南硫黄島自然環境調査の概略
鈴 木 創1*、 天 野 和 明2、 朱 宮 丈 晴3、 川 上 和 人4、 堀 越 和 夫1、 金 子 隆1、
佐 々 木 哲 朗1、 加 賀 芳 恵1、 堀 越 宙1、 高 嶺 春 夫5、 山 田鉄 也6、 可 知 直 毅7、
小 泉 恵 祐8、 中野 秀 人8
Overviewofanexpeditionto血vestigatethenaturalenvironmentof Minami‑Iwo一TbIsland
H句imeSUZUKIl,K副dAMANO2,TakeharuSHUMIYA3,KazutoKAWAKAMÌ, KazuoHORII〈OSHI',丁"akashiKANEKO',TbtsuroSASAKIi,YbshieKAGAl, SoraHORIKOSHIi,HaruoTAKAMrNE5,TetSuyaYAMADA6,NaokiKACHI7,
KeisUkeKOIZUMI8&HidetoNAKANO8
1.特 定 非 営 利 活 動 法 人 小 笠 原 自 然 文 化 研 究 所(〒100‑2101東 京 都 小 笠 原 村 父 島 西 町) IristitUteofBoninology,NPO,Nishi‑Machi,Chichijim亀Ogasawara‑mura,Tokyo,100‑2101
2.ICI石 井 ス ポ ー ツ 登 山 学 校(〒101‑0052東 京 都 千 代 田 区 神 田 小 川 町3‑6) IshiiSportsGroup,Ogawa‑Machi3‑6,Kan(h,Ciyo(h一 ㎞,Tokyo,101‑0052
3.財 団 法 人 日 本 自 然 保 護 協 会(〒104‑0033東 京 都 中 央 区 新 川1‑16‑10ミ ト ヨ ビ ル2F) TheNatUreConservationSocietyofJapan,ShinkawaChuokuTokyo104‑0033,Japan
4.国 立 研 究 開 発 法 人 森 林 総 合 研 究 所(〒305‑8687茨 城 県 つ く ば 市 松 の 里1) ForestryandForestProductsResearchlnstitUte,Matsunosato1,TsUlqUba,Ibaraki305‑8687,Japan 5.HARUKA‑MARU(〒100‑2101東 京 都 小 笠 原 村 父 島 字 清 瀬)
HARUKA‑MARU,Kiyose,Chichijim亀Ogasawara‑m㎜,Tokyo,100‑2101
6.ダ イ ビ ン グ サ ー ビ スKAIZIN(〒100‑2101東 京 都 小 笠 原 村 父 島 字 奥 村) DIVINGSERVICEKAIZIN,0㎞ 一mura,Chichijima,Ogasawara‑mura,Tbkyo,100‑2101 7.首 都 大 学 東 京 理 学 部(〒192‑0397東 京 都 八 王 子 市 南 大 沢1‑1)
TokyoMetropolitanUniversity,Minamiohsaw亀Hachi('ji,Tokyo192‑0397,Japan 8.東 京 都 小 笠 原 支 庁(〒100‑2101東 京 都 小 笠 原 村 父 島 西 町)
丁bkyoMetropolitanOgasawaraIslandBrartchofiice,Nishi‑Machi,Chichi‑jima,Ogasawara‑mura, Tbkyo,100‑2101
要 旨
2017年6.月 、東 京 都 、首都 大 学 東京 お よび 日本 放 送 協 会(NHK)は 連 携 し、 南硫 黄 島 に お い て 自然 環 境 調 査 を実 施 した 。南 硫 黄 島 は 、 自然 環境 の厳 し さか ら人 が 定住 した記 録 が な く原 生 の 自然 が 保 た れ て い る。 自然 環 境 保 全 法 で立 ち入 りが禁 止 され 、 文化 財 保 護 法 で 島 自 体 が 天 然 記 念 物 と して 手 厚 く守 られ て い る。 山頂 部 を含 む 上 陸調 査 が行 われ た の は10年 ぶ り、 史 上4回 目 とな っ た。 前 回 調 査(2007年)で は、 地形 ・地 質 及 び 植 物 ・動 物 の基 礎 調 査 が 実 施 され 、陸 産 貝 類 や維 管 束植 物 の新 種 を含 む 、多 くの絶 滅 危 惧種 、準 絶 滅 危 惧種 の生 息 ・ 分 布 が 確 認 され た 。 この よ うに 、未 だ 貴 重 な原 生 自然 が 保 た れ 、未 知 な る 自然 が残 され て い
る こ とが 判 明 した反 面 、 外 来 種 の 脅 威 に さ ら され て い る状 況 も 明 らか に な っ た 。 今 回調 査 (2017年)で は 、前 回調 査 の生 物 群 に 、体 系 的 調 査 が未 実 施 の 甲殻 類 、 土 壌 動 物 、 地 衣 類 、 癬 苔 類 、菌 類 を追 加 した。 さ らに、人 間 が到 達 不 能 な 山域 にお い て 、UAV(UnmannedAerial Vehicle:D皿Inspire)を 使 っ た調 査 ・記録 を試 み た。加 えて 、DNA分 析 に よ り南硫 黄 島 の 生物 地 理 学 的 な位 置 を明 らか にす る と と も に、生 態 系 の 理解 と保 全 の た め に各 種 分 類 群 に つ い て 生 物 間相 互 作 用 に関 す る調 査 を実 施 した 。 こ の他 、 シ ンク リノイ ガ等 外 来種 の分 布 拡 大 状 況 や 、新 た な外 来種 の侵 入 状 況 の把 握 を重 要 項 目 と した。 貴 重 な 自然 を守 るた め に、調 査 隊 が 南 硫 黄 島 に外 来 種 を持 ち込 ま ず 、ま た 同 島 の 生 物 を持 ち 出 さな い た め の対 策 に も細 心 か っ最 大 の注 意 を払 った 。
厳 しく危 険 な 自然 環 境 ゆ え、安 全 確 保 は最 大 の課 題 で あ っ た。 今 回 は、 前 回 及 び 火 山(硫 黄)列 島調 査 経 験 者 が多 く参 加 し大 き なカ とな っ た。 そ れ で も通 常 の 無 人 島調 査 の ノ ウハ ウ が 全 く通 用 しない ほ ど、 南硫 黄 島 の滞 在 に は大 き な 困難 が伴 っ た。 プ ロ ク ライ マ ー 、 プ ロダ イ バ ー 、 小 笠原 在 住 の フ ィール ドワー カ ー 、船 舶 関係 者 、 父 島 ・東 京 の サ ポ ー ト隊 が ス ク ラ ム を組 み 、知 恵 と力 を 出 し合 っ た。 さ らに、 小 笠 原村 の 全 面 的 な 協 力 に よ り船 舶 待 機 の 医 師 を トップ とす る 医療 班 を設 営 した 。現 地 で は 、悪 天候 に よ り一 時 総員 が海 上 の船 舶 に待 避 し て 、調 査 続行 の 可否 を思 案 す る場 面 もあ っ た が 、幸 い に して 事 故 もな く、数 多 くの 学術 成 果
を持 ち帰 る こ とが で きた 。南 硫 黄 島 は 、小 笠 原 諸 島 で 最 重 要 な 保 全 地 域 で あ る と とも に、 同 諸 島 の生 態 系 の 成 り立 ち を解 明 す る上 で 最 重 要 な フ ィール ドで あ る。 ま た 、世 界 的 な環 境 変 化 を捉 え る上 で も、重 要 な モ ニ タ リン グ ポイ ン トで あ る。 今 後 も、 自然 環 境 調 査 が 定期 継 続 す る上 で 参 考 と な る よ うに、 準 備段 階 か ら調 査 実 施 ま で の仮 定 につ い て、 反省 点 ・課 題 も含
