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高機能デバイス研究室 指導教員 相川慎也 准教授

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Academic year: 2021

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(1)

高性能 p 型酸化物 TFT の実現に向けた SnO x 薄膜のスパッタ成膜条件 およびアニール条件の検討

Investigation of sputtering and annealing conditions of SnO

x

thin films for high-performance p-type oxide TFTs

渡辺 幸太郎 (電気電子工学科) Kotaro Watanabe

高機能デバイス研究室 指導教員 相川慎也 准教授

1. 緒言

酸化物薄膜トランジスタ(TFT)は大面積製造が可能であり、

基板の素材を選ばないため、低コストで使い捨て可能なエレクト ロニクスデバイスへの応用が期待されている。¹⁾また、薄膜デバ イスの高機能化には低電圧駆動可能な相補型金属酸化物半導 体回路(CMOS)の作製が求められる。²⁾そのため近年では、酸 化物を用いたTFTの研究が行われている。³⁾n 型挙動の酸化物 TFT については、開発が進んでいる一方で⁴⁾⁵⁾、p型 TFT につ いての報告は少ない¹⁾。したがって、p 型酸化物 TFT のさらなる 研究が必要である。

本研究では、p 型 TFT の作製に向けた SnO

x

薄膜の結晶性, キャリアタイプ,キャリア濃度,シート抵抗値および移動度の電気的 特性について調査する。具体的には、スパッタリング中の RF 電 力および酸素濃度が薄膜のシート抵抗値に及ぼす影響を調べる とともに、SnO

x

薄膜の正孔輸送特性向上に向けたアニーリング 条件の最適化を行う。SnO

x

に着目する理由は両極性を有する 酸化物半導体として広く知られているからである。これらの条件 最適化に基づき、p 型 SnO

x

TFT を実証することを目的とす る。

2. 実験方法

SiO

2

200nm 付き Si 基板上に RF マグネトロンスパッタリン グ法を用いて SnO

x

薄膜を成膜した。スパッタターゲットには、

SnO

を用いた。上記の試料に対し、卓上型ランプ加熱装置を用 いて窒素雰囲気下でアニーリングを行った。薄膜の結晶評価に は X 線回折装置(XRD)を用いた。また、キャリアタイプ、キャリア 濃度、シート抵抗値および移動度の電気的特性についてはホー ル測定装置を用いて測定を行った。

3. 結果及び考察

スパッタリング中の RF 電力、酸素濃度が薄膜のシート抵抗値 に及ぼす影響を調査した。Fig1(a)にスパッタリング時の RF 電 力-シート抵抗値特性を示す。RF 電力と酸素濃度がそれぞれ 100W-10%と 40W-9%の as-dep 膜においてp型の特性を示 した。(図中〇で囲った部分)。この結果から、シート抵抗値が 10

オーダー以上であるとp型になる傾向があることが分かった。こ れは、RF 電力が増加することに伴いスパッタ粒子がスパッタガ スにより散乱を受けるため⁶⁾、スパッタリング中に酸素イオンがチ ャンバー内全域に拡散し基板上に堆積されず酸素空孔が増加し ているためと考える。また、100W-10%の試料においては、移動 度が 6.81cm

/Vs と高い値となった。このことから、100W と 40W で比較すると高移動度の p 型薄膜を得るためには 100W の方 が最適な RF 電力であることが分かった。

Fig1(b) にアニール温度-シート抵抗値特性の結果を示す。

TFT 用として適していると考えられる高抵抗(>10

5

Ω/□)の条 件を得たのはアニール温度が600℃の時であり、p 型の挙動を 示した試料についても600℃アニールのときであった。そのため、

窒素雰囲気下 600℃30分でのアニールが正孔を多数キャリア とするような膜を安定して得られる最適な条件であることが分か った。

p 型挙動を示す成膜及びポストアニール条件を見出すことが できたので、TFT を試作した。現状、p 型 TFT は得られていない が、これはスパッタリングによって酸素イオンが拡散され金属 Sn 成分が多いことが原因と考えるため、スパッタリング時のプロセ ス圧を制御することにより SnO 成分がリッチな膜を得ることがで きると考えており、そのための実験を進めている。

4. まとめ

両極性を有する酸化物半導体として広く知られている SnO

を 用いて、スパッタリング中の RF 電力、酸素濃度が薄膜のシート 抵抗値に及ぼす影響の調査、SnO

x

系薄膜の正孔輸送特性の向 上に向けたアニーリング条件の最適化を行った。その結果、シー ト抵抗値が 10

オーダー以上であるとp型になる傾向があること、

また、窒素雰囲気下 600℃30分でのアニールが正孔を多数キャ リアとするような膜を安定して得られる最適な条件であることが 分かった。今後の展望として、p 型特性 TFT 挙動のためのさらな る条件出しを進めていく必要がある。

5. 参考文献

1) Raquel Barros, et al. , Nanomaterials, 9, 320 (2019).

2) Po-Ching Hsu, et al. , Jpn. J. Appl. Phys., 52, 05DC07 (2013).

3) J. Um, et al. , Mater. Sci. Semicond. Process., 16, 1679 (2013).

4) Um, Jae Gwang, et al .., SID Symp. Dig. Tech. Pap., 47, 872 (2016)

5) Thanh Tung Nguyen, et al. , Ceram. Int., 45, 9147 (2019).

6)

鈴木 巧一 他 , 真空, 21, .158 (1978).

(a) (b)

Fig. 1

(a)Relation of RF power-sheet resistance of SnOx

films deposited at various oxygen concentrations. (b) Sheet resistances of the SnO

x

film as a

function of annealing temperature in N

2

atmosphere

0 40 80

102 103 104 105

▲:O2 concentration 9%

●:O2 concentration 5%

sheet resistance[Ω/□]

RF power[w]

×:O2 concentration 7%

▼:O2 concentration 9.5%

◇:O2 concentration 10%

200 400 600

102 103 104

sheet resistance[Ω/ □]

annealing temprature[℃]

O2 concentration:10%

N2 atmosphire annealing 30min Films deposition condition

〇: p-type behavior

Fig. 1  (a)Relation of RF power-sheet resistance of SnO x  films deposited at  various oxygen concentrations

参照

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