1 論 説 第 二 臨 調 . ﹁ 行 政 改 革 ﹂ と 国 家 財 政 ⇔
ー 1 一 九 八 四 年 度 予 算 の 検 討 を 中 心 に f I
小 林 晃
ヘヘヘへ
藺 ﹁増 税 な き 財 政 再 建 ﹂ の 破 綻
兄八三年末の国会解散.総馨のため︑異例に遅れていた一九八四年度政府予築が・年明け男に(八四二・二五)決定をみた︒総肇による大幅議獲を替夢ラブとの妻上の連立によって楚して・妻定姦Lを再び確保した第二次.中農内閣は︑いわゆる﹁行革﹂初年度予算としての八二年度叢・同二舌の八三年度予算(以上ξいては︑本誌篁九巻第三号所収の拙稿農)にもまして︑第二臨調・﹁行(財)政改革﹂の階級的本質・その資本主義階級性を露骨に具現した政府予算案を策定したといわなければならない︒
八四年度政府予簗の馨的鍍点をなしているのは︑篁に︑従来いわゆる﹁行革﹂予募メイソ三〒ガソで
ヘヘヘへあり︑政府﹁公約﹂でもあった層税なき財政蓬Lが完全に馨("増税なき増税"が・慢性インフレ下では薙進行するかぎりでは︑﹁行革﹂予算翠度からすでに羅していたといったよいのだが)をしめしたことである・それは・これまで
しきりに強調されてぎたこのス・‑ガンが︑八四年度予算嚢を中心議.題とする第亘特別国会(充八四三.六開
甲伸Uhル 劇
2
商 経 論 叢 第20巻 第1号
会)において・首相ならびに蔵相演説からまったく姿を消し︑かわって︑"増税なくしては財政﹁再建﹂は不可能であ
る﹂ことを事実上表明しているのをみても明白である︒
八四年度予算案の総括的特徴点の第二は︑主として歳入面にかかわることであるが︑七年ぶりの税制改正を伴うと
はいえ・まったく小幅な〃減税"(正選は物価調整減税)と見返りに︑大幅な大衆課税の強化(﹁公共料金﹂﹁公的負担﹂
等を含む)がうちだされたことである︒そして第三に︑主として歳出面にかかわることであるが︑勤労階級.階層の
"安全保障"を犠牲にした︑独占資本にとってのいわゆる﹁総合安(全)保(障)﹂予算としての性格を︑従来にも増
して強めたことである︒
抽象的な表現ではあるが︑八四年度予算審議を中心課題とする第百一特別国会での予算に関する首相ならびに蔵相
演説からも︑上述の諸点をほぼ確認することができよう︒以下の引用がその要旨である︒
注中曽根首相の私的諮問機関である﹁平和問題研究会(座長・高坂正尭京大教授)﹂(一九八三.八発足)は︑一九八四年三月
一四日︑﹁総合安全保障﹂に関する中間報告をまとめて首柑に提出した︒
中間報告は︑日本経済の拡大︑発展に伴い︑﹁国際国家﹂として国際社会に﹁貢献﹂することが﹁国益﹂にかなう︑という前
提にたち・市場などの開放政策の必要性︑政府開発援助(ODA)の倍増計画の達成︑石油︑希少金属(レアメタル)備蓄強
化などを提言している︒さらに︑﹁安全保障の確保のためのコスト負担(増税ほか)の必要性﹂と︑国民的合立昼つくりを政府
に求めている︒
中間報告は︑国際経済政策を中心にまとめたもので︑今後は﹁防衛計画の大綱﹂の検討を含む外交︑防衛問題に比重を移し︑
今秋︑最終報告書をまとめることを予定している︒
﹁第二の改革(篁の改革は﹁行政改革﹂︑第三の改革は﹁馨改革﹂︒なお後者ξいては︑いわゆる警臨調︑臨時教暮議
会設置法案の今国会への提出隔決定をへて具体化した︒その政府案は︑三月二七日に閣議決定された︒⁝⁝引用者)は︑財政改
革である︒財政改革の目的は︑単に危機に瀕しているわが国の財政収支の均衡化を図ることにとどまるものではない︒
第 二 臨 調 ・「行 政 改 革 」 と 国 家 財 政(コ
3 それは︑むしろ行政改革と同様に︑新たな経済︑社会情勢の進展に即応して財政の在り方を再検討し︑その適正な対
応力の回復を図り︑国と地方︑公的部門と民間との新しい関係を導こうとするものである︒また︑対外的な環境条件
の整備安定を図りつつ︑民間活力を最大限に発揮させ得る礎を築くものであり︑経済︑社会の運営における活力を保
持し︑新しい成長経路を追求しようとするものである︒政府は︑これまで臨時行政調査会の答申の趣旨を踏まえ︑一
歩一歩財政改革の実を挙げてきたが︑先般策定した﹃一九八〇年代経済社会の展望と指針﹄においては︑昭和六十五
年度までに特例公債依存体質からの脱却と公債依存度の引き下げに努めることを示した︒昭和五十九年度の予算編成
に当たっても︑引き続き歳出構造の徹底した見直しを行い︑⁝⁝従来にも増して積極的な整理合理化を行うこと等に
より︑一般歳出を前年度に比し三百三十八億円削減した︒一方︑国民の強い要望に沿うぺく所得税︑住民税合わせて一
兆一千八百億円の減税を行うとともに︑現下の厳しい財政事情にかんがみ︑法人税︑酒税︑物品税等の税収増加︑更
には特殊法人︑特別会計からの一般会計納付等税外収入の増加を図った︒以上のような歳出歳入両面にわたる諸般の
努力の結果︑公債発行予定額は︑前年度に比し︑六千六百五十億円減額することができ︑財政改革に更に新たな︼歩
をしるし得たものと考えている︒/
時代が大きな転換期であればあるほど︑生起する問題は深刻であり︑国民の心の中にも︑国際平和や日本の将来︑
教育︑医療︑年金︑老後の生活等の先行きについての不安が影を落とすこともあろう︒⁝⁝さきに述べた行財政改革・
わが国の国際的責務の遂行に当たっては︑国民に︑時にやむを得ない負担をお願いする場合も生じてきているが・政
府は︑それを最小限にとどめるよう全力を尽くしていく︒L(首相演説より)︒
﹁︿財政改革の一層の推進﹀
国債の発行残高は昨年百兆円を突破し︑五十九年度未には約百二十二兆円にも達する︒その利払い費も予算の一八
%強を占め・公共事業関係費を上回り︑社会保障関係費にも迫っている︒このため︑わが国財政は本来期待されてい
る諸機能を発揮できず︑このままでは人口の高齢化や国際社会におけるわが国の責任の増大など︑今後の社会.経済
の変化に対応する力が失われてしまう︒
政府は﹃一九八〇年代経済社会の展望と指針﹄で︑対象期間中に赤字国債依存体質からの脱却と国債依存度の引キ︑
下げという努力目標を示した︒このため︑歳出面では︑政府と民間︑国と地方の間の役割と責任を明確にする見地か
