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論文内容の要旨

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Academic year: 2021

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論 文 内 容 の 要 旨

高齢者では加齢に伴い生活リズム障害が起こりやすいと言われており, 生活リズムに影響を与える 要因の一つに日中の身体活動量が挙げられる。 しかし, 我が国における生活リズム評価指標を用いた 報告や身体活動量との関係についての報告はほとんど見当たらない。 そこで, 本研究の目的を我が国 の生活リズムにおける基準値について検討し, さらに良好な生活リズムに必要な身体活動量について 明らかにすることとした。

在宅高齢者117名を対象として, 対象者のうち, A市とB市で主催している健康教室参加者65名を 健常群とし, 医師により認知症の診断を受けている52名を認知症群とした。 全ての対象者に対して本 研究内容を説明し, 同意書の記載に承諾の上, 署名を得て実施した。

対象者の特性として, 年齢, 性別, 身長, 体重, Body Mass lndex (以下, BMI), 握力, 老研 式活動能力指標 (以下, 老研式指標), Geriatric Depression Scale 簡易版 (以下, GDS) について 本人により聴取, もしくは測定を行った。

― 1 ― 氏 名・(本籍)

だま

あゆ

(秋田県) 専攻分野の名称 博士 (保健学)

学 位 記 番 号 医博甲第17号 学位授与の日付 平成28年3月22日

学位授与の要件 学位規則第4条第1項該当 研 究 科 専 攻 医学系研究科 (保健学専攻)

学 位 論 文 題 名 生活リズム評価における基準値と良好な生活リズムに相当する 身体活動量

論 文 審 査 委 員 (主査) 教授 石 川 隆 志

(副査) 教授 湯 浅 孝 男 教授 新 山 喜 嗣

Akita University

(2)

生活リズム評価は Actiwatch2 (米国レスピロニクス社製) を用いて評価した。 この Actiwatch2 から得られたアクティビティカウントをもとに Nonparametric Circadian Rhythm Analysis (以 下, NPCRA) の Interdaily Stability (以下, IS), Intra-daily Variability (以下, IV), Relative Amplitude (以下, RA) を算出した。

身体活動量評価は Actical (米国レスピロニクス社製) を用いて評価した。 この Actical から得ら れたアクティビティカウントをもとに, 3METs 以上に相当する活動時間 (MVPA) を算出した。

1) 対象者の特性について, 2群間の比較を Mann-Whitney の検定を用いて行った。 性別は

検定 を用いて比較した。

2) 健常高齢者の NPCRA (IS, IV, RA) の基準値を算出するために, 受信者動作特異性曲線 (以 下, ROC 曲線) を用いて検討した。

3) 健康高齢者の NPCRA に関する基準値に相当する身体活動量を算出するために, ROC 曲線を用 いて検討した。

1. 対象者の特性

握力, 老研式指標において健常群が認知症群に比べて有意に高かった。 生活リズム評価として NPCRA の結果, IS, IV, RA 全てにおいて健常群が認知症群よりも有意に良好な結果を認めた。

2. 健常高齢者の NPCRA (IS, IV, RA) の基準値

IS における AUC は0.692であり (p<0.01), 基準値として0.55が算出された。 IV における AUC は0.837であり (p<0.01), 基準値として1.10が算出された。 RA における AUC は0.831であり (p<

0.01), 基準値として0.82が算出された。

3. 健常高齢者の生活リズム (NPCRA) に関する基準値に相当する身体活動量の検出

健常群の IS の基準値 (0.55) に相当する1日あたりの身体活動量を検出するため, ROC 曲線を用 いて検討したところ, p>0.05により基準値が算出されなかった。 健常群の IV の基準値 (1.10) にお ける AUC は0.692であり (p<0.05), 基準値として50.9分が算出された。 健常群の RA の基準値 (0.82) における AUC は0.815であり (p<0.01), 基準値として54.6分が算出された。

今回, NPCRA を用いた生活リズム評価を行い, 我が国の NPCRA における基準値について検討

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Akita University

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した。 また, 身体活動量評価も行うことで, 基準値に相当する良好な生活リズムに必要な身体活動量 について明らかにした。

