平成14年 度文部科学省委託研究
大 学 の 秋 季 入 学に 関 す る 調 査研 究
研 究 成 果 報 告 書
国立教 育政策研究所
071209673 進学制度研究会 平成15年3月
平 成14年 度 研 究概 要
1.課 題:「 大 学 の 秋 季 入 学 に 関 す る 調 査 研 究 」 研 究 の 種 別:文 部 科 学 省 委 託 研 究
研 究 期 間:平 成14年 度
研 究 代 表 者:川 島 啓 二(高 等 教 育 研 究 部 総 括 研 究 官)
2.研 究 の目 的
本 調 査 研 究 の ね ら い は 、 平 成12年 の 教 育 改 革 国 民 会 議 に お け る 提 言(大 学 の9月 入 学 の 積 極 的 推 進)を 受 け た 平 成13年1月 の21世 紀 教 育 新 生 プ ラ ン に お け る 、 大 学 の9月 入 学 推 進 の た め に 社 会 的 合 意 形 成 に 向 け て の 環 境 の 醸 成 を 図 る と い う 政 策 課 題 に 対 し て 、 可 能 な 限 り 客 観 的 で 過 不 足 の な い デ ー タ と 知 見 を 提 供 し て 秋 季 入 学 導 入 に あ たっ て の 問 題 点 や 課 題 を 洗 い 出 し 、総 括 的 な 検 討 を 行 う こ と に あ る 。そ の た め に 、 平 成13年7月 に 内 閣 府 に お い て 実 施 さ れ た 秋 季 入 学 に つ い て の 世 論 調 査 の 結 果 を 踏 ま え て 、 大 学 ・企 業 関 係 者 や 高 校 関 係 者 に 対 す る 質 問 紙 調 査 や 意 見 聴 取 等 を 通 じ て 広 く 意 識 を 探 り 、 さ ら に 、 諸 外 国 に お け る 入 学 時 期 と 進 学 制 度 、 国 内 に お け る 秋 季 入 学 の 事 例 、 秋 季 入 学 を め ぐ る 諸 団 体 の 立 場 等 に 関 す る 知 見 を 広 範 に 集 約 ・整 理 す る こ と を 課 題 と す る 。
3. 研 究 の 経 過
① 質 問 紙 調 査
調 査 対 象:① 全4年 制 大 学(医 歯 獣 医 系 の 単 科 大 学 を 含 む)の 学 長
但 し 、 統 合 が 確 定 し て い る2大 学 を 除 く677大 学 に 調 査 票 を 送 付
② 一 部 上 場 企 業500社 の 代 表 取 締 役(層 化 別 無 作 為 抽 出)
③ 高 校 長500人(関 東 、 近 畿 の 全 日 制 普 通 科 か ら 層 化 別 無 作 為 抽 出) 調 査 実 施 時 期:平 成14年11月20日(大 学 ・企 業 向 け)
平 成15年1月14日(高 校 向 け)
回 答 数 と 回 収 率(平 成15年2月 末 日 現 在) 回 答 数:609大 学(90.0%)
回 答 数:103企 業(20.6%) 回 答 数:234高 校(46.8%)
今 回 、 「大 学 の 秋 季 入 学 に 関 す る 調 査 研 究 」(平 成14年 度 文 部 科 学 省 委 託 研 究)の 一 環 と し て 行 わ れ た 質 問 紙 調 査 は 、 平 成13年 に 内 閣 府 に よっ て 行 わ れ た 世 論 調 査(一 般 国 民 対 象:5000人 抽 出)と 同 一 内 容 の 「今 後 の 大 学 教 育 の 在 り 方 に 関 す る 調 査 」
(ア ン ケ ー トA)及 び 進 学 制 度 研 究 会 が 独 自 に 設 計 し た 「大 学 の 秋 季 入 学 に 関 す る ア ン ケ ー ト調 査 」(ア ン ケ ー トB)と い う 二 つ の 調 査 票 か ら 構 成 さ れ て い る 。 内 閣 府 に よ
る 調 査 と 同 一 内 容 の 調 査 を 敢 え て 行 つ た の は 、 一 般 国 民 の 意 識 と 大 学 ・企 業 ・高 校 等 の 関 係 者 の 意 識 と の 相 違 を 探 る た め で あ り 、 ま た 、 秋 季 入 学 に 特 化 し た 「大 学 の 秋 季 入 学 に 関 す る ア ン ケ ー ト調 査 」(ア ン ケ ー トB)を 、 大 学 ・企 業 ・高 校 と い う 三 者 に 配 布 し た の も 、 秋 季 入 学 に 関 わ る 三 者 の 意 識 の 相 違 を 明 ら か に す る た め で あ る 。
② 主 要 国 に お け る 大 学 進 学 制 度 の 概 要
主 要 国 の 現 行 制 度(高 校 卒 業 時 期 と 大 学 入 学 時 期 、 大 学 入 試 制 度 の 内 容 と ス ケ ジ ュ ー ル 、 夏 休 み の 位 置 づ け な ど)の 基 本 的 事 項 の 調 査 を 行 い 、 国 際 的 な 観 点 か
ら の 知 見 が 調 査 研 究 に 盛 ら れ る よ う 、 配 慮 し た 。
③ 大 学 や 関 係 団 体(の 構 成 員)等 へ の 聞 き 取 り 調 査
質 問 紙 調 査 を 補 う た め に 、 主 と し て 留 学 生 や 海 外 帰 国 子 女 向 け の 秋 季 入 学 制 度 を 導 入 し て お り 、 か つ 数 的 実 績 を 持 つ て い る 国 内 の 大 学 を 訪 問 調 査 し 、 現 行 制 度 の 実 態 、 カ リ キ ュ ラ ム 上 の 工 夫 、 今 後 の 課 題 、 秋 季 入 学 全 面 導 入 へ の 意 見 な ど を 聴 取 し た 。 ま た 、 私 学 団 体 や 帰 国 子 女 団 体(の 構 成 員)等 を も 訪 問 調 査 し 、 秋 期 入 学 導 入 へ の 意 見 、 制 度 導 入 時 の 諸 課 題 な ど に つ い て 聞 き 取 り 調 査 を 実 施 し た 。
4.研 究 成 果 の 概 要(質 問 紙 調 査 を 中 心 に)
秋 季 入 学 制 度 や 「教 育 の 国 際 化 」 に つ い て は 、 一 般 国 民 よ り も 、 大 学 長 、 企 業 経 営 者 、 高 校 長 の 関 心 の 方 が 概 し て 高 い 。(企 業 経 営 者 は 時 と し て ク ー ル な 反 応 を し め す こ と が あ る 。)特 に 、 大 学 長 の 関 心 は 相 対 的 に 最 も 高 い 。 ま た 、 こ の3者 は 、 仮 に 秋 季 入 学 制 度 を 導 入 す る と し て も 、 何 と か 可 能 だ と 考 え て い る 。 た だ 、 実 際 の 制 度 導 入 へ の 賛 否 に な る と 、 学 校 全 体 へ の 秋 季 入 学 導 入 、 大 学 へ の 秋 季 入 学 導 入 と も に 、 大 学 長 と 高 校 長 が 積 極 派 が 優 勢 な の に 対 し 、 一 般 国 民 と 企 業 経 営 者 で は 消 極 派 が 優 勢 と な る 。 そ の 理 由 と し て 、 秋 季 入 学 積 極 派 は 「教 育 の 国 際 化 」 を あ げ 、 秋 季 入 学 消 極 派 は メ リ ッ ト が 少 な い と い う 実 利 面 を あ げ る 傾 向 が 強 い 。
秋 季 入 学 制 度 の 下 で の 望 ま し い 入 試 方 法 を め ぐ つ て の 、 大 学 長 と 高 校 長 と の 意 識 の 対 照 は 特 筆 さ れ る べ き で あ る 。 学 力 を 重 視 す る 高 校 長 と 、 学 力 重 視 派 と 「学 力 以 外 の 能 力 」 を 重 視 す る も の と が 拮 抗 し て い る 大 学 長 と の 相 違 は 、 初 等 中 等 教 育 と 高 等 教 育 と の 接 続 、 あ る い は 高 大 連 携 と い つ た 注目 さ れ る ト ピ ッ ク と 相俟っ て 、 今 後 重 要 な 論 点 と し て 検 討 さ れ な け れ ば な ら な い か も し れ な い 。
