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大学と高専における情報処理教育の   学習効果についての比較研究

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NDC 007.6, 375.1, 377

大学と高専における情報処理教育の   学習効果についての比較研究

宮 地 謡*

(昭和62年8月31日受付)

Studies on the Comparison of Learning Ef{ects in a University with    Ones in a College for lnformation Processing Education

Isao MIYAJI*

(Recieved August 31, 1987)

      Summary

 We analize quetionnaires, small tests, periodical examination, and programming practice in information proces−

sing education. By these results we compare  learning effects in Okayama University with ones in Tsuyama Nation−

al College of Technology. YVe find points o{ similarity and diffeTence in oTder to adopt teching techniques suitable for their schools.

1.序

一一

G口 △冊

 教授方法を工夫することによってできるだけ高い学習効 果が得られるようにすることが肝要である。教授方法,学 習形態,教材,学習方法などにより学習効果も異なる。最 近,大学生と高専生に同じ情報処理の教科書5)を用いて,

教授する機会に恵まれた。そこで,情報処理の授業におい て得られた各種の情報を用いて,大学生と高専生との学習 効果をいろいろな面から比べる。ここでは個人ではなく,

大学生と高専生との授業での全体像の比較を行ない,それ らの特徴,類似点,相違点などを明らかにし,教育方法の 改善に役立てたい。

 情報処理の授業を岡山大学農学部1年頃に1986年前期に 統計学Bとして講義した。津山工業高等専門学校機械工学 科3年生に1986年の1年間講義した。比較のために津山高

専の場合,前期中の情報を用いた。

 情報処理における授業方法,勉強方法,演習方法,端末

操作,パソコンなどの授業および環境全般に対するアン

ケート調査を実施し,すでにその一部を報告した2)3)6)。

1986年においても同様のアンケート調査を行なった。

FORTRAN言語の文法を中心にした小テストを授業中に

行なっている。.毎週行なっているプログラム演習の処理状 況が得られる。その他に定期試験を行なっている。情報処 理の授業におけるこれらの結果を分析して,岡山大学と津 山高専の場合の学習効果を比較する。

 以下では,まず授業内容および方法を述べる。アンケー ト調査の結果を説明する。定期試験結果を分析する。小テ

ストの結果を2種類に分けて,分析する。プログラムの演

習の処理結果について調べる。アンケート調査結果,定期 試験結果,および処理件数の問の相関関係を調べる。これ

らの分析結果について比較して,考察する。

* 情報工学科

2.授 業 方 法

 情報処理の前期における授業内容は主に電子計算機概要

および基本FORTRANプログラミングである1)5)。

 授業では主に小テストの実施その解答,プログラムの

例題,流れ図によるアルゴリズム,そのプログラム,文法 的事項,プログラミング技術,などの説明,プログラムリ 作成,その処理などである。端末装置を用いてプログラム の作成および処理には約30分割いている。これらの順序が 岡大の場合と津山高専の場合で少し異なる。岡大の場合,

小テストをプログラムの作成の前に行ない,その解答説明 は翌週の講義の最初に行なう。津山高専の場合,解答用紙 を交換して学生同志による採点も行なう。

 プログラム演習では授業で説明したプログラムを基にし

(2)

て,個々に当てている問題に対するプログラムのコーディ ングをする。この問題は個々に異なる。プログラムを端末 装置から入力して,正しい結果が得られるまで処理をする。

その後,プログラムリストに考察などの必要事項を記入し て提出する。授業中に完成しない場合,次回までに完成す るよう指導した。締め切りは講義後およそ2週間とした。

 プログラム演習として前期で8〜35ステップの短いプロ

グラムを10本作成するようにした。岡大の場合,講義は総 合情報センタの演習室で行ない,プログラム演習は教育実 習端末室で行なった。教育実習端末室には40台の端末装置

がある。これらで不足する場合,デバッグ室(6台)ある いはTSS端末室(パーソナル端末40台)の端末装置を利

用した。このように端末操作は1人に1台の割合でできる。

受講者は最初63人であった。途中で12入が習得を放棄して,

最終的には51人になった。

 津山高専の場合,講義もプログラム演習.も電子計算機室 の演習室で行なった。演習室には24台のパーソナル端末装

置がある。1クラス約40人であるので,2人で1台の割合 で利用できる。講義は2クラスで,クラスごとに分かれて

行なう。受講者はそれぞれ38人と39人の合わせて.,77人で

あ.る。

3.アンケート調査の結果

 情報処理についてのアンケート調査を岡大の場合1986年 9.月22日に,津:山高専の場合7月12日に実施した。調査対 象者は情報処理の受講者である岡大の場合農学部1年生,

津山高専の場合機械工学科3年生である。

 56項目からなるアンケート用紙を配布し,出席番号のみ を記入させた。質問項目は主に間隔尺度上のいずれに該当 するかの判定を求めたものである。項目No.14,16,およ

び22における間隔は7段階であり,項目No.47は2段階で あり,その他は5段階である。回答は選択肢の中から1つ

だけ選び,マークカードの該当する番号にマークさせた。

その他を選んだ場合は理由を記入させた。

 回答した学生数はそれぞれ岡大51人および津山高専75人 である。一部で無回答の者がおり,合計が51あるいは75で ない質問項目がいくつかある。

 以下では間隔尺度でない質問項目No.15,ユ7,24,27,29,

31,32,55および56を除いて議論する。

 アンケート調査結果をFig.1のように各質問項目ごとに 平均評価点グラフに表わした。結果はそれぞれの評価点の 平均値を用いて示す。比較するために岡大の場合を破線で,

津山高専の場合を実線で示す。

 平均評価点は全般的に津山高専の場合の方が左にあり,

良い印象のように見受けられる。47個日質問項目の平均値

は岡大の場合3.33であり,津山高専の場合2・. 85である。両

壽耳  貝糊s

I 授業中に小テストをしていますがどう  .思い室すか。

2小テストの穆度をどのように思います  か.