ら・既存の制度・施策の改革に取り組んでいく︒また歳入面でも︑歳入溝造の合理化︑適正化に努めるほか︑行政サ
ービスの受益と負担のあり方という観点から見直しを行う︒赤字国債の償還財源の調達について︑借り換え債の発行
を行わないという従来の方針は見直さざるを得ない︒/
︿五十九年度予算の大要﹀
前年度よりさらに厳しいマイナス・シーリソグを採用し︑その後の予算編成でも聖域を設けずに見直しを進め︑地
方財政対策の改革︑医療撮険制度や年金制度の改革をはじめとする種々の制度改正を行うなど徹底した歳出の削減を
行った︒補助金等についても︑総額で前年度に比べ四千三百五億円減と厳しく圧縮した︒国家公務員の定員は︑行政
⁝機関等職員で三千九百五十三人の縮減を図る︒以上の結果︑一般歳出は︑三十二兆五千八百五十七億円と前年度に比
べて三百三十八臆円滅に圧縮した︒これに国債費及び地方交付税交付金を加えた一般会計予算規模は︑前年度当初予
算に比ぺ︑○・五%増の五十兆六千二百七十二億円となっている︒
歳入面では︑初年度一兆一千八百億円に上る所得税及び住民税の大幅減税を行うとともに︑法人税︑酒税︑物品税
について税率の引き上げ等の措置を講ずる︒⁝⁝国債の発行予定額は前年度当初予算より六千六百五十億円減額し︑
十二兆六千八百億円とした︒内訳は︑建設国債六兆二千二百五十億円︑赤字国債六兆四千五百五十億円で︑国債依存
5第 二 臨 調 ・「行 政 改 革 」 と 国 家 財 政 に)
蓑11990年 度 ま で の 財 政 収 支 試 算 (大蔵 省 「中 期的 な財政 事 情 の仮 定 計 算 例」,84.2.10)
(単位 兆 円, △ は マ イ ナ ス)
〔歳 出 〕 国 債 費 地 方 交 付 税 0般 歳 出
一(イ)伸 び 率5%
(ロ)3%
一(ハ)0%
一(イ)伸 び 率5%
計(ロ)3%
一(ハ)0%
〔歳 入 〕
税 収
税 外 収 入
国 債
うち 赤 字 国 債 計
〔要 調 整 額 〕 一(イ)f申 び 率5%
(ロ)3%
一(ハ)o/
国 債 発 行 額 (借 換 債 を 含 む) 国 債 発 行 残 高
84年 度
9.2 8.9
32.6 32.6 32.6 50.fi 50.s 50.6
34.C 3.4 12.7
6.5 50.6
0000
81
122.2
85186
12.1 9.4
34.2 33.6 32・C 55.7 55.1 54.1
37.1 3.2 11.6 5.4 51.9
3.8 3.2 2,2 20.F 1.33.0
13.1 10.1
35.9 34.s 32.6 59.1 57.7 55.7
39.8 3.4 10.5 4.3 53.7
5.4 4.O Z.0 21.4 142.4
87 8S 89 90
13.9 iD.9
3?.?
35.6 32.6 6i:.
60.4 57.3
42.Ei 3.6 9.5 3.2 55.7
6.8 4.7 1,6 23.4 15Q,2
14.6 11.7
39.6 3s.7 32.6 65.9 63.0 58.9
45.7 3.9 8.4 2.1 :i7.9
t3・Q 5.1
x.0 22.9
15.1 12.?
41.6 37.8 32.f 69.4 65.6 FO.4
48.9 4.1 7.3 1.1 60.3
9.0 5.2 0.0 23.1 157。0162.4
15.6 13.6
i
43.7 ミ
38.9 32.F r2.9 68.2 6.t.9
52.4i 4.4!
F.2 01 63.0
9.9 5.1.
△1.2 23.5
166.E
(注)① 要 調 整 額 は 歳 出),r*一対 す る 歳 入 の 不 足 額 一}㎜ 一 『"‑1
② 一 般 歳 出 の 伸 び 率 は 前 年 度 比 増
③1990年 度 は 「1980年 代 経1琳 【・会 の 展 望 と 指 針 」 に よ る 財 政 「再 建 」 達 成 目標 年 度(詳 し くは 本 文 参 照)
※ 試 覧 の 前 提 条 件
▽ 赤 字 国 債(特 例 国 債)は85年 度 以 降 原 則 と し て 毎 年 度1兆800億 円 ず つ 均 等 に 減 ら す
。 建 設 国 債 は 横 ば
い 。
▽ 税 収 の 伸 び 率 は 舘GNP(国 民 徽 産)平 均 伸 び 率6 .5%と し,そ れ に 過 去10年 の 平 均 租 税 雌 値1.1(名と す 目成 長 率1%に 対 し,税 収 はL%増 え る)を 掛 け 合 わ せ た も の と し,90年 度 ま で 一 定
る0
▽ 国 債 費 は85年 度 以 降 大 量償 還 の 始 ま る赤 字 国 債 の 借 換 債 発 行 を 前 提 に 算 出
〈資 料 〉 以Fの 図 表 は,特 記 し な い か ぎ り,第101特 別 国 会 に 提 出 さ れ た 政 府 予 算 案 関 係 資 料(大 部 分 は 税 務 経 理 協 会 『税 務 法 令 通 達 月 報 ↓1984年3,4月 暑 な ら び に 各 商 業 新 聞 に 掲 載)を 整 理 ・加 筆 等 し て 転 載 し た もの で あ る 。
度は︑二五・○%となっている︒また︑財政投融資計画の規模は二十一兆六千六十六億円となり︑前年度当初計画に
比べ︑一・九%の増加である︒
主要経費では︑社会保障関係費︑文教及び科学振興費について︑今後の高齢化社会の進展等︑社会.経済の変化に
対応︑医療保険︑年金︑児童扶養手当︑雇用保険及び育英奨学事業について本格的な制度の改革を行い︑老人や心身
障害者に対する福祉施策の充実︑保健事業の推進︑高齢者の就業機会の確保︑基礎科学研究の充実など︑確策の推進
に努めている︒経済協力費は︑積極的にその推進を図り︑防衛関係費についても︑質的充実に配意した︒また︑エネ
ルギー対策費では︑石油税の税率引き上げ等により所要の財源を確保した︒公共事業関係費は︑総額で前年度を下回
る水準としたが︑一般公共の事業費については民間資金の活用など種々の工夫を行うことにより︑前年度を上回る水