めて で き る限 り詳 細 に記 録 した 。
キー ワー ド 無 人 島、 装備 、 安 全 管 理 、 訓 練
1.南 硫 黄 島 の概 要 1‑1.南 硫 黄 島 の概 要
火 山(硫 黄)列 島 の 島 々 は 、 定 期航 路 の あ る小 笠 原群 島 父 島 か ら約200〜330㎞ も離 れ た 位 置 に あ り港 も ない 。 南 硫 黄 島 は火 山列 島 最 南 の 島 で 、東 京 か ら南 南東 に約1300㎞ 離 れ た
1瞬24度13.7分 、東 経141度27.7分 に位 置 す る。 周 囲約7.5㎞ 、 面 積 約367haの 小 さな 島 で あ るが 、 標 高 の 最 高 地 点 は916mで 、伊 豆 ・小 笠 原 諸 島 の 中 で 最 高 峰 を持 つ。 浸食 に よ り 頻 繁 に崩 落 す るた め に島 の 周 囲 は 数 十mか ら100〜200mの 海 食 崖 に 取 り囲 ま れ 、絶 えず 落 石 が 発 生 して い る。海 岸 は 落石 由 来 の 大小 の岩 に覆 われ 、広 い 所 で も数 十m程 度 で あ る。 こ のた め、 台風 等 の悪 天 候 時 に は海 食 崖 の縁 ま で波 が到 達 して い る と考 え られ る。 島 の 平均 傾 斜 は約45度 で 、 島 内 に 平 坦 な 所 は ほ とん ど無 い。 島 の 上 部 に は 地形 性上昇 気 流 に よ り雲 霧 が 発 生 し、 特 に 山頂 付 近 で は雲霧 林 を形 成 して い る(加 藤 ら,2007)。
そ の隔 絶 され た位 置 や 厳 しい 自然 環 境 故 に、南 硫 黄 島 に は有 史 以 来 、人 が 定住 した こ とが 無 い とされ て い る。た だ し1886年 に は 帆 船 が 遭 難 して 南硫 黄 島 に漂 着 し、3人 が3年 半 もの 間、 島 に残 留 して 生 活 して い た とい う記録 が あ る(環 境 庁,1983)。 ま た 第 二 次 世 界 大 戦 終 戦 直 後 に 島 の調 査 で 米 軍 が 上 陸 した 際 に1名 の 日本 人 が発 見 され た とい う報 告 もあ る。
1968年 に小 笠 原 諸 島が 日本 に返 還 され た 後 、 この 島 の 自然 環境 の 貴 重 さを 考慮 して1972 年 に 国 の天 然 記 念 物 に指 定 され た 。1975年 に原 生 自然 環 境 保 全 地 域 に指 定 され 、さ らに1983 年 以 降 は 島 内全 域 が 立 入 制 限 地 区 に指 定 され 、手 厚 く保 護 され て きた 。過 去 に行 われ た調 査 記 録 は極 端 に少 な く、山頂 も含 め た上 陸 調 査 は、1936年 に 小 笠原 営 林 署 が 実施 した植 物 調 査 と1982年 に環 境 庁(当 時)が 実 施 した南 硫 黄 島原 生 自然 環 境 保 全 地 域 調 査 の2回 に 限 られ る。1982年 以 降 は 沿岸 部 を 除 き 上 陸調 査 は全 く行 われ て い な い。 た だ し2004年6月 に は 、 広 島県 船 籍 のプ レジ ャー ボ ー トが 北 東岸 に座 礁 し、乗 員12名 の うち9名 が 救助 を待 つ た め
に上 陸 した こ とが 報 じ られ た 。
南 硫 黄 島 の 自然 環 境 の詳 細 を知 る重 要 な 記 録 と して 、1982年 に環 境 庁 が実 施 した総 合 調 査 、2007
360N
年 に東 京 都 ・首都 大 が 実 施 した総 合 調 査 の 報 告 が あ る(加 藤 ら,2007、 東 京 都,首都 大 学 東 京,2008)。
環 境 庁 調 査(1982年)で は 、維 管 束 植 物ll8種 、 昆 虫類152種 、 烏 類21種 、爬 虫類2種 、 ほ乳 類1 種 な ど多 くの 南 硫 黄 島 固有 種 を含 む 生 物 種 が 記 録
され た 。ま た 、ネ ズ ミ類 が侵 入 して お らず 、海 洋 島 本 来 の生 態 系 が 奇 跡 的 に残 され て い る こ とが 明 ら320N か に な った 。
東 京 都 ・首 都 大 調 査(2007年)で は 、地 形 ・地 質 、植 物 、ほ 乳 類 、鳥類 、昆 虫類 、陸産 貝 類 、爬 虫 類 、海 洋 生物 の 基礎 調 査 が 実施 され た。陸 産 貝 類 や 維 管 束 類 で新 種 が 記 載 され る な ど、 多 くの 絶 滅 危28・N 惧種 の生 息 ・分布 が確 認 され た。 この よ うに 、未 だ 貴 重 な原 生 自然 が 保 た れ て い る と同 時 に、 未 知 な る 自然 が残 され て い る こ とが判 明 した(そ の後 、 2011年 の小 笠 原 諸 島 の世 界 自然 遺 産 登 録 に よ り、
南 硫 黄 島 の原 生 自然 の 価 値 は さ らに 高 ま っ た)。
一 方 で
、25年 の 問 に 、一 部 の森 林 の草 地 化 な ど短
240N
期 間 の変 化 も確 認 され た 。 また 、1983年 の調 査 時 に は確 認 され て い な い シ ン ク リ ノイ ガ 等 の 外 来 植 物 が 確 認 され 、海 鳥や 風 、海 流 に よ り小 笠 原 諸 島 内
1400E 1420E
東 京淳1》
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●
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・ 火
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'列山 一 ・島
島 1
一 図1南 硫 黄 島 の位 置
Figurel.LocationofMinami‑Iwo‑ToIsland。
の生 育 地 か ら運 ばれ た 可 能 性 が 指 摘 され た 。 この た め、2007年 調 査 後 、10年 に1度 程 度 の 割 合 で 、南 硫 黄 島 の未 知 の 自然 の探 求 の継 続 と、環 境 の変 化 を監 視 す る必 要 性が 提 言 され た 。
これ らの背 景 の も と、前 回調 査 か ら10年 目を迎 えた2017年 、 南硫 黄 島 の 生 態 系 の 現 状 を 把 握 し、 そ の価 値 を評 価 す る と共 に 、保 全 の推 進 に 貢 献 す る基礎 資料 を収 集 す るた め の 南硫 黄 島 自然 環 境 調 査 を、東 京 都 、首 都 大 学 東 京 、 日本 放 送 協 会 が3者 合 同 で 実施 す る こ と とな った 。2007年 実 施 の生 物 群 に加 え て 、過 去 に体 系 的調 査 が行 われ て い な い 、甲殻 類 、土壌 動 物 、地 衣 類 、蘇 苔 類 、菌類 を加 え 、ま た 、人 の 到 達 不 可 能 な 山域 に お い て 、UAV(Unmanned AerialVehicle:DJIInspire)を 使 った 調 査 ・記録 を実施 した。
