6
‑ 弘 前 医 学 第1 6
巻 第1‑2
号実験 的痘撃脳 の電子顕微鏡 的研究
一 大脳 皮質神経細胞像 を中心 として ‑
本 間 俊 行
HONMA̲ TOSHLYUKI
弘 前 大 学 医 学 部 神 経 精 神 医 学 教 室 (主任 和田豊治 教授) (i
.Ⅱ.1 96 4受 付)
緒 言
痘撃 を含めたてんかん現象の研究 も,多 く の他の研究領域 におけ る と同様に,組織 学的 な方法 を以 って始 め られ
,2 0
世紀前半 に も数1)‑29)
多 くの業績 を得 てい る.然 しいずれ も不 明の 点が多 く臆 測 の範 囲 を出ない .最 近に至 って も. 多 くの動物実験 に よる 電 撃 痩 撃 の 成 績 は,浮腫 ・うっ血 ・出血 ・神経細 胞 の変性 な どを示す とい う反面 ,何 らの変 化 も見出 され25).26) ない とい う報告 もあ る.
ところで,近年 の電子顕微鏡 の登場 と,加 うるに固定法 ・包埋法 ・超薄切片作製技術 な どの相次 ぐ進歩 ・改良は,組織病理学的研究 に多 くの希望 と可能性 を約束す る ところ とな った .事 実,従来 の光顕検索 では未解決 とさ れていた解剖学 的 ・組織病理学的諸 問題 は電 昆削こよ り次第 に明 らかに な って きてい る .た とえば ,
Ni s s l
小 体がRNA
顛粒 を もつ粗面 小 胞体 の集 団であ る ことを明 らかに したPal
30)‑32)
a y及び Pal ade
ら. synapt i c ve s i c l e s
を電 35) 顕 下に見出 したDeRober t i s& Bene t t
.髄36).37)
鞘 の層板構造 を見 出 した
Fe r nAnde zMor A n
,38)
髄鞘 の発生機構 を明 らか に した
Ge r e n
等 の研3 3
)34)39)〜41) 究業績が あ る. 本邦 にお いて も 本 陣, 山 42)43) 44) 15) 16〕 47)48)本,伊沢 ,福 田,藤 田,小泉等 の基本 構造に 関す る業績 に漬 し得 る .一方,実験 的組織病 49)〜55) 理 に関す る知 見につ いて も, 脳 浮 塵 , 脳 脱
56)57) 58)59)47)48)
水 ,脳腫癌 , 髄膜 炎 ・脳 炎な どに関す る研
60)61)
究報告がみ られ るよ うに な った .
ところ で, てんか んの組織病理 を研究 した 27)
Spi e hne yerの 業 績 は, 神経細胞 の所 謂 断血
28) 性 変化 とい う所 見 を重視 し,Sc hol zは さら
に選択的神経実質壊死 とい う概念 を確立 した が, これ は要す るに痩撃性疾患 においては神 経細胞が最 も変化 を受け易 い こ と を 意 味 す る.然 しなが ら,電撃 に よる死亡 者の剖検 , 動物 におけ る実験 的痘撃 に よる脳所 見 をみ る と,脳浮腫 を始 め,血管 周囲腔拡 大 ,血 管周 囲組織 の髭粗 化 な ど,血管透過性 の変 化 も考 慮 されねばな らない模様 であ る ことも予想 さ れ る .L=1上 の よ うな状況 に鑑み,我 々は実験 的痩 撃 動物 脳組織病理検索に電顕 を導 入 し,そ の 神経細胞 の変化について
2‑ 3
年 この方,追 究 しっづけて来 たのであ る.そ してその一部62)
を既 に発表 したが,今 回は大 脳皮質神経細胞 を 中心 に, 血 管及び gliaの変化につ いて も 合 わせ追究 した ところを総括的 に報告す る.
因み に,電子顕微鏡 では細胞 化学的 な レベ /レにおいて観察 出来 る可能性 を もつが,機能 的推移 も想定 で きる ことは極 めて有意義であ り,我 々は この点 に注 目し,考慮 を払 って実 験 を行 な った ことを付記 したい .
研究材料 と研究方法
実験 動物 :表
1
に示 した如 く鶏雛1 04
羽 ・ 家 兎27羽で ある .観察対 象部位は家鶏雛脳 では大脳半球前頭 部 (
f r ont alpol e)
の皮質領野 ,家 兎脳 では実験的痩撃脳 の電子顕微鏡 的研究 表 1 対 象 動 物 の 内 訳
‑ 7
物
* 回復実験
実験条 件 : (要覧
:諾呂. oV:3; 5 .:
盟: 8 豊)
第1回 試作 した電撃装置の回路図 .
Ti mer
第
2
図 試作 した電撃装置の原理図R
E
原理図の説 明
E :
電源電圧Ⅰ :通 電電流
r
:頚部お よび電極 に関す る抵抗値で個体に よ り異な る.R:
回路に挿入 された高抵抗器の低抗値でr
に比べ極めて大 きい値であ る.大脳半球 前頭 ・頭頂 ・側頭部 の皮質領域及び 小 脳半球皮質で ある.
電撃法 :教室 の清水試作 に よる特殊 電撃装 62)
置 を用 い, 鶏雛 は
2, 000V ・1 5mA ・0. 3
計
s e c ,
家 兎 は2, 000 V ・350 mA ・0. 7s e c
の通 電条件 で 行 な っ た . な お 該 装 置 の 概 要 は 次 の通 りであ る.即ち,本装置 の 回路 は第1
図で,その原理は第2
図の如 くであ る.今 r 及びr+ 」rの 2
つ の抵抗値 を有す る2
つ の 個体が あ る とき,その通電 々流 をI l ,
Ⅰ2,とす れ ば,I
l‑E/R+r・I 2‑E/R+r+」r
,それ 故I l / Ⅰ2 ‑1+Ar /R+r.
