一159一
ス イ ス 民 法 第3編 相 続 法(そ の一)
相 原 東 孝
目
第1章 相 続 人
第13節 法 定 相 続 人 第14節 死 後 処 分
第2章 相 続
第15節 相 続 の 開 始 第16節 相 続 の 効 果 第17節 相 続財産 の分割
次
(以下 次号)
159頁 159頁 162頁
第1章 相 続 人
第13節 法 定 相 続 人 第457条(A.血 族 相 続 人1.直 系 卑 属)
(1)被 相 続 人 の 最 も近 い 相 続 人 は,そ の 直 系 卑 属 で あ る。
② 子 は,均 分 に 相 続 す る。
(3)子 が 相 続 開 始 前 に 死 亡 した と きは,そ の 者 の 直 系 卑 属 が,す べ て の 親 等 に お い て,こ れ に 代 位 す る 。
〔参照〕(1)日 民887条1項;独 民1924条1項(2)日 民900条4号;独 民1924条4項 (3)日 民887条2項;独 民1924条3項
第458条(II・ 父 母 の 親 系ElterlicherStamm)
(1)被 相 続 人 が 直 系 卑 属 を 有 し な い と き は,相 続 財 産Erbschaftは 父 母 の 親 系 に 帰 属 す る。
② 父 及 び 母 は,均 分 に 相 続 す る。
/3)父 又 は 母 が 相 績 開 始 前 に 死 亡 した と きは ・ そ の 者 の 直 系 卑 属 が ・ す べ
/
一160一 商 学 討 究 第15巻 第3号
て の 親 等 に お い て,こ れ に 代 位 す る 。
④ 一 方 の 親 系 に 直 系 卑 属 が い な い と きは,全 相 続 財 産 は,他 の 親 系 の 相 続 人 に 帰 属 す る 。
〔参照〕(1)日 民889条1項;独 民1925条1項(2)日 民900条4号;独 民1925条2項 (3)(4)独 民1925条3項
第459条(III・ 祖 父 母 の 親 系GrosselterlicherStamm)
(1)被 相 続 人 が 直 系 卑 属,父 母 の 親 系 の 相 続 人 の 何 れ を も 有 し な い と き は,相 続 財 産 は 祖 父 母 の 親 系 に 帰 属 す る 。
(2)被 相 続 人 の 父 系 及 び 母 系 の 祖 父 母 が 生 存 す る と き は,祖 父 母 は お の お の の 親 系 に つ き,均 分 に 相 続 す る 。
(3)祖 父 又 は 祖 母 が 相 続 開 始 前 に 死 亡 した と きは,そ の 者 の 直 系 卑 属 が す べ て の 親 等 に お い て,こ れ に 代 位 す る。
(4)父 系 又 は 母 系 の 祖 父 又 は 祖 母 が 相 続 開 始 前 に 死 亡 し,か つ そ の 者 の 直 系 卑 属 が い な い と きは,同 親 系 の 生 存 相 続 人 が 半 分 を 相 続 す る。
(5)父 系 又 は 母 系 の 相 続 人 が い な い と きは,全 相 続 財 産 は,他 の 親 系 の 相 続 人 に 帰 属 す る 。
〔参照 〕 独民1926条
第460条(IV.曾 祖 父 母Urgrosseltern)
(1)血 族 の 相 続 権Erbberechtigungは,祖 父 母 の 親 系 を も っ て 終 る。
(2)曾 祖 父 母 は,そ の 直 系 卑 属 が 相 続 開 始 の と きに 生 存 して い た な らば 相 続 す べ きで あ っ た 部 分 の 用 益 権Nutzniessungを,終 身 享 有 す る。
(3)曾 祖 父 母 が 相 続 開 始 前 に 死 亡 した と き は,前 項 の 用 益 権 は,曾 祖 父 母 の 直 系 卑 属 で あ る 被 相 続 人 の 祖 父 母 の 兄 弟 姉 妹 が,こ れ を 終 身 享 有 す
る 。
〔 参照 〕 独民1928条
第461条(非 嫡 出 親 族AusserehelicherVerwandte)
(1)嫡 出 で な い 血 族 は,母 方 の 親 族 に あ っ て は,嫡 出 の 血 族 と 同 一 の 相 続
し
ス イ ス 民 法 第3編 相 続 法(そ の 一)(相 原)
一161一権Erbrechtを 有 す る 。
(2)父 方 の 親 族 に あ っ て は,嫡 出 で な い 子 は,認 知Anerkennung又 は 裁 判 官 の 判 決 に よ っ て 父 子 の 身 分 関 係 が 発 生 した と きに か ぎ り,相 続 権 を 有 す
る 。
(3)嫡 出 で な い 相 続 人 又 は そ の 直 系 卑 属 が 父 の 嫡 出 の 直 系 卑 属 と と もに 分 割 す る と き は,嫡 出 で な い 相 続 人 又 は そ の 直 系 卑 属 は,嫡 出 の 子 又 は そ の 直
系 卑 属 の 相 続 分 の 二 分 の 一 を 取 得 す る。
〔参照〕(1)独 民1705条(2)独 民1736条(3)日 民900条4号 但書 第462条(B・ 生 存 配 偶 者1.相 続 請 求 権Erbanspruch)
(1)生 存 配 偶 者ttberlebendeEhegatteは,被 相 続 人 に 直 系 卑 属 が あ る と きは,自 己 の 選 択 に よ っ て 相 続 財 産 の 二 分 の 一 の 用 益 権 又 は 四 分 の 一 の 所 有 権 を 取 得 す る 。
(2)生 存 配 偶 者 は,父 母 の 親 系 の 相 続 人 と と もに 相 続 す る と きは 四 分 の 一一 の所 有 権 と四 分 の 三 の 用 益 権 を 取 得 じ,祖 父 母 の 親 系 の 相 続 人 と と もに 相 続 す る と きは 二 分 の 一 の 所 有 権 と他 の 二 分 の 一 の 用 益 権 を 取 得 し,ま た 祖 父 母 の 親 系 の 相 続 人 が い な い と き は 相 続 財 産 全 部 の 所 有 権 を 取 得 す る。
〔参照 〕 日民890条,900条;独 民1931条 第463条(II・ 変 更 及 び 担 保)
(1)生 存 配 偶 者 が 用 益 権 を 有 す る と き は,何 時 に て もそ れ に 代 え て 相 当 額 の 年 金jahrlicheRenteを 請 求 す る こ と が で き る。
(2)前 項 の 変 更Umwandlungを な した と きは,生 存 配 偶 者 は,請 求 権 が 危 険 に さ ら さ れ た 場 合,共 同 相 続 人 に 担 保Sicherstellungを 請 求 す る こ
