情報システム論
第11回 情報システム実例②(流通業)
今後の予定
回 日 講義内容
⑩ 12/3 情報システム実例①(金融業)
⑪
12/10 情報システム実例②(流通業)⑫
12/17 情報システム実例③(製造業)⑬
12/24 情報システム実例④(エンタテイメント産業)⑭
1/7 まとめと振り返り(できなかった分をまとめて)⑮
1/21 授業時試験と振り返り今日の内容
流通情報システム
• 歴史をざっくりと
• あわせてセブンイレブンの情報システム
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流通情報システムの歴史概要
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『明日のIT経営のための情報システム発展史 流通業編』
経営情報学会情報システム発展史特設研究部会,2010.
前回の金融情報システムは……
金融情報システムには、信頼性、使用可能性、法令順 守性が特に強調される。理由は他の産業との比較で、
次の特徴による
① 情報システムの機能自体が、商品・サービスを直接的 に具現している(他産業においては業務を支援する位 置づけにあるのとは対照的である)
② 公共性が高い業務であり、規制色が強く、業界全体で の対応が求められる場面が多い。制度や標準化への対 応を「待ったなし」で迫られる
③ 扱う情報は顧客の金融資産情報であり、絶対的な正確 性が求められる。また、情報システムの利用者は顧客 自身であることが多い
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つまり
扱う情報は「比較的シンプル」であるといえる
• 「誰が、いくら持っているか」というデータベースの管理
基本的に他業種企業と情報のやりとりをする必要がない
• 情報の流れという意味では、比較的「閉じた」もの
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データベース
対して流通情報システムは
扱う情報が多岐にわたる
• 受発注、納品・受領、請求、決済処理 など
他企業との情報のやりとりが業務の基本となる
• どのような手順(通信方式や伝票形式)で行うかが肝となる
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セブンイレブン徹底解剖 ~ 情報システム より
http://www.sej.co.jp/company/aboutsej/info_01.html
改めてコンピュータの歴史
1940年頃~ 大型コンピュータの時代
1970年代 個人用コンピュータ
(パソコン)の登場 1980年代 パソコンを使った業務の普及
1990年代~ 徐々にグラフィカルに
1995年~ パソコンの家電化
(Windows95発売)2007年 iPhone 発売
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年表
日経XTECH、日経エレが目撃した電子産業・歴史の現場
【電子産業史】1984年:GUIとパソコン
https://tech.nikkeibp.co.jp/dm/article/COLUMN/20080807/156205/ より
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昭20 = 1945(終戦) 昭40 = 1965 平1= 1989
流通とは
生産と消費をつなぐもの
• 商品メーカ、卸売業、小売業の三者が主体
• それぞれの間で取引が行われ
(商流)、商品が流れ
(物流)、 付随して取引情報の伝達
(情流)が発生する
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日本の流通業の特徴
① 多様な流通機構の存在
スーパー、コンビニ、ディスカウントストア など
② 卸売業による多段階流通機構
③ 小売業の零細・過多性 など 流通革命
第1次 60年代 高度成長期、大量生産、大量流通、大量消費
スーパーマーケットなどの新しい小売業態の出現 第2次 91年~ バブル崩壊、大規模小売店舗法緩和
ディスカウントストア、外国企業の参入 価格破壊、流通機構改革
第3次 ? 消費者主導?
