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地域社会の担い手としての持続的集落営農の可能性

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修士論文

地域社会の担い手としての持続的集落営農の可能性

人文社会科学研究科

社会科学専攻 地域経営法務専修 112M256

長谷川 栄里

(2)

1

目次

はじめに ... 2

1章 集落営農をめぐる先行研究と課題設定 ... 3

1-1 集落営農をめぐる先行研究 ... 3

1-2 課題設定 ... 5

2章 集落営農の変遷とその今日的諸形態 ... 7

2-1 集落営農の源流 ... 7

2-2 形態差 ... 10

2-3 地域差 ... 13

2-4 まとめ ... 17

3章 三重県の集落営農と地域労働市場... 18

3-1 三重県農業の現状と集落営農 ... 18

3-2 三重県の地域労働市場 ... 21

3-3 松阪地域の集落営農と地域労働市場 ... 23

3-4 広瀬営農組合の取り組み ... 27

3-5 まとめ ... 29

おわりに ... 30

参考文献リスト ... 31

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2

はじめに

「地域活性化」の必要性が叫ばれるようになって久しい。過疎地域や限界集落といった 場所で、「なんとかしよう」と立ち上がる地元住民を中心に、行政が補助金を出して活動を 支援する、という動きは、地方分権の動きと相まって活発になってきている。「若者の都市 部への流出」「農村文化の衰退」と同列で論じられる「地域活性化」は、従来の単なる村お こし・まちおこしといった活動に留まらず、規模や取り組みの内容も千差万別である。そ の中でも、過疎地域や限界集落にある地域資源を最大限に利用し、その土地でとれる農産 物の加工や産直市場での販売、それらを提供する農村レストランを作るといういわゆる「3 点セット」方式1は、イベント等の単発に終わるものより、農産物から生み出される価値を 高め地域の雇用を増やすという意味で広く取り入れられている手法である。こうした取り 組みは「6次産業化」とも呼ばれ、多くの自治体が積極的に推進している。農村地域におけ る生活から農業を切り離して考えることは困難であり、農業を利用して地域の経済を活性 化させるという考えは、ごく自然な発想であると言えよう。根底においてそれらを貫く論 理は、「地域経済の循環が活性化されれば、地域に人が増え、コミュニティ等の維持につな がる」というものである。「農業の担い手」こそが「地域社会の担い手」であるという発想 に基づき、これらの取り組みが地域活性化の手段となり得ると期待されてきた。

しかし、今日実際に農村社会を構成しているのは、「農業の担い手」ばかりではない。水 管理・畦畔管理といった農地の維持のために必要な仕事は、農地を所有する住民の生活の 一部として組み込まれている場合が多いが、農地所有者の多くは兼業農家、土地持ち非農 家と呼ばれる人々である。今後の農地の継承性・管理の持続性には課題がある。

そこで、現在注目されている取り組みが「集落営農」である。これは、所有者がばらば らに存在する農地を、集落の農家が設立した集落営農法人で借り上げ、機械などの共有を 通してコストを下げることで利益を生み出し、土地の維持管理につなげるという取り組み である。農地を貸すことによって農地所有者には地代収入が、農作業に従事するオペレー ターには賃金が支払われ、さらにこれまで利益を生み出さず、地域の人々の役目として負 担せざるを得なかった畦畔管理などにも一定の報酬が支払われることで、集落全体で農地 を維持管理していこうとするこの取り組みは、さまざまな展開を見せながら全国に拡大し ている。第1章で詳しく取り上げるためここでは詳述しないが、6次産業化、地域ブランド といった付加価値路線、大規模化によるコストカット路線など、そのありかたは多種多様 である。しかし、それらの発展的な取り組みが持続性を持って地域活性化につながってい くかどうかは、基盤となる組織の持続性に左右されると考えられる。地域活性化のために は、「農業の担い手」としての集落営農だけでなく、兼業農家や土地持ち非農家などの農地 所有者を積極的に「地域社会の担い手」として位置づける持続的な集落営農のありかたを 考えるべきではないだろうか。

1 松永(2012)、p165。

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3

本研究では、これら「集落営農」の取り組みに焦点を当て、集落営農組織が地域社会の 担い手となりうるか、またその持続性の条件は何かを考察することを課題とする。

まず、第1章では、「はじめに」で取り上げた地域農業・集落営農をめぐる議論の整理を し、課題設定を行う。第2章では集落営農がどのような歴史的背景を持つのか、農政の変 遷とともに整理し、現在全国で取り組まれている集落営農の事例の特徴を分析し、分類す る。第3章では、第2章を踏まえて、三重県の労働市場と持続的集落営農の関係性を考察 する。

