- 1 - 平成 24 年度「第2回マンション管理基礎セミナ-」 2013.02.23
[マンション長寿命化のための
大規模修繕工事4つのポイント」
「一般社団法人」マンションリフォ-ム技術協会 会長 「NPO」浜管ネット 技術者部会長 一級建築士 田邉 邦男◆ マンションの寿命と維持管理費
*マンションの寿命は?50年~60年:十数年前は減価償却年数が一つの目安 ・100 年の寿命:センチュリ-マンション(1990 年代)、その後の SI マンションの普及 ・200 年の寿命:「長期優良住宅の普及と促進」に関する法律 *マンションの「維持管理費用」は、建物一般では「運用・保全、修繕・更新」費用(FM) はLCC(建物の生涯費用)全体の 75%を占めると言われる。 マンションでは管理費+共用部修繕費用、(この他に専有部分の維持管理費が含まれ る)が該当、ここでは必要総修繕費となる。これらの費用の全てを自分たちで賄う。 *維持管理コスト(必要修繕費):10 年前頃までは 50~60 年間の修繕費総額に対する必要 修繕積立金は、分譲時より 1 万円/月・戸程度で対応できると言われていたが、近年 は 1.5~2.0/月・戸を要すると思われる。(大規模修繕工事の質の変化)◆ 大規模修繕工事と資金計画:
経年による老朽化への対応は、一般的に計画修繕工事 で行われるが、高経年による建物・設備の陳腐化への対応も必要となる。早い時期よ り長期修繕計画にも基づく資金計画が策定されていれば、高経年となっても、特に負 担が大きくなるとは考えられない。但し、見直し段階では積立額の改定も必要。◆ 修繕積立金、その制度と経緯:
長期修繕計画の作成率は 89%、修繕積立金制度は 90% を超える。しかし、高経年マンションでは大規模修繕時に資金不足となるものも多い。 ・入居当初はマンションの将来を考える余裕がなかったこと、また、30 年以前は建物の 高経年化、居住者の高齢化への対応の認識が不足していたことから、初期設定額はか なり低額であった。<マンションの長寿命化のための大規模修繕工事4つのポイント>
Ⅰ.マンションの長命化と「大規模修繕工事」の位置づけ
Ⅱ.「大規模修繕工事の進め方とパートナ-選び」
(大規模修繕工事の進め方のポイント、設計・監理方式と設計・施工方式)Ⅲ.工事竣工後の「アフタ-ケア-」
(工事完成保証と竣工後の性能保証)Ⅳ.大規模修繕工事の「資金計画」
(長期修繕計画と修繕積立金)- 2 - [一般社団法人]マンションリフォ-ム技術協会 会長 田邉 邦男
『マンション
長寿命化のための、
大規模修繕工事4つのポイント
』
平成24年度「第2回マンション基礎セミナ-」
2013.02.23 *工事の準備段階から竣工、アフタ- ケア-までのポイント *大規模修繕工事と資金計画■
マンションストックの現状
★
11年の段階では約570万戸、1/3弱が20年を超える状況
※81年以前のものは30年を超え、2012年では100万戸が30年
を超える状況。
超高層マンションも増えており、09年の時点で全国1000棟22万戸 ★100万戸(1棟の平均を60戸とすると)→約16,700棟 今後も増え続ける 1回目 2回目 3回目 ★ 増え続ける高経年マンション- 3 - 4
◆マンションの長命化と居住者の高齢化
*建物の高経年化:改修工事が増え高額となる。
居住者の高齢化:資金計画の問題
新築 40~50歳代 50~60歳代 60~70歳代 給水設備の改修 排水設備の改修 電気幹線の引き替え アルミサッシや玄関扉の更新 性 能 ・ 機 能 経年 1回目大規模 初期性能 改 良 補 修 改 修 一般的な住宅水準 (社会変化により向上) 向 上 劣 化 (法改正等により向上)許容可能な住宅水準 修 繕 改 良 補 修 修繕 改 良 補 修 修 繕 2回目大規模 3回目大規模 30~40歳代◆マンションの長命化と大規模修繕工事の位置づけ
◆経年によるマンションの大規模修繕工事の変遷
*第Ⅰステージ「第1~第4回目」(60年間)までの大規模修繕工事の内容は? 第2回目以降は設備工事・マンションのグレ-ドアップ工事が加わる *長期修繕計画の重要性:大規模修繕工事内容は長期計画で決められる ★第4回48年目より ❐コメント:ここでは大規模修繕周期を 12 年で想定、しかし、近年は周期の延伸も検討中。- 4 -
◆ 経年によるマンションの傷み・陳腐化、高齢化対応
建物の高経年化と、居住者の高齢化
「マンションの二つの老い」(1)物理的老朽化の問題と対応
■
経年による建物各部位の傷み
★ 改良・改善を含めた大規模修繕工事で対応。工事内容の検討、 設備ではシステム変更等の検討も必要。(2)相対的(社会的)老朽化への対応
★
建物・設備の陳腐化の問題
・生活水準に対応できる住居の機能改善の検討が必要。 専有部分を含めたマンション全体のグレ-ドアップの検討★
住戸の多様性と、住まい方の提案
「マンション再生」
(3)居住者の高齢化への対応
★
居住者の高齢化とバリアフリ-化への対応
・階段の手摺設置、スロ-プ、エレベ-タ-新設等の検討☆
資金計画と修繕工事の優先順位
・ どこまでグレ-ドアップが可能か、マンション規模の影響◆ マンションの大規模修繕工事
■ 第1回目の大規模修繕
[築後10~12年、外壁修繕が主体] ★ 外壁改修工事を主体としたもの、関連工事も同時施工。「みすぼらしくなっ た 建物を、新築時の姿に戻そう」がコンセプト。初期性能の回復■ 第2回目の大規模修繕
[築後24~30年、外壁・屋根・設備] ★ 修繕・改修のみでなく更新も必要。「新しい部材やパ-ツ」での改良修繕。 建物関連だけでなく設備工事も増えてくる。「建物改修+設備改修」■ 第3回目の大規模修繕
[築後36~45年、改良・更新] ★ 建物を構成する全ての部材の修繕周期が概ね一巡する時期。1.経年による大規模修繕工事の変遷
■ 第4回目以降の大規模修繕