準を確保する︒地方財政は︑約一兆五千億円の財源不足が見込まれるが︑地方財政対策の抜本的な改革を行い︑地方
交付税について当分の間︑特例措置を講ずる︒L(蔵相演説より)︒
ヘヘヘへ﹁増税なき財政再建﹂の完全な破綻は︑さらに大蔵省が第一〇一特別国会・予算委員会に提出(八四.二.=)し
た﹁財政改革を進めるに当たっての基本的考え方﹂(末尾資料四参照)︑﹁財政の中期展望﹂および一九九〇(昭和六五)
年度赤字(特例)国債依存ゼロという財政再建目標にあわせて算定した﹁中期的な財政事情の仮定計算例﹂(表‑)に
よっても︑いっそう明白である︒このなかで﹁基本的考え方﹂は︑第一に︑一般歳出(歳出総額から国債費と地方交付
税交付金を控除した﹁政策﹂経費)は︑﹁厳しい抑制努力を引き続き堅持する﹂︑第二に︑租税・社会保障負担を合わせた
広義の租税負担率は﹁現状よりは上昇せざるをえない﹂︑そして第三に︑赤字国債の償還財源の調達手段として︑﹁借
り換債の発行を検討する﹂という︑三つの基本方針のもとに︑国民の負担増による財政﹁再建﹂の必要を訴・兄ている
からである︒
第 二1臨調 ・「行 政 改 革 」 と 国 家 財 政(⇒
7 また︑﹁仮定計算例﹂(くわしくは表1及びその注前提条件参照)も︑このことを計数的に裏づけるものとなっている︒
﹁仮定計算例﹂は︑一般歳出の対前年伸び率として︑○︑三︑五%の三通りを想定し︑各年度の名目国民所得増加率
を六・五%と仮定した場合︑財政﹁再建﹂達成目標の一九九〇年度までに国家財政が年々どのように推移していくか
を試算したものである︒
これによると︑三つのいずれのケースにおいても六年間の総計で歳入不足となり(一般歳出伸び率ゼロという現実性の
ない仮定の場合のみ︑{九九〇年に一∴一兆円の黒字︑特例国債依存ゼロとなるが︑六年間総計では他の二つの場合同様に歳入不
足)︑そのなかで︑もっとも現実性が高いと思われる一般歳出五%増の場合︑八五年度ですでに三・八兆円の歳入不
足(﹁要調整額﹂)が生じ︑九〇年度には九・九兆円︑六年間の総額では約四三兆円にまで膨張する︒こうして︑﹁仮定
計算例﹂も︑"増税なくしては財政﹁再建﹂は不可能である"ことを明白に示唆しているといわなければならない︒
(なお補足しておけぽ︑一般歳出伸び率ゼロの場合にのみ収支が黒字となるということは︑慢性インフレを考慮すれば︑六年連続の
実質マイナス・シーリングを意味しており︑したがって財政﹁再建﹂のためには︑大衆増税か︑もしくは人件費︑福祉・生活・教
育費等の大幅削減が︑あるいは同時に両者が必要であることを暗に示しているといわねばならない)︒
そして実際︑第一〇一特別国会の予算委員会での討論をつうじても︑早ければ一九八五年度からの実施に間に合わ
せる段取りで︑﹁大型間接税﹂(一般消費税ないし付加価値税)の導入を中心とする"増税による財政﹁再建﹂"策が︑政
府・自民党の各税制調査会を中心に具体的検討にすでに入っていることが明らかにされている︒
二 " 減 税 " 見 返 り の 大 衆 増 税
一九七七年度以来︑実に七年ぶりに︑人的三控除(基礎︑配偶者︑扶養)等の引上げによる所得税課税最低限の引上
表21984年 度税制改 正(減 税)の 大綱
税項 目
障 円1
主 な 内 容所得税
1住 民税
政 策 減 税
s,700
3,loo
soo
・人的3控 除(基 礎,配 偶 者r扶 養)の 引 き上げ 各29万 円→33万 円
・給与 所得控除 の引 き上げ
控 除率40,30%の 適用 範 囲を拡大
・特別 人的控除(障 害者,特 別障害者,老 年者,寡 婦,勤 労学 生)の 各2万 円引 き上げ
・同居 老 人i同 居特別障害 者 の特別控 除引 き上げ 各5万 円→7万 円
・配偶者控 除が受け られ る主婦パ ー ト収 入限 度額引 き上げ 79万 円→88万 円
・税率構 造の見直 し
最低 税率10%→10・5%,最 高税率75%→70%,き ざみ数19→15
騰 螺 藷 瀞 〕
・人 的3控 除 の 引 き 上 げ
各22万 円 →26万 円(59年 度 は25万3,000円)
・特 別 人 的 控 除 の 各3万 円 引 き 上 げ
・市 町 村 民 税 の 最 低 税 率 の 引 き 上 げ2%→2.5%
[標準家 庭では課税 最低限158.4万 円→188・8万円(59年 度減税額(年 収500万 円)17・800円)〕
投 資減税の上 積み260億 円(エ ネルギー効率 化投資促進,中 小企業新技 術投資促進,テ ク ノポ リス促進)▽ 親か ら子 へ の 住宅 資金500万 円 まで に贈与税軽減 ▽個人年 金保険料 に別枠 控除 創設▽金融機関 の途 上国融資残 高に1%の 損 金算 入を認 め る
(注)所 得税 お よび 住 民税 の最 低 税 率 の 引上 げ は増 税 分 だ が,便 宜 上 こ こに一 括 した 。
② 参 照 ) ︒ ① 〜 ③ ︑ 表 4 の ① 〜
ちだされた︒その規模は︑所得税八︑
七〇〇億円︑住民
税三︑一〇〇億円︑
総額一兆一︑八〇
〇億円となってい
る︒(衷2︑表3の 参照)を伴う"減
税μ(正確には﹁物
価調整減税﹂)がう ﹃税経通信﹄八四年
三︑四月号の別冊を げを中心とする税
制改正(末尾資料を
参照︒なおより詳し
くは︑税務経理協会
9第 二 臨 調 ・「行 政 改 革 」 と 国 家 財 政 に)
表3一③ 所得税改正 の内容(税 率構造の見直し)
現 行
醐 課漸 矧 櫛
60万 円以下 の金額
1 11,200 口,500i
l2,000 3,000 4,000 h,000 8,000
120 180 240 300 400 50Q OOO 700 800 1,000
U
ノノ
11 11 1/
ノノ
11
ノノ
11 t/
//
!/
ノノ
//
Il
11
/1
&… 羅 超の
10%
賜 鰯 鰯 賜 賜 鰯 端 錫 賜 賜 賜 賜 賜 騙 賜 賜 賜
75/
改 正 案 適用課税所得 税率
50万 円以下 の金額
120 zoo 300 400 600 800 1,000 1,200 1,500 z,000 3,000 5,000 8,000