社 会 体 験 ・奉 仕 活 動 に つ い て は 、 「義 務 づ け 」 と 「推 奨 」 と の 意 味 の 違 い を ど れ だ け 重 視 す る か に よ つ て 見 解 が 分 か れ る だ ろ う が 、 そ れ を 取 り 入 れ て い く こ と に 肯 定 的 な 層 が 、 大 学 長 、 企 業 経 営 者 、 高 校 長 を 通 し て 、7割 前 後 に も 上 る こ と に 留 意 す べ き で あ ろ う 。 そ の 有 効 性 に つ い て も 、 こ れ ま た 、 大 学 長 、 企 業 経 営 者 、 高 校 長 を 通 し て 、 7割 か ら8割 に 上 る 。 社 会 体 験 ・奉 仕 活 動 と い つ た 、 そ の 効 果 が 立 証 さ れ て い な い 方 策 に つ い て 、 か く も 期 待 が 高 い の は 、 そ れ だ け 現 代 の 学 生 の 状 況 に つ い て 危 機 意 識 が
強 い と 素 直 に 読 み と る べ き と 考 え ら れる。
は し が き
研究代表者 川島啓二 (国立教育政策研究所 総括研究官)
本 報告書 は 、文部科学省に よ る 「教 育改革 の 推 進 の た め の 総合 調 査 研 究 」 の 一 環 と し て 、 平 成14年 度 に わ れ わ れ 進 学 制 度 研 究 会(代 表: 川 島 啓 二)に 委 託 さ れ た 、 文 部 科 学 省 委 託 研 究 「大 学 の 秋 季 入 学 に 関 す る調 査 研 究 」 の 調 査 研 究 報 告 書 で あ る 。
「教 育 の 国 際 化 」 が 叫 ば れ 始 め て か ら 久 しい 。 日本 の 場 合 、 「教 育 の 国 際 化 」が 語 られ る 時 、 学 校 の 入 学 時 期 の 問 題 が 常 に そ の 話 題 の 一 角 を 占 め 続 け て き た 。 曰 く、 「欧 米 は 秋 の 入 学 が 普 通 で あ る か ら、 国 際 化 に 対 応 す る た め に は 日本 も秋 季 入 学 に移 行 す べ き で あ る 、 あ るい は 、否 、そ の 必 要 は な い 」と。こ の論 議 は 、政 策 提 起 上 の 決 定 的 な 誘 因 を 持 た な い ま ま、
時 を 費 や して い た が 、 昭 和59年(1984年)に 発 足 した 臨 時 教 育 審 議 会 で 、 本 格 的 な 議 論 の俎 上 に 上 る こ と と な っ た 。
臨 教 審 にお け る 秋 季 入 学 論議 は 、 「秋 季 入 学 に 関 す る研 究 」 と い う大 部 の 報 告 書 に ま とめ られ て い る 。 そ こ で は 、 移 行 期 に お け る 膨 大 な 移 行 経 費 上 の 問 題 に 配 慮 して 、 本 格 的 な 移 行 に は 慎 重 さ を 求 め る こ と とな っ た 。
秋 季 入 学 問 題 に 再 び 焦 点 を 当 て た の が 、 平 成12年(2000年)に 内 閣 総 理 大 臣 の 諮 問 機 関 と して 発 足 した 教 育 改 革 国 民 会 議 で あ る 。 青 少 年 に よ る相 次 ぐ浮 浪 者 襲 撃 事 件 や 、 折 り
しも 、 そ の 数 年 前 に起 こ っ た オ ウ ム 事 件 の 衝 撃 が 、 青 少 年 の 道 徳 心 に つ い て の 危 機 感 を 高 め る こ と とな り、 奉 仕 活 動 や 社 会 体 験 に よ っ て 、 青 少 年 の 社 会 化 ・成 熟 化 を 促 す た め の 方 策 が 求 め られ る よ う に な っ た 。 そ して 、 そ の 「提 言 」 に 「国 際 化 を促 進 し、 高 校 卒 業 後 の 学 生 に社 会 体 験 な ど の 時 間 を 与 え る 観 点 か ら、 大 学 の9月 入 学 を 多 くの 大 学 が 実 施 す る よ う積 極 的 に推 進 す る」 こ と、 「奉 仕 活 動 を全 員(満18歳 後 の 青 年)が 行 う よ う に す る 」 こ とが 盛 り込 ま れ る こ と とな っ た の で あ る 。
そ の 提 言 を 受 け て 、 文 部 科 学 省 が2001年1月25日 に作 成 した の が21世 紀 教 育 新 生 プ ラ ン 、通 称 レイ ンボ ー プ ラ ン(7つ の 重 点 戦 略)で あ る 。そ こ に お い て も 、「18歳 後 の 奉 仕 ・ 体 験 活 動 促 進 の た め の 仕 組 み の 検 討 等 」が 中 心 的 な 項 目 と して あ げ られ る こ と とな っ た 。
こ の よ う に、 秋 季 入 学 導 入 の モ チ ベ ー シ ョ ン は 、 当 初 の 「国 際 化 」に加 え て 、 青 年 の 奉 仕 活 動 ・社 会 体 験 へ の 参 加 を 促 進 さ せ る とい う構 想 が 加 わ って 錯 綜 した も の と な っ て い る。 さ ら に 春 秋 ど ち ら に せ よ全 国 統 一 的 な 制 度 を 構 想 す る の か 、 そ れ と も 春 秋 併 用 制 を促 進 す る の か とい った 議 論 の 前 提 で さ え 多 様 で あ りう る 。
本 調 査 研 究 は 、 そ の よ うな 複 雑 で 容 易 に は 整 理 し き れ な い問題 に つ い て 、 現 状 と 関 係 者 の 意 識 を 中心 に 、可能 な 限 り広 範 か つ 客 観 的 な 知 見 を 収 集 ・整 理 し よ う と した 試 み で あ る。
も と よ り、 調 査 研 究 対 象 が 複 雑 か つ 重 要 な 問 題 で あ り、 本 調 査 研 究 は そ の隘 路 を 開 くた め の さ さや か な 貢 献 に す ぎ な い で あ ろ う。
関 係 各 位 の 御 叱 正 を 希 う と と も に 、 本 調 査 研 究 が 各 大 学 の 取 り組 み に 多 少 な り と も ご参 照 い た だ け る こ と を願 う の み で あ る 。
平 成15年3月
目 次
は しが き 目 次
頁iⅱ
Ⅰ.秋季入学をめ ぐる近年の政策動向と本調査研究の意義(川 島啓二) 1
Ⅱ.秋季入学の歴史 と政策の展開(金 子勉) 7
Ⅲ.秋季入学導入をめ ぐる諸問題: 質問紙調査か ら
1大 学向け調査の結果 とその意味(沖 清豪 ・大佐古紀雄)
2企 業経営者の意識に見 られる秋季入学制度導入の課題(佐 野享子) 3高 等学校長へのア ンケー ト調査結果 とその意味(滝 紀子)
4秋 季入学導入をめ ぐる関係者の意識
−大学 ・企業 ・高校を比較 して−(川 島啓二)
1135
36
89
Ⅳ.諸外国の進学制度 と大学入学の時期
1カ リフォルニア州 における学生人口急増 と大学の入学時期 に関する考察 (羽田積 男) 2イ ギ リスにおける大学入学試験制 度(秦 由美子)
3ド イツにお ける秋季入学(坂 野慎二)
4フ ランスにおける大学入学及び修 了時期の学生の状況
(夏目達也 ・服部憲児) 5中 国における高等教育機関への入学 と卒業 ・就職のプロセス(南 部広孝)
105 125 143
157169
V. 国内の大学 における秋季入学の事例
1慶應 義塾大学湘南藤沢 キャンパス における秋季入学(梶 間みど り) 2東 洋大学(工 学部)秋 季入学に関 して(滝 紀子)
177 187
ⅱ
Ⅵ.秋季入学導入 をめ ぐる諸団体 の立場 1教 育の国際化 と秋季入学
−海外 ・帰国子女教育の視座−(井 口千鶴) 2日 本私立大学協会への訪問調査(塚 原修一) 3日 本私立短期大学協会への訪問調査(塚 原修一) 4長 期ボランテ ィア活動の意義 と問題
−青年期教育の一選択肢 として−(井 口千鶴)
195 201 205
209
Ⅶ.秋季入学導入 と大学入試
1秋 期入学制度 と大学入学者選抜(山 村滋) 2受 験市場 と秋季入学(滝 紀子)
219 227
Ⅷ.本調査研究の成果 と今後 の展望(川 島啓二) 237
資料:調査票
iii
Ⅰ.秋 季 入 学 を め ぐる近 年 の 政 策 動 向 と本 調 査 研 究 の 意 義
川島 啓二(国 立教育政策研究所)
1.本 調査研究の趣 旨
平成12年12月 の教育改革国民会議報告 にお いて、国際化を促進 し、高校卒業後の学 生に社会体験な どの時間を与える観点か ら、大学の9月 入学の積極的推進が提言され、こ れを受け、平成13年1月 の21世 紀教育新生プラン(文 部科学省)に おいては、大学9 月入学推進のために社会的合意形成 に向けての環境の醸成 を図ることが盛 られることとな
