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沖縄県財政における地方債の一考察

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沖縄県財政における地方債の一考察

A Study on Local Public Bond in Okinawa Prefectural Finance

前 村 昌 健

Shoken MAEMURA

【要  旨】

沖縄県を含めた財政力指数0.3以下のEグループ9県は、一般に経済活動水準が低く、地 方税収入も低いことから国庫支出金、地方交付税、地方債といった依存財源の割合が高い。

これらEグループにおいては地方税収入が低いことから、地方債への依存が相対的に高く、

これによって財政の硬直化が進みつつある。今後、これらEグループ各県は、財政の健全 性に留意しながら、地方債の発行、管理を慎重に行っていく必要がある。

沖縄県財政において地方債は重要な財源の一つである。現状では、沖縄振興計画に基づ く国庫支出金の高率補助により、補助裏負担を地方債で賄う額が低く、Eグループおよび 全国に比較すると地方債への依存は低い。しかしながら、地方債歳入構成比や一人当たり 地方債額のように相対的に高まっている指標もあり、徐々に地方債依存が高まり、財政が 現状よりさらに硬直化していく可能性がある。沖縄県は財政の健全性に留意しつつ地方債 発行とその管理を行う必要があり、また市場公募債といった地方債による財源調達の多様 化を検討する余地がある。

キーワード:地方財政 自治体 地方債 沖縄県 低所得県

はじめに

自治体の歳入は自主財源である地方税、および地方交付税、国庫支出金、地方債といっ た依存財源が主要なものである。この中で、地方債は、自治体の財源不足を補い、多様な 財政需要に対応するための重要な財源である。これまで社会資本整備を中心に充当され地 域の発展に大きな役割を果たしてきた。しかしながらまた地方債は自治体の課税権を担保 にした借入金であり、債務として将来の財政運営に大きな影響を及ぼすのであり、その発 行および管理には十分に留意しなければならない。

バブル経済が崩壊した1990年代以降、景気の低迷による事業税収入を中心とした地方 税収入の落ち込みもあり、自治体の財政状況は厳しい状況に陥った。国は自治体の財源不

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足を補い、積極的に公共投資を促せるように財源対策補填債、臨時財政特例債、地域経済 対策事業債といった特例に基づく地方債発行を拡充し、また地方債の元利償還費を地方交 付税で措置するといった政策誘導を行ってきた(1)。これによって自治体の地方債発行が 高まり、公債費の増加による財政硬直化が進んでいった。このような中、2006年度には、

地方債発行について許可制から協議制へと移行し、自治体の地方債発行は緩和されたもの の、これまで以上に自治体の財政規律が求められている。

沖縄県をはじめとした財政力の低いEグループ各県(2)は、地域経済の活動水準が低い ことから、歳入における地方税収入の割合が低く、これによって国庫支出金、地方交付税、

地方債といった依存財源の割合が高い。この中で地方債は財政力の低いEグループ各県の 財源不足を補い、社会資本整備をはじめとして活かされてきたが、公債費及び地方債残高 の累増によりEグループ全体として財政の硬直化が進んでいる。財政力の低い自治体は、

財政健全化に留意しつつ、多様な財政需要に対応するために地方債をどのように活用して いくかが課題となっている。

本稿では、まず地方債のしくみについて概要を述べ、全国の地方債発行の動向を見た後、

沖縄県の実情について地方債関連指標を基にEグループ、全国と比較しながらその特徴を みていく。

Ⅰ.地方債の仕組み

1.地方債について

地方債とは、自治体が、財政収入の不足を補うための資金調達によって負う債務で、そ の履行(利子を含む借入金の返済)が一会計年度を越えて行われるものである。自治体は、

社会資本、教育、福祉といった公共サービスを供給するが、その経費は原則として地方税、

地方交付税等の一般財源及び国庫支出金といった当該年度内の収入で賄われる。しかしな がら、大規模な社会資本整備、災害復旧事業などの臨時的な支出、公営企業の収益的な事 業に投資する場合にその負担を後年度に繰り延べ、あるいは将来の収益でもって充てるこ とが適当である場合に、地方債を財源として事業を実施している。