1章 集落営農をめぐる先行研究と課題設定

1-1 集落営農をめぐる先行研究

松永(2012)は、集落営農の位置づけを、地域の経済的自立のための動きのひとつとして、

中国地方の取り組みを中心に紹介している。中山間地域などの条件不利地域が多く、産業 構造の転換とともに地元の産業の衰退や都市部への若者の流出などの問題が顕在化した中 国地方こそ、集落営農の発祥の地である。松永は、中国地方の集落営農組織の拡がりを分 析し、市町村合併などに伴い地域の農協の撤退や学校が廃校となったことによってコミュ ニティの基盤が失われることに危機感を持った住民が、行政に頼らずとも自分たちで生活 を守るために団結したことに着目している。集落営農組織は、中山間地域における農業の コスト高対策という意味だけではなく、地域のなかでの住民ひとりひとりの意識を高め、

行政との関係性を問い直すという意味にも重きを置いている2

一方、楠本(2010)は、集落営農を「農業をはじめ地域が直面している諸問題を解決し、人 びとが張り合いを持って働き、いきいきと暮らし続けることができるようにするため、地 域や集落で相談し、話し合い、知恵を出し合って取り組む協同活動」であるとしている3

「社会的協同体」とは、地域社会の公益を目的として蓄積される「社会的資本」によって、

持続的に経営体として運営される自治組織であるとし、単発のイベントや祭りでは蓄積す ることのできない、地域社会の持続的な再生産を促進する社会的な仕組みであるとする。

「協同」という言葉は、近代化され技術も向上し、変質した農村の農業のありかたが「個 別的」であるという現状に対して向けられている。

また、集落営農組織の発生の流れを見てみると、「コストを減らすため、機械の共同利用 のため」に作られた、国の政策による集落営農推進の流れによってできた「受け皿」とし ての性質が大きい集落営農組織と、それを源流とする地域のニーズに対応するため自発的 に生まれた集落営農組織の流れが合流するかたちで発展しているという。当初は大豆や麦 の転作をまとめて行うための受け皿かもしれないが、徐々に野菜の生産や加工、そして直

2 松永(2012)、pp11-97。

3 楠本(2010)、p49。

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4

売所経営や農村レストランへと発展していく図式を掲げ、これまで農村では労働の対価を 得られなかった女性の農業起業などについても積極的に集落営農を推進している4 そもそも「担い手」とは何かを、土地利用型農業の構造の変化のなかで位置づけようと しているのが田代(2011)である。土地利用型農業は、日本の農政の変化・グローバル化に逐 一多大な影響を受けている。古くは地主制下における食料増産のため、「生産力担当層」を 担い手と位置づけているが、農地改革などを経て、高度成長の頃から企業経営的な視点を 持つより小さな規模である「小企業農論」へと変容し、農政もこれらの自立経営農家が中 核農家へと成長し担い手となることを提唱しはじめる。そして、高度成長の波が全国的に 広がり、総兼業農家時代となる。そのなかで、農業は農家だけで担いきれるものではなく なり、作業・経営の委託や地域営農集団の形成が必要になり、その受け手としての「中核 農家」が生じる。農作業の請負を市場で取引している、という見方より、そこには地域的 な信頼関係に基づいた、農村のニーズを担うものとしての「担い手」という意味が生じて いる。田代は、こうした農作業の外部化が、「担い手」を中核的な「農業経営の担い手」だ けに留まらせず、オペレーターとしての「機械作業の担い手」、水・畦畔管理を行う「地域 資源管理の担い手」等をも派生させていると指摘している。80年代~90年代に入ると、地 域農業はグローバル化の影響に直面し、地方と都市の格差や人口流出、過疎化など、地域 を存続させること自体が危うく、「地域の担い手」が不在となることが社会問題化する。そ の中で「むらおこし」や「まちおこし」といった「地域活性化」が全国的に広がりを見せ、

「農業従事者組織」というより「地域ぐるみ」で課題に立ち向かう必要性が生まれ、「地産 地消」や「グリーンツーリズム」といった多様な取り組みを担う「担い手」が登場し、そ もそも「その土地に留まること」自体が地域社会を担っている、という現象が起こった。

これに対して、「農業の担い手」という側面だけで見れば、グローバリゼーションに対抗す るためには、より個別的な努力をした経営体を選別していこうという流れのなかで「認定 農業者」制度が導入されるなどしている。このように、「担い手」の多様性とは、次元的な 多様さと性質としての多様さを持ち合わせていることを提唱している5

集落営農が可能になる前提として、地域の農家が所有する農地を貸し出す「利用権設定」

の概念がある。この点についてくわしいのが楜澤(2011)である。楜澤は、農地制度を考える とき、個人の私的所有物である「農地」と、それが存在するコミュニティとしての「むら」

を一体的にとらえようとする視点そのものに論点があると指摘し、1920年代の「小作人へ の先買権付与論」に遡って論じている。つまり、「むら」という地域のなかに農地をとどめ ておこうと、むらの中では農地管理が行われており、「耕作をする者」と「耕作をする土地」

