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~ HB ワクチンによる免疫獲得者に対する HBs 抗体低下リスク評価~

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Academic year: 2021

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(1)

厚生労働科学研究費補助金(肝炎等克服政策研究事業)

令和2年度 分担研究報告書

肝炎ウイルス感染状況の把握及び肝炎ウイルス排除への方策に資する疫学研究

医療従事者に対する HB ワクチン応答性に関する検討

HB ワクチンによる免疫獲得者に対する HBs 抗体低下リスク評価~

研究分担者 日野啓輔 川崎医科大学 肝胆膵内科学 教授 研究協力者 仁科惣治 川﨑医科大学 肝胆膵内科学

研究要旨

【目的】日本肝臓学会評議員を対象にしたアンケート調査によれば、「HBs抗体が低下した医療従事者に対 するHBワクチンブースター接種」について“必要”と考える回答が63%と多く、このうち93%ではHBs抗 体価 10mIU/mL未満でブースター接種が実施されていた。このアンケートを実施した日本肝臓学会 HBワ クチンワーキンググループからは、HBワクチン接種の数年後に HBs抗体価が低下し、急性肝炎を発症した 症例や急性肝炎からキャリア化した症例の報告もあることから、「HBs抗体価 10mIU/mL未満に低下した場 合にはHBワクチン追加接種が望ましい」と考えられている。

【方法】2012年10~2019年4月に HBワクチン接種後採血でHBs抗体陽性化(10mIU/mL 以上)した当 施設職員のうち、その後の感染事故の機会(経過観察時)でHBs抗体を測定された者127例に対して、

HBs抗体価低下量およびその関連因子(年齢、性別、ワクチン投与後からの経過観察期間、投与されたワク チンの種類、ワクチン投与後のHBs抗体価)を解析した。

【結果】HBワクチン投与後のHBs抗体価で2群(①10-100mIU/mL, ②100mIU/mL以上)に分けて比較を 行った結果、経過観察時のHBs抗体陰性化(<10mIU/mL)率は、①19%(19例/99例)に対して、② 25%(7例/28例)であり有意差は認められなかった。HBs抗体価低下量は、①12.7mIU/mL(平均値)<

②211.5mIU/mL(平均値)と、HBワクチン投与後のHBs抗体価が高い方が有意に高かった。

また、HBワクチン投与後からの経過観察期間で3群(①2年以内, ②2-4年, ③4年以上)に分けて比較し た結果、経過観察時のHBs抗体陰性化(<10mIU/mL)率は、①17%(9例/52例)、②19%(9例/47 例)、③25%(7例/28例)であり有意差は認められなかった。HBs抗体価低下量は、①86.3mIU/mL(平均 値), ②106.2mIU/mL(平均値), ③95.3mIU/mL(平均値)と、経過観察期間とHBs抗体価低下量との関 連性は認められなかった。

一方で、HBワクチン投与後は、ワクチン接種後のHBs抗体価や経過観察期間にかかわらず、一部にはHBs 抗体価が低下しない症例も存在することが明らかとなった。さらに、HBs抗体価低下量に及ぼす独立した関 連因子は認められなかった。

尚、HBワクチン接種後の経過中に陰転化した20例に対してHBワクチンブースター接種(1回)が実施さ れたが、全例HBs抗体陽転化が確認された。

【結語】HBワクチン接種後にHBs抗体陽転化した症例においても、定期的なHBs抗体のモニタリングが必 要であると考えられる。HBワクチン接種後の経過観察期間におけるHBs抗体価の低下の有無は、その後の 長期的なHBs抗体モニタリングの必要性の判定に有用である可能性がある。HBワクチン接種後の経過中に 陰転化した症例に対してのHBワクチンブースター接種の有効性を確認できた。

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(2)

A. 研究目的

一旦 HBワクチンで HBs抗体が陽転化しても経 時的にHBs抗体産生は減弱し、8年以上の長期経過 では 約6割でHBs抗体が陰転化するとされるが、

HBVに対する免疫反応性は保たれるため ブースタ ー接種は必要ないとされてきた。HBワクチンによ る免疫獲得者では、20年以上にわたり B型肝炎の 発症予防効果が認められていることや、HBs抗体価 が低下しても B型肝炎発症予防効果が持続するこ とを受けて、米国CDCガイドラインでも、免疫不 全患者以外では経時的な抗体測定やワクチン追加接 種は不要とされてきた。

一方、日本肝臓学会評議員を対象にしたアンケー ト調査によれば、「HBs抗体が低下した医療従事者 に対するHBワクチンブースター接種」について

“必要”と考える回答が63%と多く、このうち93%

ではHBs抗体価 10mIU/mL未満でブースター接種 が実施されていた。このアンケートを実施した日本 肝臓学会 HBワクチンワーキンググループからは、

HBワクチン接種の数年後に HBs抗体価が低下し、

急性肝炎を発症した症例や急性肝炎からキャリア化 した症例の報告もあることから、「HBs抗体価 10mIU/mL未満に低下した場合にはHBワクチン追 加接種が望ましい」 と考えられている(肝臓 2018; 59: 259-263.)。