った。
さらに、平成13年7月 には内閣府 において秋季入学について世論調査 が行われたが、
そこでは、大学への秋季入学制度導入については賛否がほぼ拮抗する結果 とな り、秋季入 学制度 を受け入れ る環境が整 えられているとは言い切れない結果 となった。進学時期の問 題は、「桜の季節に入学式 を迎 えるのが日本人に合 っている」とい うような言説がさ したる 疑問 もな く語 られ るほ ど(実際に桜の季節 に入学式を迎え られ る地域はさほ ど広 くはない)、
国民意識に近い次元の問題 でもあるだけに、制度変革の際 には、利害得失の問題だけでは な く、国民的な共通感覚や共通意識が じっ くりと醸成 されることが好 ま しい条件 といえる。
それゆえ、内閣府調査以降は、大学 ・企業等関係者、あるいは高校 などの直接的な関係者 について も意見聴取等 を通 じて広 く意識を探 るこ とな ど して、更なる知見の集約が必要 と される と考えられ る。
教育改革国民会議の提言が広 く国民的論議 を呼び起 こ し、大学の秋季入学問題が一つの 政策的なイシュー にな りつつあ ることか ら、本調査研究においては、大学の秋季入学 につ いて、各大学及び企業、あるいは高校等の関係者 に対 し、多様 な観点 か らの質問紙調査や 意見聴取 を行 うとともに、 その結果及び前記世論調査の結果 を踏 まえ、秋季入学導入に当 たっての留意点 ・問題点等 を洗い出す ことを目的 とす ることとした。その ことによって、
秋季入学導入問題の今後の展望を探 ろうとするものであ る。
2.本 調 査 研 究 を め ぐる政 策 動 向 の 推 移
「教 育 の 国 際 化 」 が 叫 ば れ 始 め て か ら 久 しい 。 日本 の 場 合 、「教育 の 国際 化 」が語 られ る 時 、学 校 の 入 学 時 期 の 問 題 が 常 に そ の 話 題 の 一 角 を 占 め 続 け て き た 。曰く 、「欧 米 は 秋 の 入 学 が 普 通 で あ る か ら、 国 際 化 に 対 応 す る た め に は 日本 も秋 季 入 学 に移 行 す べ き で あ る 、 あ る い は 、否 、そ の 必 要 は な い 」と。 海 外 か らの 帰 国 子 女 が 増 加 す る に っ れ 、 学 校 の 入 学 時 期 の 問 題 は 大 き な 関 心 事 と な っ て は い っ た が 、 結 局 の と こ ろ 、 この 論 議 は 、 政 策 提 起 上 の 決 定 的 な 誘 因 を持 た な い ま ま、 時 を 費 や して い っ た 。 一 つ の 転 機 とな っ た の が 、 昭 和59年
1
(1984年)に 発 足 した 臨 時 教 育審 議 会 で あ る。そ こで 、 この 問 題 は 初 め て 本 格 的 な 議 論 の 俎上に 上 る こ と とな っ た。
しか し、臨 時 教 育 審 議 会 に お け る 秋 季 入 学 論 議 は 、 「秋 季 入 学 に 関 す る研 究 」 とい う大 部 の 報告 書 に ま と め られ る こ と とは な っ た も の の 、 そ こ で は 、 移 行 期 に お け る 膨 大 な 移 行 経 費 上 の 問 題 に 配 慮 して 、 本 格 的 な 移 行 に は 慎 重 さ を求 め る こ と とな っ た の で あ る 。
決 着 が つ け られ た か に 見 え た 秋 季 入 学 問 題 に 再 び 世 間 の 耳 目を 集 め た の が 、 平 成12年 (2000年)に 発 足 した 教 育 改 革 国 民 会 議 で あ る。 青 少 年 に よ る相 次 ぐ浮 浪 者 襲 撃 事 件 や 、 さ ら に、 そ の 数 年 前 に 起 こ っ た オ ウ ム事 件 の衝 撃 が、 青 少 年 の 道 徳 心 に つ い て の 危 機 感 を 高 め る こ と とな り、 奉 仕 活 動 や 社 会 体 験 に よ って 、 青 少 年 の 社 会 化 ・成 熟 化 を 促 す た め の 方 策 が 求 め られ る よ う に な っ た 。 そ して 、 江 崎 玲 於 奈 博 士 を 座 長 とす る教 育 改 革 国 民 会 議 が 内 閣 総 理 大 臣 の 諮 問 機 関 と して 発 足 し、 そ の 「提 言 」 に 「国 際 化 を促 進 し、 高 校 卒 業 後 の 学 生 に 社 会 体 験 な どの 時 間 を与 え る観 点 か ら、 大 学 の9月 入 学 を 多 くの 大 学 が 実 施 す る よ う積 極 的 に推 進 す る 」 こ と、 そ して 「奉 仕 活 動 を全 員(満18歳 後 の青 年)が 行 う よ う に す る 」 こ と、 具 体 的 に は 「将 来 的 には 満18歳 後 の 青 年 が 一 定 期 間 、 環 境 の 保 全 や 農 作 業 、 高 齢 者 介 護 な ど様 々 な 分 野 に お い て 奉 仕 活 動 を行 う こ と を検 討 す る 。 学 校 、 大 学 、 企 業 、地 域 団 体 な どが 協 力 して そ の 実 現 の た め に 、速 や か に社 会的な仕組みをつく る 」(下 線 は 引 用 者 に よ る)と い う文 言 が 盛 り込 まれ る こ と とな っ た 。 こ こ に お い て 、 大 学 の 秋 季 入 学 問 題 は 、 従 来 の 「教 育 の 国 際 化 」 とい う枠 組 み を越 え て 、 社 会 体 験 ・奉 仕 活 動 の 推 進 と い う 問 題 軸 の 中 に 引 き込 まれ る こ と とな っ た 。 提 言 は 「大 学 に ふ さ わ しい 学 習 を促 す シ ス テ ム を 導 入 す る 」 と い う項 目 の 中 で 「社 会 奉 仕 活 動 へ の 積 極 的 な 参 加 を促 す よ うな 学 習 シ ス テ ム を 導 入 す る 」 と も明 確 に 述 べ て お り、 大 学 に お け る 学 習 シ ス テ ム を 改 変 して で も 、 社 会 奉 仕 活 動 へ の 参 加 が 図 られ るべ きで あ る とい う立 場 を とっ て い る こ とに 注目 す べ き で あ ろ う 。
教 育 改 革 国 民 会 議 の 提 言 は 、 間 を 置 か ず に政 策 的 ア ジ ェ ン ダ と して項 目化 され た と こ ろ に そ の 特 徴 が あ る。提 言 を 受 け て 、文 部 科 学 省 が2001年1月25日 に作 成 した の が21世 紀 教 育 新 生 プ ラ ン、 通 称 レ イ ンボ ー プ ラ ン(7つ の 重 点 戦 略)で あ る 。 そ こ にお い て も、
「18歳後 の 奉 仕 ・体 験 活 動 促 進 の た め の 仕 組 み の検 討 等 」が 中 心 的 な 項目 と して あ げ られ る こ と とな っ た 。
折 し も、 ボ ラ ンテ ィ ア 活 動 へ の 注 目やNPO活 動 の 進 展 な ど、 個 人 や 団 体 の 非 営 利 的 で 自発 的 な 活 動 の 意 義 に対 す る 社 会 的 な 認 知 が 獲 得 さ れ つ つ あ った 時 期 で もあ っ た の で 、 教 育 改 革 国 民 会 議 の 報 告 は 様 々 な 議 論 を 呼 び 起 こ す こ と とな っ た 。 特 に 、 「奉 仕 活 動 を 全 員 (満18歳 後 の 青 年)が 行 う よ う に す る 」 とい う奉 仕 活 動 の 「義 務 化 」 と も とれ る 提 案 に つ い て は、 「ボ ラ ンテ ィア は 強 制 され るべ き もの で は な い 」とい う批 判 を 惹起 す る こ と と も な っ た 。
社 会 体 験 ・奉 仕 活 動 の 意 義 や 期 待 さ れ る 効 果 と、 そ の 導 入 の た め の 社 会 的 仕 組 み と の 関
2