3小テストの回歌をどう思いますか.

4 小テストをナ6時聞をどう思いますか

5 客眼テストの返却用畿はわか駐や±い  ですか.

δ 客繹テヌトの遮却用紙は円しみやすい  ですか.

T 小テストの間藺用戯を用いて解答を脱  明すると理解は深まりましたか.

5 授粟はよく理鱒で8ますか.

9撰渠の進み具合をどう思いますか.

,10 捜業は満足できるものですか・

11 捜業は餓しいですか.

12 授粟方法をどう思いますカ㍉

13 捜業を理解するためにどの歴度努力し  ていますか・

ll 全ての科目を含めて1目平均およそ何  時聞勉強をレていますか・

16 この授業について.1週間におよそ何  時聞勉強をしていますか.

le この授粛は主にonpによッて提示して  いますが,どう.思いますか.

19 0区Pによって提示する時聞をどう思い  ますか.

2D aHPによ。て提示する文宰の大きさを  どう思いま寸力㍉

21 tの授突のプログラム演習をどう思い  ますかt

22 ノログラム演習を†るために1週聞に  絢何時聞かかっていますOL◆

23 醜義の次の遇までに醸当のプログラム  潰習を繋えていますか.

25 プログラム演習によリFORTe川プログ  ラム作成はできるようにをり戚したか

25 プログラムリストの余自に流れ図を書  くことをどのように思い建すか・

18 全員貝なる問剛についてプログラム瀕  召乾していますが,どう思いますか.

30 もし全員が同じプログラムを惇成する  演習を行ttうとすればどう思いtすか 33 端末機によるプログラkの作戚をどの  ように思いますか.

3弓 端末機によってプログラムを処埋する  ことができるようになり表したか.

35  rORTRA翼でプログラムを作域す6こと  がでさ6ようKなり暫したか.

36 rORTRAX文法の理卿はどの樫度だと思  いますか.

3? 変敗の意味は分かりますか・

38 変数の型は分かりま†か.

S9 算樽代入文の意味は分かLJますか.

40 £EAD文の意味は分かりますか.

4] 眼【TE文の意味は分かりますか。

42 [F文の意味は分かりますか.

4S DO文の意味は分かりますか.

14 今後も電子計算機を用いr問Mを飽理  したいですか.

45 この授藁を受ける前に■子計算機に興  味がbりましたか.

46 現在電子計算儀に興味がありますか.

4T パソコンを持っています⇒㌔

4S パソコンを榛作したことがあります  か.

49 臥SIC言闘を用いてゾログラムを作  成したことがあ日ますか・

50  ノぐソコンを用し、てプログ.ラムを作成し  たいですかの

51パソコンに椰準襲傭されているBSS【C  言話を舳強したいですか・●

52 BASic言踊を知っているtとはFaRTRAH  肯肝を掌習する⊥で役に.吃ちますか.

53 勉ditt ff Ltですか.

S4 掌生生活は榮しいですか.

一覗一 津ゆ高噂     ...卓・・.岡大農学部 ロい         わからない     なくない

トー 1冨

ュて!==一一一一一}1… …1 やさしい       の ヘヨリ      ぼしい

1… … 一T T

ii51・; :一1一一… 1

多い       通当      少ない

1一一一一一一一一一トー一一f一・且一……一一1一一一一一一一一一1

    、・、 長い        盛当,       短い

…一 【 … Aゲ 1 

    蟹賄

        わかりにくい

わかりやすい

1..一.一一一一一1一_一一1一(【.一一一一一一一+一一一一一1

親、み捌, 犠  麗、み.,.

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壕 :藁こ:蛤鍋

i;=二::i:::≦ii::1::::i:二=::;i三;1

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【一一一一一一一一一1一一一一K一・【f 「

 全然ない

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1一  N   したくない

、。. /・。脚 し・伽

   と   エぴ

。.立つ \。。i肱。 。.立。な.

藁三二二:華;::::::二聾

來しい       

1一一一一一、一一.トー一rf一_1.一_..一.一1一..一.一_1

.将裏         楽しくない

Fig. 1 Result of questionnaire by profile.

(3)

大学と高専における情報処理教育の学習効果についての比較研究  宮 地

者は有意水準5%で有意な差がある。

 以下にアンケート調査結果について述べる。

(1)岡大の場合,授業中に小テストをすることをやや良く   とわからないの中間であり,その程度はやや難しい,

  回数はやや多いと適当の中間であり,時間はほぼ適当   と思っている。小テストの解答を説明すると,少し理   解が深まったと答えている。津山高専の場合,回数以   外は少しずつ左の良い印象の方にある。

② 返却用紙については岡大の場合と津山高専の場合ほぼ   同じで,わかりやすさも親しみやすさも普通である。

(3)岡大の場合,授業の理解度はやや良くなく,授業の進   み具合はやや早いようである。授業の満足度はやや不   満足であり,難易度はやや難しい。授業方法はやや良   くないと思っている。津山高専の場合,平均評価点で   0.48〜O.71の差を保ってほぼ平行して左側にある。

(4)授業を理解するために少し努力しているようである。

  全ての科目を含めて1日の平均勉強時間は約45分であ

  る。全ての科目について平生の勉強は,宿題だけをし

  ている者が大半である。情報処理の1週間の勉強寛骨

  は約35分である。情報処理の勉強も,宿題だけをして   いる者がほとんどである。これらは岡大と津山高専の   場合がほぼ同じである。

(5)OHPによる提示を普通と思っている。提示する時間

  は適当と思っている。提示する文字の大きさはやや小   さいようである。これらは岡大と津山高専の場合がほ   ぼ同じである。

(6>プログラム演習について普通と考えている。プログラ

  ム演習をするのに要する時間は,平均して約1時間半

  である。講義の次の週までに該当のプログラム演習を   終えることは,大抵すると時々するの中間である。し   ない主な理由は難しいと期間が短いである。これらは   岡大と津山高専の場合がほぼ同じである。プログラム   演習によりFORTRANプログラムの作成は岡大の場   合余り変わらないが,津山高専の場合少し良くできる   ようになっている。