地方債は、自治体の限定された財源に拡張効果を与え、社会資本投資に向かわせること により公共施設等の社会資本整備を拡充し、住民や企業に便益や比較優位をもたらす。こ れが地域の発展に結びつくのであれば、やがて地方税収入の増加と地方債償還財源の確保 が可能となる。このように地方債は社会資本整備を地域発展に結びつける機能を持つ。ま た、社会資本は耐用年数が長く、長期に亘って便益が得られるものであり、地方債は租税 に比べて負担と便益の均等化および世代間負担の公平を図ることを可能にする。これが地 方債の負担公平の機能である。さらに、国は地方債の協議制および起債対象や起債充当率 の変更を通じて自治体の財政運営に影響を及ぼし、この意味で財政統制、政策誘導の機能

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を持つ。あるいはまた、景気調整を目的としたフィスカルポリシーは本来国の機能である が、実際には公共事業支出の多くを自治体が地方債発行により担っており、景気調整的な 機能もある。最後に、財政が危機的な状況にある場合に応急的な財源補填の機能を持って いる。

地方債の発行根拠は、地方自治法第230条第1項に「普通地方公共団体は、別に法律に 定める場合において、予算の定めるところにより、地方債を起こすことができる」と定め、

また地方財政法第5条第1項では「地方公共団体の歳出は、地方債以外の歳入をもって、

その財源としなければならない。但し、左に掲げる場合においては、地方債をもってその 財源とすることができる」とし、発行を認める適債事業として五つ上げている。これには、

交通、ガス、上下水道など地方公営企業に要する経費、出資金・貸付金の財源、地方債の 借り換えのために要する経費、災害復旧の財源、公共施設の建設及び用地取得のための財 源が該当する。

これら五つの事業が適債事業とされるのは次の根拠による。まず地方公営企業の場合は、

サービス供給に対する料金収入を元利償還に充てることが可能であり、また出資金と貸付 金は債権が残ることになり、借り換えは、新規の起債ではなく適債であったものを借り換 えるものである。災害復旧では、地方債を緊急時の財源とするものであり、さらに公共施 設の建設及び用地取得のための財源は、公共施設の整備により、人口の増加、企業立地の 促進、地価の上昇等により税収増に結びき、これによって地方債償還の財源が確保される 場合がある。また地方債の発行、償還によって負担の年度間調整を図れるということがあ る。これらの事業は、地方財政法第5条に関連する「五条債」として地方債発行が認めら れている。

しかしながら、近年はこれら適債事業の範ちゅうにない地方債が多く発行されてきてい る。それは地方財政法の付則第33条以降に並ぶ多数の「地方債の特例」によるものであり、

財源対策債、減収補填債、臨時財政対策債、減税補填債等がある。これらは「特例債」と 呼ばれ、多くは赤字地方債という性格を持つ。近年、こうした特例債の地方債発行総額に 占める比重が高まってきており、「五条債」に基づく財政規律は大きく損なわれている。

2006年度に地方債は、許可制から事前協議制へ移行することとなった(3)。総務大臣の 同意・許可の基準及び地方債計画が法定化され、都道府県・指定都市は国と、市町村・特 別区等は都道府県と原則として協議を行うこととなった。自治体が地方債を発行しようと する場合は、総務大臣又は都道府県知事と協議し同意を得る必要がある。同意がない場合 であっても地方議会に報告の上、地方債発行が可能となる。しかしながらこの場合は、公 的資金の充当ができないほか、元利償還費の交付税措置は行われない。協議制への移行に より自治体の地方債発行が緩和されるが、実際に同意のない地方債を発行できるのは、財 政力が強く公的資金に依存せず市場での資金調達が可能な大都市および都道府県である。

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Ⅱ.地方債の動向

1.歳入・歳出と地方債

1990年代には、バブル崩壊以降の景気低迷による地方税収入の落ち込みにより、自治 体の財政状況は厳しい状況に陥った。国は自治体の財源不足対策あるいは景気浮揚のため に積極的に公共投資を拡大できるように、財源対策債、臨時財政特例債、地域経済対策事 業債といった地方債を拡大し、また元利償還費を地方交付税の基準財政需要額に含めると いった交付税措置を拡充してきた。これによって1990年代半ばには、地方債発行はこれ までの倍近くとなり、地方債歳入構成比も高まっていった。このことは地方債元利償還に 充てる公債費の増加につながり自治体財政の硬直化が進んでいった。

