点音源モデルに基づく戸建て住宅群による道路交通騒音減衰慮の予測法 [ PDF
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(2) 1次反射 10 m. 5m 5m. road. S. S. S. road. 10 m. road. d road. φ. θi. Φ. d ref , i. d road (d ref , i ). d road. P. θi. P P 図-2 直接音の見通 し角度. 図-3 関係. ∆LB と ϕ/Φ の. P’ 2次反射. 10 m. road. S. d road (d ref , i ). θi. d road d ref , i. P. θi P’. Edir ϕ Φ = 10 log10 − 10 log10 E0 droad droad (2) ϕ = 10 log10 Φ. 10 m. road. S. ある場合は建物に邪魔されずに受音点から音源範囲を 見通せる角度 ϕ の範囲が音源と考えられるので,これ を自由音場における有限長線音源の伝搬理論で表すと, ∆LB の直接音エネルギ (Edir ) は,. 10 log10. P’. P’’. P. P’. P’’. 図-4 反射音の見通し角度 S. road. O. となる。ただし,Φ は建物がないときの見通し角度 [rad], ϕ は建物があるときの見通し角度 [rad],droad は受音点 から道路までの距離 [m] である。 ∆LB と ϕ/Φ の関係を図-3 に示す。両者に相関が見 出せるが,受音点から道路を見通せる場合 (ϕ/Φ̸= 0) には ±5 dB 程度のバラつきが,全く見通せない場合 (ϕ/Φ=0) にはそれ以上のバラつきが認められる。した がって,∆LB を捉えるには,建物群による反射や回折 の影響を考慮する必要がある。 3.2 反射音 反射による音響エネルギ (Eref,i ) を,幾何音響学に基 づく鏡面反射の原理 (図-4) だけで捉えることにすると, 建物壁面を反射面として対称移動した点を鏡像受音点 とし,その鏡像受音点から音源範囲を見通せる角度 θi 内にある道路を反射音源と考えることができるので, ) ∑ ( θi Φ Eref = 10 log10 − 10 log10 E0 dref,i droad i ( (3) ∑ θi droad ) = 10 log10 · Φ dref,i i となる。ここで,θi は鏡像受音点から音源範囲を見通 せる角度 [rad],dref,i は鏡像受音点から道路までの距 離 [m] である。i は幾何音響学的反射経路ごとに求める ことを意味する。式 (3) は反射回数に関係なく反射音 エネルギを表現できるが,3 次以上の反射音は寄与が 小さいと考え,i は 1 次反射音と 2 次反射音だけを考 慮することにする。 3.3 回折音 音源から放射された音は,直接音,反射音以外にも, 建物群の間隙や建物上部の様々な経路を経て受音点に 到達している。この中で最も大きな成分を有するのは, 図-5 に示すように,音源 (S) から建物の 1 つの頂点 (O) だけで回折して受音点 (P) に到達する音であると 考えられる。これを 1 次回折音エネルギ (Edif,1 ) と考 えることにする。このような回折は近似的には行路差 δ(= SO + OP − SP) で捉えることができると考えられ るので,7,744 個の ∆LB のうち,直接音,反射音がない. 50-2. P δ = SO+OP-SP. 図-5 1 次回折音. 図-6 ∆LB と δ の関係. 場合 (85 個) について,行路差 δ との関係をみた (図-6)。 両者に比較的高い相関が認められるので,最小 2 乗法に より回帰式を求めた (10∆LB /10 = 0.251/(1 + 0.522δ))。 ここで,Edif,1 は,音源を 1 点 (S) と想定するのではな く,直接音エネルギや反射音エネルギと同様に “音源 範囲”(3.1 参照) を対象とする。具体的には,音源範囲 に十分な個数の点音源を設定し,それぞれの音源点か らの 1 次回折音エネルギを求め,その平均値を算出す る。すなわち, ) n ( 1∑ 0.251 Edif,1 = n 1 + 0.522δk k=1. ここで,k は音源範囲に存在する点音源を意味し,n は 点音源の個数である。ただし,全点音源のうち受音点 (P) から見える音源からの 1 次回折音エネルギについ ては,計算しない。 次に 1 次回折音以外の経路で伝搬する音のエネルギ (Edif,2 ) を考える。これは伝搬経路によって捉えること は困難であると思われるので,音源から受音点の経路 上に立地する建物密度で捉えることにする。すなわち, 図-7 に示すように,音源と受音点を結ぶ線 (距離 d) に ついて,その左右に 7.5 m の幅の長方形を考え,この 長方形 (幅 15 m,長さ d) 内の建物密度を ξ とし,ξd と ∆LB の関係をみた (図-8)。ここで用いたデータは, 7,744 個の ∆LB のうち,直接音,反射音,1 次回折音 がない場合 (1,301 個) である。ξd は ∆LB (エネルギー 値) と相関が認められるので,最小 2 乗法により回帰式 を求めた。. Edif,2 = 10−0.0904ξd.