当施設では、HBワクチンで一旦陽性化した症例 でも、感染事故の機会で HBs抗体価を再検し、

10mIU/mL未満に低下した場合には HBワクチン追 加接種(ブースター接種1回)を行ってきた。今 回、以前にHBワクチン投与で HBs抗体

10mIU/mL以上と免疫獲得した当施設職員のうち、

感染事故の機会で HBs抗体を測定された者を対象 に、HBs抗体変化量もしくはその関連因子の解析を 行った。

B. 研究方法

2012年10月15日~2019年4月30日に HBワ クチン接種(3回接種)を受けた1ヵ月後採血で HBs抗体陽性化(10mIU/mL 以上)した当施設職 員のうち、その後の感染事故の機会(経過観察時)

でHBs抗体を測定された者127例に対して、HBs 抗体価低下量およびその関連因子(年齢、性別、ワ クチン投与後からの経過観察期間、投与されたワク

チンの種類、ワクチン投与後のHBs抗体価)を解 析した。

C. 研究結果

年齢中央値は25歳(21-48歳)であった。女性 が全体の約76%であった。HBワクチンの種類に関 しては、ビームゲン 98例(74%)、ヘプタバック ス39例(26%)であった。HBワクチン投与後の HBs抗体価の中央値は、80.7(10.6-

847.7mIU/mL)であった。全症例における、ワクチ ン接種後 ⇒ 経過観察時のHBs抗体価変化(図

1)、およびHBs抗体価低下量(⊿ワクチン接種後-

経過観察時)の分布(図2)を示す。

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(3)

HBワクチン投与後のHBs抗体価で2群(①10- 100mIU/mL, ②100mIU/mL以上)に分けて比較を 行った。その結果、経過観察時のHBs抗体陰性化

(<10mIU/mL)率は、①19%(19例/99例)に対 して、②25%(7例/28例)であり有意差は認めら れなかった。HBs抗体価低下量(⊿ワクチン接種後

-経過観察時)は、①12.7mIU/mL(平均値)<② 211.5mIU/mL(平均値)と、HBワクチン投与後の HBs抗体価が高い方が有意に高かった(P<0.01)

(図3)。

また、HBワクチン投与後からの経過観察期間で 3群(①2年以内, ②2-4年, ③4年以上)に分けて 比較を行った(図4)。その結果、経過観察時の HBs抗体陰性化(<10mIU/mL)率は、①17%(9 例/52例)、②19%(9例/47例)、③25%(7例/28 例)であり有意差は認められなかった。さらには、

HBs抗体価低下量は、①86.3mIU/mL(平均値),

②106.2mIU/mL(平均値), ③95.3mIU/mL(平均 値)と、経過観察期間とHBs抗体価低下量との関 連性は認められなかった。

一方で、HBワクチン投与後は、ワクチン接種後 のHBs抗体価や経過観察期間にかかわらず、一部 にはHBs抗体価が低下しない症例も存在すること が明らかとなった。

さらに、HBs抗体価低下量に及ぼす関連因子(年 齢、性別、ワクチン投与後からの経過観察期間、投 与されたワクチンの種類、ワクチン投与後のHBs 抗体価)の解析を行ったが(ロジスティック解 析)、独立した関連因子は認められなかった。

尚、HBワクチン接種後の経過中に陰転化した20 例に対してHBワクチンブースター接種(1回)が 実施されたが、全例HBs抗体陽転化が確認され た。

E. 結論

(1) HBワクチン投与後は、ワクチン接種後のHBs抗 体価、経過観察期間にかかわらず、一定の確率で HBs抗体陰性化例が存在した。そのため、HBワ クチン接種後にHBs抗体陽転化した症例におい ても、定期的なHBs抗体のモニタリングが必要 であると考えられる。

(2) HBワクチン接種後の経過観察期間におけるHBs 抗体価の低下の有無は、その後の長期的な HBs 抗体モニタリングの必要性の判定に有用である 可能性がある。

(3) HB ワクチン接種後の経過中に陰転化した症例

に対しての HB ワクチンブースター接種の有効 性を確認できたが、ブースター接種後もHBs抗 体再陰転化のリスクに注意が必要であろうと考 えられる。

F. 健康危険情報 特になし

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(4)

G. 研究発表 論文発表 特になし 学会発表 特になし

H. 知的財産権の出願・登録状況

(予定を含む。)

1.特許取得 特になし 2.実用新案登録

特になし 3.その他

特になし

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参照

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