然 るにR≫r>Arで
あ る た め」r /R+r ≒
0 で , た め にl l /
㌔‑1
従 ってI
l‑
I三とみ な し うる .即 ち,個体 の 抵抗値 が変化 して も一定 の 通 電 々流 と し得 る.また通電 々流は瞬 時的 なため,その測定 にはr+ 」r /2
の疑似抵抗 を挿入 し, ス イ ッ チS
を閉 じ通電 し,電流計 で測定す るのであ る.固定 :組織摘 出前 の麻 酔処置 に よ り細胞 に 63)64)
変化 を起 す こ とが
Sj 6s t r andらに よ って指摘
され てい るので,全べ て無麻酔下 で対象部位 よ り2‑2. 5〝‡ ∽ 3
大 の小組織片 を鋭利 な両刃 カ ミソ リを用 いて採坂 し,pH 7
.4・彦透圧0. 31 4
に調整 され た1% ・20
/.四酸化 オス ミウム
(Os O4 ) ・Ver Onal ace t at e緩衝 固定液
に素早 く入れ,30秒後顧 り出 して ビニ ール坂 上 で約0. 5‑1. 0mm 3
の電顕用小組織片に細 分後 ,再 び上述 のオス ミウム固定液 に入れ て 1・2時 間固定 .脱水 :
et hanol系列 に よ り30%か ら 1 00%
まで,各10%毎に夫 々1
0
分間宛脱水 . 包埋 :1%Os O4
液 固定 資料 はme t hacr yl at e
包埋,2%OsO4
液 固定資料はEpon包埋 を行 な8 ‑
本った .即 ち,脱水終 了後 ,電顕用小組織 片は
pr opyl e neoxi de
王(1 0
分 間),次いでpr opyl e n oxi deI
I(1 0
分 間)を共 に室温 で操作 .次いで
pr opyl e n oxi deI: mi xt ur edr es i n
l*の 溶液 に常温 で 1時 間 な じませ る .更に, この ものにmi xt ur e dr es i n
を2
倍 にな るよ うに 加 え**,1 2
時間室温 に放置す る.最後 にLi 】 】 y
社 製No.0
0のgel a t i nc a ps ul e
内にmi xt ur ed r es i n
を以 って包埋 し,ふ らん器 に入れ,350 C 24
時 間‑450 C 1 2
時 間‑‑600 C 1 5
時 間 とふらん器 内の温度 を調節 し,重合 ・包埋は終 了 す るわけであ るが ,
60o C‑ 450 C 24
時 間‑‑350 C 1 2
時 間‑‑常温 の如 く,ふ らん器 内の温 度 を徐 々に下げ て板 り出す ことが望 まし く思 われ た .超薄切片作製 : 前 記 包 埋 資 料 を
Por t e r ‑ Bl um
型mi c r ot ome
を用 いて厚 さ約40 0‑. 60 0 Å
前後 の超薄切片 を作製 .me t hac r yl at e
包 埋 に よる切片 は全べ て無染色 であ る .Epon
包埋に よる切片はcont r as t
が劣 るの で, 鰭 和酪酸 ウラン,半飽和酷酸 ウラン, または水72)
酸 化鉛 (M
i l l oni g
法)に よる切片 の電子染 色 を行 な った .電子顕微鏡観察 :日立
H・ S6
型 電子顕鏡 を用 い,300 0‑2 5000
倍 で観 察 ・撮影 し,3 ‑.
5倍 の写真拡 大 を して所 見 を判定 した . なお,電顕観察用小組織片採坂部位 の反対 側対称部 は ア/レコー/レ固定 ,
hae mat oxyl i n‑
e os i ne
お よびt hi oni n
染 色を施 して光 顕検索 に供 した .かつ また,電顕観察用包埋資料 よ り,厚 さ 1〟の光顕観察用切片 を作製 し, 中 性t ol ui di n bl au
染色 を施 して検鏡 し,細胞 の同定や所 見判定 の一助 とした .実 験 成 括
A.
光学顕微鏡 的所 見*
Ⅰ液( Epon8 1 2. 62ml ,DDSA. 1 00ml )
にⅡ
液( Epo n81 2. 1 OOm
l,MNA. 89ml )を 6:4
の 割合で混じたものに,MNP‑3 0
(加速剤)を上註I・I
Iの混合液10ml
につき0. 1 7‑0. 1 8ml
を加え た もの.**
pr o py l e nox i de I: mi xt ur e dr e s i n 3
とな る.間
鶏雛大脳皮質にみ られ る神経細胞 は,対照 無 刺激群 で も,形態 に して も
Ni s s
l頼粒 の配 列 に して も,極 めて不規則 で多様性 を示 して い る.特 に前頭部 に存在す る細胞 には この傾 向が強 く,2
核 の もの,Ni s s
l額粒が少 な く丸 い幼君型 の もの,細胞硬 化 ・核膜過色 な どと 判定 で きる ものが多数見 られ る .電撃群 の所 見では,対照群 と比較 して神経 細胞 の像 で特 に異常 とい う所見 を見出す こと は出来なか った .
pa r a氏n
包埋 に よるH‑E
染色,t hi oni n
染色 を行 な ったが,明 らか に 断血性変化 とい え る所 見 も見 出 し得 な か った .
家 兎前頭葉 では,神経細胞 の形怠封土や ゝ整 い,層形成 も明 らか であるが,電撃群 には仮 層性 脱落は見出 されず,対照群 と比較 して, これ また神経細胞像 の著 しい差 を見出す こと はで きなか った .(第
7
図)B.
電子顕微鏡 的所 見 1. 対照無刺激群a)
大脳 皮質神経細胞鶏雛 では,核 は卵 円形 または楕 円形,稀 に 正 円形 を呈 し,細胞 の略 々中央 を占め,核膜 は約
50A
○大 の2
枚 の明瞭 な ものか らな ってお り,所 謂 〝二重膜構造〝 を呈 してい る .核膜 は ところ どころ不視別 に欠損 し,略 々500 ‑
く
)1 000A
大 の所謂 〝核孔〝
を形成 してい る .外 側核膜 は ところ どころ僅か に細胞質 内に膨 隆 し, その一部 は時 として粗面小胞体 に移行 を 示す場合 もある .核質は200‑30 0A 0
大 の所謂〝 c hr omat i n
顕粒〝 で充 され てお り,略 々均 等 な分 布 を示 してい る.(第3
図) さらに核 質 内にはRNA
額粒 の集合 よ りな る と云われ る核小体 も,電子密度が大 で,軽 度 に凹凸 を 示す 円形形態 を示 し,1‑ 2
個 み られ る場合 が ある.細胞質は周 囲が比較 的 平滑 な略 々80
:
‑A
前後 の細胞膜 に よって隣接周 囲組織 と境 さ○
れ てい る.細胞 質 内は
200‑300A
大の所謂〝RNA
頼 粒( Pal ade
頼粒)〝を豊 富 に もつ 粗面小胞 体 に よって,その大部分が 占め られ てい るが,RNA
顧 粒 を もたない滑 面小胞体実験的痩撃脳の電子顕微鏡的研究 も僅 か なが ら散在 す る場合が ある.
その他,細胞 質 内 小 器 官 (
c yt opl as mi c or gane】 l es) と し て は, Goi gicompl ex・
mi t oc hondr i a・dens ebody
な ども認め られ る .即 ち,Golgi
体 はGol gi
薄膜・Gol gi
小 胞・Go】 gi
嚢か らな ってお り, 屡 々核に近接 して数個み られ る. mit ochondr i a
は核 の周 囲に見 られ る ことが多いが,胞体全体に広い 分 布 を示 してい る場合 もかな りある .その形 態 には卵 円形 ・楕 円形 ・長 円 柱 形 ・梓状 ・L i l ament
状 及び願 粒状 な どの諸型が あ り,過 常1
個 の細胞 内に1 0 ‑2 0
個が認 め られ る場合 が多い .また, その大 きさは必ず しも一様 で な く.長軸 の長 さが0. 2!