とが で き る。
第464条(III・ 共 同 相 続 人 の 担 保)
生 存 配 偶 者 は,再 婚 す る と き及 び 共 同 相 続 人 り所 有 権 が 危 険 に さ ら され た
と き に は,共 同 相 続 人 の 請 求 に も とつ い て これ に 担 保 を 提 供 しな け れ ば な ら
な いQ
一162一 商 学 討 究 第15巻 第3号
第465条(C・ 養 子AngenommeneKinder)
(1)養 子 及 び そ の 直 系 卑 属 は,養 親 に 対 して,嫡 出 の 子 と 同 一 の 相 続 権 を 取 得 す る。
(2)養 親 及 び そ の 血 族 は,養 子 に 対 して 相 続 権 を 有 しな い 。
〔 参 照〕(1)日 民809条:独 民1757条1項,1762条,1767条(2)日 民727条;
独民1759条
第466条(D・ 州,市 町 村)
被 相 続 人 に 対 し相 続 権 を 有 す る 者 が な い と き は,相 続 財 産 は,曾 祖 父 母, 及 び 祖 父 母 の 兄 弟 姉 妹 の 用 益 権 を 留 保 して,被 相 続 人 が 最 後 に 住 所 を 有 した 州 又 は 州 の 立 法 に よ っ て そ の 権 利 を 認 め られ た 市 町 村 に 帰 属 す る 。
〔 参 照〕 日民958条 の3,959条
第14節 死 後 処 分
第1款 処 分 能 力
第467条(A・ 遺 言 に よ る 処 分)
判 断 能 力 を 有 しか つ18才 に 達 した 者 は,法 定 の 制 限 及 び 方 式 に した が い, 遺 言 に よ っ て,そ の 財 産 を 処 分 す る こ と が で き る。.
〔 参照 〕 日民960条,961条,963条;独 民2229条 第468条(B・ 相 続 契 約)
相 続 契 約Erbvertragを 締 結 す る に は,被 相 続 人 は 成 年 者 な る こ と を 要 す る 。
〔 参照 〕 独民2274条,2275条 第469条(C.不 完 全 な 意 思)
(1)被 相 続 人 が,錯 誤,詐 欺,脅 迫 又 は 強 制 に よ っ て な した 処 分 は,無 効 で あ る 。
(2)被 相 続 人 が 錯 誤 又 は 詐 欺 を 知 り,若 し くは 脅 迫 叉 は 強 制 を 免 れ た 後, 一 年 以 内 に そ の 処 分 を 取 消 さな い と き は ,そ の 処 分 は 有 効 と な る。
③ 処 分 が 人 又 は 物 に 関 して 明 白 な 錯 誤 を 含 み ・ か つ,禄 相 緯 人 の 真 の 意
ス イ ス 民 法 第3編 相 続 法(そ の 一)(相 原) 一163一
思 を明 確 に な し うる と きは,そ の処分 は そ の意 思 の よ うに訂 正 され な け れ ば な らない 。
第2款 処 分 の 自 由 第470条(A・ 処分 可能 な部 分1・ 処分 権 の範 囲)
(1)直 系卑 属,父 母,兄 弟 姉 妹 又 は 配偶 者 を最 も近 い相 続 人 と して有 す る 者 は,こ れ らの者 の遺 留 分Pflichtteilに 達 す る まで,そ の財 産 に 関 し死 後 処 分 を なす 権利 を有 す る。
② 前項 の相 続 人 を有 しな い者 は,そ の 全 財 産 に 関 し死後 処分 を なす こ と が で き る。
第471条(II・ 遺 留 分)
遺 留 分 は 次 の如 くで あ る。
一 直系卑 属 は ,各 々そ の 法定 相 続 権 の四 分 の三 二 父 母 は,各 々そ の法 定 相 続 権 の二 分 の 一 三 兄 弟姉 妹 は,各 々そ の法 定 相 続 権 の四 分 の 一
四 生 存 配偶 者 は 他 に法 定相 続 人 が あ る と きは,所 有 権 に 対 す る請 求 権 の 全 部,配 偶 者 が 唯一 の法 定 相続 人で あ る と きは そ の二 分 の 一
〔参照〕 日民1028条;独 民2303条 第472条(III.州 の 権利 留 保)
州 は,そ の 州 内 に 最後 の住 所 を も ってい た州 民 の 相続 に つ い て は,兄 弟姉 妹 の遺 留 分 請 求 権 を認 め ず,又 はそ の請 求 権 を 兄弟姉 妹 の 直 系卑 属 に認 め る
、
こ とが で き る。
第473条(IV.配 偶 者 の 保 護)
(1)被 相続 人 は,共 同 の 直 系卑 属 に帰 属 す べ き相続 財 産 全 部 の用 益 権 を, 共 同 の直 系卑 属 に 対 す る死 後 処 分 に よ って,生 存 配偶 者 に与 え る こ とが で き
る。
(2)前 項 の用 益 権 は,共 同 の 直 系卑 属 と と もに 配 偶 者 に 帰 属 す る法 定 相続
権 に代 る もの で あ る9
一164‑一 一 商 学 討 究 第15巻 第3号
(3)再 婚 の 場 合 に は,生 存 配 偶 者 は,前 項 の 用 益 権 の 二 分 の 一 を 喪 失 す る 。 第474条(V・ 処 分 可 能 な 部 分 の 計 算1.債 務 の 控 除)
(1)処 分 す る こ と の で き る部 分 は,被 相 続 人 の 死 亡 の 時 の 財 産 の 状 態 に よ っ て 計 算 す る。
(2)計 算 の 際 に は,被 相 続 人 の 債 務,葬 式 費 用,封 印 費 用 及 び 財 産 目録 調 製 の 費 用 及 び 一 箇 月 間 の 扶 養 に 対 す る 同 居 人Hausgenosseの 請 求 権 を,相 続 財 産 よ り控 除 し な け れ ば な らな い 。
〔参照〕 日民1029条;独 民2311条 第475条(2.生 前 贈 与)
生 前 贈 与ZuwendungunterLebendenは,減 殺 の 訴Herabsetzungsklage を うけ た 限 度 に お い て,財 産 中 に これ を 算 入 す る。
〔参照〕 日民1029条,1030条;独 民2325条 第476条(3・ 保 険 料 請 求 権)
被 相 続 人 の 死 亡 に よ っ て 得 られ る 保 険 料 請 求 権Versicherungsanspruch