//
!/
1/
1/
//
//
!/
II
1/
〃
!/
//
!/
8,… 羅 超 の
10、5%
12%
14%
17%
21%
25%
30,°0
35%
40%
裏3一① 所得税改正 の内容 (人的控除の引上げ)
改正剰 現 行
除 除 雛 除 欝 懸 撫
基 配 姥 偶 者 扶 姥 係
33万 円 33万 円 39万 円
33万 円 39万 円
29万 円 29万 円 35万 円
29万 円 35万 円
45io 50%
55%
60%
65%
70
表3一④ 改正 案に よる所得税の課税 最低限
表3一② 所 得税改正 の内容 (給与所得控除の適用対象範囲の引上げ)
控劇 改 正 案 陳 行
40
30%
165万 円 ま で (最 低 控 除 額 55万 円) 330万 円 ま で
150万 円 ま で (最 低 控 除 額 55万 円) 300万 円 ま で
(注)野 党 の 修 正 要 求J,Yr¥...より,最 低 控 除 額 が57万 円 に 引 上 げ ら れ た 。
区 分
家観 独鰭
現 創 糊
(849) 改正案̲.r
夫婦者
千 円 1,136 (1,161)
夫 婦 子1人
千 円 1,569 (1,619)
夫 婦 子2人
千 円 2,015 (2,079)
94611.30111>83312,357
(注)ω こ の 表 は,給 与所 得 者 に つ い て 作 成 し た も の で あ る 。
{21給 与 の 収 入 金 額 に 応 じ て,そ れ ぞ̲."定 の 社 会 保 険 料 が 控 除 さ れ て い る もの と し て 計 算 し て あ る 。
現 行 欄 の()内 は,改 正 案 と 同 じ 水 準 の 社 会 保 険 料 が 控 除 され て い る もの と した 場 合
の 課 税 最 低 限 で あ る 。
総額で一兆円減税といえば︑相当に大規模の減税に
きこえるが︑国民一人当りに即して具体的にみれば︑
七年ぶりの減税にしてはあまりにも小規模だといわね
ばならない︒ここ六年間の消費者物価上昇率が約二七
%であるのに対して︑課税最低限の引上げ率が︑所得
税で一七・○%︑住民税で一九・二%にすぎないこと
をみても明らかである︒また一人当り減税額でみても︑
たとえぽ所得税の場合︑独身者で年収二〇〇万円で二︑
一〇〇円︑同三〇〇万円で三︑二〇〇円︑夫婦者三〇〇万円で六︑九〇〇円︑同五〇〇万円で一万八︑九五〇円︑夫
婦子二人(標準世帯)で三〇〇万円で一万五︑四七五円︑同五〇〇万円で二万九︑○○○円等々にすぎないからであ
る︒また住民税(所得割り)の場合も︑夫婦子二人の標準世帯で年収三〇〇万円で一万一︑二〇〇円︑同五〇〇万円
で一万七︑八〇〇円︑同七〇〇万円で二万八〇〇円等々にすぎない(表5の①②参照)︒
表4一 ① 住 民 税 の 改 正(人 的控 除 の 引上 げ)
改 正 案 現 行
除除配者除族者等
擁 欝 欝
基配う偶同扶う同同
26万 円(25万3,000円) 26万 円(25万3,000円) 27万 円(26万3,000円) 30万 円(29万3,000円) 26万 円(25万3,000円) 27万 円(26万3,000円) 30万 円(29万3,⑪00円) 31万 円(30万3,000円)
22万 円 22万 円 23万 円 25万 円 22)JfL/
23ノ ∫PJ 25万 円
26万 円」
(注)(1}()内 の 数値 は,ユ984年 度 に お け る額 で あ る が,同 年 度 に 胴 い て は 「個 人 の 住 民 税 に 係 る地 方 税 法 臨 時 特 例 法 」 に よ り右 の 額 に そ れ ぞ れ7,000円 が 加 算 され る こ と に な る 。(2)以 上 の ほ か,給 与 所 得 控 除 引 上 げ の 効 果 は,住 民 税 に つ い て は11年 遅 れ の1985年 度 か ら 生 じ
る。
表4一 ② 住 民 税 の 改 正(市 町 村 民 税所 得 割 の税 率構 造 の 見直 し)
現 行
適用課税所得
躇
壬→(
30万 円以下 の金額
30万 円 超 45万 円 〃 70万 円 〃 goo万 円 〃 130万 円 〃 230万 円 〃 370万 円 〃 570万 円 〃 950万 円 〃 1900万 円 〃 2900万 円 〃
45万 円 以 下 70万 円 〃 goo万 円"
130万 円 〃 230万 円 〃 370万 円 〃 570万 円 〃 950万 円 〃 1900万 円 〃 2900万 円 〃 4900万 円 〃
149・・万 円超の錨
2345678901234{ユー晶‑11←‑﹂
改 正 案
適用課税所得
率紛税伊
20万 円以下 の金額
20万 円 超 45万 円 〃 70万 円 〃 95万 円 〃 120万 円 〃 220万 円 〃 370万 円 〃 570万 万 〃 950万 円 〃 1900万 円 〃 2900万 円 〃
70万 円 〃 95万 円 〃 120万 円 〃 220万 円 〃 370万 円 570万 円 〃 950円 円 〃 1900万 円 〃 2900万 円 〃 4900万 円 〃
12.5
45万 円以下ll
5 6 f7 11
4900万 円 超 の 金 額
901234
ーユー⊥1五‑⊥‑⊥
(注)L1984年 度 は 現 行 ど お りの 据 え 置 き 。
2.い わ ゆ る 「賦 課 制 限 」(本文 参 照)に つ い て は 現 行80%か ら78%
へ 引 下 げ ら れ た 。
第.,...,..臨調 ・「行 政 改 革 」 乏 国 家 財 政 仁つ
11
表4一③ 改正案 に よる住 民税(所 得割)の 課税最低 限 家 族 の 構 成
区 分 〜 〜一一一〜 .
独 身 劃 夫 婦 者
央婦子 ・人1夫 婦子2人現 行 757千 円
(774)
千 円 989 C1,X10)
千 円 1,221 {1,247)
1
千 円 1,584 (L634)
改 正 案 昭 和59年 劇8・7rIs・9611,471i.,.