‑!の小型 の ものか ら2l J
t大 の大型 の もの もみ られ た りす る場合が あ る.dens ebody
は通 常,正 円形 または卵 円 形 で,異常に高い電 子密度 を有 し,略 々3 0 0 0
‑8 0 0 0 A 0
大の内部 は無構造 な形態 を示 し,時 に数個み られ る場合 もあ るが ,通常は対照群 では認め られ ない場合が多い .(第3
図)神経細胞周辺 部は,他 の神経細胞 や,星状 勝 質糸田胞 ・稀突起謬 質細胞 ・小鯵 質細胞 な ど の所謂 〝グ リア細胞〝 の細胞膜及び無髄神経 や有髄神経 の構成 要素 と直接度 してい るが, 毛細 血管 とは, これ を囲槙す る星状惨 質細胞 の胞体 を介 して接 してお り,神経細胞 の細胞 膜 と直接に擦す る要素は星状惨質細胞 の細 胞 膜が最 も多 くみ られ る.
家 兎大脳皮質神経細胞 の超微細 構造 は,上 述 の鶏 ㌍ノ脳 皮質神経細胞 の像 と本質的には 何 ら異 る ところは見 出 し得 ない .しか し家 元 では鶏雛 に比 し,一般 に
Gol gi
体 の構造が明 瞭 である .また,粗 面小胞体 は鶏雛 の もの よ り,梢 々少 ないが ,遊離のRNA
顧 粒が明 ら か に家兎では豊富に観察 され る.神経細胞 周 辺部 の隣接 周囲組織 との関係は,鶏雛 の場合 と全 く異 な る像は見出 し得 ない .(第8
図)b)屡 貿細胞
鶏雛大脳皮質屋状鯵 質細胞 では,核 は卵 円 形 または楕 円形,時 として正 円形 を呈 し,核 膜は
2
重膜構造 を示 してい るが.内 ・外2
枚 の‑ 9
核膜 間隙は神経細胞 像にみ られ るほ どには明 瞭 でない場合が 多い .かつ また,外側核膜が 細胞 質 内に隆起 を示す像は 殆 ん どみ られ な い .核 質 内
chr omat i n額粒 は ves i cul ar
で, そ の分 布 も神経細胞像 に見 られ るほ どには均 等性 を示 さない .核孔の存在 は神経細胞 の場 合 と同様 に認め られ る.細胞質 は略 々平滑 な 細胞膜に よって周囲隣接組 織 と墳 され て い る.細胞質 内小器官 の発達 は極 めて貧弱 その もの で,小数の楕 円形 ・卵 円 形 ・小 判 形 のmi t oc hondr i aの 他 に は,滑面/
J\胞体 を思わ せ る構造が僅かばか り散在性にみ られ るだけ であ り,従 って一見極 めて均質無構造 な観 を 呈 してい る .三種鯵 質細胞 中,胞体電子密度 は最 も低い .星状屡 質柵 抱の周 囲隣接 組織 は,他 の星状 豚 質細胞 ・稀突起惨 質細胞 ・小鯵 質細 胞な ど の グ リア細胞 や,神経細胞及び無髄神経 ・有 髄神経 その他,毛細血管 な どか ら な っ て お り, これ らの組織 とは細 胞膜 を介 して直接に 接 してい る訳 であ るが,毛細血 管 との関係は 特 に重要 であ るので,後 に詳細 に述べ る こと にす る .
家 兎大脳皮質星状屡 質細胞 の 超 微 細 構 造 は .上述 の鶏雛大脳皮質星状謬質細胞 の像 と 本質的には何 ら異 な る とこ ろ は 見出 し 得 な い .しか し,鶏雛に比 し時 としてmi
t oc hol l dr i a
が梢 々豊 富 であ り,大型 の ものがみ られ る場 合が あ る .星状屡 質細 胞周辺部の周 囲隣接組 織 との関係は鶏雛 の場合 と同様,全 く異 る像 は見出 し得 ない .(第1 8
図)鶏雛大脳皮質稀突 起惨 質細胞 では,核 は 円 形 を呈 す る場合が最 も多いが,時 として卵 円 形 の もの もみ られ ることが あ る.核膜 は星状 鯵 質細 胞 像の場合 にみ られ た と同様 ,
〝2
重 構造 〝を呈 してい る .核孔の存在 も認 め られ るが,時 として不 明な場 合 もあ る.核 質 内chr omat i n顧粒 の分布 は虎斑状 を呈 す るのが
特徴 で.他 の2
種 の惨 質細 胞 の様 な略 々均等 な分布 を示す ことはない .細胞質 内小器官 の 発達 は,星状豚 質細胞 に比 し遥 かに豊 富であ1 0 ‑
本るが,神経細胞にみ られ る如 き分布 は把握 さ れず,かつ また次 に述べ る小鯵 質細胞 には遥 かに及ばない .核 ・細 胞質の容積 比は三種鯵 質細 胞 中で最 も小 さい .稀突起屡 質細胞 の周 囲隣接組織 は,他の稀突起鯵 質細胞 ・星状屡 質細胞 ・/」\鯵 質細胞 な どの ブ リ7細胞 や神経 細胞 及び無髄神経 ・有髄神経 その他毛細血管
な どか らな ってい る.
家兎大 脳皮質稀突起屡 質細胞 の超微細構造 は,上述 の鶏 雛大脳皮質稀突起屡 質細胞 の 像 と本質的には なん ら異 る ところは 見出 し得 な
い.
鶏雛大脳皮質小鯵質細胞 では,核 は 前二者 の如 く定 型的 でな く,極め て凹凸 に富みかつ 多形 性を示す のが特徴 で ある .核 暁は前二者 の場合 と同様, 内 ・外核膜 の
2
重膜 贋造 を示 すが,核質 内chr omat i n
額粒が極 めて豊 富 な ために,核 内電子密度が異常に高 く,かつ ま た細胞質 内小器官 も非常に豊 富であ り, と り わけRNA
顎粒 を もつ粗 面小胞体が充満 して い る為 に,胞 体内電子密度が核 と同様 に高 い ので,核 の2
重膜構造が不 明な場合が多い . 核 内には,核 よ りは更に高電子 密度 の核小体 が1‑ 2
個 (通常 1個)存在 してい る .細胞 質は凹凸の多い細胞膜 に よ り,周 囲隣 接組織 と境 されてい るが, この細胞膜 は屡 々 不 明瞭 像 を呈 している場合が あ る.細胞 質 内 小 器官,殊 に粗面小胞 体の豊 富 な こ とは既 に 述 べ たが,
mi t ocl , 1 0ndr i aは比較 的′
」\型 の も のが豊 富にみ られ る.しか しGol gi
体 は一般 にそれ ほ ど豊 富では ない .densebody
は屡 々対 照像において もか な り豊 富にみ られ る場 合 がある .核 ・橡胞 容積 比は前二者の如 き一 定 の傾 向は示 さず,変動が甚 しい .しか しな が ら,多 くは稀突起屡 質細胞のそれ よ りは大 である .なお,本/」\鯵質細胞周辺部 の周 囲隣 接組織は他の小鯵 質細胞 ・星状惨 質細胞 ・稀 突起豚 質細胞 な どの ダ リ7細胞 や,神経細胞 及 び無髄神経 ・有髄神経その他血管 な どか ら な ってい る.家兎大脳皮質′」\惨 質細胞 の超微細構造は上 間
述 の鶏雛大脳皮質′」\惨質細 胞の像 と本質的に は何 ら異 な る ところは見出 し得 なか った .(第
2 5
図)以上,三陸 質細胞 の特徴 か ら, これ らの細 胞 の判別は容 易であるが,時 として星状鯵質 細胞 と稀突起屡質細胞 との間には,その中間 型 と思われ る勝質細胞 を見 出し得 る場合があ
る.