図1は2000年度〜 2011年度における都道府県の地方債の動向を示している。この期間 に地方債歳入額は約5.4兆円〜約7.8兆円の幅で推移し、年度により増減がある。地方債歳 入構成比も同様な動きである。これに対して公債費歳出額は、この期間に約6.2兆円〜約 7.2兆円の幅で推移し、地方債歳入額に比べて増減は小さい。また公債費歳出構成比は約 12%〜約15%と比較的高い水準で推移している。国と比較すると自治体の公債依存度は 低いが、公債費や地方債現在高はかつてない額に達しており、これが他の歳出を圧迫し財 政硬直化を促進させる大きな要因となっている。

図1.地方債 ( 都道府県)の動向

(資料)地方財政統計年報より作成

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2.地方債発行残高の状況

(1)発行目的別残高の状況

次に図2によって地方債の発行目的別残高をみてみよう。1990年代には景気対策とし て地方単独事業が拡大し、また地方債充当率の緩和と交付税措置により地方単独事業債が 急速に累増していった。また、この時期には補助事業も拡大され、一般公共事業債の残高 も高まっていった。2000年代に入ると、自治体の単独事業は減少し、また国による補助 事業も減少したことから一般単独事業債残高および一般公共事業債残高も徐々に低下して きている。

他方で1990年代末から2000年代に亘って増加してきたのが、財源対策債、減収補填債、

臨時財政対策債、減税補填債といった特例債である。この中でも臨時財政対策債残高の増 加が著しい。臨時財政対策債は、交付税財源不足に対する財源措置を他会計借入れから公 債発行に切り替えたことによる交付税の代替財源であり、純然たる赤字地方債である。ま た、2001年度から3年間の暫定的な措置として発行されたが、常態化して今日に至って いる。財源対策債および減収補填債は石油ショック後の地方財源対策として導入され、充 当目的も建設事業に限定しているが、臨時財政対策債と同様にその発行が常態化している。

このように近年、臨時財政対策債をはじめとした特例債の発行とその残高が急速に増加し ており、地方財政法第5条第1項の五条債という財政規律は失われている。

図2.地方債発行目的現在高

(資料)地方財政統計年報、都道府県決算状況調より作成

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(2)借入先別残高の状況

次に図3で借入別現在高をみてみよう。これによると政府資金(財政投融資資金、郵政 資金、公庫資金等)が大きく低下し、市場公募債が大幅に増加していることがわかる。市 中金融機関(都市銀行、地方銀行等)およびその他の金融機関(信用金庫、保険会社、共 済等)は一定の規模で推移している。

政府資金の低下は、2001年度に実施された財政投融資改革(4)が関係しており、財政投 融資資金が縮小したことや2007年の郵政民営化に伴い郵政資金による地方債引き受けが 廃止され、地方債の資金調達先が政府資金から市場へ向けられることになったためである。

また、財政投融資機関であった地方公営企業金融公庫は、特殊法人改革により2008年 には地方公営企業等金融機構へ、さらに2009年には地方公共団体金融機構に再編された。

地方公共団体金融機構は、全国の都道府県、市町村の出資による地方共同法人であり、

公営企業のみならず一般会計債の引き受けを行い、市場調達が困難な自治体にとっては重 要な借り入れ先となっている。

市中金融機関およびその他の金融機関の現在高は、2000年代に一定規模で推移してお り、多くの自治体にとっては地方銀行や信用金庫といった縁故銀行が地方債の安定的な 引受け先となっている。また、この期間に市場公募債の現在高が大幅に増加している。

2011年度時点では、相対的に信用力のある19の政令指定都市と都道府県の約3分の2に あたる32都道府県が全国型の市場公募債を発行している。市場公募債は、民間の証券と

図3.地方債借入先別現在高

(資料)地方財政統計年報、都道府県決算状況調より作成

(注)   特殊法人改革により、2008 年に公営企業金融公庫から地方公営企業等金融公庫へ、また 2009 年に地 方公共団体金融機構へと再編されている。

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同様に格付けが行われ、自治体の財政状況のみならず地域経済の状況、自治体のガバナン ス等が信用力とし評価される。格付けが低ければ高金利での発行を余儀なくされ、将来の 公債費負担を大きくする。また、市場公募債を発行できない自治体においては、従来通り、