は近接していなければならないという概念は、法制化には至らずとも「むら」の基盤を成 す概念となっていく。70 年代、高度成長が進み、地域のあり方は変容していく。農地をど

4 楠本(2010)、pp50-123。

5 田代(2011)、pp17-31。

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5

のように守っていくかは重要なテーマであり、農地の流動化と耕作権の保護が問題となっ た。そこで生まれたのが「利用権設定」という概念である。地域の農地を流動化させると いっても、一般的な農地貸借市場に農地の利用権を放出するというものではなく、あくま でも農地管理と一体のものとして、農業者と土地所有者の信頼関係に基づくものとして想 定された制度であることが指摘されている6

「地域」の単位をもう少し拡大するとどのようなことが見えてくるか。橋詰(2011)は、農 地の所有・利用構造の地域性について言及している。集落営農は、農地の所有者が利用権 を設定し、営農組合や中核農家に農作業を委託できる環境が前提となっているが、「農作業 の担い手」となる農家は均一に存在しているわけではない。地域が抱える背景もそれぞれ 異なっている。橋詰は、水田の貸借において、どのような組織が「受け手」として存在す るかを都道府県別に分析している。すると、集落営農組織が発達しているグループと、組 織と個別農家が同程度分担しているグループ、大規模個別農家に集約されているグループ があることがわかった。地域の持つ背景により、「担い手」の厚みにも差が生じ、その流れ で集落営農のありかたも多様化していると言えよう7

その「地域の背景」を成すものとして、地域農業と地域の労働市場の関係性を指摘する のが山崎(2008)である。山崎は、国内農業が農外労働力の供給源であったことを指摘すると ともに、農業による収入が労働者の生活を支えているために低賃金構造が可能であったと いう出稼ぎ・日雇いと農業の構造を指摘している8。また、野中(2008)は東北地方の農業と 労働市場について、出稼ぎとの関係性を指摘している9

1-2 課題設定

以上の先行研究は、さまざまな分野から地域農業・集落営農について研究されているが、

集落営農をどのようにとらえるかという視点では以下のように整理できよう。

第1に、農業の形態としての集落営農論である。農政の変遷に伴う補助金の受け皿とし ての組織化や、中山間地域の点在する小規模な農地の管理を集約化することでコストを削 減するなど、所有と経営の分離を積極的に行うことで「農業」をより効率化し、利益をあ げるための組織として集落営農が存在するという論点である。

第2に、地域活性化の手段としての集落営農論である。集落営農組織が発展すれば、農 産物加工や地域ブランド化を推し進める中核的な組織となりうる。これにより、付加価値 が増え、地域のなかで利益が循環するという理想的な構造が生み出される可能性がある。

雇用の創出につながり、若年層の就農にも期待が持てる。また、集落営農組織自体が地域

6 楜澤(2011)、pp230-240。

7 橋詰(2011)、pp76-101。

8 山崎(2008)、pp1-21。

9 野中(2008)、pp151-163。

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6

社会の維持に貢献することとなり、コミュニティビジネスとして地域活性化の拠点となる 可能性を持つ。

第3に、地域社会の担い手としての集落営農論である。農業の担い手としてだけではな く、機械の操作や畦畔の管理を組織化することによって、地域コミュニティ・地域資源の 維持につながる。また、女性たちや定年後の帰農・農業起業のハードルを下げ、就業機会 の少ない農村に雇用をもたらし、生きがいを創出することが期待される。「担い手」を広く とらえるなかで重要な論点である。

これらのうち、第1・第2の論点は「農業の担い手」が「地域社会の担い手」でなけれ ばならないという発想のもとで注目されてきた論点であると言えよう。地域社会を担う「農 業の担い手」が自立的農業経営を行えるようにするための手法として、付加価値を高める6 次産業化や地域ブランド化、効率化のための大規模経営などが位置づけられてきた。この 発想の延長上には、効率的な「担い手」への農地の集中、そしてその「担い手」としての 企業の農業参入などがある。これに対して第3の論点は、農地の大多数を所有する第2 兼業農家や土地持ち非農家を主体として位置づけ、「管理・組織化」するための仕組みとし て集落営農をとらえている。しかし、現在の多くの集落営農は、国や市町村の推進もあっ て補助金が投入され、その利益の大半を補助金によってまかなっているという現状がある。

地域住民の生活が兼業先や年金によって安定化されており、農業収入が生活の基盤となっ ていないという前提の上に、「集落営農による地域活性化」は置かれている。今後、国の農 政の変化とともに、こうした補助金もどうなるか不明である。このような状況のなかで、