が 生 前 処 分 又 は 死 後 処 分 に よ っ て 第 三 者 の た め に 設 定 され,又 は 被 相 続 人 の 生 存 中 に 無 償 で 第 三 者 に 譲 渡 さ れ た と き は,被 相 続 人 の 死 亡 の 時 の 保 険 料 請 求 権 の 買 戻 価 額Rtickkaufswertは 被 相 続 人 の 財 産 に こ れ を 算 入 す る。
第477条(B.相 続 廃 除1.原 因)
次 の 場 合 に は,被 相 続 人 は 死 後 処 分 に よ っ て 相 続 人 か ら遺 留 分 を 剥 奪 す る こ とが で き る。
一・ 相 続 人 が ,被 相 続 人 又 は 被 相 続 人 の 近 親 に 対 して 重 罪 を 犯 した と き 二 相 続 人 が,被 相 続 人 又 は 被 相 続 人 の 親 族 の 一 人 に 対 して,そ の 負 担 す
る親 族 法 上 の 義 務 に 著 し く違 反 した と き
〔参 照 〕 日民892条;独 民2333条,2334条,2335条,2336条1項 第478条(II.効 果)
(1)被 廃 除 者 は,相 続 に 関 与 し,又 は 減 殺 の 訴 を な す こ とが で き な い 。
(2)被 廃 除 者 の 持 分 は,被 廃 除 者 が 相 緯 開 始 の と き に 生 存 しな い 場 合 と 同
スイ ス民法第3編 相続法(そ の一)(相 原)
一165‑一じ く,被 相続 人 の 法 定 相続 人 に 帰 属 す る。但 し,被 相 続 人 が これ と異 な る処 分 を な した場 合 は,こ の限 りで ない 。
(3)=被 廃 除者 の直 系 卑 属 は,被 廃 除者 が 相 続 開 始 の と きに 生 存 しない 場 合 と同 じ く,遺 留 分 の 権利 を 保 有す る。
第479条(III・ 立 証 責 任)
(1)廃 除 は,被 相 続 人 が廃 除原 因 を そ の 処分 に指 示 した と きに の み,有 効 で あ る。
(2)被 廃 除 者 が前 項 の指 示 の不 当 で あ る こ とに つ い て異 議 を 申立 て た と き は,相 続 人 又 は廃 除 に よ って利 益 を 受 け る者 が,そ の原 因 の正 当 な る こ とを 立証 しな けれ ば な らな い。
(3)前 項 の証 明 を な しえ な い と き又 は 廃 除 原 因 が指 示 され ない ときは,そ の 処分 は 被 廃 除者 の遺 留分 を害 しない 限 りに お い て,有 効 で あ る。 但 し,被 相 続 人 が,廃 除原 因 に 関 し明 白 な錯 誤 に よって そ の 処 分 を な した と きは,こ
の限 りで な い 。
〔 参照〕 独民2336条2項
第480条(IV・ 支 払 無 能 力 者 の 廃 除)
(1)被 相 続 人 の直 系卑 属 に対 して 損失 証 書 が あ る と きは,被 相 続 人 は そ の 直 系卑 属 の遺 留 分 の二 分 の一 を 剥 奪 して,こ れ を そ の者 の現 存 の子及 びそ の 後 出 生 す る子 に帰 属 させ る こ とが で き る。
(3>前 項 の廃 除 は,相 続 開始 の際 に損 失 証 書 が もは や 存 在 せ ず 又 は そ の全 額 が 相 続 分 の四 分 の一 を超 過 しない と きは,被 廃 除 者 の 請 求 に も とつ い て, そ の効 力 を 失 う。
第3款 処 分 の 方 法 第481条(A・ 通 則)
(1)被 相 続 人 は,処 分 自 由 の 範 囲 内 に お い て,遺 言 処 分 に よ り又 は 相 続 契
約 に よ っ て,そ の 財 産 に つ き全 部 又 は 一 部 を 処 分 す る こ とが で き る。
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商 学 討 究 第15巻 第3号
(2)被 相 続 人 が 処 分 しな か っ た 部 分 は,法 定 相 続 人 に 帰 属 す る。
第482条(B・ 負 担 及 び 条 件)
(1)被 相 続 人 は,そ の 処 分 に 負 担 又 は 条 件 を つ け る こ と が で き る。 そ の 負 担 又 は 条 件 の 履 行 は,処 分 が 行 な わ れ た と き に,利 害 関 係 を 有 す る者 は 誰 で
も,こ れ を 請 求 す る こ とが で き る。
(2)善 良 の 風 俗 に 反 す る 又 は 違 法 な 負 担 及 び 条 件 は,処 分 を 無 効 に す る 。 (3)負 担 又 は 条 件 が 他 人 に と っ て 負 担 に な る に す ぎ な い か 又 は 無 意 味 で あ る と き は,そ の 負 担 又 は 条 件 は 存 在 しな い もの とみ な す 。
〔 参照 〕 日民985条2項,独 民2177条 第483条(C・ 相 続 人 の 指 定)
(1)被 相 続 人 は,相 続 財 産 の 全 部 又 は 一・ 部 に 対 して,一 人 又 は 数 人 の 相 続 人 を 指 定 す る こ とが で き る。
(2)受 遺 者 に 相 続 財 産 の 全 部 又 は 一 部 を 取 得 させ る処 分 は,す べ て これ を 相 続 人 の 指 定Erbeinsetzungと み な す 。
〔 参 照〕 日民964条:独 民1937条,2087条 第484条(D・ 遣 贈1.内 容)
(1)被 相 続 人 は,受 遺 者 を 相 続 人 と指 定 しな い で,受 遺 者 に 財 産 上 の 利 益 を,遣 贈Vermachtnisと して 与 え る こ とが で き る 。
(2)被 相 続 人 は,受 遺 者 に 個 々 の 相 続 財 産 物 件 を 遺 贈 し,又 は 相 続 財 産 の 全 部 若 し くは 一 部 に 対 す る用 益 権 を 遺 贈 す る こ とが で き る。 あ る い は 又,被 相 続 人 は,相 続 財 産 の 価 額 か ら受 遺 者 に 対 して 給 付 す る こ と又 は 債 務 を 免 れ
させ る こ と を,相 続 人 又 は 受 遺 者Vermachtnisnehmerに 委 任 す る こ とが で き る。
(3)被 相 続 人 が 特 定 の 物 を 遺 贈 した と き は,そ の 物 が 相 続 財 産 の 中 に 存 在 せ ず か つ そ の 処 分 に つ い て 被 相 続 人 の 他 の 意 思 が 認 め られ な い と き は,遺 贈 義 務 者derBeschwerteは 義 務 を 負 わ な い 。
