歌 う
「 説唱芸能<唱南港>の語 り」 続編 Ⅲ
訳 ・鹿 田 律 子
※9号 ・10号 ・11号 に引き続 いて訳 を試 してみ る。
わた し神娘は悟 りを開 く時 に、 もっぱ ら雄鶏 のお前 を食べ よ う。
鴨はわた しの恩人で、神娘 は恩人に祭 りをしたが、降臨 しない。
神娘は貴 い風 呂敷包みを片づ け、祖師の供 え台 を しっ らえる。
頭 に神雲や神額 をかぶ り、 身に神衣や神袴 を着 る。
足 もとに占い具がおかれ、手で印 を結び、 口で慮 山の玄妙 な法 の本 を 唱える。
左手 に鈴 を持 ち、右手 に竜角 を持 って、竜角がぴ いぴ い と霊壇 にひび く。
竜角が一度ぴいぴ い と吹き鳴 らされ る と、そ の昔が慮 山、茅 山にひび きわたる。
雷や太鼓や竜角が、慮 山、茅 山、新州竜虎 山の神兵神将、雷兵地将 を 香壇 の上 に迎える。
竜角が一度ひび くと、三つの祭壇 の諸神 は得勝壇 に集 まる。
三回鳴 らされた竜角が雷 のよ うに震 って川 を干 し、海 を干 して、妖怪 を捉 える。
妖怪が淵 にもぐる と、神娘 は神鞭 を振 り回 して妖怪 を こな ごな に した。
一つ捉 えれば、 ち ょっとふ いてや る。妖怪は逃げて川 の蟹 になる。
野菜 の生える飛雲渡 のあた りに、川 の蟹や賭蜂が落 とされ た。
祭 りをす る瑞安 の民衆は、慮 山の大恩人 と呼びかける。
ここに来 られて妖怪 を退治 して くれた功労は大 きい。 あなたは どこか ら、お名前は何 とい うか。
神娘は名前 を言 った。 ここでよけいな話 を止めよ う。
衆人は千両 の銀 を出 して、神娘 に申す。
この地方 の百姓 の暮 しは貧 しいので、全部で千両 の銀 しか 出せない0
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お茶代 ぐらいの謝礼 を神娘 に差 し上げて、飛雲の人たちの気持ちを表 すばか りだ。
出された白銀 を受取 らない代 りに、木 を抜 いて竜宮 を建てる。
神娘 は悟 りを開 く時、飛雲 に来て この宮で休 もう。
内壇娘 に‑駕、雲一片、飛雲渡 には太陰宮がある。
慮 山の神娘は別れ を告げて行 き、飛雲の民衆は見送 る。
内壇で祇銭三枚 を捧げて、神娘 と江、楊 の二将はそれ を分けて享 ける。
この 「夫人伝」 に慮 山の法の ことはさておき、話 を変えて、後 にまた 続 けて語 ろう。
この 「夫人伝」 に、平陽霊門に住んでいる、神の本 を語 る邸姓の こと を語 ろう。
苗字は邸、名前は邸進、奥 さんは博氏 という。
息子 の邸富は十九歳で、三分の神骨が身についている。
邸進は神 を祭 り、仏 を拝み、鶏や鵜鳥の心臓、豚 の舌な どを盗んで無 茶苦茶 に食べる。
郵富が何事 をするか と聞かれた ら、毎 日柴刈 して暮す。
三 月十五 日には、玄壇殿の神の誕生 日を迎える。
三月十五 日は玄壇 さまの誕生 日だ。 当番は二人。一人は張慶 と言い、
もう一人は李寿 と言 う。なお四人の当番は先 に玄壇殿 に入 って祭 りをす る。 この 日に、邸進は早 く玄壇殿 に来て、太鼓 を蔽き出す。
李寿は張慶 に、 「玄壇 の太鼓が蔽かれた !俺 たちはそ こに行 って見 よ う。大勢が来 るだ ろ う !祭 りをしてか ら供物 を皆 に配 ってや ろう。」二 人は行 ってみると、邸進一人 しかいない。
「邸先生、祭 りの火 をつけなさい !」 「当番 さん、今 日、俺は大変忙 しい。上村では土 を掘 って願 ほどきを してや り、下村では俺 に宴席の初 いをさせた。豚 の頭はよ く煮えたか。早 く担 いで来て、祭 りをしてか ら 皆に福 を配ってや ろう。今 日、俺の仕事はぎっしりで、君たちに手伝 っ て もらいたい。」
当番は供 え物 を担いで来て、玄壇殿 の中で祭 りをす る。
邸先生は供え物 を並べておいて、 「豚の頭、鵜鳥 を中におき、鶏をそ
の側 におき‑‑‑」
「君たちは素人だ。供えかたが分か らない。 このよ うに並べてお くも のだ。豚の頭は ここに、払鳥は ここに、鶏は ここに。」と邸先生は言 った。
清水 をあげるため、一人を水 を汲み に行かせ、 もう一人に火 の種 をつけ るように行かせた。番組の人が離れたのを見 ると、彼は豚の舌、鶏 の心 臓、渡鳥 の心臓 を盗んで、紙で包んだ後 に、それ を玄壇 さまの神衣 の中 にしまっておいた。
二人の当番の人は清水 を汲んで来て、火の種 を持 ってきた。仏 の灯 を つ けた。邸先生は神 の降臨 を請 い、祈 りを して、神 の旨 を知 らせ る。
・.‑・・太穀 を敵き出す。
外 にいる人たちは太鼓 の音 を聞いて、 「今年 の当番 は大変真面 目だ ! 太鼓が何回 も蔽かれた。俺 たちは福 を受 けに行 こう。」 と言 う。皆は玄 壇殿に集 まった。
当番 のお じさんは大変真面 目だ。 当番するにはやは り金持の方がいい。
豚の頭は二十四斤、放鳥の肉は八斤半、鶏 肉は六斤以上。
衆人の中か ら一人が出た。豚 の頭 をあけてみ ると、舌がない。渡鳥 に は心臓がない、鶏 にも心臓がない。
衆人の中のもう一人は彼 に反駁 した。他の人の ことをでた らめに言 う な。去年、君の豚の頭の重 さは八、九斤 しかなかった。撮鳥 も鴨の大 き さ、鶏 も小さいものだった。
張慶、李寿、人のあ らを探すな !早 く祭 りをしてか ら、皆 に福 を配 っ てやろう。 また くどくどしゃべ るな ら、君 を逐 い出 してや るぞ !
去年、俺は当番だった。鶏の心臓がな くなったか ら、皆 に罰 された0 俺の家には金がないか ら、家内の着物 を質 に出 した。今 まだ請けだす こ
とができない。
今年、鶏の心臓、鵜鳥の心臓、豚 の舌がな くなったか ら、張、李 も罰 されるはずだ !
罰す るはずだ !罰す るはず だ !
張慶 と李寿はそれ を聞いて、 口をきかない。
しば らくする と、張慶 と李寿は、罰 しないで くれ、罰 されると不吉 に
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なる !