係 は 、 奉 仕 活 動 の 本 来 的 な 意 義 と深 くつ な が る 問 題 で あ る だ け に、 慎 重 に 議 論 され な け れ ば な らな い 問 題 で あ る 。 ま た 、 そ の た め に は 、 関 係 者 が どの よ う に 問 題 を 認 知 しど の よ う な 意 識 を も って い る か を 、 可 能 な 限 り客 観 的 か つ 広 範 に 把 握 す る こ とが 必 要 に な っ て く る で あ ろ う。 本 調 査 研 究 の 質 問 紙 調 査 の 設 計 も 、 か か る点 に 留 意 しな が ら行 わ れ た 。
3.本 調査研究 の目的 と方法
本調査 研 究 のね らいは 、先 に も述 べ た よ うに、 平成12年 の教 育改 革 国民会 議 に お け る提言(大 学 の9月 入 学 の積極 的推 進)、 そ れ を受 けた 平成13年1月 の21 世紀 教 育新 生 プ ラ ンにお け る、大 学 の9月 入学 推進 のた め に社 会 的合 意 形成 に向 け て の環境 の醸成 を図 る とい う政 策 課題 に対 して、 可能 な 限 り客観 的 で過 不足 のな い デ ー タ と知 見 を提供 して秋 季 入学 導 入 にあ た って の 問題点 や課 題 を洗 い 出 し、総括 的 な検 討 を行 う こ とにあ る。 そ のた め に、 平成13年7月 には 内閣府 にお いて実施 され た秋 季 入学 につい て世 論調 査 の結 果 を踏 まえ て、 大学 ・企 業 関係 者 や高 校関係 者 に対 す る質問 紙調 査 や意 見聴 取 等 を通 じて広 く意識 を探 るこ とな ど広 範 な知見 の 集約 を行 うこ とを課 題 とす る。
4.本 調査研究の概要
(1)質 問 紙調 査
調 査 対 象:① 全4年 制 大 学(医 歯 獣 医 系 の 単 科 大 学 を含 む)の 学 長
但 し、 統 合 が 確 定 して い る2大 学 を 除 く677大 学 に 調 査 票 を 送 付
② 一 部 上 場 企 業500社 の 代 表 取 締 役(層 化 別 無 作 為 抽 出)
③ 高 校 長500人(関 東 、 近 畿 の 全 日制 普 通 科 か ら層 化 別 無 作 為 抽 出) 調 査 実 施 時 期:平 成14年11月20日(大 学 ・企 業 向 け)
平 成15年1月14日(高 校 向 け) 回 答 数 と回 収 率(平 成15年2月 末 日現 在)
回 答 数:609大 学(90.0%) 回 答 数:103企 業(20.6%) 回 答 数:234高 校(46.8%)
今回、我々進学制度研究会が、「大学の秋季入学に関する調査研究」(平成14年 度文部 科学省委託研究)の 一環 と して行った質問紙調査は、平成13年 に内閣府 によって行われ た世論 調査(一 般 国民 対象:5000人 抽 出)と 同一 内容 の 「今後 の 大 学教 育 の在 り方 に 関する調査」(ア ンケー トA)及 び我々が独 自に設計 した 「大学の秋季入学に関するア ンケ ー ト調査」(ア ンケー トB)と いう二つの調査票か ら構成されている
。内閣府 による調査 と 同一内容の調査 を敢 えて行 ったのは、一般国民の意識 と大学 ・企業 ・高校等の関係者の意
3
識 との 相 違 を探 る た め で あ り、 ま た 、 秋 季 入 学 に 特 化 した 「大 学 の 秋 季 入 学 に 関 す る ア ン ケ ー ト調 査 」(ア ンケ ー トB)を 、大 学 ・企 業 ・高 校 と い う三 者 に 配 布 した の も、秋 季 入 学 に 関 わ る 三 者 の 意 識 の 相 違 を明 らか に す る た め で あ る。た だ し、 「大 学 の秋 季 入 学 に 関 す る ア ン ケ ー ト調 査 」(ア ン ケ ー トB)は 、調 査 対 象 に よ っ て 一 部 変 更 して い る。 例 え ば 、企 業 経 営 者 に 対 して 、 秋 季 入 学 導 入 が 大 学 の 教 育 課 程 へ ど の よ う な影 響 を 及 ぼ す か 、 等 につ い て 尋 ね て も さ した る 意 味 は 認 め られ な い か ら で あ る。 詳 細 に つ い て は 巻 末 の 調 査 票 を 参 照 さ れ た い 。
(2)大 学 や関 係 団体(の 構 成 員)等 へ の 聞 き取 り調 査
質 問 紙 調 査 を 補 う た め に 、主 と して 留 学 生 や 海 外 帰 国 子 女 向 け の 秋 季 入 学 制 度 を 導 入 し て お り、かつ 数 的 実 績 を 持 っ て い る 国 内 の 大 学 を 訪 問 調 査 し、現 行 制 度 の 実 態 、 カ リ キ ュ ラ ム 上 の 工 夫 、今 後 の 課 題 、秋 季 入 学 全 面 導 入 へ の 意 見 な ど を 聴 取 し た 。 ま た 、 私 学 団 体 や 帰 国 子 女 団 体(の 構 成 員)等 を も 訪 問 調 査 し、 秋 期 入 学 導 入 へ の 意 見 、 制 度 導 入 時 の 諸 課 題 な ど に つ い て 聞 き 取 り調 査 を 実 施 し た 。
(3)主 要 国 にお け る大学 進学制度 の概要
主要 国 の現 行制度(高 校卒業 時期 と大 学入学時期、大 学 入試制度 の内容 とスケ ジ ュー ル、夏休 み の位置づ けな ど)の 基 本的事項の調査 を行い 、国際 的な観点 か らの 知 見 が調 査 研究 に盛 られ るよ う、配慮 した。
以 上 の 調 査 研 究 を踏 まえ、秋 季 入 学 導 入 にお け る諸 問題 に つ い て総 括 的 な 検 討 を行 った 。
5.本 調 査 研 究 の 意 義
先 述 した よ う に、 秋 季 入 学 導 入 の モ チ ベ ー シ ョ ンは 、 当 初 の 「国 際 化 」に加 え て 、 青 年 の 社 会 体 験 ・奉 仕 活 動 へ の 参 加 を促 進 させ る とい う構 想 が 加 わ って 錯 綜 した もの とな っ て い る 。 さ ら に 春 秋 ど ち ら にせ よ全 国 統 一 的 な 制 度 を構 想 す る の か 、 そ れ と も 春 秋 併 用 制 を促 進 す る の か と い っ た 議 論 の 前 提 で さ え 多 様 で あ り うる 。 大 学 入 試 セ ン タ ー の セ ンタ ー 試 験 や 各 大 学 の 個 別 入 試 を 、 い っ た い ど の 時 期 に実 施 す る の か とい う点 に つ い て も、 そ れ は 、 設 問 に 対 す る 回 答 者 の 「判 断 」 で あ る と 同 時 に、 他 の 設 問 に対 す る 回 答 の 「前 提 条 件 」 に も な りう る可 能 性 が あ る 。 設 問 に 対 す る 回 答 者 の 判 断 が 、 そ の よ っ て 立 つ 仮 定 に よ っ て 異 な って く る こ と は、 大 い に考 え られ る こ とで あ る 。 さ ら に 言 え ば 、 秋 季 入 学 制 度 導 入 に 対 して、 入 試 の 態 様 の 多 様 化 や 高 校 教 育 の 十 全 な機能 化 と い っ た、 副 次 的 な 効 果 を期 待 す る 向 き も あ ろ う。
こ の こ と は 本 調 査 研 究 の 質 問 紙 調 査 の 特 性 が、 将 来 に つ い て の あ る 一 定 の 想 定 の も と に 回 答 者 の 意 識 や 判 断 を 尋 ね る とい う も の で あ る の で 、 根 本 的 に は 、 や む を え な い 部 分 が 残
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ら ざ る を え な い 。 第 一 段 階 の 仮 定 や 想 定 が 異 な っ て くれ ば 、 そ の 後 の 判 断 や 選 択 に 影 響 が 出 て くる の は 当 然 で あ る か らで あ る 。
本 調 査 研 究 は 、 そ の よ う な 複 雑 で 容 易 に は 整 理 し きれ な い 問 題 に つ い て 、 現 状 と 関 係 者 の 意 識 を 中心 に 、可 能 な 限 り広 範 か つ 客 観 的 な 知 見 を 収 集 整 理 し よ う と した 試 み で あ る 。 も と よ り、 調 査 研 究 対 象 が 複 雑 か つ 重 要 な 問 題 で あ り、 本 調 査 研 究 は ほ ん の 小 さ な 見 通 し を 切 り開 い た だ け に終 わ る の か も しれ な い 。