国の政府資金(財政融資資金等)や地方公共団体金融機構を利用するか、あるいは縁故銀 行に引き受けてもらう必要がある。また近年は、地方債の資金調達手段の多様化を図り、

住民の行政参加意識を高めるために地域をアピールする名称(群馬県の愛県債、高知市の 竜馬債など)を付した住民参加型市場公募債も発行されるようになってきている。これら は主に住民にとって関心の高い施設建設費等に充当されており、地方債発行の重要な手段 の一つとなっている。

Ⅲ.沖縄県財政と地方債

ここでは沖縄県についていくつかの地方債関連指標を基にEグループおよび全国と比較 しながら特徴をみてみよう。

表1は地方債関連指標を示している。地方債歳入構成比をみると、2011年度には全国 13.5%、Eグループ12.1%、沖縄県9.6%となっており、沖縄県の歳入構成比が低くなって いる。ただし、2000年度からの推移をみると、沖縄県の構成比がEグループ、全国に比 べて高まりつつあることがわかる。また、一人当たり地方債額は2011年度に沖縄県が4万 2519円、Eグループ7万3901円、全国5万5434円である。全国を100とすると沖縄県が 77、Eグループが133となっており、Eグループはかなり高い水準にある。しかし2000年 度からの増加率をみると沖縄県が約40%と極めて高く、逆にEグループは約−12%の低下、

全国は約11%の増加であり、沖縄県の一人当たり地方債額が相対的に高まっている。

次に公債費歳出構成比をみると、2011年度で沖縄県が10.8%、Eグループ15.0%、全国

表1.地方債関連指標

(資料)地方財政統計年報、都道府県決算状況調べより作成

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が13.4%であり、沖縄県がEグループ、全国に比較して低いことがわかる。また一人当た り公債費額をみると、沖縄県4万6700円、Eグループ9万3818円、全国5万3915円であり、

全国100とすると、沖縄県87、Eグループ172となっており、Eグループは沖縄県の約2倍 の水準とかなり高い。

さらに、一人当たり地方債現在高をみると、2011年度は沖縄県48万1253円、Eグルー プ99万6657円、全国68万9150円である。全国を100とすると、沖縄県70、Eグループ145 となっており、一人当たり公債費額と同様にEグループは沖縄県の2倍以上のかなり高い 水準にある。あるいはまた、実質公債費比率(5)をみると、2011年度で沖縄県11.0%、E グループ15.6%、全国13.9%となっており、沖縄県はEグループ、全国に比較して低い水 準にある。

このように、地方債関連指標でみると沖縄県はいずれの指標についてもEグループ、全 国に比較して低く、現状では地方債依存度は低いといえる。特に類似県であるEグループ との比較では、沖縄県の指標はいずれについてもかなり低い水準にあり、望ましいように 思われる。しかしながら、他のEグループ8県は、他都道府県に比べて地域経済の活動水 準が低く、これによって自主財源である地方税収入が低く、国庫支出金、地方交付税交付 金、地方債といった依存財源の割合が高い。特に社会資本整備をはじめとした財源を地方 債発行により賄う比重が高く、当然ながら地方債依存も高い状況にある。これに対して沖 縄県は、沖縄振興計画に基づく国庫支出金の高率補助が行われ、補助裏負担分を地方債で 充当する額が相対的に低く、地方債に依存する度合いが低くなっており、地方債関連指標 は総じてEグループ、全国に比較して低い。(6)しかしながら近年、地方債歳入構成比や一 人当たり地方債額のように相対的に高まっている指標もあり、地方債発行とその管理には 十分留意しなければならない。

次に表2で2011年度における発行目的別現在高をみてみよう。一般公共事業債は、国 の補助事業に係る地方負担額及び国の直轄事業に係る自治体の負担金等を対象としてい る。2011年度の地方債現在高に対する一般公共事業債の構成比は沖縄県24.2%、Eグルー プ31.6%、全国24.8%であり、沖縄県はEグループより低く、全国とほぼ同様な水準にある。