[築後48~60年、改良・更新] ★「新築マンションと同レベルまでのグレ-ドアップ」が目標 ※築後60年目までの段階では、大規模修繕工事の周期によってその内容 は大きく異なる。12年周期では4回目、15年周期では3回目となる。資料-1
❐ コメント:大規模修繕工事の修繕周期は「建物の仕組み」によって異なる。概ね 10 ~15 年であるが、近年は材料・工法の進化により延伸する傾向にある。- 5 - ◆タイル劣化部 の改修(1) ★全体の劣化状況 ★バルコニ-鼻先の劣 化状況.亀裂・浮き・ 剥落 ※劣化部の拡大写真 ・バルコニ-の手摺壁は全面タイル張り ・鼻先部分(天井とのコ-ナ-部分) のタイルの亀裂・浮きが著しい ・一部、剥落した部位もある。
■ マンションの建築・設備の大規模修繕工事
◆ 建物構造躯体・仕上げ材 の経年劣化と傷み ★ コンクリ-ト躯体のひび割れ ・パラペット廻りのひび割れ・漏水 ★外壁改修工事における止 水・防水等の必要性 ★躯体改修(ひび割れ補修)の上、防水 性の高い塗材で塗替え *パラペット立上がり部の改修後の状態 ■第1回目の大規模修繕工事 *ルーフバルコニ-のパラペット 立上がり部の劣化 ★ステンレスピン打設 定規枠取付け・下地モルタル塗り ◆タイル劣化部の改修 ・バルコニ-鼻先劣化部 ・タイル・モルタルの劣化部のハツリ ★施工中 (部分改修12年、全面改修24年) ★屋根防水改修は単独工事も可能 ★屋根平場、パラペット廻り の防水層の劣化 ☆屋根防水改修 *防水層の全面改修 ・平場・パラペット廻り・庇見付け 廻りをシ-ト防水で全面改修 ◆ 屋根防水改修 *風雨の影響による塗装の劣化と錆び の発生 *コンクリ-トへの金物埋込み部廻りの錆 びによる劣化、鉄部塗装の不良箇所。 写真右:バルコニ-手摺廻りの錆による傷み 写真左:バルコニ-の手摺交換 ・スチ-ル製品をアルミ製品に全面交換し ているもの。 ・支柱の付け根部はシ-リング処理するこ とが重要。(雨水の浸透を防ぐ) ◆ 鉄部・金物類の改修 ★ 第2回・第3回目の大規模修繕 ★ 経年により大規模修繕工事の内容は異 なり、第1回目の建物関連工事は「お化粧 直し」的な要素(仕上げ材の改修)が多い。 但し、建設時点での施工不良には注意。 ★ 第2回目以降も構造体の劣化への対応 (躯体改修)と仕上改修は変わらない。一 定周期で毎回行われる「基本的」工事内容 ★ これらの基本工事の他、経年による鉄 部・金物類の改修が2回目以降出てくる。 ★ 20 年目以降以降では、建物関係の他に 設備関係の改修工事が出てくる。これらの 工事は経年劣化への対応の他に、性能向上 を目的としたものもある。- 6 - 屋上 ①高置水槽 ②避雷針 ③テレビアンテナ 敷地内施設 ①受水槽 ②ポンプ室 ③電気室 エレベーター ①エレベーター機械室 ②カゴ・枠・扉 防災設備 ①屋内消火栓 ②連結送水管 ③自動火災報知器 ④非常警報 ⑤消火器 メーターボックス・パイプシャフト ①給水管 ②ガス管 ③排水管 ④電気幹線 ⑤テレビ・電話・インターホン 専有部 ①給湯設備 ②換気設備 ③住設機器 風呂・キッチン・洗面 ④給水・給湯・ガス・排水管 ⑤電灯・テレビ・電話・インターホン
★
様々な設備・機器の部品交換・更新
★建築の大規模修繕工事との関連
■ マンション設備の改修(
連続した共用部分・専有部分配管)
◆ 給排水管・設備機器の劣化 ★ 給水・排水管の劣化 ・配管内部の錆びによる 劣化が著しい ・設備機器の劣化、受水 槽・ポンプ類の劣化 *経年25~35年 ◆ 給水配管の変遷 と劣化への対応(*配 管の材種により異なる) *従来の排水方式を、改修の際に新方式とする 排水管内の流れをスムーズにする ★単管式排水システム ※最近のマンションで多く採用、1本の配管、 継手 内で排水と通気を分離し排水 ★従来の排水方式 ★排水管の改修と方式の変更 ★ 下階天井裏での配管(浴室廻り) ・上階の床上配管に改修する。 ❐コメント:マンションには様々な設備機器・配管が設けられている。これらも全て計画修 繕工事の対象となる。但し、設備関係はマンションの規模・建設年代により異なる。 ◆ 従来は高置水槽方式 ・新築マンションは圧力ポンプ方 式が多い ・最近は中小規模では増圧直 結給水方式が出ている。 ● 既存マンションの改修 ★ 給水管の改修 ★ 給水システムの変更 (水槽の撤去) 受水槽 圧力ポンプ方式 高置水槽 受水槽 増圧ポンプ 増圧直結給水方式 高置水槽方式 高置水槽 受水槽 ■ 給水設備改修の事例 (システムの変換)- 7 -
■ 計画修繕「大規模修繕工事」の進め方
□ 大規模修繕実施の発案
☆長期修繕計画による予測時期 *長期修繕計画はあくまで予測のもの 工事実施に際しては、必要性を検討 ☆ 管理会社よりの提案・日常の状況を把握するステップ-1.大規模修繕の企画・立案
□実行のための組織づくり
:
理事会主導型、実行委員会型 ☆何から始めたらよいのか、基本方針を決める◆ パートナ-選び
(専門家の協力が必要) ☆設計・監理方式か、設計・施工方式か? *学習会・他のマンションの事例調査・見学ステップ-2.実行のための組織づくり
とパートナ-選び
★ポイント
*工事の必要性の検討 ・早すぎても、遅すぎても問題 建物の傷みの状況を把握し て実施する。日常の点検が重 要となる。 *実施のための組織づくり ・マンションの規模により異 なる。*専門家の協力を得る
・パートナ-の参加が不可 欠。これにより進め方が異な る。 ❐コメント:ステップ 3~5までの作業は専門家の協力が必要、施工業者選定と直接関連する大規模修繕工事の
進め方
★ステップ1~10までの内容
☆パートナ-選びの重要性
☆保証期間と保証の内容
- 8 -
◆『設計・監理方式』(設計事務所)の場合
【選ぶ時の理由】