(7)プログラムリストの余白に流れ図を書くことは,岡大   の場合わからないであり,津山高専の場合やや良いと   考えている。その主な理由は,流れがわかると理解が   深まるである。

(8)全員が異なる問題についてプmグラム演習をすること   に対して,岡大の場合わからないであるが,津山高専   の場合やや良いと現在のプログラム演習に対して肯定   的な評価をしている。その主な理由として,自分で作   成しないといけないである。反対に,全員が同じプロ

  グラムを作成する演習を行なうことについて調べる

  と,岡大の場合わからないであるが,津山高専の場合

  否定的な評価をしている。

(9)岡大と津山高専の場合どちらも,端末機によるプログ

  ラムの作成に対して,やや良いと思っている。程度に   差があるもののほとんどの者が端末機を操作してプロ

  グラムを処理することができると答えている。

⑩ FORTRANによるプログラム作成は岡大の場合余り

  できない,津山高専の場合少しできる程度である。文   法の理解度は,岡大の場合ややわからない,津山高専

  の場合普通と考えている。

㈲ 岡大の場合,変数の意味,変数の型,算:術代入文の意   味,READ文の意味, WRITE文の意味,およびIF

  文め意味のいずれについても,普通とややわからない   の中間である。津山高専の場合これらの意味について

  やや良くと普通の中間である。DO文の意味について,

  岡大と津山高専の場合がほぼ同じであり,両者とも少

  しわからない傾向にある。

⑫ 今後電子計算機を用いて問題を処理することについて   岡大の場合わからないとややしたくないの間であり,

  津山高専の場合ややしたいと考えている。この項目に

  岡大と津山高専の場合の間に最も大きな差が見られ   る。情報処理の授業を受ける前の電子計算機への興味   度は岡大の場合普通であり,津山高専の場合少し興味   があると普通の中間である。現在の電子計算機への興   味度は,授業の前より岡大の場合少し減少し,津山高

  専の場合少し増加している。

㈲パソコンを持っている者が岡大の場合6人であり,津   山高専の場合20人もいる。パソコンの操作経験は岡大   の場合余りなく,津山高専の場合少しある。BASIC   言語を用いてプログラムを作成した経験は岡大の場合

  ほとんどなく,津山高専の場合余りない。パソコンを

  用いてのプログラムの作成とBASIC言語の勉強は,

  岡大の場合わからない,津山高専の場合ややしたいと

  わからないの中間である。BASIC言語を知っている

  ことはFORTRAN言語を学習する上で役に立つかど

  うかについて,岡大の場合わからない,津山高専の場

  合やや役に立つとわからないの中間である。

㊥ 勉強については普通とやや嫌いの中間である。学生生

  活はやや楽しいと普通の中間である。これらは岡大と   津山高専の場合がほぼ同じである。

4.定期試験の結果

 定期試験の問題はFig.2のような11問である。問1は フローチャーートの問題である。問2はWRITE文の問題 である。問3,7と8は算術代入文の問題である。問4は プログラムを説明する問題である。問5はフローチャート からプログラムを作成する問題である。問6はプログラム

(4)

巨] フローチャートを書く利点を箇条書き

 に列挙せよ。

回実変数WSと[PHに0.6372と48.951の

 値がそれぞれ記憶されている時、これら

をE形編集で印刷する命令文を書け。また,

この命令文を実行するとどのように印刷され るかを空白や桁がよくわかるように示せ。

[3]次の代数式を算術代し入文に直せ。

〈1) y=4−b

   a十麗

(2) d= xU + y3

(3) e = (f+b)b

(4>f= eX+2

(5) h = 3(x + 2d)

(6) t = 」2(h 一 x)

(7) p : rdi−s

(S) 一x = y + 5z

(9) y = sin  x 一6

(10)f旨(P帽♪(r−s)

[4〕解答欄に示すプログラムの各行は文法  上何と呼ばれ、.どのような働きをしてい るA1行e とにできるだけ詳しく説明せよ。

團ma欄に示甲山のrmグラムeas、

 け。

囹解答欄に示すプログラムの流れ図を書  け。

匝]k2,・K・5, A・12.6.・b7.3であるとし  て次の算術代入文を実行すると実変数X または整変数Nにどのような値が記憶される か。ただし、NとKは整変数で、 AとBは実 変数である。

(1) X=9.8+B (2) X=Klppt〈IA) (3) X=Nrk+1

(4) X=N+K (5) X=Mrc)D(K+2,N)

(6) N=9/K*N (7)  =pt2.0−A (8) M=B+1.9

(9) M=pm3.0 (10)  =SCRT(A+B)

團x.・Y,・Rは実変数閥は鮫数である。

 X=4.1:Y=6.9に続いて以下の間(1)〜

(10)に示すプログラムがある時、プログラム 実行後に、それぞれ実変数Yにどのような値

が記憶されるA

(1) X=Y (2) Y=X (3) X=R (4) geX

 Y=R X=R R=V X=Y  kX ptY Y=X Y;R

(5) Y=R (6) X=N (7) Y=X (8) N=X

 X=Y N=Y N=Y X=Y  R=X Y=X X=N Y=N

(9) X=Y (le) kX

 N=X Y=N

 サ旨閣    X冨Y

月次のゾ・グラムの一部を幟せよ.

(1)3からNまでの偶数の総和ISを求めるプ   ログラムをDOループを用いて作成せよ。

(2)きXl+X2+....÷Xmを計算するプログ   ラムをDOループを用いて作成せよ。

(3)S=X]・X2㌧...・X.を計算するプ   ログラムをDOループを用いて作成せよ。

(4)O,1,....9朔直を酒已列困0(1)の偶魏昏目   に記億させるプ回グラムをDOループを用   いて作成せよ。

画(1)2鯛のmを求める文徽定義  文を作成せよ。

(2)この文関数を用いて、2,鄭(Xl、,yl)

  とB(x2,y2)間の長7.eSEtlを求める算

 術代入文を作成せよ。

圓BeeSc f(=・・)冨

ラ;;:1き;

を求める関臓副プログラムを作成せよ。

Fig. 2 Problem of periodical examination.