そんな ら、誓 いを立てなければ な らない。張慶 と李寿は玄壇 さまの供 え台 の前で誓 いを立てる。
「玄壇 さま !供 え物は俺張慶 の煮た もので、李寿はそれ を持 って来た。
鶏の心臓、鵜鳥 の心臓、豚 の舌 を盗 んだ ら、一家の者は玄壇 さまの判断 に従 う。」
「玄壇 さま !供 え物は張慶 の煮 えた もので、俺李寿はそれ を持 って莱 た。 もし悪心 を起 した ことがあるな ら、家 中の八人が玄壇 さまの前で死 んで しまう。」
「大変 な誓 いを立てた、誓 いが大変だ !邸先生、君 もこっちに来て、
誓いを立てなさい。」
「先 生 は少 しの謝金 しか も らわ な いか ら、誓 い をさせ な くて もいい じゃないか !」とある人は言 った。
「彼 も誓 いをすべきだ !邸先生、君 もそ こに行 って少 し話 をしなさい よ !」 とある人は言 う。
「俺が供え物 の心臓や舌 を盗 んだ ら、不吉な ことに逢 い、 あるいは気 持 ちの悪 い ことが起 る。」 と邸先生は言 うと、 「君は ごまかすのか。 もっ
と真面 目に誓 いをせ よ !」
邸先生は迫 られて止む を得ず、「俺が盗む ことがあれば、息子がそれ を 食べて不運な 目に逢 う。」と言 った。息子邦富は毎 日山で柴刈 を して家中 の人を養 う。
当番 の人のひ どい誓 いが、 因果応報 として若 い邸富 に当たった。
正一玄壇 さまは脊 めて、猛虎 を深 山の草叢へ放 した。
仏 を拝 んだ衆 人は福 を受 け、邸先生は鶏 の心臓、渡鳥 の心臓 を持 って 家 に帰 った。
盗 んだ ものが刻 まれて井一杯 にな った。それが邸富 のおかず にされた。
邸富は 「昨夜可伯 い夢 を見た !」と言 う。 「長 く眠った ら夢が多 い。 どん な夢 を見 たか。
」
「一つの夢では、 山が崩れて石が ごろごろ落ちた。」
「お 前は 日頃思 う ことが夢 にな るだ ろ う。 お前 は毎 日山で柴刈 をす るか ら ね。」「もう一つの夢では、俺は赤 い頭 巾を被 っている。」邸先生の奥 さんは、
「お前は少年の時に、異母の家 に行 った ことがある。異母はお前 を可愛 がるか ら、一枚の赤い袋 を与えて、お前の頭 に被 らせなが ら、赤 い頭 の 猫が来た、 と言 った ことがある。」 と言 う。
歌 う 皆の誓いや母 の言 うことが、全部若 い邸富 の不運 に当たった。
柴刈仲間たちが来て、大 きな声で呼んだ。
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歌 う
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「邸富のお兄さん !一緒 に柴刈 に行かないか。
」
「今 日、俺は行 きた く ない。頭痛が してたま らない !」
「柴刈 に行 こうよ !俺は君を助けてや る。担 ぐことができないな ら、俺は担 いでや る。行 きた くないな ら、俺は君 を持ち上げて行 くぞ !」と言 う。邸先生の奥 さんは、「富ちゃん !友だち は こんなに親切で、お前は柴刈 に行 きなさいよ !」 と言 った。
郵富は高山の峰に登 って、ひゅうひゅ うと吹 く風 の音 を聞いた。
この怪 しい風が人を驚か して、凶か、吉か どういうわけか。
風が木 にぶつかった り、風が風 にぶつかった りして、深 山の森か ら症 虎が出てきた。
柴刈の仲間はびっくりして、一生懸命 に逃げ去 った。
邸富の命が傷 め られて息切れた。猛虎は深 山の森 に帰って行 った。
柴刈 の仲間は集 まる と、 「邸富 のお兄 さんは どうだ。俺 らは探 しに行 こうoJ「おや !邸富お兄さんは地面 に倒れたO体 中が血塗れ になった.
大変だ !」
柴刈 の仲間は邸富 を持ち上げて、急 いで邸宅 まで持ち上げた。
その茅屋 に着 くと、伯父 さん、伯母 さんを大声で呼んだ。
邸富お兄さんは虎 に逢った。虎 に傷め られて息が切れた。
二人の老人は驚かされて気が遠 くなった。柴刈 の仲間は大声で叫ぶ。
伯父 さん、伯母 さん、早 く醒めて下 さい。呼び声が二人の老人を醒 し た。
二人の老人は悲んで泣 き出 して、悲痛 の涙 をは らは らと落 とす。
この事 を覚えた神娘は来た。神娘は竜鳳の 占いをしてみた。平陽の霊 門、伯父郵進は神や仏 におすが りす る。伯母は博氏。邸富は父の盗んで 来た鶏や鵜鳥の心臓 を食べたので、玄壇 さまに脊め られて、放 された症
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虎 に命 を落 と した。邸富 を助 け に行 か な ければ な らな い。 「二 人 の将 軍 !
」
「はい !」江、楊の二将は道案内 して、慮山の陳太陰はついて行 く。
平陽霊門の邸宅 に着て、通知 された邸進は出迎える。
あなたは何処か らのお嬢 さんか。 どうして家に来 られたのか。
家 に大変な出来事があるか ら、 あなた方 を留める気 にな らない。
わた しはお宅の出来事が分って、言わな くて もよ く分 る。
邸進 さんは神 に頼った り、仏 を拝んだ りす るが、盗んで来た鶏や鵜鳥 の心臓 を邸富 に食べさせた。
正 乙玄壇 さまは脊め られたか ら、郵富が虎 に逢 って命 を落 とした。
あなたは何処か らの少年か、一部始終 をよ く知 っている。
わた しは ここに来た少年ではな く、慮山の陳神娘がわた しの法名だ0 道 中で妖怪 を退治 して人を助けたが、わざわざ邦富 を助 けるためにお 宅に来た。
「家の邦富 を助けるために、何が入用か。
」
「板の扉一枚、青い薄絹の 帳‑張。祖師の壇 を立て、竜角 を三回鳴 らす と、彼 を助けることができる。」
邸進は板の扉、薄絹の帳、祖師の壇 の用意 をととのえる。
神娘は前へ進んで、片方 の手がな くなった邸富 を見かけた。邸富の片 方の手が虎 にかみつかれて落 とされた。五虎 を壇 に呼びつける。
「邸先生 !君は ドラを蔽きなが ら、道で皆 に話 をせ よ。俺邸進は神や 仏 におすが りして来たが、盗 んで来た鶏や鵜鳥の心臓 を郵富 に食べさせ たか ら、玄壇 さまは脊めて、虎 を放 して郵富の命 を落 とした。今、慮山 神娘は彼 を助けるために、虎 を壇 に呼びつける。 これは可伯い こと !響
さんは こっちへ集 まって、静かにして !静かに !」
「ドラはない。
」
「一枚借 りて来なさい !」「借 りることはできない !彼は借 りて来た ものを返 さないか ら、怒 ら れて、貸 して もらえない。」
「借 りる ことはだめな ら、足 あぶ りの蓋で も破 いて音 を出せ るだ ろ う。」
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邸先生は足 あぶ りの蓋 を持 出 して蔽 く。道 で蔽 きなが ら話 し出す。
「皆さん、聞いて ください。
」
「彼の言 うことを聞 くな。皆 を集めて、彼 は何かを盗みたいのだろう。」
「俺たちはわざわざ行 って、皆でにぎやか にや りたい。」神娘は貴い風 呂敷 の包みをあけて、法器 を出 し、祖師壇 を しっ らえる。
頭 に神雲や神額 を被 り、身に神衣 と神袴 を着 る。
足下 に占い具が置かれ、手で印を結び 口で慮 山の玄妙な法の本 を唱え る。
九層の台 に変 じられる九枚 の紙、四本の竹 に変 じられる四本の灯心草 を取 り出す。三 に三 をかけて、手で九回続 けて印を結ぶ と、九層の台が 高 く誓える。
神娘は九層の台の真申に上がった。壇 に立ち、法 を行 って威風 を振 う。
左の手 に鈴 を持ち、右の手 に竜角 を持 って、竜角の音がぴいぴいと霊 壇にひび く。
二 回 目の竜角がぴ いぴ いひび くと、そ の昔が慮 山、茅 山 にひび きわ たった。
神兵、神将、雷兵、地将、三つの壇 の神々は得勝壇 に集 まる。
三回鳴 らされた竜角が雷のように震 って、五匹の虎が壇 に上がって人 を驚かす。
「邸宅 には独 り子 しか いない。 どれがその独 り子の命 を傷 めたか。
三回領 いて くれ。」一匹の白面の虎が三回領 いた。 「お前悪 いやつが彼 の命 を傷めた。彼の手を吐き出 して返せ。」
白面の虎は、喉 にひっかかっている、神骨のあるこの事 をや っと吐き 出した。神娘は この事 を取 り、神剣 を振 って、猛虎 の頭 を切 り落 とし、
猛虎 のP を海の中へ投げた。神娘は邦富の手 を秘訣で彼の腕 にくっつけ た。
霊験 のある護符四枚 を貼 って、生き返 させ る霊符 を胸 に貼 ってお く。
神娘は印を結んで、何回 も煉 ると人間の姿 に変 じさせ る。
その前で祖師の供え台 をしっ らえ、祭壇 を立てて法 を行 って人間を演 度す る。
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頭 に神雲 と神額を被 り、身に神衣 と神袴 を着る。
足で八卦を踏み、手で印を結び、 口で慮山の玄妙な法のお経を唱える。
左の手に鈴を持ち、右の手 に竜角を持ち、竜角の音がぴいぴいと霊檀 でひび く。
二回 目の竜角の音が慮山、茅山を通 り、三回目の竜角の音がぴいぴい とひび く。
竜角の音が九重山を通 って、邸富兄さんは呼びよせ られて香壇 に上が る。
「おお !神娘 !失礼 した !失礼 した !わた し邦富を助けて下さった。
仏法を伝授 して もらえないか。」「仏法 を伝授 して上げよう !願ほどきの ことを司る。願ほどきする人があれば、君はその願いを受け入れて、帳 消 しにしなさい。」「神娘 にお礼を申す !」
内壇小衆神‑駕、願 ほどきを司る邸 さま。
息子 を助けた神娘の功労が大きい。陳 と言 う方にどんなお礼を申して いいか。
わた しに恩返 しをするには及ばないが、南江で蛇 を斬殺 して兄を救 う 時に援助 して下 さい。
神娘は俺の大恩人のお姉 さんで、神娘の加勢に行 くのは当 り前のこと だ。
内壇小衆神‑駕、邸宅の庁堂で法の本を写す。
法の本 を写 して邸富 に読 ませて、神娘は慮山の法を伝授する。
神娘は邸富を助けてか ら、玄壇 に向かって抗議する。
君は どんなに立派な神であって も、百姓 を害すれば逐出されるはずだ。
正乙明威は天将 と称するが、全然道理のないことをやった。
鶏や鵡鳥の心臓 を食べた ことで、君は虎 を放 して人を殺すべきではな い。
邸老夫婦には この独 り子 しかいないか ら、彼等の養老 を誰 に頼ること ができようか。
幸いに神娘は彼 を助けてやったが、君玄壇の罪は軽いものではない。
神娘 !俺は法 を伝授するために天上に行 った。 この殿門を守ることを
土地に任せた。
土地は虎 を放 して邸富 を殺 した。俺正乙は全然知 らなかった。
玄壇 さま !手下が不正な ら早 く教訓 を与えるべきで、手下が罪 を犯す な ら主人の責任だ。
神娘は俺 に教訓を与える必要がない。君が どんなに俺 を対処す るかを 見たいものだ !