〔参照 〕(1)独 民2174条(2)独 民2156条(3)日 民996条;独 民2169条
スイス民法第3編 相続法(そ の一)(相 原)‑167一
第485条(II・ 遺 贈 義 務 者 の 義 務)
(1)物 は,損 失Schaden又 は 増 加Zuwachs及 び 負 担 の 有 無 等 に つ き, 相 続 開 始 の 時 に お け る状 態 及 び 性 状 に お い て,こ れ を 受 遺 者 に 引 渡 さ な け れ
'
ば な らな い 。
(2)相 続 開 始 の 後 に 物 に 関 して 遺 贈 義 務 者 の 支 出 した 費 用,及 び そ の 後 生 じた 損 傷Verschlechterungに つ い て は,遺 贈 義 務 者 は,委 任 を 受 け な い 事 務 管 理 人Geschaftsftthrerと 同 一 の 権 利 義 務 を 有 す る 。
〔参照 〕(1)日 民1000条;独 民2164条,2165条(2)日 民993条;独 民2185条 第486条(盟 ・相 続 財 産 と の 関 係)
(1)遺 贈 が,相 続 財 産 の 額 又 は 遺 贈 義 務 者 に 与 え られ た 額 若 し くは 処 分 の 可 能 な 部 分 を 超 過 す る と き は,遺 贈 の 比 例 減 殺 を 請 求 す る こ とが で き る 。
(2)遺 贈 義 務 者 が,被 相 続 人 の 死 亡 の 時 まで 生 存 せ ず,又 は 相 続 欠 格 者 で あ り,若 し くは 相 続 の 放 棄 を した と き に も,遺 贈 は,そ の 効 力 を 失 わ な い 。 (3)被 相 続 人 が,法 定 相 続 人 又 は 指 定 相 続 人 の 一 人 の た め に 遺 贈 を な した 場 合 に は,そ の 相 続 人 が 相 続 を 放 棄 した と き で も,遺 贈 を 請 求 す る こ とが で
き る 。
〔参照 〕 日民1002条,1003条;独 民2187条,2188条 第487条(E・ 補 充 処 分Ersatzverftigun9)
被 相 続 人 は,そ の 処 分 に お い て 一 一 人 又 は 数 人 の 者 を,相 続 人 又 は 受 遺 者 が 相 続 開 始 前 に 死 亡 し若 し くは 放 棄 す る 場 合 の た め に,相 続 財 産 又 は 遺 贈 が 帰 属 す べ き者 と指 定 す る こ とが で き る 。
〔参照 〕 独民2190条
第488条(F.後 位 相 続 人 指 定1・ 後 位 相 続 人 の 指 定)
(1)被 相 続 人 ば,そ の 処 分 に お い て 前 位 相 続 人Vorerbeと して の 指 定 相 ・ 続 人 に,相 続 財 産 を 後 位 相 続 人Nacherbeた る第 三 老 に 引 渡 す 義 務 を 課 す
る こ とが で き る。
(2)後 位 相 続 人 に は,前 項 の 義 務 を 課 す る こ とが で き な い 。
一 一168一 商 学 討 究 第15巻 第3号
(3)同 様 の 規 定 は,遺 贈 に 関 して も適 用 さ れ る。
〔 参照 〕(1)独 民2100条 第489条(IL引 渡 の 時 期)
(1)処 分 に つ い て 別 段 の 定 め の な い と き は,前 位 相 続 人 の 死 亡 の 時 を も っ て,引 渡 の 時 期 と み な す 。
(2)前 項 以 外 の 時 期 が 指 定 さ れ,か つ,そ の 時 期 が 前 位 相 続 人 の 死 亡 の 時 期 に お い て まだ 到 来 しな い と き は,相 続 財 産 は 担 保 と引 換 え に 前 位 相 続 人 の 相 続 人 に 移 転 す る。
⑧ 移 転 時 期 が な ん らか の 原 因 に よ り もは や 到 来 しえ な くな っ た と き は, 相 続 財 産 は 無 条 件 に 前 位 相 続 人 の 相 続 人 に 帰 属 す る 。
〔 参照 〕(1)独 民2106条1項 第490条(III・ 担 保 方 法)
(1)後 位 相 続 人 指 定 の す べ て の 場 合 に,管 轄 官 庁 は 財 産 目録 の 調 整 を 命 じ な け れ ぽ な らな い 。
(2)前 位 相 続 人 に 対 す る相 続 財 産 の 移 転 は,被 相 続 人 が 明 示 し て こ の 義 務 を 免 除 しな い か ぎ り,担 保 と 引 換 え に の み 行 わ れ る。 この 担 保 は 土 地 に つ い て は 不 動 産 登 記 簿 に 引 渡 義 務 を 仮 登 記 す る こ とに よ っ て,こ れ を な す こ とが で き る 。
(3)前 位 相 続 人 が 前 項 の 担 保 を な す こ と が で き な い と き,又 は 後 位 相 続 人 の 相 続 権 を 危 くす る と き は,相 続 財 産 管 理 を 命 じ な け れ ば な らな い 。
〔参照 〕(1)独 民2121条(2)独 民2128条(3)独 民2127条 第491条(IV・ 法 律 上 の地 位1・ 前 位 相 続 人)
(1)前 位 相 続 人 は,他 の 指 定 相 続 人 と同 じ く,相 続 財 産 を 取 得 す る。
(2)前 位 相 続 人 は,引 渡 の 義 務 を も っ て 相 続 財 産 の 所 有 者 と な る 。
〔参照 〕 独 民2112条
第492条(2・ 後 位 相 続 人)
(1)後 位 相 続 人 は,引 渡 に つ い て 定 め られ た 時 期 ま で 生 存 す る と き は,被
スイス民法第3編 相続法(そ の一)(相 原) 一169一
相 続 人 の 相 続 財 産 を 取 得 す る 。
(2)後 位 相 続 人 が 前 項 の 時 期 に 生 存 し な い と き は,被 相 続 人 が これ と異 な る 処 分 を し な い か ぎ り,相 続 財 産 は 引 続 き前 位 相 続 人 に 属 す る。
(3)前 位 相 続 人 が,被 相 続 人 の 死 亡 の 時 ま で 生 存 せ ず 又 は 相 続 欠 格 者 で あ り も し くは 相 続 を 放 棄 す る と き は,相 続 財 産 は 後 位 相 続 人 に 帰 属 す る。
〔参照〕(1)独 民2106条1項,2130条(2)独 民2108条(3)独 民2139条 第493条(G.財 団 法 人)