1‑2.南 硫 黄 島 の調 査 誌
以 下 に 、南 硫 黄 島 に か か わ る主 な 出来 事 ・保 護 処 置 等 及 び 、 実 施 され た 主 な調 査 を 記 す 。 また 、表1に 、主 な南 硫 黄 島調 査 にお け る上 陸 ・滞 在等 の記 録 概 略 を示 した。1981年 実施 の 日本 シ ダ の会 調 査 以 前 は、環 境 庁 自然 保 護 局編 『南 硫 黄 島 の 自然 』p.20「表1最 近 の 南硫 黄 島調 査 の記 録 」 を一 部 修 正(年 号 の み)し て 、 ほ ぼそ の ま ま掲 載 した 。1982年 実施 の 環境 庁 調 査 以 降 は、 上 陸 ・滞 在 に 関す る よ り詳 細 な記 録 が残 っ てい る た め 、上 陸 、 滞 在 、離 島 ま で 全 行 程 の概 略 を記 載 した 。
1911年5月 海 軍 水 路 部 ・陸 地 測 量 部 の 測 量 隊 が 上 陸 、 中腹 に 三角 点設 置 。 軍艦 「松 江 」。
1935年10.月 小 笠 原 営 林 署 調 査 。8合 目(標 高700m)ま で 到 達。
1936年3月 小 笠 原 営 林 署 調 査 。 植 物 学 者 総 勢9名 が上 陸 、 登 頂 。植 物 調 査 を実 施 1968年6.月 小 笠 原 諸 島 が 日本 に返 還 され る。
1969年7月 文 化 庁 鳥 類 調 査,船 で接 近(上 陸 せ ず)。
1969年7.月 東 京 都 建 設 局 公 園緑 地 部 が調 査 のた め船 で 一 周(上 陸 ぜず)。
1972年 国 の天 然 記 念 物 に指 定(文 化 財 保 護 法)
1975年 原 生 自然 環 境 保 全 地 域 に指 定(自 然 環 境 保 全 法) 1979年4月 地 質 調 査 所 が上 陸 、海 岸 部 で 岩 石 採 取 。
1979年6.月 海 上 保 安 庁 水 路 部 が上 陸 、 海 岸 に測 点 標 識 を設 置 。 1981年1.月 国土 地 理 院 測 図部 が上 陸 、 海 岸 に測 点 標 識 を設 置 。 1981年6H国 土 庁 が調 査 のた め上 陸 を試 み る も果 た せ ず 。
1981年6.月 日本 シ ダ の会 が上 陸 、 登 墓 を試 み る も断 念 、 海 岸 部 の植 物 調 査 を実施 。 1982年6.月 環 境 庁 学 術 調 査 隊18名 上 陸 、 登頂 。ll日 間滞 在 。 動 植 物 ・地 形 地 質 調 査 。 1982年6,月 海 上 保 安 庁 水 路 部 が 上 陸 、 海 岸 に測 点標 識 を設 置 。
1983年 島 内全 域 が立 入 制 限地 区 に指 定 され る。
1998年 東 京 都 小 笠 原 水 産 セ ン ター 調 査 船 「興洋 」。 火 山列 島 を船 上 か ら視 察 。 2007年 南 硫 黄 島 自然 環 境 調 査 のた め の予 備 調 査(東 京 都 ・首都 大 学 東 京)。
2007年6,月 南 硫 黄 島 自然 環 境 調 査(東 京 都 ・首 都 大 学 東 京)。
2011年 小 笠 原 諸 島 世 界 自然 遺 産 登録 、 2013年7,月 国土 地 理 院 観 測 点 設 置 。
2016年6月 南 硫 黄 島 自然 環 境 調 査 のた めの 予備 調 査(東 京都:火 山列 島 現 況 調 査)。
2017年6H本 調 査 。
表1.南 硫 黄 島 に お け る 主 な 調 査 の 上 陸 陸 ・滞 在 等 の 記 録 概 略(そ の1) Table1.Recordouthnessuchasthelandingland,thestayofthemaininvestigationinMinami‑Iwo‑To Island(1).
調 査 隊
小 笠原営林署 小笠原営林 署 地質調査 所 海上保安 庁 国土地理院 国土庁 日本シダの会
目
的 植 物調査 植物調査 岩石収集 測点標識の 設置 測量 ・人工衛星観 測 岩石収集 植物調 査
時 1935年10月21 1936年3月30 1979年4月30日 1979年6月12日 1981年1月28 1981年6月2日 1981年6月11
期 〜22日(2日 間) 〜31日(2日 間) (30分 間) (1時 間 位) 〜30日(3日 間) (上陸できず) 〜12日(2日 間)
隊 岡部 正義ら 堀川芳 雄 広大 5人 6人 5人程度 14人 中池敏 之ら8人
規 8〜9人 程 度 小林義雄 東文理 大
模 津山尚 東大ら、人数不 明
船東京都 小笠原支 庁 東京都小笠 原支庁 金属公 団 海上 保安庁水路部 海 上自衛隊 父島分遣隊 船舶 船舶
舶 海 幸丸 海幸丸 第 一白嶺丸 明洋 特務艇85号 小 笠 原 丸8.2t 第五 つね 丸8t
41t,75BHP 41t,75BHP 360t 500t (硫 黄 島B.C.) (父島から)
上 陸
西側(砂浜) 南 側(円礫浜、一部砂浜) 南側 北側(巨礫 浜) 南側(砂 浜) (上陸できず) 北側(石ゴロゴロ)
・母船からサ ンバ ・上 陸方法不明 ・母船から船 外機付 ・水深を測りつつ母 ・母船 から綱を引き、そ ・船舶→ 船外機 ・船舶 →船外機 付 ン に乗 り移 って 上
陸 。
・AM4:00よ り上 陸 地 点 偵 察 開 始 。 AM9:00上 陸 完 了 。
・上方 から落下 してくる小石 で海 岸表面に穴があいて いる。
ゴ ム ボー ト(20〜30 分)
・海 岸 線 か ら20〜
30mで エン ジン を上 げ て アン カー を 落 と
船を岸から200m付 近 に停 泊
・母船か ら10人乗り の船 外機付ゴム ボー トで岸か ら24〜
25m程 度 まで接近
れ伝 いにゴムボー トで 揚 陸。
・事前調 査時点で石が ゴロゴロしていた上陸 予
付き小舟→ ゴム ボート乗継ぎで、
上 陸を予定 。
・間欠的 に山頂 か
き小舟で岸か ら 100m付 近 まで接 近し、そのあとゴム ボートで上陸(昼少 し前)。胸まで海 に つかる。
・海岸には樹木1本 ・時 々小石が頭上 より落下
す 。 し、200kgの ア ンカ ー 定地点に砂が堆積 して らの 吹き下ろしの ・ゴ ム ボ ー トは2人 もな い 。
・巨 石 累 々 。
・土 礫、大 石 が 時 々 落 下 し危 険 。
・清 水 な し、海 岸 の して危険 。
・7合目付近 やや傾斜ゆるく なった地 点でタ方 となる。
・6回に1回の割で来 る大波の頭に乗 り、
岸の岩 の上に打ち 上げられ た。水びた
を 落 とす 。
・アン カー か らの ロー プ(40〜50m)を 支 え る ことに よ り、岸 に 向 か っ て直 角(横 波 を 受 けな い)に な る よう
いて、波を利用 してボー トごと海 岸に乗り上げ た。
・夜 明け直後 に到着し、
突風 が吹いて小舟 は危 険。
・風が吹 くと島を回 る潮流ができる。
と若干の荷 物を積 める程度 のもの。
・巨大な岩 がゴロ ゴロした急傾斜の 海岸で巾副ま10m程 岩の 凹みにたまっ
た雨水あり。
・土質は鳥糞 の堆
各自が斜め上 方に突き出 ている2〜3mの 小樹 の幹の
し。
・AM8:00よ り上 陸 開 始.