からフU一チャートを作成する問題である。問9はDO ループを用いたプログラムを作成する問題である。問10は 文関数の問題である。問11は関数副プログラムの問題であ

る。

 岡大と津山高専の場合では問題と出題方法が少し異なっ

ている。問2はWRITE文とFORMAT文を書き,出力

書式を書く問題であるが,変数名と数値が異なっている。

問3は10個の代数式を算術代入文にする問題であるが,そ の中で1つの小問だけが少し異なっている。これらの差異

は得点にほとんど影響しない程度である。

 岡大の場合,9月29日に定期試験を実施した。津山高専 の場合,岡大の場合とほぼ同じ問題を2回に分けて試験し た。問1,2,.3,7をこれ以外の7問と一緒に6月11日 に前期中問試験で,残りの7問をこれ以外の4問と一緒に

9月27日に前期末試験で実施した。また,津山高専の場合,

問1と2は岡大の場合に比べて配点が1点ずつ高いので,

100点満点になるように換算した。

 この定期試験の結果をTable 1に示す。岡大と津:山高専 の場合において受験入数はそれぞれ77人と51人である。そ

の総得点の得点分布をFig.3に示す。各問の結果を平均

正答率でFig.4に示す。図において岡大の場合を破線で,

津山高専の場合を実線で示す。以下においても同じ線の種 類で示す。問1,2,3,5,7については岡大の方が高

く,その他は津山高専の方が高い。

 総得点について津山高専の場合の方が平均1.50点だけ高 い。標準偏差も0.36だけ大きく,岡大の場合より少しばら

つきが大きいことがFig.3からもわかる。実際,最高点

Table 1 Result of the periodical examinatipn.

Prob

Dis.

Okaya皿a

University Tsuyama

Nat. ColL

lem of

No, marks Average Sta. Dev. Average

Sta, Dev.

1 5 1.22 0.83 1.05 0.73

2

、4

1.02 1.10 0.59 0.86

3 10 5.51 2.89 3.68 2.18

4 15 6.84 3.75 8.17 3.42

5 12 6.43 2.94 6.36 3.43

6 8 1.43 1.92 2.47 2.94

7 10 5.75 1.20 4.79 2.27

8 10 7.10 2.91 7.39 3.00

9 15 1.41 3.67 2.74 4.76

10 4 0.31 1.01 0.52 1.18

11 7 0.20 0.66 0.96 2.05

Total

37.22 22.88 38.72

.26.82

Average 3.38 2.08 3.52 2.44

 so 人25 数nD 割15

合 10

(駕) 5

 0  0 pm 4e oo ac 1co

     得点

学大山岡

 so 人25 数20 割15

合 10

(竃) 5

 D

津山高専

O 20 40 60 eo 100

   得点

Fig. 3 Score histogram of the periodical.examination,

(5)

大学と高専における情報処理教育の学習効果についての比較研究  宮 地

 100 正80 答60 率40

(髭)20

 0

         P「.

   》くア\

   ノ ぐ/   、

b・.

123456789 10 11

     問題番号

津山高専 岡山大学

Fig. 4 Percentage oi correct result in the periodical

    examination.

 それぞれの結果を平均値を用いて折れ線グラフでFig.5 に示す。No.13以下津山高専の場合の方が岡大の場合より も高く,ばらつきも大きい。また,正答率で比較すると岡 大と津山高専とのその差は明瞭であり,ほぼ15〜24%程度 存在する。検定の結果,これらの平均点の問には有意水準

5%でいずれも有意な差がある。小テストの総和の最高点

と最低点とは,岡大の場合それぞれ81点と12点であり,津 山高専の場合それぞれ99点と14点である。

と最低点とを比べると,岡大の場合それぞれ85点と14点で あり,津山高専の場合それぞれ84点と1点である。しかし,

検定の結果,これらの平均点の問には有意水準5%で有意 な差はない。

5.小テストの結果

 小テストは,洋半紙1/6〜1/4程度の用紙を用いて,その 中に.2〜3問出題する。それらが更に小問に分かれている こともある。小テストを岡大では12回,津山高専では13回

行なっている。その内の1つは異なるので,比較の対象か

ら寒い.ス。大きく分けて,2種類ある。算術代入文の意味 を調べる問題5回とその他7回である。

 その他の小テストの結果をTable 2に示す。問題内容に ついて簡単に説明する。No.1は電子計算機の仕組みなどに ついての問題である。No.2はフローチャートを完成する問

題である。No.4はWRITE文の問題である。 No.5は変数

名と定数の型の問題である。No.6は算術代入文の問題であ る。No.8はIF文の問題である。 No.13は文関数と副プロ グラムの問題である。これらの問題はこの番号順に必ずし も行なっていない。また,岡大と津山高専の場合とではそ の実施順序が少し異なっている。

Table 2 Result of small tests.

Test

Dis. Okayama University Tsuyama

Nat. ColL of

No. marks Avelage Sta. Dev. Average

Sta. Dev.

1 36

10.1〜

5.06 18.35 8.20

2 11 5.00 2.82 6.74 2.54

4 8 1.51 1.51 2.83 1.96

5 28 14.96 4.92 20.49 5.08

6 19 4.90 2.24 7.70 3.58

8 8 3.18 1.80 4.81 2.19

13 7 3.90 1.49 2.22 1.40

Total

43.57 19.84 63.14 24.95

Average 6.22 2.83 9.02 3.56

  /!

