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Title 仕事現場における連携と学習:救急救命士の実証研究 [論文内容及び審査の要旨]
Author(s) 髙橋, 平徳
Citation 北海道大学. 博士(経営学) 甲第12090号
Issue Date 2016-03-24
Doc URL http://hdl.handle.net/2115/62257
Rights(URL) http://creativecommons.org/licenses/by-nc-sa/2.1/jp/
Type theses (doctoral - abstract and summary of review)
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File Information Yoshinori̲Takahashi̲review.pdf (審査の要旨)
Hokkaido University Collection of Scholarly and Academic Papers : HUSCAP
学位論文審査の要旨
博士の専攻分野の名称:博士(経営学) 氏名:高橋平徳
審査委員
主査 教授 松尾 睦 副査 准教授 宇田 忠司 副査 准教授 阿部 智和
学位論文題名
仕事現場における連携と学習:救急救命士の実証研究
本論文は、救急救命士を対象とした定量的・定性的な調査データに基づき、仕事 現場における連携の経験がプロフェッショナルの学習に及ぼす影響を明らかにし たものである。本論文は、6 章で構成されている。
第 1 章では、研究の背景と目的が説明されている。医療や災害現場において、医 師、看護師、その他技師と協働する機会の多い救急救命士は、連携の経験と学習の 関係を検討する上で適した分析対象であるといえる。
第 2 章では、本テーマにかかわる先行研究がレビューされている。具体的には、
経験学習、状況的学習、水平的学習、熟達に関する主要研究のレビューを通して、
従来の研究が、組織内同職種を対象としていること、および、連携の経験が学習の リソースとして捉えられていないことが指摘されている。
第 3 章では、先行研究の課題を受け、2 つのリサーチクエスチョン(「仕事現場 においての連携はどのように能力獲得と関係しているのか」「連携と能力獲得の間 には、どのような学習プロセスが存在するのか」)および分析モデルが提示されて いる。
第 4 章では、救急救命士を対象とした質問紙調査データを基に、「仕事現場にお ける連携がどのような形で能力獲得と関係しているか」というリサーチクエスチョ ンが定量的に検討されている。救急救命士のキャリアを1~10 年目、11 年目以降 に分けた上で、経験と能力の関係を重回帰分析によって検討したところ、10 年目ま でのキャリアにおいては、「部下・後輩の指導」と「他地域の職員との出会いや情 報交換」が、キャリア 11 年目以降においては「組織の異動」「医師とのかかわり」
「激甚災害との直面」「他職種とのかかわり」が救急救命士の能力を高めているこ とが示された。こうした結果は、「組織内同職種→組織間同職種→組織内多職種→
組織間多職種」という形で、連携の範囲が拡大することによって救命士の熟達を促 していることを示唆している。
第 5 章では、連携と能力の獲得の間に存在する学習プロセスを明らかにするため に、救急救命士を対象とした自由記述調査データおよびインタビューデータが分析 されている。分析の結果、連携による学習プロセスには、「連携」→「隔たりの認 識」→「省察」→「行動」→「能力獲得」という段階が存在することが明らかにな った。
第 6 章では、定量的分析および定性的分析によって得られた発見事実を、先行研 究の知見と比較検討することによって、理論的インプリケーションがまとめられて いる。また、理論的インプリケーションに基づき、実践的インプリケーションおよ び今後の研究課題についても言及されている。
本論文の主な発見は、①仕事現場における連携を、組織内―組織間、同職種―多 職種の 2 次元によって 4 つに分類したこと、②キャリアの進展にしたがって「組織 内同職種連携」→「組織間同職種連携」→「組織内多職種連携」→「組織間他職種 連携」へと学習の場が拡大していく傾向を示したこと、および③連携による学習に は、「連携」→「隔たりの認識」→「省察」→「行動」→「能力獲得」というプロ セスが存在することを指摘した点にある。本論文は、先行研究において十分に検討 されることがなかった連携の経験に着目し、プロフェッショナルの学習プロセスの 一部を解明するものであり、Kolb(1984)の経験学習モデル、McCauley et al. (1994) の発達的挑戦、Engeström (1987)の水平的熟達化の概念を統合・発展させたものと して理論的に高く評価できる。なお、本研究で提示されたフレームワークが、医師 や看護師等、他のプロフェッショナルの熟達プロセスを分析する際に、どの程度一 般化できるかという問題は残されているといえるが、この点は、本研究の評価を下 げるものではなく、今後の研究課題として位置づけることができるだろう。
以上の点より審査委員全員一致で,高橋平徳氏から提出された学位請求論文が博 士(経営学)の学位授与に相当するとの結論に至った。