C)毛細血管
鶏雛大 哨皮質毛細血管 の形態 は, 内腔 (也 管腔) に面す る内皮層
(e ndot he l i um)
,これ を 外 側 か ら被 う基 底 膜(bas ementmem‑
br ane)及び核 (内皮細胞核)の 3
要素か ら な ってい る.そ の他 に,屡 々per i c yt e
が 見 られ るこ ともある .内皮層 内には小数の略 々0
1 000‑ 2000A
大 の小空胞 (ves i c l es)がみ
られ る.毛恭田血管 の周囲は グ リア細胞 の細胞 膜 と直接接 してお り,per i vと . . S L Y ‑ L l l a⊥ ・s paceは
全 く存在 しない .毛細血管 と最 も関係 のあ る ダl)7細胞 は星状 鯵 質細胞 であ り, この もの の胞 体は,毛細血管 を終足 に よ って囲焼 して お り (血 管周 囲終足per i vas c ul arendf eet ),
この形態が即 ち後述 の血液 ・脳関門の基本的 構造 と推 定 され る.家兎大脳皮質毛細 血管及び毛細血管周囲隣 接組織 の超微細構造 は,鶏離大脳皮質におけ る像 と本質的に何 ら異 な るところはない .(第
22
図)d)Ne ur opi l
この部分 の超微細構造 につ いては,鶏雛大 脳 皮質.家 兎大脳皮質 との間には所見上 の相 異 は特に認 め られ ない .即 ち この部分 は,無 髄 神経 ・有髄 神経 の各線維,神経細胞 の横状 突起や星状惨質細胞 の突起 な どが極 めて複雑 に混在 してい るのであ るが, 内部構造 は少数 の
mi t Dc hondr i a・ s mal lves i c l es・ s mal lgr an‑
ul es
な どか らな る無構造 に近い形態 を示すた めに,屡 々その 同定 は困難 な場合が多い .2.
電撃群a)電撃 1
回30分後 の所 見鶏 雛大脳皮質神経細胞 では,極 めて軽度 な
実験的痘撃脳の電子顕微鏡的研究 が ら核質 内
c hr omat i n
頼 粒は減 少あるいは凝集傾 向を呈 し,僅 かに細胞質に比 して核 内電 子密度は低下す る.核 孔の変化は明 らかでは ないが,時 としては
1 500‑2O0 0Å
大に関大 傾 向を示す場合が ある .核膜 は凹凸 を増すが 極 めて軽度 であ り, 明 らか で な い 場 合 もあ る.核小体 の変化 も明 らか でない ,細胞質 内 では,粗面小胞体RNA
顧粒 は一般に増加傾 向を示 し,一部膨 化 した額粒 もみ られ るが全 体 としては胞 体の電子密度 を増 してい る.粗 面小 抱休膜 は, ところ どころ不 明瞭に な る傾 向は 見 られ るが , まだその基本構造 を よ く保 ってい る .滑面小胞体及びGol gi
体 は, もと もと対照像 で も少ないので電撃時 の変化につ いては明 らか でない .屡 々認 め られ る胞 体 内 小空胞 の出現はGol gi
小胞 の変型 とみ るか.滑面小胞体 の変型 とみ るかは不明である .
mi t ochondr i aは cr i s t ae
配列 の乱れ 或いは崩 壊 ・消失す る一方 ,限界膜 ・基質(mat r i x)
の濃染像が観察 され た .細胞膜 には殆 ん ど変 化が み られ ない .(第4図)
家兎大脳皮質神経細 胞にみ られ る変 化は, 略 々鶏雛大脳皮質神経細胞 の 所 見 に 準 ず る が,一般 に核 の変化は さらに軽度で あ る.即 ち,核質 内
c hr omat i n
額粒 の変動 は極 めて軽 微 であ り,核孔の関大 も明 らか で ない .しか し内 ・外核膜 間隙は不 明瞭 とな り,細胞 質 と の魔界が ぼんや りして くる .かつ また核膜 は ところ どころ部分的高電子密度 を呈す る像 も 認め られ る.細 胞質ではGol gi
小胞 が梢 々拡 大 し数 を増 し,Gol gi
薄膜間隙 の関大 傾向を 認 め るが, これは鶏雛 では不 明 であ った所 見 であ る.mit oc l l Ondr i aの mat r i x
は低電子密 度 を示 したが , この点は鶏雛 の場合 と対照的 な所 見であ ったが, その他につ いては全 く鶏 雛 にみ られた所 見 と一致 した .(第9
図)鶏雛大脳 皮質惨質細胞 では.星状謬質細胞 にのみ時 として次 の如 き変化 をみ とめた .那 ち,胞 体内に小空胞
(s mal lves i c l es)
の出 現 ・増加傾 向を認 める とい うことである .そ の他 には特 に変化はみ られ なか った .稀 突起‑ 11
腸質細 胞 ・小鯵質細 胞には何 らの変化 も認 め られ ない .
家 兎 大脳皮質豚 質細 抱 の変化は鶏雛 におけ る所 見 と全 く同様 であ る .即 ち,星状 惨質細 胞 におけ る小空抱の出現や増加傾 向の所 見の み で,他 の二屡質細胞には全 く変化がみ られ ない .