(3) 7.5 m road. ξ d. 5. N = 7,744. 0 -5 -10 +3 dB -15 -3 dB. -20. P. -20 -15 -10 -5. 図-7 建物密度. Measured ∆Lbldgs [dB]. S. Measured ∆LB [dB]. 7.5 m. 0. 5 -5 -10. +3 dB. -15 -3 dB. -20. 5. -20 -15 -10 -5. Predicted ∆LB [dB]. 図-8 ∆LB と ξd の関係. N = 64. 0. 0. 5. Predicted ∆Lbldgs [dB]. 図-10 予測値と実験値の対応. 図-9 ユニットパターン. n. (. 0.251 1 + 0.522δk. k=1. ). + 10−0.0904ξd. (4). 3.4 住宅群による騒音減衰量の予測式 以上から,住宅群による騒音減衰量 ∆LB は,式 (2), (3),(4) を式 (1) に代入した式となる。ただし,それぞ れ項の寄与は不明であるので,最小 2 乗法によって係 数を定めた。さらに,式から算出される ∆LB と実験値 の差の 2 乗和が最小となるように定数項 a0 を求めた。 このようにして得られた住宅群による騒音減衰量の予 測式を式 (5) に示す。以降,本予測式を F2012 と呼ぶ。 {. ∑ ( θi droad ) ϕ + a2 · Φ Φ dref,i i } ) n ( 0.251 1∑ −0.0904ξd + a4 · 10 + a3 · n 1 + 0.522δk. ∆LB = 10 log10. a0 + a1 ·. k=1. (5) ただし, ϕ :. 建物があるときの見通し角度 [rad]. Φ. :. 建物がないときの見通し角度 [rad]. θi droad. : :. 鏡面受音点からの見通し角度 [rad]. dref,i δk d. : : :. 鏡面受音点から道路までの距離 [m]. 受音点から道路までの距離 [m] 一次回折の行路差 [m] 音源受音点間距離 [m]. ξ : 長方形内の建物密度 [-] ここで,a0 = 0.0390,a1 = 1.16,a2 = 0.238, a3 = 0.394,a4 = 0.257 である。 3.5 予測値と実験値の比較 図-9 に F2012 を用いて計算した結果のユニットパ ターンの一例を示す。横軸は音源位置である。また, F2012 を用いて全ての ∆LB を計算し,実験結果と比 較した。両者の差の 2 乗平均平方根は 1.6 dB となり, ±3 dB 以内に 7,150 個 (92%) のデータが収まった。最 50-3. Measured ∆LB [dB]. Edif 1∑ = E0 n. 5. Measured ∆Lbldgs [dB]. 図-11 ユニットパターン (直線道路). 以上から,回折音を次式で表現した。. N = 1,936. 0 -5 -10. +3 dB. -15 -20. -3 dB -20 -15 -10 -5. 0. 5. Predicted ∆LB [dB]. 5. N = 16. 0 -5 -10. +3 dB. -15 -20. -3 dB -20 -15 -10 -5. 0. 5. Predicted ∆Lbldgs [dB]. 図-12 予測値と実験値の対応 (直線道路) 大誤差は 6.0 dB となった (図-10 左)。さらに,全 64 配 置について,住宅群による騒音減衰量 ∆Lbldgs を計算 し実験値と比較した (図-10 右)。∆Lbldgs は,車両が道 路を一端から他端まで走行したときの受音点における 騒音レベルのユニットパターンを計算し,住宅群があ る場合とない場合の差を計算したものである。実験値 との差の 2 乗平均平方根は 0.7 dB となり,最大誤差は 1.8 dB となった。. 4. F2012 の検証 4.1 直線道路模型実験 4.1.1 実験条件 本実験と住宅配置の異なる計 16 配置を実験した。そ の他の実験条件は 2. と同じである。∆LB は 1 配置に つき 121 個,合計 1,936 個得られた。 4.1.2 予測値と実験値の比較 図-11 にユニットパターンの一例を示す。また,全て の ∆LB を計算し,実験結果と比較した。両者の差の 2 乗平均平方根は 1.5 dB となり,±3 dB 以内に 1,878 個 (97%) のデータが収まった。最大誤差は 5.6 dB となっ た (図-12 左)。さらに,∆Lbldgs を計算し実験値と比 較した (図-12 右)。実験値との差の 2 乗平均平方根は 0.8 dB となり,最大誤差は 1.7 dB となった。以上のよ うに,F2012 の予測精度は予測式導出の実験と概ね同 程度であることが確認され,その有効性が示された。 4.2 曲線道路模型実験 4.2.1 実験条件 道路の形状を曲線に変更し,建物密度 ω を 16.6%, 21.5%,28.3%,34.2%の 4 段階として,計 16 配置を実.