公営住宅事業債は、自治体が国の補助を受けて行う公営住宅建設事業及び自治体が単独 で行う公営住宅等の建設用地の取得・造成といった公営住宅関連事業を対象としている。

これについては、沖縄県4.0%、Eグループ1.0%、全国1.8%と沖縄県が高い。

教育・福祉整備事業債は、教育分野で公立の小中学校、高等学校及び大学、また社会体 育施設等の整備事業を対象としており、また福祉分野では、老人福祉施設や児童福祉施設 等の整備を対象としている。これについては、沖縄県2.1%、Eグループ1.3%、全国1.5%

と沖縄県が若干高い。内訳をみると学校教育施設整備事業債が沖縄県53.5%、Eグループ 29.7%、全国24.3%と沖縄県は学校施設整備関係で高くなっている。

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一般単独事業債は、自治体の単独事業を対象としているが、沖縄県19.0%、Eグループ 28.6%、全国29.7%と沖縄県の水準は低い。これは沖縄県について補助事業の割合が高く 単独事業の割合が低いことが関係している。内訳では、一般事業債(臨時高等学校改築等 分)で沖縄県が25.2%とEグループ6.3%、全国5.0%より高くなっており、高等学校施設 整備が関係している。

臨時財政対策債は、地方財源の不足に対応するため発行される赤字地方債である。建設 地方債を除く地方財源不足について国と地方が折半し、このうち地方負担分を臨時財政対 策債で補填する。またその元利償還費は、後年度の地方交付税の基準財政需要額へ算入し、

自治体の財政運営に支障が生じないように措置することとしている。表2によると臨時財 政対策債は沖縄県42.6%、Eグループ28.2%、全国24.1%と沖縄県がEグループ、全国に比 較してかなり高くなっている。臨時財政対策債は地方交付税の財源不足を補い、その元利 償還費を後年度に交付税措置するとはいえ、国および地方財政全体の負担となり、その累 増は大きな問題である。

さらに2011年度の引受け別地方債残高をみると、政府資金(財政融資資金、旧郵政公 社資金等)が沖縄県53.0%、Eグループ37.9%、全国21.8%と沖縄県の政府資金引受けの 割合が高くなっている。これは、沖縄振興特別措置法により、資金事情が許す限り財政融 資資金をもって引き受けるよう特別の配慮をすることに関係している。また、沖縄県の場 合、縁故銀行等引き受けの割合が低く、市場公募は行われておらず、政府資金に依存する 状況にある。今後、市場公募を含めた地方債による財源調達の多様化を検討する余地があ る。

表2.発行目的別現在高(2011 年度、%)

(資料)地方財政統計年報、都道府県決算状況調より作成

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おわりに

沖縄県を含めた財政力指数0.3以下のEグループ9県は、一般に経済活動水準が低く地方 税収入も低いことから国庫支出金、地方交付税、地方債といった依存財源の割合が高い。

この中で地方債はこれらEグループにおいて社会資本整備をはじめとした財源として重要 な役割を果たしてきた。しかしながらEグループは全国に比較して地方債依存が高く、ま た地方債関連指標も相対的に悪化しつつあり、財政の硬直化が進んでいる。

これらEグループの中で沖縄県は、沖縄振興計画に基づく国庫支出金の高率補助により、

補助裏負担を地方債で充当する額が相対的に低く、Eグループ他県および全国に比較する と地方債への依存は低い。しかしながら、地方債歳入構成比や一人あたり地方債額のよう に相対的に高まっている指標もあり、徐々に地方債依存が高まり、公債費の増嵩により財 政がさらに硬直化していく可能性がある。沖縄県は財政の健全性に留意しつつ地方債発行 とその管理を慎重に行う必要があり、また市場公募債といった地方債による財源調達の多 様化を検討する余地がある。

【注】

(1)交付税措置が100%である臨時財政対策債の償還が本格化した2000年代後半以降、基準財政需要額 の総額は増加しているが、事業費補正の措置分は収束し、地方交付税の圧縮から他の単位費用や補正 係数が圧縮されているため、地方交付税措置がなされているとはいえ、自治体にとってその分交付税 額が増えているとは必ずしもいえない。

