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し尿・汚泥再生処理施設における維持管理形態と維持管理費について【PDF 261KB】

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Academic year: 2021

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し尿・汚泥再生処理施設における維持管理形態と維持管理費について (一財)日本環境衛生センター ○小尾 尭之 (一財)日本環境衛生センター 小川 奈美 (一財)日本環境衛生センター 稲田 隆治 (一財)日本環境衛生センター 松田 圭二 1. はじめに (一財)日本環境衛生センターでは、全国のし尿処理施設・汚泥再生処理センターを対象に、施設の 稼働状況、維持管理等の状況把握を目的としたアンケート調査を行っている。本稿は前回調査(平成22 年度実施)からの推移を把握するため、平成 28 年度に実施した調査の集計結果から、施設老朽化の実 態、処理方式選定の現状、施設の維持管理形態および維持管理費に係る解析、考察を行ったものである。 2. 調査方法および回収状況 本調査は平成28 年 7 月 1 日~29 日の期間に、全国のし尿・汚泥再生処理センター1,017 施設を対象 に回答を依頼した。(一財)日本環境衛生センターのホームページ上から調査票をダウンロードしても らい、原則として電子メールでの回答、および回答の補完のため施設パンフレット、精密機能検査結果 報告書を別途収集した。全施設中、603 施設からの回答が得られ、アンケート回収率は 59%であった。 3. 集計結果および考察 3.1 施設経過年数 施設経過年数は、588 施設から回答があ り、経過年数別に区分した集計解析結果を 図1 に示す。施設経過年数は 20 年以上 30 年未満が165 施設と最も多く、次いで 10 年以上20 年未満が 148 施設、30 年以上 40 年未満が 135 施設、10 年未満が 94 施 設、40 年以上が 46 施設の順となっている。 回答があった588 施設の 59%にあたる施 設が稼動後20 年以上を、31%にあたる施 設が稼動後30 年以上を経過している。前 回調査時と比較すると、稼動後20 年以上 の施設割合が2 ポイント、稼動後 30 年以上 の施設割合が8 ポイント増加しており、全体的に施設の老朽化が進行している。今後は、施設の更新需 要等の増加が見込まれる。 3.2 処理方式選定の現状 処理方式は、603 施設から回答があり、処理方式別に区分した集計解析結果を図2に示す。回答数の 割合が最も多い処理方式は標準脱窒素処理方式(標脱)で、次いで膜分離高負荷脱窒素処理方式(膜分 離)、高負荷脱窒素処理方式(高負荷)、夾雑物除去除去・下水道放流方式(夾雑物除去下水)、好気性 図 1 施設経過年数 0 50 100 150 200 0~10 ~20 ~30 ~40 40~ 施 設数 経過年数(年)

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消化・活性汚泥法処理方式(好気消化)、 固液分離・下水道放流方式(固液分離下水)、 嫌気性消化・活性汚泥法処理方式(嫌気消 化)、浄化槽汚泥専用処理方式(浄化槽対 応)の順となっている。生物学的脱窒素処 理方式(標脱、高負荷、膜分離、浄化槽対 応)は、全回答の約7 割と前回調査時(平 成22 年度)よりも 1 割程減少しているも のの、依然として主流の方式と考えられる。 嫌気消化及び好気消化については、普及年 代を考えると、今後も、施設の廃止・改造 等が予想される。夾雑物除去下水及び固液 分離下水は、合計割合が前回調査時から 8 ポイント増加し、浄化槽対応も前回調査時から 3 ポイン ト増加している。搬入量減少と浄化槽汚泥混入率増加等、全国的な搬入状況の変化から判断すると、 今後も、下水道を利用した集約処理や浄化槽対応の割合増加が見込まれる。 3.3 維持管理形態 (1)管理体制 施設の管理形態は、552 施設の回答で、直営が全回答の 36.2%を占めており、次いで委託が 34.4%、 一部委託が19.9%、長期包括管理委託が 8.0%、PFIが 0.5%の順となっている。直営の割合は 4 割 以下で、民間活用の割合が6 割を超えている。前回調査時と比べると、直営の割合が減少(47%→36%)、 委託の割合が増加(31%→34%)、一部委託の割合が増加(17%→20%)、長期包括管理委託の割合が 増加(5%→8%)、PFIの割合が増加(0%→0.5)している。今回の調査では、一部委託を含むと全 体の2/3 が委託管理を導入しており、民間活用の割合が大幅に増加していることが窺われる。民活形態 も長期包括管理やPFIの導入などバリエーションが多い結果となっている。 なお、環境省が公表している「一般廃棄物実態調査結果のし尿処理施設整備状況」を基にまとめた管 理形態は図3のとおりであり、委託管理の比率は本アンケート調査と近似するものとなっている。 3.4 維持管理費 (1)電力費 電力費(電力費円/搬入量㎥)は、有効回答が 496 施設で、処理方式別にみると、標脱が 1,100±480 (平均値±標準偏差、以下同様)円/㎥、高負荷が 1,100±460 円/㎥、膜分離が 1,200±460 円/㎥、浄化槽 対応が 1,000±360 円/㎥、嫌気消化が 760±240 円/㎥、好気消化が 990±470 円/㎥、夾雑物除去下水が 690±350 円/㎥、固液分離下水が 690±270 円/㎥となっている。夾雑物除去下水及び固液分離下水は電力 消費が激しい生物処理工程の前段に薬品添加と前処理を行うことから、生物学的脱窒素処理方式と比べ て電力費量が削減されている。前回調査時と比べると全般的に高めの平均値であり、東日本大震災以降 の原子力発電所停止に伴う火力発電用燃料費の増加、固定価格買取制度による再生可能エネルギー発電 促進賦課金の影響などにより、電気料金が上昇したことが原因と判断される。 図2 調査施設の処理方式比率(%) 標脱 28% 高負荷 18% 膜分離 20% 浄化槽対応 5% 嫌気消化 5% 好気消化 7% 浄化槽専用 1% 夾雑物除去 下水 7% 固液分離下 水 6% その他 3%