①大規模修繕に必要な工事範囲・内容や、工事の優先順位等を客観的に 判断をしてもらうことができる。 ②技術面や経済面における的確な修繕方法を明示してもらう。 ③大規模修繕のための設計図書を作成してもらい、公正で公平な施工会社 選定をすることができる。また、さまざまなアドバイスの期待も。 ④工事の質を確保するための、管理組合の立場に立った適切な工事監理 をしてもらうことができる。【選ばれない理由】
①工事費とは別に設計・工事監理のための費用がかかる。また、設計監理 の費用は高いのでは・・・。マンションのことをどの程度知っているのか? ②管理会社に任せておけば万事うまくいくはず。部外者をわざわざ入れる必 要があるのだろうか? ③信頼できる設計事務所をどうやって探すのかわからない。また、設計 事務所を選ぶ時の判断基準は? ・その実態◆ 『設計・施工方式』 管理会社の場合
【選ぶ時の理由】
①通常の管理業務を行っているので、施工後のアフターサービ スやクレーム 対応が期待できる。 ②管理組合の理事の負担が少なくて済む ③理事が短期間で交替する。継続的に関わっている信頼のある管理会社で あれば安心感が持てる ④診断や監理等に特別な費用がかからない、かかっても、かなり安価のはず ⑤会社が大きい、いろいろな情報を持っているように思える。 ⑥借入等がある場合、事務的な代行など、全て手続きをしてもらえる。【選ばれない時の理由】
①下請けに「丸投げ」するのではないか。「トンネル会社」ではないか。 ②工事の内容や費用を比較できない。特命となるため価格の競争ができない ③複数の見積りを取らないと、管理組合の総会で追及され問題となる。 ④日頃の対応を見ていて、とても信用できない、技術力があるようには思えな い。(管理組合と管理会社との信頼関係の問題)- 9 -
□ 建物の現状把握 「調査・診断」
☆建物・設備等の現状は *どの程度傷んでいるのか?傷みの原因は? 経年による劣化なのか、他の原因なのか。 ・傷みの状況→原因の解明→処方箋をつくる ☆ 居住者に知らせる→広報の重要性ステップ-3.建物の状態を知る
□工事範囲・工事内容の検討
☆どのような内容の工事をいつ頃行うか? *修繕+改善=改修 ・ 当初機能への修復から、改善・改良へ◆ 資金計画:どの程度の費用を要する
のか。今後の資金計画の検討も必要
☆実施時期と積立金の累積状況のチェックステップ-4.基本計画 「設計」
★ポイント
*建物等の調査・診断 ・調査・診断は工事内容・仕 様・工法の検討に欠かせない もの。これを基に基本計画を 行う。 *工事範囲・内容、実施の 時期、工事予算の検討 ・大まかな工事費の把握が 必要。 ・予算が大幅に不足する場 合は、計画全体の見直しが 必要となる。★居住者説明会の開催
・必要により居住者説明会を 開催する場合もある。□ 詳細な設計 「仕様・工法の検討」
☆どのような箇所を、どのように直すのか? *調査・診断を基に処方箋を決める。 ☆ 工事の優先順位を決めておく *大規模修繕工事の目的を明確にする。 ★ 工事費の把握「どの程度の費用を要するか」ステップ-5.実施設計
□施工業者の選定をどのように行うか
☆「設計監理方式」の場合 ・複数社による競争見積 (競争原理を導入) ★「設計・施工方式」の場合 ・施工会社(メンテナンス会社)、管理会社等 ・技術力のあるもの、相互の信頼関係が重要◆ 選定の経緯はガラス張りに
*経緯を明らかに、納得のいく説明が必要ステップ-6.施工業者の選定
★ポイント
*仕様・工法の検討 ・重点工事は何か? 予算との関係で優先順位を 決めておく。 ・第1回目、第2回~第3回目 と工事内容は変わってくる。 ・資金の過不足:工事費はあ る程度余裕が必要 *施工業者の選定は管理 組合としては重要な作業。 ・選定の経緯は、後日説明 できるものとしておく ・最終決定の判断、工事金 額だけで決めるのは問題 ・「安い」ことだけで、決める ことには注意が必要。- 10 -
□ 総会決議
☆工事内容、施工会社、工期、工事金額の承認☆ 工事請負契約の締結
*見積もり内容の確認。設計変更等の処置★ 工事の発注
□設計監理方式の場合は工事監理委託契約ステップ-7.総会、工事の契約・発注
□ 工事実施に際して管理組合の対応
・誰がどのように対応するのか (役割分担が 必要、特に仕様変更、工事費の変更がある)★居住者説明会
・工事の具体的内容、協力体制、注意事項等 ・通常、施工会社が行うステップ-8.工事実施体制の検討・
居住者説明会の開催
★ポイント
*総会承認 ・一般的な大規模修繕工事は 普通決議(過半数決議) ・共用部分の変更を伴う場合 は3/4以上の特別多数決議。 ・資金計画:修繕積立金の取 り崩し、借入(普通決議) ※大規模修繕工事では、でき るだけ全員の同意が望まれる *居住者説明会 ・工事準備の最終段階 特に在宅を必要とする工事 には注意が必要 ・資料作成等は施工会社が 行う□ 工事期間
(マンションの規模により異なる) *工期、春にするか、秋にするか? ☆改修工事に設計・仕様変更は付きもの ・ 調査の段階で判明しない問題も多い。どのよ うに対応するか、迅速な対応が必要□「実費精算」を契約に入れる。
ステップ-9.工事実施段階
□ 性能(瑕疵)保証とアフタ-ケア-
・工事完了後の対応が、施工会社の信用となる。★保証期間と点検時期を契約に入れる
・点検の実施、点検の時期:通常1・3・5年、工事 内容により7・10年が加わる。 *点検結果の報告、無償か有償かの問題 ☆ 工事資料の整理・保管:
次回の重要な資料ステップ-10.工事の竣工
★ポイント
*工事期間
(工事内容によっても異なる) ・一般に1棟型では3~4ヵ月 程度、団地型では6~8ヵ月以 上を要するものもある。*「実費精算」方式
・調査段階では数量が確定で きないものもある。契約段階で は予測数量、工事完了後に精 算する。*性能保証
・保証期間:工事内容により 異なるが、長ければ良いと いうものではない。期間より も内容が問題 ・点検結果の判断:無償か 有償かの判断が問題- 11 -
◆ 大規模修繕工事における保証とは?