当地の霊門に留まってはいけない。他の地 に行ってお香や灯を受けな さい。
ドゥ‑ !玄壇はあせってぷんぷんと怒 って、 口を開けば悪言ばか りだ。
君は俗世で六年暮 した子供で、俺は天上の大将軍だ。
君は俺 を移転 させるというな ら、玉敦 を手 に持つよ り外 には方法はな い。
君は ここでさわいではいけない。早 くこの廟門か ら出て行け ! 彼は権力の大きいのを自慢 しているが、 この地方で横行することは絶 対許 されないと神娘は考えた。
神娘は符呪を書いて焼 くと、符呪を司る天上の仙人は天門を出る。
一匹の霊零馬に乗って、平陽の霊門に降臨 した。
わた しは文書‑通 をあなたに渡 して、三天門まで送るように頼む、 と 神娘は言 う。
わた しに代わって玉帝の前で玉敦を願 って、玄壇神 をここか ら逐出す ように乞 う。
符呪を司る役人は符呪の文書 を持って、神娘 に別れ を告げて立つ。
符呪を司る役人は頼まれたように急 いで行 くと、その光が三天の霊育 門まで通った。
偶 に遇った大士観音仏は、神娘 を呼んだ。
お前の文書をわた しは受取った。わた しが玉帝の前で玉散 を請ってや ろう。
玉敦 を頂いたな らお前に渡そ う,玄壇神は無茶にも人を害 したのだか ら。
お前はわた しの仏の血か ら生まれたのだか ら、お前をいじめるな ら、
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わた し観世音 を侮 ることになる。
玉帝の前で玉散を請ってか ら、お前に渡 して玄壇神を逐出す ことがで きる。
弟子はまだ三枚のおみ くじを受けていないので、聖母よ大経令 をわた しに賜わって下 さい。
弟子は このお経を唱え、祭 りをする家は聖母の供え台の前で仏灯 を点 す。
聖母の供え台の前で経令 を請 うと、弟子はそれを捧げて経文を唱える。
弟子は舞台の上でご命令 を請い、身に長い着物 を着、手 に聖母のご命 令の旗 を持って三回聖母 を拝み、旗 を左右 に振回し、大声で叫ぶ。
仏母は雲の上で見 し、神娘は玉敦を高高 と持ち上げる。
玄壇神は玉敦 を見ると、びっくりして顔色がな くなる。
神娘、俺は間違 いをした。甘ん じて この霊門か ら出て行 く。
玄壇は神明たちを率いて、平陽の霊門か ら移転 して行 った。
ただちに、霧震一声で、が らが らと玄壇の古い殿門は崩れて しまった。
玄壇 さま !君は城外の八角橋の端へ行って香火を受けなさい。
神娘が悟 りを開 く時に、君の向かい側に太陰官が建て られるだろう。
君はあの黒い虎 をつれて行 って、今後、了見の狭 い神であってはいけ ないO
外壇大衆神‑駕、玄壇は新 しい殿堂に安座す る。
内壇で紙銭三枚 を捧げて、神娘 と江、楊二人の将軍はそれを享ける0 次 に飛霞嶺 に着き、飛霞嶺のすそに犬のPがある。
「二人の将軍 !ここに犬の死骸がある。君たちはそれを拾って救って やろう !」神娘は言 う。
「人間な ら、救 うべきだが、犬なんかを救 う必要はあろうか。
」
「犬は 義気のあるものだか ら、今、その骸骨を並べて救 ってみよう。」江、楊の二将は犬の骨 を並べ、慮山の神娘はそれを処理する。
頭、尾、四本の足に毛をつけ、泥で作った心、肝 を胸の中に入れてお く。
一本の神剣 を手 に持って、方々の山や川 を指す。
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台詞
歌 う
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五方か ら犬の魂 を呼び戻 して、一匹の犬がいきいきと蘇 った。
蘇った犬は爪先で気持ちを表わ し、頭 を振 り、尾 を振 って、神娘 にお 礼 を言 う。
「犬 !お前はわた し神娘 の ことを心 にかけな くて もいい。お前は どこ の家か ら出て来たか。その家 に戻って行 け、 よ く門番 をして、お金 を守 れ。」 と神娘は言 った。
蘇 った犬は神娘 の言 うことが分って、頭 を振 り、尾 を振 って立 って行 く。
神娘は飛霞嶺 に着 いた。そ こに銀のよ うな 白い骸骨がある。
「お二人の将軍 !そ こに白骨がある。君たちはそれ を並べてご らん。」
「この人を救 ってはいけない。 この人の顎の骨は尖 っている。 こんな人 は態度 を一変 して人情 を顧みない者だ。 あなたは彼 を救 うこと勿 !」と 二人の将軍は言 うと、 「どうして人を救 うことをしないか。」 と神娘は言
う。 「あなたは彼 を救 ってや るな ら、後悔す る こと勿。
」
「人を救 って後悔 することか、後悔は しない !」
「よ し !」江、楊の二将は骸骨 を並べ、慮 山の神娘はそれ を救 う。
黄土の泥 を体 に変 じ、水 を血 に変 じる。摘 んで来 た茅の根 を筋 として 並べてお く。
心、肝、肺、腎な どを作 って、内臓全体 をそ ろえる。
魂 を返す髪 を頭 につけ、魂 を返す衣 を体 につけてお く。
各々霊験のある符呪四枚 を貼 り、生き返 させ る符呪を胸 に貼 ってお く。
慮山の神娘は印を結んで、何回 も整えてや ると人間の姿 に変 じさせた。
その前で祖師の供え台 をしっ らえてか ら、祭壇 に立って法 を行 って人 を救 う‑‑。
雷が震 うよ うに三 回竜角がひび くと、峰 の上で災難 に逢 った者 は生 返 った。
生き返って手足がひ くひ く動きだ し、顔立ち ももとのよ うになった。
生き返って しゃくりもでき、おや !眠い、眠 いと叫び出す。
「お兄さん、君は ここで眠ったのか。」 と神娘は聞 くと、 「ここで眠っ た。眠るうちに冷汗 をかいた。
」
「君の骸骨は地面 にち らぼ っていた。わ (ll)ββた し神娘は君を助けてやった。」
「俺の骸骨が地面にち らぼっていた と言 うか。お前娘の口は悪言を出し て、俺 をばかにしている。」
「この人はだめだ。わた しは一言 しか言わなかったのに、彼は垣 をこ わすように、ぶつぶつ言っている。」 と神娘は言 う。
この人は どこの者か、わた しは占ってみよう、 と神娘は思った。 この 人は樟州下南の人で苗字は馬、名前は馬高三だ。兄弟五人、四人は海賊 をはた らく。馬扇三は 自分が盗賊 にな りた くないと言 って、担い荷で坐 絹を売る。生絹 を売るため、朝早 く起きた り、夕方おそ く帰った りする。
ある 日、他人の祭壇で生絹 を晒したので、峰の上まで人に追いかけ られ て、打殺 された。その骸骨が地面に散 らばった。わた し神娘は彼 を救っ た。
「お兄さん !君は樟州下南の人か。
」
「そ うだ !そ うだ !」「君兄弟五人だろう。
」
「お、お、二対半だ。」
「四人は海賊 をはた らい たのね。」
「お姉 さん !そのことを言わないで、そんな ことを言った ら先 祖 も不運になる !」「君は三番 目、馬窟三 !