集落営農組織が持続していくためには、どのような条件が必要となるだろうか。

以上の点をふまえ、改めて本稿の課題を整理しよう。

本稿では、従来多くの先行研究で言及されてきた6次産業化や地域ブランド創出といっ た点のみでなく、幅広い意味での「地域社会の担い手」としての持続的な集落営農のあり かたを考察する。集落営農を農業生産活動の主体として発展させる必要性と、一方で地域 資源の共同管理・調整機能を担う基盤としての持続性を、地域労働市場との関係性から分 析することを本稿の課題とする。

(8)

7

2章 集落営農の変遷とその今日的諸形態

2-1 集落営農の源流

「集落営農」という言葉が登場する以前から、日本の農村においては、集落内で協同し て農作業を行う習慣が根付いていた。まずは、農村における協同について、歴史的な経緯 を整理する。

1)幕末~戦前

楠本(2011)は、集落営農の活動の源流を、幕末の農村指導者・大原幽学が指導にあた って形成された先祖株組合であるとしている10。商品生産貨幣経済が浸透し、封建農村が解 体された幕末、天災や飢饉などで生活に困窮したのは農村であった。そのなかで、農民は

「先祖株組合」を作り、それぞれの所有地のうち金5両相当の耕地の耕作権を出資し、共 同耕作を行っている。また、そこで生じた利益を、飢饉等で苦しむ農民の救済に当ててい る。農業で出た利益を、生活用品の共同購入等にあて、村の世帯を減らさないための工夫 がされていたのであった11。続いて、明治後期~昭和の戦前期にかけては、むらを基礎とし て「農家小組合」が組織されるようになった。「農家小組合」とは総称で、全国各地で自発 的に形成された「農談会」を明治農政の実行主体として組織的に育成普及したものであり、

地方によって「農家組合」「農事改良組合」など名称は異なる。活動内容においても、現代 の集落営農に通じるような、農業だけでない「農村における全般的な活動」をする組合な どもあり、種類はさまざまである。1928年には15万以上の組合が全国で組織され、その 多くは法人化までされていた。しかし、1947年の「農業団体整理法」にもとづいて、戦争 遂行のための経済統制団体としての役割を担っていた組織として解散させられている12

2)戦後~高度成長

第二次世界大戦後のGHQによる農地改革で、従来の「地主‐小作」体制は解体され、

自作農主義の始まりとともに、農村の民主化が進んだ。農村における水利施設の維持管理 や田植え、生活物資の共同購入、保育、炊事など、農村の協同活動は戦後の食料増産運動 などの流れのなかで活発であった。

しかし、経済発展に伴って、農工間格差などの農業の構造的矛盾は拡大していく13。そこ で課題となったのが農業の構造改革であった。1960年代の旧農業基本法にもとづく農政は、

農家の自立経営を推進し、法律によって制度化された補助金・低利融資を推進手段とした

「農業構造改善事業」などが各地で行われた。また、農業倉庫やカントリーエレベーター、

ライスセンターなど「農業近代化施設」が各地に建設され、受益者を構成員とする組織を

10 楠本(2011)、p75。

11 楠本(2011)、pp75-77。

12 楠本(2011)、pp78-83。

13 島本(2011)、p12。

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8

整備することが、補助金交付の条件となった。このとき結成された組織が現在の集落営農 の組織として活動しているケースもあり、政府主導で作られた「官製集落営農」としてと らえることができる14

1970年代に入ると、農業の大規模化が課題となる。そこで、自作農主義を強くうたって いた農地法を改正し、生産性の高い経営による効率的な利用を求めて、農地の貸借による 流動化を促進していく。1975年には「利用権設定」が制度に組み込まれることとなり、新 しい賃貸借制度によって利用権設定面積は急速に拡大した。

また、この頃、秋田県では今日の集落営農に近い「集落農場」という取り組みが行われ ている。1972年~78年度までに1302集落が県の指定集落となり、秋田県の農業集落の5 3%が参加する一大事業であった。その定義も「集落または実行組合、農業生産班などを 単位に集団を組織し、農業生産過程の一部または全部を協業化するとともに、資本整備の 高度化によって稲作を省力化し、その余った労働力は地域の実情に合わせて土地・資本と 合理的に結び付いた米以外の作物の導入拡大にふり向け、農作業の受委託ならびに作物等 の分担によって所得の増大と規模拡大を図り、合わせて農村集落としてのコミュニティの 形成を促進すること」15と、現在の各地で使われる定義とよく似たものであった。その成果 として、阿部健一郎は「経営の複合的拡大を基本理念としており、拡大部門を導入定着さ せた先進集団では、後継者、婦人労働力の農外への流出は少ない」としているが、それに 対して安藤(2008)は、当時は直系重世代家族構成を維持している農家が農村社会を形成して いることが前提であると指摘しており、現代のように高齢一世代化などが進み「個人の集 団としての地域社会になっている地域」が増加している状態ではないことを指摘している16