・ 工事完成保証と、性能・品質保証(瑕疵保証)
A.工事完成保証(工事完成履行保証)
(1) 同業他社の保証:従来の一般的な手法。同業者の保証人を立て、 工事続行不能となった場合等、工事を引き継ぎ完成させる (2)保険会社による保証:工事完成履行保険を保険会社が扱う。公共工事を 主としたもの、民間工事でも事例あり。工事費に対する金銭保証、 過払い金などの発生がある場合が対象となるケ-ス。 (3)保証機関による保証: ①全国マスチック事業協同組合 ②一般社団「マンション計画修繕施工協会」(完成保証+性能保証)B.工事完成後の性能保証(瑕疵保証)
※工事完成後使用されている材料・工法によって一定の性能(品質)保証 期限を決め、一定の条件の下で、元請業者・メ-カ-・下請け業者の3 社による連名保証。 *保険制度.近年、大規模修繕工事においても、瑕疵担保責任制度が発足、 国交省認可の任意保険として発足している。■ 工事竣工後のアフタ-ケア-
1.大規模修繕工事における保証対象となる工事種目
・ マンションの大規模修繕工事、保証対象となる工事と内容は?★マンションの改修工事(大規模修繕工事)の内容
・外壁改修工事:外壁(塗装・タイル貼り)、躯体改修、屋根・床(バルコニ-・ 階段・廊下)防水改修、鉄部塗装・ 金物類改修等、の修繕+改良+更新工事2.保証期間と保証内容
◆ 工事種別、保証期間と保障の内容
① 外壁躯体改修(下地補修): 5~8年 *亀裂・鉄筋露出等の再発 ② シーリング工事(目地・開口部廻り): 5~7年 *施工箇所よりの漏水 ③ 外壁塗装工事(塗装): 5~6年 *塗膜の剥がれ、著しい変退色 ④ 鉄部塗装工事: 2~3年 *塗膜の剥がれ、錆びの発生 ⑤ 床防水工事(バルコニ-・階段・廊下):ウレタン塗膜、塩ビシ-ト等5年 (仕様により保証期間は異なる)*漏水 ⑥ 屋根防水(さまざまな仕様がある):全て10年 *漏水 ※これらの保証期間は一般的なもの、部位・仕様により期間は異なる *保証期間 : 標準耐用年数の50~80%程度の年数◆ 保証期間と保証の内容
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◆ 保険制度と保証期間中のアフタ-ケア
★ 工事竣工後の定期点検
※ 工事種別に1・3・5・7・10年目の定期点検(工事内容により異なる) ・基本的には工事業者が行い、管理組合に報告。必要によりアンケ-トを行う★ 設計事務所の立会い
:
1年目は無償、2年目以降は有償が多い ・竣工後7・10年目は忘れられがち、工事経歴の保存の重要性 ※ 点検結果の不具合箇所の発見、瑕疵の対象か、有償による保証か、 その判断は? 設計・監理者の的確な判断が求められる。(1) 保険制度
※ 保険の内容と問題点 *設計事務所が求める性能保証内容と、瑕疵担保責任保険との保証内容の 違い (保険制度の場合、対象となる部分が限定されており、保証内容・保 証期間が異なる) *保険契約の保険料→1住棟の延べ床面積に応じた保険料+検査料 *保険制度には、工事完成保証はない。「近年、瑕疵担保保険と工事完成保 証をセットとしたものがある」(「一般社団」マンション計画修繕施工協会)(2) 保険期間中のアフタ-ケア
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◆コンサルタント選定のプロセス
2.第2段階:大規模修繕工事に関する具体内容の問い合わせ
● 第1段階での書類選考後、候補事務所に具体内容の資料提供を要請 (1)類似規模のマンション実績 (2)担当予定者の資格・実績 (3)受注 時の設計・監理体制 (4)設計工事監理等に要する費用(5)経営内容3.第3段階:面接審査(設計事務所へのヒヤリング)
● 第2段階の審査により更に候補を絞り、面接審査を行う。 ☆ 事務所の過去の業務実績、実施体制、設計・監理費用の説明 ☆ 大規模修繕・関連工事のリピ-タ-状況、長期修繕計画等の実績 ☆ 担当者への質問に対する回答状況、能力・人格・人柄(組合との相性)4.最終決定:面接(ヒヤリング)結果により最終決定
● 管理組合担当者での採点結果、意見交換により最終決定1.第1段階:候補事務所の選定作業
(設計事務所の経歴等の収集) ● 事務所概要、経歴、大規模修繕工事等の実績(一般的に用意されている) ((財)マン管センタ-、事務所協会、各地域の居住者団体よりの資料の収集) 第1段階より第3段階を経て最終決定- 13 -
◆ 大規模修繕工事のコンサルタント業務費用
① 50戸以下「小規模マンション」:250~350万円程度 ② 51~100戸「市街地1棟型のマンション」:350~500万円程度 ③ 101戸~200戸「1棟型、小規模団地型のもの」:500~700万円 ④ 201~400戸「中規模団地型のもの」:700~1,000万円 ⑤ 401戸~600戸「中規模・大規模団地型」:1,000~1,200万円 ⑥ 601戸以上「郊外大規模団地型」:1,200~1,500万円程度 ※業務費用の目安(MUコンサルタント選定マニュアルより) :調査診断、設計、施工会社選定支援、工事監理の業務費用 *業務内容を基に、業務量を必要日数などで算出、技術者区分(E)ランクで計算、経費 は直接・間接で直接人件費と同額としたもの。 *多数棟型の団地、低層、中層、高層、超高層マンション、雁行型、住戸タイプの 多いもの、斜面地に立地するマンション、マンションの経年などの条件によって変わる。 ★業務費用の違いと特徴:人件費の単価の設定、必要業務日数の違い、 経費の扱い。◆ NPO 浜管ネットのマンション支援事業
★小規模マンションの大規模修繕工事の設計・工事監修