﹁ト﹂﹁トート﹂ートLート

oo W0

ヨ4020

    r︑  正答率紛 1

o

へ//き乙\

 ︵  ノ 専\ 高へΩ 山/ 津ノ

    めド

ェ山大学

1   2   4   5   6   8   13

    問題番号

Fig. 5 Percentage of correct result in small tests.

 算術代入文の小テストは1983〜1985の各年に5回行なっ

て,その結果はすでに報告した4)。この小テストは客観テ ストである。1986年にも比較のためにその他の小テストと

交互に5回行なった。岡大の場合,5月12日,5月26日,

6月9日,6月23日,および7月7日の5回である。津山

高専の場合,5月24日,6月11日,6月21日,7月5日,

および9月6日の5回である。その結果をまとめると Table 3のようになる。また,その平均値で変化を比べる と,Fig.6のようになる。岡大の場合は最初得点がかなり 低いが,急に上昇し,その後ほぼ一定となる。.この間に上 昇した点数は5.80である。津山高専の場合は最初得点が高

いが,5回目までゆっくり上昇する。上昇した点数は最終

的には3.80点である。6回目として示しているのは,定期

試験のNo.8の得点である。これはFig.2に示すように5

回目までと同じ問題であるが,記述式テストである。その

ためか得点が下がっている。Fig,6は6回とも受験した 者について集計したものである。その人数はそれぞれ41人

と60人である。最終では岡大の場合と津山高専の場合の間 に余り差がない。実際,検定の結果,これらの平均点の間

には有意水準5%で有意な差はない。小テストの得点の満

点は60点である。その最高点と最:低点とは,岡大の場合そ れぞれ60点と20点であり,津山高専の場合それぞれ59点と

7点である。

(6)

Table 3 Result of small tests for arithmetic assignment statement.

Okayama University

Tsuyama Nat. Coll.

No.

盾?

imes

is,o

?高

rks A erage S a. Dev, A erage S

a. Dev.

34−561 ユ0

P0 P0 P0 P0 2

496.

T47.

R48.

R98.

P27.

P5 2

553.

O72.

X51.

U72.

O02.

X0 4

135.

Q56.

U37.

Q27.

X37.

U8 3

163.

R83.

R23.

O62.

U3 ︑2.77

ta1

.02 1 .15 3 .85 1 .32

erage

67 2 53 6 48 3 05

o

0 0 0

)20

大学 高専

    0

     1  2  3  4  5  6       回

g. 6・ Percentage of correct result in small tests for

  arithmetic assignement statement,

      6.処理状況の結果

ログラム演習では10本の短いプログラムを作成する。

番目のものは岡大と津山高専の場合,異なるので比較の から除く。共通の9本の内容は(0)名前の印刷,(1)数値 み込み,計算,および印刷,(2)判断と飛び越しを用い り返し,(3)配列とDO文を用いた繰り返㌧(4)文関数,

)関数副プログラム,(6)サブルーチン副プログラム,(7)引       Table 4

あるサブルーチン副プログラム,⑳処理結果の表形式

,である。これらは前のプログラムを修正して順次新 プログラムを作成するようになっている5)。この演習 して新しい文法的事項が次第に学習できるようになっ る。

ログラム演習の処理状況をTable 4に示す。処理件数 自のプログラムリストの余白に記入させて提出させた を集計したので,多少の誤差がある。

山高専の場合提出者数は次第に少なくなり,提出率が

り下がっている。岡大の場合の方が提出状況は良くて,

一定である。

理件数の平均値を用いて,各プログラムの処理件数を したのがFig.7である。処理件数の平均値は岡大の の方が津山高専の場合よりいずれもかなり大きい。ま 全体の処理件数も岡大の場合の方が平均して1.8件も

,そのばらつきも大きい。処理件数の増減の傾向は岡

場合No.1が最大であり, No.1より次第に下がってお

No.6とNo.11で少し多くなっている。津山高専の場合

.1が最:大で, No.0が最低であるが,全体に余り大きな

はなくほぼ一定のように見える。

4

o .....    岡山大学

.e..,....一 ,..e

K−iv...i−

        津山高専   o

    O123456711

         プログラム番号

g. 7 The number of times for processing programs,

sult of processing programs.

ayama University

uyama Nat. Col豆. of Tch.

ogram   mo, o

st

?垂  

o, ofpr

?唐?Nters A

erage timesf・

窒垂秩Ecessing  

窒潤@rams S

andardde

鮪Oation

o. ofpr

?唐?獅狽?窒 A

erage tlmesfo

秩@processing  

窒潤@rams S

andardde

魔奄≠狽奄盾

8 5 4

20 2 69 7

1

56 0 90

1 5 6

88 6 35 7 2 82 1 68

1 5 4

78 3 01 7 2 05 1 22

2 5 4

06 3 15 7

2

43 1 38

2 5 3

58 2 20 7

2

59 1 63

2 5 3 46 1

59 7 2 47 1 92

3 5 3

54 1 89 7

2

69 1 65

2 5 3 22 1

83 6

2

29 1

71

2

4 4 00 1 96 6 2 56 1 25

ta1 1 8 4 1 3

.72 2 .67 6

9 2

.46 1 .34

e, 2 .9 5 .1 4

19 2 74 7

.1 2

38 1 48

(7)

大学と高専における情報処理教育の学習効果についての比較研究  宮 地

7、相 関 関 係

 アンケート調査結果,定期試験結果,および処理件数の 間の関係がどのようになっているかを見るためにそれらの 相関係数を求めた。ただし,アンケートと定期試験を考え るときは,それらの両方に回答し,受験した者についての

ものである。また,定期試験と処理件数あるいはアンケー一.