しか しな が ら、 社 会 が 多 元 化 し複 雑 化 す れ ば す る ほ ど、 政 策 的 オ プ シ ョ ン の 客 観 的 な 提 示 とそ の 論 理 的 整 理 、 そ して そ の 環 境 要 因 と して の 利 害 関 係 者(ス テ ー ク ホ ー ル ダ ー)の 判 断 や 意 識 を 掌 握 す る こ と が い よ い よ重 要 に な っ て くる こ とは 疑 い が な い 。 秋 季 入 学 導 入 の よ う な 大 規 模 な 制 度 変 革 に お い て は 、 関 係 す る 諸 要 因 へ の 充 分 か つ 細 心 の 目配 りが 求 め られ る も の で あ り、 そ の 意 味 で 、 本 調 査 研 究 は 、 秋 季 入 学 導 入 に あ た っ て の 具 体 的 な 問 題 点 や 課 題 を 明 らか に す る こ と に 貢 献 す る で あ ろ う 。 ま た 、 こ の よ う な 条 件 想 定 型 の 調 査 研 究 の 在 り方 に つ い て 、 調 査 票 の 設 計 の 視 点 と 方 法 、 調 査 デ ー タ の 解 釈 な ど、 今 後 の 試 金 石
と も な る こ とが 期 待 さ れ よ う。
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Ⅱ.秋 季 入学 の歴 史 と政 策の展 開
金子 勉(大 阪教育大学)
大 学 の 入 学 時 期 を秋 季 へ 移 行 す る こ と は 、 は じめ 臨 時 教 育 審議 会 に お い て 国 際 化 推 進 等 の 視 点 か ら検 討 さ れ た 。 しか し、 秋 季 入 学 の 意 義 と 必 要 性 が 国 民 一 般 に 受 け 入 れ られ て い な か っ た こ と、 受 け 皿 とな るべ き 生 涯 学 習 の 基 盤 が 確 立 して い な い こ と、 財 政 上 の 負 担 が 予 想 さ れ る こ とな ど か ら、 導 入 が 見 送 ら れ た 。
こ れ とは 別 に 、 大 学 へ の 入 学 機 会 の 複 数 回 化 に 対 応 す る た め に 、 秋 季 入 学 を拡 大 す る た め の 法 的 な 整 備 が 進 め られ て き た 。 しか し、 入 学 時 期 の 全 面 的 な 移 行 と、 入 学 機 会 の 複 数 回 化 は 両 立 しな い 。ま た 、高 校 卒 業 後 に 半 年 の 空 白 が で き る秋 季 入 学 の 導 入 に あ た っ て は 、 大 学 入 学 時 期 を 早 め る 「飛 び 入 学 」 と の 関 係 を 整 理 す る 必 要 が あ る。 い ず れ も 教 育 上 有 意 義 で あ る と判 断 して 導 入 さ れ た の だ か ら 、 こ れ ら と の 整 合 性 を ふ ま え て 、 秋 季 入 学 の 効 果 を 考 慮 す る こ とが 望 ま れ る 。
1.秋 季 入 学 問 題 の 背 景
元 来 、 学 校 の 学 年 始 期 は 多 様 で あ っ た 。 例 え ば 東 京 大 学 の 前 身 の ひ と つ で あ る東 京 開 成 学 校 は9月11日 よ り7月10日 に至 る ま で を 学 歳 と し、 他 方 に お い て 東 京 医 学 校 は11月16日 か ら11月15日 ま で で あ っ た 。1986(明 治19)年 に 帝 国 大 学 を 含 む 諸 学 校 令 が 成 立 して も 、 入 学 時 期 の 多 様 性 は 解 消 して い な い 。高 等 師 範 学 校 が 同(明 治19)年 、小 学 校 が1890(明 治23)年 、 中 学 校 と高 等 女 学 校 が1901(明 治34)年 に4月 を 学 年 の 始 期 と し、 ま た 、1905(明 治38)年 に は 新 設 され る 直 轄 学 校 も 同様 と す る 方 針 で あ っ た け れ ど も、 こ の こ と に よ っ て 春 季 入 学 へ す ん な り と移 行 して は い な い(1)。 東 京 高 商 と東 京 高 工 が 入 学 時 期 を4月 に 変 更 した の は191 5(大 正4)年 の こ と で あ っ た し、 そ の 他 の 歴 史 あ る 専 門 学 校 の 入 学 時 期 も 区 々 あ っ た 。4月 入 学 へ の 統 一 が 完 了 す る の は 、1919(大 正8)年 の 高 等 学 校 規 程 と 、帝 国 大 学 に お け る1921(大 正1の 年 の 通 則 改 正 を ま た ね ば な らな か っ た 。
これ と関 わ る臨 時 教 育 会 議 の 諮 問 第3号 「大 学 教 育 及 専 門 教 育 に 関 す る 件 」 へ の答申 を み る と 「学 年 ノ始 ヲ 四 月 トス ル コ ト」 と 記 さ れ て い る 。 そ の 理 由 は 、 大 学 を卒 業 す る に 至 る まで の 教 育 年 限 を短 縮 し、 か つ 、 高 等 学 校 と大 学 との 連 絡 を密 接 な も の と す る た め と説 明 さ れ て い た。
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2.秋 季 入 学 の 再 検 討
4月 入 学 の 学 校 体 系 が 完 成 して か ら26年 後 の1947(昭 和22)年3月31日 に学 校 教 育 法 が 公 布 さ れ た 。 新 学 制 の 発 足 を う け て 、 教 育 刷 新 審 議 会(1949年6月3日 〜1952年8月24日)に お い て 、 秋 季 入 学 に 関 す る 議 論 が 行 わ れ た。 と こ ろ が 大 学 の 入 学 時 期 を9月 と す る 案 は 有 力 な 支 持 を得 た も の の 、 高 等 学 校 以 下 に つ い て は そ れ を 実 施 す る う え で 多 くの 支 障 が あ る こ と を 確 認 して い る。 過 渡 期 に お け る 教 室 と教 員 の 不 足 を 補 充 す る こ とは 財 政 上 困 難 で あ り、
当 時 の 経 済 状 況 の 下 にお い て 克 服 す ぺ き良 策 を到 底 見 出 し難 い と の 理 由 か らで あ っ た 。 し か し、 こ の 問 題 は 主 に 高 校 以 下 に 関 す る こ とで あ る し、 ま た、 担 当 した 第17特 別 委 員 会 に お け る 議論 は 多 分 に 教 育 的 な い し生 理 的 側 面 に傾 い て お り、 国 際 化 に焦 点 を あ て る 今 日 的 課 題 へ の 示 唆 は 乏 しい 。
む しろ 今 日的 課 題 と直 接 に 関 わ る の は 臨 時 教 育 審 議 会 に お け る 秋 季 入 学 の 検 討 で あ る 。 臨 教 審 に は 教 育 改 革 に 関 す る 四 答 申 が あ り、1987(昭 和62)年4月1日 の 第 三 次 答 申 と 同 年8 月7日 の 第 四 次答申 が 「入 学 時 期 」 を 取 りあ げ て い る 。 そ こ で は 生 涯 学 習 体 系 へ の 移 行 、 国 際 化 の 推 進 、 学 年 暦 の 合 理 化 の 視 点 か ら、 秋 季 入 学 へ の移 行 を 求 め て い る 。 しか し、 当 時 に お い て 、 秋 季 入 学 の 意 義 と必 要 性 が 国 民 一 般 に受 け 入 れ られ て い る と は い え な か っ た こ と、 受 け 皿 と な る べ き 生 涯 学 習 の 基 盤 が 確 立 して い な い こ と、 財 政 上 の 負 担 が 予 想 さ れ る こ と な ど か ら、 「国 民 世 論 の 動 向 に 配 慮 しつ つ 、 将 来 、 我 が 国 の 学 校 教 育 を 秋 季 入 学 制 に 移 行 す べ く、 関 連 す る 諸 条 件 の 整 備 に 努 め る べ きで あ る 」 と結 論 す る に と ど ま っ た 。 ま た 、 大 学 の 秋 季 入 学 を先 行 させ る こ と に つ い て は 、 高 等 学 校 卒 業 時 か ら大 学 入 学 時 ま で に 相 当 の 空 白期 間 が 生 じる こ とや 、 大 学 卒 業 ま で の 期 間 が 制 度 的 に延 長 さ れ る こ と な ど 問 題 が あ る の で 、 慎 重 な 検 討 が 必 要 で あ る と して い る。