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流通情報システムの特徴
1. ①「企業内システム」 と ②「企業間取引システム」
① → 販売管理システム、在庫管理システム、受発注システム 会計システム、人事管理システム など
② → 企業間受発注システム、納品・受領システム 請求処理システム、決済システムなど
2. 最終顧客は消費者であり、売れるものを供給するシステム が必要
3. システム化に対して各種の標準化が前提となる
•
商品コードや企業コード、伝票形式、伝送形式を統一(標準化)しなければ企業間取引システムは実現不可
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標準化の例 JANコード
Japan Article Numberコードの略。流通の中で商品を識別 するための共通のコードとして広く利用されている。国際 的にはEAN
(European Article Number)コードと呼ばれ、アメ リカ、カナダにおけるUPC
(Universal Product Code)とも互換 性のある国際的な共通商品コードである。日本では一般財 団法人流通システム開発センターが管理している
(百科事典マイペディアより)
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一般財団法人 流通システム開発センター http://www.dsri.jp/jan/about_jan.htmlより
コードを利用したいメーカーは商工会議所 などを通じて同センターから自社のコード を取得する
流通業における情報システムの変遷
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大丸(百貨店)の「情報システムのねらい」の変遷
第1期
(1963年~)
省人・省力、業務精度向上に向けた「機械化システム」
日々発生する取引の集計や、毎月の買掛金支払い業務、給料計算などに膨大 なマンパワーを要していた
→ パンチカードからコンピュータへ(バッチ処理)
第2期
(1972年~)
顧客へのサービス向上に向けた「スピード化システム」
オンラインシステムのスタート(顧客からの配送依頼品の着否を専用端末か らリアルタイムで問い合わせ)
POSシステムの実験的導入 第3期
(1982年~)
少数人数での効率的店舗運営に向けた「店舗業務効率化支援システム」
POSシステムの全店導入、EOS実現への取り組み 情報システム部門の分社化
第4期
(1996年~)
商品管理・収益管理の徹底のための「営業支援システム」
POSで取得する情報の詳細化 第5期
(2002年~)
戦略遂行のための「戦略一体化システム」
「営業改革」「後方改革」を実現するためのツールとしての情報システム インターネットの活用
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セブンイレブン情報システムの歴史
セブンイレブンウェブサイト
セブンイレブン徹底解剖>情報システムの変遷
http://www.sej.co.jp/company/aboutsej/info_03.html
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流通情報システムのはじまり
1960年代~70年代前半 社内業務のコンピュータ化
• それまではパンチカードシステムによる処理
• 高度成長期により取引量が増加し、人手では困難な量に
• 流通業独自のシステムではない
70年代前半~ 企業内オンラインシステム化
• 1972 大丸
贈答品の着否問い合わせシステム
75年にシステムを拡大(受注処理、売上管理、販売支援など)
• 1972 キリンビール
本社、支店、倉庫間での受注出荷オンラインシステムの稼働
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1974 セブンイレブン第1号店 (豊洲)
1973 イトーヨーカ堂が米サウスランド社とライセンス契約
• 酒屋時より売上5割アップ、若い男性や子供も客層に
加工食品、日用雑貨など約100社の取引先(ベンダ)
• 発注はそれぞれに電話、すべてに発注書を書く必要があった
• 1日に70台のトラックが横付け、段ボールを置いていく
http://www.sej.co.jp/csr/feature/01.html
発注方法の改善 (過渡期的な方法)
① 商品リストを渡し、店舗側で発注数を記入してもらう
② 店舗担当社員が回収、事務所で伝票作成(パンチ入力)
③ 取引先に仕入伝票か磁気テープで注文を手渡し
回収が手間&パンチミスが発生
→
店舗が発注情報を直接入力し
電子データとして利用できる仕組み
が欲しい商品リスト
…
… 地区事務所
取引先向け 伝票
1978 発注システム(ターミナルセブン)の開発
日本電気(NEC)が(半年で)開発
世界初のチェーン店舗向け発注端末機
• 発注用バーコード台帳をペン型スキャナで読み取り、本部のコンピュー タへ転送(まだJANコードは普及していない)
• 本部は発注データを集約して取引先に伝票発行(郵送か手渡し)
店舗と取引先の両方で業務効率が大幅改善
発注量の適正化 → 売上が大幅増加
発注用バーコード台帳
(イメージ図)
EOS(Electronic Order System)
コンピュータによる発注システムのこと。流通業における 大きな変革の1つとされる
1974 ジャスコ(現イオン)
1978 セブンイレブン
• この時点では店舗と本部間でのオンライン化
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VAN(Value-Added Network:付加価値通信網)
1972年までは (電電公社の電話回線を利用して )民間 企業がデータ通信を行うことは禁止されていた
• 1972年 第1次通信回線開放(1対1の通信のみ)
• 1985年 第2次通信回線開放(データ処理を目的とした回線利用の自由化)
VAN事業の登場と普及
• NTTなど自前の回線を持つ事業者から回線を借りて、より高度な付 加価値のついた通信処理を行うサービス。インターネットの普及に 伴い、使われなくなっている
• VAN業者の提供するネットワークに加入することで、参加者相互間 でデータ通信が可能となるため、企業間オンラインシステムの普及 につながった