鶏雛大脳皮質 毛細血管 では ,内皮層 の小空
脂 (pi noc yt ot i cves i c l es )
が若干の増加傾 向 を示 し,その際 に同 じ く内皮層 内に略 々1 50
A 0
大 の微細頼粒の出現傾 向が 認 め られ る .内 皮層 の厚 さが時 として変化す る場合 もみ られ るよ うで あるが ,対 照例にお いて も内皮層 の 厚 さは 一定 していない場合 が多 く,従 って陽 性所 見 とは云 い難 いであろ う.家 兎大脳皮 質毛 細血管 の変化 も鶏雛 におけ る所 見 と全 く同様 で ある .
b)
電撃5
回3 0
分後所 見鶏雛 大脳皮質神経細 胞 では,核質 内
chr 0‑
mat i n頼粒 の減 少あるいは凝集傾向は,電撃
1回に 比 しさらに著 明 とな り,核 は胞体 に比 し明詞にみ える場 合が ある .核膜 の凹凸化は 時 として増強 され る場合 もみ られ るが .一般 に1回の場合 と大差は ない .核 孔 の関大は梢̀ ⊃
々明 らかに な り,時 として
3 000A
大 あ るい はそれ 以上 に関大す る場合があ る .細胞質 で は粗面 小暇体RNA
額 粒の膨 化 .不 明瞭化の=l
傾 向を示すが,
1 00〜1 5 0A
大 の小額粒 の増加 な どがみ られ た .全体 としては電撃 1回の場 合 と同様 ,胞体 の電子密度 を高めてい る.し か し中には胞体 の電子密度 が低下 している と 思 われ る細 胞 も時 としてみ られ る場 合 が あ る.胞 体 内 に 層 々 増加傾 向 を示す小 空胞 とGol gi
体 との変化につ いては家 兎に 見 られ る 如 くに明 らか でない .mi t ochondr i a
では,cr i s t ae
の崩壊 .消失,時 として空胞化 を示す とい うそれ らの所 見は,電撃 1回の所 見に比 し若干増強 され ,かつ また基質濃染像 ・淡明 像 を呈す るmi t oc hondr i aが屡 々混在 してい
る .細 胞膜 の変化は明 らか でない (時にみ ら れ て も軽 度).(第 5図)1 2 ‑
本家兎大脳皮質神経細胞の変化は,電撃 1回 の場合 と同様 ,鶏雛大脳皮質神経細胞 の変化 に準ず るが, 1Lg]電撃 では不 明 であ った核 質 内
c hr omat i n
額粒 の減 少あるいは凝集化の傾 向が認 め られ る.核膜の凹凸化の傾 向 も明 ら か とな り,内・外核膜 間隙の不 明瞭 像,核膜 の ところ どころ部分的に 高電子密度 を呈す る部 分 も同様 に認 め られ る .しか し鶏雛 の場合 に 見 られ る様 な核孔の関大像 は 屡 々不 明 で あ る .細胞質 では,粗面′」\胞体は なお一部 で基 本構造 を よ く保 ってい るが ,他部 ではそ の膜 構造が 不明瞭 化 し, あるいは胞体 間隙が 関大 す る .RNA
顛粒 の膨 化が明 らか とな り,蛋 撃1
回の場合に比 し,1 00‑1 50 A
大 の微細額 粒 の増 加傾 向は著 明でない. mi t ochondr i a
にはc r i s t ae
の崩壊がみ られ ,一部空胞 化 も み る.基質は一般 に淡明 像を呈 す るが時 とし て濃縮 像 を呈す るmi t oc hondr i aの混在 を認
め る場合 もあ る.Gol gi
小胞 の増加は,電撃 1回の場合 に比 し特 に 増加傾 向はみ られ ない が ,Golgi
薄膜 は屡 々不 明瞭 化 し,Golgi
嚢 は部分的に拡大 像 を呈 す る場合 もみ られ る.然 しその膜構造 は 不明瞭化す る傾 向が ある.
胞体 の電子密度は,増加傾 向を示す場合が多 くみ られ るが ,反対 に減少傾 向を示す細胞 も み られ,両者が混在す る傾向が ある . (第
1 0
図)鶏錐大脳皮質鯵質細胞 の変化は,電撃 1回 の場合 と同様 ,星状 鯵質 細 胞 に の み み られ る .即ち.胞 体 内小空胞 の増加傾 向であ り,
1回の場合 よ り若干増強 されてい る .
家 兎大脳皮賀伊賀細 胞の変化 も鶏雛 の湯合 にみ られ た変化に準ず る.即 ち星状屡質細胞 の胞 体におけ る小空胞 の増加傾向の所 見で あ る .(第
1 9
図)鶏雛大脳皮質毛細血管の変化は電撃 1回の 場合 に既 に見 られ た内皮層 におけ る小空胞 の 増加傾 向.及 び
1 50 A
大の微細額粒 の出現 ・ 増加傾 向であ るが,5
回では これ らの所 見が 明 らかに増強 され ていた .家兎大脳皮質毛細血管 では,鶏雛 の場合に 間
み られ た所 見に準ず る .
C)電撃 1 0
回30
分後の所 見鶏 雛 大脳 皮 質 神 経 細 胞 で は , 核 質 内 の
c hr omat i n額粒 の減 少 あ るいは凝集傾 向に基
ず く核 内電子密度 の低下は電撃1・5
回の場 合 に比 して更に増強 し,核膜 の凹凸化は時 と してさ らに著 明 とな り,核 孔 も2 000‑3500 Å
大 あ るいはそれ 以上 に関大す る場 合が あ る.細胞質 では粗面小胞 体の胞 体膜 が不明瞭 化あ るいは 萌壊 し,胞体間隙 の疎開化の傾 向は著 明 とな る.
RNA
顧粒 の膨化や不明瞭 化が1
・5
回の場 合に比 しさらにす ゝみ,RNA
額 粒 の分 布 も粗 とな り,全体 として胞体 の電子 密度が減 少 し,核 ・細胞質共 に明調を呈 して0
くる場合が多い .然 し, 中には1 50 A
前後 の 小額 粒 の出現 ・増加傾 向を示す細胞 も時 とし て認 め られ る.また胞体 内には小空胞 あ るい は大空胞 の出現 をみ ることもあるが,Golgi
体や滑 面小胞体 との関連については不 明であ る.mit ochondr i a
は,全般的 にc r i sl a
cの崩壊・消失 ・空胞化が 目立 ち,基質は 一般 に淡明 像 を呈 し,時 には濃染 像 を呈す る もの もみ ら れ た .また,細 胞膜は時 として凹凸を増 し, ところ どころ不 明瞭像 を呈 す る場合 も稀 に見 られ た .(第
6
図)家兎大脳皮質神経細 胞の変化は鶏雛 の場合 と略 々似 た所 見を呈す るが ,鶏雛にみ られ る ほ どの強い変化では ない .しか し,
1・5回
の場 合に比 して明 らかに変化は増 強 され てい る と思 われ る像に接 し得 る .即 ち, 核 質 内c hr omat i n願 粒 の減少 ・凝集 傾 向,核膜 の 2
重膜構造 の不明瞭化,お よび細胞質におけ る 粗面小胞 体 の 抱体膜 の不 明瞭 ・崩壊像,胞体 間隙の関大RNA
顧 粒の膨 化 と減 少,あるい はGol gi
膜の不明瞭像 ,Golgi
小胞の増加,Gol gi
嚢 の拡大や 不明瞭 像 な ど,胞体 内小器 官 の変化像 をみ るこ とが できる.(第11図)鶏雛大脳皮質屡質細胞 の変化は,
1 ・5
回 の場合 と同様 ,星状屡質細胞 にのみ所 見 を見 出す こ とが で きる .即 ち,胞体 内小空胞 の増 加 であ り,時 として胞体 内に丘l ament
様物質実験的痩撃脳の電子顕微鏡的研究 のみ られ る場合が ある .これ らの変化は, 1・
5回の所 見に比 して明 らかに増強の傾 向を示 してい る.