」
「お !俺はまさにそのとお りだ !」「君は生絹 を売るのか
」
「俺は生絹 を売る !」「生絹 を売るため、夕方にそれを祭壇で晒 したので、峰の上まで人に 追いかけ られて打殺 された。わた し神娘は君を助けてやった。」
「お姉 さん、俺の生絹 を売ることを言ったね。俺の担い荷は。君は弁 償 して くれ !」
神娘は印を結んで、摘んで来た荷の葉二枚 を担い荷 に変 じた。色 とり どりのものが本当にきれい。.
「担い荷はよろしい、色 とりどりだO俺の天秤棒は。」
「君の天秤棒だ。」と神娘は言 う。彼女は一本の黄金の柴を折って、一 本の天秤棒に変 じて、彼 にやった。
「かごの底は空になった。俺の品物 を弁償 して くれ !」 と無茶を言 う。
神娘は印を結んで、摘んで来た一握 りの柴の葉を色 とりどりの品物に 変 じた。 「馬高三、君の品物は ここにある。 この色 とりどりのものはそ
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れなのだ。」
「お姉 さん !俺はまた銀がある。千両 の銀貨がある。五百両売 り出 し た。君は俺の銀 をな くして しまった。」
「馬高三、君の言 いかたはひ どす ぎる !腰かけか ら卓 に上がる。卓 に 上がると仏堂 に上がるのだ。そんな ことをしてはいけない。」
「俺は銀だけ返 して もらう。誰が君の仏堂なんかに上がろうか。君は 銀 を返 して くれ !」
「この人は態度 を一変 して人情 を顧みない。わた しは彼 を隅に押 し込 んでお こう。」 と神娘は言 う。 「高三、銀 を弁償 しなければ な らないな ら、
門前の草叢にある岩の下 にある。それ を取 りに行 け !」
「ない !
」
「もっと奥の方へ !」
「ない !」
「ず っと奥の方へ !」人間 と してお前は悪党だ、助けてやれば人を害するだろう、 と神娘 は考 えた0 彼 を隅に押 し込んでおけば、外 の人に見つかってびっ くりす るだろう。それはいけない。馬扇三が岩 の下 に這 って行 くと、神娘は神風で扇いで、
彼は もとの一片の骸骨になった。
慮山神娘は嫌気が差す。飛霞嶺で犬 を救 った。
救われた犬は義気があ り、頭 を振 り、尾 を振 って神娘 にお礼 を言 う。
犬は粗末な食物 を食べなが ら義気があ り、人間は米を食べて良心がな い。
畜生は済度 しやすいが、人間は済度 しがたい。丹薬 を煉て 白骨 を生普 返 させ ることは しない。
丹薬 を煉て白骨を生き返 させ ることは しない、 と言 うが、 もっぱ ら災 難 に遇った善良な人を救 う。
丹薬 を煉て白骨 を生き返 させ ることは しない、町の石 の柱 の頂 に金の 冠 を被 るよ り外 には。
黄金の柴の枝が殿堂の柱 になれば始 めて、丹薬 を煉て 白骨 を人間に坐 き返させ る。
鉄の木が花 を咲かせ、馬の頭 に角が生えて始 めて、丹薬 を煉て 白骨 を 人間に生き返させ る。
鉄の木が花 を咲かせず、馬の頭 に角が生えなければ、丹薬 を煉て 白骨
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を生き返 させ ることは しない。
丹薬 を煉て 白骨 を生き返 させ るには、高山が踏 まれて平地 になれば始 めてできる。
高 山や峰に逢 えば、いつまで も丹薬 を煉て 白骨 を生き返 させ ることは しない。
「神娘 !あなたのお話は間違 った。」 と江、楊 の二将は言 うと、 「わた しの言 うことは どうして間違 ったか。
」
「丹薬 を煉て白骨 を生き返 させる ことは しない。 と言 ったのね。お兄 さんは南江殿 にいて、彼 を救 うため に、丹薬 を煉て 白骨 を生き返 らせなければな らないだろう。」「おお !わた しはお兄さんのために慮 山に行 って、千万の苦 しみを嘗め て来た。お兄さんを救わなければな らない。他人をも救 ってや るべきだ が、皇帝 さまの貴重な ことばがあれば始めて丹薬 を煉て 白骨 を生き返さ せる こととしよう。」
神娘が飛霞嶺で言 った この言葉は、後 にお経の訣 にな り、 さ らに教輿 になった。
内殿で紙銭三枚 を捧げて、神娘 と江、楊 の二人の将軍 に。
この 『夫人伝』 に産 山の法の ことはさておき、話 を変えて、後 にまた 続けて語 ろう。
『夫人伝』 には、紅江 の渡場 に住 んでいる林姓の ことを話す。
金持 の員外林金貴、奥 さんは応氏 と言 う。
正月の九 日に貴 い娘が生れて、名前は林九、林太陰だ。
林九はまだ、天然痘 にかか らず、今年の天然痘 を司る当番は仏の令公 だ。
一 目、二 日目に天然痘 の影が見 え、三 日目、四 日目、 に天然痘が出て 来た。
目上の両親は仏 を敬 うことをせず、庚 申、 甲子 の 目に家畜の糞 を掘 り 出 した りす る。
朔 日と十五 日に神祭 りをせず、張三令公は この地方の ことを司る。
毎度 の食事 に油で葱な どを妙めることで俗世の人たちは張三令公 に杏 め られる。
台詞
歌 う
台詞
張三令公が脊めたので、天然痘がひ どく彼女 に崇った。
彼女は顔 に二重の天然痘ができ、医者 の薬 を飲 んで も効かない。
占いをすると不吉、仏 の前でみ くじを引いて も見込みがない。
定 まった命数 によって命が尽 き、林九の魂は冥土 に行 った。
内壇娘 々馬‑駕、林太陰は亡 くなった。
彼女 を絹の着物 に着かえせ させて棺 に入れ、林丸林太陰は納棺 された。
棺 を荒野に置き、道士や和 尚を家 に招 く。
林九さまの功過 を済度 して、両親は悲 しんで涙 をほろほろ流す。
悲 しみに沈んだ二人の年寄 りの、怨め しい気分が風 に吹き払われた0 神娘は竜鳳の占いを行 ってみると、紅江林太陰の ことが分かった。
おや !紅江渡の伯父林金貴、伯母応氏。林九お姉 さんは天然痘で亡 く なった。
彼女 を救助 しなければな らない。 「お二人の将軍 !
」
「はい !」
「林九お姉 さんを救助 に行 こう !」
江、楊の二将は道案内 して、慮 山の陳太陰は後 について行 く。
紅江 の渡場のあた りにある林宅 に着 くと、門番 の知 らせで林員外は出 迎える。
あなたは どこか らのお嬢 さんか、なぜ拙宅 に来 られたか。
拙宅では大変が起 って、あなた方 を留める気はない。
お宅の心配な ことを知 っている。話 さな くて もよ く知 っている。
お宅 の林九お姉 さんは、天然痘で冥土 に行 った。
あなたは どこか ら来た少年で、 どうして一部始終 をよ く知 っているの か。
わた しは他の地方か ら来た少年ではな く、慮 山の陳神娘はわた しの揺 名だ。
道 中で妖怪 を退治 して人間 を助けて来て、わざわざお姉 さんを救助す るためにお宅 に来た。
「おお !失礼 した !神娘、 ご免なさい、 ご免な さい !家の娘 を救助す るために、 どんな ものを用意 しようか。
」
「他 のものはい らない。ただ扉 の板一枚、青い薄絹 の帳‑帳、祖師の祭壇 を立てて、竜角 を三回吹き鳴(15)516
歌 う
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らせば彼女を救助することができる。」
員外は下男を遣わ して、扉の板、青い薄絹の帳を用意 し、祖師の祭檀 を立てる。
「お二人の将軍 !
」
「はい !」
「棺 を扉の板の側 に置いて下 さい。」と神 娘は呼ぶ。江、楊の二人の将軍は、棺 を扉の板 の前に置いた。
神娘が神剣で一度刺す と、棺の蓋が開け られた。林九さまは支えられ て扉の板 に置かれた。 「お二人の将軍 !