昭 和60年 度 8701..1,15011,471
こ の 表 は,給 与 所 得 者 に つ い て 作 成 した もの で あ る。
L912
(注)(1} に つ い て 作 成 した もの で あ る 。
て,そ れ ぞ れ 一 定 の 社 会 保 険 料 が 控 除 さ れ て い る もの と し て 計 算 clrこ の 表 は,
② 給 与 の 収 入 し て あ る 。
現 行 欄 の の 課 税 最 低 限 '31
1984年 度 律 」 を 併 せ 4)改 正 案 に
者1,170千 円,
()内 は,改 正 案 と 同 じ水 準 の 社 会 保 険 料 が 控 除 され て い る も の と し た 場 合 限 で あ る 。
鴇 灘 膿 蹴 岬 人の住賄 こ係嚇 税法の臨時鰍 こ関する法
よ る1984年 度 に お け る 住 民 税 所 得 割 の 非 課 税 限 度 額 は夫 婦 ,独 身 者790千 円,夫 婦 子1人1.585千 円,夫 婦 子・2人2,000千 円 で あ る 。
スタクフレーションという新造成語にも示されているとおり︑慢性
的.恒常的なインフレーション・物価騰貴が︑現代の国家独占資本主
義に特有な一現象(矛盾)となっている︒このため︑賃上げは多くの
場合名目賃金の上昇にとどまり︑実質賃金は事実上すえおきとなる︒
だが課税上では︑所得課税が一定額の課税最低限と︑そこを起点とす
る累進課税という制度をとっているために︑名目賃金(所得)の上昇
の結果︑所得税ならびに住民税(所得割分)の課税最低限が事実上引下
げられ︑同時に適用税率も累進的に上昇する︒こうした仕組みをつう
じて︑慢性イソフレを常態とする現代の国家独占資本主義の下では︑
いわゆる"(税法上の)増税なき増"税がひとりでに進行する︒
多くの資本主義諸国で︑このような"増税なき増税"を調整・減額
するために︑﹁物価調整減税﹂が法制化されているが︑わが国では︑
社会党による具体的法案つきの要求にもかかわらず︑政府・与党の反
対でいまだ実現をみていない︒本来︑こうした﹁物価調整減税﹂の制
度化を前提した上でのものでないかぎり︑およそ減税ということはで
きない︒
したがって︑今年度政府案どおりの小幅減税が実施されたとしても・
今年度かりに五%のベアがあったとすると︑あらたな事実上の課税最
1,000万 円
表5税 制改 正 による所得税 ・住民税の減 税例
①所得 税軽減割合(実 態に近い社会保険料控除で算定した現行税額との比較) 給与の年収 12・0万 円13・ ・万 円i500万 円1700万 円
1,511,400 1,4ss,000 45,400
3.0 1,416,000 1,367,000 49,000
3.5 1,320,000 1y268000
s1,000 4.6 L242,000 1,X69,000
73,000 5.9
?66,SOO 749,750 17,050
2.2 097200 667,250
29,9iO 4.3 627900 591,750
36,150 5rS 567,000
522,45Q 44,550 7.9 XO3,$00
388,75Q 15,050
3.7 351.,600 332650
18,950 5.4 300800 276,550
24,250 8.1 254400 225,400
2a,000 11.4
167,000 163,XOO 3,200
1.9
×27,Zoo 120,300
s,900 5.4 92,400 80,700 11,700 12.7 58,000 42,525 15,475 26.7
86,400 s4,300 Z,loo 2.4 53,000 45,675 7,325 13.S 24,000 11,025 12,975 54.1
㈱ 案 額 蒲 案 額 舖 案 額 筋 ㈱ 案 額 筋
新正減割新正減割新正減割新正減割くノしくく行減行減行減行減現改軽軽現改軽軽現改軽軽現改軽軽
〜 ‑ ー 〜 ︑ ー
独身者夫婦者夫婦子一人フ椚7・ ・フ∫酬 ・・… 万 円
7,900 389,900 742,300 0,100 369,100 719,900
7,SOO 20,800 22,400
9.5 5.3 3.0
500 18 17 1
② 住民 税(所 得割 り)の 軽減割 合
給 与の年収 200万 円 300フ ノドゴ
蝶1ギ1
9,200 0 9,200
zoo
45,70⑪ 34,500
ll,200 21.5
(注)①,② 表 と も ゆ ラ リー一マ ン の 場 合 。 当 分 」 の 上 乗 ぜ 分 を 含 む 。
単 位r:.円 。 改 正 案 の う ち 住 民 税 は84年 慶 で,「83年 滅 税 相
低限の引下げと税率の引上げ
のために︑ほとんどの所得階
層 で 年 間 納 税 額 が 前 年 度 を 上
回ってしまい(唯一の例外は年
収三〇〇万円の標準世帯のみ)︑
小幅減税もほぼ帳消しになっ
てしまう︒この新たな"増税
なき増税"は︑たとえば︑前年
(八三年)年収二五〇万円の独
身者で︑納税額(所得税︑住民
税 ︑ 所 得 割 分 ) が 一 八 万 七 ︑ 八
八〇円から二〇万円へ︑夫婦
子二人の標準世帯の場合︑年
収四〇〇万円で二三万三︑四
一〇円から二三万四︑七〇〇
円へ︑同年収金五〇〇万円で
四一万二︑二八〇円から四一
万八︑六〇〇円へ︑同六〇〇
13第 二 臨 調 ・「行 政 改 革 」 と 国 家 財 政 に)
表6給 与 所得者の1984年 度 の税負担(円)
にる収め合%年占割(
84年 (ベ ア5%)
Zr630rQnO 130,000
70,000 zaa,aoa 200000
̀L,23Q,UUU
.7,150,000 50,400 35,800 86,200 240望000 2,823,800
4.,200,000
×42,soo 91,900 234,700 goo,000 3,665,300
5,250000 249,300
169,300 41$,600 3so,000 4,451,400
s,300,000 381,900 255:200 ss7,goo 470,000 5,192,900
にる)収め合%年占割(
7.5
84.9
3.1
89.2
5.8
86.7
8.2
84.2
10.2
82.2 83年
2,500,000 121,200
66,680 187,880
×90,000 2,122,120
3,000,000 51,800 41,340 93,140 230,000 2,676,860
4,UDO,000 139,000
94,420 233×20 :goo,000 3,466,580
5,000,000 243,200 169,080 412,280 380,000 4,207,720
s,000,000 366,000 z4s,9so 614,960 450,000 4,935,040
にるー収め合%年占割(
s.3
87.Z
◇ 婦 と子 ど も2人 で 年 収300万 円
1.3
92.4
3.5
90.1
5.6
87.9
7.5
85.9 77年
◇{身 で 年 収250万 円
得 民 金
収
祉 会 保 険 料 取
1,s.50,0ao 76,200 40,840 117,040 120,000 1,612,960
z,Zzo,000 10,.zQO 19,350 29,650 140,000 zO50,350
z,oso,000 57,000 47,280 1⑪4,280 190,000 z665,720
3,goo,000 121,200
85,644 206840
×40,aoo 3,253,160
4,440,000 195,000 139,540 33454U zso,000 3,815,460
税税計額収税税計料額収税税計料額収税税計料額収税税計料額険円険円険円険得民金保取万得民金保取万得民金保取万得民金保取会姻会珈会㈱会狙年手夫年所註税社手同年所住税社手同年所住税社手同年所住税社手◇◇◇
商 経 論 叢 第 巻20第1号14
にる)収め合%年占割(
84年 (ベ ア5%)
にる)収め合%年占割(
83年 年収 に占
め る 割 合C
%) 77年
12.5
SO.3
14.S
・
16.9醒
.2 177
18.9
75.7 7,350,000
559,200 356000 915200 530,000 5,904,soo
s,400,000 777200 467800 1,245,000
550,000 6,605,000
9,450,000 1,011,000 583,500 1,594,540
560,000 7,295,500
10,500,000 1,275,500 707000 1,982,500
570,000 7,947コ500 12.5
80.2
14.?
78.5
16.7
77.1
18.7
75.7 7,000,000
533,400 343,160
$?6,560 510,000 5,613,440
8,000,000 72G,000 440,740 1,172,740 550000 s,X77,X60
9,000,000 948,300 555,290 1,503,590
5so,000 6,936,410
10,000,000 1,197,000
668920 i,865,920
560,000 7,574,0SO 9.2
84.2
10.9
83.2
12.7
81.9
14.4
80.6 5,190,000
280300 197,340 477,640 340,000 4,372,360
5,930:000 381,100 264,300 645,400 350,000 4,934,600
6,670,000 510,900 334×00 845,400 360,000 5,464,600
7,410,000 651,300 414520 1,065,820 3700DD 5,974,X80
収税税計料額収税税計料額収税税計料額収税税計料額
朋 得 民 金 殿 取 朋 得 民 金 徽 取 朋 得 民 金 鰍 取 嘲 得 民 鶴 取
㎜会蹴会蜘会⁝⁝会同年所住税社手同年所住税社手同年所住税社手同年所住税社手◇◇◇◇1注)1.