2)工事監修業務
① 工事説明会の資料作成協力、施工計画書・要領書等の確認・検討・協 議、主要工程での品質の重点確認、追加変更・契約金額の増減を、3 者協議にて確認。 ② 足場解体前の重点検査、竣工検査及び竣工図書の確認。 ③ 2週間に1回程度の定例会、月に1回程度の工程協議会を基本とする。●
施工会社既定ケ-ス(責任施工会社が既定)
1)設計監修業務
① 浜管ネットの技術者部会にて監修担当者を選定、現地調査・確認、施工者 作成の改修仕様・見積書等の設計図書の検討・協議 ② 組合、施工者、監修者の3者協議により工事内容を確定する。 ・小規模マンション(30戸未満)の大規模修繕、施工会社の「責任施工方式」 を前提に、設計・施工の内容を技術者部会の担当者が監修する。- 14 - ※1階EVホ-ル・ピロティ廻り の改修. ・第2回目の大規模修繕工事 ★改修前 ★改修後 ・ビロティ庇の鉄骨金網張りの錆び による劣化 ・ピロティ部への風雨の吹き込み ・エントランスホ-ルとしてのデザイン・ 機能の陳腐化 ・庇をアルミ板・ル-バ-でデザイン ・防風スクリ-ン新設 ■エントランス廻りのグレードアップ ☆エントランス扉を自動扉に更新 車椅子対応(バリアフリ-)としたもの。 ☆外回り仕上材(床・壁・天井)も全面的 に変更・明るいものとしている。 •★従来の玄関ホ- ル廻り ■玄関外部廻りのグレ-ドアップ ◆玄関ホ-ル廻りの改修 *マンション共用部の玄関ホ-ル廻りを グレ-ドアップして改修する。 *玄関ホ-ルの使われ方の再検討。壁・床・ 天井等の内装の改修、建具関係の更新 写真右:玄関ホ-ルに設けられた集合郵便受 けの更新。アルミ・ステンレス製品に更新。 写真左:玄関ホ-ル扉の改修 ・スチ-ルドア-をステンレス製の自 動扉(片引き戸)に更新。全面交換 しているもの。 ・引越し等の際には、折りたたみ式 で全部が開くもの。 ■玄関ホ-ル廻りの改修 ★マンション共用部の玄関ホ-ル廻りを グレ-ドアップして改修する。 *玄関ホ-ルの使われ方の再検討。壁・床・ 天井等の内装の改修、建具関係の更新 ☆従来の玄関ホ-ル *全体に 暗い感じがするため、 使い方を含めて再検討。大規 模修繕工事の目玉となってい た。
マンション共用部分
のグレードアップ工事
★第2回目・3回目の大規模修
繕工事での対応
・建物全体の機能・性能の向上
・高齢化に対してのバリアフリ-対応
◆ マンション共用部分のグレ-ドアップ事例- 15 - 2基あるうち1基(トランク付き)を車椅子仕様 にして更新した。 かご内部には手摺、ミラー、車椅子用インジ ゲータ。 乗り場の車椅子用インジゲータ設置のため に躯体の穴明けが必要となる。 ★エレベ-タ-の新設の課題 *中層階段室型マンションの大きな問題 ■エレベーターの更新とバリアフリー ■給水設備の配管更新 ★パイプシャフト内の給水配管の更新、 給水立て主管、枝管廻りの配管を更新 ◆給水方式の変更 ★給水方式を従来のポンプ圧送方式 から直結増圧方式に変更、妻壁面に 増圧ポンプの設置 ■ 改修後 ・階段の方が楽な人もいるので併用とし、 手摺を設けた。 ◆ エントランス廻りのバリアフリー ■ 改修前 ・道路からの段差があったがスロープを付 ける余裕はなかった。 ■ 改修後 ・これだけの段差を昇降 ■改修後 完成披露会 ◆ 昇降機によるバリアフリー *エントランス廻り ★防犯カメラの設置 ★屋外照明器具 の設置 ★エントランス アプロ-チの 整備 ◆屋外環境の整備 1階のピロティ部分の鉄骨ブレース補強(工事中) 1階のピロティ部分を鉄骨ブレースで補強 ■ 耐震改修
- 16 - ■ 住戸玄関扉のグレ-ドアップ更新 (カバ-工法) ★いつ頃に行うか? *第3回目~第4回目の大規模 修繕工事、費用が高額、資金計 画との関連 ★ 住戸玄関扉の更新 ・防犯性、耐震性、断熱性の向上 ・実際にドア枠の歪みが10mm程度になると (面内変形の場合)ドアの開閉に必要な力は 100Kg以上になり「女性の力では開かない」 と言われている。 ・また、ドア枠の歪みが17mmになると(層間変 形角:1/120)(面内変形の場合)ドアの開閉に必 要な力は200Kg以上になり 「人間の力では開かない」と言われている。 ★ 玄関扉の耐震対策 *既存の枠を残し、新たに枠を被せる 障子は新規に制作する。 ・ガラスの性能(ペアガラスによる 断熱・防火・防音等の性能・LOW-E) ★ 窓サッシの更新(カバ-工法) *カバ-工 法のサッシ 上枠廻りの 仕組み *カバ-工法 サッシ下枠廻り の仕組み ・新規の障子 ■ 住戸窓サッシのグレ-ドアップ更新 (1) ■ 住戸窓サッシのグレ-ドアップ更新 (2) ◆二重サッシによる工法 ・上枠廻り ・下枠廻り ペアガラス ★既存サッシの内側に新たに窓サッシ を設けるもの、防音効果は大きい ・外壁を外断熱仕様にする場合は、断 熱材の納まりの関係で外側に設置
マンション住戸廻り
のグレードアップ
★共用部分であるが、
住戸廻りに関連するもの
・玄関扉、窓サッシ等の性能向上
◆ 玄関扉、窓サッシは専有・共用の領域が明確でないものもある。- 17 - 将来用予備配管 (ガス管更新用) 給水管 給湯管 排水管 給水管 ① 廊下 配管工事 ② 浴室 配管工事 ■住戸内工事 給湯管 ★住戸内専有部分の配管更新 ★住戸内給湯器より台 所・洗面所への給水・給 湯配管を更新。廊下の床 下にころばし配管 ★浴室内の設備配管更新.ユ ニットバスの床下配管の状況 ◆ 給水・排水・給湯管の更新 洗面所床解体及び新規配管 トイレ裏PS壁解体及び新規配管 流し台床解体及び新規配管 流し台床解体及び新規配管 ◆専有部給水管更新工事 <床等解体及び配管更新状況> 更新管:HIVP ■給湯器更新工事 (容量アップのための更新 オプション工事) ①コンクリートはつり、配管工事 ②モルタル補修 ③仕上復旧 ダイニング バルコニーに壁 掛給湯器を設 置 配管の外壁貫 通は、既存予 備配管スリーブ を利用します ④配管貫通部囲い造作 床面はつり、配管施工後、復旧 給湯器を屋 外に設置す ることにより、 浴室のス ペースを最 大限に利用 できます 浴室 床開口部復旧 床仕上げ作業完了 ◆専有部給水管更新工事 ★床復旧・仕上 ◆ 専有部分の設備配管改修は、建築工事も同時に行うものが多い。