(1)被 相 続 人 は,そ の 財 産 の 処 分 す る こ との で き る部 分 を 全 部 又 は 一 部 あ る 目的 の た め に,財 団 法 人Stiftungに す る こ とが で き る 。
(2)財 団 法 人 は,法 律 の 規 定 に 適 合 す る場 合 に の み,有 効 で あ る。
〔 参照 〕 独民2101条2項
第494条(H.相 続 契 約1・ 相 続 人 指 定 契 約 及 び 遺 贈 契 約)
(1)被 相 続 人 は,相 続 契 約 に よ っ て,相 手 方 又 は 第 三 者 に 相 続 を な さ しめ 又 は 遺 贈 を な す べ き義 務 を 負 う こ と が で き る。
(2)被 相 続 人 は,そ の 財 産 を 自 由 に 処 分 す る こ とが で き る。
(3)相 続 契 約 に よ る 義 務 と一 致 しな い 死 後 処 分 又 は贈 与 は,こ れ を 取 消 す こ とが で き る 。
〔参照 〕(1)独 民2274条(2)独 民2286条(3)独 民2281条 〜2285条 第495条(IL相 続 の 放 棄1・ 意 義)
(1)被 相 続 人 は,相 続 人 と相 続 放 棄 契 約Erbverzichtvertrag又 は 相 続 買 収 契 約Erbauskaufを 締 結 す る こ とが で き る。
(2)相 続 放 棄 者 は,相 続 人 と し て の 資 格 を 失 う。
(3)契 約 に 別 段 の 定 め が な い と き は,相 続 の 放 棄 は,放 棄 者 の 直 系 卑 属 に 対 し て も効 力 を 有 す る 。
〔 参照 〕(1)(2)独 民2346条(3)独 民2349条 第496条(2・ 相 続 人 不 存 在 の 場 合)
(1)相 続 契 約 に お い て 放 棄 者 の 代 りに あ る相 続 人 を 指 定 した と き は,放 棄
一170一 商 学 討 究 第15巻 第3号
は,そ の 相 続 人 が な ん らか の 理 由 で 相 続 財 産 を 取 得 しな い と き は,効 力 を 失 う。
膠
(2)共 同 相 続 人 の た め に 放 棄 が な され た と き は,こ の 放 棄 は,放 棄 者 と共 同 の 最 も近 い 祖 先 に 由 来 す る 同 親 系 の 相 続 人 に 対 して の み な ざ れ た もの で あ
り,遠 縁 の 相 続 人 に 対 し て な さ れ た も の で は な い もの と推 定 す る 。 第497条(3・ 相 続 債 権 者 の 権 利)
被 相 続 人 が 相 続 開 始 の と き 支 払 能 力 を 有 せ ず か つ そ の 債 権 者 が 相 続 人 か ら 支 払 を 受 け な い と き は,債 権 者 は,相 続 放 棄 者 及 び そ の 相 続 人 が 相 続 放 棄 の た め 被 相 続 人 の 死 亡 前 五 力年 以 内 に 被 相 続 人 の 財 産 か ら反 対 給 付 を 受 け 相 続 開 始 の と き な お 現 に そ の 利 益 を 受 け る限 度 に お い て,こ れ に 対 して 請 求 す る
こ とが で き る。
第4款 処 分 の 方 式 第498条(A.遣 言1・ 作 成1.通 則)
被 相 続 人 は,公 正 証 書,自 筆 証 書 又 は 口 頭 の 意 思 表 示 に よ っ て,遺 言 を す る こ とが で き る 。
〔参照〕 日民967条;独 民2231条
第499条(2.公 成 遺 言a.作 成 形 式)
公 成 遺 言6ffentlicheletztwilligeVerfifgungは,官 吏,公 証 人 又 は 州 法 上 そ の 職 務 を 委 任 さ れ た 他 の 吏 員 の 面 前 に お い て,証 人 二 人 の 協 力 を も っ て,こ れ を す る。
〔参照〕 日民969条;独 民2232条 第500条(b.官 吏 の 協 力)
(1)被 相 続 人 は,官 吏 に 対 し て そ の 意 思 を 表 示 し,官 吏 は そ れ に よ っ て 証 書 を 作 成 し又 は 作 成 さ せ て,こ れ を 被 相 続 人 に 読 み 聞 か せ る 。
(2)被 相 続 人 は,証 書 に 署 名 し な け れ ば な らな い 。
(3)官 吏 は,証 書 に 日附 を 記 入 し,こ れ に 署 名 し な け れ ば な らな い 。
〔 参照〕 日民969条;独 民2239条,2242条
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スイス民法第3編 相続法(そ の一)(相 原)
一171一第501条(c.証 人 の 協 力)
(1)被 相 続 人 は,日 附 の 記 入及 び 署 名 の後 直 ちに 官 吏 の面前 に お い て,証 人 二 人 に 対 し証 書 を読 んだ こ と及 びそ の証 書 は 自己 の遺 言 を載 せ て い る こ と
を,表 示 しな け れ ば な らな い。
(2)証 人 は,証 書 に 署 名 す る こ とに よ って,被 相 続 人が 彼 等 の 面前 に お い て前 項 の意 思 表 示 を な した こ と及 び被 相 続 人 が彼 等 の観 察 に よれ ばそ の際 処 分 能 力 を 有 す る状 態 で あ った こ とを,証 明 しな け れ ば な らない 。
〔 参照〕 日民969条;独 民2242条
第502条(d.被 相 続 人 の 閲読 と 自署 の な い作 成)
(1)被 相 続 人が 証 書 を 自分 で 読 まず か つ 署 名 しな い ときは,宮 吏 は証 人 二 人 の面 前 で証 書 を読 み 聞か せ,被 相 続 人 はそ の証 書 が 自己 の遺 言 を載 せ てい る こ とを表 示 しな け れ ぽ な らな い。
② 前 項 の場 合 に,証 人 は被 相 続 人 の意 思 表 示及 び被 相続 人 の処 分 能 力 に つ い て の彼 等 の観 察 を証 明す る のみ な らず,証 書 が そ の 面前 に お い て官 吏 に
よって読 み 聞 か され た こ とを証 明 しなけ れ ば な らな い。
〔 参照〕 日民969条 第503条(e.協 力 者)
(1)行 為 能 力 の な い者,刑 事 裁 判所 の判 決 に よ って公 民 権bttrgerlichen EhrenundRech七eを 有 しない 者,読 み 書 きの で きな い者,被 相 続 人 の 直 系血 族 又 は 兄弟 姉 妹 及 び そ の 配 偶 者 は,公 成 遺 言 の作成 に 際 して,立 合 官吏