ボー トの向きを制御 しつつ、25馬力の船 外機 の推進 力で巨
機 材揚陸はAM7:00頃 か ら開始した。
・風速3m以 上だと 上 陸は難しい。
度
・落 石が多く危険
・岩 はグズグズ 、 積 多く、足頸 没す
る所あり。
基 に身を託 して仮眠 する。
・9合目位で尾根 に出 て、
・南 南 東 の 風6m/s
・海 底 で 直 径2〜3m
礫浜 にボー トごと乗 り上 げた。
・ボート先端 が着岸
・急勾配 で大 きな岩石 のゴ ロゴロした足場の
・大潮などで潮 の 動きが大きいとき
60cmの ボ ル トが 必 要 。
・水 は な い
上
陸 ・島1周 す るも1ヵ 所 の円礫 がゴロゴロ動
すると同時にボート 悪い海岸 は上陸が難しい。 ・泊 りは崖 の基部 滞
在 等 の
渡れ ない所あり。
・300m位の所に標 柱を立て、安全な
頂 上に達した。
・隣接 の谷へは危 険で行 く い て い る。
・波 高2〜3m
・海 岸 線 は 崖 か ら崩
先端 から別の ロープ でボートを陸から 引っぱり、その間 に
・島 内でのキャンプは危 険と判断し、毎 日母船に
・島の周 りにサメが 回遊 していた。
の凹みを利用し、
全員が海岸 と平行 に1人ず つ1列に
己 ユ米
昌=ロ全響る場所をさが して テントを張った。
・3名が8合目付近
ことができなかった。
れ落ちた岩塊が重 なり歩 きにくい。
・上陸30分後 、南南
素早 く荷揚げした。
・荷揚 げと同時に ボー トはアンカーの 位置 に引き返 し待機
帰 った。
・資材 、食料 、水など揚 陸物資が少なかったこ
・船酔いがひどい
なって横 になる。
・海岸 にはリーフは ない。
・島周 辺に乱気流 まで登 る。頂上霧
東の風 が東寄りに した 。 とで、作 業を短 時間に能 が あ る。
深 く、寒 気 肌 にし む 。
・暑 さで疲 労 した。
変わってきたの で、
離島を急いだ。
・沖に落としてきたア
・海岸か ら幅3〜4m の間 は巻き波(返 し 波高1m)が 強く作業 困難 。
率 的に行えた。
・食料 、水は1週間分用
・父 島〜南硫黄 島 間、約24時 間
・船酔 いで眠れ ず。
・10/22PM4:00帰
ンカ ー か らの ロー プ ・島を回る潮流 が強 意 した 。 ・父 島で4日間天候
船
を引いて離 島する く、推進力のない ・自衛 隊員20人 待ち
ボー トや人間は流 さ
も、ボー ト転 覆 す る 。 ・外洋 用ゴムボー ト使 用
れ て しま う。
・荷揚 げ物資 は30kg
×6個程度
・上 陸 当時 、風 は な く、風 速2〜3m程 度
・帰 りは、波 の 砕 け る 幅の ところは飛 び込 んで泳いだ。
*環 境庁 自然保 護局編『南硫黄 島の自然』p.20「表1最 近 の南硫黄 島調査の記 録」より改編
表1.南 硫 黄 島 に お け る 主 な 調 査 の 上 陸 陸 ・滞 在 等 の 記 録 概 略(そ の2) Table1.Recordoutlnessuchasthelandingland,thestayofthemaininvestigationinMinami‑Iwo‑To
Island(2).
調 査 隊
環境庁 東 京都 ・首 都 大 国土地理院 東 京都 ・首都 大 ・
日本 放 送協 会 目
的 自然環 境学術調査 自然環 境調査 三角点 設置 自然環境調 査
時 1982年6月5日 2007年6月17日 2013年6月21日 2017年6月14日
期 〜22日(18日 間) 〜27日q1日 間) 〜27日 〜27日(14日 間)
隊 隊長 奥 富清 隊長 加 藤英寿 見玉 篤郎 隊長 鈴木創
規 計18名 計23名 計8名 計32名
模 2班制 2班制
船母船 大 型船 ヨット 上陸調査
舶 マ リンた か さい231t 翔 鴎 大 型調査船498t
小 笠 原 丸8.19t 海洋調査 船
上 先 発隊 北西側 先 発隊 南側 南側 南側
陸 本 体 西 側 後 発隊 南 東側
・6/57時、先発隊 が南硫黄島 沖 ・6/16一 次 隊18名が 父 島 を 出 発 ・6/21父 島7出 港 、出 港1時 間 後 にサ ・6/12出発前 夜 天 気予報悪 化で大幅計 に到着 。空 はどんより曇り、波 は ・6/17凪 ぎ荷 揚 げBC設 営、順 調 、 メとぶ つ か り、ス クリュー 部 よ り、浸 水 が 画 変 更 、一 次 隊 、二 次 隊 の 入 換 え.17日 高 い。海に飛び込 んでようやく岸 BC裏 始終 落石、前は満潮 時に波が 始まる。1時間後修 理完 了し、航海を
継 続。
迄天候 図で日々計画策 定、低 気圧南下 凌げれ ば20日以降 に再設 計 目処 にたどり着 く。かろうじて3日分 の あがるテ ント横 一列のみ.数 日は ・6/22南 硫 黄 島 着、上 陸 、荷 揚 、BC ・6/13父 島 出 発
食 糧と飲料水 の陸揚げに成 功。 夜 間もヘルメット着用 で寝 る. 設 置。ゴムボー トにより上 陸、荷揚 、途 ・6/14南 硫 黄 沖 到 着、上 陸 、荷 揚 、BC設 ベースキャンプを南崎 に設営 。 ・6/18朝 か ら雨 風 が 強 い.山 岳 班 に 中でゴムボートが打ち上 げられ破損 、
その後 は泳いで機材等を荷揚 。隊員の
営、山岳隊ルー ト工作、浮き石 ・落 石がひ どい、350mまで猛暑で消耗激 しい.研 究
・6/813:20ル ー トエ 作 班 が 戦 後 初 よるルー ト工作開 始.研 究者は島 一人がゴムボートと玉 石が転がる海岸
者南東海 岸調査 、BC裏の落石 のひどさ の 登頂に成功 。
・6/9松江岬を除いて海岸は 全て 歩 けることを確認。
・6/1015時、本隊 が南硫黄島 沖 に到着 。どこを見ても登れそうにな い 。久しぶ りの再 会を喜 ぶ。
・6/11波は静か 。西側より上陸。
南 東部海岸林 で幕 営調査.BCか ら 南 東海岸林間 の海蝕崖 落石ひど い、海岸薄く「死の廊 下」と命名
・6/19天野 ・宗像25年 ぶりの登頂.
登 饗ルートの ロープ張り完了.研 究 者 は海岸外周調 査.梅 雨前線南 下.荒 天BCタ ープ支柱折れ.地 鳴 り?異音(硫黄島の軍 事演習だった).
との 間に足を挟 まれ 打ち上 げられる。
就 寝時、隊員の一人 が落石の破 片を 脇 腹にもらう。落 石後、波しぶきが かか
るくらいの場 所に移動。
・6/23簡 易験 潮儀設置 、一等三 角点 設 置、対 空標識設置 。簡 易験 潮儀設 置 から一等 三角点設置 の間に隊員 の
一人が熱 中症 になりか けたの で着 の身 着 のまま海 に浸 かり「死 の廊下」にある 日陰(崖下のくぼみ)で休憩 。夕刻南 の
変わらず.テ ントは同じく横1列のみ.BC と南東海岸 林間の 「死の廊 下」も健 在。
・6/15研 究者 コル登饗 落石 多.コル泊
・6/16研 究者 コルより調 査下山 船へ、
海洋調査 開始
・6/17山 岳隊 コルまで荷 揚げ、研 究者東 南海岸林 調査及び船休 息、海 洋調査実 施、BC守 備人員+αの計4名を残し、海 況 悪化に備えて総員船待 避.