マンション専有部分
の設備改修
★専有部分の設備関係の改修
・給水、排水、給湯配管等の更新、
耐久性の向上
・専有部分の設備機能・性能の向上
- 18 -
大規模修繕工事と
資金計画
★ 大規模修繕工事内容と工事費
・大規模修繕に要する費用は
★ 長期修繕計画と大規模修繕工事費
★「マンションの長命化」その財源と資金計画
資料-2
0 50 100 150 200 250 No.1-Ph No.16-Dt No.28-Tn No.31-Yn No.32-Ks No.36-Tk No.38-Rt No.42-Th No.43-Rs No.44-Sh No.45-Os No.52-An No.4-Nm No.5-Cm No.6-Al No.7-Ch No.9-Tm No.19-Mg No.21-Sk No.25-Pt No.26-Nt No.35-Lk No.39-Ek No.40-Jc No.46-Lp No.8-Gc No.11-Eb No.29-Tb 外壁+屋根防水+鉄部塗替 外壁+鉄部塗替 設備関係工事 建築+設備 エレベーター工事 工事費万円/戸 (50戸程度の比較的小規模な マンションの事例) ★第1回目の大規模修繕工事 ・外壁+屋根+鉄部塗装等.56~ 128万円/戸 平均98万円/戸 ★第2回目の大規模修繕工事 ・外壁+屋根+鉄部塗装等.73~ 227万円/戸 平均118万円/戸 第1回目の工事 第2回目の工事 ・工事内容で異なる ◆第1回と第2回目の工事費の 違い ・第1回目:外壁等の基本工事 ・第2回目:外壁等の他、屋根・ 設備等が加わり、かなり異なる。 ・特にグレ-ドアップ工事の影 響は大きい◆ 大規模修繕工事内容と工事費
❐ コメント:第1回目のマンションと第2回目は同一のものではない。特に、第2回 目の工事費はマンションにより差が大きい。建物の劣化状況、工事内容により異なる。- 19 - 図-1 中央林間エクシ-ドA 2003年長期修繕計画 支出入グラフ (含 機械式駐車場) 0 1000 2000 3000 4000 5000 6000 7000 8000 棒線 年度別支出 万円 折線 支出・入累計万円 -30000 -20000 -10000 0 10000 20000 30000 40000 50000 支出累計 現在の積立金累計 ★Ⅰ.住棟部計画修繕の計 0 384 0 0 0 0 0 0 7368 0 0 0 0 0 446 0 0 0 0 0 ★Ⅱ付属棟の計 0 11 0 0 0 0 0 0 118 0 0 0 0 0 15 0 0 0 0 0 ★Ⅲ建物総合診断、長期修繕計画 0 0 0 0 0 0 0 250 150 100 0 0 0 0 0 100 0 0 0 0 ★Ⅳ機械設備の計 94 568 1326 0 0 0 554 2768 187 462 85 459 6609 0 9 0 467 5541 94 1286 ★Ⅴ電気設備の計 0 1195 223 0 0 0 0 113 2135 0 0 134 2493 0 0 0 33 73.5 0 0 ★Ⅵ外構・工作物等の計 0 19 0 0 0 0 0 0 240 185 185 185 180 0 0 19 0 0 0 0 ☆Ⅶ.機械式駐車場の計 0 0 0 1064 0 1003 53 0 1362 53 51 0 53 0 0 0 0 0 0 0 年度別支出合計 94 2177 1549 1064 0 1003 607 3131 1E+0 800 321 778 9334 0 470 119 500 5614 94 1286 支出累計 94 2271 3820 4884 4884 5887 6493 9625 2E+0 2E+0 2E+0 2E+0 3E+0 3E+0 3E+0 3E+0 3E+0 4E+0 4E+0 4E+0 年度別収入 1000 1000 1000 1000 1000 1000 1000 1000 1000 1000 1000 1000 1000 1000 1000 1000 1000 1000 1000 1000 収入累計 2100 3100 4100 5100 6100 7100 8100 9100 1E+0 1E+0 1E+0 1E+0 1E+0 2E+0 2E+0 2E+0 2E+0 2E+0 2E+0 2E+0 支出入累計 2006 829 280 216 1216 1213 1607 -525 -1E+ -1E+ -1E+ -998 -2E+ -2E+ -2E+ -2E+ -2E+ -2E+ -2E+ -2E+
18 15 200 19 16 04 20 17 05 21 18 06 22 19 07 23 20 08 24 21 09 25 22 10 26 23 11 27 24 12 28 25 13 29 26 14 30 27 15 31 28 16 32 29 17 33 30 18 34 31 19 35 32 20 36 33 21 37 34 22
◆ 長期修繕計画と大規模修繕工事費
☆年度別支出項目◆
20~25年間で
どの程度の費用
を要するか?