3)1980年代~現代

1982年、全国農協中央会は第16回全国農協大会において「地域営農集団構想」を強化 すべきとした。地域や集落の弱体化を前提に、機械作業等、主要な作業を中核農業者に集 積するという「農地の利用調整」に農協組織が積極的に関与し始めたのである。これによ って組織された一部は、現在の集落営農組織の基盤となっているものもある17

1990年代には、貿易自由化などの流れがより一層強くなる。新たな担い手として、法人 も含む「認定農業者」が現れ、法人化・株式会社化が展開されるようになった。

2003年、今日の集落営農の大きな流れを作ったのが、農業経営基盤強化促進法の改正に おいて、「経営主体としての実質を有する」集落営農組織、特定農業団体が農地の利用集積 を行う担い手をして位置づけられたことと、2007年の「品目横断的経営安定対策」におい

14 楠本(2011)、pp68-69。

15 楠本(2011)、p96。

16 安藤(2008)、p61。しかし、現段階の東北においてはまだ適用可能な路線であるとして いる。

17 楠本(2011)、p97。

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て一定条件を満たす特定農業団体及び特定農業団体と同様の要件を満たす集落営農組織が 補助金を受給しうる「担い手」として位置づけられたことである18。これによって、「補助 金の受け皿」としての集落営農が全国各地で組織されることとなった。

今ある集落営農組織を設立年別に分けたものが表2-1-1、構成比が表2-1-2である。全国的 な特徴として、1983年以前から存在した組織と、2000年代以降の農政に対応する形で組織 された集落営農の二つに分かれていることがわかる。それぞれの地域別に見ていくと、北

18 鈴木(2011)、p167。

13% 4% 4% 6% 11% 48% 15%

50% 11% 3% 6% 11% 12% 7%

9% 1% 1% 4% 11% 62% 10%

10% 2% 6% 10% 13% 46% 13%

関 東 ・ 東 山 7% 2% 3% 3% 7% 58% 19%

19% 10% 5% 6% 11% 32% 17%

21% 7% 6% 7% 7% 31% 21%

22% 7% 6% 8% 14% 24% 19%

8% 2% 3% 5% 21% 45% 16%

3% 2% 4% 6% 7% 67% 11%

17% 17% 17% 17% 33% 0% 0%

84~88年 89~93年 94~98年 99~03年 04~08年 09年以降 全国農業地域

都道府県

1983年以

単位:集落営農

14,634 1,864 567 588 948 1,547 6,982 2,138 266 132 29 9 17 28 32 19 14,368 1,732 538 579 931 1,519 6,950 2,119 3,295 313 49 32 140 377 2,052 332 2,326 230 55 129 242 311 1,059 300 980 66 24 32 29 68 573 188 767 146 76 38 46 83 244 134 2,057 442 136 124 135 154 629 437 1,938 430 126 113 163 266 471 369 391 31 6 10 20 84 176 64 2,608 73 65 100 155 174 1,746 295 6 1 1 1 1 2 - - 99~03年 04~08年 09年以降 全国農業地域

都道府県

1983年以

84~88年 89~93年 94~98年

2-1-2 設立年次別集落営農数(構成比)

(出所:農林水産省(2013)「集落営農実態調査」より作成)

(出所:農林水産省(2013)「集落営農実態調査」より作成)

2-1-1 設立年次別集落営農数

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海道や東海・近畿・中国地方では、1983年以前に設立された組織が2割~5割を占めてい るのに対し、東北や四国・九州などでは1割にも達していない。一方で、東北や関東・東 山、九州地域においては、2004年以降に設立された組織が7割以上を占めている。

2-2 形態差 1)農作業体制別

歴史的背景も設立年次も多種多様な集落営農は、いくつかの共通点に沿って分類される。

まずは、集落営農組織が実際にどのような活動をしているのかに着目した場合の分類であ る。いわゆる「集落ぐるみ型」と「担い手(オペレーター型)」といった分類がそれに当た る。「集落ぐるみ型」は、その名の通り集落ぐるみで機械の共同利用や農作業の協業などを 行う性質が強いものであるが、それに対して「担い手型」は農作業などを一部のオペレー ターが担当する転作受託組織・農作業受託組織といった「受託組織」としての性質が強い ものを指している。図2-2-1は、水稲・陸稲における農作業体制別に集落営農を分類したも のである。2013年の全国の割合を見ると、「組織内のオペレーター中心」が約55%、「構成 農家による共同作業」が約44%であり、2011年から2013年にかけてオペレーター中心の

「担い手型」が増加傾向にあることがわかる。北陸・東海・九州においても同様の傾向が 見られるが、東海では組織外委託の割合も増加し、「集落ぐるみ型」の割合の減少が目立っ ている。一方で近畿では「担い手型」が減少し「集落ぐるみ型」が増えており、地域によ って「集落ぐるみ」と「担い手型」の割合に違いがあることがわかる。