家兎大脳皮質豚質細胞 の変化は鶏雛 にみ ら れ た所 見に準ず る.即 ち,星状勝質細胞 の胞 体 内におけ る小空胞 の増加傾 向であ り,鶏雛 の場 合 と同様 ,
1 ・5
回の場合 に比 して増強 の傾 向を示す .時 として胞体 内に丘1 ame nt
様 物 質がみ られ る場合が あるが ,それ も鶏雛 の 場合 と同様 で あ る .小鯵質細胞 には何 ら変化をみない .(第
2 6
図)鶏雛大 脳皮質毛細血管 の変化は,電撃
1
・5
回の場合 と同様 ,内皮層 におけ る小空胞の 増 加 と1 50A
大 の微細頼粒 の増加傾 向であ る が,1・5
回の場 合 に比 して これ らの所 見は 増強 され て いる.なお,毛細血管 を囲槙す る 星状屡質細 胞の足( pe r i vas c ul are ndf e e t )
は 若干 その容積 を増 す傾 向を示す こ とが あ る.家兎大 脳皮質毛細 血管 では,鶏雛 の場合 と 略 々同様の所 見であ る
. 1 ・5
回に比 して増 強の傾向を示すが ,鶏窮 の場合 と全 く同様 で あ る.(第2 0・23・24
図)d)電撃 1 0
回9 0
分後の所 見鵡雛 大脳皮質神経細胞 では,核 質 内
c hr 0‑
ma t i n
額粒 の減 少 あ るいは凝集傾 向に基ず く 核 内電子密度 の低 下は,電撃1
0回30
分後 の それに比 し軽 度 とな り, 時 と し て は む しろc hr oma t i n
頼粒 の増加傾 向に伴 ない,核 内電 子密度 の減少傾 向は若干 回復 しっ
ゝあ る こと を想定 し得 る如 き像 に接 し得 る場合 が あ る.核膜 の凹凸化や核 孔 の関大像 も
,30
分後 のそ れ に比 し明 らかに軽度 とな っ て い る .しか し,最 も印象的 な所 見は,粗面小胞体 の胞体 膜 の崩壊 ・不 明瞭 化像及び胞体 間隙疎 開像の 復元 (或いは正常化 ?)を想定せ しむる如 き所⊂ l
見であ り,
1 00. ‑1 50A
大 の微細頼粒 ,お よ び さして明 らか ではないが2 00ノ ‑300A 0
大 のRNA
頬粒 の増加傾 向の所 見である ,滑面小 胞体並 びにGol gi
体 の変化 については 明 らか では ない .mi t oc hondr i a
ではcr i s t a e
の崩壊 はなお軽 度に認 め られ ,限界膜 ・基質 ともに‑ 1 3
濃染像 を呈 してい る
mi t ochondr i a
が多 くみ られ る.家兎大脳皮質神経細 胞の変化は,鶏雛 の場 合 に見 られ た変化に準ず る.即 ち,電撃
1 0
回30
分後 の変化 に比 して全般的 に梢 々軽度 で あ り,回復過程 を想 定せ しむ る如 き像を呈 して い る.Gol gi
体 の変化は,1
0回3 0
分後 のそれ に比 して軽度 であ り,その他核膜 ・粗面 小胞 体 な どの変化は,1
0回3 0
分後 のそれ に比 し軽 度 で あるが ,一般的 に云 って鶏雛 にみ られ る 程 の差異は認 め難 い よ うであ る. mi t oc hon‑
dr i a
の変化は特 に明 らか で ないが,核膜 の周 辺部に集 る傾 向を有す る場合がみ られ た .(第1 2
図)星状謬質細胞及 び毛細血管 の変化につい て は,鶏雛 ・家 兎両者 とも,電撃
30
分後 の もの に比 し,特 に所 見上 の差異 は認 め られ ない .e)
電撃1
0回 5時 間後 の所 見鶏雛大脳皮質神経細胞 では,核質 内
c hr 0‑
ma t i n
額粒 の分布は略 々均等 で,対照無刺激 群 に近い.核膜 の凹凸化や核 孔 の関大 も,電撃1 0
回3 0
分及び9 0
分 のそれに比 し明 らかに軽度 で ある.粗 面小胞体 の膜構造 の不 明瞭化 もか な り軽度 とな り,胞体間隙疎開像 も屡 々認 め 難 くな って来 る .RNA
顛粒 は,電撃1
0回30
分・9 0
分後 の場合 よ りは,更に若干増加傾 向 を示すが ,対 照群 に比 し胞体 の電子密度 は な お低下 してい る .しか し膨 化傾 向を示 すRN
A頼粒は殆 ん ど認 め られ ない ,滑面小胞体 ・Gol gi
体 の変 化は不 明 である .mi t oc hondr i a
ではcr i s t a e
の崩壊,基 質淡 明像,濃染像 が 混在 してい るのがみ られ る .家兎大脳皮質神経細胞 の変化 も,鶏群 の場 合 にみ られ る如 き所 見に準ず る.核 の所 見 も 対照群に比 して殆 ん ど差異がみ られ ない .核 膜 の
2
重膜構造が梢 々不明瞭 を呈す る所 見の み であ る.小胞 体 の胞 体膜の不明瞭 像や胞体 間隙疎開像 は殆 ん どみ られず,RNA
頼粒 の軽 度増加 ,mi t oc hondr i a
のcr i s t a e
崩壊 をみ る が,Gol gi
体 の変化はみ られ ないか または不 明瞭 であ る.細胞膜 の凹凸化の傾 向は特 に認1 4
‑ 本 め られ ない . しか し, これ らの 回復像 を思 わ せ る所 見は,鶏雛 の場 合 に見 られ る程 には著 明で ない .(第1 3
図)鶏雛 大脳 皮質鯵 質細 胞 の変化 としてみ られ る ものは ,星状 屡 質細胞 だけで あ るが ,電撃
1
0回の30
分・90
分 の場合 に比 して特 に差 異 は 認 め難 い .家 兎大脳皮質鯵 質細 胞 の変 化 につ いて も鶏 群 の場合 と何 ら変 らな い .