★資金計画は工
事費総額で策定
◆ 経年18年目より37年目までの20年間の計画(10F.60戸 のマンション)*20年間で604万円/戸、25,200円/月・戸となる *この時期が最も工事内容が多く、修繕費用が高額となる時期 第2回目の大規模修繕 ❐ コメント:当マンションは高層で中央暖房・給湯方式のため、計画修繕の設備工事 費の占める割合が大きい。◆ 長期計画作成ガイドライン
「様式4-2」収支計画グラフ
第1回目の 大規模修繕 第2回目の 大規模修繕 *25年間の作成期間内では2回の大規模修繕工事があ る。この時期に資金ショートする事例が多い。ここでは第1 回目で蓄積がなくなり、第2回目では大巾に不足する(事例)
・策定期間25年間 ❐ コメント:当マンションでは積立金改訂後も、26 年目以降、資金が不足する年度が ある。これには金融機関よりの借入れで対応する予定である。- 20 - ❐ コメント:大規模修繕時での一時的な資金不足を避けるためには、早い時期よりの 検討が必要。積立金の改訂も段階的に行うことも可能となる。
◆ 長期修繕計画の基本的な考え方
★分譲時のもの:30年以上の策定期間、いつ頃、どのような工事が必要かの目安 ☆中期計画と見直し期間:25年間、計画の見直し(5~6年毎)、大規模修繕と関連する ☆工事準備段階(短期計画):工事実施前2~3年、工事の具体内容の検討 レベル1 分譲時の長期計画 レベル2 中期計画 および計画の見直し 中期計画の見直し 短期計画 工事実施・準備段階 (計画内容のチェック) 入居時 5年 10年 15年 20年 25年 30年 35年 40年 長期計画(30年以上) 中期計画(25年~) 第1回中期計画見直し(25年~) 第2回目見直し(25年~) 準備段階 大規模修繕実施1~2年前 ※ 分譲時の計画精度の問題 ※内容と精度(どこまで精度を上げるか) ※工事内容・資金計画のチェック *修繕積立金が高額となる時期 ❐ コメント:長期修繕計画では工事概要に基づき資金計画を策定するが、その内容と 精度が問題となる。★ 財源の確保と、長期修繕計画の見直し時期
(*
長期修繕計画に、 グレ-ドアップ改修を加える。)●
いつの時期から、資金計画はできるだけ早い時期より要検討。
★ 「見直し時期より20~25年先の予測」(*高経年マンション、建物の経年と 居住者の年齢構成が問題) *社会全体の高齢化、マンションも例外ではない。 ・ マンション購入時点では30~35歳、30年後は60~65歳となる。◆ グレ-ドアップを実現させる長期修繕計画・改修計画
★
長期修繕計画の項目で、
グレ-ドアップの必要なものを選択。
★
専門家による検討、大まかに将来を予測
、
「見直し」で具体提案。
★
「長期計画見直し」
での資金計画の策定、
必要により借入も検討
★
グレ-ドアップの対象項目では、
予算に余裕を持たせる。
◆ 「マンションの長命化・再生」と、その財源・資金計画
- 21 - ❐ コメント:国交省「積立金ガイドライン」は 84 事例のサンプルにより検討されたも の。比較的経年の浅い 20 年以下、高層のものが多い。専有面積当たりの積立額はサンプ ルの平均値をとったもの。
■国交省修繕積立金ガイドライン(2)
「マンション管理新聞による試算」 ☆試算例では、16,160~21,200円/月・戸まで幅が あるが、これ以外に管理費・駐車場料金が加わる。 ・駐車場を利用しない所有者にも負担が生じる。 ★機械式駐車場の問題点 ・加算額(B)は高管協作成(この他に日常の維持費) ◆駐車場会計は本来「独立会計」として収入と支出 のバランスが必要 ・料金収入を管理費に繰入れているものも多い。 ・管理費の不足額を補填している。■国交省修繕積立金ガイドライン(1)
[2011.4.18に公表されたもの]★修繕積立金の設定
*修繕積立金の単価(㎡)は、 計画期間内の総修繕費を月額 に換算したものを延専有面積 で除したもので設定。 *修繕に要する総額は、作 成される計画時期・期間に よって異なる。1~30年目、 20~50年目では工事内容・工 事費ともに大きく異なる。 *新築時より30年間までに補 正したものを使用 *同規模のマンションでも、 住戸数により戸当たり負担額 にかなり差がでる。 *修繕積立金の変動要因は考 慮していない。グレ-ドアッ プ等の工事内容は含まれない。 ❐ コメント:試算例は 10 階建、専有面積 80 ㎡のサンプル、11,120 円、~21,200 円/月・戸、1 万円の巾があり、マンションの長期計画の内容により差が大きい。 Jy5y- 22 -
◆ 修繕積立金の実態
(築年別)◆ 修繕積立金の実態
(地域別) ★平均関東圏105円、関西75円、東海60円/㎡ ❐ コメント:2010 年の修繕積立金の実態調査によるもの。超高層マンションのもの であり経年も浅い。ガイドラインの平均値 177 円~218 円/㎡・月に比べ、かなり低 額なものが多い。■ 国交省ガイドラインのまとめ
★ 長期修繕計画作成とガイドライン
① 国交省提案の「長期修繕計画作成ガイドライン」は、過去に様々な提案があった ものを統一したことに評価がある。数年前に(財)マン管センタ-発行の「長期修 繕計画作成マニュアル」をより体系化したもの。 ②長期修繕計画の策定率は89%を超えるが、見直しを定期的に行っているものは 約半分程度、また、その内容が問題となる。 ③ ガイドラインにおける作成内容の課題として、25~30年間の作成期間での将 来予測の問題(修繕周期の設定、仕様・工法、工事費内訳書、グレ-ドアップ等) がある。どこまで将来を予測できるか?が疑問。 ④ 特に設備関係は内容が多岐にわたり複雑なもの、これらの整理をどのように。★ 修繕積立金とガイドライン
