令和3年度 愛知教育大学入学試験問題
標準的解答例または出題の意図及び評価の観点
【前期日程】 科目名:日本史 B
Ⅰ A
① いわゆる「大化の改新」によって、地方の豪族などが土地と人民を支配することを否定し、中央政 府が統一的な税制により、日本各地の人や物資を動員して自分たちの政策のために投入できる体制 を作っていこうとした。それによって②大軍を朝鮮半島に送って戦争をしたり、白村江の敗戦後に は西日本の各地に、唐・新羅の来襲を防ぐための城を築いたり、都を近江国の大津に遷したりする ことが可能になった。
【評価の観点】
① の方策をあげ、内容を具体的に説明できる。
② で国際的な対応をあげ、内容を具体的に説明できる。
以上を踏まえて、①と②が対応しており、その関連性を説明できている。
B
長田氏は、関係していたらしい土地や海が河川に面しており、その活動は水上交通に支えられていたと 考えられる。そのため、義朝は陸路ではなく、海上ルートで関東に逃れようとして、長田忠到を頼ったの であろう。
【評価の観点】
長田氏が水上交通と関わる点を指摘し、義朝が海路で関東に逃れようとしたことを推測できている。
C
① かつては信長は名古屋(那古野)で生まれたとされたものの、②現在は勝幡で生まれたというの が通説であろう。③なぜならば、父親の信秀がどこにいたのかで、信長の生誕地が左右されるから である。かつては、那古野城を奪ったあとに信長が生まれたことになっていたから、名古屋が生誕 地になった。現在はまだ信秀が勝幡にいて、名古屋に行かないうちに信長が生まれたことになって いるから、信長の生誕地は勝幡と考えられている。
【評価の観点】
① と②に的確に回答するとともに③でそれぞれの根拠とされていることを問題文から抽出し、比 較して変化の流れを説明できている。
出題意図:古代から中世の入手できる様々な資料を活かして説得力ある説明を構成する、社会科や歴史学 に携わるうえでの基本的情報活用能力をみる。
Ⅱ 問 1
A 紫衣 B 後水尾天皇 C 林羅山 D 熊沢蕃山 E 閑谷学校 F 日本国王 G シドッチ H 竹内式部 I 明和事件 J 安藤昌益 K 林子平 L 高野長英 M 徳川斉昭 N 松下村塾
問 2
(政策)末期養子の禁止の緩和
(理由)諸大名への強圧的な統制から融和に転換したから
別解も可(殉死の禁止など)
問 3 ③ → ② → ④ → ①
出題意図:江戸時代の思想・宗教と政治に関する基本的な理解を問う。江戸時代の政治の展開の中で、思 想・宗教の知識を整理して理解しているか、幕末の複雑な政治過程を理解しているかをみる。
Ⅲ
政党と軍部との関係を考えるとき、1932年の5・15事件に注目したい。この事件は、青年将校が 首相官邸を襲って立憲政友会総裁の犬養毅首相を暗殺した事件である。この事件は、昭和恐慌による経済 危機に対して、満州事変を引き起こすなど軍事行動で解決しようとした軍部の中に、当時の政党政治に不 満があったことが背景にある。1924年の加藤高明内閣以降続いた政党政治は、この事件で中断した。
現在、軍部は解体され、国会で多数を占める政党を基盤とする内閣によって、自衛隊もシビリアンコント ロールされている。5・15事件は、軍部主導の政治への反省から現在の政治制度が作られた点で歴史的 に重要な出来事だと考えた。
別解可(問題に即して2・26事件などを取り上げて論じてもよい)
【評価の観点】
① ~③の留意点を踏まえたうえで、現在の政治制度への影響を的確に述べている。
出題意図:20世紀の日本の政治の変化について、根拠をもとに筋道を立てて論述させることにより、歴 史理解と歴史を考察し表現する能力をみる。
令和3年度 愛知教育大学入学試験問題
標準的解答例または出題の意図及び評価の観点
【前期日程】 科目名:地歴(世界史 B)
Ⅰ
空欄補充(解答)
(1)オクタウィアヌス(アウグストゥス) (2)ササン
(3)テトラルキア(四帝分治制、四分統治) (4)ドミナトゥス(専制君主制)
(5)ビザンティウム (6)395 (7)オドアケル
問1(解答) マルクス=アウレリウス=アントニヌス 問2(解答例)