農作業工程についてもう少し詳しく見てみよう。水稲・陸稲の農作業工程は複数あり、

必要な労働力も農業用機械も工程別に異なる。図2-2-2はそれらの工程別の農作業体制を見 たものである。耕起・代かき、田植え、稲刈り・脱穀については、組織内のオペレーター が行っているという集落営農組織が6割以上を占めている。特に稲刈り・脱穀は7割以上 を占め、大型の特殊な機械を必要とする作業を一部のオペレーターが担っているという構

2-2-1 水稲・陸稲における農作業体制別集落営農の構成比推移

(出所:農林水産省(2011-2013)「集落営農実態調査」各年版より作成)

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2-2-3 集落営農組織の段階的発生過程

造が明らかである。病害虫などから稲を守る「防除」についてはほぼ1:1:1の割合で、

組織外受託が最も多い工程である。それに対して、水管理や除草などについては約75%が

「構成農家による共同作業」であると答えており、「集落ぐるみ型」「担い手型」に関わら ず、集落に住む農地所有者が出合い方式で担っている集落営農組織が多いと言えよう。逆 に言えば、利用権を集積し、農作業をオペレーターにまかせたとしても、農地所有者によ る水資源管理などが行われなければ、持続可能な集落営農となる可能性が低いとも言える。

田代(2011)の言う「地域資源管理の担い手」がそれに当たる19

2)活動内容別

集落営農の歴史を振り返って みると、集落営農組織は農作業の 協業を行っているだけのもので なく、生活に必要なサービスを集 落内で協同で提供し合い、集落で の生活を支える「生活の担い手」

そのものであったことがわかる。

今日ではその流れはさらに発展 した形で、日本各地に広がってい

19 田代(2011)、p20。

2-2-2 水稲・陸稲における集落営農の農作業工程別体制

(出所:農林水産省(2010)「集落営農実態調査」より作成)

発展方向

活動内容

(出所:楠本(2011)p71より)

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12

単位:%

消費者等へ の直接販売

農産物 の加工

農家 レストラン

都市住民

との交流 その他

100.0 26.3 26.1 21.9 5.7 0.6 4.2 0.8 0.4 73.7

100.0 45.6 44.9 38.9 11.9 1.5 7.4 1.2 1.2 54.4

100.0 19.0 18.9 15.4 3.3 0.3 3.0 0.6 0.1 81.0

100.0 35.2 35.2 25.9 7.4 1.9 5.6 1.9 - 64.8

100.0 18.1 17.7 12.6 6.3 0.2 2.2 1.2 0.4 81.9

100.0 32.1 31.7 26.6 6.7 1.2 2.8 0.4 0.8 67.9

100.0 24.2 24.2 18.0 8.2 2.0 7.1 0.7 - 75.8

100.0 33.3 33.3 28.7 4.7 0.4 5.4 1.4 0.4 66.7

100.0 39.5 39.5 37.0 4.3 - 6.9 0.5 0.3 60.5

100.0 37.5 37.1 33.9 7.1 1.1 7.1 1.1 1.1 62.5

100.0 27.1 27.1 22.2 5.6 0.7 4.9 0.7 - 72.9

100.0 13.4 13.4 11.1 2.9 0.2 3.0 0.3 - 86.6

注: 農業生産以外の事業とは、農業生産関連事業である消費者等への直接販売、農産物の加工、農家レストラン、都市住民との交流(観光農園、

  農家民宿等)、その他(海外への輸出等)及び建設業や運送業等の農業生産と関連のない事業のことである。

区   分

農業生産以外 の事業に取り 組んでいる

(実数)

取り組んで いない 農業生産関連

事業に取り組ん でいる

(実数)

農業生産 関連事業 以外の事業

2-2-1 集落営農組織が取り組んでいる農業生産以外の事業内容

るといえよう。楠本(2011)は「集落営農組織の段階的発生過程」として、図2-2-3を用いて、

時系列的に集落営農組織がどのように発展していくかを説明している20。また、楠本は「2 階建て方式」として、地域資源の共同管理・調整機能を持った組織を1階部分、生産活動 などを行う組織を2階部分とした組織を提唱しており、1階部分は「集落ぐるみ」で、2 階部分は定年帰農層や女性部会、オペレーターとしての担い手農家など実行力のある組織 づくりを推奨しており21、このような多角的な集落営農のありかたはあくまでも「地域資源 の担い手」によって固められた1階部分の組織の上に成り立つものであると言える。2-2-1 は、農業生産以外の事業に取り組んでいる集落営農組織についてまとめたものである。図