2.
3.
社 会 保 険 料 は 実 際 の 負 担 額 に 近 い 金 額 で 計 算 した 。 1977年 は 近 年 で 最 後 に 減 税 が 行 わ れ た 年 。
1984年 分 は ベ ア が596と 仮 定 し た 場 合 の 金 額 。
万円で六一万四︑
九六〇円から六
三万七︑一〇〇
円等々と増大す
る(表6参照)o
政府・与党側
は︑今年度の所
得税減税の所要
財源のうち︑約
半分を動労国民
自らの負担で︑
残り半分を法
人・企業の負担
(法人税率の一・
三%引上げー後
述)で賄ったと
いう︒だが︑独
占資本としての
第 二 臨 調 ・「行政 改 革」 と国家 財 政 に}
15
大法人にとっては︑この程度の小幅増税は︑独占価格の引上げをつうじて︑最終的に勤労国民の負担へ転嫁すること
はきわめて容易である︒したがって︑勤労国民は小幅減税を新たな"増税なき増税"によって帳消しにされるだけで
なく︑この転嫁分とあわせて︑すぐあとでみる酒税︑物品税︑﹁公共﹂料金︑﹁公的﹂負担の大幅引上げ分だけ︑新た
な増税︑高負担を実質的に強いられる結果となる︒くわえて︑七八年度以来︑八三年度までの六年間にわたる巨額な
"増税なき増税π分は︑なんらの減額︑調整措置を施されることなく︑国家に過度徴収(追加搾取)されたままに終っ
てしまう︒
大蔵省資料(一九八二年二月二五日︑参院予算委員会提出)によっても︑この額は︑七八年度から八二年度までの五年
間分だけでも︑課税最低限の事実上の引下げによる実質増税額約三兆四︑八〇〇億円︑税率区分の上昇による分一兆
七︑四〇〇億円︑総額で約五兆二︑二〇〇億円という巨額に達すると推計されている︒
一般的にいって︑労働者階級をはじめとする勤労階級から最大限に徴税(追加搾取)し︑独占資本からは最小限に
徴税する(しかも︑経費支出は︑独占資本の利益のために優先的に振りむける)というのが︑国家独占資本主義財政におけ
る課税原則であり︑法則的必然である︒この資本主義的課税原則が︑今八四年度の税制改正において︑いかに貫徹し
ているか︑いくつかの具体的事例をとおして明らかにしておきたい︒
8﹁所得税の累進構造をなだらかなものとする﹂(政府税調答申)という理由で︑所得税の最低税率が︑現行の課税
所得六〇万円以下の一〇%から︑五〇万円以下の一〇・五%へ引上げられ︑その反面で︑最高税率が八︑○○○万円
超の七五から七〇%へ引下げられた(相続税︑贈与税にも連動)(表3の③参照)︒
口あわせて市町村民税(所得割分)も︑若干の人的控除の引上げがあった(表4の①)ものの︑最低税率が三〇万円
以下の二%から︑二〇万円以下の二.五%へ引上げられ(表4の②)︑その反面で︑住民税所得割りの﹁賦課制限﹂(頭
表71984年 度税制改正(増 税 その他)の 大綱 税項 目
法人税
酒 税
億円 主 な 内 容
増 税 ・税 率 引 ぎ 上 げ 基 本 税 率42%一 挙43.3%12年 の 時 限 措 置 中 小 企 業 税 率30%一 一}31%14300
・増 収 措 置
増 収 ▽ 延 納 制 度 の 廃 止 ▽ 祉 会 保 険 診 療 報 酬{の源 泉徴 収 率5%一 う10%
1500▽ 欠 損 金 の 繰 り戻 し 還 付 制 の2年 停 止
3200
特 級
・清 酒(1.8')1級 2級
・ し ょ うち ゅ う(・.81)騰
・ ビ ー ル(633mの
・果 実 酒(720m1)
・ ウ ー 騰ill
現 行 価 格 2,550円 1,800円 1,350円 940円 1,030Fヨ
285円 780円 2,900円
L470円 630円
増 税 額 179円
79円 25円 37円 19円 25円 12円 260円
145円 31円
増税率
20°0 18°
0,,15;0 35%
2596 20%
35;0 20°0 25°r, 30°o 1
物・剛35・
1
・新 規 課 税(59年10月1日 実 施)
1◇ 夢昇 虹 ド 潟 ∠鷺 錫 診姦2ン り
i◇ パ チ ン コ 機 のf,Fy・ 裏 部 品
◇ 凝 霧1魏 亨 潟 橘毒}
◇ ビ デ オ デ ィ ス ク,録 画 済 み 磁 気 テ ー プ
隠1輪瀞1講 き 薬}
◇ パ ー ソ ナ ル 無 線 機1
◇ 電 磁 調 理 羅
◇ 全 自 動 以 外 の 電 気 洗 濯 機
・税 率 引 き 上 げ(59年5月1日 実 施) 普 通 乗 用 車 等
小 型 乗 用 車 軽 乗 用 車
普 通 ・小 型 ラ イ トバ ン 軽 ラ イ トバ ン
カ ー クー ラ ー(こ れ の み10月1日 実 施)
本 則 初年度 10% 59∂
20%10%
15°o 10%
10°o
15%
UO'
o/
5%
5%
5°oQ%
15%0°0 10°010io
上 げ 幅 新 税 率
0.5%23.096
1.0%18.5,° ・a O.5%15.596
0.5°010.5io O・5%5.596
1.・0°018.5,Qo
第 二 臨 調 ・「行 政 改 革 」 と 国 家 財 政 に⊃
17
容内
な主
億 円 税項 目
法 人 住 民 税 均 等 割 りの 引 き 上 げ2・5倍1000億 円 自 動 車 税15%軽 自 動 車 税10%各 引 き 上 げ1400億 円
(1‑1.5'の 自 家 用 乗 用 車 は3万 円 →3.45万 円)
石油税率引き上げ
液綴 灘(LNG)液 化石 油 ガス(LPG)へ}1 ・2%
地方税 3ioo
石油税 670
本文 及び表11参 照
「公共」 料 金
「公 的」 負担 の引上げ
・住 民 税 所 得 割 りの 賦 課 制 度80%→78%
・給 与所 得 者 の 確 定 申 告 義 務
「年 収1000万 円 超 」一》「年 収1500万1ヨ 超 」
・公 示 制 度 「年 間 所 得1000万 円 超 」→ 「納 税 額1000万 円 超 」
儲 納㈱度騨 肇離 幣 囎 召盟鹸驚 魏
その他の 制度改定
打ち税率ー所得税と住民税所得割を合わせた課税限度)が︑現行の八〇
%から七八%へ引下げられた(末尾︑資料一参照)︒これによって︑
独占資本家としての高額所得者の税負担が大幅に軽減された︒
日七年ぶりの﹁物価調整﹂減税として︑上述の課税最低限の引
上げとならんで累進税率区分(きざみ)の"緩和"が行われたが︑
その重点は︑課税所得六〇〇万円から一︑五〇〇万円の﹁中堅所
得層Lにおかれたとされている(表3の③参照)︒たしかに︑この