内乱の鎮圧と異民族侵入への対処のために軍事力の増強が必要となり、そのために都市に重税 が課せられるようになったから。
問3(解答)ラティフンディア(ラティフンディウム)
問4(解答)コロナトゥス
問5(解答)①アリウス派 ②ネストリウス派 問6(解答)民族:フン 人物:アッティラ 問7(解答)ハギア=ソフィア聖堂(聖ソフィア聖堂)
Ⅱ
空欄補充(解答)
(1)トゥール・ポワティエ間 (2)カロリング (3)ランゴバルド (4)800 (5)ギリシア正教会
問1(解答)タキトゥス
問2(解答)ダマスカス(ダマスクス)
問3(解答)レコンキスタ(国土回復運動)
問4(解答)E 問5(解答例)
ルートヴィヒ1世の死後、3人の息子ロタール、ルートヴィヒ、カールがフランク王国を三分 割して相続することを定めた条約。長兄ロタールが中部フランクを領有した。
Ⅲ
空欄補充(解答)
(1)南越 (2)光武帝 (3)安敦 (4)突厥(東突厥)
(5)高宗 (6)市舶司 (7)色目人 (8)海禁 (9)勘合符 (10)鄭成功
問1(解答)大月氏 問2(解答)漢委奴国王 問3(解答例)
倭国が朝鮮半島南部に進出し、北の高句麗などと対立する中で、中国王朝の権威により勢力を 認めてもらい、国際的な地位を高めようとした。
問4(解答)煬帝 問5(解答例)
征服した地域の部族の有力者に自治をあたえ、要所に都護府や都督府を置いて監督させる間接 的な統治方法であり、羈縻政策とよばれる。
問6(解答)北部:陳朝(大越)
中南部:チャンパー 問7(解答)(1)プラノ=カルピニ (2)マルコ=ポーロ 問8(解答例)
前期倭寇は14世紀ごろ、おもに日本列島西部から朝鮮半島・中国北部沿岸で活動した。
後期倭寇は16世紀ごろ、おもに中国東南部の沿岸で活動した。
問9(解答例)
琉球王国は17世紀以降、日本の薩摩藩の支配を受けながら、清の冊封国として朝貢を続ける という両属状態が続いていた。日本の明治政府は、1872年に琉球王国を琉球藩として朝貢を 止めさせ、1879年には琉球藩を廃して沖縄県を設置した。これを琉球処分という。その一方、
1874年には、琉球島民が台湾の先住民に殺害されたことを口実として台湾出兵を行い、さら に1894年には、やはり清の冊封国であった朝鮮の独立をめぐり日清戦争が勃発し、その講和 条約である下関条約が1895年に結ばれた。この結果として台湾が日本へと割譲されることに なった。(262字)
令和3年度 愛知教育大学入学試験問題
標準的解答例または出題の意図及び評価の観点
【前期日程】 科目名: 地理B
Ⅰ
(出題の意図)
・世界の気候や土壌の特徴、その形成に働く地理的諸要因に対する理解力を問う。
問1
問2
② 気候因子 ③ モンスーン
① 気候要素
⑥ ツンドラ ⑦ 小笠原(太平洋)
⑤ タイガ ⑧ シベリア
④ 二期作
⑨ オホーツク海 ⑩ やませ
(1) Cs イ (2) Dw ア
(3) Af エ (4) BS オ
(5) Aw ウ
問3
問4
北緯 50~60°付近では年間を通じて偏西風が吹くため、大陸西岸には恒常的に雨が もたらされ、内陸に向かうにしたがって海から離れて降水量が減少する。また大陸東岸 では海との距離が再び近くなるため降水量が増加する。(104 文字)
アフリカ大陸西岸や南アメリカ大陸西岸を北上する寒流によって低層の空気が冷や され、相対的に気温の高い上空との間で対流が生じにくくなるため、雨が降らずに砂 漠化が起こる。
Ⅱ
(出題の意図)
・オーストラリアを題材に、気候や生活文化、資源を含めた地誌を論理的に理解する能力を問う。
問1
問2
問3
問4
サバナ気候は夏に雨季、冬に乾季となる。日本の位置する北半球の夏は、南半球のオー ストラリアでは冬になる。そのため、この時期都市 B 周辺は乾季であったことが想定さ れ、晴天が続いたと考えられる。
オーストラリア先住民の聖地であるウルルに登頂する行為は、先住民にとって聖地を汚 す行為に当たるから。
イ ク
③
Ⅲ
(出題の意図)