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(2)薬品費 薬品費(薬品費円/搬入量㎥)は、有効回答が 515 施設で、処理方式別にみると、標脱が 490±350 円/ ㎥、高負荷が670±430 円/㎥、膜分離が 850±460 円/㎥、浄化槽対応が 950±420 円/㎥、嫌気消化が 400±290 円/㎥、好気消化が 360±250 円/㎥、夾雑物除去下水が 390±390 円/㎥、固液分離下水が 370±220 円/㎥で ある。生物学的脱窒素処理方式では、平均値が標脱<高負荷<膜分離<浄化槽対応の順で高くなってい る。高負荷、膜分離、浄化槽対応では脱窒素促進用メタノールや槽内発泡抑制用消泡剤を使用する。膜 分離、浄化槽対応では膜洗浄用薬品を使用する。加えて、浄化槽対応では生物処理前の前凝集分離で凝 集剤等の使用量が相対的に多くなることなどが、各方式による違いの要因と考えられる。また、嫌気消 化、好気消化、夾雑物除去下水及び固液分離下水が安い理由は、凝集分離等高度処理設備や薬液洗浄塔 等脱臭設備の整備率が低いことがあげられる。前回調査時と比較すると、処理方式によって、若干の上 下があるものの、ほぼ同様な集計解析結果となっている。 (3)補修費 補修費(補修費円/搬入量㎥)については、有効回答が 495 施設で、処理方式・施設経過年数別で区 分した集計結果を表 1 に示す。生物学的脱窒素処理方式(標脱、高負荷、膜分離、浄化槽対応)では、 施設の経過とともに補修費が高くなる傾向がみられ、10 年以上を経過すると補修費が高騰すると考えら れる。嫌気消化と好気消化は、その普及年代から施設稼動年数が 10 年以上と判断されるが、生物学的 脱窒素処理方式よりも低めの平均値が得られている。この理由としては、生物学的脱窒素処理方式と比 較して、高度処理設備や汚泥乾燥焼却設備の整備率が低いことがあげられる。また、夾雑物除去下水と 固液分離下水の平均値が低い理由は、生物脱窒素処理方式と比較して、生物処理や高度処理がなく、汚 泥処理、脱臭等の設備量も少ないことが要因と考えられる。 4. まとめ 全国のし尿処理施設・汚泥再生処理センターの全体的な老朽化により、今後施設の更新需要の増加が 予想される。処理方式の割合から、生物学的脱窒素処理方式が主流と考えられるが、下水道を利用した 集約処理や浄化槽対応の割合増加が見込まれる。施設の管理形態は、自治体が直営で維持管理を行う割 合が減少し、民間企業による委託管理割合の増加が顕著となった。委託形態についても長期包括管理や PFI 等の多様化が進んでいる。施設の維持管理費を電力費、薬品費及び補修費を各処理方式別に集計し た結果、一定のn 数が確保されており、集計結果及び既往調査との比較を行った結果、運転管理の目安 として利用可能と判断された。 表 1 補修費 項目 施設数 平均値 最大値 最小値 標準偏差 10年未満 7 1100 2100 520 640 10年以上 148 1500 7200 120 1200 10年未満 1 620 620 620 - 10年以上 95 2000 9000 120 1600 10年未満 11 1200 3600 150 1000 10年以上 99 2200 7900 120 1700 10年未満 11 1400 6600 120 1800 10年以上 12 1800 7000 450 1800 嫌気消化 25 770 1900 150 460 好気消化 38 1200 5700 140 1100 夾雑物除去下水 25 1400 7900 160 1900 固液分離下水 23 940 3700 150 1100 高負荷 膜分離 浄化槽 対応 標脱 単位:円/㎥

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分別 保管 収集 運搬 再生 処分 排出事業者

支援費等収入減 作業収益減 修繕・復旧費 備蓄品補充・追加整備費 合計(税抜) 4,270千円 10,300千円 7,061千円