2-2-3をもとに、表2-2-4を見てみよう。

全国では、農業生産以外の事業に取り組んでいる組織は全体の26.3%と、3割近くの集落 営農が農作業の協業だけでなく他の事業に取り組んでいることがわかる。特に、法人化さ れた集落営農のうち45.6%が他の事業に取り組んでおり、事業の多角化・発展を目指す組 織の法人率が高くなっている。中でも「消費者などへの直接販売」が38.9%、「農産物の加

工」が11.9%と、加工・販売系に力を入れていることがわかる。一方で、法人化されていな

い任意組織では、多角化に取り組んでいるのは全体の約2割と決して多くない。農産物加 工に取り組んでいるのも3.3%と、施設整備や初期投資がかかる事業に発展しているケース はまだ少数派であると言えよう。

地域別に見ると、東北や九州では多角化が進んでおらず、8割以上が「取り組んでいない」

と答えている一方で、近畿や中国では比較的に多角化が進んでいる傾向がみられた。

20 楠本(2011)、pp70-74。

21 楠本(2011)、pp52-56。

(出所:農林水産省(2013)「集落営農実態調査」より作成)

(14)

13 2-3 地域差

ここまで様々な統計データを用いて集落営農の現状を見てきたが、全国的な傾向はあっ ても、各地域によってその実情は大きく異なっており、各指標で特色があることがわかっ た。そもそも農業とは、地質や地形・気候などの自然条件に大きく左右される産業である。

その違いから生じる多様性が日本独特の文化の基盤となり、地域の生活を支えてきたとも 言えよう。よって、集落営農という取り組みは、各地の条件に合わせて、独自の発展を遂 げているのである。楠本(2006)は、それらの多様な取り組みのなかに共通点を見出し、地域 別の大まかな特徴を整理している。本項では楠本(2006)の分類22をベースに、具体的な事例 を参照しながら考察する。

1)北陸平野型

近代工業化が進み、兼業機会に恵まれている北陸平野は、50~100haの農地を団地化し 耕作できる条件にある。しかしそのために、専業農家の高齢化や耕作放棄などの問題にも 直面してきた。機械利用を集約させ低コスト化をはかり、地域ぐるみ型の集落営農組織の 法人化が進んだ集落営農が特徴的で、法人化された組織の割合は33.7%と全国で最も高い

(表2-3-1)。表2-3-25年先の後継者の有無別集落営農組織数であるが、北陸においては

「後継者が確保されている」という組織が81.3%と全国で最も多くなっている。2008年時 点と比べても増加しており、集落営農組織の持続性は高いと言える。しかし、想定される 確保先としては「構成農家やその家族から」と答えた組織の割合が12.7%と、北海道の次 に低いことも特徴的である。

北陸平野型に分類される典型的な地域としてまず挙げられるのは、全国的にも「集落営 農先進県」として知られている富山県である。気候の影響もあり、肥沃な土地と水力発電 による安定的な電力供給などによって工業地域として成長した富山県では、兼業農家の割 合が高い。それ故に、通年にわたって常に手間をかけなければならない作物より、ある程 度農作業をまとめて行える水稲栽培が発達した。60年代に積極的に推進された農業の構造 改善事業で水田の圃場整備が進み、個別農家単位での農作業の機械化が進められたが、そ れが高コスト構造の一因となった。そのため、集落営農の設立時の性質としては、「農業機 械の共同利用のための組織」としての色が濃く、そういった組織が制度の変化に合わせて、

補助金の受け皿となるべく「集落営農組織」へと性質を変えていったと言える。

22 楠本(2006)、pp16-18。

(15)

14 2)中国山地型

兼業機会に恵まれた一部の都市近郊地域と、過疎化・高齢化に悩む中山間地域から構成 されるのが特徴である。集落営農への取り組みの歴史は古く、中国地方では1983年以前に 設立された組織が全体の22%と、北海道を除けば最も多くの割合を占めている(表2-1-2) また、法人化率も比較的高く、31.7%が法人化されている(表2-3-1)

中国山地型で注目すべきは、自然条件的にも厳しい中山間地域における集落営農の取り 組みである。区画が狭く、棚田など機械が入りにくい形状の田畑が多い中山間地域では、

個人が機械を所有するメリットが少なく、機械の共同利用組合は早い段階から設立されて

単位:集落営農

株式会社

合名・合 資・

合同会社

14,634 2,916 19.9% 2,498 399 13 6 11,718 266 35 13.2% 17 18 - - 231 3,295 435 13.2% 322 110 2 1 2,860 2,326 785 33.7% 681 101 3 - 1,541 関 東 ・ 東 山 980 218 22.2% 184 33 - 1 762 767 137 17.9% 107 30 - - 630 2,057 243 11.8% 192 43 4 4 1,814 1,938 615 31.7% 580 31 4 - 1,323 391 89 22.8% 83 6 - - 302 2,608 359 13.8% 332 27 - - 2,249 6 - 0.0% - - - - 6