トの評価点と処理件数との関係を考えるときは全てのプロ グラムを提出した者についてのものである。この評価点は

Fig.1に示すように,1良く,3普通,5わからないとい

う5段階になっている。以下において相関係数を示す場合,

岡大の場合を先に津山高専の場合を後に示す。2つの変数 の問の関係を見るために以下にFig.8−Fig.17に散布図

を示す。図の中に回帰直線も示す。

 定期試験総得点と質問項目37〜43の平均評価点との関係 をFig.8に示す。質問項目37〜43はFORTRAN文法の 理解程度を文ごとに尋ねたものである。それらの相関係数 はそれぞれ一〇.439と一〇.635である。それらの関係は岡大 の場合も津山高専の場合もかなり高い負の相関がある。

   評5..い岡山大学評    価1麹.一. 価

      や         点 1       ←一 点

     0 20  40 ω  80 1DO     O  20 40 60 釦 100

       試験得点      試験得点

Fig.8 Relation between result of the periodical ex−

    amination and profile of questionnaire items be−

    tween No.37 and 43.

 定期試験総得点と質問項目36の評価点との関係をFig.9 に示す。質問項目36はFORTRAN文法の理解程度を尋ね たものである。それらの相関係数はそれぞれの一〇.399と 一〇.593である。それらの関係は岡大の場合も津山高専の 場合もかなり高い負の相関がある。

.iド野li≒ξ野

     o 20 ng 60 eo 100 e 20 co oo sc 1co        試験得点      試験得点

Fig.9 Relation between result of the periodical ex−

    amination and profile of questionnaire item No,

    36.

 定期試験総得点と質問項目46の評価点との関係をFig.

10に示す。質問項目46は現在電子計算機に興味があるか

どうかを尋ねたものである。それらの相関係数はそれぞれ

一〇.285と一〇.296である。それらの関係は岡大の場合も,

津山高専の場合も少し負の相関がある。

  評5 幡、.、岡山大学評5 .. 津山高専

    4  ◇争一       4    +φ斡◎

  価3・伸  ・i @ 価3++←帯・軸     2◆◆帯+←   2  や・

  点1 ・・婦  ・ 点1 +一榊…博一幹榊

    O X) 40 60 eo 100 O 20 40  60 80 100       試験得点      試験得点

Fig. 10 Relation between result of the periodical ex−

    amination and profile of questionnaire item No.

    46.

 問題5の得点と質問項目35の評価点との関係をFig.11

に示す。質問項目35はFORTRANでプログラムが作成で きるかどうかを尋ねたものである。それらの相関係数はそ れぞれ一〇.109と一〇.526である。それらの関係は岡大の場

合は余りないが,津山高専の場合はかなり高い負の相関が

ある。

        岡山大学       津山高専

   評 5 …    日}ヤ   評

    4kuL+ +

   価3・・◆や…   価

    2F ++ +

   点 1      点

    0    3    6 9 12 0    3    6 9 12        試験得点       試験得点

Fig. 11 Relation between result of problem No, 5 and     profile of questionnaire item No. 35.

 問題4の得点と質問項目36の評価点との関係をFig.12

に示す。それらの相関係数はそれぞれ一〇.121と一〇.404で ある。それらの関係は岡大の場合は余りないが,津山高専 の場合は負の相関がかなりある。

543.と1

評価点 岡山大学

O  s  6 9 12 15   試験得点

評価占塙

津山高専

0369 12 15

  試験得点

Fig. 12 Relation between result of problem No. 4 and     profile of questionnaire item No. 36.

 問題3,7および8の合計得点と質問項目37〜39の平均 評価点との関係をFig.13に示す。質問項目37−39は算術 代入文の理解程度を尋ねたものである。それらの相関係数

はそれぞれ一〇.355と一〇.501である。それらの関係は岡大

の場合は負の相関がかなりあり,津山高専の場合はかなり

高い負の相関がある。

(8)

    「  岡山大学

  評       評    価      価

   占       占

    O 6 12 18 24 30 O 6 12 18 24 so

       試験得点       試験得点

Fig. 13 Relation between result of problems No. 3, 7,

    and 8 and profile of questionnaire items be−

    tween No, 37 and 39.

 !0

 8 理6 数4  2

10

8   6   4・  2

処理件数

四試 ・。

0 D

掴試A・。

Fig. 16 Relation between result of the periodical ex−

    amination and the number of times for proces−

    slng programs.

 問題2の得点と質問項目41の評価点との関係をFig.14 に示す。質問項目41はWRITE文の理解程度を尋ねたも のである。.それらの相関係数はそれぞれ一〇.330と一〇.437

である。それらの関係は岡大の場合は少し負の相関があり,

津山高専の場合は負の相関がかなりある。プロットした点 の多くが一致.するために,図の中の点はかなり少ない。

 質問項目22と処理件数との関係をF董g.17に示す。質問 項目22はプログラム演習をするのに要する時間を尋ねたも のである。それらの相関係数はそれぞれ0.299と0.037であ る。それらの関係は岡大の場合は少し正の相関があるが,

津山高専の場合はほとんどない。

﹁04321 評価点  . .岡山大学 評

一⊥ 価

   ・    ・  点

0   1  2 3   4

  試躾得点

津山高専

O  l 2  3  4   試験得点

 10  B

理6

数4

 2

   岡山大学

     1 + vifSt Cl+

 i;i

10 [

 B

理6

数4  2

e 1 2 3 4

  所要時間(鷺洲)

津山高専

 辱

‡ 睾 、   奪

Fig. 14 Relation between result of problem No. 2 and     profile of questionnaire item No. 41.

t

 問題9の得点と質問項目43の評価点との関係をFig。15 に示す。質問項目43はDO文の理解程度を尋ねたもので

ある。それらの相関係数はそれぞれ一〇.456と一〇.525であ る。それらの関係は岡大の場合も津山高専の場合もかなり 高い負の相関がある。プロットした点の多くが一致するた めに,図の中の点はかなり少ない。

   評5   岡山大学  評5 .、津山高専     4一+ 4L+ +   ++  .

   f西3・  ←.ら   f西3 ++  ←+や†

    2L + X 2V +   + N;

   点1   .・  点1    争・

     0   3   6   9 12 15 e   3   6   9 12 15

       試験得点      試験得点 Fig. 15 Relation between result of problem No. 9 and     profile of questionnaire item No. 43,

 定期試験総得点と処理件数との関係をFig.16に示す。

それらの相関係数はそれぞれ一〇.015と一〇.410である。そ れらの関係は岡大の場合は余りないが,津山高専の場合は 負の相関がかなりある。

O 1 2 3 4

 所要時間(時間)

Fig.17 Relation between the nu皿ber of times fQr pro−

    cessing programs and profile of questionnaire     item No. 22.