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1970年代後半 取引先企業との受発注オンライン実現
1979 セブンイレブン
• 取引先との受発注オンラインを実現するため、米国のコンピュータ と通信衛星を経由して情報伝達を行った
1981 ジャスコ
EOSと受発注オンラインシステムにより
• 小売店、取引先の両方における業務の効率化
• 小口多頻度発注の実現。毎日売れた分だけ発注することが可能とな り、店頭在庫の極小化、バックヤードの削減と売り場面積の拡大が 可能に
この時点では小売店と取引先企業間でのオンラインシステム
• 多数のメーカ、卸業、小売店で実現できるシステムが可能となった のはVANが登場してから
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1980年代 POSシステムの発展
POS(販売時点情報管理)
•
商品の販売時点(Point Of Sales)で、その商品に関する情 報(商品名や価格など)を収集し、管理するしくみのこと
•
本来は価格ミスや不正の防止などの目的
高島屋 1973 ギフト品向けにPOS導入、78年首都圏全館に
大丸 1975 POSの導入の開始、77年には全店に展開
POS導入は70年代前半から行われていたが、商品コードの統一化と、
バーコードを商品に取り付ける作業(ソースマーキング)の手間など から、導入する企業は少なかった
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1982 セブンイレブン POSシステムの導入
1982年 各店舗にPOSレジスタ導入開始
•
世界で初めてマーケティングにPOS情報を活用。
•
発注精度の向上と欠陥防止、個店対応と単品管理の深耕、
POS情報の活用、共同配送の推進等が大幅に進展
導入にあたり商品納入業者(約2000店舗)のすべてにソース
マーキング(JANコードによるバーコードの印刷)を求めたこ
とから、POSシステムの普及につながった
80年代後半~90年代
流通業におけるEOS、POS、VANの3つは融合的 に発展していった
• EOSデータ、POSデータはVANを経由して必要なところ に送られ、データの蓄積・分析が行われる
• 物流も含めた企業間の受発注取引も盛んに行われるよう になり、ビジネスの効率化とスピードアップ、競争戦略 や総合的な経営管理などに活用されるようになった
90年代に入り、単なるEOS(受発注情報)だけで なく、入荷検品、受領、売り上げ、仕入、請求支 払いなどを扱える企業間データ交換システムに発 展していった
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インターネット普及以後
インターネットを活用した電子商取引の発展
電子マネー・電子決済・RFIDの活用
RFID(radio frequency identifier)
•
近距離無線通信を用いた自動認識技術のこと
•
デンソーウェブサイト > 技術情報 > RFIDとは
https://www.denso-
wave.com/ja/adcd/fundamental/rfid/rfid/index.html
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標準化・EDIの流れ
「EOSあるいは企業間データ交換と呼ばれていたものがEDI と呼ばれるようになったのは90年代以降のことである」
EDI(Electronic Data Interchange:電子データ交換)
専用回線や通信回線を通じ、ネットワーク経由で標準的 な書式に統一された発注書、納品書、請求書などのビジ ネス文書を電子的に交換すること
(大塚商会 ID用語辞典より)
例
• 一般財団法人家電製品協会 > EDI標準化仕様
https://www.aeha.or.jp/project/edi/introduction.html
• 一般社団法人 日本鉄鋼連盟 >鉄鋼EDIセンター
http://www.jisf.or.jp/steeledi/edistand/edigaiyo.html
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EDIを利用した企業間の業務フロー
当然ながら発注側の発注データは受注側の受注データとなる
単なる受発注データのやりとりではなく、電子化されたデータがまっ たく無駄なく、お互いの基幹業務を流れることがわかる
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余談的に
ITmedia News「あなたの電話相手はもうAIか もしれない」
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1805/
13/news015.html
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標準化・EDIの流れと現状の問題点
(2010年時点)→ 授業内で
現在は、ISO規格のEDIFACT(Electronic Data Interchange for Administration, Commerce and Transport)シンタックスルールに基づく標準化が進んでおり、流通業 界でのEDIの標準仕様に「JEDICOS(Japan EDI for Commerce Systems)」がある。
インターネットを介するWeb-EDIも普及している。Web-EDIには、標準化を意識するこ となくデータ項目を変更できる、文字だけでなく画像を取り扱える、回線コストを削減 できるというメリットがある。流通業界では、JEDICOSをXML形式にした「JEDICOS- XML」も開発され、次世代EDIの環境整備が進んでいる
(大塚商会 ID用語辞典 https://www.otsuka-shokai.co.jp/words/edi.html より)
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まとめ:流通情報システムの貢献
流通情報システム経営への貢献
• 省力化によるコスト削減
• 在庫の削減
• 物流コストの削減(物流センターの再配置、配送計画の最適化など)
• 売上の増大(顧客管理、仮説検証などによる)
• 品切れによる機会損失の減少
• 店舗における業務改革(ハンディ端末など)