法人

非法人 全国農業地域

都道府県

(A) 小計

(B)

農事組合 法人

会社 法人化率 その他

(B/A)[%]

単位:%

2008 2013 2008 2013 その家族から構成農家や

構成農家では ない集落内の 農家から

集落外の 農家から

新規就農 から

その他

71.4 70.5 28.4 29.5 21.5 7.2 6.2 5.7 2.9 100.0

78.6 75.9 21.4 24.1 3.7 7.4 3.7 9.3 9.3 100.0

67.7 66.4 32.3 33.6 25.5 6.5 6.9 6.9 3.3 100.0

80.3 81.3 19.5 18.7 12.7 4.8 3.2 4.0 2.4 100.0

62.7 67.6 37.3 32.4 24.4 8.7 8.0 4.7 2.7 100.0

72.5 67.0 26.9 33.0 21.1 10.8 9.3 4.3 3.2 100.0

72.7 70.4 27.3 29.6 21.7 8.2 6.6 4.1 2.6 100.0

78.2 70.4 21.5 29.6 21.4 8.2 5.4 7.5 4.6 100.0

53.2 56.9 46.8 43.1 34.0 17.4 8.3 9.7 2.1 100.0

66.0 68.7 33.5 31.3 22.9 6.4 6.7 6.1 2.2 100.0

想定される確保先(複数回答)(2013)

海 道

関東・東山

後継者が確保されている 後継者が確保されていない

区   分

2-3-1 組織の経営形態別集落営農数

(出所:農林水産省(2013)「集落営農実態調査」より作成)

(出所:農林水産省「集落営農実態調査」各年版より作成)

2-3-2 後継者の有無別集落営農組織の割合

(16)

15

いる。それらの共同利用組合が母体になっている集落営農組織が多いため、1983年以前に 設立された組織が多いと考えられる。中山間地域における法人化について鈴木(2011)は、

国の政策で集落営農が積極的に位置づけられ、米価が下がり条件不利地域における農業経 営が実質的になりたたないときに動きが顕著になっていると指摘する23「集落営農組織の 活動目的」を見ると、中国地方では96.4%の組織が「地域の農地の維持管理のため」と答 えている(表2-3-3)ことからも、今後の農業・農地の維持管理に危機感を持っていること がわかる。

過疎化・高齢化で地域コミュニティそのものが揺らぐ状況下では、小学校の廃校や農協 の合併など生活の基盤となるサービスの存続が危ぶまれ、住民の危機感はますます強まっ ていく。そこで、生活維持のため、自分たちの手によって従来のサービスを存続させてい こうと、日用品販売の店舗経営、農産物加工・販売、農産物直売、交流事業などに乗り出 すという流れが生まれている。それは農業生産以外の取り組みを行う組織が比較的に多い

(表2-2-1)という点にも表れていると考えられる。

具体的な事例として挙げられるのが広島県や島根県の集落営農組織である。広島県にお ける集落営農広島県東広島市の「ファーム・おだ」は、地域の小学校の廃校・市町村合併 による診療所の閉鎖などに危機感を持った住民が自治組織「共和の郷・おだ」を設立した ところから発展し、オペレーター型の集落営農組織を作り上げている24。人口流出などでそ もそも担い手が少ないため、少数のオペレーターで農作業を担う方式が適しているのであ る。これにより、女性たちの労働量を減らすことになり、農作業の代わりに農産物加工な どに取り組むことができるようになった。この動きを単なる「6次産業化」と言うこともで きるが、これまで「農家の嫁」という立場から労働対価を得ずに重労働をしてきた農村の 女性が、オペレーターによって農作業が効率化されたために余剰労働力となったからこそ の取り組みであると言えよう。

島根県では、経営面や法人化といった側面ばかりが重視されることに危機感を覚えた、

県の職員や普及員らによる「次世代の集落営農の在り方研究会」のメンバーが、集落営農 組織の評価軸として「地域貢献度」を加えることを提言した25「地域貢献度」の指標とし ては、農地の利用権設定や農作業受託の有無、雇用創出効果としての水稲作以外の売り上 げの他、収穫祭などの開催回数も入っており、これらの指標に合わせて試算した結果、集 落営農の地域貢献度は平坦地域の組織より中山間地域の組織の方が高いことがわかった26

具体的な取り組みとしては、中山間・過疎地域にある有限会社グリーンワーク(以下グ リーンワーク)の取り組みが特徴的である。グリーンワークは2003年に2つの営農組合が 合併してできたもので、農事組合法人に比べて制約の少ない有限会社の形式をとっている。

23 鈴木(2011)、p168。

24 松永(2012)、pp83-93。

25 楠本(2010)、pp223-227。

26 楠本(2010)、p227。

参照

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