① 修繕積立金、平成20年度総合調査では平均11,100円弱、但し、全サンプル の平均。積立金ガイドラインでは高層80㎡の事例で平均16,160円である。 ②「均等積立か、段階的増額か」、現在のストックの半数は経年20年を超えた もの。段階的積立は不可欠。今後管理組合がどのように取り組むか? ③ 長期修繕計画の見直しと積立金の乖離、見直しを行っても資金計画が伴わない 長期計画の内容を含めて、将来のマンションのあり方を考えることが課題。 ④ 高経年マンションの大規模修繕時の資金不足への対応として、支出の均等化を 計るための金融機関よりの「借入れ」の検討も必要。- 23 -
◆ 経年によるマンション大規模修繕の変遷
1.大規模修繕工事の実施時期と工事内容
※建築を中心とした大規模修繕工事の実施時期(周期)は長期修繕計画の内容によっ ても異なり、一般的には 10~15 年の範囲にあるが、近年 12 年周期のものが多い(国 交省の長期修繕計画の標準周期)。この大規模修繕工事の実施時期により、また、建 物の建設時期、建物の仕組みによっても工事内容が異なってくる。 (1) 第1回目の大規模修繕工事の主要内容と特徴 (築後 10~15 年、一般的には 12 年) (2) 第2回目の大規模修繕工事の主要内容と特徴 (築後 24~30 年、一般的には 24 年) ★グレ-ドアップ工事の検討 *工事のコンセプトとしては「新築時に戻そう」。工事概要としては、外壁改修、 階段・廊下・バルコニ-等の床防水、鉄部塗装等である。 *屋根防水をどうするか、傷みの状況により異なる。露出防水では建設時の施 工上の問題もある。工事の実施(どこまで行うか、部分修繕・全面改修)は 劣化の状況による。 ※1回目と2回目の違いは何か? ・第1回目の外壁大規模修繕工事内容の他に、どのような内容の工事があるか? ・外壁仕上材の違い:塗装仕上げの場合は原則重ね塗り。タイル張り仕上げの 場合、タイルの浮き・剥離が増えることを予測する。 ・躯体改修工事:コンクリ-ト構造体の劣化が進行することを予測する。 *鉄部塗装・金物改修箇所は、劣化の状況により部分補修、更新(取替)が必要 なものもあるが、工事の基本は劣化部分のみ補修する。経年によって傷みの 箇所は増える傾向にある。外壁廻りの金物類(換気フード、ガラリ・キャッ プ、物干金物、室名札、集合郵便受け等)、設備関係の金物類、EXPJ、廊下 等の手摺廻り *屋根防水工事の全面改修:第1回目に部分補修の場合は、全面改修が必要と なる。この場合は、仕様・工法(材料の選択を含めて)の検討が重要。但し、 状況により部分改修で可能な場合もある。 ・1階ピロティ廻り、エントランスホ-ル廻り、集 会室等の改修と、それぞれの工事のグレ-ドアッ プを考えるマンションもある。 ☆設備関連工事:共用部分の給水配管関係改修を同 時に行う場合もある。 ・住戸メ-タ-廻り配管、PS 内給水配管等の更新・ 更生工事等資料-1
- 24 - (3) 第3回目の大規模修繕工事の主要内容と特徴 (築後 36~45 年、一般的には 36 年) ★グレ-ドアップ工事の検討 (既設金物類は経年劣化による更新が必要) (4) 第4回目以降の大規模修繕工事の主要内容と特徴 (築後 48~60 年、一般的 48 年) *これらの長期周期の工事がある程度終了していれば計画修繕工事の周期は一巡し、 第1ステ-ジ(60 年目まで)は終了、修繕工事は二巡目の第5回大規模修繕(60 年 目)より第2ステ-ジ(120 年目まで)、新たな計画修繕の開始となる。 ◆第3回目から4回目の大規模修繕工事の時期が、最も費用を要する ※第2回目の大規模修繕の他に、様々な工事が出てくる。 *外壁改修工事関係 ・タイル張り仕上げ:浮き・剥離に注意が必要。部位によっては全面張替えも 必要となる。目地(モルタル)の劣化への対応が求められる。 ・塗装仕上げ材の場合:既存塗膜の劣化状況により、重ね塗りが可能かの検討、 全面剥離(ケレン)も必要となる。 *屋根防水工事:防水仕様と耐用年数、劣化状況により検討が必要となる。 *鉄部・金物関係:全面更新(取替)、第2回目の大規模修繕時に、どの程度行 われたかによって工事内容は異なる。 ・玄関扉、廊下・バルコニ-の手摺、窓アルミサッ シ等の更新(取替)。これらの工事を第3回目の大 規模修繕で行うか、第4回目まで延伸するか、 劣化状況による。 ・住戸専有部に関連するこれらの工事は、住戸数 分だけ必要となるため工事費は多額となる。:専 有部分の給水・排水設備工事関係を同時に行う 場合もある。または第2回目から3回目の中間 期に単独工事として行うこともある。 ※短期周期(4~6 年、鉄部塗装等)、中期周期(12 年、外壁・屋根防水、金物改 修等)の工事の他に、第3回目での長期周期(30~40 年、玄関扉・窓サッシ、 バルコニ-手摺更新等、屋外鉄骨階段等では全面改修)の対象工事がどこま で行われているかにより、工事内容は大きく変わってくる。 ★第3回目の大規模修繕で長期周期(30 年~40 年)の計画修繕項目が終わっ ていないものについては、第4回目で実施することになる。 また、これらの様々な工事が行われていないと(先送りされる)、そのしわ 寄せは後年に出ることになる(必要な工事は先送りしても、なくなるもので はない)。
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