岸 から15m程に 固定のドラム缶イ
夜 間満潮時 に波 上りテント3張移動 方で雷 が光っているのを確認 。夜、ス ・6/18守 備人 員4名で荒 天に備えBC解 カダが中継点 、本船か らゴムボー
トでピストン輸送。ビショヌレになり
・6/20一 次 隊 登 撃 開 始.コ ル 泊.
雨 霧 で全 員 常 に 全 身 ビシ ョヌ レ.
コー ルにあう。
・6/24三 等 三角点設置 、対空標 識設 置 、簡 易験 潮儀との高 低差観測(水準
体.4名 海 洋調査船に避 難.総 員避難完 了 夜 から時化,大型船 は南 下.
・6/19総 員船 で荒 天凌ぐ.午 後船上M な が ら1.5tの 物 資 を 陸 揚 げし 、13 ・6/21一 次 隊 登 撃.山 頂 泊.雨 と 測量)を実施 。三等三 角点上でGNSS T調 査続行決 定、後 半行程を確定.
上 陸
時 に はBCに 入 る。とに か く暑 い 。
・6/12本 隊 第 一 陣 が 頂 上 ア タック
霧 で視界 なし.前者のザ ックが見え る程度.足 元グチャグチャ.二次隊5
観 測を開 始。GNSSブ イを用いた験潮 開始。・6/25フィリピン沖で熱帯低気圧 が発
・6/20一 次 隊再上陸&登 撃開 始.山岳 調査再 開一コル 泊、海 洋調査再 開
・6/21登 頂 山頂 泊、海洋調 査 滞
在 等 の
す るが、異 常な暑さと疲労 のた め 、500m地点に達するのに6時間 を費やし、アタックを断念 しBCへ
名 父島出発
・6/22一 次隊下 山.二次 隊南硫黄 沖 に到 着するが 、波浪で予 定地点
達 してきたとの情報により、タ方頃より 機 材撤収準備 を開始 、梱包 できるもの
は梱包を実施し、1箇所 にまとめる。
・6/26日の 出とともに各 自テント等を撤
・6/22一 次隊 下山船 泊 記録班 コル泊 、 二次隊上 陸BC泊
・6/23二 次隊 登撃開始 コル 到達 コル
己 ユ氷 言口全旱
引き返す。南の海岸 には難破した 大 型船が打ち上げ られ ている。
で上陸 出来ず,海 上待機後 、南西 側 で上陸.岩 石帯荷物運搬 で消耗.
収 梱包、6時頃より器材等 を船 に積み 込み開始。ゴムボー ト破損の ため 、泳 いで器材 を運搬(時折 波に押し戻され
泊
・6/24二 次隊 登頂 山頂へ 山頂域調 査 後コルへ 下降 コル泊 コウモリ班 は350
・6/13本 隊 初 登 頂 。固 定 ザ イル に ・6/23梅 雨 明 け .一 転 猛 烈 な 蒸 し る)、11時頃南硫黄島 を出発 m迄 下り夜間調 査実施
す がりなが ら登るため腕 が非常に 暑 さ.二次 隊山頂を目指し登肇 、熱 ・6/2714時 父 島 着 ヨッ トより父 島 で ・6/25二 次隊 下山 船へBC守 備 班及 疲 れる。BCを出発 して6時間近く 中症 複数で引き返 しコル泊.一 次隊 の後続作業 に必 要な機 材のみを下ろ
し、ヨットは本 州に帰 航する。。
び山岳隊 のみBC泊 海 況下り坂.波高 く2 段階撤収 検討開始,
経 ってようやく頂上 に達 する。 一部 隊員は 父島へ出発 . 作 業期間 中の南硫黄 島での 気温:27.3 ・6/26二 次隊 再上陸AM島 東南 海岸林
・6/14各 隊 員 に 疲 労 の 色 濃 く、本 ・6/24二 次 隊 登 頂 .山 頂 泊.日 中 〜37 .6。C(日 陰 に 設 置 した 気 圧 計 の 調査、海洋調査 、PM海 況悪化 で夜 間調 日は休養 日とす る。一部は荷揚 げ は日陰なく酷暑、夜は冷え込み が厳デ ー タ より) 査中止 、島隊 員&山 岳隊 以外は全 員船
・6/27島 メン バ ー&山 岳 隊 でBC撤 収、
の ため頂 上へ。 しか った.
波浪が強 く 予定 時間に脱 出できず数時
・6/15各班それぞれ頂上 で一 泊な・6/252次 隊 下 山、山 岳 班 山 頂 か ら 間波待ち、強 いセットが入るギ リギ リの 撤
い し二 泊する覚 悟である。 コル の ロー プ 回 収. 収に.この後、一気に脱出不能 な海 況
・6/21撤 収 作 業 日 であ る。予 定 を1 ・6/26山 岳 班 コル 以 下 の ロ ー プ 回 へ.
・6/28父 島 帰 還
日早めている。上陸 日と違って波 収.2次 隊南東部 海岸林調査. ・大 型 母 船 方 式.
が かなり高 くなっている。朝6時か ・6/27早 朝 より撤 収 作 業 .午 後 南 陸上調査 員は母船/海 洋調査 は海洋調
ら作業開始 したが 、大波をかぶ り 硫黄 沖出発 査 船,
なが らの作業はなかなか はかどら 人 により船酔いに苦しむ. ・10年前より落 石・崩落 が顕著 南谷登肇
ず 、昼食も立ったままで済ます。 上 陸時のみべ た凪.前半 は雨風 は最後だろう.
・医 療 班 初 設 置 .
17時 半 、物 資 撤 収 終 了 。 風 、後 半 は 酷 暑. ・海 洋班増強 が日々の海 上運搬 、船ベー
・6/229時 半 頃 猛 烈 なス コー ル に 登撃 口に設置したは しご回収 時落 スを実現させ た鍵2班 制にしても船ベー
襲 われ船 は大揺れに揺れ る。 石 でベコベコ スなしでは20名規 模が限界.