鶏雛 大脳 皮質毛細 血 管の変 化は ,電撃
1
L)回 の30
分・90
分後 の それ に比 して明 らか な差 異 は 認 め 難 い .家 兎大 脳皮質毛細血 管 の変 化 も,鶏雛 の場合 にみ られ た所 見 に準ず る.f) 電撃
1 0
回1 2
時 間後 の所 見鶏雛 ・家 兎両 者の大脳 皮質神経細胞 の変 化 は電撃
1 0
回5
時 間後 の場合 の変 化 と特 に差異 は認 め難 い .星状 謬質細 胞及 び毛細血 管 の変 化 も鶏凝 ・家 兎の両者 につ い て,電 撃1 0
回5
時 間後 の変 化 との間に差異 は認 め難 い .(第1 4
図)g)
電撃1
0回2‑4時 間後 の所 見鶏 雛大 脳皮質神経細 胞 では, 核 質 内
chr 0‑
mat i n頼 粒 の減 少傾 向や凝集傾 向は極 めて軽
度 に認 め られ る場合 もあ るが ,大部分 の もの は対 照像 に近 い .核 孔 の関大像や核 膜 の凹凸 化の傾 向 も同様 に認 め難 い .粗面小 胞体 は胞 体膜が時 として不 明瞭 像 を 示 す 場 合 も あ る が大 部分 の ものは良 くその基 本構造 を保 ち, かつ また胞 体間隙 の疎 開は認 め難 い .比較 的 に特徴 的 と思 われ る所 見 は,殆 ん ど大部分 のmi t ∝hondr i a
の基質 は漢染 像 を呈 してお り,さらに
c r i s t ae構造 の充実 した比較 的小型 の mi t oc hondr i aが 多 数 み られ る こ とで あ り, RNA
頼 粒は若干 増加傾 向を示 し,胞体 内電 子 密度 を増 強せ しめてい る所 見 で あ る.家 兎大 脳皮質神経細 胞 の変化 も,略 々鶏群 の場合 にみ られ た所 見に準ず る .即 ち,核 質 内
c hr omat i n
顧 粒 の分布 は略 々均等 であ り, 核膜 は対 照群 にみ られ た よ うに,明 らか に2
重膜 構造 を呈 す る .核 孔関大や核膜 の凹凸像 は殆 ん ど認 め られ ない .粗 面小胞 体 は基本構問
造 を良 く保 ち,
RNA
頼 粒 の膨 化像 はみ られ ず,増減 も明 らか でない.G。l gi
体 に も変化 は殆 ん ど認 め難 い. mi t ochondr i aのみ は ,
時 にc r i s t aeの崩 壊 ・不 明瞭 像 を示 し, また
基質 の電子密度 も必 ず し も対照像 にみ られ るよ うに一定 してはい ない .(第
1 5
図)星状 屡 質細 胞 ・毛 細血管 の変 化は,鶏雛 ・ 家 元の両者に おい て,電撃
1 0
回の3 0
分・90
分5時 間 ・1 2
時 間後 の場 合 に比 して一般 に軽 度 で あ る .即 ち,星状 鯵 質細 胞 の胞 体 内におけ る小空胞 の増加 ,時 として 認 め ら れ るBl a‑
ment
状 構 造 を示 す物質 の 出現 , 毛細 血管 周 囲終足 の膨 化傾 向 な どの 所 見 が 軽 度 と な る か, または認 め られ ない場 合が ある .毛 細血 管像 につ い て も同様 で, 内皮層 内 のpi noc ) , ‑ t ot i cve s i c l es
の増加傾 向や , 内皮層 内へ の微 細額粒 の出現 像は明瞭性 を欠 いて くるの である
.
h) 1日2
回・7
日間電撃施行 の30
分後 の 所 見鶏雛大脳 皮質神経細胞 では核 内電 子密度 の 低 下 ,核膜 の 凹凸化,核 孔 の関大 像 の所 見 を 得 た .細胞 質 内では粗 面小 胞体 の膜 構 造 の不 明瞭 化 の傾 向及 び胞 体 間隙疎 開化 の傾 向を認 め た .かつ また胞体 全般 に亘 って/J\空胞 の出 現 ・増 加傾 向 も観察 さ れ た .mi
t och0ndr i a
ではc r i s t ae
の崩壊 ・消失 ,時 としては空胞 化 が み られ た .RNA
頼 粒 は屡 々膨 化傾 向 を示 し,減 少す る細胞 のみ られ る場合 もあ るが全 体 としては増加す る場合が 多 く,従 って胞体 の電子密度 は増加 の傾 向を示 した .滑面小胞 体 やGol gi
体 の変 化は明 らか でない .細胞 膜 は時 として凹凸傾 向 を,示す場合 もあ るが ,一 般 的 に云 って特 に変 化は認 め難 い .家兎大脳 皮質神経 細胞 の変 化 も,略 々鶏雛 の場合 にみ られ た所 見 に 準 ず る が, 一 般 に
Gol gi
体 の変 化 を除 けば,鶏 群 にみ られ る程 に著 明 な変化 はみ られ ない .(第16
図)星状謬質細胞 及 び毛細 血管 の変 化は ,鶏雛
・家 兎両者 の大脳 皮質 にお いては,前述 の電 撃
1・5 ・1
0 回後 の場 合にみ られ た所 見 と大実験的療撃脳の電子顧徴鏡的研究 差 は ない .
i)
1
日1
0回・7
日間電撃施行30
分 後の所 見鶏錐大 脳皮質神経細胞 の変化は,1 E
]2回
・7
日間電撃施行 の場合にみ られ た所 見 と略 々似か よってい るが ,RNA額粒 は減少 し, 核膜 の凹凸化,二重嘆構造 の不 明瞭 像,その 他粗面 小胞体 な どの変 化の程度 は一層著 明で あ る .家兎大 脳皮質神経細胞 の変 化 も鶏雛 の場合 にみ られ た変化に略 々準 ず るが,み られ る変 化は鶏雛 の場合 よ りも一般 に軽 変であ る.(第
1 7
図)星状 謬質細 胞及び毛細 血管の変 化は,鶏雛 家 兎の両者 の大 脳皮質において同様 にみ られ たが ,変化の内容 は電撃
1 0
回30
分後の場合 と 殆 ん ど同 じであ り,梢 々増強 され てい るか の 如 き印象 を もつに過 ぎず,星状 陸質細胞 では 細 胞喋の断裂 ・萌壌 像はみ られず ,さ らに毛細 血管において も内皮 層のpi l l OC yt Ot i cves i c l e
の増 加 を認め る以外, その厚 さや電子密度に 著 明 な変化は認 め られ なか った .しか し,星 状 謬質細胞 の血 管周囲終足 は屡 々浮腫 様 に塵 張 し, この際血管 内皮層 の稀薄 化 (?)が認 め られ る.(第21
図)考 接
痩撃 脳の組織病理学的検 索については,今 日までに剖検例や動物実験 に関す る多数 の研 1)〜29) 65) 究者の業績 が あ り,本邦において も渡辺 ・前
66) 67) 68) 69) TO)
田 ・雨宮 ・荒木 ・宮下 ・兼谷 らの報告 に接 し 得 る .