所得階層は︑税率構造(区分)上の所得区分からすれぽ"中堅μ
(中間)であるが︑所得の実態からすれば︑課税所得で六〇〇万円と
いうのは年収換算では一︑○○○万円に相当する︒しかし︑年収
一︑○○○万円超のサラリーマソは︑実数で約三七万五︑○○○
人で︑全体のわずか一・一%を占めるにすぎない︒その大部分は︑
﹁ 重 役 ﹂ ﹁ 高 級 官 僚 ﹂ と い う 名 の " サ ラ リ ー マ ン 躍 で あ る ︒ サ ラ リ
ーマンのほとんどは︑年収三〇〇万円以下が約五八%︑三〇〇万
円〜五〇〇万円が約三〇%を占めている︒この点でも︑今年度の
減税は︑大部分の一般勤労階級には無縁の"減税"といわなけれ
ばならない︒
四本質的に所得逆進的な性格をもつ間接税が︑かなり大幅に引
上げないし拡大された︒(表7︑8︑9参照)︒くわえて︑物品税等の従来の﹁個別消費税﹂は︑﹁税負担の公平性と中立
性﹂を維持するうえで問題があるので︑﹁税収の安定的確保﹂と﹁直間比率の見直し﹂(間接税比率の増大)のために
﹁課税ペースの広い間接税﹂(二般消費税﹁ないしその一種としてのEC諸国等で導入ずみの﹁付加価値税﹂1表10参照)の早
期導入を﹁検討﹂する︑としている(末尾の諸資料参照)︒
大蔵省提出の資料(表11)によっても︑八四年度税収の対前年伸び率見込みのなかで︑酒税二〇.三%︑石油税一
五・一%︑物品税一〇・八%と間接税が高い伸びを示している︒また︑大蔵省が衆院予算委員会で明らかにしたところ
表8一① 自動車 関係税の改 正
物 品 名1改 正 案 陣 行
普 通 乗 用 車 等 23.0% 22.5%
小 型 乗 用 車 等 18.5 17.5
軽 乗 用 車 15.5 15.0°a
普 通 ・小 型 ラ イ トバ ン 10.5% IO.Oio
軽 ラ イ ト バ ン 5.5% 5.0/
自 動 車 用 の 冷 房 装i置 18.5°o 17.5%
表8一② 自動車税 ・軽 自動 車税(地 方 税)の 税率改 正 案に よる税 額の変更(自 家用だけ,単 位円)
〈自動車〉
小型乗用車
総排鰻{1:響
トラ ヅ ク(4ト ン 超5ト ン 以 下) バ ス(30人 超40人 以 下) 1〈軽 自 動 車 〉
雌 劉iliil轍
i二 輪 幽 動車
i
轍 車鷹
25,500‑→29,500 30,000‑一>34,500 34,500‑→39,500 22,000‑一>25,goo 42,500‑49,000
750→1,000 1,100‑一コ1,200 1,450→1,600 3,650一 ラ4,000 6,500‑→7,200 3,650‑一コ4,000
表9一 ① 増 税 後 の マ イ カ ー の 年 間 税 負 担
(1600cc車 の標 準 車 ・単 位 円) 日本 自動 車 工業 会試 算
1買った年 瞳 額 陣 検の年 陣 瀬
物 品 税 自動車取得税 自 動 車 税 揮 発 油 税 地 方 道 路 税 自動 車重量 税t
一
I 134,600327,51Q51,05039,50054,?2037,8009,840 12:3107,0005,000310000 141,86039,50054,72037,8009,840 5,0005,000000(注)自 動 車取得 税 の 増 税額 は物 品 税増 の は ね返 り分
19第 二 臨 調 ・「4J政改 吊=」と国 家 財 政 鱒
.一 ② 酒類の増税額 と小売価格
(単 位=円)
̲埋 行小売価格 陣 税 劇 新 ・税 額1新 ・小売価格
㌦ 喋
しよ禰 う 膿
ビ ー ル(633m1) ワ イ ン(720m1)
皐f朧i諮
2,550 1,800 1,350 940 1,030 285 780 2,900 1,470 630
178.81
?S.5?
25.02 36.18 18.00 24.69 11,6 260.53 144.43 30.16
1,095.55 519.88
×94.22 141.48
91.62 151≫35 43.48 1,594.55
?28≫20 189.56
2,728.81 1,878.52 1,375.02 976.1.8 i,04g.00
309.fig 79r.is 3,X64.53 1,514.43 660.16 (注)新 し4・小 売 価 格 は ・ 流 通 業 者が 決 め る こ と に な る が,1円 単 位 は 考 え ら れ な い の で,切 上 げ
ら れ る 可能 性 が 強 い 。
表10間 接消費税 の種類 1個 別 消 費 税
皿 一 般 消 費 税
li
[
「大 型 間 接 税 」'
「課 税 ベ ー ス の 広 い 間 接 税 」,
ー ノ〜
▽酒税▽物品税▽揮発油税など
1灘1瀦 臓 帥 取 引 … と
▽製造 者売 上税(カ ナ ダ)
▽卸売売 ヒ税(英 国 ・旧仕 入れ税)
▽小売売 上 税(米 国 ・地 方 税)
レ ー み
によると(八四∴一二七)︑表1の﹁仮
定計算例﹂にもとつく一九九〇年度の租
税負担率(対国民所得比)は二四・七%︑一
般歳出が毎年五%増の場合(表1のω)の
﹁要調整額﹂を︑すべて増税で賄うとす
れば︑さらに二・%九上昇して二七・六
%以上に︑さらにこれに社会保障負担
へ一定と仮定しても)を加えた広義の負担
率は︑実に四〇%近くに達すると推計し
ている︒社会保障負担を除いた租税負担
率だけみても︑たとえば一九七五年度が
一八・四%︑八〇年度が二二・八%︑八
三年度(補正後)が二三・九%であるこ
とをみても︑逆進課税としての間接消費
税による大衆課税の強化がきわめて著し
いことが明らかである︒
国あわせて︑形態を変えた事実上の大
衆増税といってよい﹁公共﹂料金︑﹁公
(単 位=億FD
83年 度(補 正後) 税 収 と の 地 蛭̲
表1184年 度税 収見込み額 と伸 び率
伸 び率(96) 増減(△)
J・:]
2.4 3.2 15.8 10.3 20.3
△2.4 1.O
U
△1.9 15.1 ]0.7 0 26.7
0
▲2.7 12.5
2.8 6.0 0 2・S g.4
s,s90 730 4,400 35,030
$20 3,770
No 160
0 Q10
490 1,410 0 40 0 020
10 130 380 0 360 26,940 83年 度
補正後税収
105,810 29,640 135,450 94,970 7,930 18,600 Flo 16,010