と して も証 人 と して も,協 力 す る ことが で きな い。
(2)立 合 官 吏 又 は証 人 並 びに これ らの 者 の 直 系血 族,兄 弟姉 妹 又 は配 偶 者 は,遺 言 の 中で 遺贈 され る こ とは で きな い。
〔参照〕 日民974条:独 民2234〜2237条 第504条(f.遺 言 の保 管)
州 は,遺 言証 書 を委 託 され た 官 吏 が 原 本 又 は そ の謄 本 を 自身 で保 管 す るか
又 は保 管 の た め 官 署 に 引渡 す る こ とに関 して,協 力 しなけ れ ば な らな い。
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商 学 討 究 第15巻 第3号
〔参照 〕 日民1004条;独 民2258条 ノ3,2259条' 第505条(3.自 筆 遺 言)
(1)自 筆 遺 言e=genhandigeletzwilligeVerftigungは,・ 最 初 か ら 最 後 に 至 る ま で か つ 作 成 の 場 所,年 月 日の 記 述 も含 め て 被 相 続 人 に お い て こ れ に 自 書 し,署 名 しな け れ ば な らな い 。
② 州 は,前 項 の 遺 言 を 開 封 又 は 封 繊 して 保 管 の た め 官 署 に 交 付 で き る こ とに 関 して,協 力 しな け れ ば な らな い 。
〔 参照 〕(1)日 民968条;独 民2247条(2)日 民1004条;独 民2258条 ノ3,2259条 第506条(4・ 口 頭 遺 言a・ 遺 言)
(1)被 相 続 人 は,生 命 危 篤Todesgefahr,交 通 遮 断Verkehrssperre,伝
染 病Epidemie,又 は 戦 争Kriegsereignis等 非 常 の状 態 の た め,他 の 遺 言 方 式 を 利 用 す る こ とが で き な い と き は,口 頭 遺 言mttndlicheletztwi1】ge Verfifgungを な す こ とが で き る。
(2)前 項 ρ 目的 の た め,被 相 続 人 は 証 人 二 人 の 面 前 に お い て 遺 言 を な し, これ を 必 要 な 証 書 に 作 成 す る こ とを 委 託 しな け れ ば な らな い 。
(3)証 人 に 関 し て は,公 成 遺 言 の 場 合 と同 一 の 除 斥 規 定 に 従 う。
〔参照〕(1)(2)日 民976条1項,977条;独 民2250条(3)日 民982条;独 民2250条3項 第507条(b・ 証 書)
(1)証 人 の 一 人 は 直 ち に 口頭 遺 言 を 書 面 に 作 成 し遺 言 の 場 所,年 月 日を 記 入 し,証 人 二 人 は,こ れ に 署 名 し,か つ 被 相 続 人 は 特 別 な 事 情 の 下 に 処 分 能 力 を 有 す る状 態 に お い て そ の 遺 言 を 彼 等 に 対 して な した こ と を 附 記 して,遅 滞 な く これ を 裁 判 所 に 提 出 しな け れ ぽ な らな い 。
(2)二 人 の 証 人 は,前 項 の 手 続 の 代 りに,裁 判 所 に お い て 前 項 と 同一 の 意 思 表 示 を し て 調 書 に 作 成 さ せ る こ と が で き る 。
(3)被 相 続 人 が 兵 役 中 に 口頭 遺 言 を す る と き は,大 尉 以 上 の 士 官 が 裁 判 所 に 代 る こ とが で き る 。
〔参照 〕(1)(2)日 民967条,977条;独 民2250条(3)日 民 旧法1078条 〜1081条
スイス民法第3編 相続法(そ の一)〈 相原)‑173一
第508条(c.効 力 の 喪 失)
被 相 続 人 が,後 に な っ て,他 の 遺 言 方 式 を 利 用 で き る、 よ うに な っ た と き は,そ の 時 か ら起 算 して14日 後 に,口 頭 遺 言 は そ の 効 力 を 失 う。
〔参照 〕 日民983条;独 民2252条
第509条(II・ 撤 回 及 び 破 棄1・ 撤 回)
(1)被 相 続 人 は,何 時 で も,遺 言 作 成 に 関 して 定 め られ た 方 式 に 従 っ て, そ の 遺 言 を 撤 回 す る こ とが で き る。
(2)撤 回Widerrufは,遺 言 の 全 部 又 は 一 部 に つ い て これ を な す こ とが で き る。
〔参照 〕 日民1022条,1026条;独 民2253条1項,2254条 第510条(2.破 棄)
(1)被 相 続 人 は,証 書Urkundeを 破 棄 す る こ とに よ っ て,遺 言 を 撤 回 す る こ と が で き る。
(2)証 書 が 偶 然 に 又 は 他 人 の 過 失 に よ っ て 破 棄 され た と き は,遺 言 は,損 害 賠 償 の 請 求 権 を 留 保 して,そ の 内 容 が 正 確 完 全 に 確 認 さ れ え な い か ぎ り, そ の 効 力 を 失 う。
〔参照 〕 日民1024条;独 民2255条 第511条(3.後 の 遺 言)
(1)被 相 続 人 が 前 の 遺 言 を 明 白 に 取 消 さ な い で 後 の 遺 言 を な した と きは, 後 の 遺 言 が 前 の 遺 言 に 代 る もの とす る。 但 し,後 の 遺 言 が 疑 もな く前 の 遺 言
の 単 な る 補 充 に す ぎ な い と きは こ の 限 りで な い 。
(2)特 定 物 に 関 す る遺 言 は,更 に そ の 物 に 関 し て 被 相 続 人 が 前 の 遺 言 と相 容 れ な い 処 分 を な す こ と に よ っ て,取 消 さ れ る 。
〔 参 照〕 日民1023条;独 民2258条 第512条(B・ 相 続 契 約1・ 作 成)
(1>相 続 契 約Erbvertragが そ の 効 力 を 有 す る に は,公 成 遺 言 の 方 式 に従
う こ と を 要 す る。
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商 学 討 究 第15巻 第3号