*環 境庁 自然保護局編 『南硫 黄島の 自然』p.20「表1最 近 の南硫黄 島調査の記 録」より改編
2.調 査 計 画 2‑1.事 前 準 備
2‑1‑1.は じめ に 〜 考 え 方 の 重 要性 に つ い て 〜
南 硫 黄 島 に複 数 の 人 間 が 渡 航 ・滞 在 し調 査 研 究 を実 施 す るた め に は、 多 岐 に わ た る 準 備 が 必 要 とな る。準 備 段 階 の詳 細 な記 録 は少 な い が 、今 後 の調 査 実施 に とっ て 重 要 な情 報 とな る た め、準 備段 階 の 取 り組 み を示 す こ と と した。ま た、必 要 な 準 備 を リス トア ップ して遂 行 し、
安 全 か つ 確 度 高 く 目標 を達 成 す るた め には 、 どの よ うな 「考 え方 」 を持 っ て 準 備 ・組 織 づ く りを は じめ るの か 、 とい う 「考 え方 」 が重 要 とな る。 本 調 査 の 実 行 に あた り、東 京 都 ・首都 大 学 東 京 ・日本放 送 協 会3者 は 、調 査 隊 編成 、準 備 に あ た り 「考 え方 」 の 部 分 か ら現 場(調 査 隊 運 営 者=小 笠 原 自然 文 化研 究 所)に 任 せ た。 調 査 隊運 営 者 で は、 以 下 の 「考 え 方 」 に基 づ い て 組 織 づ く りと準 備 を実 施 した 。
2‑1‑2.組 織 づ く りの考 え方
・研 究 全 体 の コー デ ィネ イ ター の 必 要性
準 備 か ら成 果 還 元 まで を見 据 えて 、苛 酷 地 にお け る総 合 調 査 を実 施 す るた め には 、研 究 全 体 を総 括 す る研 究 コー デ ィネ ー ター を設 置 して 、同 コー デ ィネ ー タ ー を 中 心 に調 査 研 究 を 実 施 す る必 要 が あ る。
具 体 的 に は、原 生 自然 環 境 保 全 地 域 に指 定 され 、 基本 的 に 立入 が禁 止 され て い る 南硫 黄 島 で 総 合 的 調 査 を実 施 す る に あた り、① 計 画 段 階 よ り学 際 的 な議論 が必 要 で あ る。 ま た 、 計 画 決 定 段 階 で は、② 合 理 的 かつ 最 大 成 果 を得 る た め に調 査 メ ニ ュー ・メ ン バ ー の 取捨 選 択 が必 要 で あ る。 さ らに 、現 場 の諸 条 件 の変 化 か ら計 画 の変 更 や 修 正 が 必 要 とな った 場 合 に は、③ 状 況 に合 わ せ て 最 大 成 果 を得 るた め に臨機 応 変 な 計 画 再編 が必 要 とな る。 上記 の必 要 事項 を 実 施 す るた め に研 究 コー デ ィネ ー ター を設 置 す る。
・特化 した検疫体制の必要性
2017年 現在 、小笠原諸 島では外来種 問題 が世界 自然遺産管理 上の最大の課題 となってい る。南硫黄 島は、小笠原諸島の世界 自然遺産 の中心的価 値のひ とつ であ り、外 来種の移動、
侵入 を防止す る検疫 は、南硫黄 島調査 を実施す る上で最重要 な付帯事項 と位 置づけ られ る。
調査実施 に伴 う外来種 運搬の リス クを最小化 す るために、実現可能 な最 大 レベル の検疫 を実 施す る必要が あることか ら、準備段 階か ら手順 をプ ロ トコル化 し、また、検疫 を組織 的に実 施す るた め、南硫黄島 に特化 した検疫担 当チームの配 置が必須 であ る。
・船舶 関係 者の重要性
定期航路がない南硫黄島への渡航は、東京 か ら定期船 で24時 間の小笠原諸 島の父島か ら、
さ らに船舶で18時 間以上が必要であ り、体調 管理を含 めてそれ だけで困難 を有 している。
海洋の素人で ある研 究者集 団 を組 織 して南硫 黄島の周辺海域 に赴 き、一定期 間を滞在す るに
は、船 舶 関係 との意 志 の疎 通 及 び コ ミュ ニ ケー シ ョン が最 重 要 とな るた め、事 前 か らの 打 ち 合 わせ 等 が 必 須 事 項 とな る。 と くに 、本 調 査 で は 大型 調 査 船 に 船 上 ベ ー ス を設 け る こ とで 陸 上 調 査 を支 え る方 針 と した 。 この た め 、海 洋 調 査 担 当 した船 舶 との 情 報 共 有 を 事 前 よ り意 識 的 に実 施 す る。
・海 洋 専 門部 門の 必 要 性
港湾 施 設 等 の ない 島 へ の 上 陸 は 、船 舶 → ボー ト→ 遊泳 へ の移 動 とな る上 に 、真 水 が 一切 な い 島へ の飲 料 水 ・食 糧 資材 等 の物 資 運 搬 はす べ て人 力 頼 み とな る。 ま た 、 上 陸 日に は海 況 の 良い 日を選 べ るが 、脱 出 日に は天 候 を選 べ ない こ とか ら、撤 退 時 の安 全 な 島 か らの脱 出 に は リス クが 伴 うこ とが 想 定 緒 され る。全 隊員 の事 前 ス キル習 得 は必 須 で あ る が 、 さ らに、滞 在 中 に 日常 的 な海 上 物 資 運 搬 を行 い 、 遊 泳 中 の研 究者 の 安 全 確 保 や 危 機 判 断 を行 うた め には 、 小 笠 原 の海 や 無 人 島 を熟 知 した プ ロ ダイ バ ー 等 か らな る海 洋 隊 の設 置 が必 須 で あ る。
・山岳 専 門部 門の 必 要 性
低標 高 で は猛 暑 、 山頂 域 で は 雲霧 とな る平 均斜 度45度 の 山 岳 登墓 は 、 フ ィ ック ス され た ロー プ に 固定 した 状 況 で 始 終 落 石 へ の 注 意 が 必 要 で あ る。 さ らに、 幅 の うす い海 岸 域 で は海 食 崖 か らの落 石 由来 の岩 石 の 堆 積 に よ って キ ャ ンプ 地設 営 に も苦 労 が伴 い 、安 全 な休 息地 と した テ ン ト内で は簡 易 ベ ッ トの 設 置 が 困難 な 状 況 で あ る。 ま た 、全 島 ほぼ 日陰 が な い 。 この よ うに苛 酷 な 山岳 環 境 にお い て 、研 究 者 は 懸 垂 下 降 や 登 高器 を使 用 す る最 イ邸 艮の 山 岳 ス キル の事 前 修 得 が 必 須 と な るが 、現 地 で は専 門者 の指 示 に従 い 登 禁 ・下 山 す るの み で精 い っ ぱ い とな る。 この た め、 山域 で の調 査 の実 施 に は 、ル ー ト開拓 、 研 究 者 の 登 肇 サ ポ ー ト、 資材 荷 揚 げ を担 う山岳 隊 の 設 置 が 必 須 で あ る。
・事 前 訓 練 及 び プ ロ技 術 講 習 者 の 参 画 の 必 要性
以 下 の理 由か ら、現 場 状 況 を想 定 し依 頼 す る運 営 者 の能 力 と、 必 要 な プ ロ グ ラム を 作成 す る能 力 を持 つ プ ロ講 習 者 が 参 画 した 事 前 訓 練 を実 施 す る必 要 が あ る。
