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朝食摂取が身体能力に及ぼす影響

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Academic year: 2021

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朝食摂取が身体能力に及ぼす影響

弓場 大樹(生涯スポーツ系 学校スポーツ分野)

主査 中薗 伸二

副査 新井 博 ,高橋 正行

Effect of breakfast intake on body’s ability

Hiroki Yuba

キーワード:朝食,握力,計算力

Key words:breakfast,grip strength,calculation ability

1.緒言

私たちが生きていくのに欠かせないことは 食事をすることである.さらに朝食,昼食,夕 食の3食バランスよく食事をすることが,毎日 の生活を健康に送るうえで必要となる.生命維 持のために基礎代謝量(Basal Metabolism)とし て,必要最小限のエネルギー量を消費している.

食事をすることにより,食事誘発性熱産生

(Diet Induced Thermogenesis)が発生し,食事 をした後,安静にしていても代謝量が増大する 仕組みとなっている.食後に身体が温かくなる といった状態は,食事誘発性熱産生によるもの である.朝食後に体温が上昇すること(香川ほ か,2008,2009;森ほか,2013)は,朝食前後 のサーモグラフィや,1日における体温の変化 のグラフで紹介されており,中学校の保健体育 の教科書にも記載されている.その中で,朝食 摂取による身体への影響や,朝食の重要性が 様々な研究で明らかにされている.しかし,朝 食摂取がスポーツ・運動に関する身体能力に与 える影響についての研究は,見受けられないと いっても過言ではない.例えば,「運動と栄養」

(上田ほか,2013)と題する最新の著書におい ては,朝食との関連での記述は全くない.「子 どものスポーツ栄養学」(矢口,2009)において も,子どもにとっての朝食の大切さに触れる一 般的記述にとどまっている.また,個々人を対 象として,朝食摂取による身体への影響を科学 的に追究する実験的研究は,先行研究にもほと

んど見受けられない.そこで,卒業論文の「朝 食摂取の有無が身体に及ぼす影響に関する一 考察」で明らかになった研究方法についての,

睡眠時間・朝食の食事内容・朝食摂取後実験を 実施するまでの時間設定の 3 つの課題の改善 に取り組み,妥当性の高い研究を進めていく中 で,朝食摂取が身体能力に及ぼす影響を科学的 に明らかにしたいと考えた.

2.研究方法

被験者は,滋賀県B大学硬式野球部員42 を対象とし,朝食摂取 1 時間後に,利き腕 1 回のみの握力測定,100ます計算解答時間測定 を実施した.次日,朝食非摂取で,利き腕 1 回のみの握力測定,100ます計算解答時間測定 を実施し,実験終了後に朝食を摂取させ,朝食 摂取4日間,朝食非摂取4日間の,計8日間実 験を実施した.分析方法は,対応のあるt検定 で分析を行った. また,握力測定実施被験者の み身長,体重,除脂肪量を測定し,被験者の握 力最高値と除脂肪量を単回帰分析により分析 を行った.

3.結果および考察

朝食摂取と朝食非摂取で,握力測定と 100 ます計算解答時間測定を行い,握力測定実施被 験者11名中有意差があったものは4名(p<0.01 1名,p<0.05 3名)となった.握力最高値は被 験者11名すべてにおいて,朝食摂取日の握力数 値から最も高い結果が出ており,握力平均値は

(2)

被験者 1 名が朝食摂取日と朝食非摂取日が同 じ数値であったが,11名中10名において,朝 食摂取日の握力平均値が高い結果となった.こ の結果から,朝食摂取日と朝食非摂取日を比較 したとき,朝食摂取日は朝食の影響により,握 力数値が向上したと考えられた.

朝食摂取により握力が向上したと考えられ る要因として,食事誘発性熱産生の発生が関係 しているのではないかと推測した.

握力最高値と除脂肪量の単回帰分析では,重

相関係数R0.6165となり±0.4~±0.7となる

ため,握力最高値と除脂肪量との正の相関があ ると認められた.

100 ます計算解答時間測定は被験者11 名す べ て に お い て 有 意 差 は 認 め ら れ な か っ た

(p>0.05).今回の実験では朝食摂取により 100

ます計算解答時間に良い影響を与えるとはい えないと示唆された.要因としては,計算問題 1桁の足し算であるため難易度が低く, 100 ます計算解答時間という点において朝食摂取 と朝食非摂取の影響が少なかったため,今回の ように朝食摂取日と朝食非摂取日の 100 ます 計算解答時間結果に差があまり出なかったと 示唆された.

1.結果一覧表

2.結果一覧表

4.結論

本研究により,朝食摂取が朝食摂取1時間後 の握力向上に繋がることが明らかになった.握 力向上という観点から,全身の骨格筋が活発に 働くことが可能な状態であったと言えるため,

朝食摂取後に発生する食事誘発性熱産生は全 身の骨格筋に良い影響を与え,握力向上に繋が ると考えられた.このように朝食の重要性を明 らかにし,朝食の重要性を理解することが朝食 欠食の改善策として大切であると考える.さら に,朝食欠食の回数を減らすことで朝食欠食の 改善となり,朝食摂取の習慣化に繋げていくこ とが可能であり,朝食摂取の習慣化により朝食 欠食率の改善に繋がると考えられる.朝食摂取 により握力が向上することから,朝食摂取を習 慣化することが握力低下問題の改善策の 1 になると期待される.

今後の課題として,本研究よりさらに妥当性 の高い研究結果を追求し,朝食摂取が握力・全 身の骨格筋に与える影響を明らかにすること に焦点を絞り,研究に取り組むことが必要であ ると考えた.

引用文献

樋口智子・濱田広一郎・今津屋聡子・入江伸

(2007) 朝食欠食および朝食のタイプが体温,

疲労感,集中力等の自覚症状および知的作業能 力に及ぼす影響.日本臨床栄養学会雑誌,29 (1):35-43.

被験者

朝食有無 朝食有 朝食無 朝食有 朝食無 朝食有 朝食無 朝食有 朝食無 朝食有 朝食無 朝食有 朝食無

握力最高値(kg) 55 48 41 40 42 41 45.0 43 39 36 51 47

握力平均値(kg) 50.6 46.8 39.8 38.3 41 41 44.5 43.0 37.3 34.8 46.0 45.8

p値(上側確率)

解答時間最速値(秒) 97 90 93 95 74 75 84 81 86 89 80 84

解答時間平均値(秒)103.8 105.3 98.8 99.3 82.5 85.5 93.5 87.0 96.5 97.0 83.8 87.5

p値(上側確率)

0.0197 0.0016

0.5311 0.4477

0.8218

0.5671 0.2029

0.5935 0.5000

0.7886 0.0163

0.1693

被験者

朝食有無 朝食有 朝食無 朝食有 朝食無 朝食有 朝食無 朝食有 朝食無 朝食有 朝食無 朝食有 朝食無

握力最高値(kg) 45 40 57 51 57 57 47 44 55 53

握力平均値(kg) 41.3 40.0 56.0 52.8 56.8 56.5 43.0 41.7 52.8 51.5

p値(上側確率)

解答時間最速値(秒)117 125 191 219 75 76 100 97 107 101

解答時間平均値(秒) 133 131.3 205.3 229.0 80.0 76.5 122.0 111.8 114.3 110.8

p値(上側確率)

0.3017

0.2818

0.4590 0.0175

0.9864 0.1918

0.1551 0.3297

0.1918 0.1197

参照

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