」
「はい !」棺 を荒野に置いて、火でそれを焼 き払 う。
棺 を荒野に置いて、雷火でそれを焼 き払 う。
神娘は神の呪文 を唱え、風呂敷包みか ら法の珍宝を取出す。
四枚の霊験 のある符呪を貼 り、死者の胸に貼って、蘇生させる。
慮山の神娘は印を結んで、色々な方法で死者を生かす。
その前に祖師の供え台をしっ らえ、祭壇 に立って法を行って人を救助 する。
三回の竜角がぴいぴいとひびき、その昔が天地にひびきわたった。
張三令公は竜角の音を聞 くと、林九の魂をその郷里に送 り帰す。
令公は十四、仏の子がお経 を唱える声を聞 くと、林九の魂をその郷里 に送 り帰す。
内壇娘々‑駕、外壇令公一駕、林九の魂が郷里に送帰された。
生き返って手足 をひ くひ く動か し、生き返って顔立ちももとのように なる。
生き返って しゃっくりもでき、 口を開けて大声で叫び続 ける。
林九の苦 しみを知って、 どこか らの恩人、何 と言 うお名前の方がわた しを生か したか。
わた しの家は福州の候官県 にあ り、臨水 中村の陳姓の者だ。
父は上元 と言い、母は葛氏 と言 う。長兄は法通、次兄は法青だ。
三番 目の者は陳十四 と言 う。長兄は南江の蛇妖を退治 に出かけた。
長兄は南江で蛇妖に殺 されてか ら、次兄は家に帰って、その凶報 を知 らせた。
台詞
長兄を救助す るために慮 山に登 って、師の奥 さんに神娘 と名づけ られ た。
三年法 を習得 してか ら、洞 門を出て、お師匠さまは今後 の ことを言付 けた。
先に庶民を救助 し、そ の後で兄を救助せよ、 と言付 け られた通 りに、
道 中で妖怪 を退治 して民衆 を救助 して来た。
男の人を助けると、兄弟 と称 し、女の人を助ければ、姉妹 と称す る。
後 に神娘は悟 りを開 く時 に、福 をもた らし、お香火 を受 けて、 ここの 宮で休 もう。
「神娘 !あなたは家の娘 を救助 して下 さった。彼女 に仏法 を伝授 して もらえないか。
」
「お娘 さんに仏法 を伝授 して上げよう。彼女は天然痘 の ことを司って、俗世の男女 を加護す る。 あばたが一つ、多 くて も二つ。皆はきれいな顔つきを保つ ことができる。
」
「神娘 にお礼 を申す !」 歌 う 内壇娘 々馬‑駕、天然痘 を司る林太陰。台詞
歌 う
「令公は間違 った。君は楼州江南県で天然痘の崇 りで馬容 をつれて行 き、 さ らに紅江 の渡場で天然痘 の崇 りで林九をつれて行 った !わた しは 天然痘の種 を始末 して、男女 を加護す る。令公は これ を司る ことを止め なさい。」
産山の法で天然痘の種が始末 されてか ら、天然痘 に関わ る童は この こ とを令公 に上奏 した。
陳十四、仏の子は、あなたの天然痘 の種 を紅江で始末 した、 と上奏 し た。
張三令公は怒 って、直ちに雲 に乗 って紅江 に来た。
「陳十四,陳十四 !お前、お前 !」
「天然痘 の種 を司る仕事は俺の ことだ。みだ りに紅江で天然痘の種 を おさめるべきではない。」
お とな しく天然痘の種 を返 して くれば、遠慮 してあ しらってや るが。
天然痘の種 を返 して くれないと、お前が ここで留まる ことは絶対許 さ れない。
「君の天然痘 の種 をお さめることはや さしい ことだが、それ を返 して
(17)54
やることはできない。」
他の人はお前の慮山の法 を恐がるが、令公はお前神娘 を恐が らない。
わた しも恐が らない、わた しは一歩 も譲 らない。君 と法の戦いをして 勝負を決 しよう。
張三令公は天将 を点呼 し、点呼 された天将は天兵 を率いる。
慮 山の神娘は六甲将 を呼び出し、産山、茅山の山洞の兵 を呼び出す0 白雲が空にただよって、二人は向合って法の戦いをする。
色 どりの雲の中で剣の影がきらりと光 り、四海の内に風雲が起る。
五雷祖師は一本の剣 を持ち、六丁六甲の大将軍が出陣する。
四陣を進めると三陣負け,八卦 を招いて庇護 してもらう。
九子九馬九牛の法、十十よ く姿 をくらます。
十人は一緒 に色 どりの楼 を組立て、玄妙な法を持つ九子は九頭の牛に 敵 う。
八仙は集 まって双竜の法 を行い、七星宝剣や、一対の金の鈎 を使 う。
六丁六甲神兵は剣を持ち、五雷都総管は姿 を現わさない。
四人の大元帥は一緒 に法を行い、三教の祖師は身を庇護 してやる。
双方を同様 に扱 う雷大王は、一声の烈 しい雷鳴を天下にとどろかせる。
五昼夜戦い続けて、勝負がなかなかつかない。
監察星官は雷音寺にこのことを上奏 して、大悲観世音 に上奏する。
大慈大悲の雷音寺、監察の文書一部 を呈上する。
令公 と陳十四は、紅江でみだ りに天然痘の種 を争っている、 と上奏す る。
法の戦いを五昼夜戦い続けて、勝負がなかなかつかない。
仏母はわた しの上奏書 を許 し、仏 の子 と令公 を和解 させ るようにお顔 い申す。
香山仏母はその上奏 を許 して、監察星官は雷昔 を出る。
外壇小衆神‑駕、天上の監察の星に捧げ る雷音 に上奏 した功労は大き い、 自ら徳勝壇で宝馬 をもらう。
壇内大士‑駕雲一片、香 山仏母は雲 に乗る。
雲に乗って紅江渡に降臨 し、千里眼 と順風耳は情報 を報告 に来る。
53 (18)
台詞
歌 う
「十四 !仏母は降臨 した !
」
「令公 !仏母 は降臨 した !」令公は仏母 に 「陳十 四はよ くない。」 と申す。 「どうして よ くないか。」
「天然痘 の種 はわた しの司る ところだ。彼女はみだ りにわた しと天然 痘 の種 を争 った。彼女 にそれ を返 して くれ と言 ったが、彼女 は帰 して く れないばか りでな く、 またわた しと法の戦 いで勝負 を決す る。」
「仏母 !彼 の言 うことを聞かないで下 さい。天然痘 の種 が彼 の司る と ころで、男女 を庇護す るはず なのに、やや もすれば、 人の命 を奪 って行 く。 どうして許 されよ うか !」 と神娘 は 申す。
「馬容が彼女 に呼び戻 されて、 もう彼女 に送 り帰 した。林九 も彼女 に 呼び戻 されて、すで に送 り帰 した。」 と令公 は言 う。
「おお !君の訴 えに理屈がある。彼女 の言 うことにも理屈 に合 って い る。令公 !君は陳十 四に任せて くれ。
」
「仏母 !わた しは承知 しな い !」「十四 !彼 に返 して くれ !
」
「仏母 !わた しは承知 しない !」「君たち二人は皆理屈がある。ただ ここで法 の戦 いを して も無駄事 に な る。わた しは君たちに和解 させ よ う。天然痘 の ことを陳十 四に任せ、
麻疹の ことを令公 に任せ る !同 じ祭壇で法 を守 って、男女 を加護せ よ。
病気がよ くなお り、皆順調 に成長す るよ うに。」
陳十 四は天然痘 の種 を出 して選ぶ。大 き くて太 いのを 自分 は留 めてお き、小 さ くて細 いのを令公 に与 える。
内壇大衆馬‑駕、香 山仏母は蓮花 に帰 る。
天然痘 の種 を分 けてや る功労は大 きい、 自ら徳勝壇で宝馬 をも らう0 九月十五 日に天然痘 の種 を分 けて、 同 じ祭壇で仏法 を守 り、平安で健 康であるよ うに人々を加護す る。
林宅は庁堂で祝宴 を催 して、慮 山の陳太陰 にお礼 を申す。
林員外 は五百両 の銀 を出 して、陳十 四 にお礼 を申す。
わた しは銀の謝礼 を受 けず、後 に南江 で蛇 を退治す る場合 にお姉 さん の援助 を求めよ う。
神娘はわた しの大恩人のお姉 さんで、お姉 さんを援助す るのは 当た り 前の ことだ。
内壇娘 々馬‑駕、林宅 の庁堂で仏法 のお経 を写す。
(19)52
台詞
仏法の本を写 して林九に読 ませ、神娘は玄妙な法のお経 を伝授する。
神娘は貴い風呂敷包みを背負い、林宅の老若は見送る。
内壇で紙銭三枚 を捧げて、神娘 と江、楊の二将はそれを分けて享ける。
この 『夫人伝』 に慮山の法のことはさておき、話を変えて、後 にまた 続けて語ろう。
この 『夫人伝』 に、青龍江のほとりに住んでいる李宅のことを語って 行 こう。
この役人の名前は李国界 と言い、総兵の官位 に就いてか ら家に帰った。
奥 さんは金氏、男の子がな く、独 り娘だけいる。
正月十三 日の生れで、名前は李十三 と言 う。
もう十九歳 にな り、三分の神骨の持主だ。
金岳 と言 う人と縁組 をして、花嫁 として迎え られた。
李十三 さまはや さしい人だが、神仏 を敬わない李太陰だ。
正月十三 日にすでに妊娠 して、妊娠 しているうちに歳月が経った。
川辺で着物を洗 うと、汚水は竜王殿 にしみ込んだ。
竜王殿か ら文書 を出して、 この文書は十殿王の手元 についたC 十殿闇君は責めて、李十三を責める。
定 まった命数が尽 きないうちに命 を落 し、十三の魂がつれ られて行 く。
絹 の着物や棺 をそなえて、十三李太陰は納棺 された。
その棺は荒野に置かれ、道士や和尚を家に招いて来る。
十三李さまを済度 し、 目上の両親は涙をほろほろ流す。
二人の年寄は悲 しみに沈んで、怨めしい気分が風 に乗った。
産山の法を習得 した神娘は このことが分かって、慮山の神娘は考えを めぐらした。
神娘は竜鳳の占いをしてみると、あの怨め しい気分が何処か ら吹いて 来たのか。
お !伯父李国界、伯母金氏、お姉 さん李十三は難産で亡 くなった。救 助に行かなければ いけない。 「お二人の将軍 !