と こ ろ で 、 秋 季 入 学 を 推 進 す る と い っ て も、 国 際 化 だ け が 目的 と は 限 らな い 。1997(平 成9)年12月12日 の 行 政 改 革 委 員 会 「最 終 意 見 」 に は 「大 学 入 学 機 会 お よ び 受 験 機 会 の 複 数 回 化 」 と い う項 目 が あ る 。 そ こで は 秋 季 入 学 を柔 軟 に 導 入 す る こ とが で き る よ う に 、 学 年 の 途 中 に お け る 学 生 の 入 学 と卒 業 に 関 す る 要 件 に つ い て 「特 別 の 必 要 が あ り、 か つ 、 教 育 上 支 障 が な い と き 」 とす る 限 定 の 撤 廃 を 求 め た 。 こ れ は 、 文 部 省 の 通 知 す る 「大 学 入 学 者 選 抜 実 施 要 項 」 の 定 め る 時 期 に 大 学 入 試 が 集 中 的 に 実 施 さ れ る か き り受 験 生 は 春 の 試 験 に 合 格 で き な け れ ば1年 待 た な け れ ば な らな くな り、 そ の た め に 自分 の 希 望 よ り も入 学 す る こ と 自体 を 優 先 さ せ る状 況 が 生 ま れ 、 そ れ が 不 本 意 入 学 の 一 因 と な って い る と考 え た こ と に よ る 。 し た が っ て 、 こ の 場 合 に は 秋 季 入 学 の 比 重 を高 め る と して も、 春 季 入 学 を 閉 ざ す こ と に は な ら な い 。 こ の 「最 終 意 見 」 へ の対 応 と して 、1999(平 成11)年3月31日 に 学 校 教 育 法 施 行 規 則 が 改 正 さ れ て い る 。
ま た、 大 学 審 議 会 に は2000(平 成12)年11月22日 に 「大 学 入 試 の 改 善 につ い て 」 の 答 申 が あ り、 そ の な か で 「秋 季 入 学 の拡 大 」 を 取 りあ げ て い る 。 こ の 答 申 は 、 秋 季 入 学 が 一 部 の 大 学 が 取 り組 ん で い る に と ど ま っ て お り、 ま た、 そ の 多 くが 、 欧 米 諸 国 等 の よ う な 学 年 暦
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の異なる国 との円滑な交流 を図る観点か ら留学生や帰国子女等を対象に したもの となって いることを問題 としている。つ ま り、受験生の選択 の幅を広げ、多様な学習計画を可能 に するといった観点か らも、各大学 において、一般選抜 における秋季入学の導入 を積極的に 行 うことを求めたのである。
このように秋季入学 の力点が、 受験機会の複数化 と関連づけて議論 されて きたのであ る が、教育改革国民会議 におけ る議論や先 頃内閣府 が実施 した調査 は、国際化の推進 を見据
えた内容になってお り、その ような意味 において臨教審 における議論へ と主たる関心が回 帰 した とい うことがで きる。
3.「 飛 び 入 学 」 と の 関 連
この よ う な 、 入 学 時 期 複 数 化 と の は べ つ に 、 い わ ゆ る 「飛 び 入 学 」 と の 整 合 性 を考 慮 す る 必 要 が あ る 。 高 校 卒 業 後 に 半 年 の 空 白 が で き る 秋 季 入 学 は 、 大 学 入 学 時 期 を 早 め る 「飛 び 入 学 」 と 異 な る 方 向 の 政 策 だ か ら で あ る 。 「飛 び 入 学 」 の 考 え 方 は 、1991(平 成3)年4月 19日 の 中 央 教 育 審 議 会 答 申 「新 しい 時 代 に 対 応 す る 教 育 の 諸 制 度 の 改 革 に つ い て 」 を 受 け て 、1997(平 成9)年6月 の 中 央 教 育 審 議 会 答 申 「21世 紀 を 展 望 した 我 が 国 の 教 育 の 在 り方 に つ い て 」 に お い て 具 体 化 さ れ た 。 そ の 対 象 者 とな る の は 稀 有 な 才 能 を 有 す る ご く少 数 の 者 で あ って 、 一 般 的 な 制 度 と位 置 づ け る こ と を 想 定 して い な い 。1997(平 成9)年7月31日 に 改 正 さ れ た 学 校 教 育 法 施 行 規 則 第69条 に よ る と、 高 等 学 校 に2年 以 上 在 学 した 者 等 で 、 一 定 の 要 件 を 満 た す 大 学 が 、 数 学 ま た は 物 理 学 の 分 野 に お け る 特 に 優 れ た 資 質 を 有 し、 か つ 、 高 等 学 校 を 卒 業 した 者 と 同 等 以 上 の 学 力 が あ る と認 め た 者 に、大 学 入 学 資 格 が 認 め られ る。
あ くま で も分 野 が 限 定 さ れ て い た の で あ る が 、2000(平 成12)年12月22日 の 教 育 改 革 国 民 会 議 の 報 告 「教 育 を 変 え る17の 提 案 」 に 「特 に 優 秀 な 子 ど も で そ の 大 学 の 教 育 目標 に合 う 者 は 飛 び 入 学 が で き る よ う、 現 在 原 則18歳 と な っ て い る 大 学 入 学 年 齢 制 限 を 撤 廃 す る」 と あ って 、2001(平 成13)年7月11日 に 学 校 教 育 法 第56条 第2項 が 改 正 さ れ た 。 こ れ に よ り、 「飛 び 入 学 」 の 対 象 と な る分 野 が 、 数 学 お よ び 物 理 学 の 分 野 に 限 定 さ れ な い こ と と な っ た。
4.秋 季入学への移行の課題
もちろん、「飛び入学」は例外的な措 置である。その ような運用 を活 か して成果をあ げ る学生 は、 ごく少数だ と考え られているか らであ る。では、入学 時期 を秋 季にすることが 有効 となる学生は、 どれほ どいるのか。外国の大学へ留学す ることを予定 しない者に とっ て、秋季入学は有 意義か。半年間のボランタ リーな活動 を将来 にお ける社会的貢献の基礎 とすることので きる学生が どれほ どいるのか。秋季 入学への移行 に関する議論は、その よ うな疑問へ の明確 な回答を踏 まえ る必要があ り、政策 の意義を一層吟味 した上で実施 に移 すこ とが肝要であろう。
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参 考 文 献
佐 藤 秀 夫 「学 校 は 何 故 四 月 か らは じま る の か 」『月 刊 百 科 』 第187号, 平 凡 社,1978年4月 。 寺 崎 昌 男 『プ ロ ム ナ ー ド東 京 大 学 史 』 東 京 大 学 出 版 会,1992年12月 。
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秋 季入学 導入 をめ ぐる諸 問題: 質 問紙調査 か ら
1大 学 向 け 調 査 の 結 果 とそ の 意 味
沖 清豪(早 稲 田大学) 大佐古 紀雄(早 稲 田大学)
【要約】
秋季入学 に関する大学長 向け調査 では、今後秋季入学制度の導入を検討するに当たって は、大学長が必ず しも秋季入学問題 に 自覚的 とは言いがたい状況 を示唆 し、制度導入の直 接的な影響 を被る高等学校や受験 生の意見な ども積極 的に取 り入れてい く必要があること を示唆する調査結果を得 ることがで きた。
個別の回答傾向を整理 すると以下の4点 が指摘で きる。
第一に、秋季入学 に対 する関心は全体的 に高 く、実際に秋季入学 によって学生を受け入 れている大学長ほ ど高 くなる。 また実際 に秋季 入学 が制度化 された場合 も、多少の混乱で 対応可能であるとする大学長が三分の二 に達 している。 しか し、実際 に大学 において秋季 入学を導入することへの賛否は伯仲 している。