150 520 3,240 13,140 10 150 3,510
750 80 4,690 6,300 so 13,030 319,020
84年 度
魏 瓢 酬 税 一 聖
一 一 一
109,500 30,350 139,850 109,980 s,750 22,370
400 16,170
150
×10 3,730 14,550 10 190 3,510
730 90 4,820 6,680 SO 13,390 345,960 os,ssa
D1,720
△8,600 5,300
×50 3,200
一
670 350
aZ20
650
圃聯
法 人 税
相 続 税
酒 税
砂 糖 消 費 税 揮 発 油 税 石 油 ガ ス 税 航 空 機 燃 料 税
石 油 税
物 品 税
トラン プ類 税 取 引 所 税 有価証券取引税
通 行 税
入 場 税
自動 車 重 量税
関 税
と ん 税
印 紙 収 入
合 計
的L諸負担が大幅に引上げ︑あるい
は拡大された︒
代表的な例を列記すれば︑消費者
米価平均三・八%︑酒類(表7参照)︑
国立大学授業料三万六︑○○○円︑
国鉄運賃平均八%(ローカル線は一五
%)︑私鉄運賃平均一三・五%︑タク
シー運賃(東京地区平均九.五%︑横
浜地区九・九%ほか)︑NHK受信料
(カラー一九・三%︑白黒四四・二%)︑
園民年金掛金三九〇円(月額)︑育英
奨学金返済の 部三万人)の有利r
導入(年利三%)︑雇刑(失業)保険掛
金引上げ(額は未定︑あわせて給付条
件も切下げー表30参照)︑健康保険の大
幅改悪︑等々がそれである︒さらに
は︑公営バス︑電車︑地下鉄運賃︑
上・下水道料金︑公営高校・大学授
第=二臨 調 ・C行 政 改 革 」 と 国 家 財 政 に) 21
(厚生 雀試 算)
表12健 康保険改悪による負担増
分 窓 口負担金(円)
現 行 撤 正 後
人 族 保
4,300 30,548 45,822
15,799 31,598 47,397
区
,:;54,000
;;54,000 1,792 5,376 48,872 遺ξ54,000
36,093 54,000 15,saa
51,0no
5,520 5,800
・〉:C51,404 7,soo 51,000
健 保 本 人 健 保 家 族
国 保
健 保 本 人 健保家族 と国保 健 保 本 人 健保家族 と国保 健 保 本 人 健保家族 と国保 健 保 本 人 健保家族 と国保
例
/1‑t {
盲腸手術i7日 間 入院
胃 が ん 全 摘r30日 間 入 院
高 血 圧 で2日 間 通 院
心 筋 こ うそ く救 急 セ ン タ ー10日 間 入 院
胃 か い よ う手 術r14日 間 入 院
ラ:・印 は 高 額 医 療 費 の 負 担 限 度 額
{ { {
業料︑公営住宅家賃︑保育料︑各種使用料・手数料など︑地方自
治体レベルの﹁公共﹂料金︑﹁公的﹂諸負担の引上げも続々予定
あるいは決定されている︒
とりわけ︑健康保険制度の改悪については︑①本人給付率を現
行の十割から九割(八六年からは︑さらに八割)へ引下げ︑②高額医
療費の自己負担限度額を現行の一ヵ月五万一︑○○○円から五万
四︑○○○円へ引上げを柱とするが︑これがいかに巨額な﹁自
立.自助努力﹂﹁受益者負担﹂を勤労国民に強いることになるか
は︑表12の厚生省試算(表13もあわせ参照)が例示するとおりであ
る︒(なお︑国会での修正による最終案ついては追記参照)︒
㈱今年度の"減税"必要財源を賄うため︑﹁痛みを分ちあう﹂
ということで︑普通法人の﹁基本税率﹂がわずかに一・三%lI
しかも二年間の時限措置として引上げられた︒
この程度の増税分を独占価格の引上げをつうじて︑最終的に勤
労階級の負担に転嫁することは︑独占資本としての大法人にとっ
てはきわめて容易であることを先に指摘した︒だがくわえて問題
なのは︑資本金一億円超︑もしくはそれ以下でも年間法人所得が
八〇〇万円超であれば︑資本金が何百億︑何千億円であろうと︑
表13健 康保険法改正 の内容
医療費自己負担の変化
被用者保険
1麟灘
船員保険
日雇労働者健康保険 各種共済組合
騒 嚇{馨 蕩 離 度
対 象 者
中小企業従業員
健 保 組 合 の あ る サ ラ リー マ ン
船 員 日雇 労働者
公 務員,公 社 職員,私 学 教職 員
藪 リ 百蘇 累 ど}
現 在
本 人
家 族 入院
改 正 案
0割 d
AUAU
0
3
外来 本人
ゴ隔︑'4
家
2割 2
9臼9﹂
Z 3
入院隊
3割 ・割1剛3割
3
00り0
3 3
1 1
2 2
3 3
健康保険 に吸収 11213
2i2 33
3qδ
(注)① 現 在,被 用 者 保 険 本 人 に あ る初 診 料800円 と 入 院 時 負 担 金1日50⑪ 円 は 全 廃 。
② 改 正 後 は 被 用 者 本 人 に も支 払 い 限 度 額 を 適 用 。
③ 改 正 案 は7月 施 案 の=予定 。
④ 本 人 負 担 は,1986年 か ら は2U+1へ 引 上 げ 。
⑤ 高 額 医 療 費 の 自 己 負 押 限 度 額51,000円(月 額)か ら54,000円 に 引 上 げ 。
1484年 度税 制改正(法 人税)の 内容
普通法人の税率
中小法人の軽減税率
特別法人(公 益法人 竿,協 同組 合等,特 定 医 療法 人の)軽 減税率
{ { {
分分分分分分保当保当保当留配留配留配
改正案
43.3°0 33.3%
31%
25°0 26 22
現 行 4296 32%
3U'?0 24%
2596 21%
(注)① た だ し,こ の 改 正 は2年 の 時 限 措 置 で あ る 。
② 上 記 の 「普 通 法 人 」 と は,資 本 金1億 円 超,あ る い は 資 本 金1億 円 以 下 で も年 度 所 得 が800 万 円 超 の 法 人 で あ る 。 そ れ 以 下 が 「中 小 法 人 」。
参照)︒くわえて︑前記基 代財政論﹄第三版︑新評論 過累進税率を適用して
然るべきなのにである
(末尾資料三および拙著﹃現 にも︑所得税と同様に超 公平﹂を実現しようとい
うのであれば︑法人課税 制"が今年度も温存され
たことである︒﹁課税の 一の税率ですまされると
いう実質上の"不公平税
人 ﹂ 1 表 14 の 注 を み ょ ㌦ と 同
実上の中小法人(税制上は前記基準以下が﹁中小法 何千億円に達する大法人
(独占資本)であろうと︑事 また法人所得が何百億︑