8.考

 アンケrトの評価は評定尺度であり,個人によって評定

基準が異なる。その基準は個人の価値感を反映したもので あって,特定の質問項目に対する評定者の間の評定値の大 小は直接比較できない。特定の個人の質問項目に対する評 定値はその個人の評定基準に基づく一貫したものであり,

大小比較は可能である。評定者の問で任意の質問項目対に 対する評定値の問の差は大小比較が可能である。質問項目 に対する評定者全員の評定値の平均は統計的特性値として の意義があり,大小比較は可能である7)。そのような性質 に基づいてアンケート結果を平均評価点によって,比較し

ているQ

 アンケート調査結果を示した平均評価点グラフFig.1

は全般的に津山高専め方が左にあり,良い印象のように見 受けられる。47個の質問項目の平均値は岡大の場合と津山 高専の場合で,かなりの差がある。

 小テストに対する印象,授業に対する印象などは津山高

専の場合の方が良い。家庭学習については宿題を中心に約

(9)

大学と高専における情報処理教育の学習効果についての比較研究  宮 地

45分勉強している。これは岡大と津山高専の場合ほぼ同じ である。FORTRAN文法の理解に対する評価は津山高専

の場合の方がかなり良い。ただし,DO文に対する理解は

岡大の場合と津山高専の場合どちらもほぼ同じように理解 が良くないと答えている。パソコンの所持者は岡大と津山 高専の場合12%と26%と,かなり大きな差がある。このこ とが電子計算:機に対する興味,経験などについての大きな 差となり,情報処理の授業全体の評価にかなり影響してい

るように思われる。現在の電子計算機に対する興味が岡大 の場合前より減少しているが,津山高専の場合前より増加 している。これは電子計算機の必要性を感じている程度に 関係しているように思われる。学生生活を余り楽しく思っ ていない学生がそれぞれ14%と11%ずつおり,彼らに対し ては相当の動機付けがないと授業の効果も余り上がらない

であろう。

 定期試験の総得点の平均値は岡大の場合も津山高専の場 合もほぼ同じである。津山高専の場合は岡大の場合より少

しばらつきが大きいようである。津山高専の方が1回に教

える人数は少ないが,その効果は見られない。津山高専の 場合問題No,1,2,3および7を前期中間試験で行なった。

試験の範囲を狭くするとよく勉強するとよく言われるが,

これらの問題についてはその効果がまったく現われていな い。岡大の方がこれらの問題の得点は何れも高い。これら の問題は,非常に基本的かつ初歩的なものであるが,前期 中間試験までに十分理解できないために,繰り返し学習を 経てから受験した岡大の方が得点が高くなったのかも知れ

ない。

 小テストの結果は7回の中で6回も津山高専の場合の方

が岡大の場合よりもかなり高く,ばらつきも大きい。これ だけ平生の得点がよくても定期試験の総得点がほとんど差 がないことから判断すると理解が余り定着していないよう である。津山高専の学生はごく狭い範囲では何とかなるが,

少し広くなると十分に対処し切れないのかも知れない。

 算:術代入文の小テストの5回の結果の変化は岡大の場合

は最初得点がかなり低いが,2回目に急に上昇することを

示している。津山高専の場合は最初得点が高いが,ゆっく

り上昇する。どちらの場合も正答率が80%位で飽和してい る。この/回目の得点の相違は電子計算機による初期の興 味,経験などについての大きな差によるものと思われる。

2回目に急に上昇することから判断すると岡大の場合学習

効果がかなり良いように思われる。5回目までの小テスト は客観式で,7肢選択である。6回目として定期試験に同

じ問題を,記述式にして出題した。同じ問題でも記述式に すると得点が下がることがわかる。記述式では,不定と記 入すべきところを「なし」あるいは「?」などと記入して いる場合は誤りとした。整定数と実定数との区別が余りで

きない者は解答を誤る可能性が高くなる。これらの誤りや すい者にとって,客観テストの選択肢はかなりのヒントに なっているようである。これらの理由により記述式にする

と得点が下がったものと思われる。実際,5回目が10点で も,6回目が0点の者もいる。このことはヒントに非常に

大きく依存して正解に到達する者がかなり存在しているこ

とを示している。

 各プログラムの処理状況を比較する。プログラムの処理

.件数はほぼよく似た傾向を示している。プログラムは No.O,1,6,11で大きく変更されるため,処理件数がそ

の他のプログラムに比べてこれらのプログラムで少し多く なっている。処理件数はステップ数に余り関係せず,内容 が大きく変更されるプログラムにおいて,処理件数は多く なっている。処理件数は岡大の場合の方が平均してかなり

多く,そのばらつきも大きい。この原因は岡大の場合未経

験者が多く,受講者が農学部の学生であるために工学系の 学生に比べてこの種の操作に慣れてなく,興味が少ないた めに試行錯誤が多いと思われる。津山高専の場合機械工学

科ではあるが,工学系であるため機械の操作に対する抵抗

が少ないと思われる。このことは工学系の学生が要領よく 実験などをこなすと言われていることを裏付けている。

 岡大の方がプログラムの提出状況は良い。しかし,これ

は最後の試験を受けた者が51人であり,これらが今回の統 計処理の対象と一致したためである。大学の場合,単位制 のため履修届を提出した後に興味がなくなれば修得を途中 で放棄して,出席しなくなる。そのため岡大の場合放棄し た学生は途中のデータがないために統計データから除かれ ている。一方,津山高専の場合,学年制のために意欲がな い者に対しても学年末まで出席するように教師が度々指導 する。その結果,意欲が全くなくても出席だけするという 学生がおり,そのような学生も統計データの中に入ってい るために提出率の下降が大きく見える。高専の場合,この ような指導が底辺にいる学習者の底上げに少.しは役に立っ ていると思われる。しかし,その反面で意欲のない者が教 室にいるためにクラス全体の雰囲気を壊し,その他の学習 者の意欲を失わせていることも否定できない。

