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材 料 及 び 方 法

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Academic year: 2021

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(1)

ア サ ク ナ ノ リの 石 灰 岩 に穿 孔 した糸 状 体 特 に そ の 生 長 並 び に採 苗 に つ い て

右田 清治・ 太 田扶桑男

Studies on the Conchocelis-phase of Porphyra tenera penetrated into the Lime Stone

with Special Reference to the Growth and the Spore-fixing from the Lime Stone

Seiji MIGITA and Fusao ÔTA

In this work, the authors observed the growth and spore-formation of the Concho- celis-phase of Porphyra tenera cultured in the lime stone. And then, the spores from the Conchocelis-phase were fixed to the collectors (bomboo twigs) in vessels, in which the lime stones with Conchocelis-filament were placed at the bottom, and the collectors were swung with the motor. Results were summarized as follows :

1) On the surface of lime stone, the germling of the carpospores penetrates into the inner layer and grows up to Conchocelis-filament as like as the case in oyster

shell.

2) The penetrating germling develops fundamentally into radiate filaments as in shell, but the filaments are more irregular in shape and they penetrate shallow-

erly than in shell.

3) The spore-formation and its liberation are also almost similar to the case of shell.

Thus, the spores from the Conchocelis-phase were, fixed artificially to the collec- tors and the number of buds of Porphyra were counted under microscope (Table 1).

After 45 days culture in the sea, some of buds grew up to adult fronds bearing carpospores.

B u l l e t i n  o f  t h e  Faculty o f  F i s h e r i e s ,  Nagasaki University ,  N o .   5 ,  1 9 5 7   2 3  

患 者

1=1 

DREW 1)

に依って Porthyra の果胞子が貝殻に穿孔して糸状体になることが確かめられて以来,本邦でも アサクサノリ等の糸状体の形態並びに生態については多くの研究

2‑6)

が行われてきた。現在では貝殻に穿孔 した糸状体を用いて人工的に採苗を行う実用化試験が可なり大規模に各地で実施されている

O

筆者等は 1 9 5 3 年以来乙の種の試験に従事してきたが, 1 9 5 4 年に比較試験の目的で石灰岩を基質にして果胞 子付けをした結果,穿孔して糸状体になるのを認めた。これは同様の観察を尾務

7)

が速報している。

筆者等は更に 1 9 5 5 年に乙れより採苗を試み一応の結果を得たので報告する。

材 料 及 び 方 法

実験材料は有明海産のアサクサノリを使用し,基質には径 3‑‑4cmf 乙破砕した石灰岩,主として大理石を 用い,比較試験には含化石石灰岩,方解石,糖状石灰岩その他二三種類の石灰岩を併用した

o

培養実験及び観 察は本学部と熊本水試鏡分場で行い,採苗実験は大理石を基質にした糸状体で、鏡分場の採古室で、行った。培 養には櫨過海水をそのま

L

使用し,約二週間置きに換水した。また夏期には大型水槽に移し高水温にならない

発 1 9 5 4 年 4 月,日本水産学会年会にて要旨講演

梢熊本県水産試験場

(2)

24

様に注意した。

      塞翁並びに観察

 1.果胞子発芽体の穿孔生長  石灰岩基質への果胞子付けは1954年11月から1955年1月にかけて試みだ が,特に12月初旬多量の胞子付けを行った。12月10日培養開始のもので一週間後に石灰岩の内層に穿孔してい るのが確認されたのは比較的少数に過ぎなかったが,三週間後には多数の穿孔発芽体が見られた。然しその ころまでは未発芽の胞子や基質の表面を早智している発芽体も同時に観察される。

      果胞子の発芽体が穿孔する初期の様子

5

6

100 xx

Fig. 1. The early stage of the Conchocelis 一phase of  PbrPhyra tenera, penetrating into the lime stone.

  1, 7 days old. 2, 15 days old. 3, 45 days old・

  4一一5, 30 days old, showing turned branches.

  6−7, 2 months old.

のが見られ,これは岩石の結晶面の方向と関連があると思われる。

は貝殻の場合旦)3)と同様で,発芽後直ち に内層に侵入するもの(Fig.1,1)幾ら か表面に沿って飼萄してから侵入する ものがある丸Fig・1,2)。葡冒後穿孔 するものが貝穀の場合に比較して幾分多・

い様に観察された。穿孔後の生長は管状 部が肥大して膨大部を作り,それより更 に伸長する貝殻における形式とほとんど 同様である。

 唯この時期には糸状部が小刻みに屈曲 していて,貝の場合の様に直線的な伸長 を行うものが少い。この糸状体は原則的 には放射状に繁栄するが,従来報ぜられ た貝殻を基質に用いた時の様に割合に整、

然とした放射状に生長することは少く,

一部の枝が長く伸びてある所で数本の主 枝を伸出するもの,半円形に放射状をな すもの(Fig・1.6).また尾形7)の報じ た様に方形に近い形をとるもの(Fig 1 r 7)等変化が多い。糸状部が初めの穿孔 方向と逆の方向にある所で急に屈折して 伸長する場合(Fig・1,4一一5)があるが.

