圧が電源に固有な量 として存在 し,水流が抵抗 に反比例 し,水位差 に比例する関係が導けるかを直接実験 して 確 かめ ることが必要である。

ここでは最 も簡単な生徒実験 を考 えよう。新 しい乾電池 1個 と電流計1個ニクロム線2, 3個 にみのむ しク リップ付導線2本を用意する。 まず1本のニクロム線の回路を組み,そ の中に組み込んだ電流計の値 をよむ。次に2本,3本のニクロム線を直列につないで回路 を組み,その ときのそれぞれの電流計の値 をよむ。 この ときニクロム線がそれぞれ 1本, 2本,3本の ときの抵抗Rと電流 Ⅰを掛 け算す る と, どの場合 もはば一定 の値 にな るが わかる。 さ らに乾電池を2個直列に して,乾電池 1個の場合 と同 じ実験 をす る と, この と きの電流の値 がほぼ2倍 になる。その結果, この ときの抵抗 と電流の積は乾電池電池 1個 の ときのおよそ2倍 となることがわかる。 これ らの ことか ら,抵抗 と電流の積で表 される 物理量は,水流モデルの水流を作 る原因 としての水位差に対応 し,電気を流す原因を創 る 電圧 (電位差) としての物理量を定義することがで きる。実際には,いわゆる内部抵抗が あるので抵抗が小 さい ところでは,電流は完全には上の値 よ り少ない値 となるがここでは 深入 りしない。ただ,オームは この内部抵抗の存在 を正 しく理解 していたためオームの法 則を導 くことがで きた7)0

6.おわ りに

ここで電圧計 について述べてお く。電圧は,は じめ,抵抗物体に電流が流れた とき,抵 抗 と電流の積 として定義 され, これが電磁気の中で有用な物理量 として認知 されて きた も のである。そ して この電圧 と定義 された量がこの回路の電源 として電流を流す働 きを示す

(8)

量 として,接続す る抵抗 には関係な く電源固有の能力を表す独立 した物理量 とみなされた 結果,温度が一定の抵抗物体 には,電圧 Ⅴ と抵抗Rと電流Iの間にⅠ‑Ⅴ/Rとい う自然 の法則が存在することを見出 したわけである。電圧は抵抗や電流 とは独立 した物理量では あるが,抵抗 と電流計を用 いなければ測定することはで きない。 この ことか ら電圧計は, 電流計をオームの法則を用 いて,電流計の中の抵抗 とそ こに流れる電流の値 を掛け合わせ た値 を電流値の変わ りに 目盛 り表示 した ものである。

ここで中学校な どでのオームの法則の検証のために教科書等に記述 され,実験 されてい るや り方 に再度ふれておこう。 ここで検証すべ きとされているオームの法則の実験 は,電 流計でその回路の抵抗を流れる電流を,オームの法則を もとに作 られた電圧計 を使 って電 圧 を測定 し,Ⅰ‑Ⅴ グラフか ら電流 が電圧 に比例 している としてオームの法則 を導 き出す とい う循環論法的なや り方を行 っている。 この ような実験 が,何十年 も日本のほ とん どす べての中学校で行われているのは教科書検定があるか らとはいえ不思議な ことである。

この問題を解決するために,

3

節でオームの法則 を理解するための イメ一・ジをつ くる水 位差網入 りパ イプ水流モデル と導入 し,その特徴 について述べ4節では他のモデルについ て も言及 した。 さ らに5節では, この イメージか ら電気回路に成 り立 つ と仮定 した関係を 検証する実験 について考察 した。今後の課題 としては, これ らの内容を生徒たちに実際に 授業 してみて,その結果が生徒たちに本当に受け入れ られる教材 となっているか どうかの 検討が必要であ る。

参 考 文 献

1)例えば,A.中学校理科用教科書 「新 しい科学 1分野上」,東京図書 (2001) B.中学校理科用教科書 「中学校理科 1分野上」,大 日本図書 (2001) 2)川村康文 :物理教育,45‑4(1997)213

3)福山豊,西和事 :物理教育,38‑2(1990)88 4)福山豊 :物理教育,48‑6(2000)538

5)安田徳太郎訳 ・編 :新訳 ダソネマン大 自然科学史9」 (三省堂,1979)286 6)森ゆ りこ :科学技術史,第3 (1999)7

7)後藤尚久

:

「なっとくする演習 ・電磁気学」 (講談社,1998)92

参照

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