 定期試験得点と5つの文の平均理解程度との関係,定期

試験総得点とFORTRAN文法の理解程度との関係,問題

3,7および8の合計得点と算術代入文の理解程度との関 係,および問題9の得点とDO文の理解程度との関係は,

岡大の場合も津山高専の場合もかなり高い負の相関があ

る。問題4の得点とFORTRAN文法の理解程度との関係

は岡大の場合は余りないが,津山高専の場合は負の相関が

かなりある。問題2の得点とWRITE文の理解程度との

関係は岡大の場合は少し負の相関があり,津山高専の場合

は負の相関がかなりある。これらのことはFORTRAN文

(10)

法の理解程度の良い者ほど定期試験の総得点が高いことを

不している。

 定期試験総得点と現在の電子計算機への興味度との関係 は岡大の場合も,津山高専の場合も負の相関がある程度で ある。このことは興味度が得点に必ずしも結びつかないこ とを意味している。フローチャートからプログラムを作成 する問題5の得点とFORTRANでのプログラム作成能力

との関係は岡大の場合は余りないが,津山高専の場合はか なり高い負の相関がある。これは津山高専の場合プログラ ムリストにフローチャートを描かせることを義務付けてい るが,岡大の場合はそうしていないことが影響しているか

も知れない。また,問題5の得点はほぼ同じであるが,

FORTRANでのプログラム作成能力の評価は津山高専の 方が岡大のそれよりかなり高いと思っている。

 定期試験総得点と処理件数との関係は岡大の場合は余り ないが,津山高専の場合は負の相関がかなりある。津山高 専の場合,定期試験総得点が高い者ほど少ない処理件数で プログラムを作成していることになる。プログラム演習を するのに要する時間と処理件数との関係は岡大の場合は少 し正の相関があるが,津山高専の場合はほとんどない。処 理をするのに要する時間は岡大の方が少し多いと答えてい る。岡大の場合,処理件数が全体的に多いので,準備など の初期操作よりも実質的な処理に時間がかかり,所要時間 も長くなるようである。津山高専の場合,処理件数が全体 的に少ないので,初期操作がかなり大きな割合を占めるこ とになり,所要時間にはほとんど影響しないようである。

 全般的に,津山高専の場合の方が岡大の場合より相関係 数が高く,定期試験総得点,アンケート結果,および処理 件数との間の関係がかなり高い。

 このように定期試験総得点とアンケート結;果とはかなり 一致しているようである。ところで,定期試験の総得点も 算:術代入文の小テスト結果も岡大の場合と津山高専の場合 ほぼ同じである。その他の小テストの結果だけが津山高専 の場合の方が岡大の場合よりもかなり高い。これからする と津山高専の場合自己を実力より高く評価しているように

思われる。自信がある割には成績が余り良くない。1日約

45分の宿題中心の勉強では,自己の能力を開発しないまま

になってしまう。自信が成績に反映するように平素の努力 が必要である。このことを教師自身が努力している姿を見 せることによって教えることが重要であろう。

9.結

 情報処理の授業について岡大の場合と津山高専の場合と を各種の情報を用いて比較した。その結果をまとめると次

のようになる。

(1)アンケートの平均評価点は全般的に岡大より津山高専   の場合の方が小さく,好ましい印象を持っている。

② 定期試験の総得点の平均値は岡大も津山高専もほぼ同   じである。アンケー一一トの平均評価点からすると津山高   専の学生が自己を過大に評価.しているようである。

(3)平生の小テストの結果は津:山高専の方が岡大よりもか   なり高い。しかし,定期試験の総得点にほとんど反映   していない。

(4)同じ問題(算術代入文〉を繰り返し行なう小テストの   結果は,最:初の得点がかなり異なるが,最終的にはほ   ぼ同じ程度に到達する。この小テストから判断すると   岡大の学生の方が学習効率が高い。

(5)同じ問題について客観テストと記述テストを行なった   結果,客観テストの方が得点が高い。

(6)プログラム処理件数は岡大の場合の方が平均してかな

  り多い。

(7)アンケート結果,定期試験総得点,および処理件数と   の問の関係はかなり高い。また,津山高専の方が岡大   の場合よりも相関係数が高い。

 今後,学科や学部の違いによる学習の上での類似点,相 違点,などについて調べていく予定である。

 最後に,ご助言頂いた岡山大学教授平松惇先生に深く感

謝致します。

参 考 文 献

1)宮地功:情報処理の習得困難分析のための特性要因図,

 電子通信学会技術研究報告,Vol.84, No.284(1985)

  13−18.

2)宮地功:情報処理授業についてのアンケート調査,

 NEAC Journal, No.56 (1986) 1−14.

3)宮地功:アンケートに見る高専における情報処理,電

 子通信学会技術研究報告,Vo1,86, No.338(1987)

 7−12.

4)宮地功:FORTRAN言語の理解過程に関する分析,

 津山町業高等専門学校紀要,No.24(1987)1−11.

5)宮地功:情報処理入門一コンピュータとFORTRAN   77一(1987)森北出版.

6)宮地功:大学における情報処理教育についてのアン

  ケート調査,日本教育工学会研究報告集,JET 87−3

  (1987) 1−10.

7)竹谷誠:評定尺度データの意味構造分析,電子通信学   会技術研究報告,Vol.86, No.74(1986)35−40.

Table 3 Result of small tests for arithmetic assignment statement. Okayama University Tsuyama Nat. Coll.No. 盾? imes is,o?高

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