山岳 及 び 海 洋 ス キ ル に 不 足 の あ る研 究 者 に対 して 、 ① ど の よ うな技 術 が必 要 か?ま た 、 そ のた め に は、② どの よ うな 訓 練 及 び 知識 習 得 の 場 を つ く るべ き か?と い う点 を 押 さえ て 、 訓 練 プ ロ トコル を作 成 す る必 要 が あ る。さ らに、訓 練 で は実 技 体 験 に終 わ る こ とな く、 「現 地 で 実 用 的 で 、 か る最イ邸 艮必 要 な応 用力 」 を身 につ け る必 要 が あ る。 この た め、 運 営側 の 現場 想 定 能 力 と、講 習企 画者 の想 定 に対 応 した設 計 能 力 が重 要 に な る。 同時 に、 訓 練 を 通 じた 隊 員 個 々 の技 術 レベ ル や 性 格 の 把 握 、 相 互 に コ ミ ュニ ケ ー シ ョン を深 め る こ と も重 要 で あ る。
・医療者 の同行及び緊急時対策準備の必要性
渡航 、上 陸に リス クが伴 う過酷 環境 に一 定期 間滞 在 し、調査成果 を持 ちかえ るためには、
つ ぎの事項が必要で ある。①事前準備及び予 防による リスクの最小化、② 医療従 事者 の同行
(船舶待機)及 び山岳隊内山岳 医療班 、③緊急時対応 の整理 ・プ ロコ トル化 と正規ル ー トに よる関係機 関への事前周囲及び協力要請。これ ら必要事項を実現す るためには医療班 の設営 が必要で、中心者 として医師の参加 が不 可欠 である。 さ らに、南硫 黄島の行政 地理 上の特殊 性か ら、緊急 日寺に必 要な関係機 関 との連携 を図る必要 があ り、このた めには、小笠 原村及 び 小笠原村診療所の理解 と協力 を得 ることが最重要事項 とな る。
・運 営 の考 え方
南 硫 黄 島 の調 査 実施 に お い て は、 上 記 の よ うに調 査研 究 以 前 に船 舶 、海 洋 、 山 岳 、 医 療 、 訓 練 のプ ロサ ポ ー トが 必 要 で あ る。加 え て重 要 な の は 、現 場 で これ らの ス ペ シ ャ リス ト(プ
ロサ ポ ー ター)と 日常 的 に コ ミュニ ケ ー シ ョンを と りな が ら調 査 隊 を維 持 す る運 営 の仕 方 で あ る。 状 況判 断 が難 しい状 況 下(苛 酷 状 況 の想 定 下)で は 、 スペ シ ャ リス トた ち との双 方 向 の議 論 可 能 な人 員 に よ る運 営 が 不 可 欠 で あ る。 運 営 組 織 は、 小 笠原 諸 島 に お い て十 分 な無 人 島経 験(調 査 に 限 定 され な い)を 有 し、 スペ シ ャ リス トに近 似 す る感 覚(想 定 範 囲)や 経 験 を持 つ 人 員 に よ り運 営 部 を構 成 す る こ とが 必 須 とな る。
過 去 の実 務 能 力 や 経 験 に照 ら し、小 笠 原 諸 島 で火 山列 島 を含 む 無 人 島調 査 隊 の 組 織 ・運 営 経 験 を持 ち、地 域 の 船 舶 関係 者 や プ ロダ イ バ ー ら とフ ィール ドに お け る 日常 的 な コ ミュ ニ ケ ー シ ョン を有 す る小 笠 原 自然 文 化研 究 所 が 運 営 各 所 を担 うこ と と した。
2‑1‑3.ミ ッシ ョン別 の ミー テ ィ ン グチ ー ム の設 置
2‑1‑2.に 示 した 「考 え方 」に基 づ き ミ ッシ ョン別 に複 数 の組 織 を立 ち上 げて 、同 時並 行 か つ 横 断 的 に複 数 の ミ ッ シ ョン の ミー テ ィ ン グ を重 ね る こ とに よ り、 出発 前 の 調 査 隊 の構 築 ・運 営 を行 った 。 以 下 のMTGに よ り準 備 ・計 画 決 定 を行 った 。
・全 体 コア(運 営)MTG
ミッ シ ョン:人 員 ・組 織 ・ス ケ ジ ュー ル 等 、 隊 全 体 の運 営 に 関 わ る計 画 ・調 整 ワー ク:全 体 計 画 、 調 査 計 画 、 準 備 プ ロ グ ラム の 策 定
メ ンバ ー:隊 長 、 副 隊 長 、 各 隊 リー ダ ー 主 催:隊 長(鈴 木 創)・ 副 隊 長(金 子 隆)
・研 究 計 画 に 関す るMTG ミッ シ ョン:研 究 計 画
ワー ク:研 究 計 画 の 策 定 、研 究優 先 度 、研 究 ス ケ ジ ュール 、研 究 バ デ ィの選 定等 メ ンバ ー:適 宜 研 究 者 が 参加
主 催:研 究 コー デ ィネ ー ターUll上 和 人)
・山岳 に 関す るMTG
ミッ シ ョン:山 岳 登 墓 及 び 滞 在 及 び 事 前 訓 練 に関 わ る計 画 ・実施
ワー ク:登 禁 計 画 、 荷 揚 げ計 画 の 策 定(物 資選 定含 む)、 山岳 医療 班 編 制 等 メ ンバ ー:山 岳 班
オ ブ ザ ー ブ:隊 長 及 び 庶 務 主 催:山 岳 隊 長(天 野 和 明)
・海 洋 及 び 船 舶 に関 す るMTG
ミ ッシ ョン:海 上 運 搬 ・浜 揚 げ ・海 洋 安 全 及 び 訓 練 に 関す る計 画 ・実施 ワー ク:上 陸 計 画 、 海 上 運 搬 計 画 、 緊 急 撤 収 時 計 画 、海 洋 調 査 計 画 の策 定 メ ンバ ー:海 洋 隊 、 船 舶 関係 者
オ ブ ザ ー ブ:総 隊 長 及 び 副 隊 長
主 催:船 舶 関係(高 嶺 春 夫)、 海 洋 隊長(山 田鉄 也)
・撮影 に 関す るMTG
ミッ シ ョン:撮 影 ・記 録 及 び 研 究 協 力 に関 す る計 画 ・実施 ワー ク:撮 影計 画 、研 究 撮 影 計 画 の 策 定
メ ンバ ー:NHK、 隊長 、 副 隊 長 、 適 宜 必 要 な研 究 者 主 催:NHK(山 崎 敦 基)、 隊長
・安 全 管 理 にか か るMTG
ミ ッシ ョン:安 全 管 理 ・救 急 医 療 ・緊 急 連 絡 に関 す る計 画 ・実施
ワー ク:安 全 管 理 計 画 、 救 急 医 療 計 画 、 緊 急連 絡 計 画 、 隊員 問診 カル テ作 成 、 医療 品等 選 定 、 救 急 救命 訓 練 等 の 計 画 と実施
AEDや 医薬 品調 達 につ い て は無 線 ・装 備 にか か るMTGと 協 働 メ ンバ ー:医 師(佐 藤 力 哉)、(医 師)笠 井 あす か 、 山岳 医療 班 長(金 子 隆) オ ブ ザ ー ブ:庶 務(堀 越 和 夫)、 隊長
主 催:医 師(佐 藤 力 哉)、 隊長 協 力:小 笠 原 村 診 療 所 、 小 笠 原村
・無 線 ・装 備 にか か るMTG
ミッ シ ョン:無 線 及 び 装備 に関 す る計 画 ・実施 ワー ク:無 線 計 画 、 装備 計 画 の 作 成 、
医 療 品 につ い て は 安 全 管 理 にか か るMTGと 協 働 メ ンバ ー:庶 務(堀 越 和 夫)、 庶 務 サ ブ(堀 越 宙)
主 催:庶 務(堀 越 和 夫)
・食 糧 にか か るMTG
ミッ シ ョン:食 糧 に関 す る計 画 ・実施
ワー ク:食 糧 計 画 の 作 成 、 山岳行 程 に つ い て は 山岳 に 関す るMTGと リン ク メ ンバ ー:庶 務(堀 越 和 夫)、 庶 務 サ ブ(堀 越 宙)
主 催:庶 務(堀 越 和 夫)
・検 疫 にか か るMTG
ミッ シ ョン:検 疫 に関 す る計 画 ・実施
ワー ク:外 来 種 対 策 にか か る導線 の想 定 、 導線 ご との検 疫 手法 の検 討 、 物 品検 疫 ・施 設 検 疫 ・船 舶 内検 疫 ・現 地 検 疫 等 の事 前 事 後 計 画 作 成 メ ンバ ー:検 疫 長(佐 々 木 哲 朗)、 庶 務 サ ブ(加 賀 芳 恵)
主 催:検 疫 長(佐 々 木 哲 朗) オ ブ ザ ー ブ:隊 長
2‑2.南 硫 黄 島 自然 環境 調 査 計 画