(2)財政力指数0.3未満の県は、2011年度では秋田県、岩手県、鳥取県、島根県、徳島県、高知県、長崎 県、鹿児島県、沖縄県の9県が含まれる。これら県は大都市から遠隔にあり、経済活動水準が低いこと から地方税収入も低く、自治体の財政は、国庫支出金、地方交付税、地方債といった国からの財源に 依存している。また沖縄県を除いて人口が減少し高齢化が進んでいる。

(3)地方財政法第5条の4は、次のような場合は許可制によるものとしている。第一は、地方財政健全 化法に定める実質赤字比率および実質公債費比率が一定水準を超える場合である。健全化法によれば、

実質赤字比率は標準財政規模に応じて、その2.5%から10%の間で段階的設定され、実質公債費比率は 18%を許可制移行基準とし、25%を超えると起債制限団体とされる。第二に、元利償還金の支払いに 遅延が生じている、あるいは過去に生じたことがあり、将来においても懸念のある団体、第三に協議 ないし許可を経ずに起債した団体や、書類の虚偽の記載を行う等の不正があった団体も協議ではなく 許可制のもとに置かれるとされる。第四に法定普通税のいずれかが標準税率未満である団体も許可制 の対象とされている。

(4)財政投融資は、郵便貯金や簡易保険の保険料、国民年金保険料等を旧大蔵省資金運用部に預託し、

資金運用部がそれを財政投融資機関に投資・融資することで運用するしくみであった。財政投融資改 革により、郵便貯金や年金積立金の資金運用部への預託義務が廃止され、それぞれ自主運用に転換れ

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るとともに、運用先である財投機関の整理・再編がおこなわれた。その後は、財政融資として、収益 性の低い財投機関の資金調達(財投債)や貸付け・回収業務を主として担うしくみに縮小されている。

「同意ある地方債」が借り入れできる公的資金とは、主としてこの財政融資資金を意味している。

(5)2006年度に地方債協議制度が導入されことに伴い、実質公債費比率が指標として導入され、地方債 発行に制限を設けている。実質公債費比率の過去三カ年平均が18%以上25%未満の自治体は公債負担 適正化計画の内容及び実施状況に応じて、また25%以上35%未満の自治体は財政健全化計画の内容及 び実施状況に応じて一般的な許可基準により地方債発行が許可される。35%以上の自治体は、地方公 共団体の財政の健全化に関する法律に基づく財政再生計画の策定が義務づけられ、総務大臣の同意を 得ない限り地方債の発行は制限される。

(6)沖縄振興開発特別措置法、 第110条において次のような地方債の配慮規定が定められている。「地方 公共団体が、沖縄振興計画に基づいて行う事業に要する経費に充てるために起こす地方債については、

国は地方公共団体の財政状況が許す限り起債できるよう、及び資金事情が許す限り財政融資資金をもっ て引き受けるよう特別の配慮をするものとする」。また、教育・福祉施設整備等事業のうち一般補助施 設整備事業について、原則として国庫補助を伴う事業のうち、①沖縄米軍基地所在市町村活性化特別 事業(起債充当率100%、元利償還金90%基準財政需要額算入措置)、②沖縄振興特別推進交付金事業(平 成24年度より)、経常的経費「沖縄振興特別推進交付金」を受けて実施する適債事業(賃貸工場、国際 物流貨物(航空貨物))が対象、起債充当率100%、元利償還金50%基準財政需要額に算入措置、③未 買収道路用地取得事業(沖縄県のみ)、起債充当率100%となっている。

【参考文献】

池宮城秀正編(2000)『地域の発展と財政』、八千代出版

池宮城秀正(2009)『琉球列島における公共部門の経済活動』、同文館 貝塚啓明編(2008)『分権化時代の地方財政』、中央経済社

三大学院協同出版編集委員会編(2011年)、松本源太郎・村上了太・菊池裕之『地方は復活する−北海道・

鹿児島・沖縄からの発信』、日本経済評論社

神野直彦編(2006)『三位一体改革と地方税財政―到着点と今後の課題』、学陽書房 武田公子(2011)『地域戦略と自治体行財政』、世界思想社

地方債制度研究会編(2013)『地方債』、地方財務協会

日本地方自治研究学会編(1998)『地方自治の先端理論』、勁草書房

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