第二 に、高校を3月 に卒業 し大学進学が秋季 にな った場合の半年の活用方法 として入学 試験の準備 を想定 してい る大学長が四分の三 に達 し、 この半年の間に入学試験 を実施すべ きであるとい う回答 も三分の二 に達 している。秋季入学 が実際の社会 ・受験生 に与える影 響 について、大学長が必ず しも現実的に検討 しているわ けではない ことが窺える。
第三に、入試時期 をこの半年で実施 するこ との目的 と して、高校教育 の完結 を求め、 そ の全体 に対す る評価 を入学試験で測定 したい とす る意見が多 くなってお り、従来 か らの 「教 育の国際化」 とい う文脈だけではな く、大学教育その ものの基盤 とな る入学者 の学力 ・意 欲などに焦点を当てた議 論が必要で あるこ とが示唆 されている。
第四に、春季入学 と秋季入学 の並存ない し入学時期の多様化が期待 されている一方、現 実には現在秋季入学を実施 していない大学長 については、秋季入学 を早期 に導入するこ と への無関心 さを示唆する回答が多 く、秋季入学制度への移行が大学長 レベルで も依然 と し て重要な課題 としては位置づけられていない ことが窺える。
1.調 査の概要
本節では、大学向け調査の結果 について概観 し、その示唆 について検討する ことと した い。調査の基本的な概要は次の通 りであ る。
・調査対象:国 内の全4年 制大学677大 学の学長(医 歯獣医系の単科大学 を含 んだ悉 皆調査。但 し、新1年 生の入学予定 がない2大 学を除 く)。
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・調 査 票: 次 の ア ン ケ ー トAお よびBの2種 類
ア ンケ ー トA: 内 閣 府 が 国 民 一 般(5000人 抽 出)を 対 象 に 、 平 成13年7月 に 実 施 した 調 査 と同 一 の 内 容 の調 査 票 。(な お 、 本 調 査 票 は 企 業 調 査 に も使 用 した 。 結 果 と分析 は 、 当 該 の 章 を 参 照 。)
ア ン ケ ー トB:今 回 の 調 査 で 独 自 に我 々 が 設 定 した 設 問 で 構 成 され た 調 査 票 。
・回 答 数 お よ び 回収 率:608大 学(回 収 率90.0%)
・調 査 票 発 送 日:平 成14年11月20日
・調 査 票 回 収 の 最 終 期 日:平 成15年2月 末 日
※ 調 査 票 は 郵 送 にて 送 付 ・回 収 した 。
ま ず 、2. で 、 内 閣 府 調 査 な らび に本 調 査 で 並 行 して 実 施 き れ た 企 業 調 査 と 同 一 の 調 査 票 に基 づ い て 実 施 され た ア ンケ ー トAの 単 純 集 計 結 果 を 、 質 問 順 に 基 づ い て 概 観 す る 。 な お そ の 際 、 一 部 の 設 問 につ い て は 大 学 の 設 置 者 別 の ク ロス 集 計 、 お よ び 平 成13年 度 に お い て 秋 季 入 学 者 が0名 の 大 学(未 実 施 校)、1名 か ら9名(小 規 模 実 施 校)、10名 以 上(大 規 模 実 施 校)の3類 型 に分 類 して の ク ロス 集 計 の 結 果 も 参 照 して い る 。
3. で は 、 今 回 の 調 査 で 新 た に 項 日 を 設 定 した ア ンケ ー トBの 単 純 集 計 結 果 を、 質 問 順 に 基 づ い て 概 観 す る。 な お 、 ア ン ケ ー トAと 同 様 に 、 一 部 の 設 問 に つ い て は 大 学 の 設 置 者 別 の ク ロ ス 集 計 、 お よび 平 成13年 度 にお け る秋 季 入 学 者 数 に応 じて 、 未 実 施 校 、 小 規 模 実 施 校 、 大 規 模 実 施 校 の3類 型 に分 類 して の ク ロ ス 集 計 の 結 果 も参 照 して い る。
な お 、 い ず れ の 調 査 も集 計 結 果 の 一 覧 は 別 途 示 して い る の で 、 参 照 され た い 。
2.ア ンケ ー トAに 関 す る集 計 結 果 の概 要 (1)秋 季 入 学 に 対 す る 関 心 の 度 合 い(Q1.)
ア ン ケ ー トAの 設 問1で は 、秋 季 入 学 制 度 に対 す る 関 心 の 有 無 に つ い て 尋 ね た と こ ろ、「非 常 に 関 心 が あ る(32.3%)」 「や や 関 心 が あ る(48.9%)」 と回 答 した 大 学 長 が813%に 達 して お
り、 本 課 題 に 対 す る 関 心 の 深 さ を 示 して い る 。
さ ら に こ の 点 に つ い て 、 秋 季 入 学 者 の 有 無 に よ る 回 答 の 違 い を確 認 した と こ ろ 、 未 実 施 校 の 「非 常 に 関 心 が あ る 」 とい う回 答 が22.3%に 留 ま り、 一 方 「あ ま り関 心 が な い 」 とい
う 回 答 が26.9%に 達 し、 小規 模 実 施 校(各37.0%、13.6%)、 大 規 模 実 施 校(各37.7%、
10.6%)と 有 意 に 回 答 傾 向 の 違 い が 生 じて い る(0.1%水 準)。 な お 、 小 規 模 実 施 校 と大 規 模 実 施 校 の 間 で は 回 答 傾 向 に 違 い は 見 られ な い 。 こ う した 傾 向 は 、 秋 季 入 学 に よ る 学 生 を 受 け 入 れ て い る か ど うか が 秋 季 入 学 制 度 そ の も の へ の 関 心 の 違 い に 影 響 を 与 え て い る こ と を 示 唆 して い る。
(2)教 育の国際化 と秋季入学 に関する意見(Q2。)
設問2で 教育の国際化 とい う観点か ら秋季入学を推進すべ きか どうかについて、三つの
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項 目 で 意 識 を尋 ね た と こ ろ 、 以 下 の よ う な 回答 結 果 が 得 られ た 。
ま ず 教 育 の 国 際 化 の た め に 、 入 学 時 期 を 世 界 の 多 数 の 国 が 採 用 して い る 秋 季 入 学 に す べ きか ど う か 尋 ね た と こ ろ 、71.7%の 大 学 長 が 肯 定 的 に 回 答 して い る 。次 に 当 面 四 月 入 学 を 維 持 し、 教 育 の 国 際 化 に つ い て は 入 学 時 期 以 外 の 多 様 な 手 段 で 図 るべ き か ど うか 尋 ね た と こ ろ 、 や は り75.5%の 大 学 長 が 肯 定 的 に 回 答 して い る 。 さ ら に入 学 時 期 は 国 に よ っ て 独 自 に 決 定 す べ きか ど う か 尋 ね た と こ ろ 、 や は り62.4%の 大 学 長 が 肯 定 的 に 回 答 して い る 。
これ ら の 回 答 は 必 ず し も相 反 す る 質 問 項 日 で は な い が 、 「教 育 の 国 際 化 」 が 広 範 に 求 め ら れ て い る と い う認 識 が 高 くな っ て い る 一 方 で 、 秋 季 入 学 制 度 の 導 入 に よ っ て 「教 育 の 国 際 化 」 の 議 論 が 入 学 時 期 の 問 題 に 収 敏 さ れ て し ま う こ とへ の 危 惧 が 読 み 取 れ る よ う に 思 わ れ る 。
な お 、 秋 季 入 学 者 の 有 無 並 び に 大 学 設 置 者 の 違 い に よ る 回 答 の 違 い を 確 認 した と こ ろ 、
