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Academic year: 2021

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オフィス空間における心理的時間のデザインに関する研究 A Research on Design of Psychological Time in an Office Space

̶知的生産性向上を目的とした時間提示̶

̶the Way to Display Time for the Purpose of Improving intellectual Productivity̶

5114E010-3  土肥 勇士郎      指導教員  長 幾朗 教授     DOI Yushiro              CHOH Ikuro

概要:  我々は、日常的に一様の時間経過に身を委ね時間を知覚している。しかし一方で、その心理状態の どの要因によって物理的な時間を錯誤してしまう。時計時間と呼ばれる物理的時間と、相対的に認知される 心理的時間の二つを持つことで、我々人間は時間経過に錯誤を生んでしまう。こういった錯誤があることは 古代から研究されてきたものの、現代においては物理時間のみが知的生産性を計測する尺度となっている。

だが、心理的時間も効率性や作業満足度、ひいては知的生産性に影響するのではないか、また評価軸となり うるのではないかと考えた。本研究では、心理的時間を可視化することで、効率性や作業満足度、知的生産 性を向上させることにつながるかを明らかとするため、知的生産性を人間の心理的時間で評価することを目 的として調査を行った。これらの調査を基に、情報処理と知識処理における物理的時間と心理的時間の錯誤 についての実験を行い、心理的時間の時間提示方法を提案した。

キーワード:物理的時間、心理的時間、時間評価、知的生産性、時間提示

Keywords: physical time, psychological time, time estimation, intellectual productivity

,display  time

1. はじめに 

  本研究では、情報処理と知的処理につい て、それぞれの物理的時間と心理的時間の錯 誤、関係性を評価し、互いに比較することで 考察される結果を基に、心理的時間の提示方 法を提案した。そのためにまず第1章では、

古代より行われている物理的時間と心理的時 間の考察、また、現代における物理的時間を 用いた知的生産性の評価方法について述べ た。次いで第 2 章では、時間知覚について、

知覚的な考察から評価方法までの考察をし、

本研究で対象とする時間について定義した。

第 3 章では、知的生産性が騒がれる現代のオ フィス空間について、その背景や定義、現在 行われている評価方法について述べた。第4 章では、時間知覚と知的生産性を検証するた め、情報処理と知的処理における物理的時 間、心理的時間の関係性を検証する実験を行 った。第 5 章では、実験の結果から、心理的 時間の提示方法を提案した。第 6 章では、本 論の発展性、およびこれからの展望について 言及した。

2. 時間知覚 

  時間知覚に関する研究は古代ギリシャ時代 から思想家たちの手によって問題定義がなさ れ、現在におけるまで様々な視点から考察さ れてきた。物理的時間と心理的時間の錯誤が あると認識しつつも、人々は物理的時間に重

点を置き、その精密性や、それを基準とした 評価を行ってきた。しかし心理的時間につい て、現在様々な研究分野から考察され続けて きたが、評価方法については困難を極めてい る。

 

3. 知的生産性 

  知識中心社会となった現代において、ナレ ッジワーカーという知識労働者、単なる労働 者とは異なり、知識を使った生産手段によっ て付加価値を生み出す存在となった。彼らは 1 日の大半をオフィスで過ごしており、その 環境が与える影響は大きい。知的生産性の定 義は目的によって異なるが、本研究において は、情報処理、知識処理、知的創造の 3 つの 階層に分類し、個人の知的生産性に着目し た。また、評価方法として認知タスクを用い る評価方法を採用した。

4. 実験 

  実験は、被験者

20

代の男性

4

名、女性

2

名、計

6

名に対して、個人デスクワークを想

定した情報処理作業を 4 回、知識処理作業を

2 回の計 6 回行った。情報処理作業におい

て、習熟や作業量の増加が心理的時間に及ぼ

す影響を測り、また、情報処理作業時と知識

処理作業時の心理的時間の差異を比較するこ

とで何らかの関係性を見出すことを目的とし

た。上記を目的とし、認知タスク評価法と秒

(2)

評価法を用いて検証を行い、以下の結果を得 た。

A)情報処理作業時

A-1)心理的時間は物理的時間を超えること A-2)作業量を 2 倍にすると、負荷がかかりエ ラーが増加したこと

A-3)習熟度が増加しても、心理的時間が物理 的時間を超えること

B)知識処理作業時

B-1)思考時間について、物理的時間と心理的 時間はほぼ一致していること

B-2)製作の過程において、その正確性が失わ れたこと

C)比較

C-1)知識処理作業においては正確性がある が、情報処理の場合に錯誤を生じる

また、実験 4 の結果から時間情報提示方法に ついて時間情報の連続表示・離散提示・非表 示、全 3 パターンにおける提示手法を用いた 追加実験を行い、知識処理作業において時間 非表示が最も有効な手段であることがわかっ た。

      表 1   情報処理作業実験結果

      表 2   知識処理作業実験結果

      5. 提案 

  実験結果を踏まえて、提案をする前にオフ ィス空間の環境と生産性の関係を調査した。

知的生産性と環境要因についての関係は明ら

かとなっている部分は多くないが、何らかの 影響があると考えられている背景から、空気 室、温熱環境、音環境、個人的環境制御可能 度、光環境など以外にも新たな環境要因を模 索する必要があると考える。

  以上の考察も加味し、情報処理作業時、知 識処理作業時の両者に対して心理的時間の提 示方法を提案した。情報処理作業時には、時 間経過速度を体感している心理的時間の早さ に合わせた色の変化の提示を提案した。

また、知識処理作業時には、実験結果から、

集中力や快適性が向上するよう非表示を提案 した。

  図 1   情報処理作業における時間表示

     

  図 2   知識処理作業における時間表示

6. 今後の展望 

  本研究では、不確定要素の多いとされてい る心理的時間に焦点を当て、知的生産性にお ける情報処理、知識処理との関係性について 調査した。本実験により、情報処理時と知識 処理時での物理的時間と心理的時間の差異に ついて確証を得たことで心理的時間に作用す る時間提示の提案に至った。

今後の展望として、情報処理、知識処理に向 けた提案の実装、効果の検証を行う必要があ る。また、本実験の対象外とした知識創造の 階層に向けた提案についても討究していかな ければならない。

参考文献:

[1]三戸秀樹・宮田洋「時間知覚研究とその周辺」関西学 院大学 (1979)

[2]上猶「執務空間の音環境が知的生産性に及ほす影響 について」東京大学大学院,(2009)

参照

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