断面を観察しても一方向に屈曲している

 糸状体は対生,互生叉は輪生した枝を出すが,偏生した分枝も割合多く見られる。生長が進むと周辺の枝 は貝殻の場合と同様に分枝が疎で長く伸びてくるが,この様な枝に先端が膨らんだ短枝を有するものが多い

(Fig・2, 3) o

 一般に石灰岩に侵入した糸状体は穿孔がカキ殻の場合より浅く,充分に繁茂したものではカキ殻の場合400・

〜600μ位深く穿孔していて,特に200μ位の深度までは相当密に糸状体が見られる。石灰岩では200・一300μ位迄 穿孔するがよく繁:茂しているのは1 OOPt前後の深度までである。また石を薄片にした基質ではや玉深く穿孔す

るが,これはき裂の増加と裏面よりの海水の供給がよい為と考えられる。

 生長速度は種々の条件の微細な変化でも可なりの差があるので一概には言えないが,貝回の場合より幾分 遅い様である。特に穿孔並びに初期の生長率が悪い様に観察された。また石灰岩でも大理石が方解石より生 長が良好であった。

 光量の変化に対しては石灰岩穿孔糸状体は可なり敏感で,カキ殼基質のものと同一容器で培養しても石灰 岩の方が枯死するものが多い。しかし光量を300〜800:Luxの範囲にして培養したものではほとんど枯死した、

例を見なかった。

 2.胞子嚢形成及び採苗 培養が進むと石灰岩穿孔糸状体は白い石を淡黒紫色にしながら繁:茂していくが。

(3)

さっヨま 25

C輪島 繊轡鋸矯    熟

奮撰

 2     ニク)

fJ6・勘一独

夢1鶴

鐸 ・◎n︾ 一丁◎

Fig. 2・ The Conchocelis−phase of PorPhyra  tenera, showing branches and sporangia.

 1一一3, various branches. 4一一5, sporarig  ia.

 6, liberated spores from the Conchocelis−

 phase. 7, germlings of the spores.

7月13日検鏡した際,初めて胞子嚢形成を認め,

8月.に入ってから多数の胞子嚢が観察される様に なった。この胞子嚢は黒木2),山崎 1) ¥に依って 報ぜられた貝殻基質に形成される場合とほとんど 同様の形態を示し,糸状体の側枝として形成され る(Fig.2,4一一5)o

 胞子嚢は穿孔部位の浅い表面に近い所に観察さ れ,深く穿孔した枝には殆んど見られない。胞子 嚢形成は対照の勇キ殼に比較すると8,9月を通 じて常に優っていて,まf: 7月から9月までの一・

時期海に移して培養した対照と比較しても良好で あった。なお春の3,4月にわける膵乎異形成は 観察の範囲内では確認出来なかつアζ。

 この糸状体よりの採苗実験は9月下旬に予めガ ラス板を用いて胞子の脱出を認めた後,9月25日から10月10日まで行った。採苗装置は陶器製の察器融軍い その底に試料を入れ,割竹を動力で浮動させ水流を起させて採苗した(Plate I, Fig・6)。これは鏡水試で 1953,1954年にカキ・殻で試験して好結果を得た装置である。試料の石灰岩は大理石で,糸状体の繁茂面積が 約40cm2になる様に各容器に数個の石を使用した。割竹は5mm角で10cm,15cmの長さのもの各5本を格 子に組み,一部サランロ ・一プ径2mm長さ1mのものを併用した。

 10月1日の観察では割竹,サランロープ共に胞子の附着発芽を認め,夫々10日後の計測では割竹{CM2の 幼芽数はn9 1表の様な結果を得た。その後  Table 1. Number of buds of Porphyra tenera 海に出して培養を続けたところ10月25日に      fixed to the collectors for ten days

は全面に肉眼で幼芽が見られ,更に11月申 旬には一部の葉体で果胞子の形成が観察さ れる様になった。

 本山苗装置でヵキ殼を基質に用いた従来 の良好な附着数と比較すると石灰岩はやや 劣るが,これはカキ殻の場合は割竹と殼を 密接して行っている為の差と考えられ,本 質的な差はほとんどないものと思われるo

No.

一∬咀FV

Conchocelis−growing

  area (cmu )

Q﹂287つQ つU4つり34

Number of buds  (Per cm2)

36.6 88.7 36.0 44.5

54.2

      考        察

 以上の実験.観察によりアサクサノリは生活環の一一時期を貝殼と同様に石灰岩に穿孔した状態でも生存出 来ると考えられる。また天然でも石灰質の砂れきや石に果胞子が穿孔して糸状体になる可能性が強いと思わ れるが,現在まで=二三の帳場で調査した結果では石灰岩は検出されず,従って未だ確認していない。