「教 育 の 国 際 化 を 図 る観 点 か ら ,入 学 時 期 を世界 の 多 数 の国 に合 わ せ るべ きで あ る」 とい う設 問 に つ い て は 、 未 実 施 校 に お け る 肯 定 的 回 答 が 有 意 に低 くな っ て お り、 「当 面 は 現 在 の 原 則4月 入 学 と し,い ろ い ろ な 工 夫 に よ り教 育 の 国 際 化 を 図 るべ き で あ る 」 とい う設 問 に っ い て は 、 私 立 大 学 大 学 長 の 肯 定 的 回 答 が 有 意 に 高 くな っ て い る 。 前 者 の 場 合 、 未 実 施 校 に お い て 「教 育 の 国 際 化 」が 懸 案 事 項 に な る こ と が相 対 的 に 少 な い こ と、 ま た後 者 の 場 合 、 特 に私 立 大 学 に お い て は4月 入 学 とい う現 行 制 度 を 維 持 し、 そ の 枠 内 で「 教 育 の 国 際 化 」
を 進 め るべ き だ と考 え る 大 学 長 が 相 対 的 に 多 い こ と を 示 唆 して い る 。
(3)採 用 ・人 事 へ の 影 響(Q3)
設 問3で 秋 季 入 学 へ の 移 行 に 伴 う 企 業 ・官 公 庁 の 採 用 ・人 事 へ の 影 響 に つ い て 尋 ね た と こ ろ 、「移 行 に 多 少 混 乱 は あ る が 、な ん とか 対 応 で き る 」とい う 回 答 が68。3%に 達 して お り、
「従 来 か ら4月 に 新 規 卒 業 者 を 一 括 採 用 して い る の で
,企 業 等 の採 用 ・人 事 が 混 乱 す る 」 と い う 回 答(22.0%)を 大 き く上 回 っ た 。
上 記 以 外 で は そ の 他 の 影 響 を 想 定 して い る 回 答 が4.9%と な っ て い る 。具 体 的 な 記 述 を み て い く と、 も っ と も 目立 っ た の は 、 と く に 医 歯 薬 ・保 健 ・福 祉 系 の 大 学 か ら、 国 家 試 験 の 時 期 と の 調 整 が 必 要 と な る こ とを 指 摘 す る 回 答 で あ る 。 ま た 、 国 や 企 業 な ど の(会 計)年 度 との 整 合 を と る 必 要 が 生 じ る と い う指 摘 も若 干 み られ た 。 ま た 「一 括 採 用 は 早 晩 こ わ れ る 」 「す で に採 用 時 期 が 多 様 化 して い る 」 と い っ た 、 就 職 環 境 そ の も の の 変 化 に 言 及 す る 回 答 も あ っ た 。
な お 、 秋 季 入 学 者 の 有 無 や 大 学 設 置 者 の 違 い に よ る 回 答 傾 向 の 違 い は 、 特 に 見 当 た ら な い 。
(4)学 校制度全体での秋季入学への移行への賛否 とその理 由(Q4)
設問4で は学校制度全体で秋季入学を導入する ことの是非 について尋ね た ところ、賛成
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とす る 回 答 が55.2%と 過 半 数 に 達 して い る 一 方 、 反 対 と す る 回答 も39.1%と4割 近 くに 達 して お り、 大 学 長 内 で 必 ず し も意 見 の 一 致 を み て い な い 点 が 明 らか とな っ て い る 。
賛 成 者329名 に 賛 成 す る理 由 を 尋 ね た と こ ろ、 「教 育 の 国 際 化 が 推 進 で き る 」(284名 、 86.3%)と 「夏 休 み が 学 年 末 に来 る 方 が 合 理 的 な学 年 暦 に な る 」(172名 、52.3%)と い う 回 答 が 多 くな り、 「入 学 試 験 が 丁 寧 に実 施 で き る 」(92名 、28.0%) な ど他 の 回 答 は 少 数 に と ど ま っ て い る 。 一 方反 対 者238名 に も反 対 す る理 由 を 尋 ね た と こ ろ、 「社 会 ・学 校 に大 き な 混 乱 を 招 く割 に は あ ま りメ リ ヅ トが な い 」(160名 、67.2%)と 「現 行 の 制 度 で 特 に支 障 は な い 」 (147名 、61.8%)を 理 由 に挙 げ る回 答 者 が 特 に 多 くな っ て い る。
ま た 、 秋 季 入 学 者 の 有 無 で 回 答 傾 向 の 違 い を見 た と こ ろ 、 賛 成 者 の 中 で も 「教 育 の 国 際 化 が 推 進 で き る 」 と回 答 す る割 合 が 、 未 実 施 校 で38.3%に 留 ま る の に 対 し、 小 規 模 実 施 校 で50.6%、 大 規 模 実 施 校 で52.7%と 有 意 に違 い が 見 られ る(5%水 準)。 こ れ は 、 秋 季 入 学 を 実 施 して い る 大 学 に お い て は 、 教 育 の 国 際 化 が 実 感 と して よ り理 解 され る傾 向 が あ る こ と を 示 唆 して い る 。 一 方 反 対 者 の 中 で は 「社 会 ・学 校 に大 き な 混 乱 を 招 く割 に は あ ま りメ リッ トが な い 」と回 答 す る割 合 が 、未 実施 校 で は32.6%な の に 対 して 、小 規 模 実 施 校 で24.7%、
大 規 模 実 施 校 で19.8%に 留 ま って い る 。 こ れ は 、 秋 季 入 学 を実 施 して い る 大 学 で 、 実 際 の 混 乱 を克 服 して き た 大 学 が 少 な くな い こ と を 示 唆 して い る よ う で あ る 。
ち な み に 、 大 学 の 設 置 者 別 に よ る 回 答 傾 向 の 違 い は ほ とん ど見 られ な い 。
さ て 、 我 々 が 設 定 した 賛 否 の項 目 以 外 で も賛 成 ・反 対 の 理 由 を 挙 げ た 回 答 が い くつ か 見 られ た 。 ま ず 、 賛 成 の 理 由 で あ る が 、 「高 校 の 授 業 が あ る程 度 受 験 か ら解 放 さ れ る 」 「高 等 学 校 の 教 育 が 充 実 」 な ど、 高 校 教 育 に 直 接 及 ぶ ポ ジテ ィ ブな 影 響 、 これ に 関 連 して 大 学 教 育 へ の ポ ジ テ ィ ブ な 影 響 が 及 ぶ と した 回 答 も あ っ た 。 ま た 、 学 年 の 区 切 りな い し入 学 前 ・ 卒 業 後 に 位 置 づ け られ る 「夏 休 み 」 の 有 効 活 用(地 域 活 動 、 ボ ラ ン テ ィ ア 、 自 己研 鑛 、 就 職 活 動 な ど)に つ な が る とい う回 答 、 そ して 「受 験 生 に と って よ りよ い 気 候 」、 入 試 の 際 に 雪 な どの 影 響 を 心 配 せ ず に す む な ど、 気 候 の 面 で の メ リッ トを指 摘 す る 回答 も あ っ た 。
一 方 反 対 の 理 由 と して 特 に目 立 っ た の は、 秋 季 入 学 を導 入 す る な らば
、 現 行 の 春 季 入 学 と並 立 共 存 が 必 要 で あ る(あ る い は あ っ て も よい)と す る 回 答 で あ っ た 。 こ れ は 、 こ の 後 の 他 の 自 由 記 述 回 答 に も 数 多 く現 れ て い る こ とか ら、 春 季 入 学 を 一 元 的 に秋 季 入 学 に 変 更 す る こ と に 対 す る 不 安 や 抵 抗 感 が 、 一 部 の 関 係 者 の 問 に 強 くも た れ て い る こ と を 示 唆 して い る と思 わ れ る 。 ま た 、 学 習 意 欲 の 低 下 を 招 く、 国 や 行 政 ・社 会 の コ ンセ ン サ ス が 不 可 欠
とす る 回 答 が 複 数 あ っ た 。
(5)大 学 の 秋 季 入 学 へ の 移 行 へ の 賛 否 と そ の 理 由(Q5.)
設 問5で は 大 学 が 全 体 と して 秋 季 入 学 を 導 入 す る こ との 是 非 に つ い て 尋 ね て い る。 そ の 結 果 、賛 成 とす る 回 答 は49.9%と 過 半 数 に届 か ず 、反 対 とす る 回 答 が43.5%に 達 して お り、
こ の 問 題 に つ い て 、 大 学 長 間 で の 一 致 した 方 向 性 が 出 さ れ て い な い 点 が 明 らか とな っ て い
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