(2>契 約 当 事 者 は 官 吏 に 対 して 同 時 に そ の 意 思 を 表 示 し,官 吏 及 び 証 人 二 人 の 面 前 に お い て 証 書 に 署 名 しな け れ ば な らな い 。
〔参照 〕 独民2276条
第513条(II.解 除1.生 存 中 の 場 合a.契 約 又 は 遺 言 に よ る場 合)
(1)相 続 契 約 は,何 時 に て も,契 約 当 事 者 間 の 書 面 に よ る合 意 に も とつ い て,こ れ を 解 除 す る こ とが で き る。
(2)相 続 人 又 は 受 遺 者 が 契 約 締 結 の 後,被 相 続 人 に 対 して,相 続 廃 除 の 原 因 と な る行 為 を な した と き,被 相 続 人 は,相 続 人 指 定 契 約Erbeinsetzungs‑
vertrag又 は 遺 贈 契 約Vermachtnisvertragを,一 方 的 に 解 除 す る こ と が で き る。
(3)一 方 的 な 解 除 は,遺 言 の 作 成 に つ い て 定 め られ た 方 式 に 従 っ て,こ れ を しな け れ ば な らな い 。
〔参照〕 独民2293条 〜2296条
第514条(b.契 約 に よ る解 除 の 場 合)
相 続 契 約 に も とつ い て 生 存 者 間 の 給 付 を 請 求 し うべ き者 は,そ の 給 付 が 契 約 に 従 っ て 履 行 され ず 又 は そ の 給 付 に 担 保 が 提 供 さ れ な い と き に は,債 務 法 の 規 定 に 従 っ て,こ れ を 解 除 す る こ とが で き る。
第515条(2.相 続 人 が 先 に 死 亡 した 場 合)
(1)相 続 人 又 は 受 遺 者 が,被 相 続 人 の 死 亡 後 ま で 生 存 しな い と き は,契 約 は そ の 効 力 を 失 う。
(2)被 相 続 人 が 相 続 人 死 亡 の 時,そ の 契 約 に も とつ い て 利 得 を 有 す る と き は,死 者 の 相 続 人 は,別 段 の 定 め が な け れ ば,そ の 利 得 の 返 還 請 求 を す る こ
とが で き る。
第516条(c.処 分 の 制 限)
死 後 処 分 を な した 後,被 相 続 人 に 処 分 自 由 の制 限 が 生 じた と き は,減 殺 の
訴Herabsetzungsklageを な し うる も,そ の 処 分 は,そ の 効 力 を 失 わ な いQ
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スイ ス民法第3編 相続法(そ の一)(相 原) 一175一
第5款 遺 言 執 行 人 第517条(A・ 委 託)
(1)被 相 続 人 は,遺 言 を な す 場 合,一 人 又 は 数 人 の 行 為 能 力 者 に,遺 言 の 執 行 を 委 託 す る こ と が で き る。
(2)前 項 の 委 託 は,職 権 に よつ て,受 託 者 に 通 知 す る。 受 託 者 は,こ の 通 知 を 受 け た 日か ら起 算 して14日 以 内 に,そ の 委 託 の 引 受 に つ い て 意 思 表 示 を しな け れ ば な らな い 。 何 等 の 意 見 表 示 が な い と き は,引 受 を な した もの と み な す 。
(3)受 託 者 は,自 己 の労 務 に 対 して 相 当 の 報 酬 を 請 求 す る こ とが で き る。
〔 参照 〕(1)日 民1006条1項,1009条;独 民2197条1項,2201条(2)日 民1008条;
独民2202条3項(3)日 民1018条1項;独 民2221条 第518条(B・ 委 託 の 内容)
(1)遺 言 執 行 人 は,被 相 続 人 が 別 段 の 定 め を しな い と きは,官 選 の 相 続 財 産 管 理 人 の 権 利 義 務 を 有 す る。
② 遺 言 執 行 人 は,被 相 続 人 の意 思 を 代 表 しな け れ ば な らな い 。 特 に,相 続 財 産 を 管 理 し,被 相 続 人 の 債 務 を 弁 済 し,遺 贈 を 履 行 し,か つ,被 相 続 人 の 指 定 又 は 法 律 の 規 定 に 従 っ て 分 割 を 行 う こ とを,委 託 され た も の とみ な す 。
(3)数 人 の 遺 言執 行 人 が 指 定 され た と き は,被 相 続 人 が 別 段 の 定 め を しな い 限 り,前 項 の 権 限 は,全 員 共 同 に これ を 有 す る も の とす る。
〔 参 照〕(2)日 民1012条1項,1015条;独 民2203条 〜2205条,2206条1項,2216条 (3)日 民1017条;独 民2224条
第6款 死 後 処 分 の無 効 及 び減 殺
第519条(A.無 効 の 訴1.処 分 無能 力,意 思 の 環疵,違 法 及 び善 良 の風 俗 に反 す る場 合)
(1)死 後 処分 は,次 の場 合 に,訴 に よって 無効 の宣 告 を うけ る。
一 被 相続 人が 処 分 能 力 を有 しな い ときに ,死 後 処分 が な され た場 合
一176‑一
商 学 討 究 第15巻 第3号 二 死 後 処 分 が,蝦 疵 あ る意 思 に よ って行 わ れ た 場 合
三 死 後 処 分 の 内容 又 は これ に 附 した 条件 が,善 良 の風 俗に 反 し,又 は違 法 で あ る場 合
(2)相 続 人 又 は 受遺 者 と してそ の処 分 が 無 効 の宣 告 を うけ る こ とに利 害 関 係 を 有 す る者 は,誰 で も,無 効 の訴Ungtiltigkeitsklageを 提 起 す る ことが で き る。
第520条(II・ 形 式 上 の 欠鉄 あ る場 合)
(1)処 分 に,形 式 上 の 欠 鉄 が あ る ときは,そ の処 分 は 訴 に よ っ て無効 の宣 告 を うけ る。
(2)本 人又 は そ の家 族 が 処 分 中 で遺 贈 を うけ る場 合 のそ の 本 人 の協 力 に形 式上 の違 法が あ る場 合 には,そ の遣贈 の み が 無効 の宣 告 を うけ る。
(3)訴 権 につ い ては,処 分 無能 力 の 場 合 と同一・ の規 定 に従 う。
第5ZI条(III.時 効)
(1)無 効 の訴 は,訴 権 を有 す る者 が 処 分及 び 無効 の事 由 を知 った時 か ら起 算 して 一年 の経過 に よ って,時 効 に か か る。又 す べ て の 場合 に お い て,処 分