ROC 曲線によって求めた IS の基準値は0.55であった。 IS は24時間の生活パターンの規則性を示 している。 つまり, 我が国における生活パターンの規則性は従来の基準値と比べて同程度であること が示された。 IV の基準値は1.10であった。 IV は1日24時間の中でも活性―休息リズムの断続性につ いて示している。 今回の結果, 我が国において活性―休息リズムはより断続的で不安定であることが 示された。 RA の基準値は0.82であった。 RA は日中の活動と夜間の睡眠のバランスについて示して いる。 RA については従来の基準値が設けられていないため, 今後症例数を増やしていくことで今回 算出された基準値の適合について検討を重ねていきたい。

良好な NPCRA に相当する身体活動量を算出した結果, IS については採択されなかった。 これに ついては先行研究と同様に, 今回も IS に対する身体活動量の影響が否定される結果となった。 IV の 基準値に相当する MVPA は ROC 曲線の結果, 良好な IV を得るためには1日あたり MVPA を51 分確保する必要があることが示唆された。 また, RA の基準値に相当する MVPA は ROC 曲線の結 果, 良好な RA を得るためには1日あたり MVPA を55分確保する必要であることが示唆された。 今 回得られた良好な生活リズムに相当する身体活動量の基準値は健康づくりのための運動や睡眠の介入 に新たな指標の一つとして活用できると考える。

本研究の結果, NPCRA の IS は国外の基準値と同程度の結果となり, IV は国外の基準値に比べて 不安定であり, RA は今回が初めての算出となった。 また, 良好な生活リズムを保つために必要な MVPA は, IV が51分/日, RA が55分/日であることが示唆された。 今回得られた良好な生活リズム に相当する身体活動量の基準値は健康づくりのための運動や睡眠の介入に新たな指標の一つとして活 用できると考える。

1) Van S : Actigraphic monitoring of sleep and circadian rhythms. Handbook of Clinical Neurology98, 55-63, 2011

2) Van S, Dick F, Christopher C, Wayne C, Vaughn M : Bright light therapy : Improved sensitivity to its effects on rest-activity rhythms in Alzheimer patients by application of nonparametric methods. CHRONOBIOLOGY INTERNATIONAL16, 505-518, 1999

3) 久米裕, 雄鹿賢哉, 鈴木新吾, 谷本歩, 金澤洋輝:入院および地域で生活している統合失調症患 者の生活リズムと認知機能の特徴〜Actiwatch2と BACS-J による定量的評価を用いた検討〜.

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Akita University

(4)

作業療法34:169-179, 2015.

4) Van S, Gees L, Majid M, Dick F : Long-team fitness training improves the circadian rest-activity rhythm in healthy elderly males. Journal Of Biological Rhythms12 ; 146-156, 1997

5) Tudor-Locke C, et al : How many steps/day are enough? For Adults. Int J Behav Nutr Phys, 8. 2011

論 文 審 査 結 果 の 要 旨

本論文は, 作業療法において生活リズムが重視されているにもかかわらず, 我が国において客観的 な指標を用いた検討や身体活動量との関係についての検討がほとんど行われていない点に注目し, 我 が国における生活リズム評価における基準値と良好な生活リズムに必要な身体活動量について明らか にしたものである。 本研究の斬新さ, 重要性, 研究方法の正確性, 文章の簡潔明瞭性は以下の通りで ある。

1) 斬新さ

生活リズム評価における客観的評価として NPCRA における国内基準値を初めて算出するととも に, NPCRA の基準値に相当する良好な生活リズムに必要な身体活動量 MVPA について明らかにし た点で新奇性がありかつ斬新である。

2) 重要性

本研究の結果は, 生活リズム障害を有する対象者への活用のみならず, 健康作りや予防的介入のた めの新たな指標の一つとして, 活用が大いに期待されるものである。

3) 研究方法の正確性

本研究ではその目的を達成するために, 手続きおよびデータ処理と解析は適切かつ正確に行われて おり, 研究協力者に対する倫理的配慮も適切であった。

4) 文章の簡潔明瞭性

本論文は, 研究手続きとその結果を研究の目的に即して解析し, 結果と考察について簡潔明瞭に記 載されている。 以上より, 本論文は博士の学位論文として十分価値あるものとして評価された。

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Akita University

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