・最近話題になっている SDGs を中心にした出題であり、これに今までもよく出題されている環境問題 や貿易を関連させた問題である。これによって、新しい話題について関心を持ち、それに既習事項を関連 させることができるかどうかを見る。問6については、地理的な見方・考え方が身についているのかを総 合的に見る問題である。
問1
①ストックホルム ②リオデジャネイロ ③ニューヨーク ④SDGs
問2
それまでは開発が進めば環境は破壊されるものと考えられていたが、「環境保護と開発は互いに反 するものではなく共存し得るもの」として捉えた点がのちに影響を与えることになった。
問3
こうしたことをなくすためには、身近なところでは、フードロス、つまり売れ残りや食べ残しなどの食 料の無駄を減らしたり、国家規模では食料自給率を高めたりすることが求められ、特に先進国以外に対し てはODA(政府開発援助)によって海水から真水を作る設備の開発を支援するなどの方策も考えられる。
問4
森林破壊の原因は、地域によってその状況は異なるが、最大の原因は商業伐採であり、鉱業開発、農 地や牧草地への転換、過度な木材採取等がそれに続いていると言われる。
問5
A アメリカ合衆国 B ロシア C カナダ D オーストラリア E 中華人民共和国
問6
「識字率」 イ :(理由)地図イでは欧米や日本などで高い割合を示している。一方、教育環境が よくないと考えられるアフリカの国々の割合が低くなっている。このことから地図イが識字率の地 図だと考えられる。
「若者の死亡率」 ウ :(理由)地図ウではアフリカが高い割合を示している。若者の死亡率は、
一般に衛生環境が良い先進国が低いことが考えられることから、衛生環境のよくない(死亡率も高 くなる)と思われるアフリカでの割合が多いと考えられる。また、地図ウは、スケールの最大値が
20%であり、地図イのそれは100%であることからも、地図ウが若者の死亡率であると考えられる。
「国土面積に占める森林面積の割合」 ア :(理由)地図アは、北欧(フィンランド)、日本、熱帯 の国々での割合が高い。これらの国々で共通していることと言えば、森林面積が広いと言うことが あてはまると考えられる。
Ⅳ
(出題の意図)
・地域調査に関わる基本的知識と技能のほか、それらをもとにした地理的思考力の基礎を問う。特に、日 本で有数な溜池地域を題材に,地形図の読図,グラフの読み取りから自然と人間の関係,地域変化等に関 わる基礎的な地理的技能と思考力を問うことを狙いとした。
問1
溜池の作りと地形との 関係
アの釜谷池は,南側に堤防があることから谷地的地形を利用した溜池の 作りであるのに対して,イの皿池は周囲が堤防であることから窪地を活 かした溜池の作りであることが理解できる。
大池から水が 流れる方向
記号 エ
理由 大池の東側のみに堤防があり,西側と南側は等高線の形状から高 くなっていることが読み取れるから。
問2
標 高と土 地利用の 関 係
溜池は,台地上の標高50m の等高線に囲まれた谷部分に立地する。標高 50m 以上の台地部分は,畑・空き地となっている。台地から明石川沿いの 低地には急崖がみられ,低地部分は標高20m台にあり,水田がひろがる。
1976年測量の地形図 の利用理由
溜池が住宅団地化されているように,地形が改変されていて,溜池と地形 の関係を調べることができないため。
問3
溜池廃止の面積は,1970年代前半までに集中する。その廃止後の土地の使われ方をみると,1960年代 前半には工場への転用面積が多く,60 年代後半になると住宅地の転用面積が多くなる。さらに 70 年代 前半には,学校施設の立地が最多となっている。このことから,溜池は,まず工業化のための工場用地と して転用され,それに伴う人口流入による住宅需要と年少人口の増加への対応策としてさらに廃止され ていったと考えられる。
問4
農地の減少により溜池の必要性は低下しているものの,他方で人口増加の停滞によりその転用圧力も 低下していることから適切な策が行われれば,溜池の存続は可能と考える。ただ,溜池の維持に関わる農 家が高齢化していることから,農家だけで維持していることは難しいことが課題であり,その解決策とし て地域住民全体が溜池に価値を見いだし,それを維持していく仕組みを構築する必要がある。