事 前 ミー テ ィ ン グ を経 て 、 以 下 の 調 査 計 画 を策 定 した。
なお 、 調 査 体 制 、許 認 可 、行 動 計 画 、安 全 管 理 、検 疫 、 装備 計 画 、食 糧 計 画 、救 急 医療 計 画 、 緊 髄 絡 計 画 につ い て は 、 別 途 に記載 した。
2‑2‑1.目 的
平 成23(2011)年 に世 界 自然 遺 産 と して 登 録 され た 南 硫 黄 島 に お い て 、生 態 系(動 物 対象) の現 状 を把 握 し、 そ の価 値 を評 価 す る と共 に、保 全 の推 進 に貢 献す る基 礎 資料 を収 集 す る た め に、 自然 環 境 調 査 を実 施 す る。 平 成19年(2007年)調 査 で は 、 地形 ・地 質 、植 物 、 ほ乳 類 、 鳥 類 、 昆 虫類 、 陸 産 貝 類 、 爬 虫類 、海 洋 生 物 の 基礎 調 査 が 行 われ た。 しか し、 甲殻 類 、 土 壌 動 物 、 地衣 類 、癬 苔 類 、菌 類 に 関 して は体 系 的 調 査 が 行 わ れ て い な い 。 この た め 、 これ
らにつ い て の調 査 を実 施 す る と と もに 、DNA分 析 に よ り南 硫 黄 島 の生 物 地 理 学 的 な位 置 を 明 らか にす る。 さ らに 、生 態 系 の理 解 と保 全 の た め、各 種 分類 群 に つ い て 生物 間相 互 作 用 に 関す る調 査 を実 施 す る。 そ の他 に 、 シ ン ク リノイ ガ 等 外 来 種 の 分 布 拡 大 状 況 や 、新 た な外 来 種 の侵 入 状 況 を明 らか にす る。 これ らの 結 果 を10年 前 の デ ー タ と比較 し、 現在 も世 界 自然 遺 産 的 価 値 が 継 続 して い る こ と を証 明 す るた めの 基礎 資料 と もす る。 ま た 、 手 つ かず の 自然 が 残 る南 硫 黄 島 を本 来 の 小 笠 原 の 姿 と と ら え、小 笠原 に お け る無 人 島 の保 護 と利 用 のル ール 作 りをす るた めの 基礎 資 料 とす る。
2‑2‑2.調 査 内容 (1)調 査 の 概 略
南 硫 黄 島 にお け る生 物 学 的 な 調 査 は 昭 和57(1982)年 、 平成19(2007年)に 行 われ 、 昭 和 の調 査 で は島 の 生 物 の 全 体 像 が は じ めて 明 らか に され た。 さ らに 平成 の調 査 で は各 分 類 群 にお い て よ り詳 細 な 調 査 が 実 施 され 、陸 産 貝 類 等 にお け る新 種 記 載 、 南硫 黄 島 固有 昆 虫類 等 の生 息確 認 、 鳥 類 や爬 虫類 な どのDNA分 析 に よ る遺伝 構 造 の解 明 な ど、 目覚 ま しい成 果 が 得 られ て い る。 一方 で 、 同調 査 で は、過 去 の調 査 で は未 確 認 の外 来植 物 シ ン ク リノ イ ガ の 定 着 が 確 認 され た 。 これ は海 鳥 に よ る 島 間種 子 散 布 に よ る可 能 性 が 高 く、人 間 の 上 陸 が な く と も外 来 生 物 が 島 に拡 散す る こ と を意 味 して い る。同日寺に、昭 和57(1982)年 か ら平成19(2007) 年 の25年 間 に 、 崩 落 等 に よ る と考 え られ る環境 変化 が各 所 で 生 じて い る こ と も明 らか に な
った 。
この よ うな 背 景 か ら、南 硫 黄 島 の環 境 を適 切 に把 握 す る た め に は 、生 物 的 及 び 、環 境 的変 化 を補 足 可 能 な タイ ム ス ケ ー ル と して 、10年 程度 の 間 隔 で調 査 を 実施 す る こ とが 望 ま しい と 考 え られ る。 よ って 前 回 調 査 か ら10年 目に 当た る平 成29(2017)年 度 に 、 再 び 自然 環 境 調 査 を実 施 す る もの で あ る。 平成 の調 査 で は 、地 質 ・地 形 、植 物 、 ほ乳 類 、 烏 類、 昆 虫類 、 陸 産 貝 類 、爬 虫類 、海 洋 生 物 の基 礎 調 査 が行 われ た。 しか し、 甲殻類 、 土壌 生物 に 関 して は体 系 的 調 査 が行 われ て い な い 。 この た め 、 まず 、 甲殻 類 、 土 壌 動 物 、地 衣 類 ・蘇 苔類 、 菌 類 、
微小陸産貝類 の生 息状況 を明 らかにす る とともに、DNA分 析 によ り南硫黄 島の生物 地理 学 的 な位置 を明 らかにす るた めのサ ンプ リングを行 う。 さ らに、生態系 の理解 と保 全のた め、
各種分類群 について生物間相互作用 に関す る調査 を実施 す る。そ の他、シンク リノイガ等外 来種 の分布拡大状況や新たな外来種の侵 入状況 を明 らかにす る。
(2)調 査 項 目
調 査 項 目は、 以 下 の もの を主 体 に進 め る。
・基 礎 調 査
これ まで に体 系 的 な調 査 が 行 わ れ て い な い 甲殻 類 、 土壌 動 物 、菌 類 、 蘇 苔 ・地衣 類 等 に つ い て 、 専 門家 に よ る現 況 調 査 を行 い 、 イ ンベ ン トリー を作成 す る。
平 成 の調 査 で 一 定 の 成 果 が 得 られ て い る分類 群 につ い て は 、モ ニ タ リン グ に よ り変 化 を把 握 す る。ま た 、各 種 生 物 種 の遺 伝 構 造 を 明 らか にす るた め、DNA分 析 用 の サ ンプ リング を行 う。 同時 に、 平 成28年 度 の海 岸 域 に 限 定 した 調 査 に お い て 、 冬期 に 出 現す る鳥類 種 を把 握 す るた め設 置 した デ ー タ ロガ の 回 収 を行 う。
・種 間相 互 作 用 調 査
各 種 分 類 群 につ い て 、種 間相 互作 用 に 関す る調 査 を行 う。 特 に、植 物 と昆 虫 ・ほ乳 類 に よ る送 粉 系 、 鳥類 に よ る物 資循 環 系 と共 生 系 、各 種 動 物 と植 物 を含 む 食 物 網 、 甲殻 類 に よ る分 解 系 に注 目 した 調 査 を行 う。
・外来生物分布状況調査
平成 の調査で分布が確 認 された シンク リノイガの分布 状況 を明 らかにす るとともに、その 他 の外来種 の侵入状況 を把握す る。
南 硫 黄 島 は、海 岸 の 奥 行 きが な く、ほ ぼ切 り立 っ た絶 壁 で 囲 まれ て お り、 「海 岸 部 」 と 「内 陸 部 」 に分 け られ る。平 成 の調 査 で は、 「海 岸 部 」 は 地形 ・地 質 調 査 が 主 で あ っ た。今 回 は 、 そ れ 以 外 の調 査 を 「海 岸 部 」で も実施 す る。 「内 陸 部 」は 、過 去2回 行 っ た 両調 査 と も南 西部 の谷 部 か ら山頂 まで の1ル ー ト上 で しか 実 施 して い な い こ とか ら、既 存 のル ー トか ら展 開す る新 た なル ー トを検 討 し、 安 全 が 確 保 され た場 合 に調 査 を実 施 す る。 新 ル ー トに つ い て は 、 500m付 近 か らの 展 開 、750m付 近 か らの展 開、山頂 付 近 の未 踏 査 域(北 面)等 を候 補 と して 、 現 地 で 実 施 可 能 場 所 を選 定 す る。