」
「はい !」
「青龍江のほとりに行 って李十三お姉 さんを救助 しよう !」
江、楊の二将は道案内して、陳太陰は後 について行 く。
台詞
歌 う
青龍江 のほと りの李宅 に着 くと、 門番 は李大 人に知 らせ る。
あなたは どこか らのお嬢 さんか。 どうして拙宅 に来 られたか。
拙宅 には大変な心配 ごとが あるので、 あなた方 を留める気 はない。
お宅 の心配事 ごとを知 って いる。お宅は言わな くて もよ く分か って い る。
お宅 の李十三お姉 さんは、難産で冥土 に行 ったO
あなたは どこか ら来た少年か、一部始終 をよ く知 って いる。
わた しは ここに来た少年ではな く、慮 山の神娘がわた しの法名だ。
道 中で妖怪 を退治 して人 を助 けて来 た。
わざわざお姉 さんを助けるためにお宅 に来 た。
「お‑ !神娘 に失礼 した。 ご免な さい !ご免な さい !わた しの娘 を救 助す るために何 を用意 しよ うか。
」
「他 の ものはい らない。扉 の板一枚、青 い薄絹 の帳‑帳、祖師の祭壇 を立てて、竜角 を三 回吹 き鳴 らせば救助 できる。」
李大人は下男 に命 じて、扉 の板、青い薄絹 の帳 を ととのえ、祖師の祭 壇 を立て る。
「お二人の将軍、棺 を持 ち上げてきな さい !」と神娘 は言 う。
江、楊 の二将 はおぼ ろげ に、 さっそ く棺 を扉 の板 の側 に置 いた。
神娘 は神剣で一度刺す と、棺 の蓋が上 に上が った。李十三 さまは支 え られて扉 の板 に置かれた。 「お二人の将軍 !
」
「はい !」棺 を荒野 に置 いて、火で焼払 って塵境 にす る。
棺 を荒野 に置 いて、雷火で焼 いて凶星 を退 ける。
凶星は三千里以外 に退 き、吉星は降臨 して家 の中に入 る。
神娘 は生き返 させ る法 を行 って、霊験 のある符呪 を作 って人 を救 う。
霊験 のある符呪四枚 を貼 り、胸 に貼 って生 き返 させ る。
慮 山の神娘は印 を結んで、か ろうじて もとの人間の姿 にか えす。
その前 に祖師の供 え台 を しっ らえて祭壇 に立 って法 を行 って人 を救 う。
九層の台は九枚 の紙で組み立て られ、一つの呪文が唱 え られ る と台が できた。
頭 に神雲や神額 をかぶ り、 身に神衣や神袴 を着 る。
(21)〟
足が八卦 を踏み、手 に印を結び、 口で慮 山の玄妙な仏法 のお経 を唱え る。
左手 に鈴 を持ち、右手 に竜角を持 って、竜角がぴいぴい と慮 山、茅山 にひびきわたる。
慮 山、茅山、新州竜虎 山、神兵、神将、雷兵、地将は三つの祭壇か ら 徳勝壇 に集 まる。
二度 目の竜角がぴいぴい とひびいて、その昔が九重山にひび きわたる。
李十三 さまを招 いて、 さっそ く香壇 に上がって来 るように招 く。
三度の竜角が雷 を震 うよ うにひびいたが、李十三 を触 ってみると、忠 がないままだ。
おや !怪 しいかな !神娘は言 う。
わた しは三回竜角を吹鳴 らせば、人を救 うことができるのに、三回竜 角を吹鳴 らして も生き返 らない。
まさか五万へ紡復っている亡霊ではあるまい。竜角 を三回吹鳴 らして 五方 までひびかせ る。
改めてお香 を焚 き、改めて ロウソクを点け、竜角の音がぴいぴい と霊 壇 にひび く。
二回 目竜角が どウ一一 とひびいて、その昔が五万 までひびきわたった。
三回 目竜角がぴ いぴい とひびいて、急 いで香壇 に来 るように李十三 を 招 く。
六回竜角が雷が震 うようにひびいて も、李十三 を触 ってみる と、息の ないままだ。
わた し神娘は三回竜角を吹鳴 らせば人を救 うことができるのに、 どう して六回竜角 を吹鳴 らして も帰って来ないのか。
まさか望郷台で紡復っている亡霊ではあるまい。三回竜角の音が望郷 台までひび く。
神娘は改めてお香 を焚 き、 ロウソクを点け、改めて鈴や竜角 を持 って、
改めてすべてのものを整える。
改めて竜角 をぴいぴい と吹鳴 らして、その昔が続 いて霊壇 にひび く。
再び竜角の音がひびき、その昔が望郷台 までひびきわたる。
49(22)
台詞
歌 う
三回 目の竜角の音が、 さっそ く香壇 に上がるように李十三 を招 く。
九回 目の竜角が雷の震 うようにひびいて も、十三 を触 ってみると、息 のないままだ。
わた し神娘は三回竜角 を吹鳴 らせば人を救 うことができたのに、九回 竜角 を吹鳴 らして も帰せない。
十三お姉 さんは天上の法律 を犯 して、苦 しめ られなが ら、地獄 の門ま で押送 された。
「神娘 !救助す ることはできるか、できないか。」 と李大人は聞 く0
「お宅の娘 さんは天上の法律 を犯 した。暗い地獄 に落 とされたに違 い ないO寝室 を一室貸 し、寝具ひ とそろい貸 して下 さい。七 日間を期限に する。七 日目に蘇 らないな ら、十四 日目、十四 日目に蘇 らないな ら長 く ても七七四十九 日目、七七四十九 日目に蘇れば、李十三 を救助できる0 蘇 らないな ら、わた し十四を一緒 に納棺 して下 さい !」
「あなたはもうそんなに気 をつかわな くて もいい !」 と李大人は言 う。
「産山を出る時に、わた しの師の奥 さんは、妖怪 に逢 えば斬殺 して、災 難 にあった人を救 出せよ !と言付けた。お二人の将軍 !部屋 の中むやみ に動 いた り、歩 いた りしてはいけない !わ た しは冥土 に行 ってみ るか ら。」 と神娘は言 った。
神娘は寝室にはいって、寝台の上にある寝具の中で眠った。
法 を行 って俗世 を離れて冥土 に行 き、息 を殺 して、早足で冥土 に行 く。
阿弥陀仏 !
紫金炉の中か ら光がぴかぴか して、おぼ ろげ に神霊が西方 に御 出座 に なる。
(聞いている人々は手 に線香一本 を持ち、芸人は 『済度 の呪文』や 『心 経』 を唱える。)
香 山仏母は蓮の花の上 に座 られて、仏 の子が地獄の門に落 ちた ことが 占いで分かった。
文書が十殿の地獄 まで送 られて、十殿 の闇魔王は この ことが分かった。
金童及び玉女 を遣わ して、長 い旗や天蓋 を持 っている。
わた しは金童 と言 い、妹は玉女 と言 う。長 い旗や天蓋 を持 ってあなた
(23)48
を迎える。
南無阿弥陀仏 !