 人工採苗にも貝殼と同様に大理石等を利用出来ることになるが,本実験で胞子嚢の形成がカキ・殻の場合よ り優ったことは興味深く,更にこの点を究明しナこい。実用性から考えると両面を同時に利用出来て永年使用 に耐える点や人為的に取扱い易い型や大きさに調製出来る利点があるが,カキ殻に比較して糸状体の管理が 難かしいのは大きな欠点である。

 しかし従来カキ殻を基質に用いる場合は種々の環境要因の変化に対し糸状体は割合に強く,その為,糸状 体生育の最適の環境条件を知るのにやや困難であった。石灰岩基質の場合は穿孔が浅い為か,または基質の 物理化学的性質の為か,光線等に対してカキ殻の場合より枯死率が高い。換言すれば保護率が低い様であ る。この点では石灰岩は生理,生態,特に胞子嚢形成等の条件を適確に把握する研究上の基質にも役立つと 考えられる。

 特に産業用に多:量の糸状体を培養する際.季節的光量の変化等で枯死する場合があるが.初期には発見が

困難で,また発見後適切な処置をしても枯死するものが少くない。石灰岩穿孔糸状体はこれ等のへい死を未二

(4)

1.ア サ クサ ノ リの果 胞 子 は石 灰 岩 に も貝 殼 の場 合 と同 様 に 内層 に穿 孔 して糸 状 体 とな る。

2.石 灰 岩 穿 孔 の 糸 状体 は原 則 的 に は放 射 状 に伸長 す るが,貝 殻基 質 の場 合 よ り不 規 則 で あ る。 また 穿 孔 の深 度 が浅 く生長 速 度 も幾 分 遅 い 。

3.糸 状 体 に形 成 され る胞 子 嚢 は 貝 殻 の もの と差異 は な く,胞 子 嚢 の形 成 も劣 らな かつ た。

4.こ の糸 状 体 よ り小 容 器 内で 割 竹,サ ラ ン ロ ープ を浮 動 させ て 採苗 した結 果,幼 芽 を得 た。 これ は 海 に 出 し養 殖 して 成 熟 体 に生 長 した。

終 りに の ぞみ,こ の 研 究 に終 始 御 指導 並 び に 論 文 の 御 校 閲 を賜 わつ た九大 瀬 川 宗 吉 博士 に 深 謝 の意 を表 す る と共 に,種 々便 宜 を 与 え られ た長 崎大 立 石 新 吉 教 授 並 び に熊 本 水 試 加 藤 五郎 場 長 に御 礼 申 し上げ る。

2 6  

然に防止する対照としても利用出来ると思われる。

摘 要

文 献 1 )   Drmw ,  K .  M . :   Nature ,  1 6 4   ( 4 1 7 4 ) ,  7 4 8 ‑ ‑ 7 4 9   ( 1 9 4 9 )   .  2)  黒木宗向:東北水研研報, 2 ,  6 7 ‑ ‑ 1 0 3   ( 1 9 5 3 )   . 

3 う 山崎浩:日;水会誌, 2 0   ( 6 )   , 4 4 2 ‑ ‑ 4 5 0  ( 1 9 5 4 )   . 

4)  須藤開宣その他:日水会誌, 2 0   ( 6 う , 4 9 0 ‑ ‑ 4 9 3   ( 1 9 5 4 )   .  5 う 竹内卓三その他:日;水会誌, 2 0   ( 6 )   4 8 7 ‑ ‑ 4 8 9  ( 1 9 5 4 )   .  6  )  斉藤雄之助:日水会誌, 2 2  ( 1 )   , 2 1 ‑ ‑ 2 9   ( 1 9 5 6 )   . 

7 )  

OG ,~T ,

E . :   B o t .  Mag. ,  Tokyo ,  6 8  ( 8 1 0 )   3 7 1 ‑ ‑ 3 7 2  ( 1 9 5 5 )   . 

Plate  1 

F i g s .   1 ‑ 3 .   The  C o n c h o c e l i s ‑ f i l a m e n t s   of  PO ゆ h y r at e n e r a ,  penetrating i n t o  the lime  s t o n e .   1 ,  1 4   days o l d ,  c a .  x  2 5 0 .   2 ,  6 0   days o l d ,  showing the inner layer ,  c a .  x  3 0 0 .   3 ,  sporangia ,  c a .   x  2 4 0 .  

F i g .  4 .   Buds  from tbe  spores  fixed  a r t i f i c i a l l y   t o   bamboo twigs ( a f t e r   2 0   days  culture う , c a .   x  1 6 0 .  

F i g .   5 .   Surface view of  C o n c h o c e l i s ‑ g r o w i n g   stone ( a f t e r   1 9 0   days) ,  x  1 / 2 .  

F i g .  6 .   Aoparatus f o r  sowing. 

(5)

Bull. Fac. Fish. Nagasaki Univ., No. 5

1

3

    5

      バ

S.MIGITA and F. OTA:

Plate 1.

2

4

乞鰹ぴ

㍉嚥像

 簿

鷺山一三一面轡

晦串

W1

瀦翼鰹

・爵響

餌 鶏

6

欝蓼

欝 郵 闇

Chonchocelis−phase of PorPhyra tenera

参照

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