の効 力 発 生 の 日か ら起 算 して十 年 の経 過 に よって,時 効 に か か る。
② 悪 意 の受 遺者 に対 して は,被 相 続 人 の処 分 無 能 力 の 場 合 又 は 処 分が 違 法又 は善 良 の風 俗 に 反 す る場 合 に は,す べ て の場 合 に,三 十 年 の経 過 に よ っ て 始 め て 時 効 にか か る。
③ 処 分 の 無効 は,何 時 で も,抗 弁 と して主 張 す る こ とが で き る。
第522条(B.減 殺 の訴1.要 件1・ 通 則)
(1)被 相続 人が,処 分 権 限 を逸 脱 した ときは,そ の価 格 に応 じた遺 留 分 を 受け なか った 相続 人 は,処 分 を認 容 され た 限 度 まで減 殺す る よ う,請 求 す る
ことが で き る。
(2)処 分 に 法定 相 続 人 の相 続 分 につ い て の定 め が あ る ときは,処 分 につ い て 被相 続 人 の他 の意 思 が 認 め られ な いか ぎ り,単 に 分割 規 定 と解 釈 しなけ れ ば な らな い9
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スイ ス民法第3編 相続法(そ の一)(相 原) 一177一
〔参照〕(1)日 民1031条,独 民2329条
第523条(2・ 遺 留 分 権 利 者 に対 す る贈 与)
遺 留分 権 利 者 た る相 続 人に 寵 遇 の意 味 で死 後 処分 に よ る贈 与 が な され た と きは,処 分 権限 に 逸脱 が あれ ぽ 各 自の遺 留 分 を超 過 す る贈 与 額 に 比 例 して共 同 相続 人 間 で,減 殺 を行 う。
〔 参照〕 独民2307条
第524条(3・ 相 続 人 の債 権 者 の権 利)
(1)相 続 人 の破 産 財 団Konkursverwaltung又 は相 続 開始 の と き損 失 証 書 Verlus七scheinを 有 す る債 権 者 は,被 相 続 人 の 処 分 し うべ き部 分 を 超 過 して 相 続 人 に不 利 益 を与 えか つ 相続 人 が 請求 に応 じて減 殺 の訴 を提 起 しな い 場 合 に,相 続 人 に与 られ た 期 間 内 に債 権 の満 足 に必 要 な限 度 で,減 殺 を 請 求す る こ とが で き る。
(2)前 項 と同 様 の 権 利 は,相 続 廃 除 に際 し被 廃 除者 が そ の 取 消 を しな い 場 合 に も,存 在 す る。
第525条(II・ 効 果1.通 則)
(1)減 殺 は,す べ て の 指 定 相 続 人及 び 受 遺 者 に 対 し同一 の 割 合 で 行 われ る。 但 し,被 相 続 人 の 別段 の意 思 が 遺 言 中に 認 め られ な い 場 合 に限 る。
② 受 遺 者 に して 同 時 に遺 贈 義 務 を負 う者 に 対 す る遺贈 が減 殺 され た と き は,受 遺 者 は この 負担 す る遺 贈 も また 同 一 の割 合 で 減 殺 され る ことを請 求 す
る こ とが で き る。
〔 参照〕 日民1034条
第526条(2・ 特定 物 の 遺贈)
価 値 を 損 わ ず に 分 割す る こ との で きな い 特 定 物 の 遺贈 が 減 殺 され た と き は,受 遺 者 は超 過 額 を弁 償 してそ の物 を 請 求 し,又 は そ の物 の代 りに価 額 を 請求 す る こ とが で き る。
〔参照〕 日民1041条'
第527条(3・ 生 存 者 間 の贈 与 に つ い てa・ 減 殺 の 行 わ れ る 場 合)
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商 学 討 究 第15巻 第3号
減 殺 は 死 後 処 分 の 場 合 と同 じ く,次 の 場 合 に つ い て も行 わ れ る。
一・ 嫁 資Heiratsgu七
,嫁 入 支 度Ausstattung又 は 財 産 譲 渡 と して な され た 贈 与 で 相 続 分 の前 渡 と見 るべ き も の,但 し差 引 計 算 を 受 け な い と き に 限 る
二 相 続 分 の 前 渡 及 び そ の 買 占 め に よ っ て 得 た もの
三 被相 続 人 が 自申 に取 消 し うべ き贈 与 又 は被 相 続 人が そ の死 亡前 五年 間 に な した 贈 与,但 し儀 礼 的贈 与 は これ を のぞ く
四 被 相 続 人 が 明 らか に 処 分 の制 限 を免 か れ る 目的 を も って な した 財産 の 譲 渡
〔 参照〕 日民1029条,1030条,1039条;独 民2325条,2330条 第528条(b.返 還)
(1)善 意 の者 は,被 相 続 人 とな した 法律 行 為 に よ り相 続 開始 の際 な お利 得 を有 す る限 度 に お い て のみ 返還 の義 務 を 負 う。
(2)相 続 契 約 に も とつ く受 遺 者 に 対 して減 殺 が行 わ れ る場 合 に は,受 遺 者 は,被 相 続 人に 対 して な した る反 対 給付 の 中 よ り相 当 額 の返 還 を請 求 す る こ とが で き る。 、
〔参照〕 日民1040条
第529条(4・ 保 険 金 請 求 権)
生 存 中 の処 分 又 は 死 後 処 分 に よっ て第 三 者 の た め に設 定 され 又 は被 相 続 人 の生 存 中無 償 で第 三 者 に 譲 渡 され た 被 相続 人 の 死亡 に よ り生 ず べ き保 険 金 請 求 権 は,そ の 買戻価 額 に つ い て減 殺 を うけ る。
〔参照〕 独民2325条
第530条(5.用 益 権 及 び定 期 金)
被 相 続 人 が 相続 財 産 に 用 益 権 又 は定 期 金 を 負担 せ しめた 場 合 に,そ の権 利 の価 格 が 給 付 義務 の推 定 存 続 期 間 後 に相 続 財 産 の処 分 し うべ き部 分 を超過 す る ときは,相 続 人 は請 求 権 の比 例 的 減 殺 を請 求 し,又 は 相続 財 産 の処 分 し う べ き部 分 を 受 遺者 に委 託 してそ の請 求 権 の解 除 を 請 求 す る こ とが で き るP
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