内壇で紙銭三枚 を捧げて、神娘 と金童、玉女はそれ を分けて享 ける0 左 に長 い旗、右 に天蓋、 白檀 の香 りが漂 って道案 内する。
門前 には、陰陽の界で、石碑が山みたいに両方 を分 ける。
神娘は この蓮の花の座席 にお座 りなさい。 この地の関について話 して 上げよう。
この地は陰陽関 と言 い、如来仏祖は三界 を分 ける。
上下 の三界 を三人の王 に分 け、上方 を玉皇の凌零殿 に分ける。 中部 を 俗世の王の朝廷 に分け、下方 を冥土の王、菩薩 に分 ける。
上下の三界は三人の王 に分 け られ、石碑 を通 らないうちに俗世の地に 属す る。
石碑 を過ぎると冥土で、陰陽の隔た りは一枚の紙 のようだ。
陰陽を隔てる道 は近 いが、雄鶏が暁 を告げて も道は歩 きにくい。
門前に三三、九本の道があるが、俗世の人々は善人、悪人に分け られ る。
上方の三本 の道が聞けば、善行 を積む人は この関の門を通 る。
下方の三本 の道が開けば、悪事 をはた らく人は この関の門を通 る。
中央の三本 の道が開けば、修行 の人は この関の門を通 る。
善行 を積む人が関の門を通 ろうとすれば、冥土の土地は彼 を出迎えて 関を通 らせ る。
修行す る人が関の門を通 ろうとすれば、光が現われて関の門を通 る。
悪事 をはた らく人が関の門を通 ろうとすれば、 こち らにぶつかった り、
あち らにぶつかった りして、道がない。
これは どういうわけか。俗世で高利賃 をしていたか ら。
俗世でみだ りに暴れた り、編 して財物 を巻上げた りしていた。
そんな人は、関の門を通 るには、 こち らにぶつかった り、あち らにぶ つかった りして道がない。
前生、前世で精進 していただけで、神仏 を拝 まず、信者 にな らなかっ た。
47(24)
そんな人は、関の門を通るには、 いつ も一対 の竹綿灯 にたよる。
一対の竹綿灯がかけ られて、罪人が関の門を通 るのに都合がよい。
(以下は 『竹緑灯経』)
「朝夕気持 ちが さっぱ りす る時 に、 さっぱ りした気持 で竹綿灯 を学び 始める。
一千か八百の銀で も買える処がな く、千両の銀で も竹緑灯 を買いにく い。
竹綿灯 を唱えだ し、竹緑灯で済度す る。
上方の三十三点の仏国を照 し、下方の冥土 の地獄の門を照す。
西方 の大道 を照 して光 を放つ。南無阿弥陀仏 !」 門前の黄泉渡 に着 くと、黄泉渡のあた りに衆人がいる。
金童お兄さん、玉女お姉 さん !
今来た処は どういう処か。その衆人は どうしてい じめ られているか0 神娘 !ここは黄泉渡 と言 い、俗世か らの善人 と悪人が分 け られ る。
修行 をす る人は黄泉渡 を通 るには、金剛経 を唱えて船賃が免除 され る。
善行 を積んだ人は黄泉渡 を通 るには、六字 の弥陀で船賃が免除され る。
悪事 をはた らいた人が黄泉渡 を通 るには、灯 を探 した り、火 に象 られ た りして大変だ。
黄金、珠、玉を好 まないものはな く、 とくに銀 を食 ってき りがない0 お前を帆柱先に釣 り上げて、銅の槌、鉄の杵でお前 をめちゃくちゃに 殴る。
体 の上部 を殴った り、下部 を殴った りして、悲 しむか どうか とお前 に 聞 く。
十八年の災難 に苦 しんだ後 に、お前 を人間 として俗世へ帰 らしてや る。
神娘 あなたは俗世か ら来て、俗世の罪人たちを戒めてや りなさい。
俗世で善行 を積めば、 こんなにい じめ られて悲 しむ ことはないだろう。
外壇で冬着二十着、紙銭四百 をやって、黄泉渡 のあた りで一群 の惨な 魂 を済度す る。
内壇で祇銭三枚 を捧げて、神娘 と金童、玉女はそれ を分 けて享 ける。
左 に長い旗、右 に天蓋、 白檀 のお香 のかお りが漂って導 く。
(25)46
台詞
歌 う
45 (26)
門前には鬼門関、黄狗村があ り、四匹の可伯 い犬が左右 にいる。
金童お兄さん、玉女お姉 さん !
この地は どんな処か、 ここの可伯い犬が どうして左右 にいるのか。
神娘は蓮の花の座席 におかけなさい。 この地 の関の ことを話 して上げ よ う。
この地は鬼 門関、黄狗村 だ。四匹の可伯犬は人間を排えることができ る。
善行 を積んだ人が関を通 ろうとすれば、犬は頭 を振 り尾 を振 って迎え る。
修行 した人が関 を通 ろうとすれば、関の側 に伏 して動かない。
悪事 をはた らいた人が関を通 ろうとすれば、可伯い犬が歯ぎしりをし て飛びかかる。
その悪人の着物 を裂 き、 目をえ ぐり、 内臓 を裂 いてお菓子 にす る。
「神娘 !ここは鬼門関、黄狗村だ。俗世の可伯い犬 は人間の身形 を見 るが、 ここの可伯 い犬は俗世の善人、悪人を雛え られ る。歯ぎ しりをし て 目をえ ぐり、 内臓 を裂 いてお菓子 にする。 この人たちは どんな人だっ たか と聞けば、 これは俗世で高利貸 しをし、 目上の人に逆 い、他人をい じめ、人を傷害 した り、殺 した りす る者だった。」
そんな人たちは関を通 ろうとす る時 に、可伯 い犬が歯ぎ しりをして飛 びかかって来 る。
悪人はいろいろと苦 しめ られた。彼 に悲 しいか、 どうか と聞 く。
彼は十八年の災難 に苦 しんだ後 に、人間 として俗世へ放 され る。
俗世で彼が どんな ことをや るか、冥土の役所はまじめに考える。
俗世で善行 を積めば、必ず しもい じめ られて苦 しむ ことはあるまい。
外壇で冬着二十着、紙銭四百 をや って、鬼門関、黄狗村 の関を通 らせ るよ うに済度す る。
内壇で紙銭三枚 を捧げて、神娘 と金童、玉女はそれ を分けて享ける。
前には長い旗、後 ろには天蓋、 白檀 のお香 のかお りが漂 って導 く。
門前 に、左 に金橋があ り、右 に銀橋があ り、中央 に奈何橋がある。
善行 を積んだ人は関の門を通 る時 に、助 け られて金橋 を通 る。
台詞
歌 う
修行す る人は関の門を通 る時 に、助 け られて銀橋 を通 る。
悪行 をはた らいた人は関の門を通 る時 に、 中央 の奈何橋 を通 らなけれ ばな らない。
奈何橋の広 さは どの くらいか と聞けば、それは三寸三分三厘だ。
橋の下の深 さは万丈で、そ こにある何 匹かの毒蛇が人を噛む。
橋の下で苦 しんでいる人は俗世で夫婦 の仲 を裂 く者だ。女 の方 を唆 し て男の方 と不和 にさせ る。男の方 に女 の方 の悪 口を言 って、不和 にさせ る。
こち らでわざ とうるさくした り、 あち らでわざ とうるさ くした りして、
人の婚姻 を裂 いて しまう。
俗世の夫婦 を裂 いた者は、冥土の地獄 に行 く。
命数が尽きて亡 くなって、地獄 の門まで押送 されてい じめ られ る。
十八年の苦難 に苦 しんだ後 に、そんな者 を虫け らや犬な どとして生か して俗世へ送る。
神娘は俗世か らここに来て、俗世の罪人たちを戒 めて下 さい。
善行 を積むか、悪行 をはた らくか、そ の人 自身が決める ことだ。その 人が どこか ら来たかは関係ない。
俗世で善行 を積めば、必ず しもい じめ られて苦 しむ ことにはなるまい。
外壇で冬着十着、紙銭一百、奈何橋 の下の惨な魂 を済度す る。
南港で功徳 を成 して、済度 して紙銭 をや る !
神娘は生命 を救 う呪文 を唱えて、その菟罪 を免 じて災難 を解除 してや る。
内壇で紙銭三枚 を捧げて、神娘 と金童、玉女はそれ を分 けて享 ける。
左 に長 い旗、右 に天蓋、 白檀 のお香 のかお りが漂 って導 く。
門前にこの第‑殿 に着 いた.