(4) 100m. receiving point. 80m. 15 m. road 74. 73 45 m. 69. d road = 20m, ω = 16.6%. 69. d road = 40m, ω = 28.3%. 68 66. 図-13 住宅群の配置例 (曲線道路). 61. 68 64. 15 m. 図-16 LAeq の分布 (直線道路). 図-14 ユニットパターン (曲線道路). road. N = 2,256. 0 -5 -10. +3 dB. -15 -20. -3 dB -20 -15 -10 -5. 0. 5. Predicted ∆LB [dB]. 5. N = 16. 0 -5 -10. +3 dB. 65 64. 63. 68. 66 61 57. -15 -20. 74. 72. 74 45 m. Measured ∆Lbldgs [dB]. Measured ∆LB [dB]. 72. 5. -3 dB. 図-17 LAeq の分布 (曲線道路) -20 -15 -10 -5. 0. 5. Predicted ∆Lbldgs [dB]. 戸とした)。このように,F2012 によって,直線道路だ けに限らず,今まで住宅群による道路交通騒音減衰量 の推計が困難だった曲線道路においても,環境基準の 評価を行うことが可能となった。. 図-15 予測値と実験値の対応 (曲線道路) 験した。例を図-13 に示す。その他の実験条件は 2. と 同じであり,∆LB は 1 配置につき 141 個,合計 2,256 個得られた。 4.2.2 予測値と実験値の比較 図-14 にユニットパターンの一例を示す。また,全て の ∆LB を計算し,実験結果と比較した。両者の差の 2 乗平均平方根は 1.9 dB となり,±3 dB 以内に 2,016 個 (89%) のデータが収まった。最大誤差は 5.9 dB となっ た (図-15 左)。さらに,∆Lbldgs を計算し実験値と比 較した (図-15 右)。実験値との差の 2 乗平均平方根は 1.2 dB となり,最大誤差は 3.4 dB となった。以上のよ うに,道路が曲線の場合でも,F2012 の予測精度は予測 式導出の実験と概ね同程度であることが確認され,そ の有効性が示された。. 5. F2012 の適用例 小型車類が速度 50 km/h で定常走行している交通量 6,000 台/ h の 1 車線道路 (直線道路および曲線道路) に 面した住宅地の騒音レベル分布を求めてみた (図-16, 図-17)。評価区間は,F2012 の適用範囲から大きく逸 脱しないよう,道路からの距離を 15 m∼60 m とした。 値は,高さ 1.2 m の面の LAeq を示している。両図から, 住宅の配置に対応した騒音レベル分布が得られている ことが分かる。住宅に記入した値は,道路からの騒音 の影響が最も大きな面の中央の点における LAeq (当該 住宅の壁面反射は考慮していない) を示しており,この 値を用いることで環境基準の評価を行うことができる。 例えば,環境基準を 70 dB と仮定すると,環境基準達 成率は直線道路で 64%,曲線道路で 54%となる (ただ し,斜線を入れた住戸はすべて環境基準を超過した住. 50-4. 6. まとめ 沿道に立地する戸建て住宅群による道路交通騒音減 衰量を点音源モデルに基づいて予測する方法について 検討し,音源を中心に道路上の前後 5 m の道路両端と 受音点を結んだ線分が成す角度 Φ,建物がある場合に 受音点から道路を見通せる角度 ϕ,道路から受音点ま での距離 droad ,音源を中心に道路上の前後 5 m の範囲 内で幾何学的に反射音がある場合に鏡面受音点から見 通せる角度 θ,道路から反射面で対称移動した受音点 までの距離 dref ,一次回折の行路差 δ ,音源受音点間距 離 d,音源受音点を結ぶ線についてその左右に 7.5 m の 幅をもつ長方形内の建物密度 ξ の 8 つのパラメータを 用いる新しい予測式 F2012 を提案した。さらに,検証 実験を行い,F2012 が住宅群による騒音減衰量を概ね 適切に捉えることができることを確認した。 参考文献 1) 藤本一寿, 山口晃治, 中西敏郎, 穴井謙: 平面道路に面する地域 における戸建て住宅群による道路交通騒音減衰量の予測法, 日 本音響学会誌, 63, 309-317 (2007) 2) 山口晃治, 藤本一寿, 穴井謙, 平栗靖浩: 盛土道路に面する地域 における戸建て住宅群による道路交通騒音減衰量の予測法, 騒 音制御, 33, 156-164 (2009) 3) 日本音響学会道路交通騒音調査研究委員会: 道路交通騒音の予測 モデル ASJ RTN-Model 2008, 日本音響学会誌, 65, 179-232 (2009).
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