ところ で近年 ,電子顕微鏡 の形態学へ の導 入は従来 の古典的組織 学的 知 見 に 訂 正 を 求 め,未解決 とされてい た諸問題に解 明の手掛 りを与 え る と こ ろ と な った ことは既 に述べ
71)
た .
Ri c har ds
の報告以来,続 々 とな され てい る中枢神経組織 に関す る報30)
32) 告 7 3
をみて も) 7 4
)88)Pal ay
& Pal ade,Lus e,Har t mann
,Schul t z ,May‑
75) 115)116) 31)77) 79)80)
nar °& Pe S
las)S
2e),Sj 6s t r and
,Hes s ,Ni e s s i ng
,Rober t s on
, その他 多数 の業績があ る . 本邦‑ 1 5
33)34)39)40) 52) 42)43) 46) 45)
において も本陣 ・ 安保 ・山本 ・藤 田 ・福 田
44) 47)48) 84) 85) 86)
・伊 沢 ・小泉 ・吉 田(≡)・吉 田(87) 教)・佐藤 ・ 高畑 ら多数 の業績 に接 し得 る.
さて.そ こで従来 の実験 的痘撃 昭に関す る 組織病理学的所見 を振 り返 ってみ る と,変 化 あ りとす るものでは
c hr omat ol ys i s
・陰影像 ・ 塵張像 ・空胞変 性・pyknos i s
・萎縮 な どの神 経細胞 の変化 を主 とす る もの と,血管周 囲腔 拡 大や血管周囲組織 の髪粗化 ・血管 の うっ血 な どの血 管の変化 を主 とす る もの とに分 け ら れ る よ うであ り,概 して グ リア細胞 の変化に ついての記載 は少 ない .そ こで, これ らの問 題 を電顕的 レベ/レで再検討 しよ うとして本研 究 を試 みたの であ る.電顕検 累では生体固定が必要 条件であ り, かつ また数秒 以 内に組織 を固定液 に入れ るこ とが望 ま しい .それ故 ,頭蓋骨が薄 くて柔 ら か く,数秒 以内に組織採取 の可能 な幼 若鶏雛 脳 を研究対象 として先ず 選 ん だ .そ し て最 初,連続
1
0回電撃 を行 な ったその大 脳皮質神 経細胞 につい て検来 し,核物質 の変動,核膜 核孔 な どの核 の変化 と胞体 内小器官(or gan‑
e l l e s )の変化,殊 に粗 面′
」\胞 体及びRNA額 粒 の変動やmi t oc l l Ondr i a
の変 化について若 干 の所見 を得 た .そ して酵 素 担 体 と し て のnl i t oc hondr i a
の変化,細胞質 内の膜構造 (粗 面小胞体 を指す) とRNA顧粒 との相 関々係 か ら,核酸代謝 ・蛋 白代謝 の変化を想定 して62)
す でに発表 した .その後 更に電撃 回数 と細胞 内微細構造 の変化 との関連につい て追究 を進 めたのであるが,主 として電撃後 の時 間的推 移 を観察す るとともに,晴乳動物脳につい て の検索 の必要性 を感 じ,家 兎の電撃実験 に力 を注いだ .更に前 回発表 の鶏離脳 の所 見は,
met hac r yl at e
包埋 資料 の ものについてであ っ たが,今 回は新 しいEpon
包埋 も採用 した . また,今 回は神経細 胞の観察 に止 ま らず グ リ ア細胞 ・毛細血管 の観察 も合せて行 なった こ とは既述 の通 りであ る.ところで我 々の光顕検累 に 関 す る 限 りで は,鶏雛 ・家 兎のいずれ において も,電撃群
1 6 ‑
変 化 の 内 容
本 間
(A)
神経細胞 の変化
(B)
星状鯵質細胞の 変化
(C)
蓑 2 電 撃 脳 超 微 細 構 造 電 撃 回 数 (痘 撃 回 数 )
と組織固定 までの時間
l
窪 otmLa韻 居 減少)⊇核質 ・核膜の変化 i (凹突,融合,核
不 膜
明瞭像)l
核 孔 の 関 大 粗 面 小 胞 体
(
胞体間隙関大,崩壊,不 明瞭像̲)Gol gi
体(増加,拡大,不 明瞭像)
腰 詑質 .細胞膜 の
R. N. A
類 粒
糸 粒 体
膨 化
増 減
1
日1
日1回電 撃 30分 後
撃後
鴫分nUI..I.‑.
(±);≠ (+)?
÷ (±) ≠ (+)
+ \± )
i+ ( ≠)
(
± ) ± ( + )
】
± (±)F+ 「+)
/ ( /)! /?( ノ ) ? c l i s t a e
,限界膜崩壊,基質電子密度の変動 空胞化,膨化,
萎縮,新生 ? 胞体内小空胞 の出現,増加
(不 明瞭化,崩壊) 核質 ・核膜 の変化
( & 0
芸競 贋,fka '譜 大)細胞質 欄 胸膜 の変 化 (霜 野蒜諾起
岩窟
,nt
禁若鮎 ) 毛細血管周囲終足の変化 (諜農qD緊鵠鮎' 胞)内皮層の変化 (造詣 還讐鮎) 毛細血管の変町 基 氏膜.核及び
p。 , i 。 yt
。 の変化・非 電撃群両者間に著 しい差異 は認 め られ な か った .しか しなが ら,電顕検索 に よ り既述 の如 き所 見が得 られ た .一 言 に し て 述 べ る と, そ れ は 細 胞 内膜 の膜構造の変化 を主体 に,
RNA額粒の変動や mi t oc hondr i aの変
化 で ある.い まそれ らの所 見を 概 括 す る と表
2
の 通 りであ る.即 ち鶏雛 脳では核 の変化 として, 核 質 内c hr omat i n
額 粒 の変動 (主 として減 少), 核■孔の関大 , 核膜 の凹凸化傾 向,及び 細胞質 では,粗面小胞体 の 膜 構 造 の 不 明瞭 化,時 に消失,胞体間隙疎開傾 向な どの形態 変化,胞 体 内小空胞 の出現 ・増加傾 向 とRN A額粒の膨 化傾 向並 びに顧粒 の増減 な どの変 動 , さらにmi t oc hondr i aの cr i s t ae
構造 の変 化や基質(mat r i x)
の電子密度 の変動 な どで ある.一方,成熟家 兎脳において も,核質 内I
十
(+)
l≠(+)
± (‑)
:+
(‑)±
(+)≡+ ( +)
ート
辛 (±)巨
(十 )
(±) ± (+ )+ (+) + (+)
右 側 ( )内は家兎におけ る変化を示す ,