(お経 を聞いている衆人は手 に一本 の線香 を持つ。) 二本の線香 を添 えて寿命 を添 え、福が高 く、寿命が長 い。
聖母は第一殿 に来 る。‑殿 には秦広大士王がいる。
秦広大士王は迎えに出て、慮 山の陳神娘 を迎 える。
何事があるか と神娘 に聞 く。 どうして この‑殿 に来たか。
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台詞
歌 う
43 (28)
李姓のお嬢さんのために来た。彼女は難産で亡 くなった。
九回竜角を吹き鳴 らして も、生き返 らなかった。今、李姓の人を帰 ら して下さい。
昨夜、十三は‑殿で審問された。今 日は二殿で 自供させ られる。
神娘は別れ を告げ、闇魔王は見送って、産山の陳太陰を見送る。
外壇で闇魔王に馬一匹、‑殿の秦広王に捧げる。
聖母 を迎えた り、見送った りする功労が大きく、 自ら宝の馬をもらっ て俗世を加護する。
内壇で紙銭三枚を捧げて、神娘 と金童、玉女はそれを分けて享ける。
左に長い旗、右 に天蓋、長い旗や天蓋が道案内をする。門前に鶏卵山 についた。慮山の神娘は話をする。
金童お兄さん、玉女お姉 さん !
今来た処はどこか、 どうして人々はいじめ られているか。
神娘は蓮の花の座席にお座 りなさい。 ここの関のことを話 して上げよ う。
「ここは鶏卵山と言 う。その山の上で苦 しめ られている人は、卵を盗 む者だ。
」
「うそ をついている。 自分の家で鶏を飼 って、卵を食べること はどうして罪 になるか。」
「そ うじゃない !それは卵を盗んで食べる者だ。ある家に、仕事のよ くできる嫁がある。卵を盗んだ人は、その家に飼っ ている鶏の生んだ卵を盗んで食べた。それで、その嫁は姑 に殴 られて悲
しんだ。その鶏 も殺 された !」
鶏の魂が散 らず に起訴 して、卵を盗んだ人を罪のある者 として起訴 し た。
主人はわた しを飼って功労が大きいか ら、卵 を生んで主人にお礼を言 うはずだ。
お前は俗世で卵を盗んだため、わた しが殺 された。
命数が尽きて亡 くなって、いじめ られなが ら地獄の門まで押送されて 行った。
十八年の災難 に苦 しんだ後 に、鼠 として俗世に生まれ変る。
鼠が どんな人の生まれ変 った者か と聞けば、 もともと卵を盗んだ婦人
台詞
だ。
神娘は俗世に帰る時に、俗世の罪人たちを戒めて下さい。
その罪 を免 じて災難 を解除 してやると徳にな り、天死 した魂 を済度す る。
俗世で善行を積めば、必ず しもいじめ られて苦 しむ ことはあるまい0 内壇で紙銭三枚 を捧げて、神娘 と金童、玉女はそれを分けて享ける。
左に長い旗、右に天蓋、 白檀のお香のかお りが漂って導 く。
この第二殿の門前に着いた。二殿には楚江大士王がいる。
楚江大士王は出迎えて、慮 山の陳神娘 を迎える。
神娘 !あなたは西天仏の子 として名望があるが、何のためにこの二殿 に来たか。
冥土の神さま !わた しは李十三のために来た。彼女は難産で亡 くなっ た。
九回竜角を吹き鳴 らして も帰って来なかった。李十三を返えして もら いたい。
昨夜、李十三は二殿で審問されたが、今 日は三殿で 自供 を聞かれる0 神娘は別れを告げ、閣魔王は見送って、産山の陳太陰を見送る。
外壇で、闇魔王は馬一匹、二殿の楚江王は安座する。
聖母 を迎えた り、見送った りする功労が大き く、 自ら宝の馬をもらっ て俗世を加護する。
内壇で紙銭三枚を捧げて、神娘 と金童、玉女はそれを分けて享 ける。
左に長い旗、右に天蓋、長 い旗や天蓋が道案内をする。
門前に紫香山に来た。慮山の神娘は話だす。今来た処は どこか。 この 関のことを聞かせて下さい。
神娘は蓮の花の座席にお座 りなさい。 ここの関のことを話 して上げよ
う。
「ここは紫香山と言 う。 ここで苦難 を受けているのは俗世で仏 を拝む お婆さんだ。」
「仏 を拝むお婆さんは どうして ここでいじめ られているか。」
「これ らの仏 を拝むお婆さんは、 もっぱ ら外で巧みなうまい話をして、
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歌 う
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仏の名義でお金 を編 し取 る。普陀山の観世音が霊験 を現わ しているか ら、
お金 を出 してわた しに焼香 させて下 さい、 と言 う。彼女は こち らを編 し た り、 あち らを編 した りして、編 し取 ったお金 を濫用 した。それで紫香 山まで押送 されて来ていじめ られている。」
あるお婆 さんは廟内に行 って読経す るが、 しき りにこの人が何 とか悪 事 をす るとか、 あの人がよ くない とか言って、他人を誹誘する。
ああ !皆さん !
俗世で人間 として どんな ことをや ったか、冥土の役所はまじめに扱 っ てや る。
命数が尽きて亡 くなってか ら、紫香 山まで押送 されて苦難 を受ける0 十八年の苦難 に苦 しんだ後 に、人間 として生れ変 って再び俗世へ行か される。
神娘は、俗世か らここに来た。俗世の罪人たちを戒めて下 さい。
お寺 に行 って読経する気があるな ら、真心 を込めて、悟 りを開 くこと ができる。
もし、俗世で不正 をはた らくな ら、罪つ くりしなが ら仏 門に入っては いけない。
外壇で冬着十着、祇銭百 を捧げて、紫香 山の魂 に配 ってや る。
内壇で紙銭三枚 を捧げて、神娘 と金童、玉女はそれを分 けて享 ける0 左 に長 い旗、右 に天蓋、 白檀 のお香 のかお りが漂 って道案内す る。
第三殿 の門前に着いた。三殿 には正 に宋帝王のいる処だ。
宋帝大士王は出迎えて、慮 山の陳神娘 を出迎える。
神娘 !あなたは西天の仏 の子で、高貴な方だ。 どうして俺の処 に来た か。
わた しは李十三 のために来た。彼女は難産で冥土 に行 った。
九回竜角を吹き鳴 らして も、生き返 らなかったか ら、李姓の この人を わた しに返 して下 さい。
昨夜、十三は三殿で審問されたが、今 日は四殿でその 自供 を聞かれる。
神娘は別れ を告げて、闇魔王は見送って慮 山の陳太陰を見送 る。
外壇で闇魔王 に馬一匹を捧げて、三殿の宋帝王は安座す る。
台詞
歌 う
聖母 を迎えた り、見送 った りす る功労が大 きい。 自ら宝 の馬 をも らっ て俗世 を加護す る。
内壇で紙銭三枚 を捧げて、神娘 と金童、玉女はそれ を分 けて享 ける。
尖刀 山、穀米 山の門前 に着 いた。椀樹 の蔭 の下 に多 くの人がいる。
金童お兄さん、玉女お姉 さん !
今来 た処 は どこか。苦難 を受 けている人たちは どんな人か。
神娘 は蓮 の花 の座席 にお座 りなさい。 ここの関の ことを話 して上げ よ
う。
神娘 !ここは尖刀 山、穀米 山だ。椀樹 の蔭 の下 には女 の人が集 まって いる。尖刀 山の上で苦難 を受 けているのは俗世で牛 肉を食べた人たちだ。
刀で牛 の頭 を刺 し、刀で牛 の喉 を切 るのは牛 を屠殺す る者だ。穀米 山の 罪人は米 を無駄 にす る者だ。彼 らはむやみ にご飯 をすて る。椀 の蔭 の下 の女 たちは、変て こな着物 を着 た り、鬼 みた いな格好 を した りす る者だ。
こんな人たちは ここまで押送 されて苦難 を受 けている。
俗世で悪事 を した者は、冥土 の役所で まじめに扱われ る。
命数が尽 きて亡 くなって、冥土 の地獄 の門 まで押送 され る。
お前の頭 を刺 し、お前の喉 を切 り、 お前の皮 肉を剥 いで、苦 しい刑罰 を行 う。
十八年 の苦難 を受 けた後 に、再び人間 として俗世 に生 まれ変 る。
今話 したのは他人でな く、俗世で牛 肉を食べた、罪 の重 い人だ。
そ の根元 を究めれば、俗世で牛 を屠殺す る ことを生業 としたか らだ。
俗世でお米 を無駄 にした者は、道 の乞食 として帰 してや る。
神娘 は、俗世か らここに来 た。俗世 の罪人 を戒 めて下 さい。
皆 さん、 いろいろの肉食 を食べて もいいが、俗世で牛 肉 を食べ るべ き ではない。
三十六の生業 をや って もいいが、牛 を屠殺す る生業 を してはいけない。
お米は百姓のご飯 をた くもので、俗世でお米 を無駄 にすべ きではない。
俗世で善行 を積 めば、必ず しもここで苦 しめ られ る とは限 らない。
内壇で紙銭三枚 を捧げて、神娘 と金童、玉女 はそれ を分 けて享 ける0 左 に長 い旗、右 に天蓋、 白檀 のお香 のかお りが漂 って道案 内す る。
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